JPH08330569A - 絶縁ゲート型サイリスタおよびその製造方法 - Google Patents

絶縁ゲート型サイリスタおよびその製造方法

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JPH08330569A
JPH08330569A JP7129895A JP12989595A JPH08330569A JP H08330569 A JPH08330569 A JP H08330569A JP 7129895 A JP7129895 A JP 7129895A JP 12989595 A JP12989595 A JP 12989595A JP H08330569 A JPH08330569 A JP H08330569A
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conductivity
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Tadayoshi Iwaana
忠義 岩穴
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】バルク結晶を用いた高耐圧の絶縁ゲート型サイ
リスタにおいて、トレードオフ関係にあるオン電圧とフ
ォールタイムとの最適な組合せを実現する。 【構成】pアノード層1の層の厚さを2μm以下、不純
物原子の総量を1×1012〜1×1016cm-2とするこ
とにより、pアノード層1から注入される正孔量を最適
化し、フォールタイムを短縮し、オン電圧とフォールタ
イムとのトレードオフ特性を改善する。pアノード層1
の形成法としては、ホウ素イオンの注入および熱処理に
よる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力用スイッチング素
子として用いられる絶縁ゲート型サイリスタおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サイリスタはその低オン電圧特性から、
大容量用途に必要不可欠な素子として使われてきた。そ
して今日、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタが、
高電圧・大電流用素子として多く使われている。しかし
ながら、GTOサイリスタは、(1)ターンオフゲイン
が小さく、ターンオフに多大なゲート電流を必要とす
る、(2)安全なターンオフのために大きなスナバ回路
が必要である等、その欠点が顕在化してきている。ま
た、GTOサイリスタはその電流・電圧特性において、
電流飽和特性を示さないことから、負荷短絡保護のため
にヒューズ等の受動部品を必要とし、システムの小型化
・コスト削減の大きな障害となっている。 この問題点
を克服するために現在、様々なデバイスが考案されてい
るが、その中に、エミッタスイッチドサイリスタ(以下
ESTと略す)と呼ばれる電圧駆動型サイリスタのデバ
イスがある。M.S.Shekar氏らは、IEEE Electron Device
Lett. vol.12 (1991) p387 に、ESTが高電圧領域ま
で電流飽和特性を示すことを実測により示した。さら
に、岩室らは、Proc. IEEE ISPSD '93, p71 および Pr
oc.IEEE ISPSD '94, p195 に、このESTのFBSO
A(順バイアス安全動作領域)およびRBSOA(逆バ
イアス安全動作領域)の解析結果を発表し、電圧駆動型
サイリスタにおいて、初めて負荷短絡時の安全動作領域
を有する素子開発に道を開いた。しかし、このESTで
は、オン状態からターンオフした際に、電流集中を招き
易い場所があり、ターンオフ時の破壊耐量が小さいとい
う問題があった。
【0003】この問題に対して、岩室らは、先に新しい
構造の絶縁ゲート型サイリスタを提案した(出願番号
特願平6−308517号)。図16にその絶縁ゲート
型サイリスタの素子断面図を示す。図16に見られるよ
うに、この素子は、600Vクラスの絶縁ゲート型サイ
リスタとして作成されたもので、比抵抗0.02Ω・c
m厚さ450μmのp型サブストレート上に、n+ バッ
ファ層2として比抵抗0.1Ω・cm、厚さ10μmの
n型層、nベース層3として比抵抗50Ω・cm、厚さ
55μmのn型層をエピタキシャル成長させたウェハを
用いている。nベース層3の一方の面側の表面層の一部
に、表面上のゲート電極10をマスクの一端としたホウ
素のイオン注入および熱処理により、第一pベース領域
4および第二pベース領域6が形成され、さらに、寄生
サイリスタのラッチアップを防ぐ目的で第一pベース領
域4より拡散深さの深いp+ ウェル領域5が第一pベー
ス領域4の一部に形成されている。nベース層3の他方
の面側には、n+ バッファ層2を介してp型サブストレ
ートがpアノード層1となり、その裏面には全面にアノ
ード電極12が設けられている。第一pベース領域4の
表面層には、選択的な砒素のイオン注入および熱処理に
よりnソース領域7が、第二pベース領域6の表面層の
一部には砒素および燐のイオン注入および熱処理により
nエミッタ領域8がそれぞれ形成されている。そして、
表面上には、nソース領域7とnエミッタ領域8とに挟
まれた第一pベース領域4、nベース層3および第二p
ベース領域6の上にゲート酸化膜9を介してゲート電極
10が設けられて、nチャネル型の横型MOSFETが
構成されている。この側の表面は、燐ガラス(PSG)
等の絶縁膜14で覆われ、その絶縁膜14に接触孔が明
けられている。多結晶シリコン層13が、その接触孔で
第二pベース領域6に接するように堆積、熱処理され、
その上にカソード電極11が被覆している。そしてカソ
ード電極11は、nソース領域7および第一pベース領
域4の表面にも共通に接触している。このように構成さ
れた絶縁ゲートサイリスタの動作を次に説明する。
【0004】カソード電極11を接地し、アノード電極
12に正の電圧を印加した状態でゲート電極10に、あ
る値以上の正の電圧を加えると、ゲート酸化膜9の下の
第一pベース領域4の表面層に反転層が形成され、前記
横型MOSFETがオンする。この結果、まず電子がカ
ソード電極11からnソース領域7、第一pベース領域
4の表面層のチャネルを通ってnベース層3に供給され
る。この電子は、pアノード層1、nベース層3、第一
pベース領域4からなるpnpトランジスタのベース電
