JP4387245B2 - 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム - Google Patents

電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP4387245B2
JP4387245B2 JP2004160903A JP2004160903A JP4387245B2 JP 4387245 B2 JP4387245 B2 JP 4387245B2 JP 2004160903 A JP2004160903 A JP 2004160903A JP 2004160903 A JP2004160903 A JP 2004160903A JP 4387245 B2 JP4387245 B2 JP 4387245B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
biaxially oriented
polyethylene
oriented polyester
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004160903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005335344A (ja
Inventor
大 中川
哲男 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Film Solutions Ltd
Original Assignee
Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin DuPont Films Japan Ltd filed Critical Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority to JP2004160903A priority Critical patent/JP4387245B2/ja
Publication of JP2005335344A publication Critical patent/JP2005335344A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4387245B2 publication Critical patent/JP4387245B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Insulating Bodies (AREA)

Description

本発明は電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムに関する。さらに詳しくは、モーターのスロット絶縁やウエッジに好適で、自動装入時に層間剥離(デラミネーション)し難い電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムに関する。
一般的に、モーターの電気絶縁用フィルムには、その特性として、(1)高温度に長時間さらされても機械特性が劣化して脆くなったり、絶縁性能が低下して絶縁破壊特性が損なわれないこと、(2)フィルム加工時に層状剥離(デラミネーション)を起こさないこと、また、冷蔵庫やエアコンディショナー等に用いられる密閉型圧縮機のモーターの電気絶縁材料として用いられる場合は(3)フィルム表面から冷媒や潤滑油に抽出される低分子量物(オリゴマー)が少ないこと、などが要求される。
このような要求に対し、例えば特開平08−073709号公報において開示されているように、従来は二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムとその加工品が主として用いられてきた。近年では、機器の小型軽量化、高性能化に伴い、より優れた耐熱性を有し、オリゴマーの抽出量が少ない二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムが使用され始めている。しかし、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムは優れた耐熱性を有する反面、例えばモーターのスロットやウエッジ加工の際に割れや層間剥離(デラミネーション)を発生しやすく、加工生産性が落ちるという問題があった。
そのような問題を解決するため、特開2001−076536号公報においてイソフタル酸成分を共重合させたポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを使用する方法が開示されており、また特開2002−273844号公報にはポリエチレンテレフタレートからなる層(中間層)の両表面に、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートからなる層(表層)を積層した積層フィルムを使用する方法が開示されている。しかしながら、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーあるいは極めて共重合成分の少ないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを原料に用い、耐熱劣化性を維持しつつ耐層間剥離性に優れたフィルムは未だ達成されていないのが現状であり、モーターを製造する設備上および原料の保管上の観点から、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーあるいは極めて共重合成分の少ないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートよりなる電気絶縁用フィルムが求められているのが現状である。
特開平08−073709号公報 特開2001−076536号公報 特開2002−273844号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの優れた耐熱劣化性を維持しつつ、フィルム加工時における層間剥離によるデラミネーション問題を解消した、電気絶縁用フィルムとして有用な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートよりなる二軸配向ポリエステルフィルムを製造する過程において、熱固定処理を通常行われる製膜条件よりも高い温度領域で行うことで、所望の範囲の融解サブピーク温度(Tsm)を有する二軸配向ポリエステルフィルムが得られ、かかるフィルムは耐熱劣化性を維持しつつ耐層間剥離性に優れることから電気絶縁用に好適であることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トよりなる二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、融解サブピーク温度(Tsm)が25℃以上260℃以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率が1.512以上である電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、フィルムの面配向係数が0.247以下であること、フィルム密度が1.3582g/cm以上であること、フィルムの折り目デラミ白化率が60%以下であること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
また、本発明によれば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トを直交する二方向に延伸する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法において、縦方向と横方向の延伸倍率を各々2.5倍以上3.0倍以下で二軸延伸を行い、かつ縦方向と横方向の延伸倍率の差が0.2倍以下であり、かかる二軸延伸後、フィルム温度で25℃以上260℃以下の温度範囲で熱固定処理を行う二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法も好ましい態様として包含するものである。
