JP4351345B2 - コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくはフィルムを構成するポリマー成分がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなり、作業性とスペースファクタを両立させ、生産性を著しく向上したコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムは、その優れた機械的性質、熱的性質及び耐熱性を有することからコンデンサの絶縁フィルムとして使用され、その量も増大している。
【0003】
ところで、近年、電気あるいは電子回路の小型化に伴なって、コンデンサの小型・大容量化が要求され、かつ品質条件となってきており、そのべースとなる誘電材のフィルムも薄くすることが進められている。フィルムコンデンサにおいて、誘電材であるフィルムの薄膜化が図られる理由は、(イ)コンデンサの静電容量が誘電材の誘電率及び電極面積に比例すること、(ロ)フィルム厚みに反比例すること、言い換えると誘電材の単位体積当りの静電容量はフィルム厚さの2乗に反比例し、かつ誘電率に比例することから、同じ誘電率の誘電材を使用してコンデンサの小型化又は大容量化を図ろうとすれば、フィルム厚みを薄くすることが不可欠となるからである。
【0004】
このように、フィルムを薄くすることの効果は明らかであるものの、従来の二軸配向フィルムの厚みを単に薄くするだけでは新たな問題、例えばフィルムの薄膜化に伴い、フィルムに電極を蒸着する際やスリット、素子巻き等の工程における作業性が悪くなる、という問題が生じる。
【0005】
この作業性はフィルムの滑り性に係わるものである。この滑り性を改良する方法としては、ポリエステルフィルムにおいては、フィルム表面に微小な凹凸を与える方法が知られ、かつ用いられている。この方法として、不活性無機微粒子をフィルムの原料であるポリエステルの重合時、又は重合後に添加したり(外部粒子添加方式)、ポリエステルの重合時に使用する触媒等の一部又は全部を反応工程でポリマー中に析出させる(内部粒子析出方式)技術が知られている。
【0006】
しかし、極薄フィルムの製造方法において、原料ポリマーとして中厚のフィルムを製造する場合と同じ濃度の不活性無機微粒子を含有するポリマーを用いると、極薄フィルムの単位面積当りの不活性無機微粒子の数が減少し、該フィルム表面における微粒子の間隔が広がり、フィルム表面が平坦化し、滑り性が低下する。また、極薄フィルムは腰(剛性)が弱く、フィルム同士が容易に密着することも、滑り性を低下させる要因となっている。従って、薄膜化に伴う滑り性低下を補うためには、フィルム厚みを薄くすればするほど、含有させる不活性無機微粒子の濃度を高めるか、あるいは粒径を大きくする必要があった。
【0007】
この場合、ドラフト比の高い溶融押出時や延伸の際に、不活性無機微粒子とポリエステルとの親和性が乏しいことに起因して、ボイドが該不活性無機微粒子の周りに発生しやすく、かつこの頻度も多くなる。このため、得られたフィルムの機械的性質(例えば破断強度、破断伸度)や電気的性質(例えば絶縁欠陥)が低下するばかりでなく、フィルム製造時にも破断が発生しやすくなり、生産性の低下、製造条件の安定性に欠ける、という問題が生じることになる。
【0008】
ボイド発生を抑制したフィルムとして、特公平7−47645号公報には、空隙率が50〜95%でありかつ平均粒径が0.05〜5μmである多孔質不活性無機粒子を0.01〜3重量%、及び平均粒径がフィルムの厚みより大きくかつ0.2〜4μmである球状シリカ粒子を0.005〜1重量%含有せしめて、作業性(ハンドリング性)、製膜性を改善した厚みが4μm以下の薄い熱可塑性樹脂フィルムが開示されている。
【0009】
しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの場合、本発明者の検討において、該フィルムは機械的性質の低下がなく、耐熱性、電気絶縁性に優れ、ボイドが少ない等の利点を有するものの、未だ製膜時の破断が多く生産性が損われる、という問題のあることが明らかになった。
【0010】
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムに比して耐引裂き性に劣る特性を有するが、この特性が製膜時の破断トラブルを多くする要因になっている。このため、ポリエチレンテレフタレートフィルムでは問題にならなかった要因が、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムでは破断の原因になることがあると推測される。
【0011】
また、前記ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムは、表面突起によりフィルムを重ねたときに生じる空気層が厚く、絶縁特性及びスペースファクタが十分と云えないこと、このため優れた生産性、作業性とスペースファクタ及び絶縁特性の両立が依然として解決課題として残っていることが明らかになった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの持つ耐熱性、絶縁性、薄膜化可能性を保持し、作業性とスペースファクタを両立させ、かつ生産性を著しく改良したコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、かかる問題を解消すべく鋭意検討の結果、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの溶融時の電気抵抗、すなわち交流体積抵抗率を特定範囲に低下させることにより、他の特性(たとえば電気絶縁特性)を損なわずにフィルム破断を防止し、生産性を向上できること、さらに大粒径の粒子数を制限すること及び表面粗さとフライスペック個数を特定範囲に調節することにより、電気絶縁特性と作業性の両立が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明は二軸配向フィルムを構成するポリマー成分がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなり、ポリマーの全酸成分に対して、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を0.2mmol%以上2mmo1%以下含有し、該フィルム中に平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下でかつフィルム厚み未満であり、かつ粒径比(長径/短径)が1.0以上1.2以下である不活性微粒子を0.03重量%以上3重量%以下含有し、該フィルム表面の平均径が30μmを超えるフライスペックの個数が10個/m2以下であり、該フィルムの厚みのバラツキが25%以下であり、さらに該フィルムの溶融時(300℃)の交流体積抵抗率の値が2×10 