流として働き、よってこのpnpトランジスタが動作す
る。正孔はpアノード層1からnベース層3に注入さ
れ、一部は第一pベース領域4へと流れ、カソード電極
11へと抜ける。また正孔の別の一部は第二pベース領
域6へと流れ、nエミッタ領域8の下を通り、多結晶シ
リコン層13を通ってカソード電極11へと抜ける。こ
のモードを、IGBTモードと言う。
【0005】この第二pベース領域6へと流れる正孔電
流がさらに増加すると、多結晶シリコン層13を通るこ
とによって第二pベース領域6の電位が上昇し、ついに
はnエミッタ領域8と第2pベース領域5の間のpn接
合が順バイアスされ、pアノード層1、nベース層3、
第二pベース領域6およびnエミッタ領域8からなるサ
イリスタがオンの状態となる。このモードを、サイリス
タモードと言う。
【0006】この絶縁ゲート型サイリスタをオフするに
は、ゲート電極10の電位を横型MOSFETのしきい
値以下にし、このMOSFETをオフする。その結果、
nエミッタ領域8がカソード電極11から電気的に分離
され、よってサイリスタの動作が止まる。図16の絶縁
ゲート型サイリスタでは、第二のpベース領域6に多結
晶シリコン層13の抵抗体を介してカソード電極11を
接触させることにより、IGBTモードからサイリスタ
モードにスイッチする際にESTでは必要であった第二
pベース領域6を横方向に流れる電流を全く使わないで
済む。従って、nエミッタ領域8と第二のpベース領域
6との間のpn接合の回復が均一にでき、ターンオフ時
の電流集中が回避されて、破壊耐量が格段に大きい。
【0007】図16の絶縁ゲート型サイリスタでは、n
ソース領域7では砒素を、nエミッタ領域8では砒素と
燐をイオン注入して、nエミッタ領域8の拡散深さがn
ソース領域7のそれより深くなるようにしている。これ
により、サイリスタ部のnエミッタ領域8、第二pベー
ス領域6、nベース層3からなるnpnトランジスタの
電流増幅率を大きくして、オン電圧を低減している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電力変換のた
めの半導体スイッチング素子として絶縁ゲート型サイリ
スタをみるとき、ターンオフ時間が短いことが必要であ
る。ターンオフ時間が長いと、スイッチングが速くでき
ないだけでなく、スイッチング損失が大きくなりスイッ
チング素子として適さないことになる。ターンオフ時間
を短くするために、電子線照射によるライフタイム制御
を行っているが、同時にオン電圧の増大を伴い、定常損
失の増大につながる。なお、ターンオフ時間の最も大き
な部分を占めるのは、ターンオフ時の最大電流の90%
から10%までの降下に要する時間を指すフォールタイ
ムである。
【0009】以上の問題に鑑み、本発明の目的は、オン
電圧を高くすることなく、ターンオフ時間、なかでもフ
ォールタイムを短縮した絶縁ゲート型サイリスタを提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題解決のため本
発明は、高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第一導
電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離れて形成さ
れた第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二
導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導
電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面
層に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第
一導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた
第一の第二導電型ベース領域の露出部、第一導電型ベー
ス層の露出部、第二の第二導電型ベース領域の露出部の
表面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極
と、第一の第二導電型ベース領域の露出部と第一導電型
ソース領域とに共通に接触する第一主電極と、その第一
主電極と第二の第二導電型ベース領域の露出部との間に
介在して双方に接触する抵抗体と、第一導電型ベース層
の他面側に形成された第二導電型アノード層と、その第
二導電型アノード層に接触する第二主電極とを有する絶
縁ゲート型サイリスタにおいて、第二導電型アノード層
の厚さが2μm以下であり、1×1012ないし1×10
16cm-2の不純物を有するものとする。
【0011】特にこの場合、第二の第二導電型ベース領
域、第一導電型エミッタ領域、第一主電極の第一の第二
導電型ベース領域および第一導電型ソース領域との接触
面の形状や、第一主電極と第二の第二導電型ベース領域
の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体の第二
導電型ベース領域との接触面の形状がほぼ、多角形、円
形または楕円形のいずれかであることがよい。
【0012】また、第一主電極の第一の第二導電型ベー
ス領域および第一導電型ソース領域との接触面を囲んで
第二の第二導電型ベース領域およびその表面層の第一導
電型エミッタ領域が形成され、前記接触面上の第一主電
極を囲んで層間絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、
そのゲート電極の周囲の少なくとも一部に層間絶縁膜を
介し抵抗体が設けられていることがよい。
【0013】更に、第一主電極と第二の第二導電型ベー
ス領域の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体
の第二導電型ベース領域との接触面を囲んで第一の第二
導電型ベース領域およびその表面層の第一導電型ソース
領域が形成され、前記接触面上の抵抗体を囲んで層間絶
縁膜を介してゲート電極が設けられていることがよい。
【0014】そして、抵抗体が多結晶シリコンからなる
ことがよい。また、高比抵抗の第一導電型ベース層と、
その第一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離
れて形成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、
