JPH10294235A - コンデンサー用フィルム - Google Patents

コンデンサー用フィルム

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JPH10294235A
JPH10294235A JP10023897A JP10023897A JPH10294235A JP H10294235 A JPH10294235 A JP H10294235A JP 10023897 A JP10023897 A JP 10023897A JP 10023897 A JP10023897 A JP 10023897A JP H10294235 A JPH10294235 A JP H10294235A
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film
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polyethylene
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capacitor
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俊一 内田
Koji Furuya
幸治 古谷
Kenji Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業性、製膜性に優れ、かつCR特性の良好
な極薄コンデンサー用フィルムを提供する。 【解決手段】 特定粒径の多孔質シリカ微粒子、及び粒
径比(長径/短径)が1.0〜1.2である真球状シリ
カ微粒子を特定量含有するポリエチレン−2,6−ナフ
タレートからなるコンデンサー用フィルムであって、該
ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合触媒として
特定量のマンガン化合物、アンチモン化合物、熱安定剤
としてリン化合物を含有し、かつアルカリ金属の含有量
が10ppm以下であることを特徴とするコンデンサー
用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサーに使
用されるポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムは、その優れた機械的性質、熱的性質、及び耐熱
性を有することからコンデンサー用フィルムに使用され
ている。
【0003】コンデンサーにおいては、最近の電気ある
いは電子回路の小型化要求に伴い、コンデンサーの小型
・大容量化が品質条件となってきており、そのベースと
なる誘電材料であるフィルムも薄く成形することが進め
られている。フィルムコンデンサーにおいて誘電体であ
るフィルムの薄膜化が図られる理由は、(イ)コンデン
サーの静電容量が誘電材料の誘電率電極面積に比例する
こと、(ロ)フィルム厚みに反比例すること、言い換え
ると誘電体の単位体積当りの静電容量はフィルム厚さの
2乗に反比例し、かつ誘電率に比例することから、同じ
誘電率の誘電材料を使用する限り、コンデンサーの小型
化又は大容量化を図ろうとすれば、フィルム厚みを薄く
することが不可欠なこととなるからである。
【0004】このようなフィルムの薄膜化の必要性があ
るものの、従来の延伸フィルムにおいてその厚みを単に
薄くするだけでは次のような問題点がある。例えば、フ
ィルムの薄膜化に伴い、フィルムに電極を蒸着する際
や、スリット、素子巻き等の工程における作業性が悪く
なる問題がある。
【0005】この作業性はフィルムの滑り性に関るもの
であり、その滑り性を改良するためには、一般に熱可塑
性樹脂フィルムにおいては、フィルム表面に微小な凹凸
を与える方法が知られている。かかる方法の例として、
不活性無機微粒子をフィルムの原料である熱可塑性重合
体の重合時、又は重合後に添加したり(外部粒子添加方
式)、熱可塑性重合体の重合時に使用する触媒等の一部
又は全部を反応工程でポリマー中に析出させる技術(内
部粒子析出方式)が公知である。
【0006】しかし、極薄のフィルムの製造方法におい
て、不活性無機微粒子を同一濃度のまま添加した重合体
を薄膜化すると、単位面積当りの不活性無機微粒子の数
が減少し、フィルム表面における微粒子の間隔が広が
り、フィルム表面が平坦化し、滑り性が低下する傾向に
ある。従って薄膜化に伴う滑り性低下を補うためには、
フィルム厚みが薄くなればなるほど、添加する不活性無
機微粒子の添加濃度を高めるか、あるいは粒径を大きく
する必要があった。
【0007】この場合、特にドラフト比の高い溶融押出
時や延伸の際に不活性無機微粒子と熱可塑性重合体との
親和性が乏しいことに起因して、ボイドが界面、すなわ
ち不活性無機微粒子のまわりに多発し、このボイドの発
生の結果、得られたフィルムの機械的性質(例えば破断
強度、破断伸度)の著しい低減や絶縁破壊電圧が低下す
るばかりでなく、フィルムを製造する際にも破断が発生
しやすくなり、生産性の低下、製造条件の安定性に欠け
る問題があった。
【0008】かかる問題を解消せしめ、作業性に優れ、
かつ製膜性に優れた4μm以下の薄い熱可塑性フィルム
が先に提案されている(特開平1−266145号公
報)。
【0009】しかし、熱可塑性フィルムがポリエチレン
−2,6−ナフタレートフィルムの場合、機械的性質、
