JP2015007154A - サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性をバランス良く改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分及びシリカを含有し、前記ゴム成分100質量%中、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、イソシアヌル酸トリグリシジルを反応させた変性ジエン系重合体ゴムの含有量が5質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5〜150質量部であるサイドウォール用ゴム組成物に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、サイドウォール用ゴム組成物及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗特性を向上)させることにより自動車の低燃費化が行なわれている。例えば、タイヤのトレッドを2層構造(内面層(ベーストレッド)及び表面層(キャップトレッド))とし、ベーストレッドに、優れた低発熱性(低燃費性)を有するゴム組成物が使用されている。しかし、近年、低燃費化への要求が更に強くなり、タイヤにおける占有比率の高いトレッドだけでなく、トレッド以外の部材(例えばサイドウォール)に対しても、より優れた低燃費性が要求されている。
サイドウォール用ゴム組成物においては、キャップトレッド用ゴム組成物と異なり、従来から粒子径の大きいカーボンブラックが使用されており、カーボンブラックをシリカに変更しても低燃費性の向上効果はそれほど大きくない。また、低燃費性の向上のためにフィラーの配合量を減らすと、強度が低下して、耐屈曲亀裂性が悪化したり、硬度が低下して操縦安定性が悪化するおそれがある。したがって、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性をバランス良く改善する方法が望まれている。
特許文献1には、粒子径の異なるシリカを配合し、低燃費性を向上できるゴム組成物が開示されている。また、特許文献2〜5には、インデン系樹脂などのレジン(樹脂)を用いてグリップ性能などを改善することが提案されている。しかし、これらのゴム組成物では、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性をバランス良く改善する点について、未だ改善する余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性をバランス良く改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分及びシリカを含有し、前記ゴム成分100質量%中、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、下記式(I)で表される化合物を反応させた変性ジエン系重合体ゴムの含有量が5質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5〜150質量部であるサイドウォール用ゴム組成物に関する。
(式中、l〜nは、独立に、1〜8の整数を表す。)
前記変性ジエン系重合体ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が1.0〜1.5であることが好ましい。
前記変性ジエン系重合体ゴムのビニル結合量が、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%であることが好ましい。
本発明はまた、前記サイドウォール用ゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の変性ジエン系重合体ゴムと、シリカとを配合したサイドウォール用ゴム組成物であるので、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムは、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、下記式(I)で表される化合物を反応させた変性ジエン系重合体ゴムである。
(式中、l〜nは、独立に、1〜8の整数を表す。)
共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等をあげることができ、これらのうちでは、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等をあげることができ、これらのうちでは、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、スチレンが好ましい。
炭化水素溶媒としては、アルカリ金属触媒を失活させないものであり、適当な炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素数3〜12個を有するプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどをあげることができる。また、これらの溶剤は2種以上を混合して使用することができる。
アルカリ金属系触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の金属、これらの金属を含有する炭化水素化合物又は該金属と極性化合物との錯体などをあげることができる。なお、アルカリ金属触媒として好ましいものとしては、2〜20個の炭素原子を有するリチウム又はナトリウム化合物をあげることができ、その具体例としては、たとえば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム4−シクロペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−ブテン−2、ナトリウムナフタレン、ナトリウムビフェニル、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウムジエトキシエタン錯体、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩などをあげることができる。
本発明で使用する前記の活性ジエン系重合体ゴムに反応させる変性化合物としては、上記式(I)で示される化合物が用いられ、l〜nは独立に1〜8の整数が好ましく、低燃費性改良のためには、l〜nがいずれも1であるイソシアヌル酸トリグリシジルが最も好ましい。
重合用モノマーとしては、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを併用してもよいが、共役ジエンモノマーのみを用いることが好ましい。重合反応において、共役ジエンモノマーの使用量は、重合で使用した重合体モノマーの総使用量を100質量%として、好ましくは99.9質量%以上であり、より好ましくは99.95質量%以上であり、更に好ましくは100質量%である。
重合に際しては、アルカリ金属触媒、炭化水素溶媒、ランダム重合性を高める試薬、共役ジエン単位のビニル結合含有量調節剤など通常使用されているものを用いることが可能である。該共重合体の製造における重合温度は、特に制約を受けないが、通常−80℃〜150℃であり、反応速度とアルカリ金属職触媒の安定性の観点から、20〜110℃が好ましい。重合時間は特に制限されないがアルカリ金属触媒が少なくとも24時間以内で完了する。
共役ジエン部のビニル結合含有量を調節するためには、ルイス塩基性化合物として、各種の化合物を使用し得るが、エーテル化合物又は第三級アミンが、工業的実施上の入手容易性の点で好ましい。エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルがあげられる。また、第三級アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどのほかに、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して本発明の前記一般式(I)で示される変性化合物を添加して製造する際に使用する量は、アルカリ金属を付加する際使用するアルカリ金属触媒1モル当たり、通常0.06〜10モルであり、好ましくは0.1〜5モルであり、より好ましくは0.2〜2モルである。該使用量が少なすぎる場合は低燃費性の改良効果が少なく、逆に多すぎる場合は、重合溶媒中に残存するため、その溶媒をリサイクル使用する場合には溶媒からの分離工程を必要とする等、経済的に好ましくない。
該変性化合物とアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体との反応は、迅速に起きるので、反応温度及び反応時間は広範囲に選択できるが、一般的には、室温乃至は100℃、数秒乃至数時間である。反応は、アルカリ金属含有ジエン系重合体と該変性化合物とを接触させればよく、たとえば、アルカリ金属触媒を用いて、ジエン系重合体を重合し、該重合体溶液中に該変性化合物を所定量添加する方法が、好ましい態様として例示できるが、この方法に限定されるものではない。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系共重合体に対して、前記一般式(I)で示される変性化合物を反応させることにより、改質されたジエン系重合体ゴムは反応溶媒中から凝固剤の添加あるいはスチーム凝固など通常の溶液重合によるゴムの製造において使用される凝固方法がそのまま用いられ、凝固温度も何ら制限されない。
