JP5374007B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤに関し、特に、優れた耐摩耗性を有しながら高い反発弾性を有する低発熱性のタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
カーボンブラックは、厳密に制御された条件下において、ファーネス炉内で発生させた、あるいは、外部で発生されて炉内に導入された高温燃焼ガス中へ原料炭化水素を噴霧させ、この原料炭化水素の熱分解又は不完全燃焼により生産される産業上有用な原材料である。カーボンブラックは、ゴム配合時の組成物に対して機械的性質、特に引張り強さ、耐摩耗性などの特性を、飛躍的に向上させることができるという特異な性質を有することから、タイヤをはじめとする各種ゴム製品の重点補強剤として広く用いられている。
ゴム配合用カーボンブラックは、その物理化学特性、即ち、カーボンブラックを構成する単位粒子径、単位重量当たりの表面積(比表面積)、粒子のつながり具合(ストラクチャー)、表面形状などにより、配合ゴム組成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム性能、使用される環境等によって各種特性の異なるカーボンブラックが選択的に使用されている。
タイヤの接地面に用いられるゴム組成物では、高速度で回転して道路と接触することによる摩耗に対する耐性(耐摩耗性)に優れていると同時に、路面との接触で生じるゴム組成物の繰り返し変形によるヒステリシスロス特性を低下させる(低発熱性)ことが重要な要素であるが、これら2つの特性は二律背反現象であることが知られている。
タイヤトレッド配合用カーボンブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段、例えば、より大きい比表面積、あるいはストラクチャーを有するカーボンブラックを採用した場合、上述したように、耐摩耗性と低発熱性は互いに相反する特性であり、この課題を解決するために種々の特性を有するカーボンブラックが提案されている。
例えば、カーボンブラックに含まれる炭素以外の構成元素や表面活性に着目し、カーボングラック表面の水素量と酸素量の和、あるいは比を特定した発明が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
又、カーボンブラックに含有されるピリジン又はトルエンによる溶媒抽出分(重質タール成分)を低減させることで、ゴム中での分散改良等により配合ゴム組成物の補強性、耐摩耗性を改良する発明が提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
高温ガス流中に導入された原料炭化水素の熱分解、又は不完全燃焼によってカーボンブラックが生成する反応過程は極めて複雑で未だ詳細に解明されていないが、一般に、カーボンブラック生成条件が一定であれば、カーボンブラック形成反応を停止させる急冷媒体導入位置から遠ざけること、及び反応停止水量を下げることなどにより、UV吸光度が0.15以下という低芳香族炭化水素含有カーボンブラックを得ることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。この発明は、着色用カーボンブラックの製造プロセスに関するものであり、一般に形成されたカーボンブラックを高温雰囲気中に長時間暴露させるのは表面活性を低下させることになるので、ゴム配合組成物としては耐摩耗性あるいは低発熱性などの特性が低下する懸念がある。
特開平4−108837号公報 特開平10−36703号公報 特開平9−40883号公報 特開平8−269360号公報
従来一般に、タイヤの耐摩耗性の向上には、タイヤを構成するゴム組成物に配合されるカーボンブラックの粒子径やストラクチャが支配要因として考えられており、カーボンブラックの粒子径を小さくするほど耐摩耗性が向上するが、カーボングラックの粒子径が極端に小さいとゴム中で分散不良を起こし、発熱性が増大することが知られている。かかるゴム組成物でタイヤトレッドを作成した場合、耐摩耗性には優れるが、低燃費性には劣る。即ち、カーボンブラックの粒子径において、耐摩耗性と低発熱性は二律背反の関係にある。又、ストラクチャーについても、これを増加させるほど耐摩耗性は向上する傾向にあるが、増加しすぎると加工性や耐チッピング性が低下し、更に発熱性も増大するなどの問題点がある。更に、カーボンブラック配合部数を増加させることでも耐摩耗性はある程度まで増加するが、高ストラクチャー化の場合と同様の懸念(加工性低下など)が生じる。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、高耐摩耗性と低発熱性とを両立したタイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、カーボンブラック製造工程において、原料炭化水素などの滞留時間や平均反応温度に着目して鋭意研究を行った。その結果、各製造工程において、どのような温度でどのくらいの間熱を受けているかを示すこれらの積(熱履歴の程度を示す指標)を定義し、この値を特定の範囲に設定することにより、耐摩耗性及び低発熱性に優れたカーボンブラックを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の特徴は、燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを同軸上に連接した製造炉を用い、燃焼帯域内で、燃料用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する工程と、反応帯域内で、高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、原料炭化水素をカーボンブラックに転化する工程と、第1の急冷媒体が導入される工程と、反応停止帯域内で、高温燃焼ガス流を第2の急冷媒体により急冷して反応を終結する工程とを含むカーボンブラック製造工程において、原料炭化水素が高温燃焼ガス流中に導入されてから第1の急冷媒体が導入されるまでの滞留時間をt1(sec)、この空間における平均反応温度をT1(℃)、急冷媒体が導入されてから反応ガス流が第2の急冷媒体導入位置に達するまでの滞留時間をt2(sec)、この空間における平均反応温度をT2(℃)とし、α=t1×T1、β=t2×T2とすると、