本発明によれば、融解サブピーク温度(Tsm)が特定範囲にある二軸配向ポリエステルフィルムによって、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの優れた耐熱劣化性を維持しつつ、フィルム加工時の耐層間剥離性(デラミネーション)に優れた特性をも有することから、モーターのスロット絶縁やウエッジに好適な電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート]
本発明において二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、全繰返し単位の95モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるポリエステルであり、特にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの単独重合体(ホモポリマー)であることが好ましい。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、共重合成分が5モル%未満であるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合体であってもよい。ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが共重合体の場合、共重合成分として、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を好ましい例として挙げることができる。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合体の共重合成分としては、上記共重合成分以外に、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物も好ましい共重合成分として用いることができる。このような化合物として例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸;或いはジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキシドグリコール等の如き2価アルコール類等を用いることができる。これらの化合物は1種のみでなく2種以上を同時に用いることができる。また、これらの共重合成分の中で、酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、p―オキシ安息香酸、グリコール成分としてはジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物が、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸に準じる好ましい例として挙げることができる。
また、本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、或いは極少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるポリマーの構成成分は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの単独重合体又は共重合体を主成分とするが、他のポリエステルやポリエステル以外の有機高分子との混合体であってもよい。混合体の場合、ポリマー中のエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が全繰り返し単位の95モル%以上であることが必要であり、その場合にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム本来の特性を極端に失うことがなく、絶縁特性、機械特性および熱寸法安定性を確保することができる。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに混合できるポリエステル或いはポリエステル以外の有機高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステルを挙げることができ、これらの中でポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましく例示される。
これらのポリエステルまたはポリエステル以外の有機高分子は、1種のみならず2種以上を、ポリエステルフィルムを構成するポリマー成分において、高分子の繰返し単位で5モル%未満の範囲でポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートと混合した混合体として使用できる。
本発明においてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単独重合体、共重合体或いは混合体として用いられるポリエステルは、一般に知られたポリエステル組成物の製造方法によって製造できる。例えば、ジカルボン酸とグリコールとの反応で直接低重合度ポリエステルを得るか、或いはジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応で低重合度ポリエステルを得たのち、低重合度ポリエステルを重合触媒の存在下で更に重合させてポリエステルを得る方法で製造することができる。
エステル交換反応に用いるエステル交換触媒としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を挙げることができる。また、重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を挙げることができる。
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的で、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物を添加することができる。リン化合物の好ましい含有量は、リン化合物中のリン元素としてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中の含有量は20ppm以上100ppm以下である。リン化合物の含有量が20ppm未満では、エステル交換反応触媒が完全に失活せず熱安定性が悪く、機械強度が低下することがある。一方、リン化合物の含有量が100ppmを超えると熱安定性が悪く、機械強度が低下する場合がある。
なお、ポリエステルは溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合することもできる。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度は、0.50dl/g以上0.90dl/g以下であることが好ましい。本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度は、さらに好ましくは0.52dl/g以上0.85dl/g以下、特に好ましくは0.53dl/g以上0.80dl/g以下である。ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度が0.50dl/g未満であると溶融押出後のフィルムが脆くなり、フィルムの製膜時の破断が発生し易くなる。また、コンデンサの加工工程の搬送でフィルムの破断が発生し易くなる。また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度が0.90dl/gを超えると、ポリマーの重合度をかなり高くする必要があり、通常の合成手法では重合に長時間を要し生産性が悪くなる。
