JP3649559B2 - 機能部品ゴム配合用カーボンブラック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウエザーストリップ、ラジエータホース、ドアパッキング、窓枠シールガラスラン、プロテクションモール、プーリーベルト等の自動車内外装部品、ケーブルカバー、ベルトホースケーブル、マット等の工業用ゴム部品、等の各種ゴム部材に使用する機能部品ゴムに配合するカーボンブラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム補強用のカーボンブラックには具備特性に応じた多様の品種があり、これらの品種特性がゴムに配合した組成物の諸性能を決定付けるための主要な因子となることから、通常ゴムへの配合に当たっては部材用途に適合する品種特性のカーボンブラックを選定使用する手段が慣用されている。例えば、ウエザーストリップやガラスラン等の自動車窓枠部材に用いるゴム部材には従来からソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックが使用されている。
【0003】
これらの自動車内外装部品等に用いる機能部品ゴム部材には長期間に亘り安定した使用性能が要求されるため、従来からへたり性(圧縮永久歪み)や疲労性を改善する研究が盛んに行われている。これらの研究のうち配合するカーボンブラックのコロイダル特性の面から改善する手段として、例えば本出願人は凝集体の遠心沈降法(DCF法)により測定されるモード径(Dst)が150nm以上、前記モード径(Dst)とその半値幅(ΔDst)の比(ΔDst/Dst)が1.50以上、着色力(T)とブラックネス(B)との比(B/T)が1.20以上の特性を備える機能部品ゴム配合用カーボンブラック(特開平3−14848 号公報)を開発した。
【0004】
更に、本出願人は天然ゴムまたはジエン系合成ゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)≦60m2/g、DBP吸油量≦100 ml/100g、130nm≦Dst≦220nm、ΔDst/Dst≦0.95の選択的特性を有するカーボンブラックを20〜100重量部配合したゴム組成物(特開平4−18438 号公報)、クロロプレンゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)≦60m2/g、Dst≧130nm、ΔDst/Dst≦0.95の選択的特性を有するカーボンブラックを20〜100重量部配合したゴム組成物(特開平4−18439 号公報)、更に窒素吸着比表面積(N2 SA)が45〜65m2/g、DBP吸油量(D0)と圧縮DBP吸油量(D1)の比(D0 /D1)が1.10〜1.20の範囲にあり、かつ前記DBP吸油量(D0)が60〜80 ml/100gの特性要件を満たすことを特徴とする機能部品ゴム配合用カーボンブラック(特開平8−143784号公報)等を開発、提案している。
【0005】
一方、近時の省資源、省エネルギーの社会的要求に対応するために自動車の軽量化が要請され、これらの機能部品ゴム部材にも品質性能を損なうことなく、その軽量化が求められている。軽量化の手段としてはソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックを用い、軽比重のオイルを高い割合で配合することにより製品ゴム部材の比重を低下させる方法が従来から知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オイルの配合割合を高くすると補強性の面で性能低下を招く欠点がある。ゴム製品の補強性を向上させるためには、通常、粒子径が小さく、ハイストラクチャーのカーボンブラックが用いられるが、小粒子径のカーボンブラックを配合するとゴム成分への混練加工性が悪いためにカーボンブラックの分散性が低下し、更にゴム製品の反撥弾性や圧縮永久歪み等の動的特性の低下を招く難点がある。したがって、高性能化が進み、高度の品質が要求される自動車内外装部品や工業用ゴム部品等の機能部品ゴム部材としては充分な品質のものを得ることができないという問題点がある。
【0007】
本発明者は、MAF級等の粒子径の大きいハイストラクチャーカーボンブラックを対象として、そのミクロなコロイダル性状と配合ゴム製品の性能との関係について鋭意研究を進めた結果、特に24M4DBP吸油量及びアグリゲートストークス相当径のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)の比を変数とする関係式値の値が特定範囲内にある場合には、動的特性及び混練加工性を損なわずに補強性を向上できることを確認した。
【0008】
