JP3693456B2 - コンデンサー用フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサーに使用されるポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは、その優れた機械的性質、熱的性質、及び耐熱性を有することからコンデンサー用フィルムに使用されている。
【0003】
コンデンサーにおいては、最近の電気あるいは電子回路の小型化要求に伴い、コンデンサーの小型・大容量化が品質条件となってきており、そのベースとなる誘電材料であるフィルムも薄く成形することが進められている。フィルムコンデンサーにおいて誘電体であるフィルムの薄膜化が図られる理由は、(イ)コンデンサーの静電容量が誘電材料の誘電率電極面積に比例すること、(ロ)フィルム厚みに反比例すること、言い換えると誘電体の単位体積当りの静電容量はフィルム厚さの2乗に反比例し、かつ誘電率に比例することから、同じ誘電率の誘電材料を使用する限り、コンデンサーの小型化又は大容量化を図ろうとすれば、フィルム厚みを薄くすることが不可欠なこととなるからである。
【0004】
このようなフィルムの薄膜化の必要性があるものの、従来の延伸フィルムにおいてその厚みを単に薄くするだけでは次のような問題点がある。例えば、フィルムの薄膜化に伴い、フィルムに電極を蒸着する際や、スリット、素子巻き等の工程における作業性が悪くなる問題がある。
【0005】
この作業性はフィルムの滑り性に関るものであり、その滑り性を改良するためには、一般に熱可塑性樹脂フィルムにおいては、フィルム表面に微小な凹凸を与える方法が知られている。かかる方法の例として、不活性無機微粒子をフィルムの原料である熱可塑性重合体の重合時、又は重合後に添加したり(外部粒子添加方式)、熱可塑性重合体の重合時に使用する触媒等の一部又は全部を反応工程でポリマー中に析出させる技術(内部粒子析出方式)が公知である。
【0006】
しかし、極薄のフィルムの製造方法において、不活性無機微粒子を同一濃度のまま添加した重合体を薄膜化すると、単位面積当りの不活性無機微粒子の数が減少し、フィルム表面における微粒子の間隔が広がり、フィルム表面が平坦化し、滑り性が低下する傾向にある。従って薄膜化に伴う滑り性低下を補うためには、フィルム厚みが薄くなればなるほど、添加する不活性無機微粒子の添加濃度を高めるか、あるいは粒径を大きくする必要があった。
【0007】
この場合、特にドラフト比の高い溶融押出時や延伸の際に不活性無機微粒子と熱可塑性重合体との親和性が乏しいことに起因して、ボイドが界面、すなわち不活性無機微粒子のまわりに多発し、このボイドの発生の結果、得られたフィルムの機械的性質(例えば破断強度、破断伸度)の著しい低減や絶縁破壊電圧が低下するばかりでなく、フィルムを製造する際にも破断が発生しやすくなり、生産性の低下、製造条件の安定性に欠ける問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、滑り性、作業性に優れ、機械的性質の良好なコンデンサー用フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、コンデンサー用フィルムを構成するポリエチレン−2,6−ナフタレートとして、ポリマー重合時の触媒に特定範囲の金属触媒を用いて重合され、平均粒径の異なる2種類の球状シリカ微粒子を特定量配合させたものを使用し、これから得られるフィルムのスペースファクターを特定の範囲とすることによって作業性を確保し、また、1.5μm以上の高さの突起を50個/cm2以下とすることによって、破断強度などの機械的性質の低下を防止できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本発明は、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2かつ平均粒径が0.5〜5μmである球状シリカ微粒子(A)0.1〜2重量%、及び粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2かつ平均粒径が0.01〜1μmである球状シリカ微粒子(B)0.1〜2重量%を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートからなるコンデンサー用フィルムであって、ただし球状シリカ微粒子(A)と球状シリカ微粒子(B)とは異なる平均粒径であり、該ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合触媒としてマンガン化合物、アンチモン化合物、熱安定剤としてリン化合物を下記式(1)、(2)及び(3)を満たす量含有し、アルカリ金属の含有量が10ppm以下であり、フィルムのスペースファクターが3〜23%、及びフィルム表面の1.5μm以上の高さの突起が50個/cm2以下、フィルムの厚みが0.5〜2μm、かつフィルムのCR値が10000ΩF以上であることを特徴とするコンデンサー用フィルムである。
【0011】
【数4】
30≦Mn≦100 ・・・ (1)
【0012】
【数5】
150≦Sb≦450 ・・・ (2)
【0013】
【数6】
20≦P≦100 ・・・ (3)
[式中、Mnはマンガン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)、Sbはアンチモン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)、Pはリン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)をそれぞれ表わす。]
