JPH1027900A - 絶縁ゲート型サイリスタ - Google Patents

絶縁ゲート型サイリスタ

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JPH1027900A
JPH1027900A JP998697A JP998697A JPH1027900A JP H1027900 A JPH1027900 A JP H1027900A JP 998697 A JP998697 A JP 998697A JP 998697 A JP998697 A JP 998697A JP H1027900 A JPH1027900 A JP H1027900A
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JP998697A
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Inventor
Noriyuki Iwamuro
憲幸 岩室
Yuichi Harada
祐一 原田
Tadayoshi Iwaana
忠義 岩穴
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】エミッタスイッチドサイリスタ(EST)の破
壊耐量を向上し、オン電圧と耐圧とのトレードオフ特性
を改良する。 【解決手段】第二pベース領域6およびnエミッタ領域
8の表面上を絶縁膜19で覆い、第二pベース領域6の
拡散深さを第一pベース領域4またはp+ ウェル領域5
より浅くし、高電圧印加時の電界集中を防止する。第二
pベース領域6の表面不純物濃度を第一pベース領域4
より低くし、反転チャネルの抵抗を低下させる。第二p
ベース領域6に近い側のnソース領域を低濃度nソース
領域7a、遠い側の高濃度nソース領域を7bとし、カ
ソード電極11を高濃度nソース領域7bに接触させ、
制限電流を低下させる。nベース層3の表面層にnベー
ス層3より不純物濃度の高いn補助領域15を設け、接
合型FET効果を抑制する。第一pベース領域4同士の
間のゲート酸化膜9の厚さを一部厚くして、ゲート容量
を低下させ、ノイズ特性を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力用スイッチン
グ素子として用いられる絶縁ゲート型サイリスタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】サイリスタはその低オン電圧特性から、
大容量用途に必要不可欠な素子として使われてきた。そ
して今日、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタが、
高電圧・大電流領域用素子として多く使われている。し
かしながら,GTOサイリスタは、ターンオフに多大
なゲート電流を必要とする、すなわちターンオフゲイン
が小さい、安全なターンオフのために大きなスナバ回
路が必要である等、その欠点が顕在化してきている。ま
た、GTOサイリスタはその電流・電圧特性において,
電流飽和特性を示さないことから,負荷短絡保護のため
にヒューズ等の受動部品をつながなくてはならず,シス
テムの小型化・コストの削減の大きな障害となってい
る。V.A.K.Temple 氏がIEEE IEDM Tech.
Dig.1984.p282 に発表した電圧駆動型サイリスタであ
るMOS ControlledThyristor(MCT)は、以来世界の様々な
研究機関において、その特性解析、改善が行われてい
る。これはMCTが電圧駆動型であるため、GTOサイ
リスタに比べ、格段に容易なゲート回路で済み、かつ低
オン電圧特性を示すことによる。しかしMCTは、GT
Oサイリスタと同様に、電流飽和特性を示さないため、
実際に使用する際にはヒューズ等の受動部品が必要とな
る。
【0003】Pattanayak博士らはEmitter Switched Thy
ristor(以下ESTと記す)が電流飽和特性を示すこと
を明らかにした。[US.Patent No.4,847,671(JuI.11,19
89)]また、M.S.Shekar氏等は、IEEE Electron
Device Lett. vol.12 (1991) p387 にDual Channel型
Emitter Switched Thyristor (EST)が高電圧領域
まで電流飽和特性を示すことを実測により示した。さら
に,発明者らは、Proc. IEEE ISPSD ’93,
p71 とProc. IEEE ISPSD ’94,p195 に、
このESTのFBSOA(順バイアス安全動作領域)、
RBSOA(逆バイアス安全動作領域)の解析結果を発
表し、電圧駆動型サイリスタにおいて,初めて負荷短絡
時の安全動作領域を有する素子開発に道を開いた。図2
3に、ESTの素子構造を示す。
【0004】この図に見られるように、この素子は、p
エミッタ層1の上にnバッファ層2を介して設けられた
nベース層3の表面層に、第一pベース領域4およびそ
の一部を占め拡散深さの深いp+ ウェル領域5ならびに
第二pベース領域6が形成され、第一pベース領域4の
表面層にnソース領域7、第二pベース領域6の表面層
にnエミッタ領域8がそれぞれ形成されている。第一p
ベース領域4のnソース領域7とnベース層3の露出部
とに挟まれた部分から、第二pベース領域6のnエミッ
タ領域8とnベース層3の露出部とに挟まれた部分にわ
たってゲート酸化膜9を介してゲート電極10が設けら
れている。しかし、いずれもZ方向の長さが有限で、そ
の外側で第一pベース領域4と第二pベース領域6は連
結され、さらにその外側にL字型にp+ ウェル領域5が
形成されている。そしてp+ ウェル領域5の表面に接触
するカソード電極11は、nソース領域7の表面にも共
通に接触している。一方、pエミッタ層1の裏面には全
面にアノード電極12が設けられている。
【0005】この素子のカソード電極11を接地し,ア
ノード電極12に正の電圧を印加した状態でゲート電極
10に正の電圧を加えると,ゲート酸化膜9の下に反転
層(一部蓄積層)が形成され,横型MOSFETがオン
する。これにより,まず電子がカソード電極11からn
ソース領域7を経て第一pベース領域4の表面層の反転
層(チャネル)を通り、nベース層3に供給される。こ
の電子は、pエミッタ層1、nバッファ層2およびnベ
ース層3、第一、第二pベース領域4、6およびp+
ェル領域5よりなるpnpトランジスタのベース電流と
して働き,それによってこのpnpトランジスタが動作
する。すると正孔が、pエミッタ層1から注入され,n
バッファ層2、nベース層3を通って第一pベース領域
4へ流れる。正孔の一部は第二pベース領域6へと流
れ、nエミッタ領域8の下をZ方向に流れてカソード電
極11へと抜けていく。(この動作をIGBTモードと
呼ぶ。)電流がさらに増加すると、nエミッタ領域8と
第二pベース領域6間のpn接合が順バイアスされ、p
エミッタ層1、nバッファ層2およびnベース層3、第
二pベース領域6およびnエミッタ領域8からなるサイ
リスタ部がラッチアップの状態になる。(この動作をサ
イリスタモードと呼ぶ。)このESTをオフするには,
ゲート電極10の電位を横型MOSFETのしきい値以
下に下げ,このMOSFETをオフする。そうすること
により、nエミッタ8はカソード電極11から電位的に
切離され、サイリスタ動作が止まる。
【0006】図24、25は、M.S.Shekar氏らの発
明にかかるUS.Patent No.5,317,171(May 31,1994)お
よびUS.Patent No.5,319,222(June 7,1994)に記載さ
れた改良型ESTの断面図である。特に図25の改良型
ESTは、図23に示したESTと異なり、より低オン
電圧化を目指したものである。図26はL.Leipold 氏
らの発明にかかるUS.Patent No.4,502,070(Feb.26,1
985)に記載されたFET制御サイリスタの断面図であ
り、第二pベース領域6の上に電極が接触していないこ
とが特徴である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明からわかる
ように、図23に示したESTは第二pベース領域6を
Z方向に流れる正孔を利用して、第二pベース領域6と
nエミッタ領域8との間のpn接合を順バイアスしてい
るため、カソード電極11と第二pベース領域6との接
触部に近づくにつれ、前記順バイアスの度合いが小さく
なる。つまり、前記のpn接合において、nエミッタ領
域8からの電子の注入量がZ方向に沿って均一でないと
いうことである。このようなオン状態から、このEST
をオフすると、当然順バイアスの浅いカソード電極11
との接触部近くの接合から回復してゆき、カソード電極
11との接触部から遠い部分が、なかなか回復しない。
このため、オフ時における電流集中を招き易く、ターン
オフ時の破壊耐量が小さくなってしまう。
【0008】図24の素子の動作原理は図23のEST
と変わらないが、カソード電極11がY方向に延びて第
二pベース領域6の表面に直接接触しているので、ター
ンオフ速度が速くでき、かつZ方向の正孔電流を利用し
ていないので、均一なオンが可能である。しかし、サイ
リスタ動作時にnエミッタ領域8と第二pベース領域6
との間のpn接合がオンしても、今度は水平方向(Y方
向)に少数キャリアの注入の不均一が起こり、予期した
ほどオン電圧が下がらない。これを解決するために、例
えば第二pベース領域6の不純物濃度を下げて、その抵
抗を上げたとすると、順方向耐圧時にnエミッタ領域8
に空乏層がパンチスルーしてしまい、十分な耐圧がでな
いことになる。
【0009】図25に示した素子は、さらにオン電圧を
下げるために、nエミッタ8が第二pベース領域6より
はみ出す構造となっているが、この構造では順方向耐圧
がでないという欠点がある。図26に示した素子は、n
