JPH10267944A - スキャナシステム - Google Patents

スキャナシステム

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Publication number
JPH10267944A
JPH10267944A JP6860997A JP6860997A JPH10267944A JP H10267944 A JPH10267944 A JP H10267944A JP 6860997 A JP6860997 A JP 6860997A JP 6860997 A JP6860997 A JP 6860997A JP H10267944 A JPH10267944 A JP H10267944A
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JP
Japan
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signal
displacement
scanning
output
circuit
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JP6860997A
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Nobuaki Sakai
信明 酒井
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い線形性と高い位置再現性を確保しつつ高速
での走査を実現するスキャナシステムを提供する。 【解決手段】スキャナシステムは、ステージ11が設け
られたチューブ型圧電体スキャナ10と、これを二方向
に変位させる駆動回路12と13と、圧電体スキャナ1
0の各方向の変位を検出する変位センサー14と15と
を有している。X駆動回路12は、X変位センサー14
からの信号を基準信号に等しくする制御信号を出力する
制御回路20と、この制御信号を記憶するメモリ回路2
5と、圧電体スキャナ10を線形に走査させる走査信号
発生回路26と、メモリ回路25の出力信号と走査信号
発生回路26からの走査信号を加算する加算器27と、
制御回路20からの信号と加算器27からの信号の一方
をアンプ回路22を介して圧電体スキャナ10に選択的
に供給するスイッチ21とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型トンネル顕
微鏡(STM)や走査型原子間力顕微鏡(AFM)等の
いわゆる走査型プローブ顕微鏡(SPM)に利用される
スキャナシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】STMやAFMなど簡単な構成で原子サ
イズレベルの高い方位分解能を有する走査型プローブ顕
微鏡が提案されている。微細加工技術の飛躍的な進歩に
より従前の光学的観察手段の能力が及ばなくなった分
野、例えば薄膜磁気ヘッドのギャップ寸法測定や光ディ
スクのグルーブ幅寸法測定などに対して、この種の顕微
鏡を適用することが検討されている。
【0003】高い分解能の実現には、プローブと試料の
相対位置を微細にコントロールできるスキャナが必要で
あり、圧電体を円筒形状に成形したチューブスキャナが
広く用いられている。その目的を十分に達成するために
は、良好な線形性および位置再現性がチューブスキャナ
に求められる。しかし、PZT(チタン酸ジルコン酸
鉛)などの圧電体は、圧電駆動を行なったときに得られ
る変位量にヒステリシスやクリープ等の現象を伴なうこ
とが知られており、圧電体で作製したチューブスキャナ
を走査に用いた場合、線形性および位置再現性を欠くこ
とになる。このため走査型プローブ顕微鏡において、観
測像の歪みや試料の位置決めの不安定性が発生し、定量
測定への妨げとなっている。
【0004】このような課題を解決するために、走査時
間に対するチューブスキャナの変位量が線形性を有する
ような走査信号を走査圧電データ(あるいは走査電圧関
数)として予め持ち、それを用いて走査を行なうことに
よりヒステリシスやクリープ等を除く方法が考えられ
る。この方法は、オープンループ方式と呼ばれ、特開平
8−101007号や米国特許5,051,646号に
示されている。
【0005】また、チューブスキャナの方位方向の変位
