JPH1022169A - コンデンサ用二軸配向ポリエステルフイルム - Google Patents

コンデンサ用二軸配向ポリエステルフイルム

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JPH1022169A
JPH1022169A JP8190080A JP19008096A JPH1022169A JP H1022169 A JPH1022169 A JP H1022169A JP 8190080 A JP8190080 A JP 8190080A JP 19008096 A JP19008096 A JP 19008096A JP H1022169 A JPH1022169 A JP H1022169A
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film
particles
polyester
thickness
capacitor
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JP8190080A
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Yoshio Meguro
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて薄いフイルムであっても、蒸着コンデン
サを製造する場合に、フイルムの滑り性不良による蒸着
工程におけるフイルムの熱負け等のトラブルを防止し、
且つ、コンデンサ誘電体として広い温度範囲で優れた特
性を与えることが出来るコンデンサ用二軸配向ポリエス
テルフイルムを提供する。 【解決手段】二軸配向ポリエステルフイルムにおいて、
ポリエステル製造工程で析出させたカルシウム及びリン
を含有する平均粒径0.1〜5μmの析出粒子0.01
〜1重量%と、平均粒径0.3〜3μmである添加粒子
0.1〜2重量%とを含有し、且つ、当該フイルム10
枚を重ねてマイクロメーターで測定したフイルム厚さと
重量法で測定したフイルム厚さとの差が0.3〜0.6
μmであり、重量法によるフイルム厚さが0.3〜3μ
mである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ用二軸
配向ポリエステルフイルムに関し、詳しくは、極めて薄
いフイルムを用いて蒸着コンデンサを製造する場合に、
フイルムの滑り性不良による蒸着工程におけるフイルム
の熱負け等のトラブルを防止し、且つ、高度な電気特性
を与えることの出来る、コンデンサ体用二軸配向ポリエ
ステルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフイルムは、機械
的性質、耐熱性、電気的特性、耐薬品性など、各種の特
性を高度にバランス良く有し、コストパフォーマンスの
点で優れているため、磁気テープ用、包装用、製版用等
の産業用資材として広く用いられている。
【0003】コンデンサ用途に関しては、電子機器の小
型化に対応するため、例えば、2μm以下の極めて薄
く、しかも、加工時の走行性、絶縁抵抗特性、誘電率、
誘電損失、高温まで広い温度範囲における耐電圧特性な
どの特性が優れた二軸配向ポリエステルフイルムが要求
されている。加工時の走行性の要因である滑り性を良好
に維持するには、フイルム表面の粗さを特定の範囲に調
節することが必要となる。フイルム表面を適度に粗らす
方法としては、例えば、析出粒子法と添加粒子法とが知
られている。
【0004】上記の析出粒子法とは、ポリエステル製造
工程において触媒残渣などを微細な粒子としてポリエス
テル中に析出させる方法であり、後述の添加粒子法に比
し、操作が簡単で粒子を含むポリマーを安価に製造する
ことが出来、しかも、製膜時のフィルターの寿命が長い
という長所を有する。しかしながら、析出粒子を用いて
滑り性を改良しようとする場合には、一般に析出粒子の
平均粒径および粒子量が変化し易いため滑り性のコント
ロールが難しくなる。
【0005】また、上記の添加粒子法とは、ポリエステ
ル製造時または成型加工時に炭酸カルシウム、カオリ
ン、シリカ等の微粒子を添加する方法であるが、斯かる
微粒子は、一般にポリエステルとの親和性に欠けるた
め、多量に添加するとフイルム加工工程における微粒子
の脱落が起こり易い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、極めて薄いフイ
ルムであっても、蒸着コンデンサを製造する場合に、フ
イルムの滑り性不良による蒸着工程におけるフイルムの
熱負け等のトラブルを防止し、且つ、コンデンサ誘電体
として広い温度範囲で優れた特性を与えることが出来る
コンデンサ用二軸配向ポリエステルフイルムを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
達成のために種々検討を重ねた結果、特定の2種類の粒
子を含有させ、且つ、フイルムの異なる測定方法による
厚さの差を特定範囲にするならば、上記の目的を容易に
達成し得るとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、二軸配向ポリ
エステルフイルムにおいて、ポリエステル製造工程で析
出させたカルシウム及びリンを含有する平均粒径0.1
〜5μmの析出粒子0.01〜1重量%と、平均粒径
0.3〜3μmである添加粒子0.1〜2重量%とを含
有し、且つ、当該フイルム10枚を重ねてマイクロメー
ターで測定したフイルム厚さと重量法で測定したフイル
ム厚さとの差が0.3〜0.6μmであり、重量法によ
るフイルム厚さが0.3〜3μmであることを特徴とす
るコンデンサ用二軸配向ポリエステルフイルムに存す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、テレフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸の様な芳香族ジカルボン酸ま
