JPH10277134A - 酸素易変質性薬剤入り容器の包装体及びその滅菌処理方法 - Google Patents

酸素易変質性薬剤入り容器の包装体及びその滅菌処理方法

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JPH10277134A
JPH10277134A JP9110234A JP11023497A JPH10277134A JP H10277134 A JPH10277134 A JP H10277134A JP 9110234 A JP9110234 A JP 9110234A JP 11023497 A JP11023497 A JP 11023497A JP H10277134 A JPH10277134 A JP H10277134A
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wall
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JP9110234A
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English (en)
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Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧蒸気滅菌処理中でも酸素によって容易に
変質する薬剤を変質させず、また滅菌処理後の長期保存
においても問題がなく、更に内部の容器内の薬剤の確認
もできる酸素易変質性薬剤入り容器の包装体及びその包
装体の滅菌方法を提供。 【構成】 酸素により容易に変質する易酸素変質性薬剤
が収容されたプラスチック容器の全体、又は該容器の一
部の該易酸素変質性薬剤収容室を密封包装する包装体に
おいて、上記包装体の壁は全体に酸素ガス非透過性の金
属層を有し、また少なくとも一部の壁は該金属層の剥離
が可能であり、且つ該被剥離壁は透明性があることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素により容易に
変質する酸素易変質性薬剤が収容されたプラスチック容
器の全体、又は該容器の一部の該易酸素変質性薬剤収容
室を密封包装する包装体及びその包装体の滅菌処理方法
に関するものであり、特に、酸素易変質性薬剤等が滅菌
して充填された酸素易変質性容器の包装体及びその滅菌
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医薬品の中には酸素が存在することによ
って、容易に変色、変質する薬剤がある。例えば、トリ
プトファン、メチオニンなどのアミノ酸、ビタミン類、
フィゾスチグミン、エルゴタミン、アドレナリン等の生
理活性物質、ヒドララジン、クロルプロマジン等の化学
薬剤、クロラムフェニコール、マクロライト系抗生物質
等の抗生物質等は、酸素の存在により容易に変質する酸
素易変質性薬剤として挙げることができる。これらの薬
剤は酸素が存在し、高圧蒸気滅菌等の加熱をした場合に
特に変質を起こりやすい。従来、これらの医薬品は、不
活性ガス置換したガラス製アンプル内に収容され、滅菌
されて市場に提供されている。ガラス容器壁であれば、
酸素などが全く透過しないため、かかる医薬品の滅菌中
及びその後の保存においては酸素による変質を殆ど考慮
することなく使用できる。一方、医薬品の容器として、
最近、ガラス製のアンプル、バイアルからプラスチック
容器が頻用されて来ている。プラスチック容器はガラス
容器のように容易に破損せず、軽いという利点があるか
らである。また、容器の廃棄処理にも手間がかからない
からである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、酸素易変質性薬
剤入りのプラスチック容器をそのまま高圧蒸気滅菌処理
すると、滅菌中に容器内或いはオートクレーブ内の酸素
により該薬剤が容易に変質を起こしてしまう。また、薬
剤が変質しない状態で得られ、酸素の存在しない状態で
該容器を包装したとしても徐々に該薬剤が変質してしま
う場合がある。このため、酸素易変質性薬剤入り容器と
脱酸素剤をガスバリアー性の包装体に入れて、高圧蒸気
滅菌したものがある。しかしながら、樹脂包材からなる
