JP2001123090A - タイヤトレッド配合用カーボンブラック - Google Patents

タイヤトレッド配合用カーボンブラック

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JP2001123090A
JP2001123090A JP30378399A JP30378399A JP2001123090A JP 2001123090 A JP2001123090 A JP 2001123090A JP 30378399 A JP30378399 A JP 30378399A JP 30378399 A JP30378399 A JP 30378399A JP 2001123090 A JP2001123090 A JP 2001123090A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムマトリックスへの分散性を改善するとと
もに、高苛酷条件下での耐摩耗性を向上させた高ストラ
クチャーのタイヤトレッド配合用カーボンブラックの提
供。 【解決手段】 窒素吸着比表面積(NSA)が100
/gを越え180m /g未満、DBP吸油量(D
BP)が140ml/100gを越え200ml/10
0g未満という基本的特性を有するカーボンブラックで
あって、(l)NSAとよう素吸着量(IA)の比
(NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
(2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性
で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Ds
t)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD
50/Dst)が1.30を越え2.50未満の条件を
満たすものであることを特徴とするタイヤトレッド配合
用カーボンブラック。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤトレッド用
ゴム組成物に配合されるカーボンブラックに関し、より
詳しくは配合ゴム組成物に対して耐摩耗性、ティアー性
(伸び特性)、加工性を低下させることなく、タイヤト
レッド配合用として有用な発熱特性を大幅に改良するこ
とのできるカーボンブラックを提供するものである。
【0002】
【従来技術】カーボンブラックは、厳密に制御された条
件下のファーネス炉内で発生させた、および/または外
部で発生させて炉内に導入された、高温燃焼ガス中へ、
原料炭化水素を噴霧させ、この原料炭化水素の熱分解ま
たは不完全燃焼により生産される、産業上有用な原材料
であり、ゴム配合時の組成物に対して機械的性質、特に
引張り強さ、耐摩耗性などの特性を飛躍的に向上させる
ことができるという特異な性質を有することから、タイ
ヤをはじめとする各種ゴム製品の充填補強剤として広く
用いられるとともに、その色彩的特徴である黒色度を利
用して各種塗料、インキ用原材料としても利用されてい
る。
【0003】ゴム配合用カーボンブラックは、その物理
化学的特性、すなわちカーボンブラックを構成する単位
粒子径、単位重量当たりの表面積(比表面積)、粒子の
つながり度合(ストラクチャー)などにより配合ゴム組
成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム
組成物によって各種特性の異なるカーボンブラックが選
択的に使用されている。
【0004】タイヤの接地面(トレッド部)に用いられ
るゴム組成物においては、高速度で回転して道路面と接
触することによる摩損に対する耐性(耐摩耗性)に優れ
ていると同時に、接触で生じる繰り返し変形によるゴム
組成物のヒステリシス特性も重要な要素である。
【0005】タイヤトレッド部におけるゴム組成物の耐
摩耗性の向上は、タイヤ寿命、特に走行距離の増大をも
たらすので、タイヤの耐性にとって非常に大きなメリッ
トをもたらす。
【0006】この耐摩耗性を向上させるために、高表面
積(小粒子径)化および高ストラクチャー化の方向でカ
ーボンブラックの開発が行われてきた。しかしながら、
耐摩耗性向上の要求は増大し、これに対応するためにカ
ーボンブラック表面の活性度向上(特開平1−2756
43号、特開昭61−207452号、特公平7−64
957号など)や遠心沈降分析により評価されるアグリ
ゲート分布の半値幅を小さくする(特開平6−9313
6号、特開昭63−264647号など)などの技術が
開示されている。
【0007】このようにタイヤトレッド配合用カーボン
ブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段を採用した
場合、耐摩耗性向上の反面でゴム組成物の発熱性が大き
くなり、またティアー性(伸び特性)や加工性などの性
能が低下するという欠点を招来する。すなわち、耐摩耗
性と発熱性は互いに相反する特性として背反事項であ
り、これを解決するために種々の技術が提案されてい