2.00≦α≦9.00 ……式(1)
−2.5×α+85.0≦β≦90.0 ……式(2)
を満たすカーボンブラック製造工程によって製造されたカーボンブラックを、少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムを10重量%以上含むゴム成分100重量部当たり、10〜250重量部配合するタイヤトレッド用ゴム組成物であることを要旨とする。
α値が2.00未満の製造条件で得られるカーボンブラックは、トルエン着色透過度が90%未満、モノクロロベンゼン抽出量が0.15%を超え、カーボンブラック中に含有される多環芳香族炭化水素成分が多く存在することとなり、この成分はゴムに対して補強効果を示さないために、ゴム組成物に十分な補強性を与えずに耐摩耗性が低下する。又、α値が9.00を超えた製造条件、即ち、カーボンブラック反応工程において過度の熱履歴を受けた条件で得られるカーボンブラックは、水素放出率が0.260−6.25×10-4×CTAB(重量%)未満となり、ゴム組成物の耐摩耗性が低下するとともに、発熱性が大きくなるため好ましくない。
又、α値が上記の範囲を満たしていても、β値が−2.5×α+85.0の関係式値未満の製造条件、即ち、急冷媒体導入後から反応停止帯域までの熱履歴が小さい場合に得られるカーボンブラックは、トルエン着色透過度が90%未満、モノクロロベンゼン抽出量が0.15%を超え、逆に、β値が90.0を超える過剰な熱履歴を受ける製造条件下で得られるカーボンブラックは、水素放出率が0.260−6.25×10-4×CTAB(重量%)未満となり、上記と同様の理由により好ましくない。
第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物によると、上記のように熱履歴を最適化することにより、ゴム組成物での機械的特性、特に耐摩耗性の低下を回避でき、高い耐摩耗性と同時に低発熱性に優れる。
又、α値及びβ値は、
3.00≦α≦8.00 ……式(3)
−2.5×α+85.0≦β≦86.0 ……式(4)
を満たすことが更に好ましい。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する工程を更に含むカーボンブラック製造工程において製造されたカーボンブラックを配合することが好ましい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。このようにガス体を導入することにより、平均反応温度T1、T2を調整することができる。尚、平均反応温度T2を調整するために、急冷媒体導入位置での水量等を適宜調節してもよい。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が40〜250ml/100gであり、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が35〜220ml/100gであるカーボンブラックを配合することが必要である。DBPが40ml/100g未満又は24M4DBPが35ml/100g未満では、タイヤトレッド用ゴム組成物として最低限必要な引っ張り応力を発現できず、又、DBPが250ml/100g以上又は24M4DBPが220ml/100g以上では、必要最低限の伸びを確保できない。
又、ジブチルフタレート吸油量(DBP)は95〜220ml/100gであり、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)は90〜200ml/100gであるカーボンブラックを配合することが好ましい。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであるカーボンブラックを配合することが必要である。CTABが70m2/g未満では、タイヤトレッド用ゴム組成物として最低限必要な引っ張り強さを発現することができず、200m2/gを超えると、ゴム組成物中での分散性を十分に確保することができず、例えば、ゴム組成物の耐摩耗性等が悪化する。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、比着色力(TINT)>0.363×CTAB+71.792であるカーボンブラックを配合することが好ましい。比着色力(TINT)>0.363×CTAB+71.792とすると、カーボンブラックのゴム補強性が向上するからである。この第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物によると、特に耐摩耗性を向上させることができる。