たはそのエステルと、エチレングリコールを主たる出発
原料として得られるポリエステルを指すが、他の第三成
分を一定範囲で含有していてもよい。
【0010】上記の第三成分を構成するジカルボン酸成
分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,2
−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸お
よびオキシカルボン酸成分(例えば、p−オキシエトキ
シ安息香酸等)の一種または二種以上を用いることが出
来る。また、上記の第三成分を構成するグリコール成分
としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上
を用いることが出来る。
【0011】何れにしても、本発明に用いるポリエステ
ルとは、繰り返し単位の80%以上がエチレンテレフタ
レート単位とエチレン−2,6−ナフタレン単位の何れ
か一方であるポリエステルを指す。
【0012】本発明のコンデンサ用二軸配向ポリエステ
ルフイルム(以下、フイルムと略記する)は、ポリエス
テル合成反応工程で析出させたカルシウム及びリンを含
有する析出粒子と添加粒子を含有する。
【0013】上記の析出粒子とは、エステル交換反応に
用いられカルシウム化合物とリン化合物との反応生成物
が微細な粒子として析出したものであり、本発明におけ
る析出粒子は、カルシウム及びリンを含有することが必
要である。特に、上記のリン化合物としては、電気特性
の観点から、トリアルキルホスフェート及びトリアルキ
ルホスファイトが好ましい。
【0014】すなわち、ポリエステル合成反応工程で反
応系に可溶なカルシウム化合物に対してトリアルキルホ
スフアイトとトリアルキルホスフエートとを作用させる
ことにより析出粒子を析出させてポリエステルに含有さ
せる。その際、当該析出粒子中のカルシウム元素に対す
るリン元素のモル比は、0.7〜2.5の範囲が好まし
い。
【0015】析出粒子中のカルシウム元素に対するリン
元素のモル比が0.7未満である場合は、その粒子は、
延伸によって破壊され易く、フイルムに目的とする滑り
性を与えることが出来ない虞がある。また、上記のモル
比が2.5を超える場合には必然的にポリマー中にも多
量のリン化合物が存在する様になり、ポリエステル製造
時の重合速度が遅くなり工業的に著しく不利となる。
【0016】本発明において、析出粒子は、カルシウム
以外の金属元素、例えば、リチウム、亜鉛、マンガン、
マグネシウム、バリウム等を実質的に含有していないの
が好ましく、含有する場合でも、カルシウム元素に対
し、通常0.1倍モル以下、好ましくは0.05倍モル
以下とするのがよい。何故ならば、カルシウム以外の金
属元素の共存下で析出粒子を形成させる場合は、往々に
してその析出形態が変化し、安定した析出粒子を得るこ
とが出来ないからである。
【0017】また、上記の析出粒子の平均粒径は、0.
1〜5μmでなければならず、特に0.3〜3μmが好
ましい。平均粒径が0.1μm未満の場合は、フイルム
に対する滑り性の発現効果が不充分であり、フイルムの
製造加工工程における作業性が悪化する。一方、平均粒
径が5μmを超える場合は、析出粒子であるにも拘らず
製膜時のフィルターの寿命が短くなり、且つ、得られる
フイルムの耐電圧特性に悪影響を及ぼす。
【0018】上記の析出粒子は、ポリエステルフイルム
中に0.1〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5%
重量%含まれている必要がある。析出粒子含有量が0.
01重量%未満の場合は、フイルムの滑り性が不足する
様になり、フイルム製造工程およびコンデンサ製造工程
でトラブルが生じる。一方、析出粒子含有量が1.0重
量%を超える場合は、フイルムの滑り性がより改善され
ることはなく、却って粒子同志の凝集により粗大突起が
頻発する様になり、フイルムの耐電圧特性その他の電気
特性に悪影響を及ぼす虞がある。
【0019】前記の添加粒子としては、例えば、炭酸カ
ルシウム、シリカ、リン酸カルシウム、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、シュウ酸カルシウム、架橋高分子粒子
などの有機粒子を挙げることが出来る。これらの中で
は、フイルムの電気特性の観点から、シリカ又は炭酸カ
ルシウムが好ましい。
【0020】上記の添加粒子の平均粒径は、0.3〜3
μmでなければならず、特に0.5〜2μmが好まし
い。平均粒径が0.3μm未満の場合は、フイルムの走
行性を向上させる効果が不十分になり、且つ、フイルム
の絶縁抵抗特性が低下する問題が生ずる。添加粒子の平
均粒径が3μmより大きい場合は、粗面化により絶縁性
や耐電圧特性が低下したり、粒子がフイルム表面から脱
落して絶縁欠陥の原因となる等の問題が生ずる。
【0021】なお、上記の絶縁抵抗が低下する理由は、
必ずしも定かではないが、粒子が小さ過る結果、相対的
に表面積が大きくなるため、粒子中に含まれる金属成分
がポリエステル中に溶解し易くなり、これが原因で絶縁
抵抗値が低下するものと考えられる。
【0022】上記の添加粒子は、ポリエステルフイルム
中に0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜1重量%含
まれている必要がある。添加粒子の含有量が0.1重量
%未満の場合は、フイルム表面の突起が不足して滑り性
が不十分となる。一方、含有量が2重量%以上の場合
は、粒子の脱落が起こり易くなったり、粒子が凝集して
粗大突起を形成し、絶縁欠陥等の問題が生ずる様にな
る。
【0023】また、本発明のフイルムの厚さは、当該フ
イルム10枚を重ねてマイクロメーターで測定したフイ
ルム厚さと重量法で測定したフイルム厚さとの差が0.