ガスバリアー性の包装体は高圧蒸気滅菌時には全く機能
せず、滅菌中に包装体壁は簡単に酸素などのガスを透過
させてしまう。このため、酸素易変質性薬剤は滅菌中に
容易に変質してしまう。また、全く、或いは殆ど透過し
ないガス非透過性金属層、例えばアルミニウム層を有す
る包装体で容器を包装して高圧蒸気滅菌したものは確実
に薬剤の変質を防止するが、かかる包装体は透明性がな
いため、内部を確認できない不都合がある。従って、本
発明は、高圧蒸気滅菌処理中でも酸素によって容易に変
質する薬剤を変質させず、また滅菌処理後の長期保存に
おいても問題がなく、更に容器内の薬剤の確認もできる
酸素易変質性薬剤入り容器の包装体及びその包装体の滅
菌方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸素により容
易に変質する酸素易変質性薬剤が収容されたプラスチッ
ク容器の全体、又は該容器の一部の該易酸素変質剤収容
室を密封包装する包装体において、上記包装体の壁は全
体に酸素ガス非透過性の金属層を有し、また少なくとも
一部の壁は該金属層の剥離が可能であり、且つ該被剥離
壁は透明性があることを特徴とする酸素易変質性薬剤入
り容器の包装体を提供することにより、上記目的を達成
したものである。
【0005】本発明に係る包装体における容器内には、
酸素により容易に変質する酸素易変質性薬剤が収容され
る。酸素易変質性薬剤は、液剤、懸濁剤又は乾剤等でも
良く、酸素が存在し、且つ高圧蒸気滅菌処理等の100
℃以上の加熱により変質等を起こし酸素が存在しなけれ
ば高圧蒸気滅菌処理にも耐えうる薬剤である。かかる薬
剤としては、例えば、トリプトファン、メチオニンなど
のアミノ酸、ビタミン類、フィゾスチグミン、エルゴタ
ミン、アドレナリン等の生理活性物質、ヒドララジン、
クロルプロマジン等の化学薬剤、クロラムフェニコー
ル、マクロライト系抗生物質等の抗生物質、易酸化性の
無機塩類等を挙げることができる。
【0006】本発明に係る包装体における容器はプラス
チック容器である。容器はソフトバックでも良く、一定
の定型壁を有したハードボトルでも良い。また、容器は
互いに連通可能な複数の室を有していても良く、複数の
室を有する容器は一体形成されたもの、或いは容器と容
器とが接合されて複数の室を有するものとなっていても
良い。また、複数の室を有する容器の場合、上記包装体
はその容器の酸素易変質性薬剤が収容された収容室のみ
を覆って密封包装していても良く、必ずしも容器全体を
覆わなくても良い。従って、本発明に係る包装体は、プ
ラスチック容器の全体又は容器の一部の酸素易変質性薬
剤の収容室のみを密封包装するものである。プラスチッ
ク容器はインフレーションフィルム、チューブ、シート
及びフィルムから成形したもの、押出成形、射出成形、
又はブロー成形したものである。容器の樹脂素材として
はポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系
樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系
樹脂、ポリアミド系樹脂等の汎用樹脂である。また樹脂
容器は単層又は多層で形成されていても良い。また、プ
ラスチック容器が医療用容器の場合、薬剤と接触する最
内層は、薬剤に影響を与えない、また溶出物が生じない
樹脂層であることが望ましい。このような樹脂として
は、ポリオレフィン系樹脂が望ましく、例えば、低、
中、高−密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の低級オ
レフィン樹脂等が挙げられる。また容器壁には内容物の
確認ができる程度の透明性を有したガスバリアー性層が
形成されていることが望ましい。特に、酸素等を容易に
透過しない層であることが望ましい。このようなガスバ
リアー性層としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステ
ル、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
フッ素系樹脂等のようにガスバリアー性の高い樹脂層、
又はアルミニウム、珪素、マグネシウム、チタン、銀、
金等の土類金属若しくは金属、又はその酸化物の蒸着層
である。包装体におけるガスバリアー性層の酸素透過量