[二軸配向ポリエステルフィルム]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、上述のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートよりなるフィルムである。本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム製造時およびモーター絶縁用途への加工工程における滑り性、巻取り性を付与する目的で不活性粒子を含有していてもよい。かかる不活性粒子は、発明の効果を損なわない範囲において用いられるが、平均粒径が0.001〜5μmの不活性粒子を、最終的に得られるポリエステルフィルム中に0.01〜10重量%含有するように添加することが好ましい。添加する不活性粒子としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレーなどの無機粒子、シリコーン、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれかからなる有機粒子、硫酸バリウム、酸化チタンなどの顔料を少なくとも1種用いることができる。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは単層で用いられるが、発明の効果を損なわない範囲において、積層体であってもよい。
[融解サブピーク温度]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、融解サブピーク温度(Tsm)が255℃以上260℃以下である。融解サブピーク温度が下限より低い250℃未満の場合、デラミネーションが生じ、耐層間剥離性が低下する。また融解サブピーク温度が255℃未満の場合、デラミネーションの程度を示す折り目デラミ白化率が60%を超えることがある。一方、融解サブピーク温度が260℃を超えるものを作ろうとすると、フィルムが溶融し、ステンターのクリップに融着するため、二軸延伸フィルムの生産性が低下する。なお、上述の融解サブピーク温度範囲は製膜工程における熱固定処理時の温度調整によって達成されるものであり、さらに詳述すると、フィルム温度で25℃以上260℃以下の温度範囲で熱固定処理を行うことによって達成されるものである。
[厚み方向の屈折率]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向の屈折率は、1.512以上である。また、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向の屈折率は、1.520以下であることが好ましい。フィルムの厚み方向の屈折率が、下限に満たない1.508より小さいと、フィルムの厚み方向に対して垂直方向(フィルム面内方向)の分子配向が大きく、デラミネーションが発生しやすい。フィルムの厚み方向の屈折率が1.512以上の場合、フィルムの厚み方向に対する分子配向が進むため、よりデラミネーションの発生を抑制できる。なお、上述の厚み方向の屈折率は、製膜工程における延伸倍率および/または熱固定温度を調整することによって達成されるものである。さらに詳しくは、上述の厚み方向の屈折率は、下記で表される1)〜3)の方法のうちの3)を用いることによって達成されるものである。
1)縦方向と横方向の延伸倍率を各々2.5倍以上2.8倍以下で行い、かつ縦方向と横方向の延伸倍率の差が0.2倍以下
2)熱固定を25℃以上260℃以下の温度範囲で行う
3)縦方向と横方向の延伸倍率を各々2.5倍以上3.0倍以下で行い、縦方向と横方向の延伸倍率の差が0.2倍以下であり、かつ熱固定を25℃以上260℃以下の温度範囲で行う
本発明のフィルム厚み方向の屈折率は、延伸倍率と熱固定それぞれが前記の条件のいずれかであることによって達成されるが、特に好ましくは3)の工程を用いた場合である。
[面配向係数]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの面配向係数は、0.247以下であることが好まし。また、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの面配向係数は、0.235以上であることが好ましい。フィルムの面配向係数が、上限値より高い0.255を超える場合、フィルムの厚み方向に対して垂直方向(フィルム面内方向)の分子配向が大きく、デラミネーションが発生しやすい。フィルムの面配向係数が0.247以下の場合、フィルムの厚み方向に対する分子配向が進むため、よりデラミネーションの発生を抑制できる。
なお、本発明における面配向係数は下記式(1)により求められ、フィルムの連続製膜方向、フィルムの幅方向、それぞれの面配向係数の平均値を表す。本発明では、特に断らない限り、連続製膜方向とはフィルムが連続製膜されるときの進行方向であり、フィルムの製膜方向、縦方向、長手方向またはMD方向と称することがある。また本発明では、幅方向とはフィルム面内方向における連続製膜方向に直交する方向であり、横方向またはTD方向と称することもある。
NS=(nMD+nTD)/2−nZ ・・・(1)
(式中、NSは面配向係数、nMDはフィルムの連続製膜方向の屈折率、nTDはフィルムの幅方向の屈折率、nZはフィルムの厚み方向の屈折率をそれぞれ表す。)
上式より明らかなように、フィルムの厚み方向の屈折率と面配向係数とは同一の製膜条件によって達成されるものである。
[密度]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの密度は、1.3582g/cm以上であることが好ましい。また、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの密度は、1.360g/cm以下であることが好ましい。かかる密度が1.3582g/cm未満であると、層間の結合力が小さく、デラミネーションが発生しやすい。一方、密度が上限を超えると結晶化が進みすぎてフィルムが脆くなり耐衝撃性が低下することがある。上述の密度は、製膜工程における延伸倍率および熱固定温度を調整することによって達成されるが、主に熱固定温度によって達成される。
[折り目デラミ白化率]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの折り目デラミ白化率は60%以下であることが好ましい。本発明における折り目デラミ白化率とは、耐デラミネーション性を示すものであり、一定条件の数段階の圧力でフィルムを折り曲げ、折り目に現れた白化部分の長さの合計の平均値が折り目の全体長に占める割合である。かかる折り目デラミ白化率が60%を超える場合、デラミネーションが大きく、フィルム加工の生産性が低下することがある。
なお、上述の折り目デラミ白化率は、厚み方向の屈折率と同じく、製膜工程における延伸倍率もしくは熱固定温度を調整することによって達成されるものである。さらに詳しくは、縦方向と横方向の延伸倍率を各々2.8倍以下にする、もしくは熱固定を25℃以上260℃以下の温度範囲で行うことによって達成されるものである。
[製膜方法]
本発明における二軸配向フィルムは、熱固定方法を除き、基本的には公知の、或は従来から用いられている製膜方法で製造することができる。例えば十分に乾燥させたポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度で溶融押出し、キャスティンクドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。二軸延伸は逐次二軸延伸が好ましく、その際未延伸フィルムを縦方向に130〜170℃で2.5〜3.0倍延伸し、次いでステンターにて横方向に130〜150℃で2.5〜3.0倍延伸する。また、縦方向と横方向の延伸倍率の差が0.2倍以下になる範囲で行う。その後、フィルム温度で25℃以上260℃以下を満足するように熱固定処理を行うのが好ましい。フィルム温度が前述の温度範囲であるためには、247〜260℃の温度設定で緊張下又は制限収縮下で熱固定するのが好ましく、熱固定時間は10〜30秒が好ましい。また同時二軸延伸の場合、上記の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することができる。