本発明は前記の知見に基づいて開発されたもので、その目的は、配合ゴムの動的特性及び混練加工性を後退させることなしに、軽量化を可能にする機能部品ゴム配合用カーボンブラックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による機能部品ゴム配合用カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2 SA)が40〜70(m2/g)、DBP吸油量(D0)が150〜230(ml/100g) 、DBP吸油量(D0)と24M4DBP吸油量(D1)との比(D1 /D0 )がD1 /D0 ≧0.50の特性を有するカーボンブラックにおいて、下記 (1)〜 (3)の選択的特性を有する。
(1) 窒素吸着比表面積(N2 SA)とよう素吸着量(IA)との比(N2 SA/IA):N2 SA/IA≧0.98
(2) アグリゲートストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比(ΔDst/Dst):0.55≦ΔDst/Dst≦0.70
(3) a=D1 /(ΔDst/Dst)式で算出されたa値:140≦a≦200
但し、24M4DBP吸油量は圧縮DBP吸油量、Dstはディスクセントリフュージ装置(DCF) により測定されるカーボンブラックアグリゲートのストークスモード径、ΔDstは同ストークス径分布の半値幅を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記構成におけるカーボンブラックの各特性は、以下の測定方法によって得られる値が用いられる。
▲1▼窒素吸着比表面積(N2 SA);
ASTM D3037−88 “Standard Test Methods for Carbon Black-Surface Area By Nitrogen Adsorption”Method Bによる。
▲2▼DBP吸油量(D0);
JIS K6221(1982) 「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.1.2 項、吸油量A法(機械法)による。
▲3▼24M4DBP吸油量(D1);
ASTM D3493−85a “Standard Test Method for Carbon Black-n-Dibutyl Phthalate Absorption Number of Compressed Sample”による。
▲4▼よう素吸着量(IA);
JIS K6221(1982) 「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.1.1 項による。
【0011】
▲5▼ストークスモード径(Dst)、ストークス径分布の半値幅(ΔDst);
JIS K6221(1982) 5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度100mg/lの分散液を作成し、これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を6000rpm の回転数に設定し、スピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を15ml加えた後、1mlのバッファー液(20容量%エタノール水溶液、25℃)を注入する。次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸:カーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸:カーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0012】
【数1】
【0013】
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935 cp)、Nはディスク回転スピード(6000 rpm)、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(4.56 cm) 、r2 は吸光度測定点までの半径(4.82 cm) 、ρCBはカーボンブラックの密度(g/cm3) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178 g/cm3) である。
【0014】
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径をDstモード径(nm)とし、最大頻度の50%の頻度が得られる大小2点のストークス相当径の差(半値幅)をΔDst(nm)とする。
【0015】
