JPH10261486A - 有機el発光装置の製造方法 - Google Patents

有機el発光装置の製造方法

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JPH10261486A
JPH10261486A JP9066220A JP6622097A JPH10261486A JP H10261486 A JPH10261486 A JP H10261486A JP 9066220 A JP9066220 A JP 9066220A JP 6622097 A JP6622097 A JP 6622097A JP H10261486 A JPH10261486 A JP H10261486A
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JP
Japan
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organic
layer
light emitting
forming
lower electrode
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Withdrawn
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JP9066220A
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English (en)
Inventor
Chishio Hosokawa
地潮 細川
Noboru Sakaeda
暢 栄田
Masahide Matsuura
正英 松浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2102/00Constructional details relating to the organic devices covered by this subclass
    • H10K2102/301Details of OLEDs
    • H10K2102/341Short-circuit prevention
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/17Passive-matrix OLED displays

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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 複数の有機EL素子を発光源とする発光装置
装置においては、従来より所定形状のマスクを用いた蒸
着法やリソグラフィ法、あるいは蒸着法により対向電極
ライン形成に先だち有機EL素子形成用基板の所定箇所
に樹脂製隔壁を形成する方法により、素子構成部材であ
る有機発光部及び対向電極のうち少くとも一方が形成さ
れているが、所定の大いさを有する複数の有機EL素子
を備え、個々の素子の発光特性が高く、かつこれらの素
子が高い位置精度の下に高精細に形成されている有機E
L発光装置は前記方法により得ることは困難である。 【解決手段】 基材に複数の有機EL素子用下部電極し
下部電極付き基板を得、この基板外表面に対向電極を形
成しようとする箇所に開口部を有している剥離層を不活
性溶媒に可溶の樹脂で形成しマスクとして利用し、有機
発光部用材料層及び対向電極用材料層を形成後、剥離層
の一部を不活性剥離液を用い形成層ごと除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の有機EL素
子を備えている有機EL発光装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、陽極,有機発光部,陰
極がこの順番またはこれとは逆の順番で基材上に順次積
層された構成を基本的な層構成とする発光素子であり、
当該有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加す
ることによって、有機発光部に使用されている有機発光
材料の種類に応じた所定色の発光を得る。当該有機EL
素子は、無機EL素子に比べて大幅に低い印加電圧によ
って発光させることができるため、有機EL素子を発光
源として用いた面光源や、有機EL素子を画素として用
いた有機EL表示装置の開発が現在活発に進められてい
る。
【0003】有機EL表示装置を作製するためには、画
素としての有機EL素子が基板上に所定個形成されてい
る有機EL発光装置(有機EL表示パネル)を得る必要
があり、当該有機EL発光装置(有機EL表示パネル)
の製造方法としては従来より下記(1) 〜(5) の方法が知
られている。
【0004】(1) 基板上に所定個の下部電極を形成し、
これらの下部電極を覆うようにして所定箇所、すなわ
ち、有機EL素子を形成しようとする箇所に開口部が設
