JPH10282022A - 蛍光x線分析方法および装置 - Google Patents

蛍光x線分析方法および装置

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JPH10282022A
JPH10282022A JP8904797A JP8904797A JPH10282022A JP H10282022 A JPH10282022 A JP H10282022A JP 8904797 A JP8904797 A JP 8904797A JP 8904797 A JP8904797 A JP 8904797A JP H10282022 A JPH10282022 A JP H10282022A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶構造を有する試料の蛍光X線分析におい
て、検出器に入射する特定波長の回折X線の強度を容易
に最小限に抑えて、正確な分析のできる方法およびそれ
に用いる装置を提供する。 【解決手段】 単色化された1次X線B2を用いるエネ
ルギー分散型蛍光X線分析方法において、理論計算によ
り、結晶構造を有する試料2の回転角度と、その回転角
度において試料2で回折されて検出器に入射する回折X
線B6の強度の総和との関係、およびその強度の総和が
所定値以下となるような最適の回転角度範囲を求め、そ
の最適の回転角度範囲内に試料2を設定して分析を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体電子回路素
子に用いられる単結晶ウエハ(シリコンウエハ、ガリウ
ム砒素ウエハ等)のような結晶構造を有する試料の蛍光
X線分析において、検出器に入射する特定波長の回折X
線の強度を容易に最小限に抑えて、正確な分析のできる
方法およびそれに用いる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、シリコンウエハの表
面層の分析には、試料表面に1次X線を微小な入射角で
照射して、試料の表面層からの蛍光X線を分析する全反
射蛍光X線分析装置が用いられている(例えば、特開昭
63-78056号公報参照)。この種の装置の一例を図5に示
す。
【0003】図5において、X線管5のターゲット材5
1から出たX線B1は、湾曲型または平板型の分光結晶
等の分光器1に向う。X線B1のうちの所定の波長の特
性X線は、分光器1で回折され、単色化された1次X線
B2が、試料(シリコンウエハ)2の表面2aに微小な
入射角γ (例えば、0.05°〜0.20°程度) で照射され
る。試料2に入射した1次X線B2は、全反射されて反
射X線B4となるとともに、励起X線として試料2を励
起して、試料2を構成する元素固有の蛍光X線B5を発
生させる。蛍光X線B5は、試料表面2aに対向して配
置したSSD等のエネルギー分解能の高い検出器3に入
射する。この入射した蛍光X線B5は、検出器3におい
て、エネルギーごとにその強度が検出された後、検出器
3からの信号に基づき、図示しない多重波高分析器によ
って目的とするX線スペクトルが得られる。すなわち、
いわゆるエネルギー分散型の蛍光X線分析を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、試料2が単
結晶のシリコンウエハのように結晶構造を有する場合に
は、試料2中の格子面で回折された強い回折X線B6
が、検出器3へ入射するおそれがあり、この場合、不感
時間が大きくなり、測定時間が長くなる。また、検出器
3の特性から、バックグラウンドが大きくなって分析精
度が悪くなる。
【0005】この回折X線B6による分析精度の低下を
防止しようとする技術として、特開平5−66204号
公報に開示された全反射蛍光X線分析装置がある。この
分析装置は、1次X線B2を単色化するとともに、予
め、回折X線B6の発生しない試料2の特定の回転角度
を求め、この特定の回転角度の位置において、上記単色
化した1次X線B2を試料2に照射するというものであ
る。しかし、1次X線B2が単色化されても、試料2中
には多種の格子面があるので、回折X線B6の発生しな
い、すなわち回折現象が全く起こらないような試料2の
回転角度は現実に存在するか否かは不明であり、しか
も、同号公報に記載された特定の回転角度の理論的な求
め方は、結晶学的に明らかに誤っている。また、そのよ
うな特定の回転角度を実験的に求めることができるとし
ても、1次X線B2の波長や試料2の種類(結晶構造)
が変わるたびに、実験をしなければならず、時間と労力
を要する。したがって、この装置では、回折X線B6に
よる分析精度の低下を容易に防止することはできない。
【0006】類似した問題が、いわゆる波長分散型の蛍
光X線分析でも起こる。波長分散型蛍光X線分析におい
ては、結晶構造を有する試料に連続X線である1次X線
を照射し、1次X線に含まれる分光分析すべき蛍光X線