あるいは、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、比着色力(TINT)<0.363×CTAB+71.792、かつ、比着色力(TINT)>50であるカーボンブラックを配合することが好ましい。比着色力(TINT)<0.363×CTAB+71.792とすると、カーボンブラックのゴム中での分散性が向上し、ゴムの低発熱化に寄与するからである。TINTが50以下の場合は、タイヤとして実用に耐える強力及び耐摩耗性を発現できない。この第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物によると、特に低発熱性を向上させることができる。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、水素放出率>0.260−6.25×10-4×CTAB(重量%)であるカーボンブラックを配合することが好ましい。上記関係式値以下では、タイヤトレッド用ゴム組成物の耐摩耗性が低下するとともに、発熱性が大きくなるために好ましくない。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、トルエン着色透過度が90%以上であり、モノクロロベンゼン抽出量が0.15%以下であるカーボンブラックを配合することが好ましい。トルエン着色透過度が90%未満、あるいは、モノクロロベンゼン抽出量が0.15%を超える場合は、カーボンブラックに含有される重質タール成分が多く存在し、この成分はゴムに対して十分な補強性を与えずに耐摩耗性が低下するため好ましくない。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物に配合されるカーボンブラックは、ゴム成分100重量部当たり、10〜250重量部配合される必要がある。10重量部未満では、タイヤトレッド用ゴム組成物として最低限必要な強度を発現することができず、250重量部を超えると、加工性に問題が生じるばかりでなく、タイヤトレッド用ゴム組成物として最低限必要な伸びを確保することができない。
即ち、本発明のゴム組成物は、第1の特徴に係る製造工程で製造され、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が40〜250ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が35〜220ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであるカーボンブラックを10〜250重量部配合したものである。
より好ましくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、比着色力(TINT)が50より大きいカーボンブラックを10〜250重量部配合したものである。
更に好ましくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、比着色力(TINT)が50より大きく、水素放出率が[0.260−6.25×10-4×CTAB](重量%)より大きいカーボンブラックを10〜250重量部配合したものである。
より更に好ましくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、比着色力(TINT)が50より大きく、水素放出率が[0.260−6.25×10-4×CTAB](重量%)より大きく、トルエン着色透過度が90%以上又はモノクロロベンゼン抽出量が0.15%以下であるカーボンブラックを10〜250重量部配合したものである。
又、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物におけるゴム成分は、少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムを10重量%以上含む。ジエン系ゴムを10重量%以上含む場合、ゴムのガラス転移点(Tg)が低く、低ロスとなる。
本発明の第2の特徴は、第1の特徴に係るタイヤトレッド用ゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤであることを要旨とする。
第2の特徴に係る空気入りタイヤによると、上述したゴム組成物をトレッド部に適用することにより、耐摩耗性と低発熱性とを向上させることができる。
本発明によれば、高耐摩耗性と低発熱性とを両立したタイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
次に、本発明を詳細に説明する。
(カーボンブラックの製造方法)
本実施形態に係るカーボンブラックは、図1に示すカーボンブラック製造炉1を用いて製造する。カーボンブラック焼成炉1内部は、燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを同軸上に連接した構造であり、その全体は耐火物で覆われている。
カーボンブラック焼成炉1は、燃焼帯域として、可燃性流体導入室(内径450mmφ、長さ400mm)2と、炉頭部外周から酸素含有ガス導入管3によって導入された酸素含有ガスを、整流板5を用いて整流して可燃性流体導入室2へ導入する酸素含有ガス導入用円筒(内径250mmφ、長さ300mm)4と、酸素含有ガス導入用円筒の中心軸に設置され、可燃性流体導入室2へ燃料用炭化水素を導入する燃料油噴霧装置導入管6とを備える。燃焼帯域内では、燃料用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する。
