JPH10273837A - 被覆弾性糸およびその布帛 - Google Patents

被覆弾性糸およびその布帛

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JPH10273837A
JPH10273837A JP10025011A JP2501198A JPH10273837A JP H10273837 A JPH10273837 A JP H10273837A JP 10025011 A JP10025011 A JP 10025011A JP 2501198 A JP2501198 A JP 2501198A JP H10273837 A JPH10273837 A JP H10273837A
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JP
Japan
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yarn
sheath
core
coated elastic
heat
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JP10025011A
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English (en)
Inventor
Shoichi Hayashi
昇一 林
Takeshi Yanagase
武 柳川瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱による収縮が少なく形態安定性に優れ、か
つ芯糸と鞘糸とのスリップが少ない被覆弾性糸およびそ
の布帛を提供するとともに、織物の経糸に単糸で使用で
きる被覆弾性糸を提供する。 【解決手段】100%伸長した状態で、100℃×60
分の液中熱処理において、セット率50%以上のポリウ
レタン繊維を芯糸として、該芯糸の周りを鞘糸で被覆さ
れてなる被覆弾性糸であって、前記芯糸が伸長状態にお
いて熱セットされて鞘糸に被覆されていることを特徴と
する被覆弾性糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタン弾性
糸を芯糸とした被覆弾性糸およびその布帛に関し、さら
に詳しくは、熱セット性がよく、形態安定性に優れ、か
つ芯糸と鞘糸とのスリップが少ない被覆弾性糸およびそ
の布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、芯糸の弾性糸の周りに非弾性フィ
ラメント糸条や非弾性ステープル繊維を巻き付けてなる
シングルカバードヤーン(以下、SCYという)、ある
いはさらにその外層に非弾性フィラメント糸条や非弾性
ステープル繊維を巻き付けてなる3層構造のカバードヤ
ーンなどの被覆弾性糸は、伸縮性を必要とするアウター
ウエアー、インナーウエアなどの各種の繊維製品の用途
に利用されている。
【0003】特に最近、それほど伸縮性が要求されない
ストレッチ織物分野でこの種の被覆弾性糸が多量に利用
されるようになってきた。
【0004】しかしながら、代表的な従来のポリウレタ
ン繊維を使用したストレッチ織物は、熱セット効果が小
さく、洗濯をすると収縮しやすいという欠点を有し、ま
た、芯糸と鞘糸とがズレやすくなるため、縫製カット端
からの弾性糸のスリップイン(鞘糸に対して芯糸がズレ
て被覆糸の中へ芯糸が入いり込むこと)が生じ、毛羽が
発生したり、あるいは編地の場合はカールが生じるとい
う欠点を有していた。熱セット効果を上げるためには、
熱セット温度を高くする必要があるが、熱に劣化しやす
い繊維、例えば羊毛繊維を鞘糸として使用した被覆弾性
糸においては、熱セット温度を高くすると羊毛の柔軟な
風合いが損なわれたり、強度が低下することから、染色
などの液中処理温度は100℃以上、乾熱処理でも16
0℃以上の温度で行なうことはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題点を解決し、熱セット性がよく、形態安定
性に優れ、かつ芯糸と鞘糸とのスリップが少ない被覆弾
