JPH10287772A - タイヤトレッド配合用カーボンブラック - Google Patents

タイヤトレッド配合用カーボンブラック

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JPH10287772A
JPH10287772A JP9111839A JP11183997A JPH10287772A JP H10287772 A JPH10287772 A JP H10287772A JP 9111839 A JP9111839 A JP 9111839A JP 11183997 A JP11183997 A JP 11183997A JP H10287772 A JPH10287772 A JP H10287772A
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carbon black
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修 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は高い耐摩耗性と低位の発熱性という
背反事項の両立を目指すとともに、これに加えてゴム組
成物のティアー性(伸び特性)および加工性を改良する
ことを目的としている。 【解決手段】 窒素吸着比表面積(N2SA)が140
2/gを越え200m2/g未満、DBP吸油量(DB
P)が110ml/100gを越え160ml/100
g未満という基本的特性を有するカーボンブラックにお
いて、 1)N2SAとよう素吸着量(IA)の比(N2SA/I
A)の値が0.85〜0.98であり、 2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)
が70〜90nmであり、 Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比
(ΔD50/Dst)が0.81を越え1.30未満 であるタイヤトレッド配合用カーボンブラック。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配合ゴム組成物に
対して発熱特性を低下させることなく、タイヤトレッド
配合用として有用な、耐摩耗性、ティアー性(伸び特
性)および加工性を大幅に改良することのできるカーボ
ンブラックを提供するものである。
【0002】
【従来技術】カーボンブラックは、厳密に制御された条
件下のファーネス炉内での高温燃焼ガス中へ原料炭化水
素を導入し、熱分解により生産され、ゴム配合時の組成
物に対して機械的性質、特に引張り強さ、耐摩耗性など
の特性を飛躍的に向上させることができるという特異な
性質を有することから、タイヤをはじめとする各種ゴム
製品の充填補強剤として広く用いられている。
【0003】ゴム配合用カーボンブラックは、その物理
化学的特性、すなわちカーボンブラックを構成する単位
粒子径、単位重量当たりの表面積(比表面積)、粒子の
つながり度合(ストラクチャー)などにより配合ゴム組
成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム
組成物によって各種特性の異なるカーボンブラックが選
択的に使用されている。
【0004】タイヤの接地面(トレッド部)に用いられ
るゴム組成物では、高速度で回転して道路面と接触する
ことによる摩損に対する耐性(耐摩耗性)に優れている
と同時に、接触で生じる繰り返し変形によるゴム組成物
のヒステリシス特性も重要な要素である。
【0005】タイヤトレッド部におけるゴム組成物の耐
摩耗性の向上は、タイヤ寿命、特に走行距離の増大をも
たらすので、タイヤの耐性にとって非常に大きなメリッ
トをもたらす。
【0006】この耐摩耗性を向上させるために、高表面
積(小粒子径)化および高ストラクチャー化の方向でカ
ーボンブラックの開発が行われてきた。しかしながら、
耐摩耗性向上の要求は増大し、これに対応するためにカ
ーボンブラック表面の活性度向上(特開平1−2756
43号、特開昭61−207452号、特公平7−64
957号など)や遠心沈降分析により評価されるアグリ
ゲート分布の半値幅を小さくする(特開平6−9313
6号、特開昭63−264647号など)などの技術が
開示されている。
【0007】このようにタイヤトレッド配合用カーボン
ブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段を採用した