又、カーボンブラック焼成炉1は、反応帯域として、円筒の次第に収れんする収れん室(上流端内径370mmφ、下流端内径80mmφ、収れん角度5.3°)7と、収れん室7の下流側に4つの別個の平面を形成する原料油噴霧口8A〜8Dを含む原料油導入室9と、原料油導入室9の下流側に反応室10とを備える。原料油噴霧口8A〜8Dは、燃焼帯域からの高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入する。原料油噴霧口8A〜8Dは、それぞれ図2に示すように、90度間隔で、4つの噴霧口(8B−1、8B−2、8B−3、8B−4)を同一平面上に有する。図2では、原料油噴霧口8Bについて示したが、その他の原料油噴霧口8A、8C、8Dについても同様の構成とする。反応帯域内では、高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、原料炭化水素をカーボンブラックに転化する。
又、カーボンブラック焼成炉1は、反応停止帯域として、反応停止用急冷水圧入噴霧装置a〜yを25箇所有する反応継続兼冷却室(内径160mmφ、長さ7500mm)11を備える。反応停止用急冷水圧入噴霧装置a〜yは、反応帯域からの高温燃焼ガス流に対して、水などの急冷媒体を噴霧する。反応停止帯域内では、高温燃焼ガス流を急冷媒体により急冷して反応を終結する。
又、カーボンブラック製造炉1は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する装置を更に備えてもよい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。
本実施形態に係るカーボンブラック製造工程では、原料炭化水素が高温燃焼ガス流中に導入されてから第1の急冷媒体が導入されるまでの滞留時間をt1(sec)、この空間における平均反応温度をT1(℃)、急冷媒体が導入されてから反応ガス流が第2の急冷媒体導入位置に達するまでの滞留時間をt2(sec)、この空間における平均反応温度をT2(℃)とし、α=t1×T1、β=t2×T2とすると、
2.00≦α≦9.00 ……式(1)
−2.5×α+85.0≦β≦90.0 ……式(2)
である。更に、
3.00≦α≦8.00 ……式(3)
−2.5×α+85.0≦β≦86.0 ……式(4)
を満たす。
又、カーボンブラック製造炉1は、炉内の温度をモニターするため、任意の数箇所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える。平均反応温度T1、T2を算出するために、各工程(各帯域)で、少なくとも2箇所、望ましくは3〜4箇所の温度を測定することが好ましい。
又、滞留時間t1、t2の算出は、公知の熱力学的計算方法によって導入反応ガス流体の体積を算出し、次式により算出するものとする。尚、原料油の分解反応および急冷媒体による体積増加は無視するものとする。
滞留時間t1(sec)=
原料炭化水素導入位置から第1の急冷媒体導入位置までの反応炉内通過容積(m3)/ 反応ガス流体の体積(m3/sec)
……式(5)
滞留時間t2(sec)=
第1の急冷媒体導入位置から第2の急冷媒体導入位置までの反応炉内通過容積(m3)/ 反応ガス流体の体積(m3/sec)
……式(6)
(カーボンブラックの物理化学特性)
上述したカーボンブラック製造炉及びカーボンブラック製造方法によって製造されたカーボンブラックは、以下のような特性を有する。
本実施形態に係るカーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は40〜250ml/100gであり、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)は35〜220ml/100gである。更に詳しくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)は95〜220ml/100gであり、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)は90〜200ml/100gである。
尚、ジブチルフタレート吸油量(DBP)及び圧縮DBP吸油量(24M4DBP)は、ASTM D2414−88(JIS K6217−97)に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチチルフタレート(DBP)の体積mlで表示される。
又、本実施形態に係るカーボンブラックのセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gである。
尚、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、ASTM D3765−92に記載の方法により測定され、カーボンブラック単位重量当たりの比表面積m2/gで表示される。
又、本実施形態に係るカーボンブラックの比着色力(TINT)は、TINT>0.363×CTAB+71.792である。あるいは、TINT<0.363×CTAB+71.792、かつ、TINT>50である。
尚、比着色力(TINT)は、ASTM D3265−88に記載の方法により測定され、所定量のカーボンブラックと亜鉛華・パラフィンオイルを混合したときの標準物質対比の黒色度(index)で表示される。
又、本実施形態に係るカーボンブラックの水素放出率は、水素放出率>0.260−6.25×10-4×CTAB(重量%)である。
尚、水素放出率は、(1)カーボンブラック試料を105℃の恒温乾燥機中で1時間乾燥し、デシケータ中で室温まで冷却し、(2)スズ製のチューブ状サンプル容器に約10mgを精秤し、圧着・密栓し、(3)水素分析装置(堀場製作所EMGA621W)でアルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量分率で表示される。