第一の第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成さ
れた第一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース
領域の表面層に選択的に形成された第一導電型エミッタ
領域と、第一導電型のソース領域およびエミッタ領域間
に挟まれた第一の第二導電型ベース領域の露出部、第一
導電型ベース層の露出部、第二の第二導電型ベース領域
の露出部の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲ
ート電極と、第一の第二導電型ベース領域の露出部と第
一導電型ソース領域とに共通に接触する第一主電極と、
第二の第二導電型ベース領域および第一導電型エミッタ
領域の表面層を覆う絶縁膜と、第一導電型ベース層の他
面側に形成された第二導電型アノード層と、その第二導
電型アノード層に接触する第二主電極とを有する絶縁ゲ
ート型サイリスタにおいて、第二導電型アノード層の厚
さが2μm以下であり、1×1012ないし1×1016
-2の不純物を有するものとする。
【0015】この場合も、第二の第二導電型ベース領
域、第一導電型エミッタ領域や、第一主電極の第一の第
二導電型ベース領域および第一導電型ソース領域との接
触面の形状が、多角形、円形または楕円形のいずれかで
あることがよい。また、第二の第二導電型ベース領域を
囲むように第一の第二導電型ベース領域およびその表面
層の第一導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電
型ベース領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲ
ート電極が設けられ、そのゲート電極を挟んだ反対側に
絶縁膜を介して第一主電極が設けられていることがよ
い。
【0016】更に、第二の第二導電型ベース領域を囲む
ように一部を欠いた環状のゲート電極を有するユニット
が複数個形成され、そのゲート電極の切り欠け部を通じ
て隣接ユニットと連続する第一の第二導電型ベース領
域、第一導電型ソース領域およびカソード電極が形成さ
れていることがよい。以上の場合、第二導電型アノード
層を形成する不純物がホウ素であることがよい。
【0017】そして、上記のような絶縁ゲート型サイリ
スタの製造方法として、第二導電型アノード層を1×1
12ないし1×1016cm-2のドース量の不純物イオン
注入およびその後の熱処理により形成するものとする。
【0018】
【作用】ターンオフ時間の最も大きな部分を占めるの
は、ターンオフ時の最大電流の90%から10%までの
降下に要する時間のフォールタイムである。まずそのフ
ォールタイムについて、図16の構造で説明する。フォ
ールタイムは、pアノード層1、nベース層3、第一p
ベース領域4または第二pベース領域6からなるpnp
トランジスタの電流増幅率に依存しており、一般にこの
電流増幅率が大きい程フォールタイムが長くなる傾向が
ある。何故ならば、電流増幅率が大きいということは、
pアノード層1から注入される正孔が多く、第一、第二
pベース領域4、6に到達する正孔が多いことを意味
し、電流がそれだけ長く続いてなかなか降下しないから
である。そして、その電流増幅率は、上キャリア濃度p
npトランジスタのpアノード層1の不純物濃度が高い
程、またnベース層3内でのキャリアライフタイムが長
い程大きくなる。
【0019】従って、上記の手段を講じて、第二導電型
アノード層の厚さが2μm以下であり、1×1012ない
し1×1016cm-2の不純物を有するものとすれば、第
二導電型アノード層から注入されるキャリア量が最適化
されることにより、フォールタイムが短縮できる。特に
この場合、第二の第二導電型ベース領域、第一導電型エ
ミッタ領域、第一主電極の第一の第二導電型ベース領域
および第一導電型ソース領域との接触面の形状や、第一
主電極と第二の第二導電型ベース領域の露出部との間に
介在して双方に接触する抵抗体の第二導電型ベース領域
との接触面の形状がほぼ、多角形、円形または楕円形の
いずれかとすれば、半導体基板の面積の利用効率が高め
られ、また電流、電圧の分布が均一化され、熱的なバラ
ンスもよくなる。
【0020】また、第一主電極の第一の第二導電型ベー
ス領域および第一導電型ソース領域との接触面を囲んで
第二の第二導電型ベース領域およびその表面層の第一導
電型エミッタ領域が形成され、前記接触面上の第一主電
極を囲んで層間絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、
そのゲート電極の周囲の少なくとも一部に層間絶縁膜を
介し抵抗体が設けられていれば、外側にある第一導電型
エミッタ領域の面積を大きくでき、サイリスタ部の面積
の素子全体に対する比率が大になり、オン電圧が小さく
なる。
【0021】更に、第一主電極と第二の第二導電型ベー
ス領域の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体
の第二導電型ベース領域との接触面を囲んで第一の第二
導電型ベース領域およびその表面層の第一導電型ソース
領域が形成され、前記接触面上の抵抗体を囲んで層間絶
縁膜を介してゲート電極が設けられていれば、第二の第
二導電型ベース領域内の正孔電流が分散され、電流集中
することがなく、可制御電流が大きくなる。
【0022】そして、抵抗体が多結晶シリコンからなる
ものとすれば、形成が容易で、りんガラスやカソード電
極、半導体基板表面とのなじみが良く、しかも比抵抗の
調節もできる。その第一主電極と第二の第二導電型ベー
ス領域の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体
のない構造の絶縁ゲート型サイリスタにおいても、第二
導電型アノード層の厚さが2μm以下であり、1×10
12ないし1×1016cm-2の不純物を有するものとすれ
ば、第二導電型アノード層から注入されるキャリア量が
最適化されることにより、フォールタイムが短縮でき
る。
【0023】この場合も、第二の第二導電型ベース領
域、第一導電型エミッタ領域や、第一主電極の第一の第
二導電型ベース領域および第一導電型ソース領域との接
触面の形状が、多角形、円形または楕円形のいずれかと
すれば、半導体基板の面積の利用効率が高められ、また