場合、耐摩耗性向上の反面でゴム組成物の発熱性が大き
くなり、またティアー性(伸び特性)や加工性などの性
能が低下するという欠点を招来する。すなわち、耐摩耗
性と発熱性は互いに相反する特性として背反事項であ
り、これを解決するために種々の技術が提案されてい
る。
【0008】アグリゲート分布で2つ山があるカーボン
ブラックを用いた発明(特公平6−868号、特開昭6
4−74242号、特開昭63−199748号)、凝
集体空隙容積を特定した発明(特公平6−37582
号、特公平6−41540号、特公平7−755号)、
示差走査熱量計(DSC)により測定される粒子間のポ
ア分布モード径を特定した発明(特開平4−32553
5号、特開平4−370126号、特開平5−2555
42号)、希薄水分散物の可視光領域での吸光度の波長
依存性を特定した発明(特開平4−363344号、特
開平5−43740号、特開平5−170973号)な
どが、耐摩耗性と発熱性の性能を両立させる手段、方法
として開示されている。また、高ストラクチャー化によ
る対応も提案されている(特開平6−136289
号)。
【0009】
【発明が解決しようとした課題】高い耐摩耗性と低位の
発熱性という背反事項を両立(完全に両立させることは
不可能で、ある程度の点で妥協せざるを得ない)させる
目的で前述のような種々の手段が提唱されているが、未
だ十分な性能を兼備した配合ゴム組成物を与えることの
できる特性を持つカーボンブラックは見いだされていな
いのが現状であり、本発明はこれらの特性の両立を目指
すとともに、これに加えてゴム組成物のティアー性(伸
び特性)および加工性を改良することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の課題
を解決するために、カーボンブラックとゴムマトリック
スとの相互作用(この結果として耐摩耗性、引張り強さ
などの機械的性質、ゴムの加工性、粘弾性特性などに影
響を及ぼす)、すなわち結合状態に着目するという原点
に戻り、これとカーボンブラックと物理化学特性との関
連性について研究を進め、その結果としてゴムとカーボ
ンブラックの結合における物理的結合と化学的結合の割
合を変化させることにより従来のカーボンブラックがゴ
ムマトリックスに及ぼす性能とはまったく異なる性能を
与えることができることを見いだして本発明を完成した
ものである。
【0011】カーボンブラックとゴムマトリックスの結
合において、物理的結合はカーボンブラックの比表面積
やストラクチャーなどのカーボンブラックの構造上の性
質に由来するものであり、化学的結合はカーボンブラッ
ク表面上の表面状態に帰因するものであるが、本発明で
は結合における前者の割合を増加させるとともに、後者
による結合を減少させることにより配合ゴム組成物の諸
特性を従来よりも更に大きく改良することを可能とした
ものである。
【0012】これに加え、従来ではカーボンブラックの
粒子径が小さくなるにつれて耐摩耗性は向上するが、あ
る範囲(N2SAで約140m2/g)を越えるとゴムマ
トリックス中へのカーボンブラックの分散が困難とな
り、このために粒子径による効果がそのままゴム組成物
の性能として現れないという現象が見られたが、本発明
では、ゴムマトリックス中へのカーボンブラックの分散
状態についても研究を行い、遠心沈降分析により評価し
たカーボンブラックアグリゲート分布でのモード径(D
st)と半値幅(ΔD50)の比、ΔD50/Dstを
従来よりも大きい特定範囲に制御することにより分散状
態を改良し、これと前述の結合状態の制御効果との相乗
効果により高水準の耐摩耗性とティアー性、加工性の改
良を実現するとともに、発熱性の低下を抑制することが
可能となったのである。
【0013】すなわち、本発明は、窒素吸着比表面積
(N2SA)が140m2/gを越え200m2/g未
満、DBP吸油量(DBP)が110ml/100gを
越え160ml/100g未満という基本的特性を有す
るカーボンブラックにおいて、 1)N2SAとよう素吸着量(IA)の比(N2SA/I
A)の値が0.85〜0.98であり、 2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)
が70〜90nmであり、 Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比
(ΔD50/Dst)が0.81を越え1.30未満 であるタイヤトレッド配合用カーボンブラックに関す
る。
【0014】これらの要件において、N2SAおよびD
BPが前述の特定範囲にあることは配合ゴム組成物に対