性糸およびその布帛を提供することを課題とする。ま
た、本発明の他の課題は、織物の経糸に単糸で使用でき
る被覆弾性糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、 (1)100%伸長した状態で、100℃×60分の液
中熱処理において、セット率50%以上のポリウレタン
繊維を芯糸として、該芯糸の周りを鞘糸で被覆されてな
る被覆弾性糸であって、前記芯糸が伸長状態において熱
セットされて鞘糸に被覆されていることを特徴とする被
覆弾性糸。
【0007】(2)100%伸長した状態で、140℃
×1分の乾熱処理において、セット率50%以上のポリ
ウレタン繊維を芯糸として、該芯糸の周りを鞘糸で被覆
されてなる被覆弾性糸において、前記芯糸が伸長状態に
おいて熱セットされて鞘糸に被覆されていることを特徴
とする被覆弾性糸。
【0008】(3)乾熱温度110〜150℃の範囲で
最大熱収縮応力を示すポリウレタン繊維を芯糸として、
該芯糸の周りを鞘糸で被覆されてなる被覆弾性糸であっ
て、前記芯糸が伸長状態において、前記最大熱収縮応力
を示す温度より高い温度で熱セットされて鞘糸に被覆さ
れていることを特徴とする被覆弾性糸。
【0009】(4)芯糸が100〜250%の伸長率で
伸長されて熱セットされていることを特徴とする前記1
〜3のいずれかに記載の被覆弾性糸。
【0010】(5)前記芯糸が伸長状態において、80
℃以上の湿熱、または110℃以上の乾熱により熱セッ
トされて鞘糸に被覆されていることを特徴とする前記1
〜4のいずれかに記載の被覆弾性糸。
【0011】(6)芯糸を被覆する鞘糸が、フィラメン
ト糸条を中間被覆層とし、さらに外層にステープル繊維
を巻き付けたものであることを特徴とする前記1〜5の
いずれかに記載の被覆弾性糸。
【0012】(7)鞘糸のフィラメント糸条が撚数30
0〜800T/Mで芯糸に巻き付けられていることを特
徴とする前記6に記載の被覆弾性糸。
【0013】(8)芯糸のポリウレタン繊維と中間被覆
層のフィラメント糸条とを合わせた混用率が全体の40
重量%以下であることを特徴とする前記6または7に記
載の被覆弾性糸。
【0014】(9)芯糸、中間被覆層、および外層部の
撚方向が同一であることを特徴とする請求項6〜8のい
ずれかに記載の被覆弾性糸。
【0015】(10)外層部を被覆する時の撚係数K
が、メートル番手の場合にK=85〜130の範囲であ
ることを特徴とする前記6〜9のいずれかに記載の被覆
弾性糸。
【0016】(11)鞘糸のステープル繊維が羊毛から
なることを特徴とする前記6〜9のいずれかに記載の被
覆弾性糸。
【0017】(12)鞘糸のステープル繊維がアクリル
からなることを特徴とする前記6〜9のいずれかに記載
の被覆弾性糸。
【0018】(13)前記1〜12のいずれかに記載の
被覆弾性糸が使用されてなる布帛。
【0019】(14)前記1〜12のいずれかに記載の
被覆弾性糸が単糸の状態で織物の経糸および/または緯
糸に使用されてなる織物。
【0020】
【発明の実施の形態】前記の(1)に示すポリウレタン
繊維は、液中熱処理温度とセット率との関係が図1のC
に示すように、100%の伸長率で伸長した状態におい
て、100℃×60分の液中熱処理において、セット率
が50%以上、好ましくはセット率55%以上を示すも
のである。なお、セット率50%とは、ポリウレタン繊
維10cmを20cm(100%)に伸長して熱処理し
た後、伸長を解除した後、15cm(50%)に長さが
維持される状態をいう。
【0021】AおよびBで示すポリウレタン繊維は、そ
れぞれ20%および32%程度のセット率であり、Cに
比べて熱セット性は悪い。なお、Aは“オペロン”タイ
プ127、Bは“オペロン”タイプ152C、Cは“オ
ペロン”タイプ178C(いずれも東レ・デュポン社製
ポリウレタン弾性糸)を使用したものである。
【0022】また、前記の(2)に示すポリウレタン繊
維は、乾熱処理温度とセット率との関係が図2のCに示
すように、100%の伸長率で伸長した状態において、
140℃×1分の乾熱処理において、セット率が50%
以上、好ましくはセット率55%以上を示すものであ