絶縁破壊電圧の低下がなく、作業性、製膜性に優れるも
のの、触媒、安定剤、金属量の規定がなく、例えばこれ
らが多すぎるとフィルムのCR特性が不良となるためコ
ンデンサー用フィルム用途としては不充分であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、作業
性、製膜性に優れCR特性の良好なコンデンサー用フィ
ルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、コンデン
サー用フィルムを構成するポリエチレン−2,6−ナフ
タレートとして、ポリマー重合時の触媒に特定範囲の金
属触媒を用いて重合されたものを使用し、特定形状のシ
リカ微粒子を2種以上配合させることにより、本発明の
目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明は、平均粒径が0.5〜
5μmである多孔質シリカ微粒子0.1〜2重量%、及
び平均粒径がフィルム厚みより小さくかつ0.1〜1μ
mであり、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2であ
る真球状シリカ微粒子0.005〜1重量%を含有する
ポリエチレン−2,6−ナフタレートからなるコンデン
サー用フィルムであって、該ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートの重合触媒としてマンガン化合物、アンチモ
ン化合物、熱安定剤としてリン化合物を下記式(1)、
(2)及び(3)を満たす量含有し、かつアルカリ金属
の含有量が10ppm以下であることを特徴とするコン
デンサー用フィルムである。
【0013】
【数4】30≦Mn≦100 ・・・ (1)
【0014】
【数5】150≦Sb≦450 ・・・ (2)
【0015】
【数6】20≦P≦100 ・・・ (3) [式中、Mnはマンガン元素のポリエチレン−2,6−
ナフタレート中の量(ppm)、Sbはアンチモン元素
のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(pp
m)、Pはリン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート中の量(ppm)をそれぞれ表わす。]
【0016】本発明におけるポリエチレン−2,6−ナ
フタレートは、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの
ホモポリマーを主たる対象とするが、例えば2,6−ナ
フタレンジカルボン酸成分の一部(30モル%未満)
を、2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレン
ジカルボン酸の異性体あるいはイソフタル酸、ジフェニ
ルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸等のごとき他の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のごとき脂
環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライ
ン酸等のごとき脂肪族ジカルボン酸、p−β−ヒドロキ
シエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオ
キシ酸等の他の二官能性カルボン酸で置き換えたポリマ
ーであってもよい。
【0017】さらに、エチレングリコール成分の一部
(30モル%)を例えばトリメチレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デ
カメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエ
チレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビ
ス(4’−β−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸
等の他の多官能化合物の1種以上で置換して30モル%
未満の範囲で共重合せしめたコポリマーであってもよ
い。
【0018】本発明のコンデンサー用フィルムを構成す
るポリエチレン−2,6−ナフタレートは、前述のよう
な酸成分のエステル形成性誘導体、例えば低級アルキル
−2,6−ナフタレート、エチレングリコール及び所望
により共重合成分を公知の方法でエステル交換触媒の存
在下でエステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下
で重縮合して製造されるものを対象とする。
【0019】エステル交換触媒としては、マンガン化合
物が用いられ、マンガン化合物としては、酸化物、塩化
物、炭酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。これらの
中、酢酸塩が好ましく用いられる。
【0020】エステル交換反応が実質的に終了した時点
でリン化合物を添加し、エステル交換触媒を失活させ
る。リン化合物としては、トリメチルホスフェート、ト
リエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート
及び正リン酸が使用できる。これらの中、トリメチルホ