と同一波長のX線が、試料で回折されさらに分光器でも
回折されて検出器に入射する場合に、その回折X線は同
じ波長(エネルギー)の蛍光X線と区別がつかない(ノ
イズとなる)ので、正確な分析ができなくなる。
【0007】この発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、結晶構造を有する試料の蛍光X線分析において、検
出器に入射する特定波長の回折X線の強度を容易に最小
限に抑えて、正確な分析のできる方法およびそれに用い
る装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の方法では、単色化された1次X線を用い
るエネルギー分散型蛍光X線分析方法において、理論計
算により、結晶構造を有する試料の回転角度と、その回
転角度において試料で回折されて検出器に入射する回折
X線の強度の総和との関係、およびその強度の総和が所
定値以下となるような最適の回転角度範囲を求め、その
最適の回転角度範囲内に試料を設定して分析を行う。
【0009】請求項1の方法によれば、理論計算によ
り、検出器に入射する回折X線の強度の総和が所定値以
下となるような最適の回転角度範囲を求め、その最適の
回転角度範囲内に試料を設定して分析を行うので、単色
化された1次X線が結晶構造を有する試料で回折され検
出器に入射するおそれがある場合に、その入射する強度
を容易に最小限に抑えて正確な分析ができる。
【0010】請求項2の装置は、単色化された1次X線
を照射するX線源を備えたエネルギー分散型蛍光X線分
析装置において、結晶構造を有する試料表面の任意の位
置に1次X線を照射させるように試料台を移動させる平
行移動手段と、試料表面に垂直な軸を中心に試料台を回
転させる回転手段と、試料で回折されて検出器に入射す
る回折X線の強度の総和が所定値以下となるような、理
論計算により求められた最適の試料の回転角度範囲内
に、試料が設定されるように回転手段を制御する制御手
段とを備えている。
【0011】請求項2の装置によれば、上記制御手段に
加え、上記平行移動手段および回転手段を備えているの
で、請求項1の方法と同様の作用効果を、結晶構造を有
する試料表面の任意の位置で得ることができる。
【0012】請求項3の装置では、連続X線である1次
X線を照射するX線源を備えた波長分散型蛍光X線分析
装置において、試料表面の任意の位置に1次X線を照射
させるように試料台を移動させる平行移動手段を備え、
測定すべき特定波長の蛍光X線を分光する分光器が、試
料で回折された上記特定波長の回折X線が入射しないよ
うな、理論計算により求められた最適の位置に固定され
ている。
【0013】請求項3の装置によれば、理論計算により
容易に求められた、試料で回折された上記特定波長の回
折X線が入射しないような最適の位置に分光器が固定さ
れているので、上記特定波長の回折X線が分光器で回折
されて検出器に入射することがなく、正確な分析ができ
る。また、上記平行移動手段を備えているので、その作
用効果を、結晶構造を有する試料表面の任意の位置で得
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態の方
法を図面にしたがって説明する。まず、この方法に用い
る装置について説明する。図1に示すように、この装置
は、シリコンウエハ等の結晶構造を有する試料2が固定
される試料台6と、試料2に単色化された1次X線B2
を照射するX線源7と、試料2から発生する蛍光X線B
5が入射されるSSD等の高エネルギー分解能の検出器
3とを備えており、いわゆるエネルギー分散型蛍光X線
分析装置である。X線源7においては、X線管5のター
ゲット材51から出たX線B1が湾曲型の分光結晶等の
分光器1に向い、X線B1のうちの所定の波長の特性X
線が分光器1で回折され、単色化された1次X線B2が
試料2に照射される。なお、いわゆる全反射蛍光X線分
析の場合を例にとって説明するので、この装置において
は、1次X線B2の試料表面2aへの入射角γは、例え
ば、0.05°〜0.20°程度の微小な角度である。
【0015】試料台6は、その下の回転ステージ(回転
手段)8の上部8aに固定されている。回転ステージの
上部8aは、下部8bに対して図示しないモータの回転
により試料表面2aに垂直な軸を中心に回転させること
ができる。回転ステージの下部8bは、XYステージ
(平行移動手段)9の上部9aに固定されている。すな
わち、回転ステージ8の調整により、試料表面2aに垂
直な軸を中心に試料台6を回転させることができる。X
Yステージ上部9aは、中部9bに対して紙面垂直方向
Yに移動自在に設置され、XYステージ中部9bは、そ
の下のXYステージ下部9cに対し、紙面左右方向X
(入射角γ≒0より、1次X線B2が入射してくる方向
である)に移動自在に設置されている。XYステージ下
部9cは、その下の図示しない高さ調整手段や入射角調