る。なお、A、BおよびCで示すポリウレタン繊維は、
それぞれ図1に示すものと同じであり、Cに比べてA、
Bはいずれも熱セット性は悪い。
【0023】また、前記の(3)に示すポリウレタン繊
維は、図3のCに示すように、乾熱温度110〜150
℃の範囲で最大の熱収縮応力を示すものである。なお、
A、BおよびCで示すポリウレタン繊維は、それぞれ図
1に示すものと同じであり、AおよびBのポリウレタン
繊維はいずれも温度160〜180℃の範囲で最大の収
縮応力を示すものである。図3に示す熱収縮応力は、弾
性糸10本を合糸して測定した値である。
【0024】熱収縮応力は鐘紡株式会社製「熱応力測定
器KE−2S」を使用し、無緊張(自重)で乾熱27〜
28℃から昇温して測定したものである。
【0025】前記のポリウレタン繊維Cは、たとえば、
特開昭8−3815号公報に記載されたポリウレタン繊
維、すなわち、下式(I)で示されるポリウレタンから
なる繊維であって、その小角X線散乱像において、層線
状斑点からなる層線状散乱像を示し、かつ、子午線方向
の長周期が7〜16nmであるポリウレタン繊維が適用
できる。
【0026】 −(P−U−R1 −U−)n1−(R2 −U−R3 −U)n2− …(I) (式中、Pはポリオール残基、R1 およびR3 は互いに
同一でも異なってもよいジイソシアネート残基、R2
ジオール残基、Uはウレタン結合をそれぞれ表し、n1
は1〜10の範囲の繰り返し単位数、n2 は1〜10の
範囲の繰り返し単位数である。) また、下式(I)で示されるポリウレタンからなる繊維
であって、その小角X線散乱像において、眉毛状4点散
乱像を示し、子午線方向の長周期が7〜16nm、か
つ、赤道線方向の長周期が13〜30nmであるポリウ
レタン繊維である。
【0027】 −(P−U−R1 −U−)n1−(R2 −U−R3 −U)n2− …(I) (式中、Pはポリオール残基、R1 およびR3 は互いに
同一でも異なってもよいジイソシアネート残基、R2
ジオール残基、Uはウレタン結合をそれぞれ表し、n1
は1〜10の範囲の繰り返し単位数、n2 は1〜10の
範囲の繰り返し単位数である。)また、上記のポリウレ
タン繊維は、以下の方法により製造できる。
【0028】すなわち、溶媒にポリウレタンが溶解して
なるポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウ
レタン繊維を製造する方法において、下式(I)で示さ
れる構造式を有するとともに、下式(II)で表される付
加比率1.7〜3、ハード比率(n2 /n1 )0.65
〜3、数平均分子量3万〜20万および軟化点130〜
250℃のポリウレタンを使用するものである。
【0029】 −(P−U−R1 −U−)n1−(R2 −U−R3 −U)n2− …(I) (式中、Pはポリオール残基、R1 およびR3 は互いに
同一でも異なってもよいジイソシアネート残基、R2
ジオール残基、Uはウレタン結合をそれぞれ表し、n1
は1〜10の範囲の繰り返し単位数、n2 は1〜10の
範囲の繰り返し単位数である。) 付加比率=(ジイソシアネートに基づくNCO基の数) /(ポリオールに基づく水酸基の数) …(II) (ただし、上記式(II)中、ポリオールに基づく水酸基
の数には、鎖伸長剤のジオールに基づく水酸基の数は含
まれない。) なお、本発明は上記のポリウレタン繊維に限定されるも
のではなく、前記した(1)、(2)あるいは(3)の
特性を有するポリウレタン繊維であればよい。
【0030】本発明においては、上記(1)、(2)の
特性を有するポリウレタン繊維が被覆糸の芯糸として使
用されてなるものであって、かつ該芯糸は伸長状態にお
いて鞘糸に被覆されて熱セットされていることを特徴と
するものである。
【0031】上記の熱セット時におけるポリウレタン繊
維の伸長率は、100〜250%であることが好まし
い。このような伸長率とすることにより、ポリウレタン
繊維の伸縮性(移動量)が抑制され、鞘糸との伸縮差が
小さくなり、鞘糸とのズレが生じにくくなる。
【0032】伸長率を100〜250%にし、熱セット
するには、パッケージのポリウレタン繊維をそのまま引
