JP5917942B2 - ゴム組成物の製造方法および空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

ゴム組成物の製造方法および空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ、特に耐偏摩耗性および耐摩耗性を向上させることができるゴム組成物、ならびにそのゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
従来より、空気入りタイヤ、特に重荷重用空気入りタイヤでは、耐摩耗性および耐偏摩耗性等の優れたタイヤ寿命や、転がり抵抗等に起因する低燃費性が要求されている。
例えば、タイヤの耐摩耗性および耐偏摩耗性を向上させる手段としては、カーボンブラックやシリカ等のゴム補強性の充填剤を添加することが一般的である。
しかしながら、補強のため充填剤の添加量を増加させると、ゴム中における充填剤粒子同士の摩擦等により転がり抵抗を低減させるおそれがある。
また、例えば特許文献1には、多環芳香族成分の少ないカーボンブラックが配合されたゴム組成物を用いることで、充填剤の分散性を向上させて、耐摩耗性及び耐テアー性を向上させつつ、転がり抵抗を低減することが可能な技術が提案されている。
このような技術は、耐摩耗性及び低転がり抵抗を向上させることができるものの、さらに耐偏摩耗性を向上させるためには改良の余地があった。
そしてまた、充填剤とポリマーの相互作用を向上させるために、充填剤の表面物性を改良したり、ゴム中のポリマーに変性基を導入することで、充填剤の分散性を向上させて、ゴム中における充填剤粒子同士の摩擦を軽減して、耐摩耗性、耐偏摩耗性および低転がり性能を向上させることができるが、依然として改良の余地があった。
特開2010−90287号公報
そこで、本発明の目的は、特に耐摩耗性および耐偏摩耗性を向上させることができるゴム組成物、ならびにそのゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明にかかるゴム組成物の製造方法は、スチレン−ブタジエンゴムを含むゴム成分、およびカーボンブラックを含む充填剤を配合してなるものであって、前記スチレン−ブタジエンゴムのスチレン量が30〜45%の範囲であり、前記カーボンブラックは、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させたのち、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られ、下記の関係式(1)及び(2)
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
(ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。)を満たしてなり、前記スチレン−ブタジエンゴムが、少なくとも一つの窒素含有官能基を有する末端変性スチレン−ブタジエンゴムである、ことを特徴とするものである。
なお、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度は、製造後のカーボンブラックのトルエン着色透過度と同義である。
また好ましくは、前記充填剤にシリカを更に含み、より好ましくは前記充填剤のシリカをゴム成分100質量部に対して30質量部以下で含む。
好ましくは、前記充填剤がゴム成分100質量部に対して30〜60質量部である。
そしてまた好ましくは、前記ゴム成分が、スチレン−ブタジエンゴムを5〜50%の範囲で含む。
好ましくは、前記窒素含有官能基が、置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基又はピリジル基であり、より好ましくは下記式(IV)で表される置換アミノ基:
Figure 0005917942
[式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]、及び下記式(V)で表される環状アミノ基で表される環状アミノ基からなる群から選択され:
Figure 0005917942
[式中、Rは、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す]、さらに好ましくはヘキサメチレンイミノ基である。
ところで、上述のような製造方法によって製造されたゴム組成物をトレッドゴムとして用いることが好ましい。
本発明では、スチレン−ブタジエンゴムを含むゴム成分と所定のカーボンブラックを配合して、スチレン−ブタジエンゴムのスチレン量を30〜45%の範囲で配合することで、ゴム組成物の物性、加工性、コストなどを改良することができるとともに、耐摩耗性および耐偏摩耗性を高度に両立させることができる。
すなわち、上記ゴム成分のスチレン量が、30%未満では、耐偏摩耗性の向上効果が小さくなってしまう。
一方、スチレン量が45%を超えると、耐摩耗性及び耐偏摩耗性は向上させることができるものの転がり抵抗は悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックを製造するためのカーボンブラック製造炉の一例を示す縦断正面説明図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、スチレン−ブタジエンゴムを含むゴム成分、およびカーボンブラックを含む充填剤を配合し、前記スチレン−ブタジエンゴムのスチレン量が30〜45%の範囲であり、前記カーボンブラックは、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させたのち、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られ、上記の関係式(1)及び(2)を満たしてなることを特徴とする。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分としてはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を含み、このスチレン−ブタジエンゴムのスチレン量を30〜45%、好ましくは30〜40%の範囲である。