又、本実施形態に係るカーボンブラックのトルエン着色透過度は、90%以上である。
尚、トルエン着色透過度は、JIS K6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
又、本実施形態に係るカーボンブラックのモノクロロベンゼン抽出量が0.15%以下である。
尚、モノクロロベンゼン抽出量は、JIS K6218:1997の第9項 溶媒抽出量に準拠し、溶媒としてモノクロロベンゼン、抽出時間として30時間行い、抽出量を測定したものである。
(タイヤトレッド用ゴム組成物)
本実施形態に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分と、ゴム成分100質量部当たり、上述したカーボンブラックを10〜250重量部とを含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)及び少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムの少なくとも何れかを10重量%以上含む。ここで、ジエン系ゴムとしては、スチレンーブタジエン共重合ゴム(SBR)等が挙げられる。
ゴム成分が、天然ゴム及びポリブタジエンゴムの少なくとも一方を10重量%以上含む場合、ゴムのガラス転移点(Tg)が低く、低ロスである。又、少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムの少なくとも何れかを10重量%以上含む場合、更に低ロスとなる。
ゴム成分には、更にポリイソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、未変性のスチレン−ブタジエンゴム共重合ゴム等を単独又は二種以上の混合物として配合することができる。
上記ジエン系ゴムの少なくとも一方の分子末端を変性するスズ化合物としては、四塩化スズ、ジクロロジオクチルスズ、トリオクチルスズクロリド、ジブチルジクロロスズ等が、アミン化合物としては、N,N−ジエチルベンズアルデヒド、ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が、ケイ素化合物としては、トリエトキシシリルプロピルジヒドロイミダゾール、メチルブチリデントトリエトキシシリルプロピルアミン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
カーボンブラックは、ゴム組成物における補強性充填材として使用され、上述した特性を有するカーボンブラックが用いられる。又、本実施形態に係るカーボンブラックとしては、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、ISAF−LS、SAF−LS等が挙げられる。
ゴム組成物に含まれるその他の成分としては、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し、使用することができ、例えば、軟化剤、無機充填材、軟化剤、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤、加硫助剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、軟化剤、カップリング剤、発泡剤、発泡助剤等の添加剤などの他、通常ゴム業界で用いる各種配合剤などが挙げられる。これらは、市販品を好適に使用することができる。
(ゴム組成物の製造)
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラックと、軟化剤と、必要に応じて適宜選択したその他の成分とを、混練り、熱入れ、押出、加硫等することにより製造することができる。
混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置への投入体積、ローターの回転速度、ラム圧等、混練り温度、混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。混練り装置としては、例えば、通常ゴム組成物の混練りに用いるバンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー、等が挙げられる。
熱入れの条件としては、特に制限はなく、熱入れ温度、熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。熱入れ装置としては、例えば、通常ゴム組成物の熱入れに用いるロール機等が挙げられる。
押出の条件としては、特に制限はなく、押出時間、押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。押出装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の押出に用いる押出機等が挙げられる。押出温度は、適宜決定することができる。
押出の際、ゴム組成物の流動性をコントロールする目的で、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル等の可塑剤、液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム等の液状ポリマーなどの加工性改良剤をゴム組成物に適宜添加することができる。この場合、ゴム組成物の加硫前の粘度を低下させ、その流動性を高めることができ、極めて良好に押出を行うことができる。