8 Ωcm以上3.8×10 8 Ωcm以下であることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムである。
【0015】
[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリマー成分がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるものである。
【0016】
このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、主たるジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸からなり、主たるグリコール成分がエチレングリコールからなるポリマーである。ここで、「主たる」とは、ポリマーを構成する全酸成分または全グリコール成分に対し、少なくとも90mol%、好ましくは95mol%以上であることを意味する。
【0017】
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートはコポリマーであることができるが、このコポリマーはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ホモポリマー)フィルム本来の特性を極端に失うことがなく、絶縁特性、機械特性および熱寸法安定性を確保できれるものが好ましい。
【0018】
コポリマーである場合、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分及びエチレングリコール成分以外の共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができる。かかる化合物として例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸;或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール等の如き2価アルコールを好ましく挙げることができる。
【0019】
これらの化合物は1種のみでなく2種以上を同時に用いることができる。また、これらの中でさらに好ましいものは、酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
【0020】
また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、或いは例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
【0021】
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、また、他の有機高分子を小割合混合した組成物であっても良い。
【0022】
かかる有機高分子として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を例示することができる。これらの中で、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
【0023】
これら有機高分子は1種のみならず2種以上を、組成物を構成するポリマーの全繰返し単位に対し、該高分子の繰返し単位で10mol%まで、好ましくは5mol%まで使用するのが好ましい。この組成物はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーまたはコポリマーと他の有機高分子からなる組成物であって良く、またポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーおよびコポリマーと他の有機高分子からなる組成物であっても良い。
【0024】
この組成物は、組成物を構成するポリマーの全繰返し単位の少なくとも90mol%、好ましくは95mol%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位からなるポリマー組成物である。
【0025】
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの製造は、一般に知られたポリエステルの製造方法によって実施できる。例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを反応(エステル化反応)させ、あるいは2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換触媒の存在下反応(エステル交換反応)させ、続いて反応生成物を重合触媒の存在下で所望の分子量まで重合させて製造することができる。前記エステル交換触媒としては、公知のエステル交換触媒、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。また、重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を好ましく挙げることができる。触媒の使用量は従来から知られている量範囲から選ぶと良い。
【0026】