なお、スチレン量は1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。
上記スチレン−ブタジエンゴムは、好ましくは少なくとも一つの窒素含有官能基を有する末端変性スチレン−ブタジエンゴムであり、この変性スチレン−ブタジエンゴムを配合することで、ゴム組成物の物性、加工性、コストなどを改良することができるとともに、転がり抵抗及び耐摩耗性・耐偏摩耗性を高度に並立させることができる。
末端変性スチレン−ブタジエンゴムは、窒素含有官能基を一つ以上有する限り特に制限はなく、カーボンブラックやシリカ等の充填剤と親和性を有することが一般的に知られている他の官能基、例えば、ケイ素を含む官能基又はスズを含む官能基を含んでもよい。
末端変性量は特に限定されないが、変性率が55%以上の範囲であれば、特に上記充填材との親和性を効果的に得ることができる。
変性スチレン−ブタジエン共重合体の窒素含有官能基としては、好ましくは置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基及びピリジル基であり、より好ましくは下記式(IV)で表される置換アミノ基:
Figure 0005917942
[式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]、及び下記式(V)で表される環状アミノ基:
Figure 0005917942
[式中、Rは、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す]からなる群から選択される、さらに好ましくはヘキサメチレンイミノ基である。
これらの窒素含有官能基は、カーボンブラック、シリカ等の種々の充填剤を配合したゴム組成物において充填剤分散効果が高く、充填剤の補強効果を大幅に向上させることができる。
また、上記変性スチレン−ブタジエン共重合体は、例えば、それぞれの単量体を重合して得ることができるが、上記ゴム組成物においては、上記変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの分子中に少なくとも一つの窒素含有官能基を導入することが必要であるため、(1)単量体を重合開始剤を用いて重合させ、重合活性部位を有する重合体を生成させた後、該重合活性部位を各種窒素含有変性剤で変性する方法や、(2)単量体を窒素含有官能基を有する重合開始剤を用いて重合させる方法で得ることが好ましい。
上記変性スチレン−ブタジエン共重合体の合成に用いる重合開始剤としては、有機リチウム化合物が好ましく、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が更に好ましい。なお、重合開始剤として有機リチウム化合物を用いた場合、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とは、アニオン重合で重合される。重合開始剤としてヒドロカルビルリチウムを用いる場合、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、他方の末端が重合活性部位である重合体が得られる。一方、重合開始剤としてリチウムアミド化合物を用いる場合、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である重合体が得られ、該重合体は、窒素含有変性剤で変性することなく、本発明における変性スチレン−ブタジエン共重合体として用いることができる。なお、重合開始剤の使用量は、単量体100g当たり0.2〜20mmolの範囲が好ましい。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、上記リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられ、これらの中でも、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状のリチウムアミド化合物が好ましく、リチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが特に好ましい。
上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、上記式(IV)で表される置換アミノ基又は上記式(V)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(IV)で表される置換アミノ基及び式(V)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された変性スチレン−ブタジエン共重合体が得られる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドを用いた場合、少なくとも一つのヘキサメチレンイミノ基が導入された変性スチレン−ブタジエン共重合体が得られる。
なお、式(IV)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3−フェニル−1−プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、Rは、それぞれ同じでも異なってもよい。一方、式(V)において、Rは、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、Rとして、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N−アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
