JP4634556B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに背反する特性である耐摩耗性と低発熱性とを両立し、タイヤのトレッド等をはじめとする各種分野において好適に使用することができるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム組成物は、タイヤのトレッド等をはじめとする各種分野に好適に使用されている。タイヤのトレッド等の用途の場合、ゴム組成物には、互いに背反する特性である耐摩耗性と低発熱性とを両立させることが望まれる。従来においては、ゴム組成物の耐摩耗性を向上させる目的で、ジブチルフタレート(DBP)吸油量の高いカーボンブラックを添加することが行われてきたが、この場合、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が高すぎても耐摩耗性が悪化してしまうという問題があり、また、低発熱性を十分に向上させることができないという問題があった。互いに背反する特性である耐摩耗性と低発熱性とを両立し、これらをバランス良く向上させたゴム組成物は、未だ提供されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、互いに背反する特性である耐摩耗性と低発熱性とを両立し、これらをバランス良く向上させ、タイヤのトレッド等をはじめとする各種分野において好適に使用することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
ゴム組成物の特性は、その中に含まれるゴム成分とカーボンブラックとの物理的結合、化学的結合等の相互作用により大きく影響を受ける。このカーボンブラックは、ゴム組成物中においては、凝集体(アグリゲート)として分散し、存在している。本発明者は、ゴム組成物中において、カーボンブラックのアグリゲート形態と表面活性とを制御することでゴムへの分散状態を改良することにより、互いに背反する耐摩耗性と低発熱性とを両立し、これらをバランス良く向上させ得ることを見出した。
本発明は、かかる知見にに基くものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0005】
<1> 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分と、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140〜200ml/100gであり、凝集体の重量平均径(Dw)と数平均径(Dn)との比(Dw/Dn)が1.80〜2.40であり、かつ比着色力(Tint)が、Tint≧0.100×窒素吸着比表面積(NSA)+93であるカーボンブラックと、を含有し、前記カーボンブラックを、前記ゴム成分100重量部に対し、30〜70重量部含有するゴム組成物である。
<2> カーボンブラックにおける、窒素吸着比表面積(NSA)が100〜180m/gであり、窒素吸着比表面積(NSA)とヨウ素吸着量(IA)との比(NSA/IA)が0.70〜1.00である前記<1>に記載のゴム組成物である。
<3> 遠心沈降分析により測定したカーボンブラックの凝集体の特性は、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)と、最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD 50 との比(ΔD50/Dst)が1.05〜2.50である前記<1>又は<2>に記載のゴム組成物である。
<4> カーボンブラックにおける、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140〜180ml/100gであり、窒素吸着比表面積(NSA)が100〜170m/gであり、窒素吸着比表面積(NSA)とヨウ素吸着量(IA)との比(NSA/IA)が0.80〜1.00である前記<1>から<3>のいずれかに記載のゴム組成物である
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分とカーボンブラックとを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含む。
【0007】
(ゴム成分)
前記ゴム成分は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含む。
【0008】
前記ジエン系合成ゴムとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのジエン系合成ゴムの中でも、ガラス転移温度が低い点でシス−1,4−ポリブタジエンが好ましく、シス含有率が90%以上のものが特に好ましい。
【0009】
本発明においては、前記ゴム成分の中でも、低発熱性と耐摩耗性とを両立することができる点で、天然ゴムとポリブタジエンゴムとを含有する混合物が好ましい。
【0010】
(カーボンブラック)
本発明においては、前記カーボンブラックとして、ジブチルフタレート(DBP)吸油量、凝集体の重量平均径(Dw)と数平均径(Dn)との比(Dw/Dn)、及び、比着色力(Tint)が以下のものを使用する。
【0011】
前記ジブチルフタレート(DBP)吸油量(以下「DBP吸油量」と称することがある。)としては、140〜200ml/100gであることが必要であり、140〜180ml/100gが好ましい。
また、本発明においては、前記DBP吸油量として、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例で採用した該DBP吸油量のいずれの値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例で採用した該DBP吸油量のいずれの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0012】
前記DBP吸油量が、140ml/100g未満であると、耐摩耗性が十分に確保できず、200ml/100gを超えると、加工性や伸び特性に劣り、ゴムとしての一般的性質が悪化することがあり、また、低発熱性を十分に確保することができない。