る。
【0008】アグリゲート分布で2つ山があるカーボン
ブラックを用いた発明(特公平6−868号、特開昭6
4−74242号、特開昭63−199748号)、凝
集体空隙容積を特定した発明(特公平6−37582
号、特公平6−41540号、特公平7−755号)、
示差走査熱量計(DSC)により測定される粒子間のポ
ア分布モード径を特定した発明(特開平4−32553
5号、特開平4−370126号、特開平5−2555
42号)、希薄水分散物の可視光領域での吸光度の波長
依存性を特定した発明(特開平4−363344号、特
開平5−43740号、特開平5−170973号)な
どが、耐摩耗性と発熱性の性能を両立させる手段、方法
として開示されている。また、高ストラクチャー化によ
る対応も提案されている(特開平6−136289
号)。
【0009】高い耐摩耗性と低位の発熱性という背反事
項を両立(完全に両立させることは不可能で、ある程度
の点で妥協せざるを得ない)させる目的で前述のような
種々の手段が提唱されているが、未だ十分な性能を兼備
した配合ゴム組成物を与えることのできる特性を持つカ
ーボンブラックは見いだされていないのが現状であり、
本出願人はこれらの特性の両立を目指すとともに、これ
に加えてゴム組成物のティアー性(伸び特性)および加
工性を改良することを目的として特願平9−11183
9号(特開平10−287772号)発明を出願した。
この発明は、「窒素吸着比表面積(NSA)が140
/gを越え200m/g未満、DBP吸油量(D
BP)が110ml/100gを越え160ml/10
0g未満という基本的特性を有するカーボンブラックに
おいて、(1)NSAとよう素吸着量(IA)の比
(NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
(2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Dst)
が70〜90nmであり、 Dstに対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比
(ΔD50/Dst)が0.81を越え1.30未満 であるタイヤトレッド配合用カーボンブラックに係わる
ものであり、配合ゴム組成物に対して発熱特性を低下さ
せることなく、タイヤトレッド配合用として有用な、耐
摩耗性、ティアー性(伸び特性)および加工性を大幅に
改良するという優れた特性をゴム配合物に付与すること
のできるカーボンブラックを提供した。
【0010】前述の発明は、カーボンブラックとゴムマ
トリックスとの相互作用(この結果として耐摩耗性、引
張り強さなどの機械的性質、ゴムの加工性、粘弾性特性
などに影響を及ぼす)、すなわち結合状態に着目すると
いう原点に戻り、これとカーボンブラックと物理化学特
性との関連性について研究を進め、その結果としてゴム
とカーボンブラックの結合における物理的結合と化学的
結合の割合を変化させることにより従来のカーボンブラ
ックがゴムマトリックスに及ぼす性能とはまったく異な
る性能を与えることができることを見いだして完成され
たものである。しかしながら、ストラクチャー特性(D
BP吸油量で評価)の上限が160ml/100gに限
定されていたために、ゴムマトリックスへの分散性、特
に表面積範囲で180m/gを上回った場合のゴムへ
の分散性、発熱性およびヒステリシス特性において若干
の問題点を残していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前出願
よりも高いDBP吸油量の140ml/100gを越え
200ml/100g未満という高ストラクチャー側と
することで解決しようと試みたが、単にストラクチャー
のみを上げた場合、特に160ml/100gを上回っ
たカーボンブラックでは耐摩耗性において良好な特性を
示すが、発熱性やヒステリシス特性および加工性で特性
が低下することを見い出した。
【0012】そこで、前述の高いストラクチャーを有す
るカーボンブラックの望ましいゴム配合特性・性能、す
なわち耐摩耗性を維持しながら、発熱性やヒステリシス
特性および加工性を低下させないで改良させるという課
題に鋭意取り組み、カーボンブラックアグリゲート特性
におけるストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(D
st)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比、Δ
D50/Dstを前出願の上限を上回る1.30を越え
2.50未満という従来よりも非常に大きい範囲に限定
することによりこの課題を解決し、本発明を完成したも
のである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒素吸着比表
面積(NSA)が100m/gを越え180m
g未満、DBP吸油量(DBP)が140ml/100
gを越え200ml/100g未満という基本的特性を
有するカーボンブラックであって、(l)NSAとよ
う素吸着量(IA)の比(NSA/IA)の値が0.