本発明の機能部品ゴム配合用カーボンブラックの特性要件のうち、窒素吸着比表面積(N2 SA)が40〜70m2/g、DBP吸油量(D0)が150〜230ml/100g 、DBP吸油量(D0)と24M4DBP吸油量(D1)との比(D1 /D0 )がD1 /D0 ≧0.50の特性範囲は、配合ゴムの動的特性及び混練加工性を損なうことなく高い補強性を維持して、配合ゴムの軽量化を可能とするための前提要件となるものである。
【0016】
これらの前提要件のうち、窒素吸着比表面積(N2 SA)が40m2/g未満では補強性が低く、70m2/gを越えると動的特性及び混練加工性が低下するためであり、好ましい範囲は50〜70m2/gである。また、DBP吸油量(D0)の値が150 ml/100gを下回ると補強性が充分でないために配合ゴムの強度特性が低く、また230 ml/100gを越えるハイストラクチャー品は通常の製造手段では製造することが困難なためである。なお、好ましくは180〜230 ml/100gの範囲に設定される。更に、DBP吸油量(D0)と24M4DBP吸油量(D1)との比(D1 /D0 )の値を0.50以上に設定するのは、この値が0.50未満では強固に融着結合したストラクチャー構造が少ないためにゴムへの配合時に破壊される割合が多く、配合ゴムの補強性の低下を招くためである。
【0017】
本発明の目的を達成するためには、上記の前提要件に加えて窒素吸着比表面積(N2 SA)とよう素吸着量(IA)との比をN2 SA/IA≧0.98に、またアグリゲートストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比を0.55≦ΔDst/Dst≦0.70、更に、a=D1 /(ΔDst/Dst)式で算出されたa値を140≦a≦200の範囲に、それぞれ設定することが必須要件となる。
【0018】
窒素吸着比表面積(N2 SA)とよう素吸着量(IA)との比(N2 SA/IA)はカーボンブラック粒子の表面活性度の指標となるものであり、表面活性度が大きくなるに伴いカーボンブラックとゴム成分との相互作用が増大して、補強性が向上する。本発明においては、この値を0.98以上に設定することにより配合ゴムの強度特性を高位に保持するものであり、0.98を下回る場合には充分な補強効果が得られない。
【0019】
また、アグリゲートストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比(ΔDst/Dst)は、カーボンブラックアグリゲートの分布構造を示す指標となるもので、この値が大きくなるとアグリゲートの分布がブロード化して配合ゴムの補強性が低下し、逆に小さくなるとアグリゲートの分布がシャープ化して動的特性の低下を招くこととなる。本発明においては、この比(ΔDst/Dst)の値を0.55〜0.70の範囲に設定することにより、補強性の低下を招く大きなアグリゲートを少なくするとともに分布をシャープ化して補強性の向上を図るものである。しかしながら、アグリゲートの分布がシャープ化すると配合ゴムの動的特性や混練加工性が低下するために下限値を設定したものである。すなわち、ΔDst/Dstの値が0.70を越えると補強性が低下し、一方0.55を下回ると混練加工性が低下してカーボンブラックの分散性が低くなり、また動的特性の低下を招くためである。
【0020】
更に、本発明のカーボンブラックはa=D1 /(ΔDst/Dst)式で算出されたa値を、140≦a≦200の選択的特性範囲に設定することが必要である。24M4DBP吸油量(D1)及びアグリゲートのストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比を変数とする、D1 /(ΔDst/Dst)式で算出される関係式値aは補強性に関与するパラメータであり、a値が大きくなると補強性が向上する。一般的にソフト系カーボンブラックではストラクチャーを増大させた場合、アグリゲートのストークス相当径分布のブロード化を招き補強効果が減退する。本発明で定義したa値はアグリゲートのストークス相当径分布当たりの1次ストラクチャー(24M4DBP吸油量D1 で表される)のレベルを評価する尺度となるものであり、a値を大きくすると補強性は向上するが、a値の増大とともにカーボンブラックとゴム成分との相互作用の大幅な増加を招き、特に動的特性の劣化が生じる。そこで、本発明はa値の範囲を140〜200の範囲に特定することにより、動的特性、混練加工性及び補強性を高水準でバランス化を図るものである。すなわち、a値が140を下回ると補強効果が低下し、また200を上回ると動的特性が低下することとなる。
【0021】