電流、電圧の分布が均一化され、熱的なバランスもよく
なる。
【0024】また、第二の第二導電型ベース領域を囲む
ように第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の
第一導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電型ベ
ース領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲート
電極が設けられ、そのゲート電極を挟んだ反対側に絶縁
膜を介して第一主電極が設けられているか、または、第
二の第二導電型ベース領域を囲むように一部を欠いた環
状のゲート電極を有するユニットが複数個形成され、そ
のゲート電極の切り欠け部を通じて隣接ユニットと連続
する第一の第二導電型ベース領域、第一導電型ソース領
域および第一主電極が形成されていれば、第二の第二導
電型ベース領域内の正孔電流が分散され、電流集中する
ことがなく、可制御電流が大きくなる。
【0025】以上の場合、第二導電型アノード層を形成
する不純物がホウ素であれば、イオン注入法において
も、ガス拡散法においても導入が容易で、確実に拡散層
が形成できる不純物である。そして、上記のような絶縁
ゲート型サイリスタの製造方法として、第二導電型アノ
ード層を1×1012ないし1×1016cm-2のドース量
の不純物イオン注入およびその後の熱処理により形成す
れば、イオン注入時に生じる結晶欠陥をライフタイムキ
ラーとして活用できる。
【0026】
【実施例】以下、図16と共通の部分に同一の符号を付
した図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。以
下の実施例では、第一導電型をn型、第二導電型をp型
とするが、これを逆にすることもできる。図1は本発明
の一実施例の絶縁ゲート型サイリスタの要部断面図であ
る。図に示したのは、電流のスイッチングを行う活性領
域の単位の部分であって、実際の半導体素子では、図の
ような構造が多数集積されていることが多い。また、半
導体素子では、図に示した活性領域の他に、周縁部分に
耐圧を分担する部分が設けられるが、耐圧部分は、本発
明の本質に関わる部分ではないので省略する。この素子
は、1200Vクラスの絶縁ゲート型サイリスタとして
作成されたもので、比抵抗60〜80Ω・cm、厚さ約
240μmのn型バルクウェハを用いている。高比抵抗
のnベース層3の一方の面側の表面層の一部に拡散深さ
が3.0μmの第一pベース領域4、第二pベース領域
6が、表面上の多結晶シリコンからなるゲート電極10
を一方のマスク端とするホウ素のイオン注入および熱処
理によって形成され、さらに、寄生サイリスタのラッチ
アップを防ぐ目的で、第一pベース領域4の一部に第一
pベース領域4より拡散深さの深いp+ ウェル領域5が
形成されている。nベース層3の他方の面側には、全面
にホウ素のイオン注入および熱処理によってpアノード
層1が形成されている。その裏面には全面にアノード電
極12が設けられている。第一pベース領域4の表面層
には、選択的な砒素のイオン注入および熱処理によりn
ソース領域7が、第二pベース領域6の表面層の一部に
は砒素および燐のイオン注入および熱処理によりnエミ
ッタ領域8がそれぞれ形成されている。nソース領域7
の拡散深さは0.4μmであり、nエミッタ領域8の拡
散深さは、二段になっていて第一pベース領域4に近い
部分は0.4μm、他の部分は2.0μmである。そし
て、表面上には図16と同様に、nソース領域7とnエ
ミッタ領域8とに挟まれた範囲の第一pベース領域4、
nベース層3および第二pベース領域6の表面上にゲー
ト酸化膜9を介してゲート電極10が設けられて、nチ
ャネル横型MOSFETが構成されている。この側の表
面は、減圧CVD法による燐ガラス(PSG)等の絶縁
膜14で覆われ、その絶縁膜14のnソース領域7上に
カソード電極接触部15が、第二pベース領域6の表面
上に多結晶シリコン接触部17が開けられる。多結晶シ
リコン層13が、その接触孔で第二pベース領域6に接
するように堆積、熱処理され、更に一部コンタクト孔を
設けた第二層間絶縁膜18で覆われ、その上にカソード
電極11が被覆している。そしてカソード電極11は、
nソース領域7および第一pベース領域4の表面にも共
通に接触している。多結晶シリコン層13での電位降下
を効率よく行うため、図1ではPSG14の多結晶シリ
コン接触部17と第二層間絶縁膜18のコンタクト孔と
を離して、抵抗体としての多結晶シリコン層13の距離
を大きくとっているが、場合によってはもっと近づける
こともできる。本実施例ではゲート酸化膜9として、厚
さ0.5μmのシリコン酸化膜を用いた。
【0027】図2は、図1のようなセルの複数個を含む
MOSFETのゲート電極10の中央を通る断面図で、
いずれも図1と共通の部分には、同一の符号が付されて
いる。カソード電極11、ゲート電極10、多結晶シリ
コン層13およびそれらを隔てる絶縁膜14が、いずれ
もストライプ状に配置されている。このように形成され
た絶縁ゲート型サイリスタの動作を図1を用いて説明す
る。カソード電極11を接地し、アノード電極12に正
の電圧を印加した状態でゲート電極10に、しきい値以
上の正の電圧を加えると、ゲート酸化膜9の下の第一p
ベース領域4の表面層に反転層が形成され、横型MOS
FETがオンする。これにより、まず電子がカソード電
極11─nソース領域7─MOSFETのチャネルを通
ってnベース層3に供給される。この電子は、pエミッ
タ層1、nベース層3および第一pベース領域4からな
るpnpトランジスタのベース電流として働き、pnp
トランジスタが動作する。その結果、正孔がpエミッタ
層1から注入されnベース層3を通ってその一部が、第
二pベース領域6へと流れ、多結晶シリコン層13を通
ってカソード電極11へ抜けていく。その際、多結晶シ
リコン層13を正孔電流が通ることによって第二pベー
ス領域6の電位が上昇し、ついにはnエミッタ領域8か
ら電子の注入が生じ、サイリスタが動作する。
【0028】ターンオフ時には、ゲート電極10の電位
を横型MOSFETのしきい値電圧以下に下げ、このM
OSFETをオフすることで、nエミッタ領域8をカソ
ード電極11から電位的に切り離し、サイリスタ動作が
止まる。図4は、図1に示した本発明の絶縁ゲート型サ
イリスタにおけるpアノード層1の拡散深さとフォール