は40cc・20μ/m2・day・atm(温度:2
0℃)以下、特に、30cc・20μ/m2・day・
atm以下、また好ましくは5cc・20μ/m2・d
ay・atm以下、更には1cc・20μ/m2・da
y・atm以下であることが望ましい。
【0006】本発明に係る包装体はその壁が全体に酸素
ガス非透過性の金属層を有する樹脂製包装壁である。包
装壁が全く酸素ガスを透過させないアルミニウム、スチ
ール等の金属層を有していれば、100℃を上回る高圧
蒸気滅菌処理時において樹脂層のように簡単に酸素ガス
を透過させることはない。また包装壁は一部が金属層の
剥離が可能で、被剥離壁に透明性があれば、オートクレ
ーブ滅菌処理の冷却後に、かかる金属層を剥がした被剥
離壁の窓から内容物の変質状態等の確認ができる。この
ような包装体としては、内層が熱溶着樹脂層で、中間層
が金属層で、外層が保護用或いは化粧用の樹脂層で形成
されるものである。また、金属層が剥離する包装壁にあ
っては、内層が熱溶着樹脂層で、第1中間層が離型層兼
保護用或いは化粧用の樹脂層であり、第2中間層が金属
層で、外層が保護用或いは化粧用の樹脂層等で構成する
ことができる。かかる高圧蒸気滅菌中、包装体は酸素を
全く透過させないので、包装体内の酸素の侵入も完全に
防止できる。高圧蒸気滅菌冷却後、包装体壁の一部の金
属層を剥離することにより、容器内の酸素易変質性薬剤
の状態を確認することができる。従って、酸素易変質性
薬剤入り容器における高圧蒸気滅菌中の薬剤の変質を完
全に防止できる。
【0007】本発明に係る請求項2記載の包装体は、請
求項1記載の包装体において、上記被剥離壁は、上記容
器内の内容物の確認が可能な透明性とガスバリアー性を
有していることを特徴とする。上記被剥離壁が透明でガ
スバリアー性であれば、金属層の剥離除去後において
も、該被剥離壁層が室温中で酸素を透過しないため、内
容物が見えた状態で長期保存が可能となる。具体的なガ
スバリアー性包装体としては、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リエステル、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共
重合体、フッ素系樹脂等のようにガスバリアー性の高い
樹脂層、又はアルミニウム、珪素、マグネシウム、チタ
ン、銀、金等の土類金属若しくは金属、又はその酸化物
の蒸着層を有するものである。包装体におけるガスバリ
アー性層の酸素透過量は40cc・20μ/m2・da
y・atm(温度:20℃)以下、特に、30cc・2
0μ/m2・day・atm以下、また好ましくは5c
c・20μ/m2・day・atm以下、更には1cc
・20μ/m2・day・atm以下であることが望ま
しい。包装体におけるガスバリアー性層の炭酸ガス透過
量は、200cc・20μ/m2・day・atm(温
度:25℃)以下、特に、100cc・20μ/m2
day・atm以下、また好ましくは10cc・20μ
/m2・day・atm以下、更には1cc・20μ/
2・day・atm以下であることが望ましい。本発
明に係る請求項3記載の包装体は、請求項1又は2記載
の包装体において、上記密封包装内には脱酸素剤が収容
されていることを特徴とする。このように構成される包
装体にあっては、包装体内の脱酸素剤により包装体内及
び酸素易変質性薬剤入り容器内の酸素が高圧蒸気滅菌前
及び滅菌中に除去され、酸素易変質性薬剤は高温処理時
にも変質が防止される。また、保存期間中も脱酸素剤が
作用し、酸素易変質性薬剤の長期保存を可能とすること
ができる。容器と共に収納される脱酸素剤は、アスコル
ビン酸、カテコール系化合物を主体とした有機系のも
の、或いは鉄等の金属及びハロゲン化金属からなる粉末
状のものなどがある。具体的には、商品名「エージレ
ス」(三菱瓦斯化学株式会社)やその他のメーカー等か
ら市販されているものである。脱酸素剤としては、酸素
吸収のみ行うもの、酸素を吸収して炭酸ガスを発生する
もの等がある。
【0008】本発明に係る請求項4記載の包装体は、請
求項1又は2記載の包装体において、上記包装体内は不
活性ガスで置換或いは真空にされて酸素が実質的に存在
しない状態にされていることを特徴とする。包装体内が
不活性ガス、例えば、窒素、炭酸ガス、ヘリウム等で置
換、或いは真空にされていると、容器内の酸素易変質性