量を検出し、これをもとにチューブスキャナの駆動信号
を制御することで、ヒステリシスやクリープ等を除く方
法も考えられる。この方法は、フィードバック方式と呼
ばれ、変位量を光学的手段により検出するものが、特開
平6−229753号に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】圧電体スキャナは、印
加電圧をゼロに戻しても変位量が残留する(ゼロ点がド
リフトする)という性質を有している。このゼロ点のド
リフトは、例えば試料やカンチレバーの交換の際など
に、圧電体が外力を受けた場合にも生じる。ゼロ点のド
リフトは予知できないため、前述のオープンループ方式
は、ゼロ点のドリフトを除去することができない。従っ
て、位置再現性を欠くという問題がある。
【0007】また、走査型プローブ顕微鏡では、100
μm以上の大変位が可能な圧電体スキャナが使用され
る。このような大変位用圧電体スキャナは応答時間が長
い。これは、大変位用圧電体スキャナの共振周期は長
く、共振周期と応答時間はほぼ一致するという事実から
当業者であれば容易に理解できよう。このように走査型
プローブ顕微鏡に使用される圧電体スキャナは応答時間
が長いため、前述のフィードバック方式は、測定時間の
短縮化すなわち走査速度の高速化に応えることは難し
い。
【0008】本発明は、このような事情を考慮して成さ
れたもので、その目的は、ヒステリシスやクリープの影
響が除去され、残留変位量の影響が除去された、オープ
ンループ方式によるスキャナシステムを提供することで
ある。言い換えれば、高い線形性で、高い位置再現性
で、高い速度での走査を達成するスキャナシステムを提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるスキャナシ
ステムは、ステージを第一の方向およびこれに交差する
第二の方向に走査させる圧電体スキャナと、第一の方向
および第二の方向における圧電体スキャナの変位を検出
し、その変位を示す変位信号を出力する変位検出手段
と、変位信号の目標値を出力する波形発生手段と、変位
信号を目標値に追従させる制御手段と、制御手段の出力
を記憶するメモリ手段と、走査時間に対する圧電体の変
位が線形となる走査信号を生成する走査信号発生手段
と、メモリ手段の出力に走査信号発生手段の出力を加算
する加算手段と、制御手段の出力または加算手段の出力
の一方を選択するスイッチ手段と、スイッチ手段の出力
を受けて圧電体スキャナを駆動する駆動手段とを備えて
いる本発明による別のスキャナシステムは、ステージを
第一の方向およびこれに交差する第二の方向に走査させ
る圧電体スキャナと、第一の方向および第二の方向にお
ける圧電体スキャナの変位を検出し、その変位を示す変
位信号を出力する変位検出手段と、変位信号の目標値を
出力する波形発生手段と、変位信号を目標値に追従させ
る制御手段と、制御手段の出力をオン・オフするスイッ
チ手段と、制御手段の出力を記憶するメモリ手段と、走
査時間に対する圧電体の変位が線形となる走査信号を生
成する走査信号発生手段と、メモリ手段の出力に走査信
号発生手段の出力を加算する第一の加算手段と、第一の
加算手段の出力に制御手段の出力を加算する第二の加算
手段と、第二の加算手段の出力を受けて圧電体スキャナ
を駆動する駆動手段とを備えている。
【0010】このスキャナシステムにおいて、メモリ手
段は、好適には、記憶した制御信号の出力に対応する信
号を徐々に立ち上げながら出力するスロー出力手段を有
している。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、第一の実施の形態によるス
キャナシステムについて述べる。図1に示すように、ス
キャナシステムは、試料または探針を保持するステージ
11が自由端に設けられたチューブ型の圧電体スキャナ
10と、圧電体スキャナ10をX方向に変位させるため
のX駆動回路12と、圧電体スキャナ10をY方向に変
位させるためのY駆動回路13と、圧電体スキャナ10
のX方向の変位を検出して、その変位を示すX変位信号
をX駆動回路12に供給するX変位センサー14と、圧
電体スキャナ10のY方向の変位を検出して、その変位
を示すY変位信号をY駆動回路12に供給するY変位セ
ンサー15とを有している。
【0012】X駆動回路12とY駆動回路13は、圧電
体スキャナ10を変位させる方向が異なるだけで、その