85〜0.98であり、(2)遠心沈降分析により測定
したアグリゲート特性で、ストークス相当径の分布曲線
の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半値幅(Δ
D50)の比(ΔD50/Dst)が1.30を越え
2.50未満の条件を満たすものであることを特徴とす
るタイヤトレッド配合用カーボンブラックに関する。
【0014】これらの要件において、NSAおよびD
BPが前述の特定範囲にあることは配合ゴム組成物に対
して高水準の耐摩耗性を保持するための基本的特性であ
る。
【0015】カーボンブラックは非常に小さい単位粒子
が互いに融合して形成されるブドウの房状の凝集体(ア
グリゲートとも呼ばれ、ゴムマトリックス中への最小分
散単位)の形態およびその分布が配合ゴム組成物の性能
に大きな影響を及ぼすことは既に公知であり、ゴム組成
物の特性を制御するために凝集体の形態特性を特定範囲
にするという前述したような発明が提唱されている。
【0016】しかしながら、本発明では前述の要件に加
えて、NSA/IAの値を0.85〜0.98という
特定範囲とするとともに、従来のハード系カーボンブラ
ックでは達成されなかった遠心沈降分析により測定した
アグリゲート分布の最多頻度値(Dst)と分布曲線の
半値幅(ΔD50)の比、ΔD50/Dstが1.30
を越え2.50未満というずっと大きい側に制御するこ
とが必須要件となっている。
【0017】NSAが100m/gを下回った場合
には配合ゴム組成物に十分な耐摩耗性を確保することが
困難となるので好ましくなく、逆に180m/gを越
えた場合にはたとえアグリゲート特性が本発明の範囲を
満たして大きくなったとしてもゴムマトリックスへの分
散性が低下し、その結果として耐摩耗性は逆に低下する
傾向にあり、加えて配合ゴムの加工性が低下するので、
100m/gを越え180m/gの範囲とする。よ
り望ましいNSAの範囲は130〜160m /gの
範囲である。
【0018】本発明においては、このNSA値とよう
素吸着量(IA)〔よう素吸着量はNSA値と同様に
カーボンブラックの表面積を評価する他の手段である〕
との比、NSA/IAの値を通常のカーボンブラック
の場合よりも低位とすることが必要であり、この値を
0.85〜0.98の範囲とすることが本発明では必須
条件となる。
【0019】NSA/IAの値がこの範囲の下限であ
る0.85を下回った場合には補強性が著しく低下し、
とくにタイヤにおいて最重要特性の1つである耐摩耗性
で大きな低下がみられ、逆に0.98を上回った場合で
は加工性や伸び特性において低下が見られ、また耐摩耗
性も若干ながら低下する傾向があるので好ましくない。
より好適なNSA/IAの範囲は0.88〜0.95
である。
【0020】DBP特性は本発明のもうlつの基本特性
であり、140ml/100gを下回った場合には十分
な耐摩耗性が維持できず、また200ml/100gを
上回った場合には通常のカーボンブラック配合量ではゴ
ム組成物の粘度が上昇し、加工性と伸び特性での低下が
見られるので好ましくない。DBPのより望ましい範囲
は150〜185m1/100gである。
【0021】本発明の特徴は、前述のような基本的特性
を有するカーボンブラックにおいてNSA/IAの比
を0.85〜0.98の特定範囲とするとともに、遠心
沈降分析により得られたカーボンブラック凝集体の分布
の最多頻度値(Dst)と分布曲線の半値幅(ΔD5
0)の比、ΔD50/Dstの値が1.30を越え2.