エミッタ領域8、第二pベース領域6をカソード電極1
1から完全に切り離すことによって、不均一なサイリス
タ動作は発生しないようになっている。しかしながらこ
の構造では、正孔電流が第一pベース領域側に集中し
て流れるため、破壊耐量が低い。IGBTモードでの
トランジスタ動作でのコンダクタンスが接合型FET効
果のため低くなるという欠点がある。
【0010】更に、EST、FET制御サイリスタのい
ずれにおいても素子が流すことのできる最大の電流(制
限電流)が大きく、負荷短絡時の破壊耐量が小さいとい
う問題がある。勿論これらの問題を解決するだけでな
く、絶縁ゲート型サイリスタの基本特性であるオン電圧
がは小さく無ければならない。従って、本発明の目的
は、ターンオフ時にpn接合を均一に回復できる構造を
有してターンオフ耐量が大きく、負荷短絡時の破壊耐量
が大きく、かつオン電圧が小さい絶縁ゲート型サイリス
タを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決のため本
発明は、高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第一導
電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成された第
一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導電型
ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電型ソ
ース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層に選
択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一導電
型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第一の
第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層の露
出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に絶縁
膜を介して形成されたゲート電極と、第一の第二導電型
ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに共通に
接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他面側に
形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導電型エ
ミッタ層に接触する第二主電極とを備え、第二の第二導
電型ベース領域および第一導電型エミッタ領域の表面全
面が絶縁膜で覆われたものにおいて、第二の第二導電型
ベース領域の拡散深さが、第一の第二導電型ベース領域
と第二導電型ウェル領域のうち拡散深さの深い方より浅
いものとする。
【0012】そのようにすれば、絶縁ゲートに電圧を印
加し、ゲート電極の直下に反転層を生じさせたとき第一
導電型エミッタ領域が、MOSFETのチャネル領域を
介して第一主電極と同電位になり、第一導電型エミッタ
領域、第二の第二導電型ベース領域、第一導電型ベース
層および第二導電型エミッタ層からなるサイリスタがオ
ンする。このとき、第一導電型エミッタ領域全体から均
一に電子の注入が起こるため、速やかにサイリスタモー
ドに移行し、オン電圧が低くなる。従来のESTのよう
に第二の第二導電型ベース領域をZ方向に流れる正孔電
流が必要でない。逆にターンオフ時には、pn接合の回
復が均一に行われ、電流の集中が無く、破壊耐量が大き
くなる。しかも第二の第二導電型ベース領域の拡散深さ
が第一の第二導電型ベース領域と第二導電型ウェル領域
との深い方より浅くすることによって、電圧印加時の電
界集中が避けられ、耐圧が高く破壊耐量が大きくなる。
【0013】また、第二の第二導電型ベース領域の表面
不純物濃度が、第一の第二導電型ベース領域より低いこ
とがよい。そのようにすれば、ゲート電極に電圧を印加
した際に第二の第二導電型ベース領域の表面に生じる反
転層の導電率が向上する。そして、第一導電型ソース領
域が、表面不純物濃度の異なる二つの領域からなり、表
面不純物濃度の高い方の領域の表面に第一主電極が接触
するものとする。
【0014】そのようにすれば、表面不純物濃度の低い
第一導電型ソース領域部分が制限抵抗となり、制限電流
が小さくなる。しかも表面不純物濃度の高い第一導電型
ソース領域部分があるため接触抵抗は大きくならない。
更に、第一、第二の第二導電型ベース領域間の第一導電
型ベース層の露出部に第一導電型ベース層より不純物濃
度の高く、第一、第二の第二導電型ベース領域の拡散深
さより浅い第一導電型補助領域を有するものとする。
【0015】そのようにすれば、接合型FET効果を低
減し、かつ実効的なチャネル長を短縮できて、オン電圧
が小さくなる。さらにまた、第一、第二の第二導電型ベ
ース領域間の第一導電型ベース層の露出部上のゲート絶
縁膜の一部が、二つの第一の第二導電型ベース領域間の
第一導電型ベース層の露出部上のゲート絶縁膜より厚さ
が厚いものとする。
【0016】そのようにすれば、ゲート容量が低減さ
れ、高周波振動成分が少なくなる。第一導電型ソース領
域が、表面不純物濃度の異なる二つの領域からなり、表
面不純物濃度の高い方の領域の表面に第一主電極が接触
するものにおいて、特に第一導電型ソース領域の、第一
導電型エミッタ領域に対向する部分の表面不純物濃度が
高濃度であり、隣接する第一導電型ソース領域に対向す
る部分のそれが低濃度であるものとする。
【0017】そのようにすれば、サイリスタ動作時のオ
ン電圧を低減できる。そして、 第二の第二導電型ベー
ス領域が、ほぼストライプ状に形成され或いは、第一、
第二の第二導電型ベース領域、第一導電型エミッタ領
域、第一導電型ソース領域の少なくとも一つが、多角
形、円形又は楕円形のいずれかとするのがよい。
【0018】そのようにすれば、半導体基板の利用効率
が高められ、また電流の分布が均一化されて熱的なバラ
ンスもよくなる。特に、第二の第二導電型ベース領域を
囲むように、第一の第二導電型ベース領域およびその表
面層の第一導電型ソース領域が形成され、或いは第二の
第二導電型ベース領域の周囲に、複数の第一の第二導電
型ベース領域が形成されているものがよい。
【0019】そのようにすれば、第一導電型エミッタ領
域からチャネル領域を通って第一導電型ソース領域に流
れる電流が分散され、電流集中することがない。第二の
第二導電型ベース領域の周囲に、複数の第一の第二導電
型ベース領域およびその表面層の第一導電型ソース領域
が形成され、第二の第二導電型ベース領域表面上の絶縁
膜を囲むようにほぼ環状のゲート電極が設けられ、その
ゲート電極を挟んだ反対側に絶縁膜を介して第一主電極
が設けられているものでもよい。
【0020】そのようにすれば、ゲート電極下の第一導
電型半導体層の表面層に蓄積層が形成され、オン電圧が
低くなる。また、第一主電極と第一の第二導電型ベース
領域および第一導電型ソース領域との接触部の形状が、
多角形、円形又は楕円形のいずれかであることがよい。
そのようにすれば、半導体基板の利用効率が高められ、
また電流の分布が均一化されて熱的なバランスもよくな
る。
【0021】第一導電型ソース領域の表面の第二の第二
導電型ベースに対向する部分が絶縁膜で覆われ、他の第
一の第二導電型ベース領域に対向する部分に第一主電極
が接触するものとする。そのようにすれば、第一導電型
エミッタ領域からゲート電極直下の反転チャネルを通っ
て第一導電型ソース領域に流れる電流が、第一導電型エ
ミッタ領域に近い部分には流れず、寄生サイリスタのラ
ッチアップ耐量が増大し、かつバラスト抵抗の効果によ
り制限電流が小さくなって破壊耐量が増大する。
【0022】第一導電型ソース領域の表面の隣接する第
一の第二導電型ベースに対向する部分が絶縁膜で覆わ
れ、第二の第二導電型ベース領域に対向する部分に第一
主電極が接触するものでもよい。そのようにすれば、サ
イリスタ動作時のオン電圧を低減できる。第一導電型エ
ミッタ領域の拡散深さが、第一導電型ソース領域のそれ
より深いことがよい。
【0023】そのようにすれば、サイリスタ部における
電子の注入が増大し、トランジスタの電流増幅率が大き
くなってオン電圧が低下する。更にまた、ライフタイム
キラーが局在化されているものとする。そのようにすれ
ば、キャリアのライフタイム分布を最適に制御でき、不
要な部分にライフタイムキラーが存在しないので、オン
電圧の増大等の悪影響が避けられる。
【0024】そして、第一導電型ベース層と第二導電型
エミッタ層との間に第一導電型ベース層より不純物濃度
の高い第一導電型バッファ層を有するものとする。その
ようにすれば、不純物濃度の高い第一導電型バッファ層
が空乏層の広がりを抑えるので、第一導電型ベース層の
厚さを薄くすることができるので、高耐圧の絶縁ゲート
型サイリスタに適した構造となる。
【0025】
【発明の実施の形態】上記の課題解決のため、ESTを
発展させた様々な絶縁ゲート型サイリスタを試作した。
その過程において、発明者等は第一の主電極を第二の第
二導電型ベース領域に接触させる必要がないこと、そし
て第二の第二導電型ベース領域の表面を絶縁膜で覆った
素子でもサイリスタモードに移行し、オン電圧とターン
オフ時間とのよいトレードオフ特性を示すことを見いだ
した。更に、平面的なパターンや不純物濃度についても
検討を重ねた。
【0026】その結果に基づき、第一、第二の第二導電
型ベース領域の拡散深さや不純物濃度を変えて、耐圧特
性やオン電圧が改善されることがわかった。また第一導
電型ソース領域を高低、二つの不純物濃度領域にするこ
と、第一導電型ベース層の表面層に高濃度の補助領域を
形成すること、ゲート酸化膜の厚さを部分的にかえるこ