き出して100〜250%に伸長し、次いで中間被覆層
をカバーリングしてSCYとした後巻き取る。さらにそ
の後該SCYの周りに外層の鞘糸をカバーリングして3
層構造の被覆弾性糸とする。該3層構造の被覆弾性糸を
パッケージの状態、あるいは編織物の状態で熱セットす
る。
【0033】パッケージに巻き取られた前記伸長前のポ
リウレタン繊維は、通常20%以下の伸長率でパッケー
ジに巻き取られているから、トータルのポリウレタン弾
性糸の伸長率は約100〜320%に伸長されているこ
とになる。
【0034】また、前記伸長状態におけるポリウレタン
繊維の熱セットは、80℃以上の湿熱(スチーム、液中
を含む)、または110℃以上の乾熱により熱セットさ
れ、熱セット率50%以上が好ましいが、熱セット効果
をやや犠牲にすればそれ以下の温度であっても構わな
い。
【0035】また、上記(3)の特性を有するポリウレ
タン繊維が被覆糸の芯糸として使用されてなるものであ
って、該芯糸が伸長状態において、前記最大熱収縮応力
を示す温度より高い温度で熱セットされて鞘糸に被覆さ
れていることを特徴とするものである。この場合、熱セ
ット温度は最大熱収縮応力を示す温度より20℃高い温
度以下の温度とすることが好ましい。すなわち、なるべ
く最大熱収縮応力を示す温度と同等もしくはそれに近い
温度とすることが好ましい。最大熱収縮応力を示す温度
より低い温度で熱セットされると、それ以上の温度での
熱処理により糸が縮んでしまうからである。
【0036】本発明において、芯糸を構成するポリウレ
タン繊維の太さは、18〜150D程度のものが用いら
れる。該芯糸を被覆する鞘糸は、フィラメント糸条を中
間層とし、さらに外層にステープル繊維、ステープル繊
維束、紡績糸を巻き付けたものであることが好ましい。
なお、中間層はフィラメント糸条に限定されず、紡績糸
であってもよい。また、芯糸に直接ステープル繊維束、
紡績糸を被覆したものであってもよい。
【0037】フィラメント糸条としては、ポリエステ
ル、ナイロン、アクリル、レーヨン、アセテートなどの
合成繊維、化学繊維などが適用できる。また、ステープ
ル繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、
レーヨン、アセテート、綿、ウール、絹などの合成繊
維、化学繊維、天然繊維、あるいはこれらの混紡ステー
プル繊維、ステープル繊維束、紡績糸が被覆されたもの
が適用できる。
【0038】特にウールおよびアクリルは従来熱セット
温度が上げられなかったので、本発明のポリウレタン繊
維と組み合わせて適用すれば、風合いや強度を損なうこ
となくセットできるので効果的である。しかも、ウール
を糸の外層部に配置させることにより、ウールの風合い
を生かし、さらに強力、糸筋の均一性とストレッチを付
与することができる。
【0039】また、アクリルを糸の外層部に配置させる
ことによりアクリルの風合いを生かしたストレッチを付
与した布帛を得ることができる。
【0040】また、上記芯糸および中間被覆層からなる
複合糸(SCY)は、芯糸を構成するポリウレタン繊維
の伸長率を100〜250%に緊張した状態で、フィラ
メント糸条を撚数300〜800T/Mで巻き付けたも
のを使用することが好ましい。
【0041】上記の芯糸のポリウレタン繊維と中間被覆
層のフィラメント糸条をプラスしたSCYの混用率は、
全体の40重量%以下とすることが好ましく、30重量
%以下とすることがより好まく、25重量%以下とする
ことがさらに好ましい。混用率が40重量%より大きく
なると、中間被覆層のフィラメント糸が糸表面や布帛表
面に出やすくなり、フィラメント糸条の風合いが強く
な。また、たとえばウールを外層に配置させた場合は、
外層のウールの繊維本数が少なくなって絡合性が悪くな
り、過長毛羽の発生が多くなるので、単糸の状態で経糸
あるいは緯糸として使用しにくくなる。
【0042】さらに、芯糸と中間被覆層からなる複合糸
(SCY)に対してさらに外層にステープル繊維からな
る鞘糸を被覆して3層構造の被覆弾性糸とするに際して
は、該3層目(外層部)の撚方向は、SCYの撚方向と
同一方向とすることが好ましい。たとえば、SCYの撚