構成は全く同じである。このような理由から以下では代
表的にX駆動回路12についてだけ述べる。
【0013】X駆動回路12は、制御回路20、スイッ
チ21、アンプ回路22、アナログ・デジタル変換器2
3(単にA/D23と記す)、デジタル・アナログ変換
器24(単にD/A24と記す)、メモリ回路25、走
査信号発生回路26、加算器27を備えている。
【0014】制御回路20は、圧電体スキャナ10のX
方向の変位を制御するためのものであり、X変位センサ
ー14から入力されるX変位信号が基準信号(0V)を
追従するような制御信号、別の言い方をすれば、X変位
信号が0Vを維持し続けるような制御信号を出力する。
この制御信号はDC成分の信号(つまりDC電圧)であ
り、これはスイッチ21とA/D23に供給される。
【0015】A/D23は、制御回路20から出力され
る制御信号をデジタル電圧データに変換し、メモリ回路
25に供給する。メモリ回路25は、そのデジタル電圧
データを書き込み信号に従って記憶するとともに、記憶
したデジタル電圧データを読み出し信号に従ってD/A
24に出力する。
【0016】D/A24は、メモリ回路25から出力さ
れたデジタル電圧データをアナログ信号に変換して、加
算器27に出力する。これは、前述の制御信号と同じで
あるが、区別するためにメモリ出力信号と呼ぶことにす
る。
【0017】走査信号発生回路26は、圧電体スキャナ
10を走査時間に対して線形的に変位させる基準走査信
号を生成し出力する。この様な走査信号の生成は、特開
平8−101007号に詳しく開示されている。走査信
号発生回路26は、圧電体スキャナ10を走査時間に対
して線形的に変位させる基準走査信号の電圧値を表す走
査電圧データを記憶したメモリと、そのメモリから一定
周期のクロックに同期して走査電圧データを読み出すコ
ントローラーと、読み出した走査電圧データをアナログ
信号に変換するD/A変換器と、変換したアナログ信号
に所定の演算(ゲインやオフセット等)を施す演算回路
とで構成される。
【0018】走査信号発生回路26から出力された基準
走査信号は加算器27に供給される。加算器27は、D
/A24から出力されたメモリ出力信号と、走査信号発
生回路26から出力された基準走査信号とを加算して、
スイッチ21に供給する。本明細書では、加算器27に
より加算処理された後の信号を、走査信号と呼ぶことに
する。
【0019】スイッチ21は、制御信号と走査信号のど
ちらか一方を選択し、選択した信号をアンプ回路22に
供給する。アンプ回路22は、スイッチ21から供給さ
れる信号を所定の利得で増幅して、圧電体スキャナ10
に印加する。圧電体スキャナ10は、アンプ回路22か
ら印加される電圧信号に応じて、自由端がX方向に変位
する。
【0020】次にスキャナシステムの動作について述べ
る。スキャナシステムのX方向に関する動作とY方向に
関する動作は同じであるので、以下ではX方向に関する
動作についてのみ述べる。
【0021】走査の開始されるまでの間は、以下に述べ
る動作が行なわれている。圧電体スキャナ10は、動作
したり、外力を受けたりすると、ゼロ点がドリフトし、
残留変位を生じる。X変位センサー14は、圧電体スキ
ャナ10に生じたX方向の残留変位を検出し、その残留
変位に対応したX変位信号をX駆動回路12に送る。勿
論、圧電体スキャナ10に残留変位が無い場合には、X
変位センサー14の出力はゼロである。
【0022】スイッチ21は端子Aに入力されている信
号が選択されている。制御回路20にはX制御の目標値
である基準信号(0V)が入力されており、制御回路2
0はX変位センサー14から入力されているX変位信号
が基準信号(0V)に等しくなるように圧電体スキャナ
10を変位させる制御信号をスイッチ21に出力してい
る。スイッチ21は端子Aが選択されているので、制御
回路20から出力される制御信号はアンプ回路22を介
して圧電体スキャナ10に供給される。圧電体スキャナ
10はこの制御信号を受けて変位し、その結果、X変位
センサー14から出力されるX変位信号は基準信号に等
しくなる。つまり、圧電体スキャナ10は、走査が開始
されるまでの間、ゼロ点のドリフトの無い基準状態を維
持するように、フィードバック制御されている。
【0023】圧電体スキャナがフィードバック制御され
ている間に、制御回路20から出力される制御信号はA