反応系から分離されたクラムの乾燥も通常の合成ゴムの製造で用いられるバンドドライヤー、押し出し型のドライヤー等が使用でき、乾燥温度も何ら制限されない。
変性ジエン系重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4)は、10〜200であることが好ましく、より好ましくは20〜150である。ムーニー粘度が低すぎると加硫物の引張り強度等の機械物性が低下する場合があり、一方該粘度が高すぎると他のゴムと組み合わせて使用する場合に混和性が悪く、加工操作性が困難となり、得られたゴム組成物の加硫物の機械物性が低下する場合がある。
変性ジエン系重合体ゴムの共役ジエン部のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜65モル%である。10モル%未満であると、グリップ性能が劣る場合があり、70モル%を超えると、低燃費性に劣る場合がある。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムの分子量分布は、低燃費性を高めるために、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜1.5である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムは、他の重合体成分や添加剤などを配合して、共役ジエン系重合体組成物にして用いることができる。
ゴム成分100質量%中の上記共役ジエン系重合体の含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性の改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記共役ジエン系重合体の含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。70質量%を超えると、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性が低下するとともに、高コストになる傾向がある。
上記共役ジエン系重合体以外に使用できるゴム成分としては限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なかでも、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性をバランス良く示すことから、NR、BRが好ましく、NRがより好ましい。これらのゴム成分としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。5質量%未満であると、充分な低燃費性が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、配合しなくてもよいが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。1質量%未満であると、充分な耐屈曲亀裂性及び操縦安定性が得られない傾向がある。また、BRの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。40質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、補強剤として、シリカを使用する。上記シリカとしては、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどをあげることができる。これらは1種以上用いることができる。シリカのBET比表面積は、好ましくは、50〜250m2/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993−03に従って測定される。シリカの市販品としては、デグッサ社製 商品名 ウルトラシルVN3−G、東ソー・シリカ社製 商品名 VN3、AQ、ER、RS−150、Rhodia社製 商品名 Zeosil 1115MP、1165MPなどを用いることができる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5〜150質量部である。該含有量は、低燃費性を高めるために、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。また、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性を高めるために、好ましくは100質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
本発明のゴム組成物は、上述の薬品以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;カーボンブラックなどの補強剤;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;シランカップリング剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜4質量部である。
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは、5〜200m2/g、より好ましくは、10〜80m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5〜300ml/100g、より好ましくは、10〜120ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイアブラックN550、東海カーボン社製 商品名 シーストFM、シーストSOなどを用いることができる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。また、該含有量は、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性を高めるために、より好ましくは10質量部以上であり、更に好ましくは15質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは45質量部以下であり、更に好ましくは40質量部以下である。
補強剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部である。また、該含有量は、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性を高めるために、より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは30質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは120質量部以下であり、更に好ましくは100質量部以下である。
また、補強剤として用いるシリカの含有量とカーボンブラックの含有量との質量比(シリカの含有量:カーボンブラックの含有量)としては、0.1:1〜10:1であることが好ましい。該質量比は、低燃費性を高めるため、及び、補強性を高めるために、0.5:1〜2:1であることがより好ましい。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどをあげることができる。これらは1種以上用いられる。市販品としては、デグッサ社製 商品名 Si69、Si75などを用いることができる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜15質量部であり、更に好ましくは5〜10質量部である。
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
本発明のゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
本発明のゴム組成物は、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性が高次元でバランス良く得られる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのサイドウォールに使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのサイドウォールの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤとして好適に用いることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<重合体製造例1>
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液15.0mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、イソシアヌル酸トリグリシジルを7.5mmol(2.23g)添加した。攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体1(末端が変性された変性BR)を得た。
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液15.0mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、イソシアヌル酸トリグリシジルを7.5mmol(2.23g)添加した。攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体1(末端が変性された変性BR)を得た。