加硫を行う装置、方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。加硫を行う装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機などが挙げられる。加硫の条件として、その温度は、通常100〜190℃程度である。
(空気入りタイヤ)
本実施形態に係る空気入りタイヤは、上述のタイヤトレッド用ゴム組成物をトレッド部に用いることにより、耐摩耗性及び低発熱性を向上させることができる。尚、本実施形態に係る空気入りタイヤは、従来より公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。又、本実施形態に係る空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
空気入りタイヤの一例としては、1対のビード部、当該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、当該カーカスのクラウン部をたが締めするベルト及びトレッドを有してなる空気入りタイヤなどが好適に挙げられる。本実施形態に係る空気入りタイヤは、ラジアル構造を有していてもよいし、バイアス構造を有していてもよい。
トレッドの構造としては、特に制限はなく、1層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、直接路面に接地する上層のキャップ部と、このキャップ部の空気入りタイヤの内側に隣接して配置される下層のベース部とから構成される、いわゆるキャップ・ベース構造を有していてもよい。本実施形態においては、少なくともキャップ部が本実施形態に係るゴム組成物で形成されているのが好ましい。本実施形態に係る空気入りタイヤは、その製造方法につき特に制限はないが、例えば、以下のようにして製造することができる。即ち、まず、本実施形態に係るゴム組成物を調製し、このゴム組成物を、生空気入りタイヤケースのクラウン部に予め貼り付けられた未加硫のベース部の上に貼り付ける。そして、所定のモールドで所定温度、所定圧力の下で加硫成形することにより製造することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<カーボンブラックの製造>
図1及び図2において説明したカーボンブラック製造炉を用いて、実施例1〜10、比較例1〜7のカーボンブラックを製造した。又、製造炉内の温度をモニターするため、任意の数カ所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える上記製造炉を用いた。カーボンブラック製造炉において、燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。
Figure 0005374007
又、カーボンブラック製造炉の操作条件は、表2に示すとおりである。
Figure 0005374007
表2は、カーボンブラックA〜Hにおける、前述したカーボンブラック製造炉の導入総空気量、原料油導入量、及び温度、燃料導入量、又、原料炭化水素導入位置から急冷媒体導入位置までの滞留時間、その空間内の平均反応温度、更に急冷媒体が導入されてから反応停止域までの滞留時間、その空間内の平均反応温度などの条件を調整して製造した条件を示したものである。
<カーボンブラックの物理化学特性>
表3にカーボンブラックA〜Hの物理化学特性を示す。
ここで、DBP吸油量、24M4DBP吸油量、CTAB表面積、TINT、水素放出率、トルエン着色透過度、モノクロロベンゼン抽出量については、実施形態中に記した方法により、測定を行った。
Figure 0005374007
<ゴム組成物の調整>
表4及び表5に示す配合割合で、表2に示す操作条件によって製造されたカーボンブラックを、パンバリーミキサーを用いて混練りしてゴム組成物を調整した。このゴム配合物を145℃の温度の下、加圧型加硫装置で30分間加硫した。
Figure 0005374007
Figure 0005374007
*3 RSS#3
*4 大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C
*5 大内新興化学工業(株)製、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド
*6 住友化学工業(株)製、ジフェニルグアニジン
又、表4及び表5に示すポリマーA、ポリマーBの合成方法は、以下に示すとおりである。
=ポリマーAの合成方法=
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10g及びビステトラヒドロフリルプロパン0.35mmolを仕込み、更にn−ブチルリチウム0.42mmolを加え、50℃で2時間重合させた。重合開始から終了まで重合系にまったく沈殿は見られず、均一かつ透明であった。重合転化率はほぼ100%であった。重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状共重合体(ポリマーA)を得た。この共重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィ[GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−XL(2本直列)]で示差屈折率(RI)検出器を用いて分析したところ、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)195000、重量平均分子量(Mw)225000であった。又、赤外法(モレロ法)でミクロ構造を分析したところ、ビニル量が57%であり、H−NMRでスペクトルの積分比より算出した結合スチレン含有量が20%であった。