【0013】
なお、前記DBP吸油量は、JIS K6221(1982)6.1.2.A法に従って測定した値であり、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレートの量(ml)を意味する。
【0014】
前記凝集体の重量平均径(Dw)と数平均径(Dn)との比(Dw/Dn)としては、1.80〜2.40であることが必要であり、1.80〜2.30が好ましい。
また、本発明においては、前記比(Dw/Dn)として、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例で採用した該比(Dw/Dn)のいずれの値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例で採用した該比(Dw/Dn)のいずれの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0015】
前記比(Dw/Dn)が、1.80未満であると、低発熱性を十分に確保することができないことがあり、2.40を超えると、耐摩耗性が悪化することがある。
【0016】
なお、ここで「凝集体」は、ゴム組成物中に分布する該カーボンブラックの二次粒子を意味する。前記重量平均径(Dw)及び数平均径(Dn)は、公知の測定装置、例えば、Disc Centrifuge Photosedimentmeter(DCP)(DCP Brook Haven社製、BI−DCP)を使用して測定することができる。
【0017】
前記比着色力(Tint)としては、Tint≧0.100×窒素吸着比表面積(N2SA)+93であることが必要である。
前記比着色力(Tint)が、上記不等式を満たさないと補強性が低下してしまい、一方、上記不等式を満たすと耐摩耗性の点で有利である。
なお、前記比着色力(Tint)は、JIS 6221−1982 A法に準拠した方法により測定することができる。
【0018】
本発明において使用するカーボンブラックは、前記DBP吸油量、前記比(Dw/Dn)及び前記比着色力(Tint)が前記数値範囲内にあることの外には、特に制限はないが、窒素吸着比表面積(N2SA)、窒素吸着比表面積(N2SA)とヨウ素吸着量(IA)との比(N2SA/IA)、凝集体の半値幅(ΔD50)と最頻値(Dst)との比(ΔD50/Dst)等が以下のものを好適に使用することができる。
【0019】
前記窒素吸着比表面積(N2SA)としては、100〜180m2/gが好ましく、100〜170m2/gがより好ましく、100〜150m2/gが特に好ましい。
前記窒素吸着比表面積(N2SA)が、100m2/g未満であると、ゴム組成物の耐摩耗性が十分でないことがあり、180m2/gを超えても、カーボンブラックのゴム組成物中での分散性が低下し、逆にゴム組成物の耐摩耗性が低下することがあり、一方、前記数値範囲内にあると、ゴム組成物の耐摩耗性を十分に向上させることができる点で有利である。
なお、前記窒素吸着比表面積(N2SA)は、ASTM D3037−88に規定されており、単位重量当たりの窒素吸着比表面積(m2/g)を意味する。
【0020】
前記窒素吸着比表面積(N2SA)とヨウ素吸着量(IA)との比(N2SA/IA)としては、0.70〜1.00が好ましく、0.80〜1.00がより好ましい。
前記比(N2SA/IA)が、0.70未満であると、低発熱性を十分に確保することができないことがあり、1.00を超えると、耐摩耗性が悪化することがあり、一方、前記数値範囲内であると、耐摩耗性と低発熱性とを両立することができる点で有利である。
なお、前記ヨウ素吸着量(IA)は、JIS K6221−1982に規定されており、単位重量当たりのヨウ素吸着量(mg/g)を意味する。
【0021】
前記凝集体の半値幅(ΔD50)と最頻値(Dst)との比(ΔD50/Dst)としては、1.05〜2.50が好ましく、1.10〜2.30がより好ましい。
前記比(ΔD50/Dst)が、1.05未満であると、低発熱性が十分でないことがあり、2.50を超えると、耐摩耗性が悪化することがあり、一方、前記数値範囲内にあると、ゴム組成物の低発熱性を低下させることなく、耐摩耗性を向上させることができ、互いに背反する耐摩耗性と低発熱性とを両立することができる点で有利である。
【0022】
なお、ここで、「凝集体」は、カーボンブラックを遠心沈降分析する際の二次粒子を意味し、「最頻値(Dst)」は、遠心沈降分析により測定したカーボンブラックの凝集体(アグリゲート)特性で、ストークス相当径の分布曲線のモード径、即ち最多頻度値(Dst)を意味し、「半値幅(ΔD50)」は、最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)を意味する。
【0023】
これらは、例えば、Disc Centrifuge Photosedimentmeter(DCP: Brook Haven社製、BI−DCP)を使用して、以下のようにして測定することができる。
即ち、若干の界面活性剤を加えた20容量%のエタノール水溶液中に、50mg/lとなるようにカーボンブラックを加え、超音波処理を施して完全に分散させる。沈降液(スピン液)として蒸留水10ml、バッファー液(20容量%のエタノール水溶液)1mlを順次注加した回転ディスクの回転数を8000rpmとし、上記のカーブンブラック分散液0.5mlを注射器を用いて注加して一斉に遠心沈降を開始させ、光電沈降法により、凝集体分布曲線を作成した。
【0024】
以上の測定操作を加味して更に詳しく述べると、「最頻値(Dst)」は、該測定操作によって得られる凝集体(アグリゲート)のストークス相当径の曲線において、最多頻度(実際には、光学的測定を行っているので最大吸光度である)を与えるストークス相当径をモード径(Dst)と定義し、カーボンブラック凝集体(アグリゲート)の平均的大きさの代表値とみなす。