このように本発明の機能部品ゴム配合用カーボンブラックは、D1 /(ΔDst/Dst)式で算出されるa値をはじめ、窒素吸着比表面積(N2 SA)とよう素吸着量(IA)との比(N2 SA/IA)、及びアグリゲートストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比(ΔDst/Dst)を特定値範囲に設定することにより、窒素吸着比表面積(N2 SA)、DBP吸油量(D0)、DBP吸油量(D0)と24M4DBP吸油量(D1)との比(D1 /D0 )の前提要件とが総合的に機能して、配合ゴムの混練加工性(カーボンブラックの分散性)及び反撥弾性や圧縮永久歪み等の動的特性の低下を招くことなく補強性を向上することができ、オイルの高充填配合が可能となる。したがって、ウエザーストリップ、ラジエータホース、ドアパッキング、窓枠シールガラスラン、プロテクションモール、プーリーベルト等の自動車内外装部品、ケーブルカバー、ベルトホースケーブル、マット等の工業用ゴム部品、等の各種機能部品ゴム部材の軽量化を図ることが可能である。
【0022】
上記の特性を備える本発明のカーボンブラックは、図3(側断面図)、図4(図3のA−A断面図)及び図5(図3のB−B断面図)に示すような、炉頭部に接線方向空気供給口1と炉軸方向に装着された燃焼バーナー2及び原料油噴射ノズル3を備える燃焼室4と、同軸的に鼓状の狭径部5を介して広径反応部6が連設され、下流域に水冷クエンチ7を備えた急冷部8を経て煙道9に接続する発生炉を用い、燃料油と空気または酸素富化空気等の適宜な酸化剤とにより形成されて炉内を流れる高温燃焼ガス流中に原料油を霧化状態で導入する方法により製造することができる。
【0023】
例えば、原料油にクレオソート油、エチレンボトム油等の高芳香族系重質油を用い、炉頭の中心に炉軸方向に伸縮自在に装着された原料油噴射ノズル3を使用して、周辺の燃焼バーナー2から噴射される高温燃焼ガスとの高度な均質混合を得るに充分な微粒子気流として炉内の適宜な位置に霧化噴射する。この際、全供給空気量と全原燃料油導入量との割合を制御するとともに、反応生成ガス流の炉内滞留時間を短く設定し、更に、燃焼用の空気中の酸素濃度を調整する等、従来のソフト系カーボンブラックの生成条件とは異なる製造条件に設定する。
【0024】
すなわち、反応生成ガス流の炉内滞留時間を短く設定することによりカーボンブラック生成反応を短時間で終了させて、アグリゲートのストークス相当径分布のシャープ化を図ることができる。しかしながら、ストラクチャーの発達が抑制されるので、燃焼用空気中の酸素濃度を高めることによりカーボンブラック生成反応の促進と生成反応ガス中のカーボンブラック前駆体微粒子の濃度の増大を図り、ストラクチャーの発達を促進する。例えば、反応生成ガス流の炉内滞留時間を700ミリ秒以下に設定し、燃焼用の空気中の酸素濃度を25〜35容量%に調整する等の条件に設定してカーボンブラックを製造する。
【0025】
本発明のカーボンブラックは、常法に従って加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤等の必要成分とともにゴム成分に配合、混練、加硫処理して目的とする機能部品用のゴム部材が得られる。ゴム成分としては、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、その他カーボンブラックにより補強可能な常用の各種合成ゴム、混合ゴム等を挙げることができる。カーボンブラックの配合量はゴム成分100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の割合に設定される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例及び参考例と対比して具体的に説明する。
【0027】
実施例1〜7、比較例1〜7、参考例1〜2
炉頭部に接線方向空気供給口1と炉軸中心に伸縮自在の原料油噴射ノズル3を装着し、その周辺に4本の燃焼バーナー2が設置され、下流出口側が緩やかに収斂する燃焼室4(内径600mm 、長さ800mm)と、狭径部5(内径400mm 、長さ200mm)を介して開拡し、下流域に位置変更し得る水冷クエンチ7を設置した広径反応部6(内径800mm 、長さ9000mm)と、下流端にバッグフィルター等の捕集系統に連結する垂直な煙道9が連設された図3に示す構造の発生炉を設置した。原料油噴射ノズル3の原料油導入点(ノズル噴射孔)は狭径部5に位置するように調整した。
【0028】
上記の発生炉を用いて、表1〜2に示す発生条件を適用してカーボンブラックを製造した。原料油には比重(15/4 ℃)1.073、粘度(エングラー40/20 ℃)2.10、トルエン不溶分0.03%、相関係数(BMCI)140、初期沸点103℃の芳香族炭化水素油を、また燃料油としては比重(15/4 ℃)0.903、粘度(cst/50 ℃)16.1、残炭分5.4%、硫黄分1.8%、引火点96℃の炭化水素油を用いた。なお、表1〜2において炉内滞留時間は生成カーボンブラック含有ガス流の水冷クエンチ点までの滞留時間である。
【0029】