/D23を介してメモリ回路25に記憶され、その記憶
したデータはD/A24を介して加算器27に出力され
る。走査の開始前においては、走査信号発生回路26は
走査信号を出力していないので、スイッチ21の端子A
と端子Bには同じ信号が供給される。
【0024】走査を開始する際は、スイッチ21の入力
が端子Aから端子Bに切り換えられ、メモリ回路25に
記憶される制御信号の更新も停止される。これにより圧
電体スキャナ10のフィードバック制御は解除される。
しかし、スイッチ21の端子Bにはフィードバック制御
が解除される直前にスイッチ21の端子Aに入力されて
いた制御信号と同じ信号が供給されているので、圧電体
スキャナ10はほぼ基準状態を維持し続ける。
【0025】走査信号発生回路26は、圧電体スキャナ
10を走査時間に対して線形に変位させる基準走査信号
を生成し出力する。走査信号発生回路26から出力され
た基準走査信号は加算器27に供給される。加算器27
は、圧電体スキャナ10の残留変位を除去するメモリ出
力信号と、圧電体スキャナ10を線形的に走査させる走
査信号を加算する。加算器27により加算処理された信
号は、基準走査信号に対して残留変位による誤差を補正
した信号となっており、この信号が実際の走査信号とし
てスイッチ21の端子Bに供給される。この実際の走査
信号はアンプ回路22を介して圧電体スキャナ10に印
加される。
【0026】以上の説明から分かるように、この実施の
形態のスキャナシステムは、フィードバック制御を行な
うことなく、ヒステリシスや残留変位の影響が除去され
た走査を行なっている。これにより、高速でしかも線形
性と位置再現性に優れた走査が実現される。
【0027】次に、第二の実施の形態によるスキャナシ
ステムについて述べる。続く説明と図2において、第一
の実施の形態の部材と同等の部材は、同一の参照符号で
示す。
【0028】図2に示すように、スキャナシステムは、
試料または探針を保持するステージ11が自由端に設け
られたチューブ型の圧電体スキャナ10と、圧電体スキ
ャナ10をX方向に変位させるためのX駆動回路30
と、圧電体スキャナ10をY方向に変位させるためのY
駆動回路31と、圧電体スキャナ10のX方向の変位を
検出して、その変位を示すX変位信号をX駆動回路30
に供給するX変位センサー14と、圧電体スキャナ10
のY方向の変位を検出して、その変位を示すY変位信号
をY駆動回路31に供給するY変位センサー15とを有
している。
【0029】X駆動回路30とY駆動回路31は、圧電
体スキャナ10を変位させる方向が異なるだけで、その
構成は全く同じである。以下では、二つの駆動回路30
と31をX駆動回路30で代表させ、X駆動回路30に
ついてだけ述べる。
【0030】X駆動回路30は、制御回路20、スイッ
チ35、加算器32、アンプ回路22、A/D23、D
/A24、メモリ回路25、CR回路34、加算器3
3、走査信号発生回路26を備えている。
【0031】制御回路20は、圧電体スキャナ10のX
方向の変位を制御するためのものであり、X変位センサ
ー14から入力されるX変位信号が基準信号(0V)を
追従するような制御信号、別の言い方をすれば、X変位
信号が0Vを維持し続けるような制御信号を出力する。
この制御信号はDC成分の信号(つまりDC電圧)であ
り、これはスイッチ35とA/D23に供給される。
【0032】スイッチ35は、制御信号をオフ・オフす
るもので、オン状態のときだけ制御信号を加算器32に
供給する。A/D23は、制御回路20から出力される
制御信号をデジタル電圧データに変換し、メモリ回路2
5に供給する。メモリ回路25は、そのデジタル電圧デ
ータを書き込み信号に従って記憶するとともに、記憶し
たデジタル電圧データを読み出し信号に従ってD/A2
4に出力する。
【0033】D/A24は、メモリ回路25から出力さ
れたデジタル電圧データをアナログ信号に変換して、C
R回路34に出力する。これは、前述の制御信号と同じ
であるが、区別するためにメモリ出力信号と呼ぶことに
する。
【0034】CR回路34は、D/A24から出力され
るメモリ出力信号を、圧電体スキャナ10の共振周期以
下の所定の時定数でゆっくりと立ち上げる。CR回路3
4からの出力信号は加算器33に供給される。
【0035】走査信号発生回路26は、圧電体スキャナ
10を走査時間に対して線形的に変位させる基準走査信
