JP5091371B2 - タイヤトレッド配合用カーボンブラック - Google Patents

タイヤトレッド配合用カーボンブラック Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物に配合されるカーボンブラックに関し、より詳しくは配合ゴム組成物に対して耐摩耗性、ティアー性(伸び特性)、加工性を低下させることなく、タイヤトレッド配合用として有用な発熱特性を大幅に改良することのできるカーボンブラックを提供するものである。
【0002】
【従来技術】
カーボンブラックは、厳密に制御された条件下のファーネス炉内で発生させた、および/または外部で発生させて炉内に導入された、高温燃焼ガス中へ、原料炭化水素を噴霧させ、この原料炭化水素の熱分解または不完全燃焼により生産される、産業上有用な原材料であり、ゴム配合時の組成物に対して機械的性質、特に引張り強さ、耐摩耗性などの特性を飛躍的に向上させることができるという特異な性質を有することから、タイヤをはじめとする各種ゴム製品の充填補強剤として広く用いられるとともに、その色彩的特徴である黒色度を利用して各種塗料、インキ用原材料としても利用されている。
【0003】
ゴム配合用カーボンブラックは、その物理化学的特性、すなわちカーボンブラックを構成する単位粒子径、単位重量当たりの表面積(比表面積)、粒子のつながり度合(ストラクチャー)などにより配合ゴム組成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム組成物によって各種特性の異なるカーボンブラックが選択的に使用されている。
【0004】
タイヤの接地面(トレッド部)に用いられるゴム組成物においては、高速度で回転して道路面と接触することによる摩損に対する耐性(耐摩耗性)に優れていると同時に、接触で生じる繰り返し変形によるゴム組成物のヒステリシス特性も重要な要素である。
【0005】
タイヤトレッド部におけるゴム組成物の耐摩耗性の向上は、タイヤ寿命、特に走行距離の増大をもたらすので、タイヤの耐性にとって非常に大きなメリットをもたらす。
【0006】
この耐摩耗性を向上させるために、高表面積(小粒子径)化および高ストラクチャー化の方向でカーボンブラックの開発が行われてきた。しかしながら、耐摩耗性向上の要求は増大し、これに対応するためにカーボンブラック表面の活性度向上(特開平1−275643号、特開昭61−207452号、特公平7−64957号など)や遠心沈降分析により評価されるアグリゲート分布の半値幅を小さくする(特開平6−93136号、特開昭63−264647号など)などの技術が開示されている。
【0007】
このようにタイヤトレッド配合用カーボンブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段を採用した場合、耐摩耗性向上の反面でゴム組成物の発熱性が大きくなり、またティアー性(伸び特性)や加工性などの性能が低下するという欠点を招来する。すなわち、耐摩耗性と発熱性は互いに相反する特性として背反事項であり、これを解決するために種々の技術が提案されている。
【0008】
アグリゲート分布で2つ山があるカーボンブラックを用いた発明(特公平6−868号、特開昭64−74242号、特開昭63−199748号)、凝集体空隙容積を特定した発明(特公平6−37582号、特公平6−41540号、特公平7−755号)、示差走査熱量計(DSC)により測定される粒子間のポア分布モード径を特定した発明(特開平4−325535号、特開平4−370126号、特開平5−255542号)、希薄水分散物の可視光領域での吸光度の波長依存性を特定した発明(特開平4−363344号、特開平5−43740号、特開平5−170973号)などが、耐摩耗性と発熱性の性能を両立させる手段、方法として開示されている。また、高ストラクチャー化による対応も提案されている(特開平6−136289号)。
【0009】
高い耐摩耗性と低位の発熱性という背反事項を両立(完全に両立させることは不可能で、ある程度の点で妥協せざるを得ない)させる目的で前述のような種々の手段が提唱されているが、未だ十分な性能を兼備した配合ゴム組成物を与えることのできる特性を持つカーボンブラックは見いだされていないのが現状であり、本出願人はこれらの特性の両立を目指すとともに、これに加えてゴム組成物のティアー性(伸び特性)および加工性を改良することを目的として特願平9−111839号(特開平10−287772号)発明を出願した。この発明は、「窒素吸着比表面積(NSA)が140m/gを越え200m/g未満、DBP吸油量(DBP)が110ml/100gを越え160ml/100g未満という基本的特性を有するカーボンブラックにおいて、