各発生条件により製造されたカーボンブラックの各種特性を測定して、表1〜2に併載した。また、表3には参考例として下記のカーボンブラック市販品の特性を示した。
参考例1;HAF級カーボンブラック〔東海カーボン(株)製、シースト3 〕
参考例2;MAF級カーボンブラック〔東海カーボン(株)製、シースト116 〕
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
次に、表1〜3の各カーボンブラック試料を表4に示す配合比率でエチレン−プロピレンゴムに配合した。
【0034】
【表4】
【0035】
表4の配合物を150℃の温度で30分間加硫して得られた各ゴム組成物について各種ゴム試験を行い、測定結果を表5〜7に示した。また測定結果のうち、反発弾性と200%モジュラスとの関係グラフを図6に、光沢度と200%モジュラスとの関係グラフを図7にそれぞれ示した。なお、ゴム特性の測定は光沢度を除いて、その他の特性は全てJIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」によった。
【0036】
光沢度の測定;
未加硫ゴム試片を押し出し試験機により、温度100℃、押し出し回転数80 rpmの条件で幅25mm、厚さ1mmのテープ状試験片を作成し、150℃の温度で30分間加硫して評価用の試験サンプルとした。このテープ状試験サンプルを、スガ試験機(株)製の光沢計(HG-240)を用いて60°グロス値(7ヶ所の測定値の平均値)を測定した。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
表1〜7及び図6〜7を考察して明らかなように本発明の特性要件を全て充足する実施例のカーボンブラックは、本発明の特性要件の少なくとも1つを外れる比較例あるいは参考例のカーボンブラックに比べて、配合ゴムに対し反発弾性、圧縮永久歪み、ムーニー特性等の動的特性を後退させることなく、200%モジュラスや引張り強さが高位にあり軽量化に寄与していることが判る。更に、図6から200%モジュラスが同等レベルであれば実施例の配合ゴムは比較例や参考例の配合ゴムに比べて反発弾性が高位にあり、また図7から200%モジュラスが同等レベルであれば実施例の配合ゴムは比較例や参考例の配合ゴムに比べてカーボンブラックの分散性の指標となる光沢度が高く、混練加工性に優れていることが認められる。
【0041】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のカーボンブラックによれば、配合ゴムに動的特性及び混練加工性の後退を伴うことなく、高い補強性能を付与することが可能である。したがって、ウエザーストリップ、ラジエータホース、ドアパッキング、窓枠シールガラスラン、プロテクションモール、プーリーベルト等の自動車内外装部品をはじめケーブルカバー、ベルトホースケーブル、マット等の工業用ゴム部品の軽量化が可能となり、各種ゴム部材に使用する機能部品ゴムに配合するカーボンブラックとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。
【図3】本発明のカーボンブラックを製造するために用いられる発生炉を例示した側断面図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】実施例と比較例、参考例による反発弾性と200%モジュラスの関係グラフである。
【図7】実施例と比較例、参考例による光沢度と200%モジュラスの関係グラフである。
【符号の説明】
1 接線方向空気供給口
2 燃焼バーナー
3 原料噴射ノズル
4 燃焼室
5 狭径部
6 広径反応部
7 水冷クエンチ
8 急冷部
9 煙道
Claims (1)
- 窒素吸着比表面積(N2 SA)が40〜70(m2/g)、DBP吸油量(D0)が150〜230(ml/100g) 、DBP吸油量(D0)と24M4DBP吸油量(D1)との比(D1 /D0 )がD1 /D0 ≧0.50の特性を有するカーボンブラックにおいて、下記 (1)〜 (3)の選択的特性を有する機能部品ゴム配合用カーボンブラック。
(1) 窒素吸着比表面積(N2 SA)とよう素吸着量(IA)との比(N2 SA/IA):N2 SA/IA≧0.98
(2) アグリゲートストークス相当径分布のモード径(Dst)と半値幅(ΔDst)との比(ΔDst/Dst):0.55≦ΔDst/Dst≦0.70
(3) a=D1 /(ΔDst/Dst)式で算出されたa値:140≦a≦200
但し、24M4DBP吸油量は圧縮DBP吸油量、Dstはディスクセントリフュージ装置(DCF) により測定されるカーボンブラックアグリゲートのストークスモード径、ΔDstは同ストークス径分布の半値幅を示す。
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