けられている層間絶縁膜を形成した後、所定形状のマス
クを用いた蒸着法によって、前記の開口部から裸出して
いる下部電極上に有機多層部(この有機多層部は本発明
でいう有機発光部に包含される。)および対向電極を順
次形成するという方法(特開平3−250583号公報
参照)。
【0005】(2) 基板上に所定個の下部電極(第一電極
手段)を形成し、これらの下部電極それぞれの上に1組
の平行な壁を形成した後、当該1組の壁のうちの一方を
マスクのように利用した斜方蒸着法によって各下部電極
上に第1の有機EL媒体層を形成し、次いで前記1組の
壁のうちの他方をマスクのように利用した斜方蒸着法に
よって各下部電極上に前記第1の有機EL媒体層とは異
なる第2の有機EL媒体層を形成し、この後、前記1組
の壁のうちの一方をマスクのように利用した斜方蒸着法
によって、第1の有機EL媒体層上および第2の有機E
L媒体層上にそれぞれ対向電極(第二電極手段)を形成
するという方法(特開平5−258859号公報参
照)。
【0006】(3) 基板上に所定個の下部電極(光透過導
電ストリップ;第1電極)を形成し、これらの下部電極
を覆うようにして所定箇所、すなわち、有機EL素子を
形成しようとする箇所に開口部が設けられている層間絶
縁膜を形成した後、前記の開口部(キャビティ)内に活
性エミッタの層と低仕事関数金属の層とを含んでいるE
L媒体層を形成し、この後、前記のキャビティを密封す
るようにして、リソグラフィー法によって前記低仕事関
数金属の層上に金属ストリップ(第2電極)を形成する
という方法(特開平8−262998号公報参照)。こ
の方法では、低仕事関数金属の層または当該低仕事関数
金属の層と金属ストリップとが、本発明でいう対向電極
に相当する。
【0007】(4) 基板上に所定個の下部電極(導電スト
リップ)を形成し、これらの下部電極を覆うようにして
所定箇所、すなわち、有機EL素子を形成しようとする
箇所に開口部が設けられている誘電媒体層をフォトリソ
グラフィー法によって形成した後(ただし、フォトリソ
グラフィーで用いたレジストパターンは剥離しないでお
く。)、前記の開口部(キャビティ)内に活性エミッタ
の層と低仕事関数金属の層とを含んでいるEL媒体層を
形成し、さらに、各キャビティを雰囲気安定金属の層に
よって密封し、この後、前記のレジストパターンをリフ
トオフしてピクセルのセットを完成させてから、所定の
ピクセル同士に共通な金属ストリップをリソグラフィー
法によって形成するという方法(特開平8−26482
8号公報参照)。この方法では、低仕事関数金属の層、
当該低仕事関数金属の層と雰囲気安定金属の層、また
は、低仕事関数金属の層と雰囲気安定金属の層と金属ス
トリップとが、本発明でいう対向電極に相当する。
【0008】(5) 基板上に所定個の下部電極(第1表示
電極)と所定個の樹脂製隔壁とを形成し、これらの隔壁
の上面と所定形状のマスクとを突き合わせながら、蒸着
法によって前記の下部電極上に有機EL媒体層および対
向電極(第2表示電極)を順次形成するという方法(特
開平8−315981号公報参照)。
【0009】ところで、有機EL表示装置の開発の進展
に伴い、現在ではより高精細な有機EL表示装置の開発
が望まれるようになってきており、これに伴って、高い
位置度精度の下に、かつ、高精細に有機EL素子を形成
する技術の確立が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】有機EL素子を形成し
ようとする箇所に開口部が設けられている層間絶縁膜を
形成した後、所定形状のマスクを用いた蒸着法によって
有機多層部および対向電極を形成するという前記(1) の
方法では、マスクの使用時に当該マスクに歪みが生じ易
いこと等なから、層間絶縁膜に形成されている開口部と
マスクに形成されている開口部とを高い位置度精度の下
に一致させることが困難であり、その位置度精度は概ね
±20μmが限界である。このため、所望の大きさ(平
面視上の大きさ)を有する複数の有機EL素子を前記
(1) の方法によって高い位置度精度の下に形成すること
は困難である。
【0011】また、斜方蒸着法によって有機EL媒体層
および対向電極を形成する前記(2)の方法では、斜方蒸
着の際にマスクのように利用する壁の高さを所望の高さ
に制御することが困難であることから、(a) 有機EL素
子の大きさ(有機EL媒体層の平面視上の大きさ)につ
いての精度が低下し易く、当該精度が低いとホワイトバ
ランスの面内均一性が高いフルカラー有機EL表示装置
を得ることが困難になる、(b) 対向電極のエッジの位置
度精度が低くなり易く、その結果として、有機EL素子
の位置度精度も低くなり易い、といった問題を生じる。
さらに、斜方蒸着では基板と蒸着源との距離が基板面内
で異なってくるため、同一基板内において有機EL媒体
層の膜厚に分布ができ、その結果として、個々の有機E
L素子の性能に差異が生じて発光装置としての面内均一
性が低下し易い。
【0012】前記(3) または(4) の方法のように金属ス
トリップをリソグラフィー法によって形成する場合に