と等がそれぞれ良い影響をもたらすことがわかった。
【0027】第一、第二の第二導電型ベース領域の配置
としては、ストライプ状にして対向させても、多角形、
円形、楕円形としてもよい。特に第二の第二導電型ベー
ス領域を囲むように第一の第二導電型ベース領域を配置
すると、電流の集中が抑えられ、トレードオフ特性が向
上する。第二の第二導電型ベース領域の周囲に複数の第
一の第二導電型ベース領域を配置することもよいこと、
第一導電型エミッタ領域の拡散深さを変えること、ライ
フタイムキラーを局在化することも有効であった。
【0028】以下、図23と共通の部分に同一の符号を
付した図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
以下の実施例では、n、pを冠した領域、層等はそれぞ
れ電子、正孔を多数キャリアとする領域、層を意味する
ものとし、第一導電型をn型、第二導電型をp型とする
が、これを逆にすることも可能である。 〔実施例1〕図1は、本発明第一の実施例(以下実施例
1と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面図であ
る。この部分断面図は単位セルを表しているのであっ
て、多数の単位セルが反転、繰り返しされて半導体素子
を構成している。図1に示した絶縁ゲート型サイリスタ
の半導体基板部分の構造は、図23のESTと良く似て
いる。すなわち、高比抵抗のn型ベース層3の一方の面
側の表面層に互いに離れた第一pベース領域4と第二p
ベース領域6が形成され、さらに、寄生サイリスタのラ
ッチアップを防ぐ目的で、第一pベース領域4の一部に
第一pベース領域4より拡散深さの深いp+ ウェル領域
5が形成されている。n型ベース層3の他方の面側に
は、n+ バッファ層2を介してpエミッタ層1が形成さ
れている。第一pベース領域4の表面層には、nソース
領域7、第二pベース領域6の表面層にはnエミッタ領
域8がそれぞれ選択的に形成されている。そして、表面
上には、図23と同様に、nソース領域7とnエミッタ
領域8とに挟まれた第一pベース領域4、nベース層3
の表面露出部、第二pベース領域6の表面上にゲート酸
化膜9を介して多結晶シリコンのゲート電極層10が設
けられてnチャネル横型MOSFETが構成されてい
る。この側の表面は、燐ガラス(PSG)等の絶縁膜1
4で覆われ、第一pベース領域4およびnソース領域7
の表面上にカソード電極11が共通に接触するように、
また一部では、ゲート電極13がゲート電極層10に接
触するように接触孔が開けられている。nエミッタ領域
8の表面上は絶縁膜19で覆われている。pエミッタ層
1の表面上にはアノード電極12が設けられている。ゲ
ート電極13は必ずしもこの図のように、第二pベース
領域6と第一pベース領域4との間でゲート電極層10
に接触する必要はなく、他の部分で接触していてもよ
い。
【0029】図2(a)は本発明の実施例1の絶縁ゲー
ト型サイリスタのゲート電極層の中央での水平断面図で
あり、図1と共通の部分には同一の符号が付されてい
る。網状のゲート電極層10の中に、六角形の絶縁膜1
9がありその周りに、絶縁膜14で周囲を囲まれた六角
形のカソード電極11が配置された形のパターンが繰り
返されている。但し、図の断面ではカソード電極11が
六角形であるが、実際には絶縁膜14を介してゲート電
極層10の上にも延長されることが多い。
【0030】図2(b)は、図1の絶縁ゲート型サイリ
スタのシリコン基板上の絶縁膜や電極を除去した表面の
各拡散領域を示す平面図である。図2(a)の六角形の
絶縁膜19の下に当たる部分には、nエミッタ領域8が
あり、その周囲を第二pベース領域6が囲んでいる。点
線はカソード電極11が接触している部分を示してい
る。カソード電極11が接触している部分には、六角環
状のnソース領域7とその中のp+ ウェル領域5があ
り、その周囲を第一pベース領域4が囲んでいる。第一
pベース領域4と第二pベース領域6との間および二つ
の第一pベース領域4の間には、nベース層3が露出し
ている。図2(a)のゲート電極層10の下にあたる部
分は主に、第一pベース領域4、第二pベース領域6お
よびnベース層3の表面露出部である。
【0031】なお、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタ
は、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけで従来の
IGBTとほぼ同じ工程で製造できる。すなわち、例え
ば600V用素子としては、比抵抗0.02Ω・cm、
厚さ450μm のp型シリコン基板上にn+ バッファ層
2として、比抵抗0.1Ω・cm、厚さ10μm のn
層、nベース層3として、比抵抗40Ω・cm、厚さ5
5μm のn層をエピタキシャル成長させたウェハを用い
る。p+ ウェル領域5、第一、第二のpベース領域4、
6およびpエミッタ層1は、ホウ素イオンのイオン注入
および熱拡散により形成し、nエミッタ領域8およびn
ソース領域7は、砒素イオンおよび燐イオンのイオン注
入および熱拡散により形成した。第一pベース領域4、
第二pベース領域6、nソース領域7およびnエミッタ
領域8の端は、半導体基板上の多結晶シリコンからなる
ゲート電極層10等によって、位置ぎめされて形成さ
れ、それぞれの横方向拡散により、間隔が決められてい
る。カソード電極11およびゲート電極13はAl合金
のスパッタリングとその後のフォトリソグラフィにより
形成し、アノード電極12は、金属基板に半田づけする
ためTi/Ni/Auの三層をスパッタリングで堆積し
て形成している。また、スイッチング時間の短縮を図る
ためのキャリアのライフタイム制御はヘリウムイオンの
照射でおこなった。ヘリウムイオン照射は、ライフタイ
ムキラーとなる結晶欠陥を局在化できる方法である。ヘ
リウムイオン照射の条件としては、加速電圧24Me
V、ドーズ量1×1011〜1×1012cm-2とし、照射
後350〜375℃でアニールした。
【0032】各部の寸法例としては、p+ ウェル領域5
の拡散深さは7μm、第一、第二のpベース領域4、6
の拡散深さは3μm、nエミッタ領域8、nソース領域
7の拡散深さはそれぞれ2μm、0.4μmである。こ
れにより、サイリスタ部のnpnトランジスタの電流増
幅率が大きくなり、オン電圧は小さくなっている。ゲー
ト電極層10の幅は、第一、第二のpベース領域間で1
5μm、第一pベース領域4同士の間が30μm、nソ
ース領域7の幅は4μm、セルピッチは55μmであ
る。但し、nエミッタ領域8の第一pベース領域4に近
い部分は、nソース領域7とほぼ同じ寸法になってい
る。これは、耐圧を考慮したものである。
【0033】このように形成された絶縁ゲート型サイリ
スタの動作を次に説明する。カソード電極11を接地
し、アノード電極12に正の電圧を印加した状態で、ゲ
ート電極13に、ある値(しきい値)以上の正の電圧を
加えると、ゲート酸化膜9の下に反転層(一部蓄積層)
のチャネルが形成され、前記横型MOSFETがオンす
る。これにより、先ず電子がカソード電極11→nソー
ス領域7→MOSFETのチャネルの経路を通ってnベ
ース層3に供給される。この電子は、pnpトランジス
タ(pエミッタ層1/n+ バッファ層2およびnベース
層3/pベース領域4(p+ ウェル領域5))のベース
電流として働き、よってこのpnpトランジスタが動作
する。(この動作をIGBTモードと呼ぶ。) 正孔
が、pエミッタ層1から注入され、n+ バッファ層2、
nベース層3を通り、第一pベース領域4へと流れる。
その際、第二pベース領域6はフローティングとなって
いるので、nベース層3を流れる正孔電流のために次第
に電位が上がってゆく。図1の断面図からわかるよう
に、オン時にはnエミッタ領域8はMOSFETのチャ
ネル領域を通じてnソース領域7とほぼ等電位に保たれ
るので、やがてnエミッタ領域8から電子の注入が生
じ、pエミッタ層1、n+ バッファ層2およびnベース
層3、第二pベース領域6、nエミッタ領域8からなる
サイリスタ部が動作する。(この動作をサイリスタモー
ドと呼ぶ。) ターンオフ時には、ゲート電極13の電位を横型MOS
FETのしきい値以下に下げ、横型MOSFETをオフ
することによって、nエミッタ領域8がカソード電極1
1から電気的に分離され、よってサイリスタ部の動作が
止まる。
【0034】図1の絶縁ゲート型サイリスタでは第二p
ベース領域6およびnエミッタ領域8の表面上がいずれ
も絶縁膜14で覆われ、第二pベース領域6がカソード
電極11に接しておらず、また第二pベース領域6の拡
散深さがp+ ウェル領域5より浅い。そのため、オン時
にnエミッタ領域8はゲート電極層10直下のチャネル
領域を通じてカソード電極11とほぼ同電位に保たれ
る。そうすると、nベース層3を流れる正孔電流によっ
て第二pベース領域6の電位が次第に上昇し、ついに、
nエミッタ領域8からの電子の注入を生じて、nエミッ
タ領域8、第二pベース領域6、nベース層3およびp
エミッタ層1からなるサイリスタがオンする。従って、
図17に示した従来のESTのように第二pベース領域
内をZ方向に流れる正孔電流は必要でなく、速やかにI
GBTモードからサイリスタモードに移行できる。また
nエミッタ領域8全体から均一に電子の注入が生じるの
でオン電圧が低くなる。
【0035】逆にターンオフ時には電位差により、nエ
ミッタ領域8と第二pベース領域6の間のpn接合の回
復が均一に行われ、電流の集中がなく、電流集中が回避
されて、逆バイアス安全動作領域(以下RBSOAと記
す)が格段に大きくなる。しかも、第二pベース領域6
の周りに、表面層にnソース領域7をもつ複数の第一p
ベース領域4が配置されているので、電流集中が無く、
破壊耐量が大きい。そして、第二pベース領域6の拡散
深さをp+ ウェル領域5より浅くすることによって、高