50未満という従来よりもずっと大きい側とするという
2つの条件を満たすことである。これらの条件を満足す
ることにより、前出願における2つの基本特性での数値
限定範囲を拡大したにもかかわらず耐摩耗性、ティアー
性(伸び特性)、加工性を低下させることなく、タイヤ
トレッド配合用として有用な発熱特性での大幅な改良に
寄与できるのである。
【0022】本発明においては、(Dst×NSA)
<10,000であることが好ましい。このような条件
を満たしてさえいれば、ΔD50/Dstが1.30を
上廻っていても配合ゴム特性における耐摩耗性が低下し
ないという大きな利益が得られる。
【0023】本発明に記載のカーボンブラックの各特性
は、下記の方法により測定される。
【0024】(1)窒素吸着比表面積(NSA) JIS K6217:1997の第7項D法に記載の方
法により測定され、単位重量当たりの比表面積m/g
で表示される。
【0025】(2)よう素吸着量(IA) JIS K6217:1997の第6項に記載の方法に
より測定され、単位重量当りのよう素吸着量mg/gで
表示される。
【0026】(3)DBP吸油量 JIS K6217:1997の第9項A法に記載の方
法で測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収
されるジブチルフタレート(DBP)のmlで表示され
る。
【0027】(4)遠心沈降分析によるカーボンブラッ
クアグリゲートサイズの分析法 測定装置:高速ディスク遠心法超微粒子粒度分析計(測
定装置名:BI−DCP、BROOKHAVEN IN
STRUMENTS CORPORATION社製) 測定方法:JIS K 6218 に基づいて乾燥した
カーボンブラック試料を少量の界面活性剤(ノニデット
P−40)を加えよく練ってペースト状にしたのち20
容量%エタノール水溶液と混合しカーボンブラック濃度
200mg/lの分散液を作成し、超音波ホモジナイザ
ーで十分に分散させ試料とする。前記装置の回転数を
8,000rpmに設定し、スピン液(純水、24℃)
を10.0ml加えたのち、1.0mlのバッファー液
(20容量%エタノール水溶液、24℃)を注入する。
次いで24℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注
入し測定を開始する。カーボンブラック分散液を加えて
からの経過時間と吸光度の分布曲線より各時間tに対応
するストークス相当径を下記式(1)により算出する。
【数1】 D={〔18ηln(Rd/Ri)〕÷ωΔρt}1/2 ……(1) 式(1)において、ηは溶媒の粘度、ωはディスク回転
数、Δρはカーボンブラック粒子と溶媒の密度差、Ri
はカーボンブラック分散液注入点の半径、Rdは吸光度
測定点までの半径、tは時間(分)である。
【0028】[モード径(Dst)および分布曲線の半
値幅(ΔD50)ならびにΔD50/Dstの定義]分
布曲線における最多頻度値でのストークス相当径をDs
tモード径(nm)とし、最多頻度値の50%頻度に相
当する大小2点のストークス相当径の差(半値幅)をΔ
D50(nm)とする。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と対比しなが
ら詳しく説明するが、これにより本発明の範囲が限定さ
れるものではないことはいうまでもない。
【0030】実施例および比較例 図1〜4に示すカーボンブラック製造炉(図1)を用い
てRun No.1〜8のカーボンブラックを製造し
た。
【0031】可燃性流体導入室(内径450mmφ、長
さ400mm)2の内部に炉頭部外周から導入される酸
素含有ガスを整流する整流板5を有する酸素含有ガス導
入用円筒(内径250mmφ、長さ300mm)4とそ
の中心軸に燃料導入装置を備え、前記円筒の下流側は次
第に収れんする収れん室(上流端内径370mmφ、下
流端内径80mmφ、収れん角度5.3°)8となり、
かつ収れん室8の下流側には図2に10B平面で例示し
たような4つの原料油噴霧口(10B−1、10B−
2、10B−3、10B−4)を同一平面上に設置した
4つの別個の平面を形成する原料油噴霧口(10A〜l
0D)を含む原料油導入室11を有し、この下流側は反
応室12および反応停止用急冷水圧入噴霧装置(a〜
h)を備えた反応継続兼冷却室(内径140mmφ、長
さ2000mm)13からなる、全体が耐火物で覆われ
た製造炉1を用いた。
【0032】燃料には比重0.8622(15℃/4
℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状
の重質油を使用した。
【表1】
【0033】前記のカーボンブラック製造炉を用い、表
2〜3に示した操作条件によりISAF級からSAF級
のカーボンブラックを製造した。
【0034】<実施例カーボンブラックおよび比較例カ
ーボンブラックの製造条件>表2〜3に記載のカーボン
ブラック製造条件は、前述の製造装置を用いて実施例カ
ーボンブラックおよび比較例カーボンブラックを原料油
導入位置、導入総空気量、原料油導入量、原料油導入圧
力および温度、反応停止用冷却水導入位置、燃料導入量
などの条件を調整して製造した条件を示したものであ
る。
【0035】より詳しく製造条件を説明すると、表面積
(NSA)の調整は原料油導入量と総空気導入量との
比率を変化させることにより行うことができ、導入空気
量の割合を増加させることにより表面積は増大する。2
つの表面積指標の比であるN SA/IAの制御は、カ
ーボンブラック生成反応後の反応停止位置、すなわち原
料油が炉内に導入されてから冷却されるまでの時間によ
り行うことができ、より下流側(反応停止までの時間が
長い)で行うことによりこの値は小さくなる。また、ア
グリゲート特性、すなわち遠心沈降分析によるストーク
ス相当径の最多頻度値(Dst)に対する分布曲線の半
値幅(ΔD50)の比であるΔD50/Dstの値を従
来にはなかった大きな側に制御することが必須条件であ
るが、この制御は主に原料油の導入位置を組合せること
により行った。
【0036】本発明にかかる実施例カーボンブラックお
よび比較例カーボンブラックの製造条件を表2〜3に、
製造された各カーボンブラックおよび対照カーボンブラ
ックの物理化学的特性を表4〜5に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】(ゴム性能試験)表4および表5に示した
カーボンブラックの性能を評価するために、表6に示し
た配合比率でゴム組成物を調整し、これらカーボンブラ
ックの特性試験を行った。その結果を表7および表8に
示した。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】なお、各配合ゴム組成物のゴム特性は、次
の試験条件により測定した。 ゴム特性試験条件 1)配合ゴム組成物の加硫条件 145℃、30分 2)耐摩耗性試験 ランボーン摩耗試験機を用い、苛酷度の高いスリップ率
60%で摩耗試験を行い、下式で算出した対照サンプル
旭#90に対する耐摩耗指数(ランボーン摩耗指数)で
表示した。 耐摩耗指数=(S/T)×100 S:対照例(旭#90)配合試験片の摩耗減量 T:供試試験片における摩耗減量 3)損失正接 (株)岩本製作所製粘弾性スペクトロメーター(型式V
ES−F−III)を用い、下記の測定条件で損失正接
(tanδ)を測定し、対照カーボンブラック(旭#9
0)に対する指数で表示した。 測定条件 周波数 : 50Hz 動的歪み率 :±1% 測定温度 :25℃ 初期荷重 :160g重 4)分散性 Rubber Worldの1969年9月号(第16
0巻第6号)第63−70頁(著者:H.E.Rail
sbachら)に記載の方法に準じて、配合ゴム表面を
32倍に拡大した顕微鏡写真を用い、10〜1に区分さ
れた標準見本のどのランクに該当するかを目視で判定し
た。なお、ランクの中間にあると判定したサンプル、例
えば7と8の中間の場合には7.5と表示した。 5)その他のゴム特性 JIS K6300−1974およびK6301−19