(1)NSAとよう素吸着量(IA)の比(NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
(2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で
▲1▼ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)が70〜90nmであ
り、
▲2▼Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD50/Dst)が
0.81を越え1.30未満
であるタイヤトレッド配合用カーボンブラックに係わるものであり、配合ゴム組成物に対して発熱特性を低下させることなく、タイヤトレッド配合用として有用な、耐摩耗性、ティアー性(伸び特性)および加工性を大幅に改良するという優れた特性をゴム配合物に付与することのできるカーボンブラックを提供した。
【0010】
前述の発明は、カーボンブラックとゴムマトリックスとの相互作用(この結果として耐摩耗性、引張り強さなどの機械的性質、ゴムの加工性、粘弾性特性などに影響を及ぼす)、すなわち結合状態に着目するという原点に戻り、これとカーボンブラックと物理化学特性との関連性について研究を進め、その結果としてゴムとカーボンブラックの結合における物理的結合と化学的結合の割合を変化させることにより従来のカーボンブラックがゴムマトリックスに及ぼす性能とはまったく異なる性能を与えることができることを見いだして完成されたものである。しかしながら、ストラクチャー特性(DBP吸油量で評価)の上限が160ml/100gに限定されていたために、ゴムマトリックスへの分散性、特に表面積範囲で180m/gを上回った場合のゴムへの分散性、発熱性およびヒステリシス特性において若干の問題点を残していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前出願よりも高いDBP吸油量の140ml/100gを越え200ml/100g未満という高ストラクチャー側とすることで解決しようと試みたが、単にストラクチャーのみを上げた場合、特に160ml/100gを上回ったカーボンブラックでは耐摩耗性において良好な特性を示すが、発熱性やヒステリシス特性および加工性で特性が低下することを見い出した。
【0012】
そこで、前述の高いストラクチャーを有するカーボンブラックの望ましいゴム配合特性・性能、すなわち耐摩耗性を維持しながら、発熱性やヒステリシス特性および加工性を低下させないで改良させるという課題に鋭意取り組み、カーボンブラックアグリゲート特性におけるストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比、ΔD50/Dstを前出願の上限を上回る1.30を越え2.50未満という従来よりも非常に大きい範囲に限定することによりこの課題を解決し、本発明を完成したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、窒素吸着比表面積(NSA)が100m/gを越え180m/g未満、DBP吸油量(DBP)が140ml/100gを越え200ml/100g未満という基本的特性を有するカーボンブラックであって、
(l)NSAとよう素吸着量(IA)の比(NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
(2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD50/Dst)が1.30を越え2.50未満であり、
(3)(Dst×N SA)<10,000
の条件を満たすものであることを特徴とするタイヤトレッド配合用カーボンブラック

の条件を満たすものであることを特徴とするタイヤトレッド配合用カーボンブラックに関する。
【0014】
これらの要件において、NSAおよびDBPが前述の特定範囲にあることは配合ゴム組成物に対して高水準の耐摩耗性を保持するための基本的特性である。
【0015】
カーボンブラックは非常に小さい単位粒子が互いに融合して形成されるブドウの房状の凝集体(アグリゲートとも呼ばれ、ゴムマトリックス中への最小分散単位)の形態およびその分布が配合ゴム組成物の性能に大きな影響を及ぼすことは既に公知であり、ゴム組成物の特性を制御するために凝集体の形態特性を特定範囲にするという前述したような発明が提唱されている。
【0016】