は、当該金属ストリップの材料となる導電膜の製膜,当
該導電膜上へのレジスト膜の製膜,レジストパターンの
形成(前記のレジスト膜の露光および現像),レジスト
パターンをマスクとして利用したウエットエッチングも
しくはドライエッチングによる前記導電膜のパターンニ
ングおよびレジストパターンの剥離という各工程を経る
わけであるが、有機EL素子の発光層の材料として利用
される有機発光材料の発光能は、レジスト膜の原料であ
るコーティング溶液中の溶剤,レジストパターン形成時
に使用される現像液,ウエットエッチングの際に使用さ
れるエッチング液あるいはレジストパターンを剥離する
際に使用される剥離液との接触によって低下ないしは消
失し易い。同様に、低仕事関数金属の電極としての機能
も、前記の溶剤,現像液,エッチング液あるいは剥離液
との接触によって低下し易い。そして、リソグラフィー
法によって金属ストリップを形成する際に、前記の溶
剤,現像液,エッチング液あるいは剥離液が有機EL媒
体層もしくは低仕事関数金属の層に侵入するのを防止す
ることは困難である。
【0013】また、金属ストリップの材料となる導電膜
のパターニングをドライエッチングによって行った場合
には、上記のエッチング液を使用しないで済むので、当
該エッチング液が有機EL媒体層に侵入することに起因
して生じる有機発光材料(有機EL媒体)の発光能の低
下ないしは消失や、当該エッチング液が低仕事関数金属
の層に侵入することに起因して生じる低仕事関数金属の
電極としての機能の低下を防止することができるが、こ
の場合でも前記の溶剤,現像液あるいは剥離液が有機E
L媒体層もしくは低仕事関数金属の層に侵入するのを防
止することは困難である。更には、ドライエッチングの
際の熱によって有機発光材料(有機EL媒体)の発光能
が低下ないしは消失し易い。したがって、前記(3) また
は(4) の方法によって個々の有機EL素子の発光特性が
高い有機EL発光装置を得ることは困難である。
【0014】基板に形成した隔壁の上面と所定形状のマ
スクとを突き合わせながら蒸着法によって有機EL媒体
層および対向電極を形成する前記(5) の方法では、前記
(1)の方法と同様に、所望の大きさ(平面視上の大き
さ)を有する複数の有機EL素子が高い位置度精度の下
に形成されている有機EL発光装置を得ることが困難で
あり、その結果として、高精細な有機EL表示装置を得
ることが困難である。
【0015】さらに、上記の隔壁を形成するにあたって
前記特開平8−315981号公報に開示されているよ
うにフォトレジストを用いた場合には、当該フォトレジ
ストの吸湿性が比較的高く、フォトレジスト(隔壁)中
に水分が吸収されていた場合には当該水分が有機EL素
子の製造後に経時的に放出されて対向電極の劣化を促進
することから、有機EL素子に発光欠陥が生じ易くな
る。
【0016】また、同公報には、非感光性のポリイミド
からなる隔壁本体と、当該隔壁本体上に形成されたSi
2 膜製のオーバーハング部とからなる隔壁も開示され
ているが、このような構造の隔壁では、対向電極ライン
の形成時に当該対向電極ラインの材料がオーバーハング
部の下側(基板側)に回り込んで下部電極(本発明でい
う画素電極に相当する。)上に付着し、リークや短絡が
生じ易い。
【0017】本発明の目的は、所望の大きさを有する複
数の有機EL素子を備え、個々の有機EL素子の発光特
性が高く、かつ、これらの有機EL素子が高い位置度精
度の下に高精細に形成されている有機EL発光装置を得
ることが容易な有機EL発光装置の製造方法を提供する
ことにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の有機EL発光装置の製造方法は、基材に複数の有
機EL素子用下部電極を形成して下部電極付き基板を得
る下部電極付き基板作製工程と、前記の有機EL素子用
下部電極が形成されている側の下部電極付き基板の外表
面に、有機EL素子用の対向電極を形成しようとする箇
所に開口部を有している剥離層を形成する剥離層形成工
程と、前記の剥離層をマスクとして利用して、有機EL
素子において有機発光部となる有機発光部用材料層を前
記の開口部から裸出している部材表面上に形成する有機
発光部用材料層形成工程と、前記の剥離層をマスクとし
て利用して、有機EL素子において対向電極となる対向
電極用材料層を前記の開口部内に形成されている有機発
光部用材料層上に形成して、前記の有機EL素子用下部
電極と前記の有機発光部用材料層と該対向電極用材料層
との平面視上の交差部に有機EL素子を形成する対向電
極用材料層形成工程と、前記の剥離層の少なくとも一部
を、前記の有機EL素子に対して実質的に不活性な剥離
液を用いて該剥離層上に形成されている層ごと除去する
剥離層除去工程とを含み、前記の剥離層を、前記の有機
EL素子に対して実質的に不活性な溶媒に可溶の樹脂に
よって形成することを特徴とするものである(以下、こ
の方法を「方法I」という。)。
【0019】また、上記の目的を達成する本発明の有機