【0014】
本発明のコンデンサー用フィルムを構成するポリエチレン−2,6−ナフタレートは、その繰返し構造単位が実質的にエチレン−2,6−ナフタレートのみならず、繰返し構造単位の数の10%以下、好ましくは5%以下が他の成分であるポリエチレン−2,6−ナフタレート共重合体及びポリマー混合物を含む。
【0015】
一般にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸又はその機能的誘導体、及びエチレングリコール又はその機能的誘導体とを触媒の存在下で適当な反応条件の下で重合されるが、本発明にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートには、このポリエチレン−2,6−ナフタレート重合完結前に適当な1種又は2種以上の第3成分(変性剤)を添加し、共重合又は混合ポリエチレン−2,6−ナフタレートとしたものであってもよい。好ましい第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、コハク酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、又はそれらの低級アルキルエステル、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、又はそれらの低級アルキルエステル、あるいはプロピレングリコール、トリメチレングリコールの如き2価アルコール類等の化合物が挙げられる。ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はその変性重合体は、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコール等の一官能性化合物によって末端の水酸基及び/又はカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは例えばごく少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き三官能、四官能エステル形成性化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。
【0016】
かかるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、前述の酸成分のエステル形成性誘導体、例えば、ジ低級アルキル−2,6−ナフタレートとエチレングリコールを公知の方法でエステル交換反応させた後、重縮合して製造されるものを好ましく使用するが、エステル交換反応においては、2,6−ナフタレンジカルボン酸のジ低級アルキルエステルとエチレングリコールをエステル交換反応触媒の存在下で反応させる。
【0017】
エステル交換反応触媒としては、マンガン化合物が用いられ、マンガン化合物としては、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。これらの中、酢酸塩が好ましく用いられる。
【0018】
エステル交換反応が実質的に終了した時点でリン化合物を添加し、エステル交換触媒を失活させる。リン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート及び正リン酸が使用できる。これらの中、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0019】
重縮合触媒としては、アンチモン化合物が用いられ、アンチモン化合物としては三酸化アンチモンが特に用いられる。
【0020】
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートにおいては、上記触媒がポリエチレン−2,6−ナフタレート中に、前述の式(1)、(2)、(3)を満足する量含有させることが必要である。
【0021】
マンガン元素の含有量がポリエチレン−2,6−ナフタレート中30ppm未満では、エステル交換反応が不充分であり、一方100ppmを超えるとフィルムのCR値が低下しコンデンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましくない。また、アンチモン元素の含有量が150ppm未満では重縮合反応性が低下して生産性が悪くなり、一方450ppmを超えると熱安定性が劣りフィルム製膜時の工程切断や機械的強度の低下を招くので好ましくない。さらに、リン元素の量が20ppm未満では、エステル交換触媒が完全に失活せず熱安定性が悪く、得られるフィルムの機械的強度が低下するので好ましくない。一方100ppmを超えると熱安定性が悪く、フィルム製膜時の工程切断、機械的強度の低下を招き、さらにはCR値も低下し、コンデンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましくない。
【0022】
また、アルカリ金属の含有量は10ppm以下である必要がある。アルカリ金属の含有量が10ppmを超えるとフィルムのCR値が低下しコンデンサー用フィルムとして適さなくなるので好ましくない。
【0023】
本発明のコンデンサー用フィルムはそのフィルム表面に多数の微細な突起を有している。それらの多数の微細な突起は、本発明によればポリエチレン−2,6−ナフタレート中に分散して含有される大小2種の球状シリカ微粒子に由来する。
【0024】