3〜0.6μmでなければならない。上記の異なる測定
方法によるフイルム厚さの差は、好ましくは0.35〜
0.55μm、更に好ましくは0.35〜0.5μmの
範囲である。
【0024】上記の異なる測定方法によるフイルム厚さ
の差が0.6μmを超える場合は、コンデンサにした
際、電極間距離が大きくなり、電気容量低下を引き起こ
し、0.3μm未満の場合は、十分な滑り性が得られ
ず、フイルム製造時の取り扱い性や蒸着工程における走
行性が不充分となる。
【0025】また、本発明のフイルムは、重量法による
フイルム厚さが0.3〜3μm、好ましくは0.3〜2
μm、更に好ましくは0.5〜1.8μmの範囲でなけ
ればならない。斯かる厚さを採用することにより、極薄
フイルムとして電気特性の改良効果がより高度に発揮さ
れ、しかも、コンデンサの小型化への寄与が大きくな
る。
【0026】すなわち、フイルム厚さが3μmを超える
様な厚い場合、そのフイルムを用いたコンデンサは、元
来、ある程度の耐電圧特性を有している。厚さが3μm
を超えるフイルムに本発明の様な比較的大きい粒子を多
量に含有させた場合は、表面粗さが大き過ぎたり、粒子
の凝集物などの異物の存在確率が高くなり、却って特性
低下を招く原因となる。一方、フイルム厚さが0.3μ
m未満の薄いフイルムは、強度や厚さムラの問題からフ
イルム製造の生産性が極めて悪く、実用できる範囲では
ない。ところが、本発明の様にフイルム厚さが0.3〜
3μmの程よい薄さの場合には、フイルムの面積当たり
の粒子数が適度に少なくなるため、粒子の配合が効果的
となる。
【0027】前述の析出粒子の生成法は種々あるが、例
えば、次の様な方法を挙げることが出来る。すなわち、
エステル交換触媒としてカルシウム化合物を用いる場
合、エステル交換反応前または反応中に、カルシウム化
合物の1種以上をエステル交換触媒として適量を添加
し、次いで、エステル交換反応の実質的な終了後で且つ
重縮合反応前に、3価のリン化合物と5価のリン化合物
からなる複数のリン化合物を反応系に添加することによ
り、析出粒子を得ることが出来る。
【0028】上記のカルシウム化合物としては、反応系
に可溶なカルシウム化合物であれば如何なる化合物でも
よく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸の様な脂肪族
カルボン酸のカルシウム塩、安息香酸、p−メチル安息
香酸の様な芳香族カルボン酸のカルシウム塩、更には、
エチレングリコール、プロピレングリコール等のカルシ
ウムグリコラートの様なカルシウム化合物、水素化カル
シウムの様な無機化合物を挙げることが出来る。これら
の中では、特に酢酸カルシウムが好適に用いられる。カ
ルシウム化合物の量は、ポリエステル原料中の全酸成分
に対し、通常0.05〜0.3モル%程度、好ましくは
0.08〜0.14モル%である。
【0029】上記の3価のリン化合物として、例えば、
亜リン酸、トリメチルホスファイト、トリブチルホスフ
ァイト、トリエチルホスファイト、ジメチルホスファイ
ト、ジエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、
及びジブチルホスファイト等を挙げることが出来る。上
記の5価のリン化合物としては、トリアルキルホスフエ
ート、特にトリメチルホスフエート、トリエチルホスフ
エート又はトリブチルホスフエートを挙げることが出来
る。
【0030】上記のリン化合物の添加量は、カルシウム
化合物の合計量に対して1〜3モル倍量が好ましい。1
モル倍未満では、析出粒子中のカルシウム元素に対する
リン元素のモル比が0.7未満となり、延伸により破壊
され易い析出粒子とり、一方、3モル倍を超える場合
は、ポリマー製造時の重合速度が著しく遅くなり工業的
に不利である。
【0031】また、3価のリン化合物に対する5価のリ
ン化合物のモル比は、通常1〜20、好ましくは2〜1
0とされる。3価のリン化合物に対する5価のリン化合
物のモル比が1未満の場合は、得られるポリマーが黒色
化し、また、ポリマー製造時に黒色異物が発生し易いた
め、安定した操作が行い難くなる傾向にある。一方、上
記のモル比が20を超える場合は、析出粒子量が少な
く、フイルムに対する滑り性付与効果が不充分となり易
い。
【0032】リン化合物の添加時期は、ポリエステルオ
リゴマーの液温が通常225℃〜250℃、好ましくは
230℃〜240℃である時期を選択するのが好まし
い。この様な添加時期の選択により、析出粒子の平均粒
径および粒子量を本発明で規定する範囲に調整すること
が出来る。
【0033】なお、リン化合物添加時にカルシウム以外
の金属元素が存在する場合、例えば、リチウム、亜鉛、
マンガン、マグネシウム、バリウム化合物などを用いて
エステル交換反応を行った後にカルシウム化合物を添加
する場合、または、これらの金属化合物とカルシウム化
合物の共存下でエステル交換反応を行わせる様な場合に
おいて、得られる析出粒子中にこれらの金属元素がカル
シウム元素に対し0.1倍モルを超えて含まれる場合
は、析出粒子の平均粒径および粒子量が本発明で規定範
囲外となることが多くなるので好ましくない。
【0034】前記の添加粒子は、ポリエステルの合成工
程中に添加してもよいし、ポリエステルに直接添加して
もよい。合成工程中に添加する場合は、粒子をエチレン
グリコール等に分散させたスラリーとして、ポリエステ
ル合成の任意の段階で添加する方法が好ましい。
【0035】一方、ポリエステルに直接添加する場合
は、乾燥した粒子として、または、水もしくは沸点が2
00℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、ポ
リエステルに添加し、2軸混練押出機などを用いて混練
・混合する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必