電圧印加時の電界集中を回避できることも、破壊耐量の
増大に貢献している。
【0036】なお、図1のような構造をもつものとし
て、図2の実施例1の他に、第二pベース領域を取り囲
むように第一pベース領域が配置されたもの、第一、第
二pベース領域が共にストライプ状のもの、方形のもの
等様々なパターンが考えられる。 〔実施例2〕図3は本発明の第二の実施例(以下実施例
2と記す)の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極層の
中央での水平断面図である。網状のゲート電極層10の
中に、外形が六角形の絶縁膜19と、その中に三方向に
突き出た部分のあるカソード電極11をもつ絶縁膜14
とが見られる。カソード電極11をもつ絶縁膜14がカ
ソード電極11を持たない絶縁膜19の周りに配置され
ている。点線はnソース領域7とp+ ウェル領域5との
間のpn接合を示している。
【0037】実施例2の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板上の絶縁膜や電極を除去した表面の各拡散領域
を示す平面図は、図2(b)とほぼ同じでよい。すなわ
ち、六角形の絶縁膜19の下には六角形のnエミッタ領
域8があり、その周りを第二pベース領域6が取り囲ん
でいる。絶縁膜14の下には、p+ ウェル領域5を含ん
だnソース領域7があり、その周りを第一pベース領域
4が取り囲んでいる。カソード電極11はnソース領域
7の一部とp+ ウェル領域5の表面に接触している。ゲ
ート電極層10の下に当たる部分は、大部分がnベース
層3の表面露出部である。
【0038】図4(a)は、図3の絶縁膜19とカソー
ド電極11とを結ぶA−A線に沿った断面図である。こ
の断面は、図1の実施例1の絶縁ゲート型サイリスタの
断面と良く似ているが、nソース電領域7の表面上が絶
縁膜14で覆われていて、カソード電極11と接触して
おらず、カソード電極11はp+ ウェル領域5の表面に
のみ接触している点が異なっている。前にも述べたよう
にゲート電極13は必ずしもこの断面でゲート電極層1
0に接触していなくてもよい。
【0039】一方、図4(b)は、図3のカソード電極
11同士を結ぶB−B線に沿った断面図である。この断
面では、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタと同様に、
nソース領域7およびp+ ウェル領域5の表面上に共通
にカソード電極11が接触している。前にも述べたよう
にカソード電極11が絶縁膜14を介してゲート電極層
10の上に延びている。
【0040】なお、図3のパターンの絶縁ゲート型サイ
リスタは、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同
じ工程で製造でき、また、この絶縁ゲート型サイリスタ
の動作は、図1の第一の実施例と同様であり説明は省略
する。この実施例2の絶縁ゲート型サイリスタは実施例
1と同様に、第二pベース領域6の拡散深さをp+ ウェ
ル領域5より浅くすることによって、高電圧印加時の電
界集中を回避でき、破壊耐量が大きくなっている。
【0041】そして、この実施例2の絶縁ゲート型サイ
リスタは、図4(a)に見られるように第二pベース領
域6およびその表面層のnエミッタ領域8の表面が絶縁
膜19で覆われているため、実施例1の動作で説明した
ように、nエミッタ領域8、第二pベース領域6、nベ
ース層3およびpエミッタ層1からなるサイリスタのオ
ン・オフが均一に起こり、早いスイッチング特性と、大
きなRBSOAを有する。更に、第二pベース領域6お
よびnエミッタ領域8に近い第一pベース領域4の中の
nソース領域7の表面が絶縁膜14で覆われ、カソード
電極11が接触していないため、ターンオフ時にサイリ
スタ部のnエミッタ領域8からゲート電極層10直下の
反転層を通ってnソース領域7に電流が流れるが、この
とき、第二pベース領域6に近い部分のnソース領域7
はカソード電極11と短絡されていないので、nソース
領域7、第一pベース領域4、nベース層3およびpエ
ミッタ層1からなる寄生サイリスタのラッチアップは起
き難い。従って、従来のように、nソース領域7から電
子が注入されてターンオフ時間が長くなることはなく、
短いターンオフ時間が得られ、ターンオフ耐量が大き
い。
【0042】一方図4(b)に見られるように、nソー
ス領域7同士が向き合っている部分では、nソース領域
7にカソード電極11が接触しているが、第一pベース
領域4の下には、高不純物濃度のp+ ウェル領域5が設
けられていて、この部分でのラッチアップを抑制してい
る。図5は、図3に示した実施例2の絶縁ゲート型サイ
リスタと、比較例としての図23に示したEST(以下
EST−1と記す)、図24に示したEST(以下ES
T−2と記す)、図25に示したEST(以下EST−
3と記す)およびIGBTのRBSOAを、図6に示し
た測定回路を用いて125℃で測定した結果である。横
軸は、アノード−カソード間電圧(VAK)、たて軸は、
電流(IAK)である。
【0043】図6において、被測定素子21は、並列接
続された1mHのインダクタンス22およびフリーホイ
ーリングダイオード23を介して直流電源24に接続さ
れ、被測定素子21のゲートは、20Ωの抵抗25を介
してゲート電源26に接続されている。図5に示した被
測定素子は、600Vクラス素子として作製されたもの
で、比較例の素子も、先に述べた実施例1の絶縁ゲート
型サイリスタと同じ規格のエピタキシャルウェハを使用
して作製した。EST−2、EST−3のnエミッタ領
域8の幅は共に20μmとした。また、チップサイズ
は、五素子とも、1cm2である。100A導通時の電
位降下で定義したオン電圧は、実施例1の絶縁ゲート型
サイリスタが0.9V、ESTが1.6V、EST−2
が1.7V、EST−3が1.0VそしてIGBTが
2.3Vである。図5からもわかるように、本発明の実
施例の素子は、オン電圧が他の素子より低く、更に安全
動作領域も、IGBTに比べ3倍、EST−1、3に比
べ2倍と広く、大きな破壊耐量をもっていることがわか
る。EST−2に比べると、ほぼ同程度の破壊耐量を示
すが、しかしなおオン電圧が小さく、優位にある。すな
わち、他の特性を劣化させずに、オン電圧の低下が実現
できているといえる。これは、nエミッタ領域8および
第二pベース領域6を多角形にし、その周りを複数の第
一pベース領域4が取り囲むように形成したため、電流
の集中が生じないことによる。
【0044】図10は、上に述べた600V素子素子の
オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較
図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は、100A・cm-2の電流導通時
の25℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時
間は、125℃で測定したものである。実施例2の素子
は、EST、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を
示すことがわかる。
【0045】これは、上記のように、第二pベース領域
6に近い部分のnソース領域7の表面を絶縁膜で覆っ
て、寄生サイリスタのラッチアップを抑制した効果であ
る。特にヘリウムイオン注入によるライフタイム制御を
おこなったので、ライフタイムキラーとなる結晶欠陥を
局在化させ、ライフタイムキラーの分布を最適化したた
め、不必要な部分にライフタイムキラーを発生させるこ
とがなくなり、一層優れたオン電圧とターンオフ時間と
のトレードオフ特性になる。
【0046】他にプロトンの照射でライフタイム制御を
行った絶縁ゲート型サイリスタも試作した。ドーズ量は
ヘリウムイオンの照射とほぼ同程度である。その素子の
特性は、ヘリウムイオンの照射で行った実施例2とほぼ
同じであった。 〔実施例3〕図7(a)は本発明第三の実施例(以下実
施例3と記す)の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極
層の中央での水平断面図である。ストライプ状の絶縁膜
19とはしご状のゲート電極層10とが並んでおり、そ
のゲート電極層10の中に、絶縁膜14で囲まれたカソ
ード電極11が見られる。この断面図ではカソード電極
11が方形に分離されているが、実際は絶縁膜14の上
に延長されてつながっているのである。
【0047】図7(b)は図7(a)の絶縁ゲート型サ
イリスタのシリコン基板上の絶縁膜や電極を除去した表
面の各拡散領域を示す平面図である。ストライプ状の第
二pベース領域6の中にnエミッタ領域8があり、はし
ご状のnベース層3の表面層に形成された方形の第一p
ベース領域4の中には、角型環状のnソース領域7およ
びp+ ウェル領域5が形成されている。点線は、カソー
ド電極11の接触部を示しており、nソース領域7およ
びp+ ウェル領域5であることがわかる。図7(a)の
ゲート電極層10の下に当たる部分は、大部分がnベー
ス層3の表面露出部である。
【0048】図7(a)の絶縁膜19とカソード電極1
1とを結ぶC−C線に沿った断面は図4(a)と同じ
に、カソード電極11同士を結ぶD−D線に沿った断面
は図4(b)と同じになる。この断面では、実施例2の
絶縁ゲート型サイリスタと同様に、第一pベース領域4
およびnソース領域7の表面上に共通にカソード電極1
1が接触する。
【0049】この実施例3の絶縁ゲート型サイリスタは
実施例2と平面的なパターンが異なるものであり、動作
特性等はほぼ同様である。 〔実施例4〕これまでの実施例は、いずれもpエミッタ
層1とnベース層3との間にn+ バッファ層2を設けた
素子であったが、n+ バッファ層2の無い素子において
も、本発明は適用できる。図8(a)、(b)は、エピ
タキシャルウェハでなく、バルクシリコンウェハを用い