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的で、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物を添加するのが好ましい。リン元素としてのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中の含有量は20〜100ppmであることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
【0027】
なお、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合することもできる。
【0028】
ポリマーの固有粘度(オルソクロロフェノール、25℃)は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40dl/g以上0.90dl/g以下であることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では、工程中でのフィルム破断が多発することがある。一方0.90dl/gより高いと、ポリマーの溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、重合時間が長く不経済であり、好ましくない。
【0029】
[添加物]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、そのフィルム表面に多数の微細な突起を有している。この多数の微細な突起は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと略記することがある)中に分散して含有される球状不活性微粒子に由来する。この球状不活性微粒子は、粒径比(長径/短径)が1.0以上1.2以下であって、その平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下でかつフィルム厚み未満であり、0.03重量%以上3重量%以下含有されている。この粒径比が1.2を超えると、フィルム表面を粗面化する効果が小さくなり、好ましくない。また、この平均粒径が0.01μm未満ではフィルム面の滑り性が悪く、作業性が低下する。一方、平均粒径が3.0μm超またはフィルム厚みを超えると、製膜工程での破断頻度が増加したり、スリット時の切断が起こり易くなり、生産性が悪くなる。また、たとえ製膜での破断、スリットでの切断がなくフィルムが得られたとしても絶縁耐力が不満足なものとなる。
【0030】
前記球状不活性微粒子の好ましいものは球状シリカ粒子である。さらには、平均粒径の違う2種の球状シリカ粒子、すなわち一つの微粒子が平均粒径がフィルム厚み未満でかつ0.5μm以上3.0μmの球状シリカ粒子(A)であり、他の微粒子が平均粒径がフィルム厚み未満でかつ0.01μm以上1.5μm以下の球状シリカ粒子(B)からなり、該球状シリカ粒子(A)の平均粒径は該球状シリカ粒子(B)の平均粒径より大きいことが好ましい。そして、該粒子(A)を0.03重量%以上1.5重量%以下含有し、かつ該粒子(B)を0.05重量%以上2重量%以下含有していることが好ましい。
【0031】
この球状シリカ粒子は、粒径比(長径/短径)がともに1.0以上1.2以下であることにより、個々の粒子の形状が極めて球に近い球状であって、10nm程度の超微細な塊状粒子か又はこれらが凝集して0.5〜3μm程度の凝集物(凝集粒子)を形成している従来から滑剤として知られているシリカ粒子とは著しく異なる点に特徴がある。
【0032】
なお、粒子の粒径比は、下記式で求めることができる。具体的な測定方法については後述する。
【0033】
【数1】
(粒径比)=(球状粒子の平均長径)/(球状粒子の平均短径)
【0034】
球状シリカ粒子は、前述のとおり、その平均粒径が0.5μm以上3μm以下のもの(A)と、0.01μm以上1.5μm以下のもの(B)を併用するのが好ましい。 球状シリカ粒子(A)の平均粒径が0.5μm未満では、フィルムの滑り性や作業性の改善効果が不充分であり、一方3μmを超えるとフィルム破断強度や絶縁破壊電圧が低下し、製膜時破断が発生し易く好ましくない。また、球状シリカ粒子(B)の平均粒径が0.01μm未満では、フイルムの滑り性や作業性の改善効果が不充分であり、一方1.5μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎて、スペースファクターが増大しすぎて好ましくない。
【0035】
ここで、「平均粒径」とは、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真又は通常の沈降法による測定から計算することができる。
【0036】
このような平均粒径の異なる2種の球状シリカ粒子を含有させることにより、フィルム表面が高さ1.5μm以上の突起が50個/cm2以下の表面粗さであっても、フィルムの作業性を確保することができる。
【0037】
球状不活性微粒子の平均粒径はフィルム厚み未満である。前記凝集粒子の場合には該粒子は比較的破砕され易く、平均粒径がフィルム厚みより大きくてもフィルムの表裏を貫通する粒子は少数であるが、球状不活性微粒子の場合該粒子は破砕されないので、平均粒径がフィルム厚みを超えると、製膜時やスリット時の破断が発生し易く、また絶縁耐力が低下する。
【0038】
球状シリカ粒子は、上述の条件を満たせば、その製法、その他に何ら限定されるものではない。例えば、球状シリカ粒子は、オルトケイ酸エチル[Si(OCH)]の加水分解から含水シリカ[Si(OH)]単分散球を作り、さらにこの含水シリカ単分散球を脱水化処理して下記シリカ結合を三次元的に成長させることで製造できる(日本化学会誌、’81,No.9,P.1503)。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
本発明において不活性球状微粒子の含有量は0.03重量%以上3重量%以下である。この量が0.03重量%未満では、フィルムの滑り性や作業性が不充分となり、一方3重量%を超えると、フィルム表面が粗れ、スペースファクタが増大したり、フィルム破断強度が低下して好ましくない。
【0042】