本発明においてポリエチレン−2,6−ナフタレート中に分散している大小2種の球状シリカ微粒子は、粒径比(長径/短径)がともに1.0〜1.2であって、その平均粒径が0.5〜5μm、好ましくは0.8〜3μmのもの(A)と、その平均粒径が0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.7μmのもの(B)である。
【0025】
また、球状シリカ微粒子(A)の平均粒径は、球状シリカ微粒子(B)の平均粒径より大きいことが好ましい。
【0026】
これらの2種類の球状シリカ微粒子は、粒径比(長径/短径)がともに1.0〜1.2であることにより、個々の微粒子の形状が極めて真球に近い球状であって、10nm程度の超微細な塊状粒子か又はこれらが凝集して0.5μm程度の凝集物(凝集粒子)を形成している従来から滑剤として知られているシリカ微粒子とは著しく異なる点に特徴がある。
【0027】
なお、粒径比は、下記式で求めることができる。具体的な測定方法については後述する。
【0028】
【数7】
(粒径比) = (球状シリカ微粒子の平均長径) / (球状シリカ微粒子の平均短径)
【0029】
球状シリカ微粒子は前述のとおり、その平均粒径が0.5〜5μmのもの(A)と、0.01〜1μmのもの(B)である。
【0030】
球状シリカ微粒子(A)の平均粒径が0.5μm未満では、フィルムの滑り性や作業性の改善効果が不充分であり、一方5μmを超えるとフィルム破断強度が低下して好ましくない。また、球状シリカ微粒子(B)の平均粒径が0.01μm未満では、フィルムの滑り性や作業性の改善効果が不充分であり、一方1μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎて、スペースファクターが増大しすぎて好ましくない。
【0031】
ここで「平均粒径」とは、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真又は通常の沈降法による測定から計算することができる。
【0032】
このような平均粒径の異なる2種類の球状シリカ微粒子を含有することにより、1.5μm以上の高さの突起が50個/cm2以下の表面粗さであっても、スペースファクターを大きくすることができ、フィルムの作業性を確保することができる。
【0033】
球状シリカ微粒子の平均粒径は、その突起高さが前述の範囲を外れない限り、フィルム厚みより大きくてもよい。
【0034】
球状シリカ微粒子は、上述の条件を満たせば、その製法、その他に何ら限定されるものではない。例えば、球状シリカ微粒子は、オルトケイ酸エチル[Si(OC254]の加水分解から含水シリカ[Si(OH)4]単分散球をつくり、さらにこの含水シリカ単分散球を脱水化処理して下記シリカ結合を三次元的に成長させることで製造できる(日本化学会誌、'81, No.9, P.1503)。
【0035】
【化1】
Figure 0003693456
【0036】
【化2】
Figure 0003693456
【0037】
本発明において球状シリカ微粒子(A)及び球状シリカ微粒子(B)の添加量は、ともにポリエチレン−2,6−ナフタレートに対して0.1〜2重量%とする必要がある。球状シリカ微粒子(A)の添加量が0.1重量%未満では、フィルムの滑り性や作業性が不充分となり、一方2重量%を超えると、フィルム表面が粗れ、スペースファクターが増大したりフィルム破断強度が低下して好ましくない。また、球状シリカ微粒子(B)の添加量が0.1重量%未満では、フィルムの滑り性や作業性が不充分となり、一方2重量%を超えると、スペースファクターの増大や絶縁破壊電圧の低下を招き好ましくない。
【0038】
2種類の球状シリカ微粒子を分散含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリマー重合反応時、例えばエステル交換法による場合のエステル交換反応中あるいは重縮合反応中の任意の時期に、球状シリカ微粒子(好ましくはグリコール中のスラリーとして)を反応系中に添加することにより製造することができる。好ましくは、重縮合反応の初期、例えば固有粘度が約0.3に至るまでの間に、球状シリカ微粒子を反応系中に添加するのが好ましい。
【0039】
本発明のコンデンサー用フィルムは、そのスペースファクターが、3〜23%である必要がある。
【0040】
なお、スペースファクターとは、試料フィルム100cm2の重量w(g)と、密度d(cm3/g)から求めた重量法厚みをt1(μm)、10cm角の試料フィルムを10枚重ね、マイクロメーターを用いて求めた試料フィルム1枚分の厚みをt2(μm)としたとき、下記式より算出される値である。
【0041】
【数8】
スペースファクターF(%)=100−t1/t2×100
【0042】
このスペースファクターが3%未満では、フィルムの滑り性、作業性(ハンドリング性)が不充分であり、一方23%を超えると、体積当りのコンデンサー容量が低くコンデンサーの小型容量化に不適であるため好ましくない。
【0043】
また、本発明のコンデンサー用フィルムの表面は、前述の2種類の球状シリカ微粒子に由来する多数の突起を有するが、その突起は1.5μm以上の高さのものが50個/cm2以下である必要がある。1.5μm以上の高さの突起が50個/cm2であることで、球状シリカ微粒子周辺に発生するボイドが小さくかつ少なく、フィルム形成中の破断や延伸製膜中の破断が少なく、得られるフィルムの破断強度も高い値を示す。
【0044】
また、本発明のコンデンサー用フィルムの熱収縮率は、3%以下であることが好ましい。3%を超えるとコンデンサー製造時の、蒸着工程においてフィルムがが収縮し、しわがはいることがある。
【0045】
さらには電気絶縁材料であるという観点から絶縁破壊電圧(BDV)は、260V/μm以上であることが好ましい。