スフェートが好ましい。
【0021】重縮合触媒としては、アンチモン化合物が
用いられ、アンチモン化合物としては三酸化アンチモン
が好ましく用いられる。
【0022】本発明におけるポリエチレン−2,6−ナ
フタレートにおいては、上記触媒がポリエチレン−2,
6−ナフタレート中に、下記式(1)、(2)、(3)
を満足する量含有させることが必要である。
【0023】
【数7】30≦Mn≦100 ・・・ (1)
【0024】
【数8】150≦Sb≦450 ・・・ (2)
【0025】
【数9】20≦P≦100 ・・・ (3) [式中、Mnはマンガン元素のポリエチレン−2,6−
ナフタレート中の量(ppm)、Sbはアンチモン元素
のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(pp
m)、Pはリン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート中の量(ppm)をそれぞれ表わす。]
【0026】マンガン元素の含有量がポリエチレン−
2,6−ナフタレート中30ppm未満では、エステル
交換反応が不充分であり、一方100ppmを超えると
フィルムのCR値が低下しコンデンサー用フィルムとし
て適さなくなるので好ましくない。また、アンチモン元
素の含有量が150ppm未満では重縮合反応性が低下
して生産性が悪くなり、一方450ppmを超えると熱
安定性が劣りフィルム製膜時の工程切断や機械的強度の
低下を招き、さらにはフィルムのCR値も低下しコンデ
ンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましくな
い。さらに、リン元素の量が20ppm未満では、エス
テル交換触媒が完全に失活せず熱安定性が悪く得られる
フィルムの機械的強度が低下する。一方100ppmを
超えると熱安定性が悪く、フィルム製膜時の工程切断、
機械的強度の低下を招き、さらにはCR値も低下し、コ
ンデンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましく
ない。
【0027】また、アルカリ金属の含有量は10ppm
以下であることが必要である。アルカリ金属の含有量が
10ppmを超えるとフィルムのCR値が低下しコンデ
ンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましくな
い。
【0028】本発明のコンデンサー用フィルムは、この
ような量範囲の触媒、安定剤、アルカリ金属を含有する
ことにより良好なCR特性を有する。
【0029】本発明のコンデンサー用はそのフィルム表
面に多数の微細な突起を有している。それらの多数の微
細な突起は本発明によればポリエチレン−2,6−ナフ
タレート中に分散して含有される多数の多孔質シリカ微
粒子と平均粒径がフィルム厚みより大きくない真球状シ
リカ微粒子に由来する。
【0030】本発明においてポリエチレン−2,6−ナ
フタレート中に分散している多孔質シリカ微粒子は、そ
の平均粒径が0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmで
ある。
【0031】このような多孔質シリカ微粒子は、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレートに対し高い親和性を示
す。
【0032】多孔質シリカ微粒子の製造法の例として、
シリカの1次粒子を水中に分散せしめてコロイド状粒子
を形成し、そのゾルを乾燥し、特定の多孔質ゲルを生成
させる方法(特開昭52−52876号公報)が知られ
ている。
【0033】所定の平均粒径の粒子を得るためには従来
から知られている粒子調製法を用いることができ、例え
ば粉砕処理、分級操作等を施して所定の平均粒径、粒度
分布に調製することが好ましい。
【0034】多孔質シリカ微粒子の粒度分布については
約10μm以上の粗大粒子をほとんど含まず、微細側に
シャープな分布を持つものが好ましい。ここで「平均粒
径」とは、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子
の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは
粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を
意味し、粒子の電子顕微鏡写真又は通常の沈降法による
測定から計算することができる。多孔質シリカ微粒子の
平均粒径が0.5μm未満では、フィルムをマスタロー
ル又は製品ロール等ロール状に巻き取る際エアースクイ
ーズ性が不良(巻き込み空気が逃げにくい)なためしわ
が発生しやすく、また滑り性(スリップ性)が不充分で
加工工程での作業性が低下し好ましくない。また平均粒
径が5μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎ、絶縁破
壊電圧の低下、絶縁欠陥の増加等をもたらすので好まし
くない。多孔質シリカ微粒子の平均粒径はフィルム厚み
より大きくてもかまわない。これは本発明で用いる多孔
質シリカ微粒子がポリエチレン−2,6−ナフタレート
に高い親和性を持つためである。
【0035】本発明において多孔質シリカ微粒子の添加
量はポリエチレン−2,6−ナフタレートに対して0.