EL発光装置の他の製造方法は、基材に複数の有機EL
素子用下部電極を形成して下部電極付き基板を得る下部
電極付き基板作製工程と、前記の有機EL素子用下部電
極が形成されている側の下部電極付き基板の外表面に、
前記の下部電極を覆うようにして、かつ、前記の基材か
らみたときの積層順が層間絶縁膜,剥離層となるように
して、有機EL素子用の対向電極を形成しようとする箇
所に開口部を有している層間絶縁膜−剥離層積層部を形
成する層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程と、前記の層
間絶縁膜−剥離層積層部をマスクとして利用して、有機
EL素子において有機発光部となる有機発光部用材料層
を前記の開口部から裸出している部材表面上に形成する
有機発光部用材料層形成工程と、前記の層間絶縁膜−剥
離層積層部をマスクとして利用して、有機EL素子にお
いて対向電極となる対向電極用材料層を前記の開口部内
に形成されている有機発光部用材料層上に形成して、前
記の有機EL素子用下部電極と前記の有機発光部用材料
層と該対向電極用材料層との平面視上の交差部に有機E
L素子を形成する対向電極用材料層形成工程と、前記の
剥離層の少なくとも一部を、前記の有機EL素子に対し
て実質的に不活性な剥離液を用いて該剥離層上に形成さ
れている層ごと除去する剥離層除去工程とを含み、前記
の剥離層を、前記の有機EL素子に対して実質的に不活
性な溶媒に可溶の樹脂によって形成することを特徴とす
るものである(以下、この方法を「方法II」とい
う。)。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず本発明の方法Iについて説明す
る。本発明の方法Iでは、上述したように、まず基材に
複数の有機EL素子用下部電極を形成して下部電極付き
基板を得る(下部電極付き基板作製工程)。
【0021】この下部電極付き基板作製工程で使用する
基材としては、目的とする有機EL発光装置において当
該基材側を光取り出し面とする場合には、有機EL素子
からの発光(EL光)に対して高い透過性(概ね80%
以上)を与えるもの(以下、このものを「透光性基材」
という。)を用いることが好ましい。また、基材側を光
取り出し面としない場合には、透光性基材を用いてもよ
いし、非透光性基材を用いてもよい。
【0022】透光性基材の具体例としては、アルカリガ
ラス,無アルカリガス等の透明ガラスからなるものや、
ポリイミド,ポリサルフォン等の透明樹脂からなるも
の、透光性アルミナ,ZnS焼結体等の透明セラミック
スからなるもの、あるいは石英からなるもの等が挙げら
れる。一方、非透光性基材を用いる場合、当該非透光性
基材は有機材料からなっていてもよいし、無機材料から
なっていてもよい。
【0023】基材はフィルム状物,シート状物および板
状物のいずれであってもよく、また、単層構造および複
数層構造のいずれの構造を有していてもよい。更には、
所望の有機EL素子用下部電極を形成することができさ
えすれば、電気絶縁性物質,半導体物質および導電性物
質のいずれからなっていてもよい。どのような基材を用
いるかは、目的とする有機EL発光装置の用途や生産性
等を勘案して適宜選択可能である。
【0024】上記の基材に形成される有機EL素子用下
部電極(以下、単に「下部電極」という。)の平面視上
の形状は、例えば矩形,円形,楕円形,ストライプ状等
とすることができる。ここで、例えばX−Yマトリック
ス型の有機EL表示パネルにおいては、個々の有機EL
素子毎に下部電極を形成するということをせずに、所定
個の有機EL素子に共通の帯状の下部電極(下部電極ラ
イン)を必要本数形成することが多々あるが、本発明で
いう「ストライプ状の下部電極」とは前記の下部電極ラ
インを意味し、当該下部電極ラインも本発明でいう「下
部電極」に含まれるものとする。
【0025】下部電極の大きさおよび下部電極同士のピ
ッチは目的とする有機EL発光装置における精細化の度
合い等に応じて適宜選択される。例えば、高精細なX−
Yマトリックス型の有機EL表示装置(画素数が概ね4
00個/cm2 )以上のものを意味する。以下同じ。)
用の有機EL発光装置(有機EL表示パネル)を得よう
とする場合には、個々の下部電極の平面視上の形状を短
手方向の幅が概ね499μm以下のストライプ状とし、
これらの下部電極同士のピッチを概ね500μm以下と
することが好ましい。
【0026】また、下部電極の材質は、目的とする有機
EL発光装置において上記の基材側を光取り出し面とす
るか否かに応じて、適宜選択される。すなわち、目的と
する有機EL発光装置において前述した基材側を光取り
出し面とする場合には、有機発光部で生じた光(EL
光)が透過するように、透光性を有する下部電極を形成
することができる材質を選択する。一方、目的とする有
機EL発光装置において前述した基材側を光取り出し面
とせずに後述する対向電極側を光取り出し面とする場合
には、下部電極は有機発光部で生じたEL光に対して透
光性を有していても有していなくてもよいので、当該下