しかしながら、本発明では前述の要件に加えて、NSA/IAの値を0.85〜0.98という特定範囲とするとともに、従来のハード系カーボンブラックでは達成されなかった遠心沈降分析により測定したアグリゲート分布の最多頻度値(Dst)と分布曲線の半値幅(ΔD50)の比、ΔD50/Dstが1.30を越え2.50未満というずっと大きい側に制御すること及び(Dst×N SA)<10,000の条件を満たすことが必須要件となっている。
【0017】
SAが100m/gを下回った場合には配合ゴム組成物に十分な耐摩耗性を確保することが困難となるので好ましくなく、逆に180m/gを越えた場合にはたとえアグリゲート特性が本発明の範囲を満たして大きくなったとしてもゴムマトリックスへの分散性が低下し、その結果として耐摩耗性は逆に低下する傾向にあり、加えて配合ゴムの加工性が低下するので、100m/gを越え180m/gの範囲とする。より望ましいNSAの範囲は130〜160m/gの範囲である。
【0018】
本発明においては、このNSA値とよう素吸着量(IA)〔よう素吸着量はNSA値と同様にカーボンブラックの表面積を評価する他の手段である〕との比、NSA/IAの値を通常のカーボンブラックの場合よりも低位とすることが必要であり、この値を0.85〜0.98の範囲とすることが本発明では必須条件となる。
【0019】
SA/IAの値がこの範囲の下限である0.85を下回った場合には補強性が著しく低下し、とくにタイヤにおいて最重要特性の1つである耐摩耗性で大きな低下がみられ、逆に0.98を上回った場合では加工性や伸び特性において低下が見られ、また耐摩耗性も若干ながら低下する傾向があるので好ましくない。より好適なNSA/IAの範囲は0.88〜0.95である。
【0020】
DBP特性は本発明のもうlつの基本特性であり、140ml/100gを下回った場合には十分な耐摩耗性が維持できず、また200ml/100gを上回った場合には通常のカーボンブラック配合量ではゴム組成物の粘度が上昇し、加工性と伸び特性での低下が見られるので好ましくない。DBPのより望ましい範囲は150〜185m1/100gである。
【0021】
本発明の特徴は、前述のような基本的特性を有するカーボンブラックにおいてNSA/IAの比を0.85〜0.98の特定範囲とするとともに、遠心沈降分析により得られたカーボンブラック凝集体の分布の最多頻度値(Dst)と分布曲線の半値幅(ΔD50)の比、ΔD50/Dstの値が1.30を越え2.50未満という従来よりもずっと大きい側とするという2つの条件を満たすことである。これらの条件を満足することにより、前出願における2つの基本特性での数値限定範囲を拡大したにもかかわらず耐摩耗性、ティアー性(伸び特性)、加工性を低下させることなく、タイヤトレッド配合用として有用な発熱特性での大幅な改良に寄与できるのである。
【0022】
本発明においては、(Dst×NSA)<10,000であることも構成要件とするものである。この条件を満たすことにより、アグリゲート特性で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD50/Dst)が従来よりもずっと大きい側の1.30を越え2.50未満にもかかわらず配合ゴム特性において耐摩耗性を低下させないという大きな利益が得られるのである。
【0023】
本発明に記載のカーボンブラックの各特性は、下記の方法により測定される。
【0024】
(1)窒素吸着比表面積(NSA)
JIS K6217:1997の第7項D法に記載の方法により測定され、単位重量当たりの比表面積m/gで表示される。
【0025】
(2)よう素吸着量(IA)
JIS K6217:1997の第6項に記載の方法により測定され、単位重量当りのよう素吸着量mg/gで表示される。
【0026】
(3)DBP吸油量
JIS K6217:1997の第9項A法に記載の方法で測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレート(DBP)のmlで表示される。
【0027】
(4)遠心沈降分析によるカーボンブラックアグリゲートサイズの分析法
測定装置:
高速ディスク遠心法超微粒子粒度分析計(測定装置名:BI−DCP、BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION社製)
測定方法:
JIS K 6218 に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤(ノニデットP−40)を加えよく練ってペースト状にしたのち20容量%エタノール水溶液と混合しカーボンブラック濃度200mg/lの分散液を作成し、超音波ホモジナイザーで十分に分散させ試料とする。