て作製した本発明第四の実施例(以下実施例4と記す)
の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面図である。すなわ
ち、バルクシリコンウェハからなるnベース層3の一方
の主面側の構造は図3の実施例2と同じであるが、nベ
ース層3の裏面側には、pエミッタ層1が直接形成され
ているものである。図8(a)は、nエミッタ領域8上
の絶縁膜19とnソース領域7上のカソード電極11と
を結ぶ線に沿った部分断面図である。ゲート電極13は
必ずしもこの断面でゲート電極10と接触していなくて
もよい。同図(b)はnソース領域7上のカソード電極
11同士を結ぶ線に沿った部分断面図である。
【0050】図9は、図8の構造で図3のパターンをも
つ実施例4の絶縁ゲート型サイリスタ、EST−1、E
ST−2、EST−3およびIGBTのいずれも250
0V素子の、125℃におけるRBSOAを比較したも
のである。横軸、たて軸は、それぞれアノード−カソー
ド間電圧、電流である。この場合nベース層3の厚さは
440μm であった。それ以外の寸法等は実施例1の絶
縁ゲート型サイリスタとほぼ同じである。五素子のオン
電圧はそれぞれ、1.1V、2.0V、2.2V、1.
4Vそして3.3Vである。エピタキシャルウェハの6
00V素子と同様に、バルクウェハを用いた2500V
素子でも、本発明の実施例の絶縁ゲート型サイリスタ
は、EST、IGBTに比べ、格段にRBSOAが広
く、しかもオン電圧が低い。これは、第二pベース領域
6の拡散深さをp+ ウェル領域5より浅くすることによ
って、高電圧印加時の電界集中を回避できること、ま
た、第二pベース領域6とその表面層のnエミッタ領域
8との周囲に、六個の第一pベース領域4とその表面層
のnソース領域7とが配置され、対向している部分が長
いため、電流の集中が生じないことによる。
【0051】すなわち、本発明の効果はnベース層3の
比抵抗、pnpワイドベーストランジスタの電流増幅率
によらず、オン電圧の劣化を全く伴わずにRBSOAを
大きくできるものである。これを言い換えると、本発明
は、素子の定格電圧、基板の半導体結晶の製法によら
ず、オン電圧の低減、RBSOAの向上に有効であると
いえる。
【0052】図11は、上に述べた各2500V素子の
オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較
図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は50A・cm-2の電流導通時の2
5℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時間
は、125℃で測定したものである。いずれの場合も、
図8の構造で図2のパターンの本発明の実施例の素子
は、EST、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を
示すことがわかる。
【0053】〔実施例5〕破壊耐量を大きくするため、
実施例2の絶縁ゲート型サイリスタにおいては、nソー
ス領域7とカソード電極11との接触部の形状を工夫
し、nソース領域7内に抵抗(バラスト抵抗)を持たせ
た。しかし、このサイリスタでは、サイリスタ動作へ移
行したとき、抵抗が直列接続された構造となっている。
この抵抗の成分となっているのは、前記ゲート電極層1
0およびゲート酸化膜9の下のnソース領域7からnエ
ミッタ領域8までの間の反転層および蓄積層である。こ
の直列抵抗のため、サイリスタの特性としてはオン電圧
が増大することになる。従って、実施例2とは逆にオン
電圧が低くなるような方向を取り、オン電圧と、ターン
オフタイムとのトレードオフ特性改善することもでき
る。
【0054】図12は本発明の第五の実施例(以下実施
例5と記す)の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極層
の中央での水平断面図である。網状のゲート電極層10
の中に、外形が六角形の絶縁膜19と、三方向に突き出
た形のカソード電極11を中に含む絶縁膜14とが見ら
れる。カソード電極11をもつ絶縁膜14が、カソード
電極11を持たない絶縁膜19の周りに配置されてい
る。点線はnソース領域7とp+ ウェル領域5との間の
pn接合を示している。カソード電極11が突き出でい
るのは、図4の実施例2とは逆に、nエミッタ領域8上
の絶縁膜19に対向している部分である。
【0055】実施例5の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板上の絶縁膜や電極を除去した表面の各拡散領域
を示す平面図は、図2(b)とほぼ同じでよい。すなわ
ち、六角形の絶縁膜19の下にはnエミッタ領域8があ
り、その周りに第二pベース領域6がある。絶縁膜14
の下には、p+ ウェル領域5を中に含んだnソース領域
7があり、その周りを第一pベース領域4が取り囲んで
いる。カソード電極11はnソース領域7の一部とp+
ウェル領域5の表面に接触している。ゲート電極層10
の下に当たる部分は、大部分がnベース層3の表面露出
部である。
【0056】図13(a)は、図12の絶縁膜19とカ
ソード電極11とを結ぶE−E線に沿った断面図であ
る。この断面では、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタ
と同様に、nソース領域7およびp+ ウェル領域5の表
面上に共通にカソード電極11が接触している。一方、
図13(b)は、図12のカソード電極11同士を結ぶ
F−F線に沿った断面図である。この断面では、nソー
ス領域7の表面上が絶縁膜14で覆われていて、カソー
ド電極11と接触しておらず、カソード電極11はp+
ウェル領域5の表面にのみ接触している。
【0057】なお、図12のパターンの絶縁ゲート型サ
イリスタは、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタとほぼ
同じ工程で製造できる。そして、この実施例5の絶縁ゲ
ート型サイリスタは、図12(a)に見られるように第
二pベース領域6およびその表面層のnエミッタ領域8
の表面が絶縁膜19で覆われているため、実施例1の動
作で説明したように、nエミッタ領域8、第二pベース
領域6、nベース層3およびpエミッタ層1からなるサ
イリスタのオン・オフが均一に起こり、早いスイッチン
グ特性と、大きなRBSOAを有する。更に、第二pベ
ース領域6およびnエミッタ領域8に近い部分で第一p
ベース領域4の中のnソース領域7の表面にカソード電
極11が接触しているため、直列抵抗分が少なく、オン
電圧が低くなる。
【0058】一方図4(b)に見られるように、nソー
ス領域7同士が向き合っている部分では、nソース領域
7にカソード電極11が接触せず、飽和電流を低く抑え
ることにより破壊耐量も向上している。比抵抗0.02
Ω・cm、厚さ450μm のp型シリコン基板上にn+
バッファ層2として、比抵抗0.1Ω・cm、厚さ10
μm のn層、nベース層3として、比抵抗40Ω・c
m、厚さ55μm のn層をエピタキシャル成長させたウ
ェハを用い、図12のパターンをもつ実施例5の絶縁ゲ
ート型サイリスタの600V素子を試作した。実施例2
の項で試作したEST−1、EST−2、EST−3お
よびIGBTと同一条件でライフタイム制御をおこなっ
たものの100A導通時の電位降下で定義したオン電圧
は0.8Vであった。
【0059】図14は、実施例5の600V素子と、比
較例としての先のEST−3およびIGBTとのオン電
圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較図であ
る。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時間であ
る。オン電圧は、100A・cm-2の電流導通時の25
℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時間は、
125℃で測定したものである。実施例5の素子は、E
ST−3、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を示
すことがわかる。
【0060】これは、上記のように、第二pベース領域
6に近い部分のnソース領域7の表面にカソード電極1
1を接触させてあり、直列抵抗分が少なく、オン電圧が
低くなっている効果である。 〔実施例6〕実施例4と同じように、バルクシリコンウ
ェハを用いて作製したn+ バッファ層2の無い素子にお
いても、本発明は適用できる。nベース層3の厚さは4
40μm のバルクウェハを用い、図12のパターンをも
つ本発明第六の実施例(以下実施例6と記す)の絶縁ゲ
ート型サイリスタのいずれも2500V素子を試作し
た。実施例4の項で試作したEST−1、EST−2、
EST−3およびIGBTと同一条件でライフタイム制
御をおこなったもののオン電圧は1.0Vであった。
【0061】図15は、図12のパターンをもつ実施例
6の絶縁ゲート型サイリスタ、比較例としての先のES
T−3およびIGBTとのいずれも2500V素子の、
オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較
図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は50A・cm-2の電流導通時の2
5℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時間
は、125℃で測定したものである。いずれの場合も、
図12のパターンの本発明の実施例6の素子は、ES
T、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を示すこと