部電極を陽極として利用するか陰極として利用するかに
応じて、その材質を選択する。
【0027】下部電極を陽極として利用する場合には、
仕事関数が大きい(例えば4eV以上)金属,合金,電
気伝導性化合物またはこれらの混合物等を当該下部電極
の材料として用いることが好ましく、その具体例として
はAu等の金属や、CuI,ITO,錫酸化物,亜鉛酸
化物,In−Zn−O系酸化物等の導電性透明材料が挙
げられる。一方、下部電極を陰極として利用する場合に
は、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属,合
金,電気伝導性化合物,またはこれらの混合物等を当該
下部電極の材料として用いることが好ましく、その具体
例としてはナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,マ
グネシウム,リチウム,マグネシウムと銀との合金また
は混合金属,マグネシウム−銅混合物,アルミニウム,
Al/Al23 ,Al−Li合金,インジウムやイッ
テルビウム等の希土類金属などが挙げられる。
【0028】電気絶縁性材料からなる基材を用いた場合
の下部電極の形成は、例えば、当該下部電極の材料とな
る導電膜を真空蒸着法,スパッタリング法およびイオン
プレーティング法等の各種PVD法(物理的蒸着法)
や、各種CVD法(化学的気相蒸着法)、あるいは塗布
熱分解法等の方法によって形成した後、この導電膜をフ
ォトリソグラフィー法,電子線リソグラフィー法,X線
リソグラフィー法等の各種リソグラフィー法によって所
望形状にパターンニングすることによって行うことがで
きる。また、所定形状のマスクを用いたPVD法,CV
D法,スクリーン印刷法等の方法によって直接形成する
ことも可能である。
【0029】一方、導電性材料からなる基材を用いた場
合(電気絶縁性材料からなる層と導電性材料からなる層
とを有している複数層構造の基材を用い、かつ、当該基
材における導電性材料からなる層に下部電極を形成する
場合を含む。)の下部電極の形成は、例えば、陽極酸化
法,イオン注入法等の方法によって当該導電性材料から
なる基材または導電性材料からなる層の所望箇所にその
厚さ方向の全体に亘って電気絶縁部を形成することによ
り行うことができる。さらには、ポリシリコン等の半導
体の所望箇所にホウ素,リン等をイオン注入することに
よって当該箇所を低抵抗化し、ここを下部電極として利
用することもできる。
【0030】どのような方法によって下部電極を形成す
るかは、基材の材質,目的とする有機EL発光装置の用
途,生産性等を勘案して適宜選択可能である。ただし、
下部電極の材料としてアルカリ金属またはアルカリ土類
金属を成分として含有している材料(例えばアルカリ金
属,アルカリ土類金属,アルカリ金属とアルカリ土類金
属との合金もしくは混合物,アルカリ金属もしくはアル
カリ土類金属を含有している合金もしくは混合物等)を
使用する場合には、リソグラフィー法を利用することな
く下部電極を形成することが好ましい。前記の材料から
なる下部電極をリソグラフィー法を利用して形成する
と、レジスト膜の原料であるコーティング溶液中の溶
剤,レジストパターン形成時に使用される現像液,ウエ
ットエッチングの際に使用されるエッチング液(ただ
し、ウエットエッチングによってパターニングする場合
に限る。)あるいはレジストパターンを剥離する際に使
用される剥離液との接触によって、前記の材料の下部電
極としての機能が低下し易い。
【0031】本発明の方法では、前述した基材に上述し
た下部電極を形成することによって下部電極付き基板を
得た後、前記の下部電極が形成されている側の下部電極
付き基板の外表面に、有機EL素子用の対向電極を形成
しようとする箇所に開口部を有している剥離層を形成す
る(剥離層形成工程)。
【0032】後述する正孔注入層または電子注入層が下
部電極上に形成されている有機EL素子を備えた有機E
L発光装置を得ようとする場合には、剥離層形成工程に
先立って、有機EL素子において正孔注入層となる正孔
注入層用材料層または有機EL素子において電子注入層
となる電子注入用材料層を必要に応じて形成してもよ
い。これらの正孔注入層用材料層または電子注入層用材
料層は、例えば前記の下部電極を覆うようにして当該下
部電極が形成されている側の下部電極付き基板の外表面
に形成される。したがって、本発明でいう「下部電極が
形成されている側の下部電極付き基板の外表面に剥離層
を形成する」とは、下記(1) 〜(3) のいずれをも包含す
る。
【0033】(1) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極付き基板を
得た後、当該下部電極付き基板において下部電極が成形
されている側の外表面(下部電極の外表面を含む。)に
剥離層を形成する。
【0034】(2) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極付き基板を
得た後、当該下部電極付き基板において下部電極が形成