このようにして、実際にフィルムに作用する熱固定温度が25℃以上260℃以下を満足する二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。また熱固定温度は、さらに好ましくは253℃以上258℃以下である。熱固定温度が下限未満では、デラミネーションが起こり易く、一方、上限を越えるとフィルムが溶け始め、ステンターのクリップに融着するため、二軸フィルムの生産性が低下することがある。
このようにして得られた二軸配向ポリエステルフィルムの固有粘度は、o−クロロフェノールを溶媒として用い、35℃で測定した値(単位:dl/g)が0.45dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましく、0.47dl/g以上0.75g/dl以下であることがさらに好ましく、0.50dl/g以上0.70g/dl以下であることが特に好ましい。
さらにまた、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、50〜350μmの厚みであることが好ましく、用途に応じてかかる範囲内で適用できる。特に、モータースロット用としては、ウエッジ用に170〜350μm、スロットライナー用に100〜250μm、相間絶縁に75〜125μmの厚みのフィルムがそれぞれ用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例、比較例における各物性値は次のようにして測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)融解サブピーク温度(Tsm)
セイコ−電子工業(株)製 DSC220を用い、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度とした。また、融解サブピークが結晶融解ピークに近接しピークとして明瞭でない場合には、DSC曲線の2次微分曲線が0となる点をサブピーク温度とした。
(2)フィルムの厚み方向の屈折率(nZ)、面配向係数(NS)
アッベ屈折計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源として屈折率を測定し、フィルムの厚み方向の屈折率(nZ)を求める。
また面配向係数(NS)は、下記式(1)により求める。
NS=(nMD+nTD)/2−nZ ・・・(1)
(式中、nMDは二軸配向ポリエステルフィルムの連続製膜方向の屈折率を表し、nTDは幅方向の屈折率を表す。)
(3)密度
硝酸カルシウム水溶液を溶媒として用いた密度勾配管中、25℃で浮沈法により測定した値である。
(4)折り目デラミ白化率(耐デラミネーション性)
80×80mmの大きさにフィルムサンプルを切り出し、手で軽く2つに折りながら、平坦な一対の金属板で挟んだ後、プレス機により所定の圧力P1 (kg/cmG)で20秒間プレスした。プレス後、2つ折りのフィルムサンプルを手でもとの状態に戻し、前記金属板に挟んで圧力P1(kg/cmG)で20秒間プレスする。その後サンプルを取り出し、折り目にあらわれた白化部分の長さ(mm)を測定して合計した。
それぞれ新しいフィルムサンプルを使用し、プレス圧力P1 =2,3,4,5(kg/cmG)について上記測定を繰り返した。各プレス圧力における白化部分の長さ(mm)の合計の平均値が、折り目の全長(80mm)に占める割合(%)をもって、折り目デラミ白化率(%)とし、この値をフィルムの層間剥離(デラミネーション)の起こり難さ(耐デラミネーション性)を示す指標として使用した。
折り目デラミ白化率(%)
=(白化部分の長さの総計(mm)/(80mm×4))×100
(5)加工性評価
小田原エンジニアリング(株)製モーター加工機のウエッジ成形部分を用い、250μm厚みの試料を、幅12mm、長さ60mmのウエッジに25℃50%RHの雰囲気下で加工速度2ケ/秒で加工し、目視で層間剥離(層内剥離を含む)の発生したものを不良品とし、不良品発生率で表す。なお、加工個数は各試料20個ずつとする。
[実施例1〜2および比較例3
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部をエステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、滑剤として平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子をポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂組成物の重量を基準として0.25重量%、平均粒径0.2μmの球状シリカ粒子を0.06重量%、および平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1重量%含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応をさせた後、トリエチルホスホノアセテート0.042部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。
ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空化で常法にて重合反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN Tg=121℃)を得た。このPENポリマーを175℃で5時間乾燥させた後、押出し機に供給し、溶融温度300℃で溶融し、ダイスリットより押出し後、表面温度55℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを140℃で連続製膜方向に3.0倍延伸する。その後、140℃で幅方向に2.8倍に逐次に二軸延伸し、さらに表1に記載の熱固定温度(フィルム温度)で10秒間熱固定処理し、250μm厚み、固有粘度0.56dl/gの二軸配向ポリエステルフィルムを得てロールに巻き取った。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの物性および評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、得られたフィルムの融解サブピーク温度が25℃以上260℃以下の範囲である結果、折り目デラミ白化率が小さく、耐デラミネーション性に優れた二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムが得られた。また実施例およびは、融解サブピーク温度が255℃以上260℃以下の範囲である結果、折り目デラミ白化率が60%以下になり、極めて耐デラミネーション性に優れた二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムが得られた。
[比較例1]
実施例1において、熱固定温度を245℃にした以外は実施例1と同様に製膜を行った。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの物性および評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、得られたフィルムの融解サブピーク温度は250℃未満であり、耐デラミネーション性を示す折り目デラミ白化率が大きく、デラミネーションが多く発生し、加工時の生産性に劣るものであった。
[比較例2]
実施例1において、熱固定温度を263℃にした以外は実施例1と同様に製膜を行った。熱固定処理の際、ステンター内でフィルムが一部溶け、クリップへの融着が多発し、フィルムを製膜することができなかった。
Figure 0004387245
本発明によって得られた二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの優れた耐熱劣化性を維持しつつ、フィルム加工時の耐層間剥離性(デラミネーション)に優れた特性をも有することから、モーターのスロット絶縁やウエッジなどの電気絶縁用途に好適に使用される。