タイムの関係を示した図である。横軸はpアノード層1
の拡散深さ、縦軸はフォールタイムである。パラメータ
としては、pアノード層1形成のためのイオン注入時の
ドーズ量をとった。上記のデバイスは、図2に示したス
トライプタイプの1200V用素子として設計・試作さ
れたものである。nベース層3の厚さは230μmであ
る。pアノード層1はホウ素のイオン注入および熱処理
により形成した。イオン注入時の加速電圧は45ke
V、熱処理温度は800℃である。pアノード層の深さ
が深い程、フォールタイムが長くなることがわかる。こ
れは、pアノード層1、nベース層3および第二pベー
ス領域6からなるpnpトランジスタの電流増幅率が大
きくなるためである。また、pアノード層1のドーズ量
を1×1017cm-2とした場合に、急激にフォールタイ
ムが長くなっている。
【0029】図5は、pアノード層1のドーズ量とフォ
ールタイムの関係を示した図である。横軸はpアノード
層1のドーズ量、縦軸はフォールタイムである。パラメ
ータとしては、pアノード層1の拡散深さをとった。p
アノード層のドーズ量が多い程、フオールタイムが長く
なり、とくに1×1016cm-2を越えると急にフォール
タイムが長くなることがわかる。これは、pアノード層
1、nベース層3および第二pベース領域6からなるp
npトランジスタの電流増幅率が大きくなるためであ
る。図3および4からpアノード層の拡散深さは2μm
以下で、ドーズ量としては1×1016cm-2以下がよい
ことがわかる。
【0030】図6は、フォールタイムとオン電圧との関
係を示したもので、pアノード層1のドーズ量と拡散深
さを一定とした場合、電子線照射等によりnベース層3
の少数キャリアのライフタイムを変化させたときの上記
のトレードオフ特性を示している。ここで、横軸は50
Acm-2でのオン電圧、縦軸はフォールタイムである。
パラメータとしては、pアノード層1のドーズ量をとっ
た。拡散深さは0.5μm一定である。オン電圧が低く
かつ、フォールタイムが短いという優れたトレードオフ
特性を示したのは、電流増幅率の小さい1×1012cm
-2、1×1016cm-2、1×1017cm-2の順であっ
た。電流増幅率の更に小さいはずの1×1011cm-2
場合のトレードオフ特性が、1×1012cm-2より劣っ
ているのは、pアノード層1からの正孔の注入が少なす
ぎて、サイリスタがオンしにくくなるためである。すな
わち最適なドーズ量としては、下限があり、1×1011
cm -2のドース量は適さないことがわかる。
【0031】図3は、本発明第二の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタのゲート電極10の中央を通る断面図で、
いずれも図1と共通の部分には、同一の符号が付されて
いる。この絶縁ゲート型サイリスタは、ゲート電極10
に設けられた共に方形の穴を通じて第一pベース領域4
およびその表面層の一部のnソース領域7、第二pベー
ス領域6およびその表面層のnエミッタ領域8が形成さ
れ、ゲート電極10上およびその側部に堆積された絶縁
膜14に接触孔を通じて、第一pベース領域4およびn
ソース領域7の表面に接触するカソード電極11、第二
pベース領域6およびnエミッタ領域8の表面に接触す
る多結晶シリコン層13が示されている。
【0032】図7は、本発明第三の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る平面での
断面図である。この絶縁ゲート型サイリスタは、ゲート
電極10に設けられた共に円形の穴を通じて第一pベー
ス領域4およびその表面層の一部のnソース領域7、第
二pベース領域6およびその表面層のnエミッタ領域8
が形成されている。図3の第二の実施例とパターンが異
なるだけで、ゲート電極10、カソード電極11、多結
晶シリコン層13および絶縁膜14の構成は同じであ
る。
【0033】図8は、本発明第四の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る平面での
断面図である。この絶縁ゲート型サイリスタは、ゲート
電極10に設けられた共に楕円形の穴を通じて第一pベ
ース領域4他の拡散領域が形成されていて、図3の第二
の実施例とパターンが異なるだけで、ゲート電極10、
カソード電極11、多結晶シリコン層13および絶縁膜
14の構成は同じである。
【0034】図3、7、8の絶縁ゲート型サイリスタを
試作し、フォールタイムとオン電圧との関係を測定した
ところ、図6の第一の実施例の絶縁ゲート型サイリスタ
とほぼ同じ結果が得られた。これらのような構成にする
ことによつて、半導体基板の面積の利用効率が高めら
れ、また電流、電圧の分布が均一化され、熱的なバラン
スもよくなる。更にまた、第一pベース領域4、第二p
ベース領域6やそれらとカソード電極11との接触部1
5、多結晶シリコン層13との接触部17の形状を方
形、円形或いは、楕円形の他に、三角形、五角形以上の
多角形にすることもできる。
【0035】図9に、比抵抗10〜20Ω・cm、厚さ
200μmのn型ウェハを使用した600V定格の絶縁
ゲート型サイリスタのオン電圧と、フォールタイムのト
レードオフ特性を示す。図2に示したようなストライプ
パターンの絶縁ゲート型サイリスタである。横軸は10
0Acm-2でのオン電圧、縦軸はフォールタイムであ
る。パラメータとしては、pアノード層1のドーズ量を
とった。拡散深さは0.5μm一定である。結果は図6
の1200V定格の絶縁ゲート型サイリスタと同様で、
オン電圧が低くかつ、フォールタイムが短いという優れ
たトレードオフ特性を示したのは、電流増幅率の小さい
1×1012cm-2、1×1016cm-2、1×1017cm
-2の順であった。電流増幅率の更に小さいはずの1×1
11cm-2の場合のトレードオフ曲線が、1×1012
-2より劣っているのは、pアノード層からの正孔の注
入が少なすぎて、サイリスタがオンしにくいためであ
る。すなわち最適なドーズ量としては、下限があり、1
×1011cm-2のドース量は適さないことがわかる。
【0036】図10に、比抵抗100〜140Ω・c
m、厚さ600μmのn型ウェハを使用した2500V
定格の絶縁ゲート型サイリスタのオン電圧と、フォール
タイムのトレードオフ特性を示す。横軸は25Acm-2
でのオン電圧、縦軸はフォールタイムである。図2に示
したようなストライプパターンの絶縁ゲート型サイリス