されている側の外表面(下部電極の外表面を含む。)に
正孔注入層用材料層を形成し、当該正孔注入層用材料層
が成形されている側の下部電極付き基板の外表面(正孔
注入層用材料層の外表面を含む。)に剥離層を形成す
る。
【0035】(3) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極付き基板を
得た後、当該下部電極付き基板において下部電極が形成
されている側の外表面(下部電極の外表面を含む。)に
電子注入層用材料層を形成し、当該電子注入層用材料層
が成形されている側の下部電極付き基板の外表面(電子
注入層用材料層の外表面を含む。)に剥離層を形成す
る。
【0036】複数の有機EL素子を備え、かつ、これら
の有機EL素子をそれぞれ別個に駆動させることができ
る有機EL発光装置を得るうえからは、対向電極同士の
間で短絡が生じないようにする必要があるので、剥離層
の膜厚は、後述する有機発光部用材料層の膜厚と対向電
極用材料層の膜厚との和より厚くする方が好ましい。剥
離層の膜厚をこのように厚くすれば、後述する剥離層除
去工程で当該剥離層をその上に形成されている層ごと剥
離したときに、対向電極を形成しようとする箇所以外の
箇所に形成されいる対向電極用材料層が除去されるの
で、対向電極同士の間で短絡が生じない有機EL発光装
置を得ることができる。
【0037】また、個々の有機EL素子の発光特性が高
い有機EL発光装置を得るうえからは、形成しようとす
る有機EL素子に対して不活性な溶媒に可溶の樹脂、す
なわち、有機EL素子を構成している後述の有機発光部
に使用されている有機材料または対向電極用材料と実質
的に反応しない溶媒に可溶の樹脂によって上記の剥離層
を形成することが好ましい。
【0038】上記の溶媒としては、有機EL素子の有機
発光部に使用されている有機材料の溶解度が0.001
%以下のものが特に好ましく、その具体例としては次の
フッ素化炭化水素が挙げられる。すなわち、直鎖状パー
フルオロアルカン(動粘度が0.1〜1cSt程度のも
の)等のフッ素化低級パラフィン(炭素数が50以下の
もの)や、パーフルオロアミン等のフッ素化低級アミン
(炭素数が20以下のもの)、パーフルオロポリエーテ
ル(分子量が1000〜10000程度のもの)等のフ
ッ素化ポリエーテルなどが挙げられる。また、フッ素化
シリコーンオイルを上記の溶媒として用いることもでき
る。
【0039】一方、前記の樹脂の具体例としては、(1)
ポリクロロトリフルオロエチレン,ポリジクロロジフル
オロエチレン,クロロトリフルオロエチレンとジクロロ
ジフルオロエチレンとの共重合体等のフッ素化ポリオレ
フィン、(2) テトラフルオロエチレンと下式
【化1】 によって示される化合物との共重合体等のフッ素化環状
ポリオレフィン、(3) テトラフルオロエチレンとパーフ
ルオロアリルビニルエーテルとの共重合体,クロロトリ
フルオロエチレンとパーフルオロアリルビニルエーテル
との共重合体,テトラフルオロエチレンとパーフルオロ
アルキルビニルエーテルとの共重合体,クロロトリフル
オロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体等のフッ素化ポリエーテル、および(4) フッ
素化ポリシロキサン、などのフッ素系樹脂が挙げられ
る。これらの樹脂の中でも、テトラフルオロエチレンと
炭素数が4〜8のパーフルオロアリルビニルエーテルと
の重合体や、テトラフルオロエチレンと炭素数が4〜8
のパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体が
好ましい。
【0040】剥離層の形成は、例えば次のようにして行
うことができる。まず、剥離層の材料となる樹脂層を形
成することができるコーティング液(プレポリマーをも
含めるものとする。)を調製し、このコーティング液を
用いたスピンコート法,ディッピング法,バーコート法
等の方法によって、前述した下部電極が形成されている
側の下部電極付き基板の外表面全体に未硬化の樹脂層を
形成する。次いで、当該未硬化の樹脂層を熱や紫外線等
によって硬化させて、剥離層の材料となる樹脂層を得
る。この後、当該樹脂層をリソグラフィー,レーザビー
ム加工,電子線ビーム描画等の方法によって所望形状に
パターニングすることによって、目的とする剥離層を得
る。剥離層の材料となる樹脂層のパターニングを如何な
る方法によって行うかは、当該樹脂層の材質,当該樹脂
層の下地となっている下部電極や基材の材質,生産性等
を勘案して適宜選択可能である。
【0041】また、剥離層は後述する有機発光部用材料
層の形成時および対向電極用材料層の形成時にマスクと
して利用されるので、上記樹脂層のパターニングは、有
機EL素子用の対向電極を形成しようとする箇所に開口
部を有する剥離層が得られるように行う。後述するよう
に、方法Iで形成する対向電極の平面視上の形状は、例
えばストライプ状,ドット状等とすることができ、本発
明でいう「ストライプ状の対向電極」とは対向電極ライ