Claims (5)

  1. ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トよりなる二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、融解サブピーク温度(Tsm)が25℃以上260℃以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率が1.512以上であることを特徴とする電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 面配向係数が0.247以下である請求項1に記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 密度が1.3582g/cm以上である請求項1または2に記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 折り目デラミ白化率が60%以下である請求項1〜のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トを直交する二方向に延伸する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法において、縦方向と横方向の延伸倍率を各々2.5倍以上3.0倍以下で二軸延伸を行い、かつ縦方向と横方向の延伸倍率の差が0.2倍以下であり、かかる二軸延伸後、フィルム温度で25℃以上260℃以下の温度範囲で熱固定処理を行うことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
JP2004160903A 2004-05-31 2004-05-31 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム Expired - Fee Related JP4387245B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004160903A JP4387245B2 (ja) 2004-05-31 2004-05-31 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004160903A JP4387245B2 (ja) 2004-05-31 2004-05-31 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005335344A JP2005335344A (ja) 2005-12-08
JP4387245B2 true JP4387245B2 (ja) 2009-12-16

Family

ID=35489416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004160903A Expired - Fee Related JP4387245B2 (ja) 2004-05-31 2004-05-31 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4387245B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5080039B2 (ja) * 2006-08-21 2012-11-21 帝人デュポンフィルム株式会社 自動車駆動モーター用二軸配向ポリエステルフィルム
EP2163572B1 (en) * 2007-05-30 2014-08-13 Teijin Dupont Films Japan Limited Biaxially oriented polyester film for automobile driving motor and electrically insulating member composed of the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005335344A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8518551B2 (en) Biaxially oriented polyester film for automobile driving motors, and electrically insulating member therefrom
US7022407B2 (en) Polyester film for capacitors
US6432509B1 (en) Composite film for capacitor, method for manufacturing the same, and base film therefor
JP4387245B2 (ja) 電気絶縁用二軸配向ポリエチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルム
JP3693457B2 (ja) コンデンサー用フィルム
JP5739146B2 (ja) 共重合芳香族ポリエステル、二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP4086598B2 (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP2007314717A (ja) 電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム
JP5373313B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP5080039B2 (ja) 自動車駆動モーター用二軸配向ポリエステルフィルム
JP3847551B2 (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP3847550B2 (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP3287128B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3847552B2 (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP2001237141A (ja) チップ状フィルムコンデンサー
JP2000348969A (ja) ポリエステルフィルム
JP4351341B2 (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
JP4351345B2 (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
JP2001250737A (ja) コンデンサ用複合膜、その製造方法、フィルムコンデンサおよびそのためのベースフィルム
JP2010030116A (ja) 二軸配向積層フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体
JP2003238034A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルムロール
JP2009167342A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2000343599A (ja) ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090908

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4387245

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees