JP3819588B2 - ソフト系ハイストラクチャーカーボンブラック - Google Patents

ソフト系ハイストラクチャーカーボンブラック Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンマウント等に用いられる耐熱防振ゴム用をはじめウエザーストリップ、ホース、ベルト等の自動車内外装部品や工業用ゴム部品に使用する各種機能部品ゴム用として好適なソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の防振材に用いられるゴム材料には支持する重量物の振動を吸収し抑制する防振機能と重量物を支える高度の強度特性が要求され、従来から防振特性や耐動的疲労性に優れた天然ゴム(NR)やそのブレンドゴムが使用されている。例えば、特開平1−272645号公報には天然ゴム(NR)等の原料ゴムに、充填剤としてヨウ素吸着量10〜40mg/g、ジブチルフタレート吸油量(A法)100〜500ml/100gの特性を有するカーボンブラックを配合してなる防振ゴム用ゴム組成物が開示されている。
【0003】
しかしながら、例えば自動車エンジンマウント用の防振ゴムには、近年におけるエンジンの高性能化とともに高温環境下に耐える高度の耐熱性が必要となっており、NRやNRブレンドゴムでは耐熱性が充分でないために高温環境下で熱劣化を生じ、防振ゴム用のゴム材料として使用することが困難となってきた。
【0004】
そこで、天然ゴム(NR)よりも耐熱性に優れ汎用性のポリマーであるエチレン−プロピレン−ジエン系合成ゴム(EPDM)やクロロプレンゴム(CR)等をゴム成分とした耐熱性の防振ゴム用ゴム組成物が開発されている。例えば、特開平3−227343号公報にはエチレン含有量、極限粘度(η)、ヨウ素価、動的粘弾性試験により求めた周波数ωr 等を特定したエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(A)に、ヨウ素吸着量(IA)が35〜50mg/g、ジブチルフタレート吸油量(DBPA)が120〜140ml/100g 、ΔDBPA(=DBPA−24M4DBPA)が40〜50ml/100g 、遠心沈降分析によるアグリゲートのストークス相当径の最多頻度値(Dst) が、Dst≧{(DBPA)2 −(IA)2 1/2 +80の関係を満足する特定のカーボンブラック(B)を含有してなる耐熱防振ゴム材料用ゴム組成物が開示されている。
【0005】
また、特開平7−268148号公報にはポリマー分子量及びポリマー粘度を特定したエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体に、パーオキサイドならびにジブチルフタレート吸収量が140ml/100g 以上のカーボンブラックを配合した耐熱防振ゴム用ゴム組成物が提案されている。
【0006】
一般に、防振用のゴム材料として好適な、動倍率の低いゴム組成物とするためには粒子径が大きく比表面積の小さいソフト系カーボンブラックを用いることが必要であり、上記の特開平3−227343号公報や特開平7−268148号公報でも粒子径が大きく比表面積の小さいソフト系のカーボンブラックが使用されている。
【0007】
しかしながら、一般的に粒子径が大きい(比表面積が小さい)ソフト系カーボンブラックではゴムに対する補強効果が低いので強度特性が低下し、特にポリマー強度の低いエチレン−プロピレン−ジエン系合成ゴム(EPDM)等では補強性の低下が著しくなる難点がある。一方、ウエザーストリップ、ホース、ベルト等の機能部品ゴム部材には長期に亘り安定した使用性能が必要とされるため補強性及び耐疲労性、耐へたり性の向上が要求されている。しかし補強性を向上させるために粒子径の小さい(比表面積の大きい)カーボンブラックを配合すると、耐疲労性や耐へたり性が低下する問題がある。
【0008】
そこで、ゴム成分に配合するカーボンブラックの粒子径や比表面積に加えて、他のコロイダル特性面からこれらのゴム物性を改善する試みが盛んに行われている。例えば、本出願人は凝集体の遠心沈降法(DCF法)により測定されるモード径(Dst)が150nm以上、前記モード径(Dst)とその半値幅(ΔDst)の比(ΔDst/Dst)が1.5以上、着色力(T)とブラックネス(B)との比(B/T)が1.20以上の特性を備える機能部品ゴム配合用カーボンブラック(特開平3−14848 号公報)、天然ゴムまたはジエン系合成ゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)≦60m2/g、DBP吸油量≦100ml/100g 、130nm≦Dst≦220nm、ΔDst/Dst≦0.95、の選択的特性を有するカーボンブラックを20〜100重量部配合したゴム組成物(特開平4−18438 号公報)を提案した。