方向がZ方向である場合、3層目の撚方向もZ方向とす
るものである。SCYの撚方向と3層目の撚方向が同一
の場合、糸の嵩高度(膨らみ)は小さいが、毛羽を絡め
ながら締め付けていくため、毛羽伏せ効果があり、過長
毛羽が少なくなる。ウールの単糸を織物の経糸に使う時
は通常糊付けはしないから、毛羽伏せしてある糸しか製
織できない。上記の本発明の糸は、上記の如く、毛羽伏
せ効果を有するから、糊付けせずに単糸の状態で織物の
経糸に使用できる。もちろん、単糸の状態で織物の緯糸
あるいは双方にも十分使用できる。また、織物に採用さ
れた場合は、生地の中でのポリウレタン繊維の動きを規
制する効果があり、スリップ・イン防止の効果がある。
【0043】これに対し、SCYの撚方向をSとし、3
層目(外層部)の撚方向をZとして、撚方向を逆とした
場合は、被覆時にSCYの撚が解撚され糸は嵩高になる
とともに、毛羽が多くなり、特に過長毛羽が多くなり、
また、カバーリングのフィラメント糸、たとえばナイロ
ンフィラメント糸が一部糸表面に露出する。
【0044】また、本発明において、外層部を被覆する
時の撚係数Kが、メートル番手の場合にK=80〜13
0の範囲であることが好ましく、90〜130の範囲で
あることがより好ましい。なお、本発明において、被覆
弾性糸の番手は、枠周1mのラップリールを用いて、糸
張力20g/本の荷重で糸を走行させて、100m当り
の糸重量から測定したものである。
【0045】本発明の被覆弾性糸の熱セットは、たとえ
ば、3層構造被覆弾性糸の単糸の巻糸体、すなわち精紡
管糸やチーズの状態で行うことができ、あるいは編織物
にした布帛の状態で熱セットされたものも含まれる。
【0046】本発明の上記に説明した被覆弾性糸は、織
物や、丸編、経編などの編物として使用できる。従来
は、双糸にしてからストレッチ織物の経糸として使用さ
れていたが、本発明においては、単糸の状態でストレッ
チ織物の経糸あるいは緯糸として使用することができ
る。特に、春、夏用などの薄地のストレッチ織物では、
経糸、あるいは緯糸、あるいは経糸及び緯糸の双方に、
単糸の状態で織られることが必要であるが、単糸使いの
場合、細い番手であると、織物の引裂強力や縫い目強力
が低下するので、1/40メートル番手以下の太い番手
のものであることが好ましい。
【0047】以下、実施例に基づいて本発明をさらに説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0048】
【実施例】
実施例1〜4 実施例1〜4に用いたSCYの芯糸の構成は以下の通り
である。
【0049】 芯糸:ポリウレタン弾性糸 タイプ…“オペロン”T−178C(商品名、東レ・デュポン社製、ポリ ウレタン弾性糸) デニール…18D、25D 切断伸度…410% 切断強度…1.35g/d セット率 100℃×60分液中熱処理…62% 140℃×1分乾熱処理 …56% 最大熱収縮応力温度…120〜140℃ 最大熱収縮応力 …18D:2.28g/10本 25D:3.30g/10本 実施例1〜4のSCYの鞘糸(中間被覆層)の構成、加
工条件、外層部の鞘糸の構成、紡績条件、熱セット条件
などについては表1に示す通りである。また、実施例1
〜3により得られた糸をそれぞれ経糸に用いて、製織し
たときの製織性、得られた織物の寸法安定性、それぞれ
の糸の毛羽数を測定した結果を表2に示す。
【0050】なお、製織は、グリッパー織機(SULZ
ER:PROJECTILE−TYPE)を用いて、4
00rpmで表1に示す条件で平織織物を製織し、製織
性は糸切れ回数10回/反以上を×、4〜9回/反を
△、3回/反以下を◎とした。
【0051】また、前記実施例1〜4で得られた生機を
次の仕上げ工程で加工を行い、織物の状態で寸法安定性
をドライクリーニング収縮率で評価した。
【0052】ドライクリーニング収縮率4%以下を◎と
した。
【0053】 生機 → 洗絨 → 乾燥 → 染色 → 乾燥 → 仕上げ 温水 120℃ 95℃ 120℃ 100℃ 40℃ 1分 45分 1分 45分 テンター 液流染色機 テンター テ゛カタイシ゛ンク゛マシン さらに、毛羽数は、万能投影器を用いて測定したもので