タである。pアノード層1の拡散深さは0.5μm一定
である。結果は図6の1200V定格の絶縁ゲート型サ
イリスタと同様で、優れたトレードオフ特性を示したの
は、pアノード層1のドーズ量が1×1012cm-2、1
×1016cm-2の絶縁ゲート型サイリスタであった。
【0037】以上述べたように、pアノード層1が1×
1016cm-2以下においては、2μm以上でフォールタ
イムが変化しないことから、pアノード層の拡散深さに
関しては、2μm以下であればよい。また、pアノード
層1のドーズ量に関しては、1×1017でフォールタイ
ムが急激にフォールタイムが長くなるので、ドーズ量の
上限値としては1×1016cm-2が適当である。さら
に、ドーズ量を小さくしすぎると、裏面からの正孔の注
入が少なくなるため、サイリスタがオンしにくくなり、
オン電圧とフォールタイムのトレードオフ曲線としては
悪くなるので、pアノード層のドーズ量の下限値として
は1×1012が適当である。
【0038】これまでの例は、いずれも第二pベース領
域6に接触する多結晶シリコン層13を設けた素子であ
ったが、第二pベース領域6に接触する多結晶シリコン
層13の無い、すなわち第二pベース領域6およびその
表面層に形成されるnエミッタ領域8の表面が絶縁膜1
4で覆われている素子にも本発明は適用できる。図11
は本発明第五の実施例の絶縁ゲート型サイリスタの要部
断面図である。図1と比較してこの図を見ると、nベー
ス層3の表面層の一部に形成された第二pベース領域6
に選択的にnエミッタ領域8が形成されているが、ゲー
ト電極10から遠い側の第二pベース領域6の表面露出
部が無く、そこに接触する多結晶シリコン層13も無い
点が異なっている。図12は、図11のようなセルの複
数個を含むゲート電極10の中央を通る断面図で、いず
れも図11と共通の部分には、同一の符号が付されてい
る。カソード電極11、ゲート電極10およびそれらを
隔てる絶縁膜14が、いずれもストライプ状に配置され
ている。この絶縁ゲート型サイリスタのオン電圧と、フ
ォールタイムのトレードオフ特性を測定したところ、優
れたトレードオフ特性を示したのは、pアノード層1の
ドーズ量が1×1012〜1×1016cm-2の絶縁ゲート
型サイリスタであった。
【0039】図13は、本発明第六の実施例の絶縁ゲー
ト型サイリスタのゲート電極10の中央を通る断面図で
ある。この絶縁ゲート型サイリスタは、ゲート電極10
に設けられた共に方形の穴を通じて第一pベース領域4
およびその表面層の一部のnソース領域7、第二pベー
ス領域6およびその表面層のnエミッタ領域8が形成さ
れ、ゲート電極10上およびその側部に堆積された絶縁
膜14に接触孔を通じて、第一pベース領域4およびn
ソース領域7の表面に接触するカソード電極11、第二
pベース領域6およびnエミッタ領域8の表面覆う絶縁
膜14が示されている。
【0040】図13の絶縁ゲート型サイリスタを試作
し、フォールタイムとオン電圧との関係を測定したとこ
ろ、図6の第一の実施例の絶縁ゲート型サイリスタとほ
ぼ同じ結果が得られた。これらのような構成にすること
によつて、半導体基板の面積の利用効率が高められ、ま
た電流、電圧の分布が均一化され、熱的なバランスもよ
くなる。更にまた、第一pベース領域4、第二pベース
領域6や第一pベース領域4とカソード電極11との接
触部15の形状を円形、楕円形、三角形、或いは五角形
以上の多角形にすることもできる。
【0041】図14は本発明第七の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る平面での
断面図である。この絶縁ゲート型サイリスタは、第二p
ベース領域6およびその表面層に形成されたnエミッタ
領域8のパターンは六角形であり、その表面上の絶縁膜
14が六角形に示されている。第二pベース領域6およ
びnエミッタ領域8のパターンはゲート電極10の下に
あるのでずにはしめされていない。その絶縁膜14を囲
むように六角環状のゲート電極10があり、更にゲート
電極10の側面を覆う絶縁膜14を介してカソード電極
11が屈曲線状に見られる。六角環状のゲート電極10
は、ゲートランナ16で接続されている。カソード電極
11はゲート電極10の上に絶縁膜14を介して延長さ
れているが、図の断面では屈曲線状になっているのであ
る。このように第二pベース領域6を取り囲むようにカ
ソード電極11が設けられていれば、ターンオフ時の電
流集中がなく、可制御電流が大きく取れる。勿論、第二
pベース領域6およびその表面層に形成されたnエミッ
タ領域8のパターンは六角形以外の形でもよい。
【0042】更に図15(b)は本発明第六の実施例の
絶縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通
る平面での断面図である。図15(a)はその絶縁ゲー
ト型サイリスタのカソード電極11、絶縁膜14および
ゲート電極10を除去した表面での拡散領域を示した図
である。この絶縁ゲート型サイリスタは、第二pベース
領域6およびその表面層に形成されたnエミッタ領域8
のパターンは六角形でありその表面上の絶縁膜14が六
角形に示されている。第二pベース領域6およびその表
面層に形成されたnエミッタ領域8の端はゲート電極1
0の下にあるので図15(b)には示されていない。そ
の絶縁膜14を囲む部分を点線のように区切った六個の
ユニットセルからなると考える。各ユニットセルはほぼ
六角環状のゲート電極10とそのゲート電極10をマス
クの一部とした不純物の導入により形成された第一pベ
ース領域4とnソース領域からなる。nソース領域8の
もう片側のパターンは細線で示されている。ほぼ六角環
状としたのは、六辺のうち二辺を欠いているからであ
る。すなわち、その欠けた二辺を通じて、隣接するセル
の第一pベース領域4およびnソース領域7がつながっ
ている。ほぼ六角環状のゲート電極10の側面を覆う絶
縁膜14を介してカソード電極11が屈曲線状に見られ
る。カソード電極11はゲート電極10上に絶縁膜14
を介して延長されているが図の断面では屈曲線状になっ
ているのである。この構造は、基本パターンが六角形で
あり、最も密に充填できるので、シリコン基板の利用効
率が高い。また、第一pベース領域4およびnソース領
域7の面積が広くなるので、オン電圧が低くなる。
【0043】これらの素子においても、上記第一の実施
例の絶縁ゲート型サイリスタと同様に、pアノード層1