がわかる。
【0062】〔実施例7〕本発明第七の実施例(以下実
施例7と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面図
は図1の実施例1と全く変わらない。但し、第一、第二
のpベース領域4、6の不純物濃度が異なっている点が
違っている。すなわち、第一pベース領域4、第二pベ
ース領域6を形成する際のホウ素のイオン注入量がそれ
ぞれ、2×1014、8×1013cm-2と、第二pベース
領域6の方が2.5倍少なくされている。イオン注入後
の熱処理は1150℃、90分間で同じであり、第一p
ベース領域4、第二pベース領域6の拡散深さにはそれ
ほどの差が見られなかった。
【0063】しかし、この実施例7と実施例1の絶縁ゲ
ート型サイリスタのオン電圧・ターンオフ時間のトレー
ドオフ特性を比較したところ、同じターンオフ時間をも
つ実施例1の絶縁ゲート型サイリスタに比べ、0.12
V低いオン電圧を示した。実施例7の絶縁ゲート型サイ
リスタのオン電圧が低くなった理由は、第二pベース領
域6の不純物濃度を低くしたことによって、ゲート電極
層10の下のチャネル抵抗が低減されたためと思われ
る。なお、耐圧、破壊耐量等にはなんら影響が見られな
かった。また、この効果は、必ずしも実施例1のように
第二pベース領域6の拡散深さがp+ ウェル領域5のそ
れより浅い絶縁ゲート型サイリスタに限らず、第二pベ
ース領域6の拡散深さが深いものにおいても見られ、更
に実施例4のようなバルクシリコンを用いた高耐圧の絶
縁ゲート型サイリスタにおいても同様の効果が見られ
た。
【0064】〔実施例8〕図16は、本発明第八の実施
例(以下実施例8と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの
部分断面図である。図1の実施例1と変わった点は、n
ソース領域7が表面不純物濃度の異なる低濃度nソース
領域7aと高濃度nソース領域7bとからなっているこ
とである。
【0065】すなわち、nソース領域7を形成する際の
砒素のイオン注入量がそれぞれ、1×1015、5×10
15cm-2の低濃度nソース領域7a、高濃度nソース領
域7bからなっている。イオン注入後の熱処理は100
0℃、60分間で同じである。低濃度nソース領域7a
と高濃度nソース領域7bの拡散深さにはそれほどの差
が見られなかった。
【0066】この実施例8の絶縁ゲート型サイリスタと
比較例としてIGBT、EST−1、EST−2および
EST−3の125℃での電流・電圧特性図を図17に
示す。縦軸は電流密度、横軸は電圧である。実施例8の
絶縁ゲート型サイリスタの特性曲線は、定格電流(10
0A・cm-2)近傍では他の素子のそれより低いオン電
圧を示している。しかし、電流が大きくなり、飽和する
領域では、実施例8の絶縁ゲート型サイリスタが最もは
やく飽和し始め、、最も小さい制限電流(360A・c
-2)を示している。また、この絶縁ゲート型サイリス
タの、アノード・カソード間電圧400V、ゲート電圧
15V、125℃での負荷短絡耐量は、45μsと、n
ソース領域7が高濃度領域だけからの絶縁ゲート型サイ
リスタの30μsより1.5倍長い耐量を示した。
【0067】実施例8の絶縁ゲート型サイリスタの制限
電流が小さくなった理由は、nソース領域に低濃度nソ
ース領域7aが大電流範囲で抵抗成分を生じたためと思
われる。なお、高濃度nソース領域7bによって、カソ
ード電極11との接触は確保されている。また、この効
果も、必ずしも実施例1のように第二pベース領域6の
拡散深さがp+ ウェル領域5のそれより浅い絶縁ゲート
型サイリスタに限らず、第二pベース領域6の拡散深さ
が深いものにおいても見られ、更に実施例4のようなバ
ルクシリコンを用いた高耐圧の絶縁ゲート型サイリスタ
においても同様の効果が見られた。
【0068】〔実施例9〕図18は本発明第九の実施例
(以下実施例9と記す)の絶縁ゲート型サイリスタのシ
リコン基板上の絶縁膜や電極を除去した表面の各拡散領
域を示す平面図である。表面層にnエミッタ領域8が形
成された六角形の第二pベース領域6の周りに、六個の
六角形の第一pベース領域4が配置されている。その第
一pベース領域4の内部に六角形のnソース領域7が形
成されているのは、これまでの他の実施例と同様である
が、nソース領域7が表面不純物濃度の異なる低濃度n
ソース領域7aと高濃度nソース領域7bとからなって
いる。点線は、カソード電極11の接触部を示してい
る。
【0069】すなわち、nソース領域7の、第二pベー
ス領域6に対向する部分は高濃度nソース領域7bとさ
れ、他の第一pベース領域4と対向する部分は低濃度n
ソース領域7aとされ、そしてカソード電極11は高濃
度nソース領域7bに接触している。実施例9の絶縁ゲ
ート型サイリスタのシリコン基板上のゲート電極層中央
における水平断面図は、図2(a)とほぼ同じでよい。
すなわち、nベース層3の表面露出部上のゲート電極層
10が網状にあり、その間に第二pベース領域6上の六
角形のゲート絶縁膜9と、nソース領域7の一部とp+
ウェル領域5の表面に接触するやはり六角形のカソード
電極11が配置された形になる。カソード電極11は絶
縁膜14を介してゲート電極層10の上に延長されるこ
ともある。
【0070】図19(a)は、図18のnエミッタ領域
8とnソース領域7とを結ぶG−G線に沿った断面図で
ある。この断面では、nソース領域7は高濃度nソース
領域7bとなっていて、その高濃度nソース領域7bお
よびp+ ウェル領域5の表面上に共通にカソード電極1
1が接触している。一方、図19(b)は、図18のn
ソース領域7同士を結ぶH−H線に沿った断面図であ
る。この断面では、表面不純物濃度の異なる低濃度nソ
ース領域7aと高濃度nソース領域7bとからなってい
て、低濃度nソース領域7aの表面上が絶縁膜14で覆
われていて、カソード電極11と接触しておらず、カソ
ード電極11は高濃度nソース領域7bの表面にのみ接
触している。
【0071】低濃度nソース領域7aはドーズ量1×1
15cm-2の砒素イオンの注入により形成され、高濃度
nソース領域7bはドーズ量5×1015cm-2の燐イオ
ンの注入により形成されている。イオン注入後の熱処理
は1000℃、60分間で同じである。低濃度nソース
領域7aと高濃度nソース領域7bの拡散深さにはそれ
ほどの差が見られなかった。
【0072】この実施例9の絶縁ゲート型サイリスタ
は、図19(a)に見られるようにカソード電極11
が、第二pベース領域6およびnエミッタ領域8に近い
部分で第一pベース領域4の中の高濃度nソース領域7
bの表面に接触しているため、直列抵抗分が少なく、オ
ン電圧が低くなる。また、第二pベース領域6およびそ
の表面層のnエミッタ領域8の表面が絶縁膜19で覆わ
れているため、実施例1の動作で説明したように、nエ
ミッタ領域8、第二pベース領域6、nベース層3およ
びpエミッタ層1からなるサイリスタのオン・オフが均
一に起こり、早いスイッチング特性と、大きなRBSO
Aを有する。
【0073】一方図19(b)に見られるように、nソ
ース領域7同士が向き合っている部分では、低濃度nソ
ース領域7aの表面にカソード電極11が接触せず、飽
和電流を低く抑えることにより破壊耐量も向上してい
る。比抵抗0.02Ω・cm、厚さ450μm のp型シ
リコン基板上にn+ バッファ層2として、比抵抗0.1
Ω・cm、厚さ10μm のn層、nベース層3として、
比抵抗40Ω・cm、厚さ55μm のn層をエピタキシ
ャル成長させたウェハを用い、図18のパターンをもつ
実施例9の絶縁ゲート型サイリスタを試作した。実施例
2の項で試作したEST−1、EST−2、EST−3
およびIGBTと同一条件でライフタイム制御をおこな
ったものの100A導通時の電位降下で定義したオン電
圧は0.8Vであった。オン電圧とターンオフ時間との
トレードオフ特性は、図14の実施例5とほぼ同じであ
り、EST、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を
示した。
【0074】このように、ゲート電極層10およびゲー
ト酸化膜9の下のnソース領域7からnエミッタ領域8
までの間の反転層および蓄積層からなる直列抵抗を低減
し、オン電圧を低減してオン電圧と、ターンオフタイム
とのトレードオフ特性改善の方向を取ることもできる。 〔実施例10〕実施例4と同じように、バルクシリコン
ウェハを用いて作製したn+ バッファ層2の無い素子に
おいても、本発明は適用できる。nベース層3の厚さは
440μm のバルクウェハを用い、図18のパターンを
もつ本発明第十の実施例(以下実施例10と記す)の絶
縁ゲート型サイリスタの2500V素子を試作した。実
施例4の項で試作したEST−1、EST−2、EST
−3およびIGBTと同一条件でライフタイム制御をお
こなったもののオン電圧は1.0Vであった。オン電圧
とターンオフ時間とのトレードオフ特性は、図15に示
した実施例6の特性とほぼ同じであり、EST、IGB
Tに比べて良いトレードオフ特性を示した。
【0075】これは、上記のように、第二pベース領域
6に近い部分の高濃度nソース領域7aの表面にカソー
ド電極11を接触させてあり、直列抵抗分が少なく、オ
ン電圧が低くなっている効果である。 〔実施例11〕図20は、本発明第十一の実施例(以下
実施例11と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの部分断
面図である。図1の実施例1と変わっている点は、第
一、第二pベース領域4、6の間のnベース層3の表面
露出部の表面層にnベース層3より不純物濃度の高いn
補助領域15が設けられていることである。
【0076】すなわち、p+ ウェル領域5のためのホウ
素イオン注入(ドーズ量2×1015cm-2)および熱処
理(1150℃、180分間)の後、全面にn補助領域