ンを意味するので、前記の開口部は、対向電極ラインを
形成する際のように個々の有機EL素子の形成範囲を超
えて設けられていてもよい。なお、剥離層の材料となる
樹脂層をパターニングするにあたってレジストパターン
を用いた場合には、後述する有機発光部用材料層形成工
程の前、または、後述する剥離層除去工程において当該
レジストパターンを除去する。
【0042】方法Iでは、上述のようにして剥離層を形
成した後、この剥離層をマスクとして利用して、有機E
L素子において有機発光部となる有機発光部用材料層を
前記の開口部(剥離層に設けられている開口部)から裸
出している部材表面上に形成する(有機発光部用材料層
形成工程)。
【0043】ここで、有機EL素子の層構成の具体例と
しては下記(1)〜(4)のもの、すなわち、 (1)陽極/発光層/陰極 (2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極 (3)陽極/発光層/電子注入層/陰極 (4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極 のものが挙げられ、上記(1)のタイプの有機EL素子
では発光層が本発明でいう有機発光部に相当し、上記
(2)のタイプの有機EL素子では正孔注入層および発
光層が本発明でいう有機発光部に相当し、上記(3)の
タイプの有機EL素子では発光層および電子注入層が本
発明でいう有機発光部に相当し、上記(4)のタイプの
有機EL素子では正孔注入層,発光層および電子注入層
が本発明でいう有機発光部に相当する。
【0044】発光層は、通常1種または複数種の有機発
光材料によって形成されるが、有機発光材料と電子注入
材料および/または正孔注入材料との混合物や、当該混
合物もしくは有機発光材料を分散させた高分子材料等に
よって形成してもよい。また、正孔注入層と共に正孔輸
送層が併用される場合もあるが、本明細書でいう「正孔
注入層」とは、特に断らない限り、正孔注入層と共に正
孔輸送層が併用されている層と、正孔注入層の単独層と
の総称である。
【0045】本発明でいう有機発光部用材料層の層構成
は、前述した下部電極(陽極または陰極)と後述する対
向電極(陰極または陽極)との間に電圧を印加すること
によって所望の発光(EL光)が得られるものであれば
特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。そ
して、有機発光部用材料層を構成している層の材料も特
に限定されるものではなく、所望色の光(EL光)を出
射する有機EL素子が得られさえすれば種々の材料を使
用することができる。
【0046】有機発光部用材料層を形成するにあたって
は、個々の有機EL素子の発光特性が高い有機EL発光
装置を得るうえから、少なくとも発光層については真空
蒸着法によって形成することが好ましい。有機発光部用
材料層を構成する他の層については、その材料に応じて
種々の方法を適用して形成することができるが、真空蒸
着法によって他の層も形成するようにすれば、真空蒸着
法のみによって有機発光部用材料層を形成することがで
きるので、実用上好都合である。
【0047】有機発光部用材料層は、前述した剥離層を
マスクとして利用して形成されるので、剥離層に形成さ
れている開口部から裸出している部材表面上、すなわ
ち、基材表面上または下部電極表面上(有機発光部用材
料層形成工程の前に、前述したように正孔注入層または
電子注入層を予め形成した場合には、当該正孔注入層上
または電子注入層上)に形成されるが、剥離層の外表面
上にも形成される。
【0048】方法Iでは、上述した有機発光部用材料層
の形成に引き続いて、有機EL素子において対向電極と
なる対向電極用材料層を前述した剥離層をマスクとして
利用して形成する(対向電極用材料層形成工程)。
【0049】対向電極用材料層の平面視上の形状は、例
えば矩形,円形,楕円形,ドット状,ストライプ状等と
することができる。ここで、例えばX−Yマトリックス
型の有機EL表示パネルにおいては、個々の有機EL素
子毎に対向電極を形成するということをせずに、所定個
の有機EL素子に共通の帯状の下部電極(下部電極ライ
ン)を必要本数形成することが多々あるが、本発明でい
う「ストライプ状の対向電極」とは前記の対向電極ライ
ンを意味し、当該対向電極ラインも本発明でいう「下部
電極」に含まれるものとする。
【0050】有機EL素子用の対向電極の材料は、目的
とする有機EL発光装置において前述した基材側を光取
り出し面とするか否かに応じて、適宜選択される。すな
わち、目的とする有機EL発光装置において前述した基
材側を光取り出し面とする場合、対向電極は有機発光部
で生じたEL光に対して透光性を有していても有してい
なくてもよいので、当該対向電極を陽極として利用する
か陰極として利用するかに応じて、その材質を選択す
る。一方、目的とする有機EL発光装置において前述し
た基材側を光取り出し面とする場合には、有機発光部で
生じた光(EL光)が透過するように、透光性を有する