の不純物量が1×1012〜1×1016cm-2の範囲で、
優れたオン電圧と、フォールタイムのトレードオフ特性
を示した。以上に述べたように、本発明は広い範囲の素
子の定格や、構造にわたって有効であり、優れたオン電
圧と、フォールタイムのトレードオフ特性を示すもので
ある。
【0044】
【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、絶
縁ゲート型サイリスタの第一導電型アノード層の拡散深
さを2μm以下にし、不純物量を1×1012〜1×10
16cm -2にすることによって、電流増幅率を適度に小さ
くし、フォールタイムを短くすることができる。そし
て、オン電圧とフォールタイムのトレードオフ関係の優
れた絶縁ゲート型サイリスタが得られる。
【0045】その結果、600Vクラスから2500V
以上におよぶ広い耐圧領域において、スイッチング損失
の小さな絶縁ゲート型サイリスタが実現でき、電力変換
装置の効率の向上等に大きな寄与をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の絶縁ゲート型サイリス
タの要部断面図
【図2】図1の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極中
央での平面断面図
【図3】本発明の第二の実施例の絶縁ゲート型サイリス
タのゲート電極中央での平面断面図
【図4】本発明第一の実施例の絶縁ゲート型サイリスタ
のpアノード層の拡散深さとフォールタイムの関係を示
す図
【図5】本発明第一の実施例の絶縁ゲート型サイリスタ
のpアノード層のドーズ量とフォールタイムの関係を示
す図
【図6】本発明第一の実施例の絶縁ゲート型サイリスタ
のオン電圧とフォールタイムのトレードオフ関係を示す
【図7】本発明の第三の実施例の絶縁ゲート型サイリス
タのゲート電極中央での平面断面図
【図8】本発明の第四の実施例の絶縁ゲート型サイリス
タのゲート電極中央での平面断面図
【図9】本発明による600Vクラスの絶縁ゲート型サ
イリスタにおけるオン電圧とフォールタイムのトレード
オフ関係を示す図
【図10】本発明による2500Vクラスの絶縁ゲート
型サイリスタにおけるオン電圧とフォールタイムのトレ
ードオフ関係を示す図
【図11】本発明の第五の実施例の絶縁ゲート型サイリ
スタの要部断面図
【図12】図11の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電
極中央での平面断面図
【図13】本発明の第六の実施例の絶縁ゲート型サイリ
スタのゲート電極中央での平面断面図
【図14】本発明の第七の実施例の絶縁ゲート型サイリ
スタのゲート電極中央での平面断面図
【図15】(a)は本発明の第八の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタの電極および絶縁膜を除去した表面の平面
図、(b)はその絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極
中央での平面断面図
【図16】従来の絶縁ゲート型サイリスタの要部断面図
【符号の説明】
1 pエミッタ層 2 n+ バッファ層 3 nベース層 4 第一pベース領域 5 p+ ウェル領域 6 第二pベース領域 7 nソース領域 8 nエミッタ領域 9 ゲート酸化膜 10 ゲート電極 11 カソード電極 12 アノード電極 13 多結晶シリコン層 14 PSG 15 カソード電極接触部 16 ゲートランナ 17 多結晶シリコン接触部 18 第二層間絶縁膜

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離れて形
    成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の
    第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第
    一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の
    表面層に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域
    と、第一導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟
    まれた第一の第二導電型ベース領域の露出部、第一導電
    型ベース層の露出部、第二の第二導電型ベース領域の露
    出部の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート
    電極と、第一の第二導電型ベース領域の露出部と第一導
    電型ソース領域とに共通に接触する第一主電極と、その
    第一主電極と第二の第二導電型ベース領域の露出部との
    間に介在して双方に接触する抵抗体と、第一導電型ベー
    ス層の他面側に形成された第二導電型アノード層と、そ
    の第二導電型アノード層に接触する第二主電極とを有す
    るものにおいて、第二導電型アノード層の厚さが2μm
    以下であり、1×1012ないし1×1016cm-2の不純
    物を有することを特徴とする絶縁ゲート型サイリスタ。
  2. 【請求項2】第二の第二導電型ベース領域がほぼ、多角
    形、円形または楕円形のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  3. 【請求項3】第一導電型エミッタ領域がほぼ、多角形環
    状、円形環状または楕円形環状のいずれかであることを
    特徴とする請求項1または2に記載の絶縁ゲート型サイ
    リスタ。
  4. 【請求項4】第一主電極の第一の第二導電型ベース領域
    および第一導電型ソース領域との接触面の形状がほぼ、
    多角形、円形または楕円形のいずれかであることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の絶縁ゲート
    型サイリスタ。
  5. 【請求項5】第一主電極と第二の第二導電型ベース領域
    の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体の第二
    導電型ベース領域との接触面の形状がほぼ、多角形、円
    形または楕円形のいずれかであることを特徴とする請求