薬剤の変質が防止され、特に、高圧蒸気滅菌中における
酸素による変質も確実に防止できる。
【0009】上記請求項2又は3記載の易酸素変質剤入
り容器の包装体の滅菌処理方法において、上記包装体を
高圧蒸気滅菌処理した後、該包装体から金属層の一部を
剥離することを特徴とすることにより、上記目的を達成
したものである。高圧蒸気滅菌処理することにより、易
酸素変質性薬剤は完全に滅菌され、医薬品として安全に
使用ができる。高圧蒸気滅菌処理の温度条件は100℃
〜140℃、特に110℃〜120℃であることが望ま
しい。滅菌温度が上記範囲を下回れば、滅菌処理が十分
にできず、また滅菌にも時間がかかる。また、滅菌温度
が上記範囲を上回れば、包装体の樹脂層或いは樹脂容器
を軟化させて悪影響を与えるおそれがある。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る酸素易変質性薬剤入り容
器の包装体の好ましい実施例を添付図面を参照しながら
詳述する。図1は、本発明に係る医療用容器の包装体を
示す第一実施例の正面図である。図2は、図1に示す包
装体のI−I線に沿った断面図である。図3は、図2に
示す包装体のA部における拡大断面図である。図4は、
図1に示す包装体から金属層を剥離したときの正面図で
ある。図5は、本発明に係る医療用容器の包装体の第二
実施例を示す正面図である。
【0011】図1〜図4に示す如く、第一実施例に係る
医療用容器の包装体1は、酸素により容易に変質する易
酸素変質性薬剤2が収容されたプラスチック容器3の一
部の易酸素変質性薬剤収容室3Aを密封包装するもので
ある。包装体1のシート4、5の壁は全体に酸素ガス非
透過性の金属層41、51を有し、また少なくとも一部
の壁5は金属層51の剥離が可能であり、且つ被剥離壁
5Aは透明性がある。上記被剥離壁5Aにはガスバリア
ー性の樹脂層55が設けられている。上記密封包装内に
は脱酸素剤6が収容されている。上記易酸素変質性薬剤
入り容器3の包装体1の滅菌処理方法において、上記包
装体1を高圧蒸気滅菌処理した後、包装体1から金属層
41、51の一部51を剥離する。
【0012】第一実施例に係る医療用容器3の包装体1
を更に詳しく説明すると、医療用容器3は柔軟な透明樹
脂シート31、31が図2に示す如く二枚重ねられ、重
ねた周縁を熱溶着シールして成形されている。透明樹脂
シート31は内層と外層とで形成され、内層は熱溶融開
始温度の異なる二種類のブレンド物からなる。即ち内層
は厚みが50μmで、直鎖状低密度ポリエチレンとポリ
プロピレンとのブレンド物であり、外層は厚みが200
μmで直鎖状低密度ポリエチレンである。 医療用容器
3には容器内を二室に分ける二条の隔離シール部7が形
成され、医療用容器3は易酸素変質性薬剤収容室3Aと
通常の薬液収容室3Bとに区分されている。易酸素変質
性薬剤収容室3Aには酸素の存在により容易に変質する
がある程度の耐熱性を有する抗生物質からなる易酸素変
質性薬剤2が収容され、また、易収容室3Bには通常の
電解質液8が収容されている。隔離シール部7は外側か
の操作により剥離されるピールシール部に形成され、使
用時に、収容室3Aと3Bとは無菌的に連通され、医療
用容器3は一室となるようになっている。また、周縁を
完全に熱溶着シールする際に、医療用容器3に排出口9
が取付られ、排出口9は筒状のポリエチレン成形物であ
る。排出口9にはゴム栓が取り付けられ、排出口9はゴ
ム栓で液密に封止されている。
【0013】図1に示す如く医療用容器3の包装体1は
上記医療用容器3の易酸素変質性薬剤収容室3Aを気密
に覆っている。包装体1は2枚のシート4、5からな
り、裏シート4と表シート5とは周囲が気密に熱溶着シ
ールされ、熱溶着シール部11の一部は医療用容器3を
挟んで二条の隔離シール部7、7の間に形成されてい
る。かかる熱溶着シール部11は隔離シール部7の剥離
強度等の剥離機能に影響を与えない温度で形成されてい
る。また、熱溶着シール部11の上部には吊り孔12が
形成され、吊り孔12は使用時にスタンド等のフックに
係止される。包装体1内には脱酸素剤6が配せられ、脱
酸素剤6は重炭酸塩を含む炭酸ガス発生型の除酸素剤で
ある。
【0014】図3に示す如く裏シート4は最内層43が
厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレンであり、第