15のためのリンを1×1012cm-2イオン注入し、そ
の後ゲート電極層10のための多結晶シリコンを積層
し、パターニングし、ホウ素をイオン注入して第一pベ
ース領域4、第二pベース領域6を形成する。
【0077】この実施例11と実施例1の絶縁ゲート型
サイリスタのオン電圧・ターンオフ時間のトレードオフ
特性を比較したところ、同じターンオフ時間をもつ実施
例1の絶縁ゲート型サイリスタに比べ、0.1V低いオ
ン電圧を示した。実施例11の絶縁ゲート型サイリスタ
のオン電圧が低くなった理由は、ゲート電極層10直下
のnベース層3の表面層に不純物濃度の高いn補助領域
15を設けたことによって、第一、第二のpベース領域
4、6とnベース層3間のpn接合から空乏層がひろが
ったとき、nベース層3に生じる抵抗成分(いわゆる接
合型FET効果)が低減されるためと思われる。なお、
耐圧、破壊耐量等にはなんら影響が見られなかった。ま
た、この効果は、必ずしも実施例1のように第二pベー
ス領域6の拡散深さがp+ ウェル領域5のそれより浅い
絶縁ゲート型サイリスタに限らず、第二pベース領域6
の拡散深さが深いものにおいても見られ、更に実施例4
のようにバルクシリコンを用いた高耐圧の絶縁ゲート型
サイリスタにおいても同様の効果が見られた。
【0078】図21は、実施例11の絶縁ゲート型サイ
リスタの変形例である。この例のように、n補助領域1
5をシリコン基板表面全面に形成せず、選択的に形成し
ても良い。特に第一pベース層領域4より拡散深さの深
いp+ ウェル領域5がある場合には、第一pベース層領
域4形成のためのマスクを使用して燐をイオン注入し、
n補助領域15を形成することができる。
【0079】〔実施例12〕図22(a)、(b)は、
本発明第十にの実施例(以下実施例12と記す)の絶縁
ゲート型サイリスタの部分断面図である。図1の実施例
1と変わっている点は、ゲート酸化膜9が部分的に厚さ
の異なっていることである。すなわち、図22(b)は
第一pベース領域4と第二pベース領域6とを結ぶH−
H線に沿っての断面図であり、この断面では図1の実施
例1と同じく薄い(厚さ0.05μm)ゲート酸化膜9
となっている。一方、図22(a)は第一pベース領域
4同士を結ぶG−G線に沿っての断面図である。この断
面では、第一pベース領域4の上方の部分では薄いゲー
ト酸化膜9となっているが、nベース層3の上方では、
厚く(厚さ0.4μm)となっている。
【0080】この実施例12の絶縁ゲート型サイリスタ
は、実施例1と特性を比較したところ、オン電圧は変わ
らなかったが、スイッチング特性と破壊耐量においてよ
り良い特性を示した。特に電圧、電流波形に高周波振動
成分が少なくなり、耐ノイズ特性も良好であった。これ
は、ゲート酸化膜の厚さを厚くしたことによって、ゲー
ト容量が低減されたためである。
【0081】実施例12では、実施例1と同様に第一p
ベース領域4と第二pベース領域6とを結ぶ線に沿って
の断面で、カソード電極11がnソース領域7に接触し
ているが、実施例2のように第二pベース領域6に対向
する部分の第一pベース領域4内のnソース領域7には
接触しないものにも適用できる。また、この効果は、必
ずしも実施例1のように第二pベース領域6の拡散深さ
がp+ ウェル領域5のそれより浅い絶縁ゲート型サイリ
スタに限らず、第二pベース領域6の拡散深さが深いも
のにおいても見られ、更に実施例4のようにバルクシリ
コンを用いた高耐圧の絶縁ゲート型サイリスタにおいて
も同様の効果が見られた。
【0082】上記の発明を複数取り入れた素子とすれ
ば、それぞれの効果が重複して得られ、更に優れた特性
の絶縁ゲート型サイリスタが得られる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、E
STにおいてIGBTモードからサイリスタをラッチア
ップ状態にするための電位降下をZ方向に流れる電流に
よって得ていたのに対し、第二の第二導電型ベース領域
の表面上を絶縁膜で覆い、その第二導電型ベース領域の
正孔電流による電位上昇を利用することにより、サイリ
スタモードへの移行およびターンオフ時のpn接合の回
復が均一となり、可制御電流が増大する。更に、第二の
第二導電型ベース領域の拡散深さを第一の第二導電型ベ
ース領域または第二導電型ウェル領域より浅いものとす
ることによって、電界集中を防止し、破壊耐量の増大を
実現した。
【0084】また、第二の第二導電型ベース領域の不純
物濃度を第一の第二導電型ベース領域のそれより低くし
て、反転層の抵抗を下げ、オン電圧を低減した。第一導
電型ソース領域を低濃度と高濃度の領域に分け、カソー
ド電極を高濃度領域に接触させることによって、制限電
流を低くし、負荷短絡耐量を増大し、或いはオン電圧を
低減した。
【0085】第一、第二の第二導電型ベース領域間の第
一導電型ベース層の表面層に第一導電型ベース層より不
純物濃度の高い領域を設けることによって、接合型FE
T効果を抑制しオン電圧を低減した。第一の第二導電型
ベース領域間のゲート酸化膜を一部厚くして、ゲート容
量を低下させ、ノイズ特性が改善された。
【0086】その結果、600Vから2500Vクラス
の広い耐圧範囲において、EST或いはIGBTより、
オン電圧とターンオフ時間との間のトレードオフ特性の
良好な、かつ逆バイアス安全動作領域の広い電圧駆動型
の絶縁ゲート型サイリスタが得られる。これらの素子
は、素子単体のみでなく、更にこれらの素子を用いた電
力変換装置のスイッチング損失の低減に大きな貢献をな
すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面
【図2】(a)は実施例1の絶縁ゲート型サイリスタの
ゲート電極層中央での水平断面図、(b)はそのシリコ
ン基板表面での平面図
【図3】実施例2の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電
極層中央での水平断面図
【図4】(a)は図3のA−A線に沿った断面図、
(b)はB−B線に沿った断面図
【図5】実施例2および比較例の600V素子のRBS
OA図
【図6】RBSOA測定回路図
【図7】(a)は実施例3の絶縁ゲート型サイリスタの
ゲート電極層中央での水平断面図、(b)はそのシリコ
ン基板表面での平面図
【図8】(a)および(b)は実施例4の絶縁ゲート型
サイリスタの部分断面図
【図9】実施例4および比較例の2500V素子のRB
SOA図
【図10】実施例2および比較例の600V素子のオン
電圧・ターンオフ時間トレードオフ特性図
【図11】実施例4および比較例の2500V素子のオ
ン電圧・ターンオフ時間トレードオフ特性図
【図12】実施例5の絶縁ゲート型サイリスタのゲート
電極層中央での水平断面図
【図13】(a)は図12のE−E線に沿った断面図、
(b)はF−F線に沿った断面図
【図14】実施例5および比較例の600V素子のオン
電圧・ターンオフ時間トレードオフ特性図
【図15】実施例6および比較例の2500V素子のオ
ン電圧・ターンオフ時間トレードオフ特性図
【図16】実施例8の絶縁ゲート型サイリスタの部分断
面図
【図17】実施例8の絶縁ゲート型サイリスタの電流−
電圧特性図
【図18】実施例9の絶縁ゲート型サイリスタのゲート
電極層中央での水平断面図
【図19】(a)は図18のG−G線に沿った断面図、
(b)はH−H線に沿った断面図
【図20】実施例10の絶縁ゲート型サイリスタの部分
断面図
【図21】実施例11の変形例の絶縁ゲート型サイリス
タの部分断面図
【図22】(a)および(b)は実施例12の絶縁ゲー
ト型サイリスタの部分断面図
【図23】ESTの切断斜視図
【図24】改良ESTの断面図
【図25】別の改良ESTの断面図
【図26】FET制御サイリスタの断面図
【符号の説明】
1 pエミッタ層 2 n+ バッファ層 3 nベース層 4 第一pベース領域 5 p+ ウェル領域 6 第二pベース領域 7 nソース領域 7a 低濃度nソース領域 7b 高濃度nソース領域 8 nエミッタ領域 9 ゲート酸化膜 10 ゲート電極層 11 カソード電極 12 アノード電極 13 ゲート電極 14 絶縁膜 15 n補助領域 19 絶縁膜 21 被測定素子 22 インダクタンス 23 フリーホイーリングダイオード 24 直流電源 25 抵抗 26 ゲート電源

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他
    面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導
    電型エミッタ層に接触する第二主電極と、ゲート電極層
    に接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベー
    ス領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁
    膜で覆われたものにおいて、 第二の第二導電型ベース領域の拡散深さが、第一の第二
    導電型ベース領域と第二導電型ウェル領域のうち拡散深
    さの深い方より浅いことを特徴とする絶縁ゲート型サイ
    リスタ。
  2. 【請求項2】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他
    面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導
    電型エミッタ層に接触する第二主電極と、ゲート電極層
    に接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベー
    ス領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁
    膜で覆われたものにおいて、 第二の第二導電型ベース領域の表面不純物濃度が、第一