    項4に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  6. 【請求項6】第一主電極の第一の第二導電型ベース領域
    および第一導電型ソース領域との接触面を囲んで第二の
    第二導電型ベース領域およびその表面層の第一導電型エ
    ミッタ領域が形成され、前記接触面上の第一主電極を囲
    んで層間絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、そのゲ
    ート電極の周囲の少なくとも一部に層間絶縁膜を介し抵
    抗体が設けられたことを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれかに記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  7. 【請求項7】第一主電極と第二の第二導電型ベース領域
    の露出部との間に介在して双方に接触する抵抗体の第二
    導電型ベース領域との接触面を囲んで第一の第二導電型
    ベース領域およびその表面層の第一導電型ソース領域が
    形成され、前記接触面上の抵抗体を囲んで層間絶縁膜を
    介してゲート電極が設けられたことを特徴とする請求項
    1ないし6のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリス
    タ。
  8. 【請求項8】抵抗体が多結晶シリコンからなることを特
    徴とする請求項1ないし7のいずれかにに記載の絶縁ゲ
    ート型サイリスタ。
  9. 【請求項9】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離れて形
    成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の
    第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第
    一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の
    表面層に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域
    と、第一導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟
    まれた第一の第二導電型ベース領域の露出部、第一導電
    型ベース層の露出部、第二の第二導電型ベース領域の露
    出部の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート
    電極と、第一の第二導電型ベース領域の露出部と第一導
    電型ソース領域とに共通に接触する第一主電極と、第二
    の第二導電型ベース領域および第一導電型エミッタ領域
    の表面層を覆う絶縁膜と、第一導電型ベース層の他面側
    に形成された第二導電型アノード層と、その第二導電型
    アノード層に接触する第二主電極とを有するものにおい
    て、第二導電型アノード層の厚さが2μm以下であり、
    1×1012ないし1×1016cm-2の不純物を有するこ
    とを特徴とする絶縁ゲート型サイリスタ。
  10. 【請求項10】第二の第二導電型ベース領域が、多角
    形、円形または楕円形のいずれかであることを特徴とす
    る請求項9に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  11. 【請求項11】第一導電型エミッタ領域が、多角形、円
    形または楕円形のいずれかであることを特徴とする請求
    項9または10に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  12. 【請求項12】第一主電極の第一の第二導電型ベース領
    域および第一導電型ソース領域との接触面の形状が、多
    角形、円形または楕円形のいずれかであることを特徴と
    する請求項9ないし11のいずれかに記載の絶縁ゲート
    型サイリスタ。
  13. 【請求項13】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の第一
    導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電型ベース
    領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲート電極
    が設けられ、そのゲート電極を挟んだ反対側に絶縁膜を
    介して第一主電極が設けられていることを特徴とする請
    求項9ないし11のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイ
    リスタ。
  14. 【請求項14】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に一部を欠いた環状のゲート電極を有するユニットが複
    数個形成され、そのゲート電極の切り欠け部を通じて隣
    接ユニットと連続する第一の第二導電型ベース領域、第
    一導電型ソース領域およびカソード電極が形成されてい
    ることを特徴とする請求項9ないし11または13のい
    ずれかに記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  15. 【請求項15】第二導電型アノード層を形成する不純物
    がホウ素であることを特徴とする請求項1なし14のい
    ずれかに記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  16. 【請求項16】第二導電型アノード層を1×1012ない
    し1×1016cm-2のドース量の不純物イオン注入およ
    びその後の熱処理により形成することを特徴とする請求
    項1なし15のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリス
    タの製造方法。
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