ある。
【0054】実施例1と実施例2とを比較すると、表2
から明らかなように、精紡合撚糸の紡出番手を同一に
し、SCYの混率を実施例1の17.0%から、実施例
2の34.6%と高くすると、実施例1に比べて実施例
2は外層部のウールが少ないため、抱合性、交絡度が劣
り、4mm以上の過長毛羽が多くなる方向にある。ま
た、製織性も実施例1に比べて実施例2の方がやや悪
い。なお、寸法安定性は実施例1、実施例2とも優れて
いた。
【0055】実施例2と実施例3を比較すると、表2か
ら明らかなように、精紡合撚糸の紡出番手をほぼ同一に
した場合、実施例2に示すように、SCYの撚方向と3
層構造外層部の撚方向とが同一の場合は、糸の嵩高度
(膨らみ)は小さいが、過長毛羽が少なく、毛羽伏せ効
果がある。また、実施例3に示すように、SCYの撚方
向と3層構造外層部の撚方向とが逆の場合は、精紡時に
SCYの撚が解撚され、4mm以上の過長毛羽が多くな
る方向にあり、糸は嵩高になる。また、SCYの鞘糸の
ナイロン糸が一部糸表面に露出し、ナイロンの風合いを
呈するようになる。なお、寸法安定性は実施例3、実施
例4においても優れていた。 比較例1 比較例1に用いたSCYの芯糸の構成は以下の通りであ
る。
【0056】芯糸:ポリウレタン弾性糸 タイプ…“オペロン”T−127C(商品名、東レ・デ
ュポン社製、ポリウレタン弾性糸) デニール… 20D 切断伸度… 560% 切断強度…1.20g/d セット率 100℃×60分液中熱処理…21% 140℃×1分乾熱処理 …28% 最大熱収縮応力温度…170〜180℃ 最大熱収縮応力 …2.86g/10本, SCYの鞘糸(中間被覆層)の構成、加工条件、外層部
の鞘糸の構成、紡績条件、熱セット条件、製織条件など
については表1に示す通りである。
【0057】また、得られた糸をそれぞれ経糸に用い
て、製織したときの製織性、得られた織物の寸法安定
性、それぞれの糸の毛羽数を前記実施例と同様に測定し
た結果を表2に示す。
【0058】寸法安定性はドライクリーニング収縮率で
評価し、ドライクリーニング収縮率4%以下を◎とし
た。
【0059】表2から明らかなように、比較例1のもの
は寸法安定性が劣るものであった。 比較例2 比較例2に用いたSCYの芯糸の構成は以下の通りであ
る。
【0060】芯糸:ポリウレタン弾性糸 タイプ…“オペロン”T−152C(商品名、東レ・デ
ュポン社製、ポリウレタン弾性糸) デニール… 20D 切断伸度… 510% 切断強度…1.10g/d セット率 100℃×60分液中熱処理…33% 140℃×1分乾熱処理 …34% 最大熱収縮応力温度…160〜170℃ 最大熱収縮応力 …2.89g/10本 SCYの鞘糸(中間被覆層)の構成、加工条件、外層部
の鞘糸の構成、紡績条件、熱セット条件、製織条件など
については表1に示す通りである。
【0061】また、得られた糸をそれぞれ経糸に用い
て、製織したときの製織性、得られた織物の寸法安定
性、それぞれの糸の毛羽数を前記実施例と同様に測定し
た結果を表2に示す。比較例1と同様、寸法安定性はド
ライクリーニング収縮率で評価し、ドライクリーニング
収縮率4%以下を◎とした。
【0062】表2から明らかなように、比較例2のもの
は寸法安定性が劣るものであった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明の被覆弾性糸は、加熱による収縮
が少ないので形態安定性に優れ、かつ芯糸と鞘糸とのス
リップが少ない被覆弾性糸および布帛とすることができ
る。また、本発明の被覆弾性糸は、毛羽伏せの効果があ
るので、織物の経糸に単糸で使用できる。特にウールを
外層に配置させることにより、ウールの風合いや強度を
損なうことなくセットできるので効果的である。しか
も、ウールを糸の外層部に配置させることにより、ウー
ルの風合いを生かし、さらに強力、糸筋の均一性とスト
レッチを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液中処理温度と熱セット率との関係を示すグラ
フである。
【図2】乾熱温度と熱セット率との関係を示すグラフで
ある。