=ポリマーBの合成方法=
ポリマーAの重合溶液に末端変性剤として四塩化スズ0.12mmolを加え、50℃で30分間変性させた。その後、BHTのイソプロパノール5%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、更に常法に従って乾燥し、ゴム状共重合体(ポリマーB)を得た。パーキンエルマー社製示差熱分析機(DSC)7型装置を用い、ポリマーBを−100℃まで冷却した後、10℃/分の昇温速度で昇温してガラス転移点(Tg)を測定したところ、ポリマーBのガラス転移点(Tg)は、−39℃であった。又、ポリマーBの分子末端のうち72%が四塩化スズで変性されていた。
<測定及び試験>
比較例1〜12及び実施例1〜5について、以下の測定及び試験を行った。
(1)未加硫ゴム物性
ムーニー粘度はJISK6300に基づき、130℃にて測定した。
(2)耐摩耗性評価
該当するカーボングラックを配合したゴム組成物をトレッド部にもつトラック用タイヤを作り、車両に装着した。2万キロ走行した時点での溝の減量を測定し、比較例5の値の逆数を100とし、指数表示した。この値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(3)低発熱性評価
鋼鉄ドラム上で一定荷重下一定時間回転させ、タイヤトレッド部の温度を測定した。比較例5の値の逆数を100とし、指数表示した。この値が大きいほど低発熱性に優れることを示す。
表6及び表7に、比較例1〜12及び実施例1〜5の結果を示す。
Figure 0005374007
Figure 0005374007
<結果>
表2〜表7に示したカーボングラック製造条件、物理化学特性から本発明ゴム組成物の効果を説明する。
実施例1〜5は、比較例1〜12と比較して、高い耐摩耗性と低発熱性を両立していることが分かる。実施例1〜5のカーボンブラックは、
2.00≦α≦9.00 ……式(1)
−2.5×α+85.0≦β≦90.0 ……式(2)
を満たしており、比較例1〜12のカーボンブラックは、上記式(1)あるいは(2)を満たしていない。よって、上記式(1)及び式(2)を満たすことにより、高い耐摩耗性と低発熱性を両立するタイヤトレッド用ゴム組成物が得られることが分かった。
特に、カーボンブラックの物理化学特性が、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、比着色力(TINT)が0.363×CTAB+71.792より大きい場合(カーボンブラックA、カーボンブラックC)、かつ変性されたポリマー(ポリマーB)に配合された場合(実施例1、2、4)には、耐摩耗性に特化した配合物性が得られることが分かる。
又、カーボンブラックの物理化学特性が、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、比着色力(TINT)が50より大きく、かつ、比着色力(TINT)が0.363×CTAB+71.792より小さい場合(カーボンブラックB)で、かつ変性されたポリマー(ポリマーB)に配合された場合(実施例3)には、特に低発熱性に優れることが分かる。
このように、ジブチルフタレート吸油量(DBP):40〜250ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP):35〜220ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB):70〜200m2/gを満たすゴム組成物の中でも、配合するカーボンブラックの物理化学特性を適切に制御することで、高耐摩耗特化型ゴム組成物及びタイヤトレッドと低発熱性特化型ゴム組成物及びタイヤトレッドを作成することができる。
更に、上述のカーボンブラック製造条件を満たしても、その物理化学特性がジブチルフタレート吸油量(DBP):40〜250ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP):35〜220ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB):70〜200m2/gという条件、あるいは、ジブチルフタレート吸油量(DBP):95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP):90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB):70〜200m2/g、比着色力(TINT):0.363×CTAB+71.792より大きいという条件を満たさない場合(カーボンブラックD)には、高耐摩耗性と低発熱性を両立することができない(実施例5)。