【0046】
さらに、本発明のコンデンサー用フィルムのCR値(絶縁抵抗)は、10000ΩF以上であることが必要である。CR値が10000ΩF未満では、フィルムの絶縁抵抗が不足し、電気絶縁材料として不適となることがある。
【0047】
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは、従来から蓄積されたポリエステルの製造法に準じて製造できる。例えば、球状シリカ微粒子を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートを溶融製膜して非晶質の未延伸フィルムとし、次いでこの未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、熱固定し、必要に応じて熱弛緩処理することによって製造される。その際、フィルム表面特性は、球状シリカ微粒子の粒径等によって、また延伸条件によって変化するので、従来の延伸条件から適宜選択する。また、密度、熱収縮率等も延伸、熱処理時の温度、延伸倍率、延伸速度等によって変化するので、これらの特性を同時に満足する条件を定めることが好ましい。例えば、延伸温度は1段目延伸温度(例えば縦方向延伸温度:T1)が(Tg−10)〜(Tg+45)℃の範囲(ただし、Tg:ポリエチレン−2,6−ナフタレートのガラス転移温度)から、2段目延伸温度(例えば横方向延伸温度:T2)が(T1−15)〜(T1+40)℃の範囲から選択するとよい。また、延伸倍率は一軸方向の延伸倍率が2.5倍以上、特に3倍以上でかつ面積倍率が8倍以上、特に10倍以上となる範囲から選択するとよい。また、熱固定温度は180〜250℃、さらには200〜230℃の範囲から選択するとよい。以上のようにして得られる本発明のコンデンサー用フィルムは、そのポリマーの固有粘度が0.40以上であることが好ましく、0.40〜0.80であることがさらに好ましい。固有粘度が0.40未満では工程切断が多発することがある。
【0048】
またコンデンサー用フィルムの厚みは0.5〜2μmが必要である。厚みが0.5μm未満では製膜が困難であり、一方2μmを超えるとコンデンサーの小型化が図りにくくなることがある。
【0049】
前述の方法で製造した本発明のコンデンサー用フィルムは従来のものに比べてボイドの少ないフィルムである。前述したように本発明の極薄コンデンサー用フィルムは延伸後もボイドの発生が著しく少ないため、従来のフィルムに比べて絶縁破壊電圧が向上しているため、コンデンサー用途として好適である。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実施例において、各種特性値は下記の方法で測定・評価した。
【0051】
1.粒子の粒径
(1-1) 粉体の粒径
島津製作所CP−50型セントリフュグルパーティクルサイズアナライザー(Centrifugal Particle Size Analyser)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との累積曲線から、50マスパーセント(mass percent)に相当する粒径を読み取り、この値を平均粒径とした。(「粒度測定技術」、日刊工業新聞社発行、1975年、p.242-247参照)
【0052】
(1-2) フィルム中の粒子の粒径
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JIS-1100型イオンスパッターリング装置)を用いてフィルム表面に、1×10-3torrの真空下で0.25kV、1.25mAの条件にてイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも100個の粒子の長径(Dli)、短径(Dsi)及び面積相当粒径(Di)を求めた。下式で表わされる面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径(D)とした。
【0053】
【数9】
Figure 0003693456
【0054】
2.粒子粒径比
前項1で得られた粒子の長径(Dli)及び短径(Dsi)から下式で表わされる長径(Dl)、短径(Ds)をそれぞれ求め、これらの比より算出した。
【0055】
【数10】
Figure 0003693456
【0056】
【数11】
Figure 0003693456
【0057】
3.スペースファクター(F)
試料100cm2のフィルム重量w(g)と、密度d(cm3/g)から求めた重量法厚みをt1(μm)、10cm角の試料フィルムを10枚重ね、マイクロメーターを用いて求めた試料フィルム1枚分の厚みをt2(μm)としたとき、下記式より算出した。
【0058】
【数12】
スペースファクターF(%)=100−t1/t2×100
【0059】
4.表面突起
(4-1) 1.5μm以上の高さの突起数
NIKON二光束顕微鏡OPTIPHOT(波長λ=546nm)を用いて、干渉縞がλ/2であることを利用し、突起高さを算出し、1cm2当りに存在する1.5μm以上の突起をカウントした。
【0060】
(4-2) 表面粗さ
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリング入ピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定した。その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値(Ra、単位nm)をフィルムの表面粗さとして定義した。
【0061】
【数13】