前記装置の回転数を8,000rpmに設定し、スピン液(純水、24℃)を10.0ml加えたのち、1.0mlのバッファー液(20容量%エタノール水溶液、24℃)を注入する。次いで24℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注入し測定を開始する。
カーボンブラック分散液を加えてからの経過時間と吸光度の分布曲線より各時間tに対応するストークス相当径を下記式(1)により算出する。
【数1】
D={〔18ηln(Rd/Ri)〕÷ωΔρt}1/2 ……(1)
式(1)において、ηは溶媒の粘度、ωはディスク回転数、Δρはカーボンブラック粒子と溶媒の密度差、Riはカーボンブラック分散液注入点の半径、Rdは吸光度測定点までの半径、tは時間(分)である。
【0028】
[モード径(Dst)および分布曲線の半値幅(ΔD50)ならびにΔD50/Dstの定義]
分布曲線における最多頻度値でのストークス相当径をDstモード径(nm)とし、最多頻度値の50%頻度に相当する大小2点のストークス相当径の差(半値幅)をΔD50(nm)とする。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を比較例と対比しながら詳しく説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではないことはいうまでもない。
【0030】
実施例および比較例
図1〜4に示すカーボンブラック製造炉(図1)を用いてRun No.1〜8のカーボンブラックを製造した。
【0031】
可燃性流体導入室(内径450mmφ、長さ400mm)2の内部に炉頭部外周から導入される酸素含有ガスを整流する整流板5を有する酸素含有ガス導入用円筒(内径250mmφ、長さ300mm)4とその中心軸に燃料導入装置を備え、前記円筒の下流側は次第に収れんする収れん室(上流端内径370mmφ、下流端内径80mmφ、収れん角度5.3°)8となり、かつ収れん室8の下流側には図2に10B平面で例示したような4つの原料油噴霧口(10B−1、10B−2、10B−3、10B−4)を同一平面上に設置した4つの別個の平面を形成する原料油噴霧口(10A〜l0D)を含む原料油導入室11を有し、この下流側は反応室12および反応停止用急冷水圧入噴霧装置(a〜h)を備えた反応継続兼冷却室(内径140mmφ、長さ2000mm)13からなる、全体が耐火物で覆われた製造炉1を用いた。
【0032】
燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。
【表1】
Figure 0005091371
【0033】
前記のカーボンブラック製造炉を用い、表2〜3に示した操作条件によりISAF級からSAF級のカーボンブラックを製造した。
【0034】
<実施例カーボンブラックおよび比較例カーボンブラックの製造条件>
表2〜3に記載のカーボンブラック製造条件は、前述の製造装置を用いて実施例カーボンブラックおよび比較例カーボンブラックを原料油導入位置、導入総空気量、原料油導入量、原料油導入圧力および温度、反応停止用冷却水導入位置、燃料導入量などの条件を調整して製造した条件を示したものである。
【0035】
より詳しく製造条件を説明すると、表面積(NSA)の調整は原料油導入量と総空気導入量との比率を変化させることにより行うことができ、導入空気量の割合を増加させることにより表面積は増大する。2つの表面積指標の比であるNSA/IAの制御は、カーボンブラック生成反応後の反応停止位置、すなわち原料油が炉内に導入されてから冷却されるまでの時間により行うことができ、より下流側(反応停止までの時間が長い)で行うことによりこの値は小さくなる。
また、アグリゲート特性、すなわち遠心沈降分析によるストークス相当径の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比であるΔD50/Dstの値を従来にはなかった大きな側に制御することが必須条件であるが、この制御は主に原料油の導入位置を組合せることにより行った。
【0036】
本発明にかかる実施例カーボンブラックおよび比較例カーボンブラックの製造条件を表2〜3に、製造された各カーボンブラックおよび対照カーボンブラックの物理化学的特性を表4〜5に示した。
【0037】
【表2】
Figure 0005091371
【0038】
【表3】
Figure 0005091371
【0039】
【表4】
Figure 0005091371
【0040】
【表5】
Figure 0005091371
【0041】
(ゴム性能試験)