また、「半値幅(ΔD50)」は、前記モード径(Dst)の50%頻度が得られる大小2つのストークス相当径の差の絶対値を凝集体(アグリゲート)半値幅(ΔD50)(nm)とするものである。即ち、前記モード径(Dst)の1/2となる大小2点の差を(ΔD50)(nm)とするものである。
【0025】
前記カーボンブラックとしては、上記諸条件を満足するHAF級〜SAF級のものを好適に使用することができる。前記カーボンブラックがHAF級以上のものであると、ゴム組成物の耐摩耗性を十分に向上させることができる点で有利である。
【0026】
前記カーボンブラックとしては、例えば、特開平4−264165号公報の図1に示されるようなカーボンブラック製造炉を用いて製造することができる。即ち、可燃性流体導入室(内径450mm、長さ400mm)に内部に炉頭部外周から導入される酸素含有ガスを整流する整流板を有する酸素含有ガス導入用円筒(内径250mm、長さ300mm)とその中心軸に燃料導入装置を備え、前記円筒の加硫側は次第に収れんする収れん室(上流端内径370mm、下流端径80mm、収れん角度5.3度)となり、かつ収れん室の下流側には、4つの原料油噴霧器を同一平面上に備えた4つの別個の平面を形成する原料油噴霧集合装置が設置された原料湯導入室を有し、この下流側には反応室及び反応停止用急冷水圧入噴霧装置を備えた反応継続兼冷却室(内径140mm、長さ2000mm)からなる、全体が耐火物で覆われた製造炉を用いて製造することができる。
【0027】
前記カーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記カーボンブラックのゴム組成物における含有量としては、前記ゴム成分100重量部に対し、30〜70重量部が好ましい。
また、本発明においては、前記含有量として、前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後述の実施例において採用したいずれかの含有量の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後述の実施例において採用したいずれかの含有量の値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0029】
前記カーボンブラックの含有量が、30重量部未満であると、ゴム組成物の耐摩耗性が十分に確保できず、また強度等の一般的特性も十分でないことがあり、70重量部を超えると、ゴム組成物が硬くなり過ぎ、却って耐摩耗性が低下し、また低発熱性も十分でないことがある。
【0030】
(その他の成分)
前記その他の成分としては、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し、使用することができ、例えば、無機充填材、軟化剤、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤、加硫助剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、軟化剤、カップリング剤、発泡剤、発泡助剤等の添加剤などの他、通常ゴム業界で用いる各種配合剤などが挙げられる。
これらは、市販品を好適に使用することができる。
【0031】
−ゴム組成物の製造−
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分と、前記カーボンブラックと、必要に応じて適宜選択した前記その他の成分を混練り、熱入れ、押出、加硫等することにより製造することができる。
【0032】
前記混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置への投入体積、ローターの回転速度、ラム圧等、混練り温度、混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。
前記混練り装置としては、例えば、通常ゴム組成物の混練りに用いるバンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー、等が挙げられる。
【0033】
前記熱入れの条件としては、特に制限はなく、熱入れ温度、熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。
前記熱入れ装置としては、例えば、通常ゴム組成物の熱入れに用いるロール機等が挙げられる。
【0034】
前記押出の条件としては、特に制限はなく、押出時間、押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。
前記押出装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の押出に用いる押出機等が挙げられる。前記押出温度は、適宜決定することができる。
【0035】
前記押出の際、前記ゴム組成物の流動性をコントロールする目的で、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル等の可塑剤、液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム等の液状ポリマーなどの加工性改良剤を前記ゴム組成物に適宜添加することができる。この場合、該ゴム組成物の加硫前の粘度を低下させ、その流動性を高めることができ、極めて良好に押出を行うことができる。
【0036】
前記加硫を行う装置、方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加硫を行う装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機などが挙げられる。
前記加硫の条件として、その温度は、通常100〜190℃程度である。
【0037】
本発明のゴム組成物は、各種分野において好適に使用することができるが、耐摩耗性及び低発熱性を両立することが特に要求される構造物に好適に使用することができ、タイヤのトレッド等に特に好適に使用することができる。また、更生タイヤの貼り替え用のトレッド、中実タイヤ、氷雪路走行に用いるゴム製タイヤチェーンの接地部分、雪上車のクローラー、等にも使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これの実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