要に応じて、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を
施しておくのがよい。
【0036】添加粒子の含有量を調節する方法として
は、上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原
料を使用する所謂マスターバッチ法を好適に使用するこ
とが出来る。また、上記の析出粒子および添加粒子の突
起形成剤以外の添加剤として、必要に応じ、帯電防止
剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸
化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、
コンデンサ特性を悪化させない範囲で含有していてもよ
い。
【0037】次に、本発明のフイルムの製造法について
説明する。先ず、ポリエステル原料を押出装置に供給
し、ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリ
ット状のダイから溶融シートとして押し出す。次いで、
回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になる様
に上記溶融シートを急冷固化し、実質的に非晶状態の未
配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上さ
せるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める
必要があり、本発明においては静電印加密着法および/
または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0038】前記の静電印加密着法とは、通常、シート
の上面側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張
り、当該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加するこ
とによりシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向
上させる方法である。
【0039】また、前記の液体塗布密着法とは、回転冷
却ドラム表面の全体または一部(例えば、シート両端部
と接触する部分のみ)に液体を均一に塗布することによ
り、ドラムとシートとの密着性を向上させる方法であ
る。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよ
い。
【0040】本発明のフイルムは、この様にして得られ
た未配向シートを二軸方向に延伸してフイルム化して製
造される。二軸方向の延伸は、一段階または二段階以上
で行うことが出来る。
【0041】二段階で行う場合は、先ず、一軸方向に7
0〜150℃の温度範囲かつ2.5〜6倍の倍率で前記
の未配向シートを延伸する。次いで、一軸延伸フイルム
を一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または、冷却す
ることなく、例えば、80〜150℃の温度範囲に予熱
した後、更に、二軸方向、すなわち、前記の一軸方向と
直交する方向にほぼ同温度で通常2.5〜5倍、好まし
くは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフ
イルムを得る。
【0042】なお、一軸方向の延伸を2段階以上で行う
ことは、良好な厚さ均一性を達成することが出来るので
好ましい。また、横延伸した後、更に、長手方向に再延
伸する方法も可能であるが、何れにしても長手方向の総
合延伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。
【0043】次いで、30%以内の伸長、制限収縮また
は定長の条件下、上記のフイルムを1秒〜5分間熱処理
する。この際、熱処理工程内または熱処理後に、長手方
向、横方向、両方向の何れかに再延伸を行ってもよい。
【0044】本発明において、フイルム密度は、通常
1.3990g/cm3 未満、好ましくは1.3980
g/cm3 未満とするのがよい。斯かる特性は、上記し
た熱処理工程の温度を適宜選択することにより達成され
る。そして、熱処理温度は、延伸条件にもよるが、通常
180〜250℃、好ましくは200〜240℃の範囲
である。
【0045】熱処理温度が250℃を超える場合は、フ
イルム密度が高くなり過ぎて高度な電気的特性が得られ
なくなる。一方、180℃未満の場合は、フイルムの熱
収縮率が大きくなり、コンデンサ製造時に熱を受ける工
程で寸法変化を起こし、コンデンサの生産性を悪化させ
たり、耐電圧等のコンデンサ特性が低下する等の問題を
生ずる。
【0046】本発明のフイルムは多層構造であってもよ
い。また、ポリエステルフイルムに対して剥離可能なポ
リマーとポリエステルとを共押出法などにより押出し
し、延伸して二軸配向フイルムとした後、剥離可能なポ
リマーのフイルムを剥離する方法によって製造されたも
のであってもよい。
【0047】本発明のフイルムは、蒸着金属との接着性
を高めるため、更に塗布層を設けてもよい。当該塗布層
を構成する成分としては、ポリエステル、ポリアミド、
ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポ
リウレタン等の樹脂およびこれらの樹脂の共重合体など
を挙げることが出来る。
【0048】また、本発明のフイルムは、上記の樹脂の
一種または二種以上の樹脂を同時に含有してもよく、ま
た、必要に応じ、微粒子などの突起形成剤、帯電防止
剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸
化防止剤、消泡剤、増粘剤、塗布性改良剤などを、コン