    の第二導電型ベース領域より低いことを特徴とする絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  3. 【請求項3】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他
    面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導
    電型エミッタ層に接触する第二主電極と、ゲート電極層
    に接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベー
    ス領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁
    膜で覆われたものにおいて、 第一導電型ソース領域が、表面不純物濃度の異なる二つ
    の領域からなり、表面不純物濃度の高い方の領域の表面
    に第一主電極が接触することを特徴とする絶縁ゲート型
    サイリスタ。
  4. 【請求項4】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他
    面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導
    電型エミッタ層に接触する第二主電極と、ゲート電極層
    に接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベー
    ス領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁
    膜で覆われたものにおいて、 第一、第二の第二導電型ベース領域間の第一導電型ベー
    ス層の露出部に第一導電型ベース層より不純物濃度の高
    く、第一、第二の第二導電型ベース領域の拡散深さより
    浅い第一導電型補助領域を有することを特徴とする絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  5. 【請求項5】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他
    面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導
    電型エミッタ層に接触する第二主電極と、ゲート電極層
    に接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベー
    ス領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁
    膜で覆われたものにおいて、 二つの第一の第二導電型ベース領域間の第一導電型ベー
    ス層の露出部上のゲート絶縁膜の一部が、第一、第二の
    第二導電型ベース領域間の第一導電型ベース層の露出部
    上のゲート絶縁膜より厚さが厚いことを特徴とする絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  6. 【請求項6】第二の第二導電型ベース領域の拡散深さ
    が、第一の第二導電型ベース領域と第二導電型ウェル領
    域のうち拡散深さの深い方より浅いことを特徴とする請
    求項2ないし5のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリ
    スタ。
  7. 【請求項7】第二の第二導電型ベース領域の表面不純物
    濃度が、第一の第二導電型ベース領域より低いことを特
    徴とする請求項1、3ないし5のいずれかに記載の絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  8. 【請求項8】第一導電型ソース領域が、表面不純物濃度
    の異なる二つの領域からなり、表面不純物濃度の高い方
    の領域の表面に第一主電極が接触することを特徴とする
    請求項1、2、4または5のいずれかに記載の絶縁ゲー
    ト型サイリスタ。
  9. 【請求項9】第一、第二の第二導電型ベース領域間の第
    一導電型ベース層の露出部に第一導電型ベース層より不
    純物濃度の高く、第一、第二の第二導電型ベース領域の
    拡散深さより浅い第一導電型補助領域を有することを特
    徴とする請求項1ないし3または5のいずれかに記載の
    絶縁ゲート型サイリスタ。
  10. 【請求項10】 二つの第一の第二導電型ベース領域間
    の第一導電型ベース層の露出部上のゲート絶縁膜の一部
    が、第一、第二の第二導電型ベース領域間の第一導電型
    ベース層の露出部上のゲート絶縁膜より厚さが厚いこと
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  11. 【請求項11】第一導電型ソース領域の、第一導電型エ
    ミッタ領域に対向する部分の表面不純物濃度が高濃度で
    あり、隣接する第一導電型ソース領域に対向する部分の
    それが低濃度であることを特徴とする請求項3または8
    に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  12. 【請求項12】第一、第二の第二導電型ベース領域、第
    一導電型エミッタ領域、第一導電型ソース領域の少なく
    とも一つが、多角形、円形又は楕円形のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載
    の絶縁ゲート型サイリスタ。
  13. 【請求項13】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に、第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の第
    一導電型ソース領域が形成されていることを特徴とする
    請求項1ないし12のいずれかに記載の絶縁ゲート型サ
    イリスタ。
  14. 【請求項14】第二の第二導電型ベース領域の周囲に、
    複数の第一の第二導電型ベース領域が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の
    絶縁ゲート型サイリスタ。
  15. 【請求項15】第二の第二導電型ベース領域の周囲に、
    複数の第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の
    第一導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電型ベ
    ース領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲート
    電極層が設けられ、そのゲート電極層を挟んだ反対側に
    絶縁膜を介して第一主電極が設けられていることを特徴
    とする請求項14記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  16. 【請求項16】第一主電極と第一の第二導電型ベース領
    域および第一導電型ソース領域との接触部の形状が、多
    角形、円形又は楕円形のいずれかであることを特徴とす
    る請求項15に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  17. 【請求項17】第一導電型ソース領域の表面の第二の第
    二導電型ベースに対向する部分が絶縁膜で覆われ、第一
    の第二導電型ベース領域に対向する部分に第一主電極が
    接触することを特徴とする請求項15または16に記載
    の絶縁ゲート型サイリスタ。
  18. 【請求項18】第一導電型ソース領域の表面の隣接する
    第一の第二導電型ベースに対向する部分が絶縁膜で覆わ
    れ、第二の第二導電型ベース領域に対向する部分に第一
    主電極が接触することを特徴とする請求項15または1
    6に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  19. 【請求項19】第一導電型エミッタ領域の拡散深さが第
    一導電型ソース領域のそれより深いことを特徴とする請
    求項15ないし18のいずれかに記載の絶縁ゲート型サ
    イリスタ。
  20. 【請求項20】ライフタイムキラーが局在化されている
    ことを特徴とする請求項15ないし19のいずれかに記
    載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  21. 【請求項21】第一導電型ベース層と第二導電型エミッ
    タ層との間に第一導電型ベース層より不純物濃度の高い
    第一導電型バッファ層を有することを特徴とする請求項
    15ないし20のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリ
    スタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111933526A (zh) * 2019-05-13 2020-11-13 上海先进半导体制造股份有限公司 Igbt和其制作方法
US11004765B2 (en) 2018-11-09 2021-05-11 Denso Corporation Field-effect transistor with a heat absorber in contact with a surface of the gate electrode on its back side

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