また、球状シリカ粒子(A)、(B)を併用する場合、粒子(A)の含有量は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに対して、0.03重量%以上1.5重量%以下、粒子(B)の含有量は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに対して、0.05重量%以上2重量%以下とするのが好ましい。球状シリカ粒子(A)の含有量が0.03重量%未満では、フィルムの滑り性や作業性が不充分となり、一方1.5重量%を超えると、フィルム表面が粗れ、スペースファクタが増大したり、フィルム破断強度が低下して好ましくない。また、球状シリカ粒子(B)の含有量が0.05重量%未満では、フィルムの滑り性や作業性が不充分となり、一方2重量%を超えると、スペースファクタの増大や絶縁破壊電圧の低下を招き、好ましくない。
【0043】
球状微粒子を分散含有するポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、ポリマー重合反応時、例えばエステル交換法による場合のエステル交換反応中あるいは重縮合反応中の任意の時期に、例えば球状シリカ粒子(好ましくはグリコール中のスラリーとして)を反応系中に添加することにより製造することができる。好ましくは、重縮合反応の初期、例えば固有粘度が約0.3dl/gに至るまでの間に、球状シリカ粒子を反応系中に添加するのが好ましい。
【0044】
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記の球状微粒子と平均粒径の異なる球状微粒子および/または他の滑剤微粒子を微量添加したものは、本発明の範囲を逸脱するものではない。また、極薄フィルム、例えば0.5μm以上3μm以下の厚みのフィルムでは、球状シリカ粒子(A)、(B)の平均粒径が近似の値になる場合がある。このような場合、平均粒径から見て一成分系または3成分以上の系と見做される場合もまた本発明の範囲に包含される。
【0045】
[フライスペック]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、平均径が30μmを超えるフライスペックの個数が10個/m2以下であり、好ましくは7個/m2以下である。ここで、フライスペックとは、ポリマー中に含まれる添加剤(滑剤等)や異物を核とする粗大突起のことであり、該核とその周辺にできる空隙(ボイド)から構成され、このボイドを覆うポリマーは厚みの薄い被覆層(表層)からなる。このフライスペックが大きいと、ボイドが大きく、厚みが薄い被覆層の範囲が広がるため、製膜時や適当な幅へのスリツト時、コンデンサの加工工程等で急激な張力変動や急激な加熱があった場合に応力集中により被覆層の破れが発生し、絶縁性能が低下する。また、被覆層の破れが起こらなかった場合でも、ポリマー層の厚みが薄いため、絶縁性能が低下する傾向にある。また、絶縁性能が低下し始めるフライスペックの大きさとしては平均径(長径と短径の平均)が30μmを超えるものであり、かつその存在する頻度が10個/m2を超えるとコンデンサの誘電体としての絶縁性能が不足する。
【0046】
サイズの大きなフライスペック数を上記範囲にするには、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜35μm、好ましくは15〜30μmの不織布型フイルターでろ過することが好ましい。フィルターの目開きが35μmを超えると、溶融ポリマー中の粗大粒子を減少させる効果が十分でなく、一方目開きが10μm未満では、フィルターの目詰まりが発生しやすく、工業上実用化が困難である。フィルターとしては他に網状構造物や焼結金属等を用いたものもあるが、不織布型のフィルターと比べるとろ過効果がやや劣る。これは、不織布型フィルターが粗大粒子を捕集するだけでなく、フィルターを構成するステンレス細線が凝集体を解砕させる効果を有するためと考えられる。さらに、より効果的にサイズの大きなフライスペック数を上記範囲にするには、不活性微粒子自体を予め所定の目開きのフィルターでろ過精製した後にポリマー内に添加することが好ましい。
【0047】
[フィルム厚みのバラツキ]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、任意の場所での厚みのバラツキがフィルム厚み(平均厚み)に対して25%以下であることを要し、より好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。フィルムの厚みのバラツキが25%を超えると、コンデンサの誘電体用べースとして幾重にも積層して使用した場合、この厚みのバラツキによリコンデンサとしての性能がばらつく原因となるため好ましくない。
【0048】
[交流体積抵抗率]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、溶融フィルムの300℃での交流体積抵抗率の値が2×10 8 Ωcm以上3.8×10 8 Ωcm以下であることが必要である。この交流体積抵抗率の値が2×10 8 Ωcmより小さい5×107Ωcm未満であると、70℃以上の比較的高温域で絶縁特性が低下し、誘電正接が大きくなり、コンデンサ特性が悪化する。一方、3.8×10 8 Ωcmより大きい1×109Ωcmを超えると、製膜時の破断が頻繁に発生し、生産性が著しく低下する。
【0049】
この範囲の体積抵抗率を得る方法は、エステル形成官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩をポリマー鎖中に含有させる方法を挙げることができる。該スルホン酸4級ホスホニウム塩の含有量は、ポリマー鎖中に0.2mmol%以上2mmo1%以下含有させる。さらに、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩は下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
【0050】
【化4】