デンサ特性を悪化させない範囲で含有していてもよい。
【0049】ポリエステルフイルムに上述の塗布液の塗
布方法としては、「コーティング方式」(原崎勇次著、
槙書店、1979年発行)に示されるリバースロールコ
ーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドク
ターコーター又はこれら以外の塗布装置を用いることが
出来る。塗布液は、フイルム製造工程内で塗布してもよ
いし、フイルム製造後に塗布してもよい。特に、塗布厚
さの均一性や生産効率の点でフイルム製造工程内で塗布
する方法が好ましい。
【0050】フイルム製造工程内で塗布する方法として
は、(1)ポリエステル未配向フイルムに塗布液を塗布
し、逐次または同時に二軸延伸する方法、(2)一軸延
伸されたポリエステルフイルムに塗布した後、先に行な
った一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、(3)
二軸配向ポリエステルフイルムに塗布し、更に横方向お
よび/または縦方向に延伸する方法などがある。
【0051】塗布層の厚さは、通常0.005〜1.0
μm、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。
塗布層の厚さは、コンデンサ小型化の要請からも薄くす
ることが好ましい。特に、塗布層厚さが1.0μmを超
える場合は、電気的特性を悪化させることがある。一
方、塗布層の厚さが0.005μm未満の場合は、塗布
ムラや塗布ヌケが生じ易くなる傾向がある。
【0052】上記の塗布層は、ポリエステルフイルムの
片面だけに設けてもよいが、両面に設けることが好まし
い。また、片面にのみ塗布した場合、その反対面には必
要に応じ、本発明における塗布液以外の塗布層を形成
し、本発明のフイルムに他の特性を付与することも出来
る。
【0053】なお、塗布液のフイルムへの塗布性および
接着性を改良するため、塗布前のフイルムに化学処理や
放電処理を施してもよい。処理効率、コスト、処理の簡
便さ等から、コロナ放電処理を行うことが特に好まし
い。また、本発明のフイルムの塗布層の接着性や塗布性
などを改良するため、塗布層形成後に塗布層に放電処理
を施すことも出来る。
【0054】本発明のフイルムの表面の中心線平均粗さ
(Ra)は、通常0.01〜0.5μm、好ましくは
0.02〜0.2μm、更に好ましくは0.05〜0.
15μmの範囲とするのがよい。Raが0.01μm未
満の場合は、フイルムの滑り性が不足し、フイルム製造
時の取扱い性や蒸着工程における走行性が不十分となる
傾向にある。一方、Raが0.5μmを超える場合は、
表面が粗れ過ぎて、コンデンサの耐電圧特性や耐湿熱特
性が悪化することがある。
【0055】本発明のフイルムは、上記の表面特性に加
え、実施例の欄で説明した条件で測定したフイルムと金
属ピンとの摩擦係数が通常0.38以下、好ましくは
0.35以下とするのがよい。斯かる特性を満足するこ
とにより、蒸着工程における走行性が良好となり、冷却
キャンとの密着が良好となる結果、熱負けによる平面性
低下問題を効果的に防止することが出来る。
【0056】更に、本発明のフイルムの長手方向のヤン
グ率は、通常5.0GPa以上、好ましくは5.5GP
a以上とするのがよい。斯かる特性を満足することによ
り、電気特性および蒸着時の取扱い性が更に高度にな
る。ヤング率が5.0GPa以下の場合は、フイルムは
張力に耐えられず、その結果、蒸着時の熱により大きな
ダメージを受けることになる。
【0057】本発明者らの知見によれば、フイルムが上
記の様なダメージを受けた場合、蒸着フイルムの耐熱寸
法安定性が低下するため、コンデンサ製造時の歩留まり
が低下し、得られたコンデンサの電気的特性が低下する
虞がある。
【0058】更に、本発明のフイルムの100℃におけ
る長手方向のヤング率は、通常1.0GPa以上、好ま
しくは1.2GPa以上とするのがよい。斯かる特性を
満足することにより、蒸着時の熱によるダメージを受け
難くなるため、コンデンサの電気特性が更に高度に満足
される。
【0059】また、本発明のフイルムの150℃で2時
間処理した後の長手方向の収縮率は、通常2〜5%、好
ましくは3〜4%とするのがよい。斯かる長手方向の熱
収縮率が5%より大きい場合は、コンデンサ製造時の熱
を受ける工程でフイルムが寸法変化を起こし、その結
果、生産性が悪化したり、コンデンサの寿命が短縮され
てしまう等の問題が起こる。一方、2%より低い場合
は、熱負けが起こり易くなる。
【0060】蒸着により電極を形成する場合の金属とし
ては、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、
金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタン等が挙げ
られるが、これらの中では、アルミニウムが好ましい。
なお、上記の金属の酸化物も蒸着することが出来る。
【0061】金属蒸着膜の厚さは、10〜2000Aの
範囲が好ましく、蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法
によるが、エレクトロプレーティング法、スパッタリン
グ法等の方法によってもよい。なお、金属蒸着層はポリ
エステルフイルムの両面に設けてもよい。また、金属蒸
着後に蒸着金属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理
を行ってもよい。
【0062】コンデンサは、例えば、上記の金属蒸着ポ
リエステルフイルムを2枚重ね合わせて巻回するか、ま
たは、多数枚積層してコンデンサ素子を作り、常法に従
って、例えば、熱プレス、テーピング、メタリコン、電
圧処理、両端面封止、リード線取り付け等を行うことに
より作製することが出来る。なお、上記の巻回は、両面