1〜2重量%とする必要があり、好ましくは0.1〜1
重量%である。添加量が0.1重量%未満であると、巻
取りの際のエアースクイーズ性が不良となり、一方2重
量%を超えるとフィルム表面が粗れすぎ、絶縁破壊電圧
の低下等をもたらし、好ましくない。
【0036】本発明でポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートに分散含有させる真球状シリカ微粒子は、平均粒径
がフィルム厚みより大きくなく、0.1〜1μmであ
り、かつ粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2のもの
である。この真球状シリカ微粒子は個々の微粒子の形状
が極めて真球に近い球状であって、従来から滑剤として
知られているシリカ微粒子が10nm程度の超微細な塊
状粒子か、又はこれらが凝集して0.5μm程度の凝集
物(凝集粒子)を形成しているものとは著しく異なる。
【0037】真球状シリカ微粒子の平均粒径はフィルム
厚みより小さいことが必須要件となる。平均粒径がフィ
ルム厚みより大きくなると、真球状シリカ微粒子による
突起の周りの重合体フィルムにひび割れが生じ、延伸、
熱固定等の工程でフィルム破断が多発するので好ましく
ない。従って、この真球状シリカ微粒子の平均粒径は、
好ましくはフィルム厚みの90%以下、さらに好ましく
はフィルム厚みの80%以下である。
【0038】さらに、真球状シリカ微粒子の平均粒径
は、フィルムの厚みを超えない範囲で好ましくは0.1
〜1μm、更に好ましくは0.3〜0.8μmである。
平均粒径が0.1μm未満ではフィルムの滑り性が不充
分で加工工程での作業性が低下し好ましくない。また平
均粒径が1μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎ、絶
縁破壊電圧の低下、絶縁欠陥の増加等をもたらすので好
ましくない。また真球状シリカ微粒子の粒径比は、好ま
しくは1〜1.2、更に好ましくは1〜1.15、特に
好ましくは1〜1.1である。
【0039】真球状シリカ微粒子は、上述の条件を満た
せば、その製法その他に何ら限定されるものではない。
例えば、真球状シリカ微粒子は、オルトケイ酸エチル
[Si(OC254]の加水分解から含水シリカ[S
i(OH)4]単分散球をつくり、さらにこの含水シリ
カ単分散球を脱水化処理して下記シリカ結合を三次元的
に成長させることで製造できる(日本化学会誌、'81, N
o.9, P.1503)。
【0040】
【化1】
【0041】
【化2】
【0042】本発明において真球状シリカ微粒子の添加
量は、ポリエチレン−2,6−ナフタレートに対して
0.005〜1重量%とする必要があり、好ましくは
0.01〜0.8重量%、さらに好ましくは0.02〜
0.6重量%である。添加量が0.005重量%未満で
は、滑り性が不充分となり、一方1重量%を超えると製
膜性、機械的強度、絶縁破壊電圧の低下等をもたらし好
ましくない。多孔質シリカ微粒子あるいは真球状シリカ
微粒子の含有量が少なすぎると2種の粒子を用いる相乗
効果が得られず、巻取りの際のエアースクイーズ性又は
加工時の滑り性が不足するので好ましくない。
【0043】多孔質シリカ微粒子と真球状シリカ微粒子
のポリエチレン−2,6−ナフタレートへの添加時期
は、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完了前
であることが好ましく、エステル交換反応の終了前に
(好ましくはグリコール中のスラリーとして)反応系中
に添加することが好ましい。
【0044】また、多孔質シリカ微粒子、真球状シリカ
微粒子を個々に含有するポリエチレン−2,6−ナフタ
レートを製造し、これらをブレンドして所定の組成物と
することもできる。
【0045】本発明のコンデンサー用フィルムを構成す
るポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは従来
から蓄積されたポリエステルフィルムの製造法に準じて
製造できる。例えば、多孔質シリカ微粒子及び真球状シ
リカ微粒子を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートを溶融製膜して非晶質の未延伸フィルムとし、次い
でこの未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、熱固定し、
必要に応じて熱弛緩処理することによって製造される。
その際、フィルム表面特性は、多孔質シリカ微粒子や真
球状シリカ微粒子の粒径等によって、また延伸条件によ
って変化するので従来の延伸条件から適宜選択する。ま
た、密度、熱収縮率等も延伸、熱処理時の温度、延伸倍
率、延伸速度等によって変化するので、これらの特性を
同時に満足する条件を定めることが好ましい。例えば、
延伸温度は1段目延伸温度(例えば縦方向延伸温度:T
1)が(Tg−10)〜(Tg+45)℃の範囲(ただ
し、Tg:ポリエチレン−2,6−ナフタレートのガラ
ス転移温度)から、2段目延伸温度(例えば横方向延伸
温度:T2)が(T1−15)〜(T1+40)℃の範囲
