JPH0319518Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は貨物船に係り、特にパイロツトラダー
を昇降させる巻上機をガントリークレーンの脚部
に設けることにより上甲板上における交通性の向
上を図つた貨物船に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 一般に船舶には水先案内人の乗下船のための縄
梯子等からなるパイロツトラダーと、このパイロ
ツトラダーを船側（玄側）に吊下げるための巻上
機とが装備されている。

しかしながら、従来では通常甲板上に上記巻上
機を設置していたので、交通の妨げとなつてお
り、特にガントリークレーンを甲板上に走行自在
に装備した貨物船にあつてはクレーンの走行に支
障を来たすなどの欠点があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記従来技術の欠点を解消すべく創案
されたものであり、その目的はパイロツトラダー
を有する船舶でありながら、上甲板上におけるガ
ントリークレーン等の走行に支障を来たすことが
ない貨物船を提供するにある。

［考案の概要］ 本考案は上記目的を達成するために、上甲板上
に船長方向に走行自在なガントリークレーンを備
えた貨物船において、上記クレーンの脚部に、船
内側から船外へ突出するようにほぼ180度水平旋
回自在にブームを設けると共に巻上機を設け、該
巻上機から繰り出されたケーブルを上記ブームの
先端の滑車を介して吊り下げると共に該ケーブル
の先端にパイロツトラダーを昇降自在に設け、さ
らに、上記ブームの先端部に上記ブームを旋回操
作する操作ロープを連結すると共に上記クレーン
の脚部に、上記ブームを船内側に旋回収納したと
きに上記操作ロープを掛けとめてブームを固定す
る係留部を設けたことを特徴とするものである。

［考案の実施例］ 以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。

第１図に示す如く、この貨物船１は上甲板２上
にその船長方向に走行自在にガントリークレーン
３を備えている。このガントリークレーン３は船
幅方向に跨つた橋脚４を有し、この橋脚４の一側
の脚部５にはパイロツトラダー６を船側に昇降自
在に吊下げるための巻上機７が設けられている。

この巻上機７は例えばエアーモータで駆動され
るウインチ等からなり、第２図、第３図に示す如
くクレーンの脚部５における走行方向の一端部に
取付台８を介して取付けられている。巻上機７の
ドラム９から繰出されたケーブル１０の先端部に
はパイロツトラダー６を掛け下げるためのフツク
１１が取付けられている。このフツク１１を船内
側あるいは船外側に臨ませる手段として、クレー
ンの脚部５における上記巻上機７より上方の壁面
にはブーム１２がヒンジ１３を介して水平方向に
ほぼ180度旋回自在に設けられ、ブーム１２の先
端部にはドラム９から繰出されたケーブル１０を
支承する滑車１４が取付けられている。ブーム１
２は補強のためにその先端部から斜め下方の壁面
に延出され、この壁面にヒンジ１５を介して旋回
自在に支持された補強ブーム１６を有している。
また、ブーム１２を船外側あるいは船内側に旋回
操作するために、補強ブーム１６の先端側には操
作ロープ１７の一端が固定されており、その操作
ロープ１７の他端を作業者が持つて上甲板２上に
おいて操作することにより、ブーム１２を自由に
操作できるようになつている。

尚、１８はブーム１２を船内側に臨ませた状態
に固定しておくために操作ロープ１７を繋いでお
くための係留部であり、クレーンの脚部５に設け
られている。１９はクレーンの走行車輪である。

しかして、上記構成によれば、巻上機７がクレ
ーンの脚部５に設けられているので、巻上機７は
クレーンと共に移動することになり、上甲板２上
に配置されたものと異なり、クレーンや作業者の
走行乃至歩行に支障を来たすことがない。従つ
て、上甲板２上のスペースを有効に利用すること
ができ、しかも上甲板２上の交通性の向上により
作業の安全性を向上させることができる。

上甲板２上等に収納状態にあるパイロツトラダ
ー６を船側（玄側）に配置するには、先ず第２図
の仮想線で示す如く船内側に臨ませて収納状態に
あるブーム１２の操作ロープ１７の係留部１８に
対する係留を解き、ケーブル１０の繰出し及び巻
上げによりパイロツトラダー６をフツク１１に引
つ掛けて吊上げる。しかる後、操作ロープ１７の
引張操作によりブーム１２を船外にほぼ180度水
平旋回させて臨ませ、この状態でケーブル１０を
繰出すことによりパイロツトラダー６を玄側に配
置すればよい。パイロツトラダー６を収納する場
合は、前記とは逆の操作を行えばよい。

尚、ブーム１２の旋回を電動等の駆動装置によ
り行うようにしてもよく、またこれらブーム１２
及び巻上機７の操作を遠隔操作により船橋等から
行うようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次の如き優れた効
果を発揮する。

(1) 上甲板上に設けられたクレーンの脚部にパイ
ロツトラダーの巻上機を設けたので、上甲板上
におけるクレーンや作業者の走行乃至歩行に支
障を来たすことがなく、作業の安全性を向上で
きると共に、上甲板上におけるスペースの有効
利用を図ることができる。

(2) 構造が簡単であるため、製作が容易であり、
安価に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は貨物船の概略正面図、第２図は同要部拡大図、
第３図は同側面図である。 図中、２は上甲板、３はガントリークレーン、
５はその脚部、６はパイロツトラダー、７は巻上
機である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上甲板上に船長方向に走行自在なガントリーク
   レーンを備えた貨物船において、上記クレーンの
   脚部に、船内側から船外へ突出するようにほぼ
   180度水平旋回自在にブームを設けると共に巻上
   機を設け、該巻上機から繰り出されたケーブルを
   上記ブームの先端の滑車を介して吊り下げると共
   に該ケーブルの先端にパイロツトラダーを昇降自
   在に設け、さらに、上記ブームの先端部に上記ブ
   ームを旋回操作する操作ロープを連結すると共に
   上記クレーンの脚部に、上記ブームを船内側に旋
   回収納したときに上記操作ロープを掛けとめてブ
   ームを固定する係留部を設けたことを特徴とする
   貨物船。