表4および表5に示したカーボンブラックの性能を評価するために、表6に示した配合比率でゴム組成物を調整し、これらカーボンブラックの特性試験を行った。その結果を表7および表8に示した。
【0042】
【表6】
Figure 0005091371
【0043】
【表7】
Figure 0005091371
【0044】
【表8】
Figure 0005091371
【0045】
なお、各配合ゴム組成物のゴム特性は、次の試験条件により測定した。
ゴム特性試験条件
1)配合ゴム組成物の加硫条件
145℃、30分
2)耐摩耗性試験
ランボーン摩耗試験機を用い、苛酷度の高いスリップ率60%で摩耗試験を
行い、下式で算出した対照サンプル旭#90に対する耐摩耗指数(ランボーン
摩耗指数)で表示した。
耐摩耗指数=(S/T)×100
S:対照例(旭#90)配合試験片の摩耗減量
T:供試試験片における摩耗減量
3)損失正接
(株)岩本製作所製粘弾性スペクトロメーター(型式VES−F−III)
を用い、下記の測定条件で損失正接(tanδ)を測定し、対照カーボンブラ
ック(旭#90)に対する指数で表示した。
測定条件
周波数 : 50Hz
動的歪み率 :±1%
測定温度 :25℃
初期荷重 :160g重
4)分散性
Rubber Worldの1969年9月号(第160巻第6号)第63
−70頁(著者:H.E.Railsbachら)に記載の方法に準じて、配
合ゴム表面を32倍に拡大した顕微鏡写真を用い、10〜1に区分された標準
見本のどのランクに該当するかを目視で判定した。なお、ランクの中間にある
と判定したサンプル、例えば7と8の中間の場合には7.5と表示した。
5)その他のゴム特性
JIS K6300−1974およびK6301−1975に記載の方法に
準じて測定した。
【0046】
[評価]
表4〜5に示した物理化学特性を有する実施例および比較例のカーボンブラックをゴムに配合した組成物の測定結果(表7〜8)の結果から、本発明カーボンブラックの効果を説明する。Run No.1〜4のカーボンブラックは本発明にかかるものであり、Run No.5〜8のカーボンブラックは本発明の特定要件のlつまたは2つの要件を外れた比較例、Run No.9は対照カーボンブラック〔SAF級カーボンブラック、商品名 旭♯90、旭カーボン(株)製〕である。
【0047】
Run No.8は本発明の基本特性の1つであるNSAが特許請求の範囲の上限を上回った比較例である。
比較例のRun No.5、6、7は、アグリゲート特性ΔD50/Dstにおいて本発明範囲の下限を下回った例であり、また、Run No.5、6は、NSA/IAの値が本発明範囲の上限を上回った比較例である。
これらの実施例および比較例カーボンブラックの各特性項目ごとの評価は次の通りである。
【0048】
(1)ムーニー粘度特性について
Run No.2とRun No.6は、NSAおよびDBP吸油量の基本特性がほぼ同じであるが、NSA/IAの特性においてRun No.6は本発明の範囲を大きい側に外れているためにムーニー粘度において大きい値を示している。また、NSAが本発明範囲の上限を越えたRun No.8でも従来品よりも高い値のムーニー粘度値の上昇が認められるので、NSAの上限は180m/gとする。
Run No.2と対照例9は近似したNSAを有しているが、ムーニー粘度特性に影響を及ぼすもう一つの特性であるDBP吸油量が対照例9よりもかなり大きくなっているにもかかわらずこの値は同等となっており、本発明効果が明らかである。
【0049】
(2)耐摩耗特性と損失正接(tanδ)特性について
耐摩耗性(ランボーン摩耗指数)と損失正接(tanδ)の両特性を軸とし、実施例1〜4、比較例5〜8、対照例9をプロットしたものが図5である。
図5より実施例のグループ(Run No.1〜4)と比較例、対照例のグループは明らかに異なるシリーズとして区別することができ実施例は耐摩耗性を低下させることなく、損失正接の値を小さくできており、すなわち発熱性を大きく改良していることが分かる。
実施例、比較例をそれぞれ見てみると、比較例5、6はアグリゲート特性、NSA/IA値が本発明範囲を外れているために対照例9とほぼ同じ物性となってしまっている。また比較例7はアグリゲート特性のΔD50/Dstが非常に小さいために、耐摩耗性は対照例以上だが、発熱性が大きく劣っている。NSA値が本発明範囲の上限を上回ったRun No.8では分散が悪く耐摩耗性は改良されず発熱性の悪化が大きくなってしまっているが、これはNSAが大きすぎたためにゴム中への分散が悪化してしまったために耐摩耗性が改良されなかったと考えられる。その為にNSAの上限は180m/gとした。