上記重合開始剤を用いて、変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、単量体を重合させることで重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、上記重合反応は、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。なお、上記重合は、溶液重合で実施することが好ましく、重合反応溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。更に、重合反応の反応温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。
更に、上記重合活性部位を有する重合体の重合活性部位を変性剤で変性するにあたって、使用する変性剤としては、置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基又はピリジル基を有する窒素含有化合物が好ましい。上記変性剤として好適な窒素含有化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、4−ジメチルアミノベンジリデンブチルアミン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また更に、窒素含有官能基を有する重合開始剤により重合して得た重合体の重合活性部位を変性剤で変性するにあたって、変性剤としてカップリング剤を用いた場合、得られる変性スチレン−ブタジエン共重合体の分子中に複数の窒素含有官能基が導入され、カーボンブラックの分散性を大幅に向上できる。なお、カップリング剤として、具体的には、SnCl、RSnCl、R SnCl、R SnCl、SiCl、RSiCl、R SiCl、R SiCl等が好ましく、Rとして、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。特に、カップリング剤としては、SnCl及びSiClが好ましい。
上記変性剤による重合活性部位の変性反応は、溶液反応で行うことが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
上記ゴム成分には、上記スチレン−ブタジエンゴムを5〜50%の範囲で含むことが好ましく20〜50%の範囲で含むことが更に好ましい。
すなわち、5%未満では、耐摩耗性および耐偏摩耗性の効果を十分得ることができず、50%を超えると、耐テアー及び転がり抵抗が悪化する傾向がある。
上記ゴム組成物において、ゴム成分が、スチレン−ブタジエン共重合体の他に、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体、及び共役ジエン化合物の単独重合体を含むことができ、具体的には、天然ゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴムが挙げられ、これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記ゴム組成物のゴム成分は、天然ゴム(A)とスチレン−ブタジエン共重合体(B)との質量比(A/B)が、90/10〜50/50であることが好ましく、80/20〜50/50であることが更に好ましい。ここで、天然ゴムとスチレン−ブタジエン共重合体の合計に占めるスチレン−ブタジエン共重合体の割合が10質量%未満では(即ち、天然ゴムの割合が90質量%を超えると)、カーボンブラックの分散性の向上が不十分で、低ロス効果が十分に得られないことがあり、一方、スチレン−ブタジエン共重合体の割合が50質量%を超えると(即ち、天然ゴムの割合が50質量%未満では)、耐テアー性が不十分なことがあり、また、転がり抵抗が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物に用いるカーボンブラックは、トルエン着色透過度が90%以上である。トルエン着色透過度が90%以上のカーボンブラックは、以下に述べる手法により製造される。
燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させた後、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより製造される。
図1は、本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックを製造するためのカーボンブラック製造炉の一例の縦断正面説明図である。
カーボンブラック製造炉1は、その内部が燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを連設した構造であり、その全体が耐火物で覆われている。また、カーボンブラック製造炉1は、燃焼帯域として、可燃性流体導入室と、炉頭部外周から酸素含有ガス導入管によって導入された酸素含有ガスを、整流板を用いて整流して可燃性流体導入室へ導入する酸素含有ガス導入用円筒と、酸素含有ガス導入用円筒の中心軸に設置され、可燃性流体導入室へ燃焼用炭化水素を導入する燃料油噴霧装置導入管とを備える。燃焼帯域内では、燃焼用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する。
カーボンブラック製造炉1は、反応帯域として、円筒が次第に収れんする収れん室と、収れん室の下流側に4つの原料油噴霧口を含む原料油導入室と、原料油導入室の下流側に反応室10とを備える。該原料油噴霧口は、燃焼帯域からの高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入する。反応帯域内では、高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、原料炭化水素をカーボンブラックに転化する。