して高水準の耐摩耗性を保持するための基本的特性であ
る。
【0015】カーボンブラックは非常に小さい単位粒子
が互いに融合して形成されるブドウの房状の凝集体(ア
グリゲートとも呼ばれ、ゴムマトリックス中への最小分
散単位)の形態およびその分布が配合ゴム組成物の性能
に大きな影響を及ぼすことは既に公知であり、ゴム組成
物の特性を制御するために凝集体の形態特性を特定範囲
にするという前述したような発明が提唱されている。
【0016】しかしながら、本発明では前述の要件に加
えて、アグリゲート分布の最多頻度値(Dst)を70
〜90nmとし、かつDstに対する分布の半値幅(Δ
D50)の比、(ΔD50/Dst)を従来よりも大き
な側に制御するとともに、N2SA/IAの値を0.8
5〜0.98とすることが必須要件となっている。
【0017】N2SAが140m2/gを下回った場合に
は配合ゴム組成物に十分な耐摩耗性を確保することが困
難となるので好ましくなく、逆に200m2/gを越え
た場合にはたとえアグリゲート特性(Dst値およびΔ
D50/Dst)が本発明の範囲を満たして大きくなっ
たとしてもゴムマトリックスへの分散性が低下し、その
結果として耐摩耗性は逆に低下する傾向にあり、加えて
配合ゴムの加工性が低下するので、140m2/gを越
え200m2/gの範囲とする。より望ましいN2SAの
範囲は145〜185m2/gの範囲である。
【0018】DBP特性は本発明のもう1つの基本特性
であり、110ml/100gを下回った場合には十分
な耐摩耗性が維持できず、また160ml/100gを
上回った場合には通常のカーボンブラック配合量ではゴ
ム組成物の粘度が上昇し、加工性と伸び特性での低下が
見られるので好ましくない。DBPのより望ましい範囲
は130〜150ml/100gである。
【0019】本発明の特徴は、前述の基本特性に加え、 1)N2SAとよう素吸着量(IA)の比(N2SA/I
A)の値が0.85〜0.98であり、 2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)
が70〜90nmであり、 Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比
(ΔD50/Dst)が0.81〜1.30 という2つの要件を満たすことである。このDst特性
がこれらの条件を満足することにより、タイヤトレッド
配合ゴム組成物に発熱特性を低下させることなく、耐摩
耗性、ティアー性および加工性を大幅に改良することが
できる。
【0020】これに加え、IAに対するセチルトリメチ
ルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)の
比を0.70〜0.85の範囲とすることにより本発明
の目的とするゴム配合用カーボンブラックとして望まし
い特性を与えることができる。
【0021】さらに、ΔD50/Dstの値をN2
A、IAおよびDBPの測定値より算出した数値すなわ
ち下記式(1)
【数2】 2.5×(DBP)×(N2SA)×10-5+1.6×(N2SA/IA)−1.26 …(1) と同一またはそれより大きい側、とくに式(1)の数値
よりも大きい側に制御することにより一層好ましい特性
となる。
【0022】本発明に記載のカーボンブラックの各特性
は、下記の方法により測定される。
【0023】(1)窒素吸着比表面積(N2SA) ASTM D3037−88により測定され、単位重量
当たりの比表面積m2/gで表示される。
【0024】(2)よう素吸着量(IA) JIS K6221−1982により測定され、単位重
量当りのよう素吸着量mg/gで表示される。
【0025】(3)DBP吸油量 JIS K6221(1982)6.1.2.A法に記
載の方法で測定され、カーボンブラック100g当たり
に吸収されるジブチルフタレート(DBP)のmlで表
示される。
【0026】(4)CTAB吸着比表面積 ASTM D3765−85により測定され、単位重量
当りの表面積m2/gで表示される。
【0027】(5)遠心沈降分析によるカーボンブラッ
クアグリゲートサイズの分析法 測定機器 Disk Centrifuge Photosedi
mentometer(DCF) 〔Joyce Loebl社製、4型機(Mark I
V)〕 測定方法 若干の界面活性剤を加えた30容量%メタノール水溶液
中に、0.05〜0.1%のカーボンブラックを加え、
超音波処理を施して完全に分散せしめる。沈降液(スピ
ン液)として蒸留水15〜25mlを注加した回転ディ