1中間層42が厚み15μmの延伸ナイロンであり、第
2中間層41が厚み9μmのアルミニウム層であり、外
層が厚み12μmのポリエチレンテレフタレート層から
なる。一方、表シートは、最内層56が厚み100μm
の直鎖状低密度ポリエチレンであり、第1中間層55が
厚み15μmのポリ塩化ビニリデン層であり、第2中間
層54及び第3中間層52が延伸ナイロン層であり、第
4中間層51が厚み9μmのアルミニウム層であり、外
層が厚み12μmのポリエチレンテレフタレート層から
なる。そして、第2中間層54と第3中間層52との間
には剥離面53が形成され、裏シート5は剥離面53を
境に、被剥離壁5Aと剥離壁5Bとに分かれている。剥
離壁5Bには非透明性の第4中間層51(アルミニウム
層)が存在し、被剥離壁5Aにはガスバリアー性の第1
中間層55(塩化ビニリデン層)が存在している。被剥
離壁5Aは第1中間層55を有することにより、その酸
素ガス透過性が1cc/m2・day・atm以下で、
内容物の確認ができる程度に透明性を有している。従っ
て、両シート4、5の最内層43、56は熱溶着シール
層となっており、両シート4、5は周縁で互いに熱溶着
シールされていることになる。
【0015】次に、第一実施例に係る医療用容器の包装
体の組立、滅菌及び製造について説明する。先ず、医療
用容器3を成形するには、所定の大きさに裁断した上記
樹脂シート31、31を重ね、その側周縁を剥離しない
完全な熱溶着シールする。完全な熱溶着シールはシール
温度160℃以上で行う。次に、樹脂シート31、31
の所定の胴部に二条の隔離シール部7、7を形成する。
隔離シール部7の形成はヒートシール温度を125℃〜
140℃の範囲で行い。そして、隔離シール部7を使用
直前まで剥離しない強度のピールシール部とする。次
に、樹脂シート31、31の開放端から抗生物質である
酸素易変質性薬剤2を充填し、開放端を完全な熱溶着シ
ールする。これにより、医療用容器3の収容室3Aに酸
素易変質性薬剤2を入れることができる。次に、樹脂シ
ート31、31の他の開放端の間に排出口9を挿入し
て、開放端を熱溶着シールすることにより液密に取り付
ける。次に、排出口9より電解質液8を充填し、排出口
9をゴム栓で密封する。医療用容器3の収容室3Bに電
解質液8を入れることができる。
【0016】次に、矩形状に裁断した包装体1の裏シー
ト4と表シート5を重ねる。重ねる際に、脱酸素剤6を
配すると共に、医療用容器3の易酸素変質性薬剤2の収
容室3Aを挟んで重ねる。かかる状態で、裏シート4及
び表シート5の周囲を完全な熱溶着シールして周囲のシ
ール部11を形成する。シール部11の形成に際して
は、直鎖状低密度ポリエチレンの熱溶融開始温度以上で
140℃以下の範囲で行い、完全な熱溶着シール部とす
る。次に、医療用容器3及び包装体1を高圧蒸気滅菌処
理する。滅菌処理は温度110℃のオートクレーブ中で
行う。冷却後、包装体1の表シート5から剥離壁5Bを
剥離し、図4に示す如く医療用容器3内の易酸素変質性
薬剤2の確認を可能にして製品とする。
【0017】このように構成された包装体1にあって
は、かかる高圧蒸気滅菌中、酸素を全く透過させないの
で、包装体1内の酸素の侵入も完全に防止できる。高圧
蒸気滅菌冷却後、包装体1の表シート5の剥離壁5Bを
剥離することにより、図4に示す如く容器3内の酸素易
変質性薬剤2の状態を確認することができる。従って、
医療用容器3における高圧蒸気滅菌中の薬剤2の変質を
完全に防止できる。また、包装体5の被剥離壁5Aがガ
スバリアー性であるため、金属層51の剥離除去後にお
いても、被剥離壁5Aは室温中で酸素を透過しない。従
って、医療用容器3の内容物が見えた状態で長期保存が
可能となる。更に、包装体1内の脱酸素剤6により包装
体1内及び医療用容器3内の酸素が高圧蒸気滅菌前及び
滅菌中に除去され、酸素易変質性薬剤2は高温処理時に
も変質が防止される。また、保存期間中も脱酸素剤6が
作用し、酸素易変質性薬剤2の長期保存を可能とするこ
とができる。
【0018】次に、本発明に係る医療用容器の包装体の
第二実施例を図5に従って説明する。第二実施例に係る
医療用容器20の包装体21は、第一実施例とほぼ同様
な構造となっているが、異なる点及び構造は以下の点で
ある。医療用容器20は包装体21により全体が密封し
て覆われ、医療用容器20内及び包装体21内は十分に