整手段を介して、床等に設置されている。すなわち、X
Yステージ9の調整により、試料表面2aの任意の位置
に1次X線B2を照射させるよう試料台6を移動させる
ことができる。なお、このXY座標は空間に固定されて
いるものとする。
【0016】さらに、この装置は、試料2で回折されて
検出器3に入射する回折X線B6の強度の総和が最小と
なるような、理論計算により求められた最適の試料2の
回転角度に、試料2が設定されるように回転ステージ8
を制御する制御手段10を備えている。この最適の回転
角度、およびそれを導出するための試料2の回転角度と
検出器3に入射する回折X線B6の強度の総和との関係
は、時間と労力を要する実験によらずとも、以下の原理
に基づいて理論計算により短時間に容易に求められる。
【0017】一般に、回折X線が発生する波長およびエ
ネルギーは、下記のブラッグの式から分かるように、結
晶の格子面間隔dと回折角θにより定まる。 2dsin θ=nλ …(1) 但し、n:反射の次数(1,2,3…) λ:X線の波長(Å)(λ=12.4/E) E:エネルギー(KeV)
【0018】本発明においては、検出器3に特定波長λ
の回折X線B6が入射するおそれがある場合を想定して
おり、X線の波長λは既知である。格子面間隔dは、1
つの結晶構造の中に種々存在するが、格子面の方向を設
定することにより、格子面間隔dが定まり、また、試料
2の基準面からの回転角度を設定することで、回折角θ
が定まる。さらに、2次以上(n=2以上)の回折X線
は、その強度が小さいので、無視しても、分析精度に差
程大きな影響を与えない。したがって、結晶構造を有す
る試料2の回転角度と、その回転角度において回折X線
B6を発生させる格子面の方向ひいては回折X線B6の
方向との関係を求めることができる。
【0019】一方、回折X線B6の強度は、周知のよう
に、結晶の構造因子から求めることができるので、上記
回転角度において生じる回折X線B6の強度も求めるこ
とができる。さらに、回折X線B6の方向と検出器3と
の位置関係から、その回折X線B6のうち強度において
どの程度が検出器3に入射するかも求めることができ
る。ここで、ある回転角度において、検出器3に入射す
る回折X線B6は複数である可能性もあるが、その場合
には、それらの入射する強度の総和が求められる。した
がって、理論計算により、試料2の回転角度と、その回
転角度において試料2で回折されて検出器3に入射する
回折X線B6の強度の総和との関係、およびその強度の
総和が最小となるような最適の回転角度を求めることが
できる。
【0020】例えば、試料2が(001)面を表面とす
るシリコンウエハであり、試料2に照射される1次X線
B2がWL β1 線である場合は、試料2の回転角度と、
その回転角度において試料2で回折されて検出器3に入
射する回折X線B6の強度の総和との関係は、図2に示
すように求められ、その関係から、上記強度の総和が最
小(この場合はゼロ)となるような最適の回転角度は、
結晶の対称性を考慮して、90°×m±35°(mは整
数)と求められる。ここで、シリコンウエハに形成され
ているオリフラと呼ばれる110方向に垂直な(11
0)面を基準面とし、この面に沿った110方向とX軸
(この装置においては、1次X線B2が入射してくる方
向)とのなす角を回転角度としている。同様に、同試料
2に照射される1次X線B2がWL α1 線である場合
は、試料2の回転角度と検出器3に入射する回折X線B
6の強度の総和との関係は、図3に示すように求めら
れ、その関係から、上記強度の総和が最小(この場合も
ゼロ)となるような最適の回転角度は、結晶の対称性を
考慮して、90°×m±45°(mは整数)と求められ
る。
【0021】なお、図2や図3から読み取れるように、
検出器3に入射する回折X線B6の強度の総和が最小と
なるような最適の回転角度は、厳密には数度程度の範囲
を有し得る。さらに、本発明では、検出器3に入射する
回折X線B6の強度の総和が、最小ではなくても、正確
な分析に支障のない所定値以下であればよい。この場合
には、検出器3に入射する回折X線B6の強度の総和が
そのような所定値以下となるような最適の回転角度範囲
を求め、その最適の回転角度範囲内に試料2を設定して
分析を行う。
【0022】試料2の回転角度と、その回転角度におい
て試料2で回折されて検出器3に入射する回折X線B6
の強度の総和との関係、およびその強度の総和が最小と
なるような最適の回転角度を求めるにあたって用いられ
る具体的な式等は、特願平5−199283号等に示さ
れている。なお、この第1実施形態の方法に用いる装置
においては、この装置が適用される数種類の結晶構造を
もつ試料2および1次X線B2の波長について、あらか
じめ、それぞれの最適の回転角度を求めておき、制御手
段10に記憶させておく。試料2を回転角度0°に初期
設定するのであれば、実際に記憶させておくのは、0°
に最も近い角度、90°×m±35°の場合であれば、