(ここで、Aはn+2価の炭素数2〜18の脂肪族基又は芳香族基であり、X1およびX2は、同一もしくは異なり、水素原子又はエステル形成性官能基であり、nは1又は2であり、そして、R1、R2、R3、およびR4は、同一もしくは異なり、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基又は炭素数6〜12のアリール基である。但し、X1およびX2が同時に水素であることはない。)
【0051】
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ビスフェノールA−3,3’−ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等を挙げることができる。上記スルホン酸4級ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0052】
このようなスルホン酸4級ホスホニウム塩は、一般に、対応するスルホン酸とホスフィン類とのそれ自体公知の反応、又は対応するスルホン酸金属塩と4級ホスホニウムハライド類とのそれ自体公知の反応によって容易に製造することができる。
【0053】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、上記の如きスルホン酸4級ホスホニウム塩を、ポリマーを構成する全酸成分に対し、0.2mmol%以上2mmol%以下で含有することが好ましい。この量が0.2mmol%より少ない0.1mmol%未満では300℃における交流体積抵抗率の値を109Ωcm以下にできない。一方、2mmol%より多い10mmol%を超えると、高温域(70℃以上)での絶縁特性の低下や誘電正接の増加が生ずることがある。
【0054】
本発明において、フィルムにスルホン酸4級ホスホニウム塩を含有させる方法としては、任意の方法をとることができる。例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの重合時に該スルホン酸4級ホスホニウム塩を添加し共重合する方法、フィルム製膜前に該スルホン酸4級ホスホニウム塩をポリマーに添加する方法、該スルホン酸4級ホスホニウム塩を高濃度含むポリマー組成物(マスターチップ)を作成し、主原料のポリマーを溶融する前に所定量混合する方法などが挙げられる。いずれの方法によってもスルホン酸4級ホスホニウム塩を最終的にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに所定量含有させれば、効果は発現する。
【0055】
[表面粗さ]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、中心線平均表面粗さ(Ra)が35nm以上75nm以下であることが好ましい。この粗さ(Ra)が35nm未満では、フィルム生産時およびコンデンサ製造工程での作業性が悪く、特に極薄フィルムでは安定した生産が困難となる。一方、75nmを超えると、コンデンサ素子のスペースファクタが大きく、容量不足や用途によってはコロナ放電による雑音や素子の劣化を生じることがある。
【0056】
前記二軸配向ポリエステルフィルムは、また、10点平均粗さ(Rz)が900nm以上1500nm以下であることが好ましい。この粗さ(Rz)が900nm未満であると、フィルムの滑り性やエア抜け性が悪く、極薄品生産時にフィルムをロールに巻き取ることが困難となる。一方、1500nmを超えると、極薄品生産時に破断頻度が増加し、生産性が著しく低下する上に、絶縁耐力が低下することがある。
【0057】
[フィルム厚み]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、厚みが0.5μm以上7μm以下であることが好ましい。 0.5〜7μmの厚みのフィルムは主として電子回路用に用いられ、本発明のフィルムの効果が最も発揮される。この厚みが0.5μm未満では製膜生産性が低く、コンデンサの製造における作業性が悪い。一方、7μmを超えると電子回路用のコンデンサの小型化大容量化が図りにくく、不経済である。 但し、70℃以上の雰囲気下で高圧回路や電源回路に使用する場合は、7〜20μmのフィルムが用いられる。本発明はこれらの厚み範囲を排除するものではない。
【0058】
[フィルムの密度]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、密度が1.338g/cm3以上1.361g/cm3以下であることが好ましい。さらに好ましくは1.340g/cm3以上1.358g/cm3以下、特に好ましくは1.343g/cm3以上1.356g/cm3以下である。この密度が1.338g/cm3未満であると、コンデンサ性能のバラツキの原因になり、加工歩留まりの低下の原因となるため好ましくない。一方、1.361g/cm3を超えると、ポリマーの結晶度が高くなりすぎてフィルムの靭性が失われるため、フィルム搬送時、特にスリットを伴う工程で破断頻度が増加するようになる。
【0059】
[その他特性]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、そのスペースファクタが3〜23%であることが好ましい。ここで、スペースファクタとは、試料フィルム100cm2の重量w(g)と、密度d(g/cm3)から求めた重量法厚みをt1(μm)、10cm角の試料フィルムを10枚重ね、マイクロメーターを用いて求めた試料フィルム1枚分の厚みをt2(μm)としたとき、下記式より算出される値である。
【0060】
【数2】
スペースファクタF(%)=100− t1/ t2×100
このスペースファクタが3%未満では、フィルムの滑り性、作業性(ハンドリング性)が不充分であり、一方23%を超えると、体積当りのコンデンサ容量が低くコンデンサの小型大容量化に不適であるため好ましくない。
【0061】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、200℃で10分間処理した後の熱収縮率が、縦方向(MD)で0.9%以上3.0%以下、さらに1.0%以上2.8%以下であり、横方向(TD)で2.0%以上5.0%以下、さらに2.2%以上4.8%以下であることが好ましい。この熱収縮率が高すぎると、蒸着工程においてフィルムが収縮し、皺が入ることがあり、素子端面へのメタリコン処理ができないことがある。一方、熱収縮率が低すぎると、蒸着工程で熱負けが発生することがある。