号を生成し出力する。この様な走査信号の生成は、特開
平8−101007号に詳しく開示されている。走査信
号発生回路26は、圧電体スキャナ10を走査時間に対
して線形的に変位させる基準走査信号の電圧値を表す走
査電圧データを記憶したメモリと、そのメモリから一定
周期のクロックに同期して走査電圧データを読み出すコ
ントローラーと、読み出した走査電圧データをアナログ
信号に変換するD/A変換器と、変換したアナログ信号
に所定の演算(ゲインやオフセット等)を施す演算回路
とで構成される。
【0036】走査信号発生回路26から出力された基準
走査信号は加算器33に供給される。加算器33は、C
R回路34から出力されたメモリ出力信号と、走査信号
発生回路26から出力された基準走査信号とを加算す
る。加算器33により加算処理された信号(本明細書で
はこれを走査信号と呼ぶことにする)は、加算器32に
供給される。
【0037】加算器32は、スイッチ35から供給され
る制御信号と加算器33から供給される走査信号を加算
する。加算器32により加算処置された信号はアンプ回
路22に供給される。アンプ回路22は、加算器32か
ら供給される信号を所定の利得で増幅して、圧電体スキ
ャナ10に印加する。圧電体スキャナ10は、アンプ回
路22から印加される電圧信号に応じて、自由端がX方
向に変位する。
【0038】次にスキャナシステムの動作について述べ
る。スキャナシステムのX方向に関する動作とY方向に
関する動作は同じであるので、以下ではX方向に関する
動作についてのみ述べる。
【0039】走査の開始されるまでの間は、以下に述べ
る動作が行なわれている。圧電体スキャナ10は、動作
したり、外力を受けたりすると、ゼロ点がドリフトし、
残留変位を生じる。X変位センサー14は、圧電体スキ
ャナ10に生じたX方向の残留変位を検出し、その残留
変位に対応したX変位信号をX駆動回路30に送る。勿
論、圧電体スキャナ10に残留変位が無い場合には、X
変位センサー14の出力はゼロである。
【0040】D/A24と走査信号発生回路26はオフ
されており、スイッチ35はオンされている。制御回路
20には制御の目標値である基準信号(0V)が供給さ
れており、制御回路20はX変位センサー14から入力
されているX変位信号が基準信号(0V)に等しくなる
ように圧電体スキャナ10を変位させる制御信号をスイ
ッチ35に出力している。スイッチ35はオンされてい
るので、制御回路20から出力される制御信号は加算器
32とアンプ回路22を介して圧電体スキャナ10に供
給される。圧電体スキャナ10はこの制御信号を受けて
変位し、その結果、X変位センサー14から出力される
X変位信号は基準信号に保たれる。つまり、圧電体スキ
ャナ10は、走査が開始されるまでの間、ゼロ点のドリ
フトの無い基準状態を維持するように、フィードバック
制御されている。
【0041】圧電体スキャナ10がフィードバック制御
されている間に、制御回路20から出力される制御信号
はA/D23を介してメモリ回路25に記憶され、その
記憶したデータはD/A24を介してCR回路34に出
力される。CR回路34は、D/A24から出力される
メモリ出力信号をゆっくりと加算器33を介して加算器
32に供給していく。そして、一定時間(CR回路34
の時定数の数倍の時間)が経つと、加算器32に供給さ
れる信号は、メモリ回路25に記憶した時の制御信号と
同一のものになる。つまり、このとき制御回路20から
出力される制御信号はゼロとなる。
【0042】走査を開始する際は、スイッチ35がオフ
に切り換えられる。これにより圧電体スキャナ10のフ
ィードバック制御は解除されるが、圧電体スキャナ10
は基準状態を維持し続ける。
【0043】走査信号発生回路26は、圧電体スキャナ
10を走査時間に対して線形に変位させる基準走査信号
を生成し出力する。走査信号発生回路26から出力され
た基準走査信号は加算器33に供給される。加算器33
は、圧電体スキャナ10の残留変位を除去するメモリ出
力信号と、圧電体スキャナ10を線形に走査させる走査
信号とを加算する。加算器27により加算処理された信
号は、基準走査信号に対して残留変位による誤差を補正
した信号となっており、この信号が実際の走査信号とし
て、加算器32とアンプ回路22を介して、圧電体スキ
ャナ10に印加される。
【0044】以上の説明から分かるように、この実施の
形態のスキャナシステムは、第一の実施の形態のスキャ