<重合体製造例2>
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液8.5mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、四塩化珪素を0.16mmol(0.027g)を添加し、攪拌下に65℃で15分間反応させた。更にイソシアヌル酸トリグリシジルに変えて、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを7.65mmol(1.19g)添加し、攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2(末端が変性された変性BR)を得た。
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液8.5mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、四塩化珪素を0.16mmol(0.027g)を添加し、攪拌下に65℃で15分間反応させた。更にイソシアヌル酸トリグリシジルに変えて、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを7.65mmol(1.19g)添加し、攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2(末端が変性された変性BR)を得た。
<重合体製造例3>
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を8.7mmolに変更したこと、四塩化珪素を0.17mmol(0.029g)に変更したこと及び、イソシアヌル酸トリグリシジル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを添加しなかったこと以外は、重合体2と同様に行い、重合体3を得た。
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を8.7mmolに変更したこと、四塩化珪素を0.17mmol(0.029g)に変更したこと及び、イソシアヌル酸トリグリシジル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを添加しなかったこと以外は、重合体2と同様に行い、重合体3を得た。
得られた重合体1〜3について、下記の方法により分析した。結果は表1に示す。
(ムーニー粘度(ML1+4))
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
(ビニル結合量(単位:モル%))
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
(分子量分布(Mw/Mn))
下記の条件(i)〜(viii)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(i)装置:東ソー社製HLC−8220
(ii)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(iii)測定温度:40℃
(iv)キャリア:テトラヒドロフラン
(v)流量:0.6mL/分
(vi)注入量:5μL
(vii)検出器:示差屈折
(viii)分子量標準:標準ポリスチレン
下記の条件(i)〜(viii)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(i)装置:東ソー社製HLC−8220
(ii)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(iii)測定温度:40℃
(iv)キャリア:テトラヒドロフラン
(v)流量:0.6mL/分
(vi)注入量:5μL
(vii)検出器:示差屈折
(viii)分子量標準:標準ポリスチレン
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1〜3:上記方法で合成
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(N2SA:42m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシノールD
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1〜3:上記方法で合成
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(N2SA:42m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシノールD
(実施例及び比較例)
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用タイヤについて、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
<評価項目及び試験方法>
<転がり抵抗指数>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hz、温度70℃で加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1を100として下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性が優れることを示している。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<転がり抵抗指数>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hz、温度70℃で加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1を100として下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性が優れることを示している。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<耐屈曲亀裂性指数>
加硫ゴム組成物を用い、JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させた後、発生した亀裂の長さを測定した。そして、比較例1の測定値(長さ)を100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂性指数)=(比較例1の測定値)/(各配合の測定値)×100
加硫ゴム組成物を用い、JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させた後、発生した亀裂の長さを測定した。そして、比較例1の測定値(長さ)を100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂性指数)=(比較例1の測定値)/(各配合の測定値)×100
<操縦安定性>
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、比較例1の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価した。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、比較例1の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価した。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
表2に示すように、特定の変性共役ジエン系重合体(重合体1)と、シリカとを配合した実施例は、比較例のゴム組成物に比べて、低燃費性、耐屈曲亀裂性及び操縦安定性の全ての性能が改善し、これらの性能が高次元でバランス良く得られた。
Claims (4)
- 前記変性ジエン系重合体ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が1.0〜1.5である請求項1記載のサイドウォール用ゴム組成物。
- 前記変性ジエン系重合体ゴムのビニル結合量が、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%である請求項1又は2記載のサイドウォール用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013131902A JP2015007154A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
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JP2013131902A Pending JP2015007154A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
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- 2013-06-24 JP JP2013131902A patent/JP2015007154A/ja active Pending
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