【0009】
更に、本出願人はクロロプレンゴム100重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)≦60m2/g、Dst≧130nm、ΔDst/Dst≦0.95の選択的特性を有するカーボンブラックを20〜100重量部配合したゴム組成物(特開平4−18439 号公報)、窒素吸着比表面積(N2 SA)が45〜65m2/g 、DBP吸油量(D0)と圧縮DBP吸油量(D1)の比(D0 /D1)が1.10〜1.20の範囲にあり、かつ前記DBP吸油量(D0)が60〜80ml/100g の特性要件を満たすことを特徴とする機能部品ゴム配合用カーボンブラック(特開平8−143784号公報)等を開発し、提案している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者はGPF〜FEF級のソフト系カーボンブラックを対象にして、更にコロイダル性状と配合ゴム組成物の性能との関連について詳細に研究を進めた結果、特定範囲の比表面積及びアグリゲート分布を有し、比表面積に対応するストラクチャーレベルが高いカーボンブラックにおいて、CTAB比表面積当たりのアグリゲートの大きさが相対的に小さく、かつCTAB比表面積に対して一定ストラクチャーレベル当たりのアグリゲート分布幅の指標値(ΔDst/Dst)からI値を定義し、算出されるI値を特定範囲内に設定すると配合したゴム組成物の動倍率が低く、補強性、耐疲労性、耐へたり性などのゴム性能をバランスよく付与できることを見出した。
【0011】
本発明は上記の知見に基づいて完成したものであり、その目的は防振ゴムをはじめ各種機能部品ゴム用として好適に用いられるソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックは、25≦CTAB≦60、DBP≧0.6×CTAB+120、0.60<ΔDst/Dst<1.00の特性を有するカーボンブラックであって、下記の選択的特性を備えることを構成上の特徴とする。
(1)Dst<(6000/CTAB+60)
(2)I=CTAB×(ΔDst/Dst)/DBPで算出されるI値が
I<0.25
但しCTABはCTAB比表面積(m2/g)、DBPはDBP吸油量(ml/100g) 、Dstはカーボンブラックアグリゲートのストークス相当径分布のモード径(nm)、ΔDstは同ストークス相当径分布の半値幅(nm)である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においてカーボンブラック特性としてCTAB比表面積(m2/g)を25〜60(m2/g)の範囲とするのは本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックの粒子径範囲の前提条件となるもので、25(m2/g)未満では補強性が充分でなく、60(m2/g)を越えると動倍率が上昇し、耐疲労性や耐へたり性の低下が著しくなる。
【0014】
また、DBP≧0.6×CTAB+120の条件はストラクチャー範囲の前提条件である。比表面積が大きく(粒子径が小さく)なる程高いストラクチャーレベルが必要となり、すなわち小粒子径(高硬度)領域で目的の動倍率レベルを得るためには一定硬度当たりのカーボンブラック配合量を減ずる必要があることを意味する。この条件を外れると特に動倍率の改良が不充分となる。
【0015】
0.60<ΔDst/Dst<1.00の条件は本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックのアグリゲートの分布性状の前提条件となるもので、この値が0.60より小さい場合には動倍率が著しく高くなり、一方1.00より大きいと充分な補強性及び耐疲労性が得られなくなる。すなわち、ΔDst/Dstの値を0.60〜1.00の範囲に設定することにより配合ゴムに一定硬度当たりの低動倍率と高補強性、高耐疲労性の物性が付与される。
【0016】
本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックは、上記の前提的特性条件に加えて、
(1)Dst<(6000/CTAB+60)
(2)I=CTAB×(ΔDst/Dst)/DBPで算出されるI値が
I<0.25
の選択的特性要件を備えることが必要である。
【0017】