窒素置換されている。このため、医療用容器20内の薬
液22及び包装体21内には実質的に酸素が存在しない
状態に維持され、高圧蒸気滅菌処理が成されている。包
装体21には表シート5及び裏シート5が用いられ、両
シート5、5は金属層55が剥離するようになってい
る。また、薬液22は液性の抗生物質製剤からなり、耐
熱性のある液剤である。また、医療用容器20はポリプ
ロピレン製のブロー成形物からなっている。このように
構成された包装体21においても、第一実施例と同様な
作用効果を奏する他、容器21内の酸素易変質性薬液2
2の変質が防止され、特に、高圧蒸気滅菌中における酸
素による変質も確実に防止できる。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る酸素易変質性薬剤入り容器
の包装体によれば、上記包装体の壁は全体に酸素ガス非
透過性の金属層を有し、また少なくとも一部の壁は該金
属層の剥離が可能であり、且つ該被剥離壁は透明性があ
るので、高圧蒸気滅菌処理中でも酸素によって容易に変
質する薬剤を変質させず、また滅菌処理後の長期保存に
おいても問題がなく、更に容器内の薬剤の確認もでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る医療用容器の包装体を示
す第一実施例の正面図である。
【図2】図2は、図1の包装体のI−I線に沿った断面
図である。
【図3】図3は、図2の包装体のA断面における拡大断
面図である。
【図4】図4は、第一実施例における医療用容器の包装
体から金属層を剥離したとき断面図である。
【図5】図5は、第二実施例の医療用容器の包装体を示
す正面図である。
【符号の説明】
1、21 包装体 2 易酸素変質性薬剤 3、20 医療用容器 4 裏シート 5 表シート 6 脱酸素剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 65/16 B65D 65/16 81/20 81/20 F 81/26 81/26 S

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素により容易に変質する易酸素変質性薬
    剤が収容されたプラスチック容器の全体、又は該容器の
    一部の該易酸素変質性薬剤収容室を密封包装する包装体
    において、上記包装体の壁は全体に酸素ガス非透過性の
    金属層を有し、また少なくとも一部の壁は該金属層の剥
    離が可能であり、且つ該被剥離壁は透明性があることを
    特徴とする酸素易変質性薬剤入り容器の包装体。
  2. 【請求項2】上記被剥離壁は、上記容器内の内容物の確
    認が可能な透明性とガスバリアー性を有していることを
    特徴とする請求項1記載の包装体。
  3. 【請求項3】上記密封包装内には脱酸素剤が収容されて
    いることを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
  4. 【請求項4】上記包装体内は不活性ガスで置換或いは真
    空にされて実質的に酸素が存在しない状態にされている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
  5. 【請求項5】上記請求項2又は3記載の易酸素変質性薬
    剤入り容器の包装体の滅菌処理方法において、上記包装
    体を高圧蒸気滅菌処理した後、該包装体から金属層の一
    部を剥離することを特徴とする包装体の滅菌処理方法。
JP9110234A 1997-04-10 1997-04-10 酸素易変質性薬剤入り容器の包装体及びその滅菌処理方法 Pending JPH10277134A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015074622A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 ダイト株式会社 ピタバスタチンカルシウム塩の分解抑制方法
CN115258421A (zh) * 2022-09-01 2022-11-01 湖南九典制药股份有限公司 一种提高胶囊剂稳定性的包装方法

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