【0062】
さらには前記二軸配向ポリエステルフィルムは、電気絶縁材料であるという観点から、絶縁破壊電圧(BDV)が200V/μm以上(JIS C 2318に示す方法に従って測定し、n=100の平均値)であることが好ましい。
【0063】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、また、ピンホール、すなわちコンデンサ用フィルムを感熱紙上に密着させ、試薬特級エタノールで10倍に希釈したマジックインキ溶液を試料フィルム上に滴下し、エアーブラシで全体に広げた後に感熱紙側に転写して観測されるピンホールの数が0.1個/cm2以下であることが好ましい。
【0064】
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、100℃、1kHzの条件下で測定したCR値が800ΩFより大きい920ΩF以上であることが好ましい。100℃、1kHzにおけるCR値が920ΩFより小さい800ΩF未満では、フィルムの絶縁抵抗が不足し、電気絶縁材料として不適となることがある。
【0065】
[製膜法]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸方向(例えば縦及び横方向)にそれぞれ延伸倍率2.5倍以上5.0倍以下で延伸したものが好ましい。二軸方向の延伸倍率は等しくても、等しくなくてもよい。該フィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
【0066】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、その製造法によって制限を受けるものではないが、下記の方法で製造するのが好ましい。
【0067】
所定の不活性微粒子、好ましくはさらにエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを所定のフィルターで濾過した後、例えば通常の押出温度、すなわち融点(以下Tmと表わす)以上(Tm+70℃)以下の温度で溶融押出し、押出されたフィルム状溶融物をピンニングワイヤー(ステンレス鋼線(0.05〜0.60mmφ、印加電圧:直流0.5〜15kV)により回転冷却ドラムの表面に密着させて急冷して固有粘度が0.40〜0.90dl/gの未延伸フィルムを得、続いてこの未延伸フィルムを120〜180℃、より好ましくは130〜160℃で縦方向に2.5倍以上5.0倍以下の延伸倍率で延伸し、次いで横方向に120〜150℃の温度で2.5倍以上5.0倍以下の延伸倍率で延伸し、ついで210〜240℃の温度で0.3〜20秒間熱固定するのが好ましい。その後、熱収縮率を低下させる必要があれば、縦方向および/または横方向に弛緩率0.5〜15%の範囲で熱弛緩処理を行うのが好ましい。これらの延伸を複数段階に分割する多段延伸を用いてもよい。
【0068】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、例中の「部」は重量部を意味する。また、例中の各種特性値は下記の方法で測定、評価した。
【0069】
1.粒子の粒径
(1−1)粉体の粒径
島津製作所製CP50型セントリフュグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyser)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との累積曲線から、50マスパーセント(mass percent)に相当する粒径を読み取り、この値を平均粒径とする。(「粒度測定技術」、日刊工業新聞社発行、1975年、p.242−247参照)
【0070】
(1−2)フィルム中の粒子の粒径および粒径比
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてフィルム表面に、0.13Paの真空下で0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施す。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも100個の粒子の長径(Dli)、短径(Dsi)及び面積相当粒径(Di)を求める。下式で表わされる面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径(D)とする。
【0071】
【数3】
【0072】
上記長径の平均値をDl、短径の平均値をDsとすると、粒径比はDl/Dsとして算出する。
【0073】
2.交流体積抵抗率
図1に示す装置を用いて測定する。測定サンプル1は厚さが150μmのシートを用いるか、約150μmになるようにフイルムを重ねたものを用いる。直径20cmの円柱状下部電極2の上面に、150μmの平行な間隙が保持出来る直径5.6cm、厚さ0.2cmの上部電極3を配し、この間に測定サンプル1が電極と密着するようにして挿入する。
【0074】
下部電極2は加熱装置4と温度検出端5を内蔵し、下部電極2の表面温度の測定面におけるバラツキが1℃以内、検出端部分との温度差が昇温速度8℃/分において2℃以内となるように構成する。なお、検出温度は読取温度計7で測定し、昇温速度は電圧調整器6により調整する。電極の全体は保温箱11中に配置する。
【0075】
電源8はその発生電圧を標準抵抗9を介して両電極間に印加するが、該電源は100V、50Hzを発生する電源である。この回路に流れる電流は、標準抵抗9の両端に発生する電圧を内部インピーダンスが100MΩ以上のエレクトロンメーター10で読取ることで求める。
【0076】
本発明における溶融時のフィルムの交流体積抵抗率の測定は上記装置により、下部電極の昇温速度8℃/分、測定温度300℃にて行ない、交流体積抵抗率Zは、印加電圧E、電流I、電極面積S、電極間隔dより次式で求められる。