発熱性(tanδ)に大きな影響を与えるカーボンブラック特性であるNSAを横軸としてプロットしたものが図6である(図の下の方向が改良方向)。
この図から同じNSAでも本発明の実施例1〜4は比較例、対照例と比較して発熱性のメリットは明確であることが分る。
【0050】
(3)分散特性について
SA特性において本発明範囲の上限を越えたRun No.8では分散性を示す数値が大きく低下している。本発明の実施例は全て9以上であり、本発明カーボンブラックの分散特性における優位性が明確に示されている。
【0051】
【効果】
本発明は、本出願人が以前に出願した特願平9−11839号(特開平10−287772号)で開示したカーボンブラックの特性をさらに改良したカーボンブラックである。すなわち、前出願では発熱特性を低下させることなく、タイヤトレッド配合用として有用な、耐摩耗性、ティアー性(伸び特性)および加工性を大幅に改良することのできるカーボンブラックを開示、提供した。この出願に係るカーボンブラックにより上記の各ゴム特性においてほぼ満足すべき性能を配合ゴムに付与することができたが、DBP吸油量の上限が160ml/100gであり、またアグリゲート特性における要件がモード径が大きいことのみであることから、若干ながらゴムへの分散性、加工性で問題が残されていた。
本発明カーボンブラックは、これらの問題を解消するとともに前出願の2つの基本特性の範囲を拡大しても、ΔD50/Dstで示されるアグリゲート特性を従来には全くなかった1.30〜2.50という非常に大きい側にコントロールし、加えて(Dst×N SA)<10,000という要件を同時に満足させるという特定のコロイダル特性とすることにより解決したものである。
本発明で開示されたカーボンブラック配合ゴム特性を掲載した表から明らかなように、ゴム配合製品、特にタイヤトレッドに配合した場合に望ましい性能を発揮することのできるものであり、産業上有用なカーボンブラックである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の装置の縦断正面説明図である。
【図2】図1のA−A矢視における断面図である。
【図3】図3の(a)は、図1の前頭部および燃料導入装置を示す部分拡大図であり、(b)は前記(a)における燃料油噴霧装置7の先端部分拡大図であり、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図4】図3(a)のB−B矢視における断面図である。
【図5】Run No.1〜9のカーボンブラックにおけるランボーン耐摩耗指数とNSAの関係を示すグラフである。
【図6】Run No.1〜9のカーボンブラックにおけるランボーン耐摩耗指数と損失正接の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カーボンブラック製造炉
2 可燃性流体導入室
3 酸素含有ガス導入管
4 酸素含有ガス導入用円筒
5 整流板
6 燃料油噴霧装置導入管
7 燃料油噴霧装置
8 収れん室
9 バーナータイル
10A 原料油噴霧口
10B 原料油噴霧口
10C 原料油噴霧口
10D 原料油噴霧口
11 原料油導入室
12 反応室
13 反応継続兼急冷室
51 リング
71 燃料油噴霧チップ
72 燃料油導入管
73 酸素含有ガス導入管
74 酸素含有ガス導入管
75 酸素含有ガス導入管
76 酸素含有ガス導入管
a 急冷水圧入噴霧装置
b 急冷水圧入噴霧装置
c 急冷水圧入噴霧装置
d 急冷水圧入噴霧装置
e 急冷水圧入噴霧装置
f 急冷水圧入噴霧装置
g 急冷水圧入噴霧装置
h 急冷水圧入噴霧装置

Claims (2)

  1. 窒素吸着比表面積(NSA)が100m/gを越え180m/g未満、DBP吸油量(DBP)が140ml/100gを越え200ml/100g未満という基本的特性を有するカーボンブラックであって、
    (l)NSAとよう素吸着量(IA)の比(NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
    (2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD50/Dst)が1.30を越え2.50未満であり、
    (3)(Dst×N SA)<10,000
    の条件を満たすものであることを特徴とするタイヤトレッド配合用カーボンブラック。
  2. SAとよう素吸着量(IA)の比(NSA/IA)が0.88〜0.93である請求項1に記載のタイヤトレッド配合用カーボンブラック。
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