カーボンブラック製造炉1は、反応停止帯域として、多段急冷媒体導入手段12を有する反応継続兼冷却室11を備える。多段急冷媒体導入手段12は、反応帯域からの高温燃焼ガス流に対して、水などの急冷媒体を噴霧する。反応停止帯域内では、高温燃焼ガス流を急冷媒体により急冷して反応を終結する。また、カーボンブラック製造炉1は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する装置を更に備えてもよい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。このようにして、カーボンブラックの製造において、反応ガス流が反応停止帯域に入るまでの各帯域における平均反応温度と滞留時間を制御して、各段階でのカーボンブラックのトルエン着色透過度を所望の値にすることにより、上記ゴム組成物に使用するカーボンブラックが得られる。
次に、上記カーボンブラック製造炉1における各帯域について説明する。燃焼帯域とは、燃料と空気との反応により高温ガス流が生成される領域であり、この下流端は原料油が反応装置内に導入される点(複数位置で導入される場合は最も上流側)を指す。また、反応帯域とは、原料炭化水素が導入された点(複数位置の場合は最も上流側)から反応継続兼冷却室11内の多段急冷水噴霧手段12(これらの手段は反応継続兼冷却室11内で抜き差し自在であり、生産する品種、特性により使用位置は選択される)の作動(水等の冷媒体を導入する)点までを指す。すなわち、原料油噴霧口で原料油を導入し、多段急冷媒体導入手段12で水を導入した場合、この間の領域が反応帯域となる。反応停止帯域とは、急冷水圧入噴霧手段を作動させた点よりも下側(図1では右側)の帯域を指す。図1において、反応継続兼冷却室11という名称を用いたのは、原料導入時点から前記反応停止用急冷水圧入噴霧手段の作動時点までが反応帯域、それ以降が反応停止帯域であり、この急冷水導入位置が要求されるカーボンブラック性能により移動することがあるためである。
上記のようにして得られたゴム配合用カーボンブラックは、下記の関係式(1)及び(2)
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
を満たす。
前記Xは、原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−X)より急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、前記Zは、最後の急冷媒体導入手段(図1において、12−Z)により急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。すなわち、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックは、トルエン着色透過度が10%より高く、40%未満であって、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラック(ゴム配合用カーボンブラック)は、トルエン着色透過度が90%より高く、100%未満の範囲にあることが必要である。当該ゴム配合用カーボンブラックのトルエン着色透過度が90%以下であれば、該カーボンブラックは、その中に含有される重質タール成分が多く存在し、ゴムに対して十分な補強性を与えることができず、耐摩耗性が低下する。
また、前記Xが40以上であると、カーボンブラックの補強性が下がり、耐摩耗性が低下する。
このような性状を有するゴム配合用カーボンブラックは、下記のように反応温度及び滞留時間を制御することにより、得ることができる。
すなわち、反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt(秒)、この帯域での平均反応温度をT(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−Y)により急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt(秒)、この帯域での平均反応温度をT(℃)とし、更に、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間(即ち、反応停止帯域通過までの帯域における滞留時間)をt(秒)、この帯域内での平均反応温度をT(℃)とした場合、下記の関係式(3)、(4)及び(5)
2.00≦α≦5.00 ・・・(3)
5.00≦α≦9.00 ・・・(4)
−2.5×(α+α)+85.0≦β≦90.0 ・・・(5)
(ただし、α1=t×T、α=t×T、β=t×Tである。)
を満たすように制御することにより、当該ゴム配合用カーボンブラックを得ることができる。
カーボンブラック製造炉1は、炉内の温度をモニターするため、任意の数箇所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える。平均反応温度T、T、Tを算出するために、各工程(各帯域)で、少なくとも2箇所、望ましくは3〜4箇所の温度を測定することが好ましい。
更に、滞留時間t、t、tの算出は、公知の熱力学的計算方法によって導入反応ガス流体の体積を算出し、次式により算出するものとする。尚、原料油の分解反応および急冷媒体による体積増加は無視するものとする。
滞留時間t(sec)={原料炭化水素導入位置から第1番目の急冷媒体導入位置までの反応炉内通過容積(m)/反応ガス流体の体積(m/sec)}
滞留時間t(sec)={第1番目の急冷媒体導入位置から第2番目の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m)/反応ガス流体の体積(m/sec)}
滞留時間t(sec)=第2番目の急冷媒体導入位置から最後の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m)/ 反応ガス流体の体積(m/sec)