【図3】乾熱温度と熱収縮応力との関係を示すグラフで
ある。
【図4】精紡合撚の一例を示す精紡機の概略図である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】100%伸長した状態で、100℃×60
    分の液中熱処理において、セット率50%以上のポリウ
    レタン繊維を芯糸として、該芯糸の周りを鞘糸で被覆さ
    れてなる被覆弾性糸であって、前記芯糸が伸長状態にお
    いて熱セットされて鞘糸に被覆されていることを特徴と
    する被覆弾性糸。
  2. 【請求項2】100%伸長した状態で、140℃×1分
    の乾熱処理において、セット率50%以上のポリウレタ
    ン繊維を芯糸として、該芯糸の周りを鞘糸で被覆されて
    なる被覆弾性糸において、前記芯糸が伸長状態において
    熱セットされて鞘糸に被覆されていることを特徴とする
    被覆弾性糸。
  3. 【請求項3】乾熱温度110〜150℃の範囲で最大熱
    収縮応力を示すポリウレタン繊維を芯糸として、該芯糸
    の周りを鞘糸で被覆されてなる被覆弾性糸であって、前
    記芯糸が伸長状態において、前記最大熱収縮応力を示す
    温度より高い温度で熱セットされて鞘糸に被覆されてい
    ることを特徴とする被覆弾性糸。
  4. 【請求項4】芯糸が100〜250%の伸長率で伸長さ
    れて熱セットされていることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の被覆弾性糸。
  5. 【請求項5】前記芯糸が伸長状態において、80℃以上
    の湿熱、または110℃以上の乾熱により熱セットされ
    て鞘糸に被覆されていることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の被覆弾性糸。
  6. 【請求項6】芯糸を被覆する鞘糸が、フィラメント糸条
    を中間層とし、さらに外層にステープル繊維を巻き付け
    たものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の被覆弾性糸。
  7. 【請求項7】鞘糸のフィラメント糸条が撚数300〜8
    00T/Mで芯糸に巻き付けられていることを特徴とす
    る請求項6に記載の被覆弾性糸。
  8. 【請求項8】芯糸のポリウレタン繊維と中間被覆層のフ
    ィラメント糸条とを合わせた混用率が全体の40重量%
    以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の
    被覆弾性糸。
  9. 【請求項9】芯糸、中間被覆層、および外層部の撚方向
    が同一であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか
    に記載の被覆弾性糸。
  10. 【請求項10】外層部を被覆する時の撚係数Kが、メー
    トル番手の場合にK=85〜130の範囲であることを
    特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の被覆弾性
    糸。
  11. 【請求項11】鞘糸のステープル繊維が羊毛からなるこ
    とを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の被覆弾
    性糸。
  12. 【請求項12】鞘糸のステープル繊維がアクリルからな
    ることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の被
    覆弾性糸。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれかに記載の被覆
    弾性糸が使用されてなる布帛。
  14. 【請求項14】請求項1〜12のいずれかに記載の被覆
    弾性糸が単糸の状態で織物の経糸および/または緯糸に
    使用されてなる織物。
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