から選択するとよい。また、延伸倍率は一軸方向の延伸
倍率が2.5倍以上、特に3倍以上でかつ面積倍率が8
倍以上、特に10倍以上となる範囲から選択するとよ
い。また、熱固定温度は130〜250℃、さらには1
80〜250℃の範囲から選択するとよい。以上のよう
にして得られるポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムは、そのポリマーの固有粘度が0.40以上であ
ることが好ましく、0.40〜0.80であることがさ
らに好ましい。固有粘度が0.40未満では工程切断が
多発することがある。
【0046】またポリエチレン−2,6−ナフタレート
フィルムの厚みは0.5〜2μmが好ましい。厚みが
0.5μm未満では製膜が困難であり、一方2μmを超
えるとコンデンサーの小型化が図りにくくなることがあ
る。
【0047】また、熱収縮率は3%以下が好ましく、3
%を超えるとフィルムに金属膜を蒸着してコンデンサー
とする際にフィルムにしわが入ることがある。更には、
電気絶縁材料であるという観点からフィルムの絶縁破壊
電圧は220V/μm以上、絶縁抵抗の観点からフィル
ムのCR値が10000ΩF以上であることが好まし
い。また、ピンホールは0.01個/cm2以下である
ことが好ましい。なお、熱収縮率は、フィルムを150
℃、30分間熱処理した前後のフィルム長の変化から求
めた値である。また、絶縁破壊電圧、CR値、ピンホー
ルは後述の方法にしたがって測定した値である。
【0048】前述の方法で製造した本発明のポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートからなるコンデンサー用フィ
ルムは従来のものに比べてボイドの少ないフィルムであ
る。前述したように本発明の極薄コンデンサー用フィル
ムは延伸後もボイドの発生が著しく少ないため、従来の
フィルムに比べて絶縁破壊電圧が向上している。
【0049】また、触媒量、静電ピンニング等のために
添加される金属量を請求項の範囲内にすることにより、
絶縁抵抗を低下させることがなく、その結果、フィルム
のCR値が良好となり、コンデンサー用フィルムとして
好適である。
【0050】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。実施例において、各種特性値は下記の方法で
測定・評価した。
【0051】1.粒子の粒径 (1-1) 粉体の粒径 島津製作所CP−50型セントリフュグルパーティクル
サイズアナライザー(Centrifugal Particle Size Anal
yser)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に
算出した各粒径の粒子とその存在量との累積曲線から、
50マスパーセント(mass percent)に相当する粒径を
読み取り、この値を平均粒径とした。(「粒度測定技
術」、日刊工業新聞社発行、1975年、p.242-247参照)
【0052】(1-2) フィルム中の粒子の粒径 試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定
し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JIS-1100
型イオンスパッターリング装置)を用いてフィルム表面
に、1×10-3torrの真空下で0.25kV、1.25
mAの条件にてイオンエッチング処理を施した。さら
に、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡
にて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)
製ルーゼックス500にて、少なくとも100個の粒子
の長径(Dli)、短径(Dsi)及び面積相当粒径
(Di)を求めた。下式で表わされる面積相当粒径(D
i)の数平均値を平均粒径(D)とした。
【0053】
【数10】
【0054】2.粒子粒径比 前項1で得られた粒子の長径(Dli)及び短径(Ds
i)から下式で表わされる長径(Dl)、短径(Ds)
をそれぞれ求め、これらの比より算出した。
【0055】
【数11】
【0056】
【数12】
【0057】3.フィルム中の触媒量、アルカリ金属量 試料フィルムを、蒸留アセトンで2回以上洗浄乾燥の
後、0.200g採取した。次に、試薬特級の硫酸、硝
酸等で湿式分解し、イオン交換蒸留水を20ml加え、
試料液とした。この試料液を高周波プラズマ発光分光分
析装置(ジャーレルアッシュ製、Atomu Comp Siries 80
0)にて金属定性定量分析を行なった。
【0058】4.固有粘度(IV) o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定
した。単位は100cc/gである。
【0059】5.フィルムの製膜性 二軸延伸製膜を8時間連続運転したときのフィルム破断
の発生した回数で表わした。単位は回/8時間である。
極薄フィルムは、フィルム破断が発生しやすいが、実用
化の点から、通常この値が2回/8時間以下であること