更に、当該ゴム配合用カーボンブラックとして、下記の関係式(6)、(7)及び(8)
20<X<40 ・・・(6)
50<Y<60 ・・・(7)
90<Z<95 ・・・(8)
(式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同じである。)
を満たすように制御して得られたものを好適に用いることができる。
なお、上記トルエン着色透過度は、JIS K 6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
当該ゴム配合用カーボンブラックは、水素放出率が、0.3質量%を超えることが好ましい。この水素放出率が0.3質量%を超えると、本発明のゴム組成物は耐摩耗性が高く、かつ発熱性も小さくなる。該水素放出率は0.35質量%以上が好ましい。その上限は、通常0.4質量%程度である。
なお、上記水素放出率は、(1)カーボンブラック試料を105℃の恒温乾燥機中で1時間乾燥し、デシケータ中で室温まで冷却し、(2)スズ製のチューブ状サンプル容器に約10mgを精秤し、圧着・密栓し、(3)水素分析装置(堀場製作所EMGA621W)でアルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量分率で表示される。
更に、当該ゴム配合用カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸収量(DBP)が95〜220mL/100g、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90〜200mL/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m/gであるものが好ましい。
なお、ジブチルフタレート吸収量(DBP)及び圧縮DBP吸収量(24M4DBP)は、ASTM D2414−88(JIS K6217−4:2001)に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の体積mLで表示される。また、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に記載の方法により測定され、カーボンブラック単位質量当たりの比表面積m/gで表示される。
一般に、窒素含有官能基を有する変性スチレン−ブタジエン共重合体を含むゴム成分にカーボンブラックが配合されたゴム組成物においては、ゴム成分に対するカーボンブラックの分散性が向上し、延いてはゴム成分のヒステリシスロスが低減されるため、耐摩耗性及び転がり抵抗を向上させることができる。しかしながら、変性スチレン−ブタジエン共重合体に天然ゴムがブレンドされたゴム成分を用いる場合には、ヒステリシスロスの低減効果を更に向上させることが必要となる。なぜなら、通常の製造方法によって得られる天然ゴムは、天然ゴムラテックス中に含まれる非ゴム成分が残存することにより、その損失正接(tanδ)は高く、発熱性の低減効果が低い場合があるからである。これに対し、本発明のゴム組成物に用いるカーボンブラックは、DBP吸収量、NSA、TINT及びトルエン着色透過度が上記した範囲を満たすため、表面に存在するタール分が充分少なく、カーボンブラックとゴム分子の複合化が効率的に起こる結果、ゴム組成物の耐摩耗性及び低発熱性を向上させることができる。更に、上記ゴム組成物は、表面に存在するタール成分の少ないカーボンブラックと共に、窒素含有官能基を有する変性スチレン−ブタジエン共重合体を用いることによって、カーボンブラックの分散性が大幅に向上するため、カーボンブラックの補強効果を十分に発揮しつつ、ゴム組成物中のヒステリシスロスを低減することができる。このため、上記ゴム組成物は、変性スチレン−ブタジエン共重合体に天然ゴムがブレンドされているものの、タイヤの耐摩耗性、耐偏摩耗性及び転がり抵抗を十分に向上させることができる。
本発明のゴム組成物の好適例においては、充填剤がゴム成分100質量部に対して30〜60質量部を含み、この範囲で含むことで、ゴム組成物の低発熱性を改善することができる。
具体的には充填剤のカーボンブラックは、上記ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部配合することが好ましい。カーボンブラックの配合量が30質量部未満では、ゴム組成物の補強性を十分に確保することができず、一方、60質量部を超えると、カーボンブラックの分散性が低下し、ゴム組成物の耐摩耗性、耐テアー性及び耐発熱性が低下する場合がある。
しかしながら、カーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して30質量未満であるゴム組成物に、更にシリカをゴム成分100質量部に対して30質量部以下、好ましくは5〜20質量部の範囲で配合することで、ゴム組成物の補強性(耐摩耗性)を確保することができ、更には、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低減することができる。即ち、ゴム組成物の低ロス性及び補強性(耐摩耗性)の両立が可能となる。なお、シリカとしては、特に限定されないが、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等が挙げられる。
シリカ−ゴム成分間の結合を強化して補強性をさらに高めた上で、シリカの分散性を向上させるために、更に、シランカップリング剤を用いることが好ましい。上記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカの配合量に対して10質量%以下が好ましく、5〜10質量%が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカの配合量に対して10質量%を超えると、補強性や分散性を改良する効果が飽和に達し、配合コストが上昇してしまう。なお、シランカップリング剤としては、特に制限されず、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が好適に挙げられる。