35°または−35°のいずれかのみでよい。ただし、
本発明においては、最適の回転角度をあらかじめ記憶さ
せず、適用する試料2および1次X線B2の波長ごと
に、それぞれの結晶構造と波長から、制御手段10に逐
一求めさせてもよい。
【0023】この装置を用いて、第1実施形態の方法で
は、まず、例えば(001)面を表面とするシリコンウ
エハである試料2を、その表面2aの中心に1次X線B
2が照射されるように、また回転角度が0°になるよう
に、試料台6に固定する。そして、試料2が(001)
面を表面とするシリコンウエハである旨と、試料2に照
射される1次X線B2が例えばWL β1 線である旨を、
制御手段10に入力する。すると、制御手段10は、あ
らかじめ記憶した最適の回転角度35°に試料2が設定
されるように、回転ステージ8を制御する。そして、そ
のように設定された試料2に単色化された1次X線B2
を照射し、試料2から発生する蛍光X線B5を検出器3
に入射させ、その出力に基づいて試料2についてエネル
ギー分散型蛍光X線分析を行う。
【0024】第1実施形態の方法によれば、理論計算に
より、検出器3に入射する回折X線B6の強度の総和が
最小となるような最適の回転角度を求め、その最適の回
転角度に試料2を設定して分析を行うので、単色化され
た1次X線B2が結晶構造を有する試料2で回折され検
出器3に入射するおそれがある場合に、その入射する強
度を短時間に容易に最小限に抑えて正確な分析ができ
る。なお、以上においては実験は不要であるが、同種類
の試料2で1次X線B2が同一波長であっても、試料2
におけるオリフラの形成誤差等を考慮する場合には、理
論計算で求めた最適の回転角度の近傍のみについて、実
験により現実の最適の回転角度を求めることもできる。
この場合にも、最初から実験で求めるよりも時間が短縮
される。
【0025】また、試料表面2aの中心以外の任意の位
置について分析したい場合には、試料2を最適の回転角
度に設定した後、XYステージ9を調整して、その任意
の位置に1次X線B2を照射させるよう試料台6を移動
させる。このように試料台6を移動させる場合には、1
次X線B2、試料2の結晶構造、および検出器3の方
位、位置関係が変わらないので、上記試料表面2aの中
心についての分析での作用効果を、任意の位置で得るこ
とができる。
【0026】次に、本発明の第2実施形態の装置を図面
にしたがって説明する。図4に示すように、この装置
は、結晶構造を有する試料2が固定される試料台6と、
試料2に連続X線である1次X線B1を照射するX線源
11と、試料2から発生する蛍光X線B5が入射され、
測定すべき特定波長の蛍光X線B7を分光する固定され
た分光器12と、その分光された特定波長の蛍光X線B
7が入射されるように固定された検出器13とを備えて
おり、いわゆる波長分散型蛍光X線分析装置である。試
料台6は、第1実施形態で説明したのと同様のXYステ
ージ(平行移動手段)9の上部9aに固定されており、
XYステージ9の調整により、試料表面2aの任意の位
置に1次X線B1を照射させるよう試料台6を移動させ
ることができる。また、上記分光器12は、試料2で回
折された上記特定波長の回折X線B8が入射しないよう
な、理論計算により求められた最適の位置に固定されて
いる。
【0027】さて、前述したように、分光器12と比較
的エネルギー分解能の低い検出器13を用いて測定すべ
きX線B7を分光するいわゆる波長分散型の蛍光X線分
析においては、結晶構造を有する試料2に連続X線であ
る1次X線B1を照射し、1次X線B1に含まれる分光
分析すべき蛍光X線と同一波長のX線B8が、試料2で
回折されさらに分光器12でも回折されて検出器13に
入射すると、その回折X線B8は同じ波長(エネルギ
ー)の蛍光X線B7と区別がつかない(ノイズとなる)
ので、正確な分析ができなくなってしまう。
【0028】これに対し、この第2実施形態の装置で
は、試料2で回折された上記特定波長の回折X線B8が
入射しないような最適の位置に分光器12が固定されて
いる。この分光器12の最適の位置は、以下のように、
時間と労力を要する実験によらずとも、第1実施形態で
説明したのと同様の原理に基づいて理論計算により短時
間に容易に求められる。
【0029】まず、この装置が適用される試料2の結晶
構造が、数種類に限定されていることが前提である。例
えば、試料2は、(001)面または(111)面を表
面とするシリコンウエハ、すなわち2種類とする。さら
に、試料2は、上記オリフラを基準面として回転角度0
°になるように、試料台6に固定されるものとする。か
かる限定により、試料2へ照射される1次X線B1が連
続X線であっても、回折X線の発生状況(空間分布)も
2種類に限定される。
【0030】ここで、1次X線B1が連続X線であるの
で、試料2で回折されて発生する回折X線も種々の波長
(エネルギー)であり得るが、当該検出器13で測定す
べき波長以外のものは、分光器12で回折されず吸収さ