Figure 0003693456
【0062】
5.固有粘度(IV)
o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した。単位は100cc/gである。
【0063】
6.CR値
試料フィルムを、23℃、50%RH、16時間の条件で状態調節した後、23℃、50%RHの雰囲気下で、JIS C 2319に示す方法に従って測定した。
【0064】
7.フィルム厚み
試料フィルムの幅をW(cm)、長さをl(cm)、重量をG(g)、密度をd(g/cm3)としたとき、フィルム厚みt(μm)を下記式で算出した。
【0065】
【数14】
t=G/(W×l×d) × 10000
【0066】
8.フィルム中の触媒量、アルカリ金属量
試料フィルムを、蒸留アセトンで2回以上洗浄乾燥の後、0.200g採取した。次に、試薬特級の硫酸、硝酸等で湿式分解し、イオン交換蒸留水を20ml加え、試料液とした。この試料液を高周波プラズマ発光分光分析装置(ジャーレルアッシュ製、Atomu Comp Siries 800)にて金属定性定量分析を行なった。
【0067】
9.破断強度
試料フィルムを幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mm、引張速度100mm/分、チャート速度100mm/分にてインストロンタイプの万能引張試験機にて測定し、試料フィルムが破断したときの応力を求めた。
【0068】
10.摩擦係数
ASTM D1894に従い測定した。
【0069】
[実施例1、比較例1〜6]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル及びエチレングリコールを、酢酸マンガンの存在下、常法によりエステル交換反応せしめた後、トリメチルホスフェートを添加した。次いで、三酸化アンチモン及び、表1記載の粒径を有する球状シリカ微粒子を表1記載の量添加して、常法により重縮合させてポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマーを得た。このポリマーを170℃において6時間乾燥させた後、押出機に供給し、溶融温度290〜310℃で溶融し、開度1mmのスリット状ダイを通して、表面仕上げ0.3S、表面温度50℃の回転ドラム上に押出し、未延伸フィルムを得た。
【0070】
こうして得られた未延伸フィルムを140℃で縦方向に3.6倍に延伸し、次いで140℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに220℃で5秒間熱固定処理し、厚み1.5μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。これらのフィルムの特性を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0003693456
【0072】
【発明の効果】
本発明は、次のような優れた効果を持ち、極薄フィルムを必要とするコンデンサー用フィルムとして好適に用いられる。
(1)フィルム表面が適度に粗面化されており、フィルムの滑り性が良好で、製膜時、加工時の作業性に優れる。
(2)1.5μm以上の高さの突起が少なく、製膜時、加工時のフィルム破断がなく、機械的強度に(特に破断強度)に優れる。
(3)製膜時の破断がなく、極薄フィルムの製膜に有用である。
(4)触媒量、金属量が適量で絶縁抵抗が高く、CR特性が優れる。

Claims (2)

  1. 粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2かつ平均粒径が0.5〜5μmである球状シリカ微粒子(A)0.1〜2重量%、及び粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2かつ平均粒径が0.01〜1μmである球状シリカ微粒子(B)0.1〜2重量%を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートからなるコンデンサー用フィルムであって、ただし球状シリカ微粒子(A)と球状シリカ微粒子(B)とは異なる平均粒径であり、該ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合触媒としてマンガン化合物、アンチモン化合物、熱安定剤としてリン化合物を下記式(1)、(2)及び(3)を満たす量含有し、アルカリ金属の含有量が10ppm以下であり、フィルムのスペースファクターが3〜23%、及びフィルム表面の1.5μm以上の高さの突起が50個/cm2以下、フィルムの厚みが0.5〜2μm、かつフィルムのCR値が10000ΩF以上であることを特徴とするコンデンサー用フィルム。
    Figure 0003693456
    Figure 0003693456
    Figure 0003693456
    [式中、Mnはマンガン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)、Sbはアンチモン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)、Pはリン元素のポリエチレン−2,6−ナフタレート中の量(ppm)をそれぞれ表わす。]
  2. ポリエチレン−2,6−ナフタレートの固有粘度が0.40以上、かつ熱収縮率が3%以下、及び絶縁破壊電圧が260V/μm以上である請求項1記載のコンデンサー用フィルム
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