75に記載の方法に準じて測定した。
【0046】[評価]表4〜5に示した物理化学特性を
有する実施例および比較例のカーボンブラックをゴムに
配合した組成物の測定結果(表7〜8)の結果から、本
発明カーボンブラックの効果を説明する。Run N
o.1〜4のカーボンブラックは本発明にかかるもので
あり、Run No.5〜8のカーボンブラックは本発
明の特定要件のlつまたは2つの要件を外れた比較例、
Run No.9は対照カーボンブラック〔SAF級カ
ーボンブラック、商品名 旭♯90、旭カーボン(株)
製〕である。
【0047】Run No.8は本発明の基本特性の1
つであるNSAが特許請求の範囲の上限を上回った比
較例である。比較例のRun No.5、6、7は、ア
グリゲート特性ΔD50/Dstにおいて本発明範囲の
下限を下回った例であり、また、Run No.5、6
は、NSA/IAの値が本発明範囲の上限を上回った
比較例である。これらの実施例および比較例カーボンブ
ラックの各特性項目ごとの評価は次の通りである。
【0048】(1)ムーニー粘度特性について Run No.2とRun No.6は、NSAおよ
びDBP吸油量の基本特性がほぼ同じであるが、N
A/IAの特性においてRun No.6は本発明の範
囲を大きい側に外れているためにムーニー粘度において
大きい値を示している。また、NSAが本発明範囲の
上限を越えたRun No.8でも従来品よりも高い値
のムーニー粘度値の上昇が認められるので、NSAの
上限は180m/gとする。Run No.2と対照
例9は近似したNSAを有しているが、ムーニー粘度
特性に影響を及ぼすもう一つの特性であるDBP吸油量
が対照例9よりもかなり大きくなっているにもかかわら
ずこの値は同等となっており、本発明効果が明らかであ
る。
【0049】(2)耐摩耗特性と損失正接(tanδ)
特性について 耐摩耗性(ランボーン摩耗指数)と損失正接(tan
δ)の両特性を軸とし、実施例1〜4、比較例5〜8、
対照例9をプロットしたものが図5である。図5より実
施例のグループ(Run No.1〜4)と比較例、対
照例のグループは明らかに異なるシリーズとして区別す
ることができ実施例は耐摩耗性を低下させることなく、
損失正接の値を小さくできており、すなわち発熱性を大
きく改良していることが分かる。実施例、比較例をそれ
ぞれ見てみると、比較例5、6はアグリゲート特性、N
SA/IA値が本発明範囲を外れているために対照例
9とほぼ同じ物性となってしまっている。また比較例7
はアグリゲート特性のΔD50/Dstが非常に小さい
ために、耐摩耗性は対照例以上だが、発熱性が大きく劣
っている。NSA値が本発明範囲の上限を上回ったR
un No.8では分散が悪く耐摩耗性は改良されず発
熱性の悪化が大きくなってしまっているが、これはN
SAが大きすぎたためにゴム中への分散が悪化してしま
ったために耐摩耗性が改良されなかったと考えられる。
その為にNSAの上限は180m/gとした。発熱
性(tanδ)に大きな影響を与えるカーボンブラック
特性であるNSAを横軸としてプロットしたものが図
6である(図の下の方向が改良方向)。この図から同じ
SAでも本発明の実施例1〜4は比較例、対照例と
比較して発熱性のメリットは明確であることが分る。
【0050】(3)分散特性について NSA特性において本発明範囲の上限を越えたRun
No.8では分散性を示す数値が大きく低下してい
る。本発明の実施例は全て9以上であり、本発明カーボ
ンブラックの分散特性における優位性が明確に示されて
いる。
【0051】
【効果】本発明は、本出願人が以前に出願した特願平9
−11839号(特開平10−287772号)で開示
したカーボンブラックの特性をさらに改良したカーボン
ブラックである。すなわち、前出願では発熱特性を低下
させることなく、タイヤトレッド配合用として有用な、
耐摩耗性、ティアー性(伸び特性)および加工性を大幅
に改良することのできるカーボンブラックを開示、提供