Dst(nm)が(6000/CTAB+60)の値より小さいということは、一定CTAB比表面積当たりのアグリゲートのストークス相当径分布のモード径が小さいこと、すなわち比表面積に対応するアグリゲートが相対的に小さいことを意味し、この条件を充足しない場合にはゴムへの補強効果が低くなる。なお好ましくは、Dst<(6000/CTAB+50)の特性要件を満足することである。
【0018】
また、I=CTAB×(ΔDst/Dst)/DBPで算出されるI値は粒子径に対する一定ストラクチャーレベル当たりのアグリゲートの分布幅を示すパラメータとなるものであり、この値を0.25より小さい範囲に設定制御することによりゴムに配合した際の相反する特性である低動倍率、高補強性、高耐疲労性及び高耐へたり性をバランスよく付与することが可能となる。I値が0.25以上では前記したゴム配合した際の相反する特性のうち少なくとも1つが低位となる。
【0019】
このように本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックは、比表面積(粒子径)に対応するストラクチャーレベルが相対的に高く、比表面積及びアグリゲートの分布特性が特定範囲にあるカーボンブラックにおいて、一定CTAB比表面積当たりのアグリゲートのストークスモード径が相対的に小さく、またCTAB比表面積に対する一定ストラクチャーレベルに対応するアグリゲートの分布特性が相対的に小さい特徴を備えている。これらの特性が総合的に機能してゴム組成物とした場合に、一定硬度当たりの動倍率、補強性、耐疲労性、耐へたり性等のゴム物性をバランスよく付与することが可能となる。
【0020】
上記構成におけるカーボンブラックの各特性は、以下の測定方法によって得られる値が用いられる。
▲1▼CTAB比表面積(m2/g);
ASTM D3765-80 “Standard Test Method for Carbon Black−CTAB SurfaceArea ”による。この測定方法によるIRB#6のCTAB比表面積は77m2/gである。
▲2▼DBP吸油量(ml/100g) ;
JIS K6221-82 「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.1.2 項A法による。この測定方法によるIRB#6のDBP吸油量は99ml/100g である。
【0021】
▲3▼アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dst(nm)、及び半値幅ΔDst(nm);
JIS K6221-82 5 「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度50mg/lの分散液を作成し、これを超音波で充分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国 Joyes Lobel社製)を6000rpm の回転数に設定し、スピン液(温度25℃の2重量%グリセリン水溶液)を10ml加えたのち、1mlのバッファー液(温度25℃の20容量%エタノール水溶液)を注入する。次いで温度25℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸はカーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸はカーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0022】
【数1】
Figure 0003819588
【0023】
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935cp) 、Nはディスク回転スピード(6000rpm)、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(4.56cm)、r2 吸光度測定点までの半径(4.82cm)、ρCBはカーボンブラックの密度(g/cm3) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178g/cm3)である。
【0024】
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径をDst(nm)とし、最大頻度に対し50%の頻度が得られる大小2点のストークス相当径の差(半値巾)をΔDst(nm)とする。この測定方法によるASTM D−24 Standard Reference Black C-3(N234) のDstは80nm、ΔDstは60nmである。
【0025】