【0077】
【数4】
Z=(E/I)×(S/d)
【0078】
3.表面粗さ
(3−1)中心線平均表面粗さ(Ra)
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、厚み方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定する。その粗さ曲面をZ=F(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値(Ra、単位nm)をフィルムの中心線平均表面粗さとして定義する。
【0079】
【数5】
【0080】
(3−2)10点平均粗さ(Rz)
ピーク(HP)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、その平均粗さをRzとする。
【0081】
【数6】
【0082】
4.フライスペック
フイルム面を万能投影機を用いて、偏光透過照明にて50倍に拡大して測定面積1m2に存在するフライスペックを観察、マーキングした後、さらに光学顕微鏡で各々のフライスペックを観察し、フライスペツクの核およびその周辺に発生したボイドを含めて平均径((最大径十最小径)/2)を求め、30μmを超えるものの数を数える。
【0083】
5.フィルムの厚みとそのバラツキ
製膜したフイルムの任意の場所から縦10cm×横10cmのサンプルを縦、横ともに10cm以上の間隔をおいて50枚採取する。各々のサンプルについて幅(cm)、長さ(cm)、重量(g)、密度(g/cm3)から厚みT(μm)を下式で算出し、さらに50サンプルの平均厚みTavを求めてフイルム厚みとする。
【0084】
また、上述の50サンプルの中の最大厚みTmaxと最小厚みTminの差を求め、平均厚みTavに対する割合を下式で算出して厚みのバラツキとする。
【0085】
【数7】
厚みT(μm)=(重量/(幅×長さ×密度))×10000
平均厚みTav(μm)=(T1+T2+・・・+T50)/50
厚みのバラツキ(%)=((最大厚みTmax−最小厚みTmin)/平均厚みTav)×100
【0086】
6.フィルムの密度
硝酸カルシウム水溶液を溶媒として用いた密度勾配管中、25℃で浮沈法により測定 した値である。
【0087】
7.固有粘度(IV)
ο−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定する。
【0088】
8.ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの成分量(主成分モル比、共重合成分モル比)
フィルムサンプルを測定溶媒(CDCl3: CF3COOD=1:1)に溶解後、1H−NMR測定を行い、得られた各シグナルの積分比をもって算出する。
【0089】
9.CR値
JIS C 2318に示す方法に準じて12mm幅にスリットしたフィルムサンプルと厚み7μm、幅14mmのアルミニウム箔を片側のマージン幅として2.5mmを維持しながら重ね合わせた状態のものを2組用意し、各々のマージンが試料の両端になるように配置して有効面積が10000mm2となるように巻取り試料を作成する。試料を120℃の温度下で5分間2MPaの圧力でプレスする。この試料を(株)カトー製 サーモキーパー(THK−21−1)で100℃に保ち、試料の両端を安藤電気(株)製 LCRメーター(AG−4301)と接続し、印加電圧100Vで絶縁抵抗値(Ω)を測定し、その後1kHzにおける静電容量(nF)を測定する。得られた絶縁抵抗値および静電容量からCR値を下記式により算出する。
【0090】
【数8】
CR値=絶縁抵抗値×静電容量
【0091】
10.フィルムの製膜性
フィルムの製膜性を下記の基準で評価する。
ランクA:破断は起こらず、極めて安定な製膜が可能。生産性が極めて良い。
ランクB:破断はほとんど起こらず、安定な製膜が可能。生産性が良い。
ランクC:時々破断が起こり、製膜が不安定。生産性が悪い。
ランクD:破断が頻繁に発生し、製膜が極めて不安定。生産性が極めて悪い。
ランクAおよびBを合格とする。
【0092】
11.フィルムロールの巻き姿
幅550mm、長さ10000mのフィルムをロールに巻き取った後の巻き姿を製膜工程のスリット時および蒸着後について各々肉眼で観察し、下記の基準で評価する。
◎:スリット時および蒸着後に表面のシワ、巻きズレ等がなく、巻き姿が良好
○:スリット後わずかにシワが認められたが、蒸着後のシワはなく、実用上問題無い
×:蒸着後表面のシワおよび/または巻きズレが確認され、巻き姿が不良
【0093】
[実施例1〜4および比較例6]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部(実施例2では、全酸成分の5モル%をイソフタル酸ジメチルで置換する)とエチレングリコール60部の混合物に、酢酸マンガン・4水塩0.03部を添加し、150℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024部を添加し、さらに表1記載の粒径を有する球状シリカを表1記載の量添加して、次いで220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042部(2mmol%に相当)を添加した。引き続いてエステル交換反応を行い、エステル交換反応終了後燐酸トリメチル0.023部を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した固有粘度が0.61dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートポリマーを得た。このポリマーを170℃において6時間乾燥させた後、押出機に供給し、溶融温度310℃で溶融し、線径14μmのステンレス鋼細線からなる平均目開き30μmの不織布型フィルターでろ過し、スリット状ダイを通して、表面仕上げ0.3Sの回転ドラム上にピンニングワイヤー(SUS304(0.1mmφ)、印加電圧:直流3kV)により密着固化させ未延伸フィルムを得た。
【0094】