金属蒸着ポリエステルフイルムと本発明におけるポリエ
ステルフイルムを含む他のフイルムとの巻回をも含む。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例によって限定されるものではない。なお、実施例
中の評価方法は下記の通りである。実施例および比較例
中、「部」とあるのは「重量部」を示す。
【0064】(1)粒子の平均粒径の測定:析出粒子の
平均粒径は、当該粒子を含むポリエステルフイルムをプ
レパラートに挟み込んで溶融、冷却した後、顕微鏡にて
観察し、その画像を画像処理装置(ライカ社製商品「Q
uantimet500+」)で処理することにより測
定した。添加粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測
定装置(島津製作所製商品「SP−CP3型」)で測定
した。本発明においては平均粒径(d50)とは、その
形状の如何に拘らず等価球換算値の体積分率50%の粒
径(直径)を指す。
【0065】(2)析出粒子量の測定:ポリエステル1
00gにo−クロルフェノール1.0リットルを加え1
20℃で3時間加熱後、超遠心分離機(日立工機製商品
「55P−72」)を用いて40分間遠心分離を行い、
得られた粒子を100℃で真空乾燥する。走査型差動熱
量計にて上記の粒子を処理し、ポリマーに相当する融解
ピークが認められる場合は、当該粒子にo−クロルフェ
ノールを加えて加熱冷却後、再び遠心分離操作を行う。
そして、融解ピークが認められなくなった粒子を析出粒
子とする。遠心分離操作は、通常2回で足りる。
【0066】(3)マイクロメーター法によるフイルム
厚さ(μm):フイルムを10枚重ねた後、電子マイク
ロメーター(セイコーem社製商品「ミリトロン124
0」)を用いて測定した厚さ10で割って厚さとした。
なお、厚さ測定はJIS B−7502に準拠した。
【0067】(4)重量法フイルム厚さ(μm):10
cm×10cmの正方形に切り出したフイルム100枚
の合計重量Wを測定し、(W/1.4)×102 の式に
よって算出した値を厚さとした。
【0068】(5)中心線平均粗さ(Ra)(μm):
表面粗さ測定機((株)小坂研究所製商品「SE−3
F」)を用いて次の様にして求めた。すなわち、フイル
ム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5
mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線を
x軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)
で表したとき、次式で与えられた値を(μm)で表し
た。中心線平均粗さは、試料フイルム表面から10本の
断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り
部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の
先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値
は0.08mmとした。
【0069】
【数1】 (6)金属ピンとの動摩擦係数(μd):図1に示す装
置により、フイルムを、巻き出しロール(1)、テンシ
ョンカット部を構成するガイドロール(2)とコンタク
トロール(3)、入口テンションメーター(4)、摩擦
用固定金属ピン(5)(ステンレス製、直径6mm、表
面仕上げ2S)、出口テンションメーター(6)、巻き
取りロール(7)から成るパスラインに1m/minの
速度でフイルムを通過させ、ピン(5)におけるフイル
ムの巻き付け角θを135゜に調整し、巻き取りロール
(7)のトルクを出口テンションメーター(6)の読み
(T2)が53(g)となる様に調節した際の入口テン
ションメーター(4)の読みT1(g)から、次式によ
り走行中の摩擦係数(μd)を求めた。
【0070】
【数2】μd=(1/θ)ln(T1/T2)=0.4
24ln(T1/53)
【0071】(7)ヤング率(GPa):引張試験機
((株)インテスコ製商品「インテスコモデル2001
型」)を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において測定を行った。すなわち、10%/分
のひずみ速度で試料フイルムを引張り、引張応力−ひず
み曲線の初めの直線部分を用いて次式によって計算し
た。式中、Eは引張弾性率、Δσは直線上の2点間の元
の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひずみ
差を表す。なお、試料フイルムは、長さ300mm、幅
25mmとした。
【0072】
【数3】E=Δσ/Δε
【0073】(8)熱収縮率:熱風循環炉(タバイ製作
所製)により、150℃で2時間、試料フイルムの自由
端熱処理を行い、処理前後のフイルムの寸法変化を%で
表した。
【0074】(9)耐電圧特性:JIS C−2319
に準じて測定を行った。すなわち、10kV直流耐電圧
試験機を用い、23℃、50%RHの雰囲気下にて、1
00V/秒の昇圧速度で上昇させ、フイルムが破壊し短
絡した際の電圧を読み取った。
【0075】(10)コンデンサの絶縁抵抗特性:コンデ
ンサを製造して静電容量Cと絶縁抵抗値Rを求め、両者
の積(CR値)によって絶縁抵抗特性[単位:Ω・F]
を評価した。CR値が大きい方が絶縁抵抗が良好である
ことを示す。
【0076】<コンデンサの製造>抵抗加熱型金属蒸着
装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr以下として
フイルム表面にアルミニウムを350Åの厚さに蒸着し
た。蒸着は、ポリエステルフイルムの長手方向にマージ
ン部を有するストライプ状に行った(蒸着部の幅8mm
とマージン部の幅1mmの繰り返し)。