上記ゴム組成物には、上記スチレン−ブタジエン共重合体を含むゴム成分、上記カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分に、上記カーボンブラックと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー、インテンシブミキサー等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
ところで、上述のゴム組成物をタイヤのトレッドゴムとして用いることが好ましく、重荷重用タイヤとして特に好適である。このようなタイヤは、上記ゴム組成物をトレッドゴムとして用いているため、耐摩耗性および耐偏摩耗性が高度に両立されている。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をトレッドに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下、本明細書においては、実施例1〜4を、それぞれ、参考例1〜4とする。


<標準SBR(A−1)の製造法>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン300g、1,3−ブタジエン38g、スチレン18g、ジテトラヒドロフリルプロパン0 .90mm olを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90mmolを加えた後、5 0℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体におけるスチレン量は20%であった。
<高スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の製造例>
<共重合体(B−1)の製造法>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン300g、1,3−ブタジエン32g、スチレン30g、ジテトラヒドロフリルプロパン0 .90mm olを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90mmolを加えた後、5 0℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体におけるスチレン量は35%であった。
<変性SBR(C−1)の製造法>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン300g、1,3−ブタジエン35g、スチレン24g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤としてヘキサメチレンイミンを0.90mmol速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p −クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体におけるスチレン量は26%であった。
<変性高スチレン−ブタジエンゴム(HMI−SBR)の製造例>
<共重合体(D−1)の製造法>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン300g、1,3−ブタジエン32g、スチレン30g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤としてヘキサメチレンイミンを0.90mmol速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p −クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体におけるスチレン量は35%であった。
なお、得られたHMI−SBRについて、H−NMRスペクトルの積分比からブタジエン部分のビニル結合量およびスチレン部分のビニル結合量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布曲線の全体の面積に対する最も高分子量側のピーク面積の割合からカップリング率を、DSCの曲線の変曲点からガラス転移温度を求めた。
<高水素カーボンブラックの製造例>
図1に示すカーボンブラック製造炉1を用いて、カーボンブラックを製造した。ここで、多段冷却媒体導入手段12としては、第1番目の急冷媒体導入手段12−X、第2番目の急冷媒体導入手段12−Y及び最後の急冷媒体導入手段12−Zからなる3段急冷媒体導入手段を用いた。また、製造炉内の温度をモニターするため、任意の数カ所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える上記製造炉を用いた。カーボンブラック製造炉において、燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。また、表2における「カーボンブラックB(高水素)」に示すカーボンブラック製造炉の操作条件により、下記に示す物性を備えたカーボンブラックを製造した。
得られたカーボンブラックについて、トルエン着色透過度、水素放出率、DBP吸収量、24M4DBP吸収量及びCTAB吸着比表面積を、上述の方法に従って測定した。
Figure 0005917942
*1 BMCl: Bureau of Minos Correlation Index (米国鉱山局指数)
*2 I.B.P.: Initial Boiling Point (初留点)
Figure 0005917942