ナシステムと同様に、フィードバック制御を行なうこと
なく、ヒステリシスや残留変位の影響が除去された走査
を行なっている。これにより、高速でしかも線形性と位
置再現性に優れた走査が実現される。
【0045】さらに、この実施の形態のスキャナシステ
ムは、フィードバック制御の解除が、第一の実施の形態
のスキャナシステムに比べて滑らかに行なえる。これに
より、走査開始時のフィードバック制御の解除の際に制
御が不安定になる心配がない。
【0046】上述した実施の形態において、X駆動回路
(Y駆動回路も同様)は、メモリ回路25を除いてアナ
ログ回路で構成されているが、全体がデジタル回路で構
成されていてもよい。また、メモリ回路25に記憶され
る制御信号はDC成分のDC電圧であるから、メモリ回
路25とD/A24は、ラッチ機能を有するD/Aに置
き換えられてもよい。
【0047】次に、第三の実施の形態によるスキャナシ
ステムについて述べる。続く説明において、第一の実施
の形態の部材と同等の部材は、同一の参照符号で示す。
図3に示すように、スキャナシステムは、試料または探
針を保持するステージ11が自由端に設けられたチュー
ブ型の圧電体スキャナ10と、圧電体スキャナ10をX
方向に変位させるためのX駆動回路41と、圧電体スキ
ャナ10をY方向に変位させるためのY駆動回路42
と、圧電体スキャナ10のX方向の変位を検出するX変
位センサー14と、圧電体スキャナ10のY方向の変位
を検出するY変位センサー15と、X変位センサー14
からのX変位信号の信号レベルを判定するレベル判定回
路43と、Y変位センサー15からのY変位信号の信号
レベルを判定するレベル判定回路44と、レベル判定回
路43とレベル判定回路44からの判定信号に基づいて
X駆動回路41とY駆動回路42を制御するコントロー
ラー45とを有している。
【0048】X駆動回路41は、第一の実施の形態にお
けるX駆動回路12または第二の実施の形態におけるX
駆動回路30と同じものであり、Y駆動回路42は第一
の実施の形態におけるY駆動回路13または第二の実施
の形態におけるY駆動回路31と同じものである。
【0049】レベル判定回路43とレベル判定回路44
は全く同じ構成をしている。以下では代表的にレベル判
定回路44についてだけ述べる。図4に示すように、レ
ベル判定回路43は、絶対値回路51と比較回路52と
で構成されており、入力される変位信号の絶対値と残留
変位の許容レベル(例えば走査エリアの1%に相当する
残留変位量)を示す許容レベル信号とを比較して、絶対
値が許容レベルよりも大きいか小さいかを判定し、その
結果を示す判定信号を出力する。
【0050】図3に示すように、コントローラ45は、
レベル判定回路43から供給されるX変位信号の判定信
号aに基づいて、X駆動回路41のオフ・オフを制御す
るコントロール信号cを出力する。コントローラー45
は、判定信号aが大のとき、つまりX変位信号の絶対値
が許容レベルよりも大きいとき、X駆動回路41をオン
させるオン信号を出力し、判定信号aが小のとき、つま
りX変位信号の絶対値が許容レベルよりも小さいとき、
X駆動回路41をオフさせるオフ信号を出力する。
【0051】また、コントローラ45は、レベル判定回
路44から供給されるY変位信号の判定信号bに基づい
て、Y駆動回路42のオフ・オフを制御するコントロー
ル信号dを出力する。コントローラー45は、判定信号
bが大のとき、つまりY変位信号の絶対値が許容レベル
よりも大きいとき、Y駆動回路42をオンさせるオン信
号を出力し、判定信号bが小のとき、つまりY変位信号
の絶対値が許容レベルよりも小さいとき、Y駆動回路4
2をオフさせるオフ信号を出力する。
【0052】ここで、X駆動回路41及びY駆動回路4
2のオン・オフ制御とは、以下の制御をいう。X駆動回
路41は、コントローラー45から入力されるコントロ
ール信号cに従って制御され、X方向の残留変位が許容
レベルを下回るとき、つまり無視できる程度である場合
には、制御機能とメモリ機能が停止される。同様に、Y
駆動回路42は、コントローラー45から入力されるコ
ントロール信号dに従って制御され、Y方向の残留変位
が許容レベルを下回るとき、つまり無視できる程度であ
る場合には、制御機能とメモリ機能が停止される。
【0053】即ち、圧電体スキャナ10は、基準位置
(ゼロ点)にあると判断され、基準位置を維持するよう