が好ましい。
【0060】6.絶縁破壊電圧(BDV) JIS C 2318に示す方法に従って測定し、n=1
00の平均値を絶縁破壊電圧(BDV)とした。
【0061】7.CR値 試料フィルムを、23℃、50%RH、16時間の条件
で状態調節した後、23℃、50%RHの雰囲気下で、
JIS C 2319に示す方法に従って測定した。
【0062】8.ピンホール マジックインキを試薬特級エタノールで10倍に希釈し
た液を感熱紙上に密着させた試料フィルムの上に滴下
し、エアーブラシで全体に広げ、感熱紙側に転写したピ
ンホール箇所の個数を数え、3000cm2当りの個数
を計算した。
【0063】9.巻姿 試料フィルムを、幅500mm、長さ5000m巻き取
った時の巻姿を観察して下記の基準で評価した。 〇:巻姿がきれいで、表面のしわ、巻きずれ等が肉眼で
確認できないもの。 ×:巻姿が不良で、表面にしわ、巻きずれ等が肉眼で確
認できるもの。
【0064】[実施例1、2、比較例1〜5]ナフタレ
ン−2,6−ジカルボン酸ジメチル及びエチレングリコ
ールを、酢酸マンガンの存在下、常法によりエステル交
換反応せしめた後、トリメチルホスフェートを添加し
た。次いで、三酸化アンチモン及び、表1記載の粒径を
有する多孔質シリカ微粒子及び真球状シリカ微粒子を表
1記載の量添加して、常法により重縮合させてポリエチ
レン−2,6−ナフタレートポリマーを得た。このポリ
マーを170℃において6時間乾燥させた後、押出機に
供給し、溶融温度290〜310℃で溶融し、開度1m
mのスリット状ダイを通して、表面仕上げ0.3S、表
面温度50℃の回転ドラム上に押出し、未延伸フィルム
を得た。
【0065】こうして得られた未延伸フィルムを140
℃で縦方向に3.6倍に延伸し、次いで140℃で横方
向に4.0倍延伸し、さらに220℃で5秒間熱固定処
理し、二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムを得た。これらのフィルムの特性を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明は、次のような優れた効果を持
ち、極薄フィルムを必要とするコンデンサー用フィルム
として好適に用いられる。 (1)製膜時のフィルム破断が少なく、1μm以下の極
薄フィルムの製膜に有用である。 (2)フィルム表面が適度に粗面化されており、フィル
ムの滑り性が良好で、加工時の作業性に優れる。 (3)フィルム内部のボイドが少なく、絶縁破壊電圧、
機械的強度が改良される。 (4)触媒量、金属量が適量で絶縁抵抗が高く、CR特
性が優れる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.5〜5μmである多孔質
    シリカ微粒子0.1〜2重量%、及び平均粒径がフィル
    ム厚みより小さくかつ0.1〜1μmであり、粒径比
    (長径/短径)が1.0〜1.2である真球状シリカ微
    粒子0.005〜1重量%を含有するポリエチレン−
    2,6−ナフタレートからなるコンデンサー用フィルム
    であって、該ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重
    合触媒としてマンガン化合物、アンチモン化合物、熱安
    定剤としてリン化合物を下記式(1)、(2)及び
    (3)を満たす量含有し、かつアルカリ金属の含有量が
    10ppm以下であることを特徴とするコンデンサー用
    フィルム。 【数1】30≦Mn≦100 ・・・ (1) 【数2】150≦Sb≦450 ・・・ (2) 【数3】20≦P≦100 ・・・ (3) [式中、Mnはマンガン元素のポリエチレン−2,6−
    ナフタレート中の量(ppm)、Sbはアンチモン元素
    のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(pp
    m)、Pはリン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレ
    ート中の量(ppm)をそれぞれ表わす。]
  2. 【請求項2】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートの
    固有粘度が0.40以上、フィルムの厚みが0.5〜2
    μm、熱収縮率が3%以下、絶縁破壊電圧が220V/
    μm以上、CR値が10000ΩF以上、ピンホールが
    0.01個/cm2以下である請求項1記載のコンデン
    サー用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1113467A4 (en) * 1999-06-08 2005-06-22 Teijin Ltd COMPOSITE FILM FOR CONDENSER, MANUFACTURING METHOD AND SUPPORT FILM THEREFOR

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