本発明のカーボンブラックは、常法に従って加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤等の必要成分とともにゴム成分に配合、混練、加硫処理して目的とするゴム組成物が得られる。ゴム成分としては、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、その他カーボンブラックにより補強可能な各種合成ゴム、混合ゴム等が用いられる。カーボンブラックの配合量はゴム成分100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の範囲に設定される。
【0026】
本発明のカーボンブラックは、緩徐に収斂、開拡する鼓状絞り部をもつ広径の円筒反応炉を用い、二段で導入した燃料油と空気または酸素を含む適宜な酸化剤とによる高温燃焼ガス中に原料油を酸素富化した空気によりアトマイズして導入する方法によって製造することができる。すなわち、図3に例示するような、炉頭部に接線方向空気供給口1と炉軸方向に装着された複数の一次燃焼バーナ2及び水冷外套を有し炉軸方向に進退可能な外筒二次燃焼バーナ3とこれに挿着された伸縮自在な中軸筒原料油ノズル4からなる二重筒構造の燃料油及び原料油噴射ノズル5を備えた燃焼室6と、同軸的に鼓状の狭径部7を介して広径反応室8が連設され、下流域に水冷クエンチ9を備えた急冷部10を経て垂直に立ち上がる煙道11に接続する円筒反応炉を用い、原料油は酸素富化した空気とともに中軸筒ノズル4を介して導入される。なお、原料油導入位置は中軸筒ノズル4の伸縮により適宜変更することができる。
【0027】
原料油にはクレオソート油、エチレンボトム油等の高芳香族系重質油が使用され、高温燃焼ガスとの良好な均質混合状態を得るために霧化噴射ノズルを介して充分な微粒子気流の状態で導入する。本発明のカーボンブラックは、上記の装置において、供給する空気量、燃料油量、原料油導入量、上流側と下流側との原料油導入量の割合、燃焼ガス流速および炉内滞留時間などを制御することにより製造することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
【0029】
実施例1〜7、比較例1〜7
(1) カーボンブラックの製造
炉頭部に接線方向空気供給口1を備えたウインドボックスと下流側出口部が緩やかに収斂する燃焼室6(内径600mm、長さ500mm)、該燃焼室と同軸的に連設する狭径部7(内径400mm、長さ300mm)、及びこれに引き続き開拡するテーパー状反応室8(内径900mm、長さ3600mm)、反応室の下流域に位置変更し得る水冷クエンチ9を設けた円筒反応炉を設置し、炉頭から炉中心軸に沿って二重筒構造の二次燃料油及び原料油噴射ノズル5を挿着し、その周辺に4本の一次燃焼バーナ2を同軸的に設けた図3に示す構造の円筒反応炉を設置した。二次燃料油及び原料油噴射ノズル5は、二次燃料油導入点(二次燃焼バーナ3の噴出孔)が収斂部位入口に、原料油導入点(中軸筒ノズル4の噴出孔)は狭径部位入口にそれぞれ位置するように調整した。なお、燃料油及び原料油には表1に示した性状のものを使用した。
【0030】
【表1】
Figure 0003819588
【0031】
上記の反応炉、原料油及び燃料油を用い、全空気供給量、一次及び二次燃料油供給量、燃料油燃焼率、全原料油供給量、原料油がアトマイズされたガスの酸素富化率、炉内滞留時間等の生成条件を変えて特性の異なるカーボンブラックを製造した。カーボンブラックの製造条件と得られたカーボンブラックの特性を対応させて表2(実施例)及び表3(比較例)に示した。なお、表4には参考例1〜3として市販のソフト系カーボンブラック(GPF、FEF、MAF)の特性を示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003819588
【0033】
【表3】
Figure 0003819588
【0034】
【表4】
Figure 0003819588
【0035】
(2) ゴム組成物の作成
次に、これらのカーボンブラックを表5に示した配合比によりEPDMゴムに配合し、配合物を160℃の温度で20分間加硫してゴム組成物を得た。なお、加硫ゴムの硬度を一定にして比較するためにカーボンブラックの配合量は変量とした。
【0036】
【表5】
Figure 0003819588
【0037】
(3) ゴム特性試験
得られた各ゴム組成物について各種のゴム試験を行い、測定された結果を表6〜表8に示した。なお、ゴム特性の測定は下記の方法で行った。
▲1▼動的剪断弾性率 (Ed100);ヴィスコ・エラスティック・スペクトロメーター〔 (株) 岩本製作所製〕を用い、以下の条件で測定した。
試験片; 厚さ 2mm、長さ35mm、幅 5mm