スクの回転数を8000rpmとし、上記分散液0.0
2〜0.03mlを注加する。分散液の注加と同時に記
録計を作動させ、回転ディスクの外周近傍の一定点を沈
降により通過するカーボンブラックアグリゲートの量を
光学的に測定し、その吸光度(頻度)を時間に対する連
続曲線として記録する。沈降時間を下記のストークスの
一般形によりストークス相当径に換算し、アグリゲート
のストークス相当径とその頻度の対応曲線を得る。
【数3】d=K/√t (2) 式(2)において、dは沈降開始t分後での回転ディス
クの光学測定点を通過するカーボンブラックアグリゲー
トのストークス相当径(nm)である。定数Kは、測定
時のスピン液の量、温度、粘度およびカーボンブラック
との密度差(カーボンブラックの真密度を1.86g/
cm3とする)、さらに回転ディスクの回転数により決
定される常数である。本発明の測定では、スピン液とし
て蒸留水17.5mlを用い、測定温度23.5℃、デ
ィスク回転数8000rpmとした場合のK値は26
1.75となる。
【0028】モード径(Dst)の定義 前記測定操作によって得られるアグリゲートのストーク
ス相当径の曲線において、最多頻度(実際には、光学的
測定を行っているので最大吸光度である)を与えるスト
ークス相当径をモード径(Dst)と定義し、カーボン
ブラックアグリゲートの平均的大きさとする。
【0029】半値幅(ΔD50)の定義 モード径(Dst)の50%の頻度が得られる大小2つ
のストークス相当径の差の絶対値をアグリゲート半値幅
(ΔD50、nm)とする。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と対比しなが
ら詳しく説明するが、これにより本発明の範囲が限定さ
れるものではないことはいうまでもない。
【0031】実施例および比較例 特開平4−264165号(出願人:旭カーボン株式会
社)で開示されたとほぼ同様構造のカーボンブラック製
造炉(図1)を用いてRun No.1〜13のカーボ
ンブラックを製造した。
【0032】可燃性流体導入室(内径450mmφ、長
さ400mm)2の内部に炉頭部外周から導入される酸
素含有ガスを整流する整流板5を有する酸素含有ガス導
入用円筒(内径250mmφ、長さ300mm)4とそ
の中心軸に燃料導入装置を備え、前記円筒の下流側は次
第に収れんする収れん室(上流端内径370mmφ、下
流端内径80mmφ、収れん角度5.3°)8となり、
かつ収れん室8の下流側には図2に示した4つの原料油
噴霧口(10B−1、10B−2、10B−3、10B
−4)を同一平面上に設置した4つの別個の平面を形成
する原料油噴霧口(10A〜10D)を含む原料油導入
室11を有し、この下流側は反応室12および反応停止
用急冷水圧入噴霧装置(a〜h)を備えた反応継続兼冷
却室(内径140mmφ、長さ2000mm)13から
なる、全体が耐火物で覆われた製造炉を用いた。
【0033】燃料には比重0.8622(15℃/4
℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状
の重質油を使用した。
【表1】 *1 BMCI:Bureau of Mines Correlation Index *2 I.B.P:Initial boiling point
【0034】前記のカーボンブラック製造炉を用い、表
2に示した操作条件によりSAF級カーボンブラックを
製造した。なお、ストラクチャー(アグリゲート)の制
御には水酸化カリウムを用いた。
【0035】実施例カーボンブラックおよび比較例カー
ボンブラックの製造条件表2〜3に記載のカーボンブラ
ック製造条件は、前述の製造装置を用いて実施例カーボ
ンブラックおよび比較例カーボンブラックを原料油導入
位置、導入総空気量、原料油導入量、原料油導入圧力お
よび温度、反応停止用冷却水導入位置、燃料導入量など
の条件を調整して製造したものである。
【0036】より詳しく製造条件を説明すると、表面積
(N2SA)の調整は原料油導入量と総空気導入量との
比率を変化させることにより行うことができ、導入空気
量の割合を増加させることにより表面積は増大する。2
つの表面積指標の比、N2SA/IAの制御は、カーボ
ンブラック生成反応後の反応停止位置、すなわち原料油
が炉内に導入されてから冷却されるまでの時間により行
うことができ、より下流側(反応停止までの時間が長
い)で行うことによりこの値は小さくなる。本発明カー
ボンブラックは、原料油導入位置(複数平面使用時は最
下流側)から急冷位置までの反応時間を30ミリ秒を上