次に、上記変性スチレン−ブタジエンゴム及びカーボンブラック等を用いて、表3及び4に示す配合処方のゴム組成物を常法に従って調製し、該ゴム組成物をトレッドゴムに適用した、サイズ:295/75R22.5の重荷重用タイヤを常法に従って試作し、耐摩耗性、耐偏摩耗性および転がり抵抗を下記の方法で評価した。
Figure 0005917942
Figure 0005917942
なお、表3及び4において、標準CBとしては、特開2010−90287号公報におけるカーボンブラックA(表2におけるカーボンブラックA)を用い、シリカとしては、ニップシールAQ.(東ソーシリカ社製)を用いた。
(耐摩耗性)
実施例タイヤ1〜7および、比較例タイヤ1〜6のそれぞれにつきリムに組み付けて、実地60000kmを走行し、センター部の摩耗深さを評価し、その結果を表5及び6に指数で示す。
なお、表中の指数値は、比較例タイヤ1の値をコントロールとしたものであり、数値が大きいほど、摩耗量差が小さく耐摩耗性能が優れていることを示す。
(耐偏摩耗性)
実施例タイヤ1〜7および、比較例タイヤ1〜6のそれぞれにつきリムに組み付けて、実地60000kmを走行し、センター陸部とショルダーエッジ部との摩耗量差を評価し、その結果を表5及び6に指数で示す。
なお、表中の指数値は、比較例タイヤ1の値をコントロールとしたものであり、数値が大きいほど、摩耗量差が小さく耐偏摩耗性能が優れていることを示す。
(転がり抵抗)
実施例タイヤ1〜7および、比較例タイヤ1〜6のそれぞれにつきリムに組み付けて、直径1.7mの鉄板表面を持つドラム試験機を用いてタイヤを転動させ、車軸の転がり抵抗を測定して評価した。その結果を表5及び6に指数で示す。
なお、表中の指数値は、比較例タイヤ1の値をコントロールとしたものであり、指数値は小さいほど転がり抵抗が小さいことを示す。
Figure 0005917942
Figure 0005917942
表5及び6の結果から、実施例タイヤ1〜7は、比較例タイヤ1〜6に対して、転がり抵抗を悪化させずに(指数値105以下であれば許容範囲内)、耐摩耗性・耐偏摩耗性を顕著に向上させる(指数値105以上)ことが可能であることが分かった。
また、実施例タイヤ1,5は、比較例タイヤ1〜3に対して、耐摩耗性および耐偏摩耗性を向上させることができる。特に、実施例タイヤ5は転がり抵抗も向上させることができる。比較例タイヤ1,5,6は標準カーボンブラックであり、上記の効果が劣る。
1 カーボンブラック製造炉
10 反応室
11 反応継続兼冷却室
12 多段急冷媒体導入手段
12−X 第1番目の急冷媒体導入手段
12−Y 第2番目の急冷媒体導入手段
12−Z 最後の急冷媒体導入手段

Claims (9)

  1. スチレン−ブタジエンゴムを含むゴム成分、およびカーボンブラックを含む充填剤を配合してなるゴム組成物の製造方法において、
    前記スチレン−ブタジエンゴムのスチレン量が30〜45%の範囲であり、
    前記カーボンブラックは、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させたのち、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られ、下記の関係式(1)及び(2)
    10<X<40 ・・・(1)
    90<Z<100 ・・・(2)
    (ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。)を満たしてなり、
    前記スチレン−ブタジエンゴムが、少なくとも一つの窒素含有官能基を有する末端変性スチレン−ブタジエンゴムである、ことを特徴とするゴム組成物の製造方法
  2. 前記充填剤にシリカを更に含む請求項に記載のゴム組成物の製造方法
  3. 前記充填剤がゴム成分100質量部に対して30〜60質量部である請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法
  4. 前記充填剤のシリカをゴム成分100質量部に対して30質量部以下含む請求項2または3に記載のゴム組成物の製造方法
  5. 前記ゴム成分がスチレン−ブタジエンゴムを5〜50%の範囲で含む請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法
  6. 前記窒素含有官能基が、置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基又はピリジル基である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法
  7. 前記窒素含有官能基が、下記式(IV)で表される置換アミノ基:
    Figure 0005917942
    [式中、R1は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]、及び下記式(V)で表される環状アミノ基で表される環状アミノ基からなる群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法
    Figure 0005917942
    [式中、R2は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す]。
  8. 前記窒素含有官能基が、ヘキサメチレンイミノ基である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物に記載のゴム組成物の製造方法
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法によって製造されたゴム組成物をトレッドゴムとして用いて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法
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