周波数; 100Hz 、動的歪率; 0.2%、温度; 室温
▲2▼静的剪断弾性率(Es);JIS K6386「防振ゴムのゴム材料」
▲3▼動倍率;動的剪断弾性率 (Ed100)/静的剪断弾性率(Es)から算出
▲4▼耐疲労性(伸長疲労寿命);ゴム疲労試験機〔(株)インフィニット・ニシ製〕を用いて以下の条件で測定し、切断までの平均寿命回数(MTTF, n=16) を求めた。
試験片; 3号ダンベル
歪み条件; 20mmの標線間の歪み率 0〜150%
加振周波数; 5Hz
雰囲気温度; 室温
▲5▼圧縮永久歪み;JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」により 100℃×22Hrの条件で測定
【0038】
また、補強性(TB×EB)と動倍率の関係を図4に、伸長疲労寿命(MTTF)と動倍率の関係を図5に、補強性(TB×EB)と圧縮永久歪み(Cs)および伸長疲労寿命(MTTF)の関係を図6、図7に、圧縮永久歪み(Cs)と動倍率の関係を図8に、それぞれ示した。
【0039】
【表6】
Figure 0003819588
【0040】
【表7】
Figure 0003819588
【0041】
【表8】
Figure 0003819588
【0042】
表6〜表8及び図4〜図8の結果から、配合ゴムの硬度(Hs)を一定(59〜61)にした場合に、本発明の特性要件を充足するカーボンブラックを配合した実施例のゴム組成物は比較例及び参考例のゴム組成物に比べて伸長疲労寿命が永く、動倍率も低位にあり、また強度も高いことが認められる。すなわち、実施例のゴム組成物は比較例、参考例のゴム組成物に対比して、図4から一定(TB×EB)当たり動倍率が低く、図5から動倍率が低く伸長疲労寿命が長く改良方向にあり、更に、図6、図7から一定(TB×EB)当たり圧縮永久歪みが小さく、伸長疲労寿命が長く、また動倍率及び圧縮永久歪みが低く改良方向にあることが判る。
【0043】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の特性要件を具備するカーボンブラックを天然ゴムや合成ゴムあるいはそれらのブレンドゴムに配合したゴム組成物は、一定硬度当たりの動倍率が低く、補強性、耐疲労性、耐へたり性等のゴム特性をバランスよく付与することができる。したがって、例えば自動車のエンジンマウント等の高温環境下で使用される耐熱防振ゴム材料をはじめ、ウエザーストリップ、ホースやベルト等の自動車内外装部品や工業用ゴム部品に使用する各種機能部品ゴム部材に配合されるソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。
【図3】本発明のソフト系ハイストラクチャーカーボンブラックを製造するために用いられる反応炉を例示した側断面図である。
【図4】実施例と比較例、参考例による補強性(TB×EB)と動倍率の関係を示したグラフである。
【図5】実施例と比較例、参考例による伸長疲労寿命(MTTF)と動倍率の関係を示したグラフである。
【図6】実施例と比較例、参考例による補強性(TB×EB)と圧縮永久歪み(Cs)の関係を示したグラフである。
【図7】実施例と比較例、参考例による補強性(TB×EB)と伸長疲労寿命(MTTF)の関係を示したグラフである。
【図8】実施例と比較例、参考例による圧縮永久歪み(Cs)と動倍率の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1 接線方向空気供給口
2 一次燃焼バーナ
3 外筒二次燃焼バーナ
4 中軸原料油ノズル
5 二次燃料油及び原料油噴射ノズル
6 燃焼室
7 狭径部
8 広径反応室
9 水冷クエンチ
10 急冷部
11 煙道

Claims (2)

  1. 25≦CTAB≦60、DBP≧0.6×CTAB+120、0.60<ΔDst/Dst<1.00の特性を有するカーボンブラックであって、下記の選択的特性を備えることを特徴とするソフト系ハイストラクチャーカーボンブラック。
    (1)Dst<(6000/CTAB+60)
    (2)I=CTAB×(ΔDst/Dst)/DBPで算出されるI値が
    I<0.25
    但しCTABはCTAB比表面積(m2/g)、DBPはDBP吸油量(ml/100g) 、Dstはカーボンブラックアグリゲートのストークス相当径分布のモード径(nm)、ΔDstは同ストークス相当径分布の半値幅(nm)である。
  2. 請求項1において、Dst<(6000/CTAB+50)であるソフト系ハイストラクチャーカーボンブラック。
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