回る操業条件を用いることにより本発明に好適なカーボ
ンブラックを得ることができる。アグリゲート特性にお
けるストークス相当径のモード径(Dst)およびΔD
50/Dstを従来よりも大きく制御することが本発明
の重要ポイントであるが、この制御は原料油の導入位置
および原料油の特性(導入時の温度、粘度および圧力)
により行うことができ、導入位置を上流側にする、原料
油温度を低下させる(粘度を上げる)ことによりDst
を大きくすることができる。アグリゲート分布の指標で
あるΔD50は、使用する原料導入面を複数とする、ア
ルカリ金属の導入位置を変化させるなどの手段により広
い側に制御することができる。本発明にかかる実施例カ
ーボンブラックおよび比較例カーボンブラックの製造条
件を表2〜4に、製造された各カーボンブラックおよび
対照カーボンブラックの物理化学的特性を表5〜7に示
した。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】 *アンダーライン部は本発明の範囲を外れた特性
【0042】
【表7】 *アンダーライン部は本発明の範囲を外れた特性 対照例は、旭#90である。
【0043】(ゴム性能試験)表5〜7に示したカーボ
ンブラックの性能を評価するために、表8に示した配合
比率でゴム組成物を調製し、そのカーボン特性の試験を
行った。その結果を表9〜11に示した。
【0044】
【表8】 MBTS:2,2′−ジベンゾチアジルジスルフィド IPPD:N−イソプロピル−N−フェニル−P−フェニレンジアミン
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
【表11】 対照例は旭#90である。
【0048】なお、各配合ゴム組成物のゴム特性は、次
の試験条件により測定した。 ゴム特性試験条件 1)配合ゴム組成物の加硫条件:145℃、30分 2)耐摩耗性試験:ランボーン摩耗試験機を用い、スリ
ップ率25%および60%で摩耗試験を行い、下式で算
出した耐摩耗指数(ランボーン摩耗指数)で表した。 耐摩耗指数=(S/T)×100 S:対照例(Run No.13)配合試験片の摩耗減
量 T:供試試験片における摩耗減量 3)損失正接:(株)岩本製作所製粘弾性スペクトロメ
ーター(型式VES−F−III)を用い、下記の測定条
件で損失正接(tan δ)を測定し、対照カーボンブ
ラックに対する指数で表示した。 測定条件 周波数 :50Hz 動的歪み率:±1% 測定温度 :25℃ 初期荷重 :160g重 4)分散性 1969年9月号のRubber World(第16
0巻第6号)第63−70頁(著者:H.E.Rail
sbachら)に記載の方法に準じて、配合ゴム表面を
32倍に拡大した顕微鏡写真を用い、10〜1に区分さ
れた標準見本のどのランクに該当するかを目視で判定し
た。なお、ランクの中間にあると判定したサンプル、例
えば7と8の中間の場合には7.5と表示した。 5)その他のゴム特性:JIS K6300−1974
およびK6301−1975に記載の方法に準じて測定
した。
【0049】
【評価】表5〜7に示した物理化学特性を有する実施例
および比較例のカーボンブラックをゴムに配合した組成
物の測定結果(表9〜11)の結果から、本発明カーボ
ンブラックの効果を説明する。Run No.1〜5の
カーボンブラックは本発明にかかるものであり、Run
No.6〜12のカーボンブラックは本発明の特定要
件の1つまたは2つの要件を外れた比較例、Run N
o.13は対照カーボンブラック(商品名 旭#90、
SAF級カーボンブラック、旭カーボン(株)製)であ
る。Run No.6はDBPが本発明の下限を下回っ
た比較例であり、RunNo.7は逆に上限を越えた場
合の比較例である。Run No.8はRunNo.5
とほぼ同じ基本特性を有しているが、アグリゲート特性
のΔD50/Dstが本発明範囲の下限を下回った比較
例であり、Run No.9は表面積範囲の上限を、R
un No.10は逆に下限を下回った例である。Ru
n No.11は実施例1に近似した特性を有している
がN2SA/IAの特性で本発明範囲の上限を上回った
例であり、Run No.12も同様にN2SA/IA
の特性で大きい側に外れるとともに、ΔD50/Dst
の特性も外れた比較例である。これらの各特性項目別の
評価はつぎのとおりである。
【0050】(1)伸び特性について 実施例はいずれも対照ブラックよりも伸び特性が大きく
改良されている。また、Run No.6および8〜1
0では良好な伸び特性を示しているが、Run No.