した。この出願に係るカーボンブラックにより上記の各
ゴム特性においてほぼ満足すべき性能を配合ゴムに付与
することができたが、DBP吸油量の上限が160ml
/100gであり、またアグリゲート特性における要件
がモード径が大きいことのみであることから、若干なが
らゴムへの分散性、加工性で問題が残されていた。本発
明カーボンブラックは、これらの問題を解消するととも
に前出願の2つの基本特性の範囲を拡大しても、ΔD5
0/Dstで示されるアグリゲート特性を従来には全く
なかった1.30〜2.50という非常に大きい側にコ
ントロールするという特定のコロイダル特性とすること
により解決したものである。本発明で開示されたカーボ
ンブラック配合ゴム特性を掲載した表から明らかなよう
に、ゴム配合製品、特にタイヤトレッドに配合した場合
に望ましい性能を発揮することのできるものであり、産
業上有用なカーボンブラックである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の装置の縦断正面説明図である。
【図2】図1のA−A矢視における断面図である。
【図3】図3の(a)は、図1の前頭部および燃料導入
装置を示す部分拡大図であり、(b)は前記(a)にお
ける燃料油噴霧装置7の先端部分拡大図であり、(c)
は(b)のA−A断面図である。
【図4】図3(a)のB−B矢視における断面図であ
る。
【図5】Run No.1〜9のカーボンブラックにお
けるランボーン耐摩耗指数とN SAの関係を示すグラ
フである。
【図6】Run No.1〜9のカーボンブラックにお
けるランボーン耐摩耗指数と損失正接の関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 カーボンブラック製造炉 2 可燃性流体導入室 3 酸素含有ガス導入管 4 酸素含有ガス導入用円筒 5 整流板 6 燃料油噴霧装置導入管 7 燃料油噴霧装置 8 収れん室 9 バーナータイル 10A 原料油噴霧口 10B 原料油噴霧口 10C 原料油噴霧口 10D 原料油噴霧口 11 原料油導入室 12 反応室 13 反応継続兼急冷室 51 リング 71 燃料油噴霧チップ 72 燃料油導入管 73 酸素含有ガス導入管 74 酸素含有ガス導入管 75 酸素含有ガス導入管 76 酸素含有ガス導入管 a 急冷水圧入噴霧装置 b 急冷水圧入噴霧装置 c 急冷水圧入噴霧装置 d 急冷水圧入噴霧装置 e 急冷水圧入噴霧装置 f 急冷水圧入噴霧装置 g 急冷水圧入噴霧装置 h 急冷水圧入噴霧装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着比表面積(NSA)が100
    /gを越え180m/g未満、DBP吸油量(D
    BP)が140ml/100gを越え200ml/10
    0g未満という基本的特性を有するカーボンブラックで
    あって、(l)NSAとよう素吸着量(IA)の比
    (NSA/IA)の値が0.85〜0.98であり、
    (2)遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性
    で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値(Ds
    t)に対する分布曲線の半値幅(ΔD50)の比(ΔD
    50/Dst)が1.30を越え2.50未満の条件を
    満たすものであることを特徴とするタイヤトレッド配合
    用カーボンブラック。
  2. 【請求項2】 (Dst×NSA)<10,000で
    ある請求項1記載のタイヤトレッド配合用カーボンブラ
    ック。
  3. 【請求項3】 NSAとよう素吸着量(IA)の比
    (NSA/IA)が0.88〜0.93である請求項
    1または2記載のタイヤトレッド配合用カーボンブラッ
    ク。
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