【0077】上記の蒸着ポリエステルフイルムをマージ
ン部および蒸着部のそれぞれの中間でスリットし、左ま
たは右に幅0.5mmのマージン部を有する4.5mm
幅のテープ状フイルムを得た。左マージン蒸着ポリエス
テルフイルムと右マージン蒸着ポリエステルフイルムの
各1枚を非マージン側の蒸着部分が各フイルムの幅方向
にそれぞれ0.5mmはみ出す様にずらして重ね合わせ
て巻回し、巻回体を得た。
【0078】上記の巻回体を温度140℃、圧力50k
g/cm2 で5分間プレスした。プレス後の巻回体の両
端面にメタリコンを施し、リード線を付した後、液状の
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含浸させ、粉末状エ
ポキシ樹脂を加熱溶融することにより、最低厚さ0.5
mmの外装を形成し、静電容量0.1μFのフイルムコ
ンデンサとした。
【0079】<静電容量の測定>LCRメータ(横河ヒ
ューレットパッカード社製商品「4284A」)を用
い、得られたコンデンサの静電容量C[F]を測定し
た。測定は23℃、50%RHの雰囲気下で行った。
【0080】<絶縁抵抗値の測定>高抵抗計(横河ヒュ
ーレットパッカード社製商品「4329A」)を用い、
得られたコンデンサの電極間に100Vの直流電圧を印
加し、コンデンサの抵抗値R[Ω]を測定した。電圧印
加は1分間行い、その間電流値をレコーダーに記録し
た。電流値は、電圧印加直後に最大値を示した後に低下
するが、その最大値を測定値Rとした。測定は23℃及
び105℃にて行った。
【0081】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
70部および酢酸カルシウム一水塩0.11部を反応器
に採り、加熱昇温すると共にメタノールを留去してエス
テル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して23
0℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了し
た。
【0082】次いで、トリエチルホスフアイト0.12
4部とトリエチルホスフエート0.54部とをエチレン
グリコールに均一に溶解させた液を上記の反応混合物に
添加し、更に、三酸化アンチモン0.04部を添加した
後、10分間を要して236℃に達せしめた。この時点
から系内の圧力を徐々に減じ、三酸化アンチモン添加
後、80分で系内の温度を265℃、圧力を300mm
Hgとし、以後も、徐々に昇温減圧し、最終的に285
℃、1mmHg以下とした。4時間後、系内を常圧に戻
し、ポリマーを吐出させてチップ化し、ポリエステル
(A)とした。
【0083】上記のポリエステル中には均一で微細な析
出粒子が多数認められ、その平均粒径は1.4μmであ
った。析出粒子量を測定したところ、ポリエステルに対
して0.4重量%であった。
【0084】一方、ジメチルテレフタレート100部、
エチレングリコール70部および酢酸マグネシウム四水
塩0.09部を反応器に採り、加熱昇温すると共にメタ
ノールを留去させ、反応開始後約4時間を要して230
℃に達せしめ、エステル交換反応を終了した。
【0085】次いで、平均粒径1.3μmのシリカ粒子
1.0部をエチレングリコールスラリーとして添加した
後、更に、リン酸0.06部、三酸化アンチモン0.0
4部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重
縮合反応を行い、4時間後、系内を常圧に戻し、ポリマ
ーを吐出させてチップ化し、ポリエステル(B)とし
た。
【0086】次いで、ポリエステル(A)とポリエステ
ル(B)とを40:60重量比に混合し、乾燥した後、
290℃で押出機よりシート状に押し出し、未配向シー
トを得た。この際、シートに静電荷を付与するいわゆる
静電印加冷却法を採用した。次いで、当該シートをロー
ル延伸法を用い、縦方向に84℃で2.9倍延伸した
後、更に、70℃で1.5倍延伸し、一軸配向フイルム
を得た。
【0087】次いで、上記のフイルムをテンターに導
き、横方向に110℃で4.1倍延伸し、220℃で熱
処理を行い、厚さ1.5μmの二軸配向ポリエステルフ
イルムを得、物性測定に供した。測定結果を表1に示
す。表1中、「厚さの差」は、マイクロメーター法およ
び重量法によるフイルム厚さの差を表す。
【0088】実施例2 実施例1において、添加粒子として、平均粒径1.4μ
mの炭酸カルシウム粒子を用いた以外は、実施例1と同
様に操作し、厚さ1.5μmの二軸配向ポリエステルフ
イルムを得た。物性測の結果を表1に示す。
【0089】実施例3 実施例1において、フイルム延伸条件を次の様に変更し
た以外は、実施例1と同様に操作し、厚さ1.5μmの
二軸配向ポリエステルフイルムを得た。すなわち、ロー
ル延伸法による縦方向の延伸において、先ず85℃にて
2.4倍、次いで75℃にて1.2倍延伸し、テンター
において、110℃にて4.5倍横延伸し、更に230
℃で熱処理を行った。物性測の結果を表1に示す。
【0090】実施例4 実施例1において、フイルムの熱処理温度を高くして厚
さ1.5μmのポリエステルフイルムを得た。物性測の
結果を表1に示す。
【0091】比較例1 実施例1において、添加粒子として平均粒径0.4μm
のシリカ粒子を用いる以外は、実施例1と同様に操作
し、1.5μmのポリエステルフイルムを得た。物性測
の結果を表2に示す。表2中、「厚さの差」は、マイク
ロメーター法および重量法によるフイルム厚さの差を表
す。
【0092】比較例2 実施例1において、添加粒子として平均粒径2.1μm
のシリカ粒子を用いる以外は、実施例1と同様に操作
し、1.5μmのポリエステルフイルムを得た。物性測
の結果を表2に示す。
【0093】比較例3 実施例1において、ポリエステルの製造の際にリン化合