なフィードバック制御を行わず、走査信号発生回路26
から圧電体スキャナ10を線形的に走査させる走査信号
を圧電体スキャナ10に印加する。このような制御は測
定時間の短縮に大いに貢献する。上述したレベル判定
は、アナログ的手法により行なわれているが、デジタル
的(ソフト的)手法によって行なわれてもよい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、圧電体の変位に生じる
ヒステリシスやクリープおよび残留変位量の影響が除去
された良好な走査と、高速な走査を両立させたスキャナ
システムが提供される。これにより、画像の歪みが少な
くかつ位置再現性の良好な、そして短時間で測定が可能
な走査型プローブ顕微鏡を構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態によるスキャナシス
テムを概略的に示している。
【図2】本発明の第二の実施の形態によるスキャナシス
テムを概略的に示している。
【図3】本発明の第三の実施の形態によるスキャナシス
テムを概略的に示している。
【図4】図3のレベル判定回路の構成を概略的に示して
いる。
【符号の説明】
10 圧電体スキャナ 12 X駆動回路 13 Y駆動回路 14 X変位センサー 15 Y変位センサー 20 制御回路 21 スイッチ 25 メモリ回路 26 走査信号発生回路 27 加算器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステージを第一の方向およびこれに交差す
    る第二の方向に走査させる圧電体スキャナと、 第一の方向および第二の方向における圧電体スキャナの
    変位を検出し、その変位を示す変位信号を出力する変位
    検出手段と、 変位信号の目標値を出力する波形発生手段と、 変位信号を目標値に追従させる制御手段と、 制御手段の出力を記憶するメモリ手段と、 走査時間に対する圧電体の変位が線形となる走査信号を
    生成する走査信号発生手段と、 メモリ手段の出力に走査信号発生手段の出力を加算する
    加算手段と、 制御手段の出力または加算手段の出力の一方を選択する
    スイッチ手段と、 スイッチ手段の出力を受けて圧電体スキャナを駆動する
    駆動手段とを備えているスキャナシステム。
  2. 【請求項2】ステージを第一の方向およびこれに交差す
    る第二の方向に走査させる圧電体スキャナと、 第一の方向および第二の方向における圧電体スキャナの
    変位を検出し、その変位を示す変位信号を出力する変位
    検出手段と、 変位信号の目標値を出力する波形発生手段と、 変位信号を目標値に追従させる制御手段と、 制御手段の出力をオン・オフするスイッチ手段と、 制御手段の出力を記憶するメモリ手段と、 走査時間に対する圧電体の変位が線形となる走査信号を
    生成する走査信号発生手段と、 メモリ手段の出力に走査信号発生手段の出力を加算する
    第一の加算手段と、 第一の加算手段の出力に制御手段の出力を加算する第二
    の加算手段と、 第二の加算手段の出力を受けて圧電体スキャナを駆動す
    る駆動手段とを備えているスキャナシステム。
  3. 【請求項3】請求項2において、メモリ手段は記憶した
    制御信号の出力に対応する信号を徐々に立ち上げながら
    出力するスロー出力手段を有しているスキャナシステ
    ム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010527002A (ja) * 2007-05-07 2010-08-05 ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド クローズドループコントローラを備える高速走査型プローブ顕微鏡とその操作方法

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JP2010527002A (ja) * 2007-05-07 2010-08-05 ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド クローズドループコントローラを備える高速走査型プローブ顕微鏡とその操作方法

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