更に又、ジブチルフタレート吸油量(DBP):95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP):90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB):70〜200m2/g、比着色力(TINT):0.363×CTAB+71.792より大きいという条件、あるいは、ジブチルフタレート吸油量(DBP):95〜220ml/100g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP):90〜200ml/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB):70〜200m2/g、比着色力(TINT):50より大きく、かつ、0.363×CTAB+71.792より小さいという条件を満たす場合(カーボンブラックA、B、C)でも、配合ゴムとして、少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムを10重量%以上含まない場合(比較例1、2、3、8)には、高耐摩耗性と低発熱性とを両立することができないことが分かる。まして、本発明で規定する製造条件と物理化学特性を満たさなかった比較例5、6、7、9、10のカーボンブラック配合物は、高耐摩耗性と低発熱性の両立はできないことが分かった。
本実施形態に係るカーボンブラック製造炉の縦断正面説明図である。 図1のA−A断面図である。
符号の説明
1 カーボンブラック製造炉
2 可燃性流体導入室
3 酸素含有ガス導入管
4 酸素含有ガス導入用円筒
5 整流板
6 燃料油噴霧装置導入管
7 収れん室
8A〜8D 原料油噴霧口
9 原料油導入室
10 反応室
11 反応継続兼急冷室
a〜y 急冷水圧入噴霧装置

Claims (11)

  1. 燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを同軸上に連接した製造炉を用い、前記燃焼帯域内で、燃料用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する工程と、前記反応帯域内で、前記高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、前記原料炭化水素をカーボンブラックに転化する工程と、第1の急冷媒体が導入される工程と、前記反応停止帯域内で、前記高温燃焼ガス流を第2の急冷媒体により急冷して反応を終結する工程とを含むカーボンブラック製造工程において、
    前記原料炭化水素が前記高温燃焼ガス流中に導入されてから前記第1の急冷媒体が導入されるまでの滞留時間をt1(sec)、この空間における平均反応温度をT1(℃)、前記第1の急冷媒体が導入されてから反応ガス流が前記第2の急冷媒体導入位置に達するまでの滞留時間をt2(sec)、この空間における平均反応温度をT2(℃)とし、α=t1×T1、β=t2×T2とすると、
    2.00≦α≦9.00 ……式(1)
    −2.5×α+85.0≦β≦90.0 ……式(2)
    を満たすカーボンブラック製造工程によって製造されたカーボンブラックを、少なくとも一方の分子末端がスズ化合物、アミン化合物及びケイ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物で変性されているジエン系ゴムを10重量%以上含むゴム成分100重量部当たり、10〜250重量部配合することを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記α及び前記βは、
    3.00≦α≦8.00 ……式(3)
    −2.5×α+85.0≦β≦86.0 ……式(4)
    を満たすカーボンブラック製造工程によって製造されたカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記反応帯域あるいは前記反応停止帯域において、ガス体を導入する工程を更に含む前記カーボンブラック製造工程において製造されたカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. ジブチルフタレート吸油量(DBP)が40〜250ml/100gであり、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が35〜220ml/100gであり、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. 前記ジブチルフタレート吸油量(DBP)が95〜220ml/100gであり、前記圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が90〜200ml/100gであるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項4に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  6. 比着色力(TINT)>0.363×CTAB+71.792であるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  7. 比着色力(TINT)<0.363×CTAB+71.792、かつ、比着色力(TINT)>50であるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  8. 水素放出率>0.260−6.25×10-4×CTAB(重量%)であるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  9. トルエン着色透過度が90%以上であるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  10. モノクロロベンゼン抽出量が0.15%以下であるカーボンブラックを配合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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