物を添加しないこと以外は、実施例1と同様に操作し、
添加粒子のみを含有する1.5μmのポリエステルフイ
ルムを得た。物性測の結果を表2に示す。
【0094】比較例4 実施例1において、ポリエステルの製造の際に粒子を添
加しないこと以外は、実施例1と同様に操作し、析出粒
子のみを含有する1.5μmのポリエステルフイルムを
得た。物性測の結果を表2に示す。
【0095】比較例5 実施例1において、フイルム厚さを変更した以外は、実
施例1と同様に操作し、4.0μmのポリエステルフイ
ルムを得た。物性測の結果を表2に示す。
【0096】
【表1】 実 施 例 1 2 3 4 <析出粒子> 平均粒径(μm) 1.4 1.4 1.4 1.4 含有量(wt%) 0.16 0.16 0.16 0.16 <添加粒子> 平均粒径(μm) 1.3 1.4 1.3 1.3 含有量(wt%) 0.6 0.6 0.6 0.6 <厚さの差>(μm) 0.43 0.38 0.42 0.42 Ra(μm) 0.110 0.121 0.108 0.109 長手方向ヤンク゛率(GPa) 5.7 5.7 4.7 5.6 金属ヒ゜ンとの摩擦係数 0.33 0.31 0.32 0.33 熱収縮率(%) 3.5 3.3 3.6 1.8 耐電圧特性(V/μm) 490 480 470 470 <絶縁抵抗特性(CR値)> 23℃ (Ω・F)( ×104) 2.8 2.5 2.5 2.0 105 ℃(Ω・F)( ×103) 3.0 2.3 2.5 1.8
【0097】
【表2】 比 較 例 1 2 3 4 5 <析出粒子> 平均粒径(μm) 1.4 1.4 − 1.4 1.4 含有量(wt%) 0.16 0.16 − 0.40 0.16 <添加粒子> 平均粒径(μm) 0.4 2.1 1.3 − 1.3 含有量(wt%) 0.6 0.6 0.8 − 0.6 <厚さの差>(μm) 0.12 0.61 0.35 0.45 0.38 Ra(μm) 0.067 0.132 0.111 0.095 0.116 長手方向ヤンク゛率(GPa) 5.5 5.2 5.6 5.5 5.6 金属ヒ゜ンとの摩擦係数 0.39 0.29 0.35 0.37 0.34 熱収縮率(%) 3.3 3.4 3.5 3.3 3.0 耐電圧特性(V/μm) 440 430 440 450 490 <絶縁抵抗特性(CR値)> 23℃ (Ω・F)( ×104) 2.1 1.9 2.0 2.2 2.4 105 ℃(Ω・F)( ×104) 1.9 0.5 1.8 1.9 1.8
【0098】表1に示す様に、本発明の要件を満たす実
施例1〜4のフイルム及び当該フイルムを用いて得れた
金属蒸着フイルムコンデンサは、取り扱い性、耐電圧特
性、絶縁抵抗特性に優れる。これに対し、表2に示す様
に、比較例1〜5の金属蒸着フイルムコンデンサは、耐
電圧特性および絶縁抵抗特性に劣る。
【0099】
【発明の効果】以上、詳述した様に、本発明のフイルム
は、ある特定の析出粒子と添加粒子とを組み合わせて使
用し、且つ、当該フイルムの測定法の違いによる厚さの
差を特定の範囲にすることにより、極めて薄いフイルム
であるにも拘らず、金属蒸着フイルムコンデンサの誘電
体として用いる際に、蒸着工程における熱負け等のトラ
ブルを起こすことなく、しかも、得られたコンデンサ
は、高度な耐電圧特性と絶縁抵抗特性を有し、従って、
本発明は、コンデンサの小型化と信頼性向上に寄与する
ことが出来、その工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明のフイルムの金属ピンとの動摩擦係数を測
定する方法を説明するための装置の説明図
【符号の説明】
1:巻き出しロール 2:ガイドロール 3:コンタクトロール 4:入口テンションメーター 5:摩擦用金属ピン 6:出口テンションメーター 7:巻き取りロール θ:巻き付け角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 C08L 67:02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフイルムにおい
    て、ポリエステル製造工程で析出させたカルシウム及び
    リンを含有する平均粒径0.1〜5μmの析出粒子0.
    01〜1重量%と、平均粒径0.3〜3μmである添加
    粒子0.1〜2重量%とを含有し、且つ、当該フイルム
    10枚を重ねてマイクロメーターで測定したフイルム厚
    さと重量法で測定したフイルム厚さとの差が0.3〜
    0.6μmであり、重量法によるフイルム厚さが0.3
    〜3μmであることを特徴とするコンデンサ用二軸配向
    ポリエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 析出粒子が、ポリエステル合成反応工程
    において可溶なカルシウム化合物にトリアルキルホスフ
    アイト及びトリアルキルホスフエートを作用させること
    により析出された粒子である請求項1に記載された二軸
    配向ポリエステルフイルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001284164A (ja) * 2000-01-27 2001-10-12 Mitsubishi Polyester Film Copp コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
KR100693894B1 (ko) 2004-01-30 2007-03-12 티디케이가부시기가이샤 적층 세라믹 콘덴서
WO2019097753A1 (ja) * 2017-11-15 2019-05-23 株式会社村田製作所 フィルムコンデンサ

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