表1に示す組成のゴム組成物を、加硫装置を使用して加硫(条件:145℃で30分)した。
なお、各ゴム組成物は、更に、ステアリン酸2.0重量部、亜鉛華3.5重量部、老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン))2.0重量部、加硫促進剤(N’−シクロヘキシル−2−ベンゾジアゾチアジルスルフェンアミド)1.3重量部、及び硫黄1.0重量部を含有している。
【0040】
なお、各ゴム組成物に使用したカーボンブラックの特性を表2に示した。
表2において、「DBP」は、前記ジブチルフタレート(DBP)吸油量を表し、上述のようにして測定した。「Dw/Dn」は、前記凝集体の重量平均径(Dw)と数平均径(Dn)との比(Dw/Dn)を表し、「Dw」は、前記凝集体の重量平均径(Dw)を表し、「Dn」は、前記凝集体の数平均径(Dn)を表し、これらは、Disc Centrifuge Photosedimentmeter(DCP: Brook Haven社製、BI−DCP)を使用して求めた。「TINT」は、前記比着色力(Tint)を表し、JIS K6221−1982 A法に準拠した方法により測定した。「N2SA/IA」は、前記窒素吸着比表面積(N2SA)とヨウ素吸着量(IA)との比(N2SA/IA)を表し、「N2SA」は、前記窒素吸着比表面積(N2SA)を表し、上述のようにして測定し、「IA」は、前記ヨウ素吸着量(IA)を表し、上述のようにして測定した。「D50/Dst」は、前記凝集体の半値幅(ΔD50)と最頻値(Dst)との比(ΔD50/Dst)を表し、「D50」は、前記凝集体の半値幅(ΔD50)を表し、上述のようにして測定し、「Dst」は、前記凝集体の最頻値(Dst)を表し、上述のようにして測定した。
【0041】
前記加硫後に得られたゴム組成物について、耐摩耗性及び低発熱性を以下のようにして評価した。その結果を表1に示した。
【0042】
<耐摩耗性>
ランボーン摩耗試験機を用い、摩耗損失量を測定し、下式により算出した。
耐摩耗指数={(比較例1のゴム組成物の試験片の容積損失量)/(供試験片の容量損失)}×100
比較例1のゴム組成物を100として指数表示した。即ち数値が大きい程、耐摩耗性が良好である。
【0043】
<低発熱性>
長さ20mm、幅4.7mm及び厚み2mmのサンプルを用意し、該サンプルに対して、スペクトロメータを用いて加振周波数50Hzで、2%の繰り返し歪みを加えて60℃のtanδを測定した。
比較例1のゴム組成物を100として指数表示した。即ち数値が大きい程、低発熱性が良好である。
【0044】
【表1】
Figure 0004634556
【0045】
【表2】
Figure 0004634556
【0046】
なお、表1において、「天然ゴム」は、RSS♯1であり、「ポリブタジエン」は、JSR社製、BR01であり、「カーボンブラック」A〜Jは、試作品である。
【0047】
表1及び表2の結果から、以下のことが明らかである。即ち、比較例1のように、前記DBP吸油量が140ml/100g未満であると、耐摩耗性が十分でなく、低発熱性の向上も観られない。また、前記比(Dw/Dn)が1.80未満であると、低発熱性の向上が観られない。
これに対し、本発明の実施例の場合には、互いに背反する耐摩耗性及び低発熱性を両立し、これらをバランス良く向上させることができる。なお、前記比着色力(Tint)が、Tint≧0.100×窒素吸着比表面積(N2SA)+93の不等式を満たさない実施例7では、耐摩耗性がやや低下する傾向が観られた。また、前記比(ΔD50/Dst)が1.05未満である実施例6では、低発熱性がやや低下する傾向が観られた。
【0048】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができ、互いに背反する特性である耐摩耗性と低発熱性とを両立し、これらをバランス良く向上させ、タイヤのトレッド等をはじめとする各種分野において好適に使用することができるゴム組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分と、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140〜200ml/100gであり、凝集体の重量平均径(Dw)と数平均径(Dn)との比(Dw/Dn)が1.80〜2.40であり、かつ比着色力(Tint)が、Tint≧0.100×窒素吸着比表面積(NSA)+93であるカーボンブラックと、を含有し、前記カーボンブラックを、前記ゴム成分100重量部に対し、30〜70重量部含有するゴム組成物。
  2. カーボンブラックにおける、窒素吸着比表面積(NSA)が100〜180m/gであり、窒素吸着比表面積(NSA)とヨウ素吸着量(IA)との比(NSA/IA)が0.70〜1.00である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 遠心沈降分析により測定したカーボンブラックの凝集体の特性は、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)と、最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD 50 との比(ΔD50/Dst)が1.05〜2.50である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. カーボンブラックにおける、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140〜180ml/100gであり、窒素吸着比表面積(NSA)が100〜170m/gであり、窒素吸着比表面積(NSA)とヨウ素吸着量(IA)との比(NSA/IA)が0.80〜1.00である請求項1から3のいずれかに記載のゴム組成物。
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