れるので、考慮する必要がなく、測定すべき特定波長の
ものB8だけを考慮すればよい。したがって、第1実施
形態で説明した原理において、入射角γを微小なものに
限らず、試料2が回転角度0°に固定されているものと
し、逆に検出器3を分光器12に置き換えて移動させて
考えれば、試料2で回折された特定波長の回折X線B8
が入射しないような最適の位置を、理論計算により求め
ることができる。
【0031】第2実施形態の装置によれば、短時間に容
易に理論計算により求められた、試料2で回折された特
定波長の回折X線B8が入射しないような最適の位置に
分光器12が固定されているので、上記特定波長の回折
X線B8が分光器12で回折されて検出器13に入射す
ることがなく、正確な分析ができる。また、第1実施形
態の方法に用いる装置と同様にXYステージ(平行移動
手段)9を備えているので、その作用効果を、試料表面
2aの任意の位置で得ることができる。
【0032】これに対し、従来は、試料の位置分布分析
のためにいわゆるrθステージを備えることが多く、1
次X線の入射方向に対して試料の結晶構造の方位が定ま
らないので、分光器について、試料で回折された特定波
長の回折X線が入射しないような位置、あるいは入射し
てもその強度が許容範囲内となるような位置を求めるこ
とは、事実上不可能であった。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
結晶構造を有する試料の蛍光X線分析において、検出器
に入射する特定波長の回折X線の強度を容易に最小限に
抑えて、正確な分析ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の蛍光X線分析方法に用
いる装置を示す概略構成図である。
【図2】試料の回転角度と検出器に入射する回折X線の
強度の総和との関係の一例を示す図である。
【図3】同関係の別の例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の蛍光X線分析装置を示
す概略構成図である。
【図5】従来の全反射蛍光X線分析装置の一例を示す概
略構成図である。
【符号の説明】
2…結晶構造を有する試料、2a…試料表面、3,13
…検出器、6…試料台、7,11…X線源、8…回転手
段(回転ステージ)、9…平行移動手段(XYステー
ジ)、10…制御手段、12…分光器、B1…連続X線
である1次X線、B2…単色化された1次X線、B5…
試料から発生する蛍光X線、B6,B8…回折X線。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶構造を有する試料に単色化された1
    次X線を照射し、 試料から発生する蛍光X線を高エネルギー分解能の検出
    器に入射させ、 その出力に基づいて試料の分析を行うエネルギー分散型
    蛍光X線分析方法において、 理論計算により、試料の回転角度と、その回転角度にお
    いて試料で回折されて検出器に入射する回折X線の強度
    の総和との関係、およびその強度の総和が所定値以下と
    なるような最適の回転角度範囲を求め、 その最適の回転角度範囲内に試料を設定して分析を行う
    ことを特徴とする蛍光X線分析方法。
  2. 【請求項2】 結晶構造を有する試料が固定される試料
    台と、 試料に単色化された1次X線を照射するX線源と、 試料から発生する蛍光X線が入射される高エネルギー分
    解能の検出器とを備えたエネルギー分散型蛍光X線分析
    装置において、 試料表面の任意の位置に1次X線を照射させるように試
    料台を移動させる平行移動手段と、 試料表面に垂直な軸を中心に試料台を回転させる回転手
    段と、 試料で回折されて検出器に入射する回折X線の強度の総
    和が所定値以下となるような、理論計算により求められ
    た最適の試料の回転角度範囲内に、試料が設定されるよ
    うに回転手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴
    とする蛍光X線分析装置。
  3. 【請求項3】 結晶構造を有する試料が固定される試料
    台と、 試料に連続X線である1次X線を照射するX線源と、 試料から発生する蛍光X線が入射され、測定すべき特定
    波長の蛍光X線を分光する固定された分光器と、 その分光された特定波長の蛍光X線が入射される検出器
    とを備えた波長分散型蛍光X線分析装置において、 試料表面の任意の位置に1次X線を照射させるように試
    料台を移動させる平行移動手段を備え、 上記分光器が、試料で回折された上記特定波長の回折X
    線が入射しないような、理論計算により求められた最適
    の位置に固定されていることを特徴とする蛍光X線分析
    装置。
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