6ではDBP特性が本発明範囲を外れて低いために耐摩
耗指数で低下が見られ、一方Run No.8〜10で
はそれぞれΔD50/DstおよびN2SAで本発明範
囲を外れているために耐摩耗指数、または損失正接、ム
ーニー粘度の特性で低下が見られる。 (2)ムーニー粘度の特性について Run No.7および11ではムーニー粘度が対照ブ
ラックを大きく上回っているが、これはストラクチャー
または表面積の比が本発明の範囲を超えているためであ
る。本発明カーボンブラックではすべて対照ブラックよ
りも優れた特性を示しており、本発明の効果は明らかで
ある。 (3)ランボーン耐摩耗指数特性について Run No.7は耐摩耗指数の値で非常に良好な数値
を示しているが、伸び特性、ムーニー粘度および損失正
接の各特性で極端な低下が認められる。これに比較し、
本発明の実施例では非常に優れた耐摩耗性を有すると共
に、他の物性では低下は見られない。 (4)損失正接(tan δ)特性について 実施例は非常に優れた耐摩耗性、伸び特性および加工性
を有していることは表9から明らかであるが、従来では
発熱性が低下するのが一般的であるにもかかわらず対照
ブラックと同等もしくは優れた特性を示している。 (5)分散性にいて 実施例に記載のカーボンブラックはいずれも分散標準写
真対比で7.5以上を示している。Run No.10
では本発明ブラックとほぼ同等の分散性を示している
が、耐摩耗性能で大きく劣っている。
【0051】
【効果】本発明のカーボンブラックは本質的に高ストラ
クチャーが発達したアグリゲートを有するものであり、
粒子径は小さい(表面積が大きい)ことから耐摩耗性を
高水準に保持することができる。また、カーボンブラッ
クの表面特性(本発明ではN2SA/IAの比で評価)
が通常よりも低い状態に制御されており、このためカー
ボンブラック表面はゴムマトリックスと強固な結合が形
成されにくくなる。これにより配合ゴム組成物の硬さは
上昇せず、高い伸び特性が得られる。これはトレッドゴ
ム組成物でのティアー性に大きな改善をもたらす。ま
た、ゴム配合時に強固な化学結合を形成しにくくなるの
で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は低い状態に保持さ
れ、加工性の向上をもたらす。さらに、これはゴムとカ
ーボンブラックの混練り性を向上させ、ゴムマトリック
ス中へのカーボンブラックの分散性を大きく改善するこ
とか可能となった。このゴムへの分散性の改善により、
さらに粒子径が小さいカーボンブラックの使用を可能と
することができた。これらの効果の相乗により、耐摩耗
性を向上させ、また発熱性の悪化も抑制することができ
るゴム組成物配合用カーボンブラックの提供はゴム工業
にとり重要な進展である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の装置の縦断正面説明図である。
【図2】図1のA−A矢視における断面図である。
【符号の説明】
1 カーボンブラック反応装置 2 可燃性流体導入室 3 酸素含有ガス導入管 4 酸素含有ガス導入用円筒 5 整流板 6 燃料油噴霧装置導入管 8 収れん室 10A 原料油噴霧口 10B 原料油噴霧口 10C 原料油噴霧口 10D 原料油噴霧口 11 原料油導入室 12 反応室 13 反応継続兼急冷室 a 急冷水圧入噴霧装置 b 急冷水圧入噴霧装置 c 急冷水圧入噴霧装置 d 急冷水圧入噴霧装置 e 急冷水圧入噴霧装置 f 急冷水圧入噴霧装置 g 急冷水圧入噴霧装置 h 急冷水圧入噴霧装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着比表面積(N2SA)が140
    2/gを越え200m2/g未満、DBP吸油量(DB
    P)が110ml/100gを越え160ml/100
    g未満という基本的特性を有するカーボンブラックにお
    いて、 1)N2SAとよう素吸着量(IA)の比(N2SA/I
    A)の値が0.85〜0.98であり、 2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)
    が70〜90nmであり、 Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比
    (ΔD50/Dst)が0.81を越え1.30未満 であるタイヤトレッド配合用カーボンブラック。
  2. 【請求項2】 IAに対するセチルトリメチルアンモニ
    ウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)の比(CTA
    B/IA)が0.70〜0.85である請求項1記載の
    タイヤトレッド配合用カーボンブラック。
  3. 【請求項3】 ΔD50/Dstの値が下記の(1)式 【数1】 2.5×(DBP)×(N2SA)×10-5+1.6×(N2SA/IA)−1.26 …(1) で求められる値と等しいかまたは大きいことを特徴とす
    る請求項1または2記載のタイヤトレッド配合用カーボ
    ンブラック。
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