こうして得られた未延伸フィルムを140℃で縦方向に3.6倍に延伸し、次いで140℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で5秒間熱固定処理し、表1に示す厚みの二軸配向(共重合)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。これら実施例1〜4および比較例6のフィルムの組成および特性、添加物の内容を表1に示す。
なお、これらのフィルムのスペースファクタは9〜18%で問題はない。
【0095】
[比較例1]
スルホン酸4級ホスホニウム塩を使用せず、かつ押出機のフィルターに平均目開き60μmの焼結金属フィルターを使用する以外は実施例1と同様にして厚み2.2μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。製膜性が不満足であり、フライスペックが多かった。
【0096】
[比較例2]
スルホン酸4級ホスホニウム塩の量を50mmol%とする以外は実施例1と同様にして厚み2.2μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。製膜性は良好であったが、交流体積抵抗率が低く、コンデンサの絶縁特性が不満足であった。
【0097】
[比較例3]
縦方向の延伸倍率を2.3倍、横方向の延伸倍率を2.7倍として延伸する以外は実施例1と同様にして厚み2.2μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。フィルム厚みのバラツキが大きいため、絶縁破壊電圧のバラツキが非常に大きく、極端に絶縁特性の悪いものが発生するうえ、フィルムの巻き姿が非常に悪く、製品として不合格であった。
【0098】
[比較例4]
滑剤としてフィルム厚みより平均粒径が大きい球状シリカ粒子を添加する以外は実施例1と同様にして厚み2.2μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。製膜時の切断が多く、またピンホールが多かった。絶縁破壊電圧が劣っており、スペースファクタが28%であり、過大であった。
【0099】
[比較例5]
イソフタル酸の共重合量を20mol%とする以外は実施例1と同様にして厚み2.2μmの二軸配向共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。フィルム厚みのバラツキが大きく、フィルムの巻き姿が悪い上、生産性が悪く、コンデンサの絶縁特性に問題があった。
【0100】
【表1】
【0101】
【発明の効果】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、次のような優れた効果を持ち、コンデンサ用フィルムとして好適に用いられる。
(1)製膜時の生産性が優れ、特に極薄フィルムの製膜に有効である。
(2)フィルム表面が適度に粗面化されており、フィルムの滑り性が良好で、製膜時、加工時の作業性に優れる。
(3)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの持つ耐熱性や絶縁性が生かされており、絶縁抵抗が高く、CR特性が優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はポリマーの交流体積抵抗率を測定する装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1:測定サンプル
2:下部電極
3:上部電極
4:加熱装置
5:温度検出端
6:電圧調整器
7:読取温度計
8:電源
9:標準抵抗
10:エレクトロンメーター
11:保温箱
Claims (5)
- 二軸配向フィルムを構成するポリマー成分がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなり、ポリマーの全酸成分に対して、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を0.2mmol%以上2mmo1%以下含有し、該フィルム中に平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下でかつフィルム厚み未満であり、かつ粒径比(長径/短径)が1.0以上1.2以下である不活性微粒子を0.03重量%以上3重量%以下含有し、該フィルム表面の平均径が30μmを超えるフライスペックの個数が10個/m2以下であり、該フィルムの厚みのバラツキが25%以下であり、さらに該フィルムの溶融時(300℃)の交流体積抵抗率の値が2×10 8 Ωcm以上3.8×10 8 Ωcm以下であることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)が35nm以上75nm以下であり、かつ10点平均粗さ(Rz)が900nm以上1500nm以下である請求項1に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルムの厚みが0.5μm以上7.0μm以下で、密度が1.338g/cm3以上1.361g/cm3以下であり、フィルムを構成するポリマーの固有粘度が0.40dl/g以上0.90dl/g以下である請求項1または2に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 不活性微粒子が平均粒径の違う2種の球状シリカ粒子からなり、一つの粒子が平均粒径がフィルム厚み未満でかつ0.5μm以上3.0μm以下である球状シリカ粒子(A)であり、他の粒子が平均粒径がフィルム厚み未満でかつ0.01μm以上1.5μm以下である球状シリカ粒子(B)であり、かつ該粒子(A)の平均粒径が該粒子(B)の平均粒径よりも大きく、そして該粒子(A)の含有量が0.03重量%以上1.5重量%以下であり、同時に該粒子(B)の含有量が0.05重量%以上2重量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
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