対向電極を形成することができる材質を選択する。
【0051】対向電極を陰極として利用する場合には、
仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属,合金,電
気伝導性化合物またはこれらの混合物等を当該対向電極
の材料として用いることが好ましく、その具体例として
はナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,マグネシウ
ム,リチウム,マグネシウムと銀との合金または混合金
属,マグネシウム−銅混合物,アルミニウム,Al/A
23 ,Al−Li合金,インジウムやイッテルビウ
ム等の希土類金属などが挙げられる。一方、対向電極を
陽極として利用する場合には、仕事関数が大きい(例え
ば4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物またはこ
れらの混合物等を当該対向電極の材料として用いること
が好ましく、その具体例としてはAu等の金属や、Cu
I,ITO,錫酸化物,亜鉛酸化物,In−Zn−O系
酸化物等の導電性透明材料が挙げられる。
【0052】対向電極用材料層は、前述した剥離層をマ
スクとして利用して、真空蒸着法,スパッタリング法,
CVD法等の方法によって形成することが好ましい。こ
のとき、対向電極用材料層は剥離層に形成されている開
口部内の有機発光部用材料層上に形成される他、剥離層
の外表面に形成されている有機発光部用材料層上にも形
成される。なお、リソグラフィー法を利用して対向電極
用材料層のパターンを形成した場合には、個々の有機E
L素子の発光特性が高い有機EL発光装置を得ることが
困難になる。
【0053】上述のようにして対向電極用材料層まで形
成した後の下部電極付き基板においては、下部電極のう
ちで有機発光部用材料層の形成前に剥離層の開口部から
裸出していた部分で、下部電極,有機発光部用材料層お
よび対向電極用材料層が平面視上交差する。すなわち、
当該部分においては、基材からみて下部電極,有機発光
部用材料層および対向電極用材料層がこの順で積層され
ている。したがって、この平面視上の交差部は下部電
極,有機発光部および対向電極からなる有機EL素子と
して機能する。
【0054】ただし、上述のようにして対向電極用材料
層まで形成しただけでは、有機EL素子同士の間で短絡
が生じて個々の有機EL素子を別個に駆動させることが
できなくなる可能性がある。このため方法Iにおいて
は、対向電極用材料層の形成後に、上記の有機EL素子
に対して実質的に不活性な剥離液を用いて前述した剥離
層を当該剥離層上に形成されている層ごと除去する(剥
離層除去工程)。
【0055】ここで、本発明でいう「有機EL素子に対
して実質的に不活性な剥離液」とは、有機EL素子の有
機発光部に使用されている有機材料(有機発光材料,正
孔注入層用の有機材料および電子注入層用の有機材料の
総称である。以下同じ。)または有機EL素子の対向電
極に使用されている対向電極用材料と実質的に反応せ
ず、かつ、前述した剥離層を溶解させるか、または基材
から剥離させることができる液を意味する。
【0056】当該剥離液の具体例としては、剥離層につ
いての説明のなかで挙げた「有機EL素子に対して実質
的に不活性な溶媒」と同じものが挙げられる。ジクロロ
メタン,ジクロロエタン,テトラヒドロフラン,ヘキサ
ン,キシレン等の溶媒は有機発光部に使用されている有
機材料を溶解させるので、本発明でいう剥離液としては
好ましくない。また、過酸化水素水,希塩酸,希硝酸,
希アンモニア水等は対向電極用材料に損傷(具体的には
溶解,酸化または変質)を与えるので、本発明でいう剥
離液としては好ましくない。そして、フォトレジストま
たはドライフィルムフォトレジストの現像液もしくは剥
離液として従来より利用されている水酸化テトラメチル
アンモニウム水溶液,水酸化カリウム水溶液,水酸化ナ
トリウム水溶液,エチルセルソルブアセテート,ブチル
セルソルブアセテート,ブチルエーテル,イソオクタ
ン,アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチル
ケトン等の溶媒もまた、有機発光部に使用されている有
機材料または対向電極用材料に損傷を与えるので、本発
明でいう剥離液としては好ましくない。
【0057】上記の剥離液を用いての剥離層の除去は、
当該剥離層を完全に除去するまで行わなければならない
というものではなく、当該剥離層上に形成されている
層、特に対向電極用材料層が除去されるまで行えば実用
上は十分である。剥離層の上端部が溶解されれば、当該
剥離層上に形成されている層は自ずと除去される。その
結果として、対向電極を形成しようとする箇所以外の箇
所に形成されいる対向電極用材料層が除去されて所望の
対向電極が形成されるので、対向電極同士の間で短絡が
生じない有機EL発光装置を得ることができる。
【0058】ただし、下部電極付き基板作製工程、剥離
層形成工程、有機発光部用材料層形成工程、対向電極用
材料層形成工程および剥離層除去工程を含む一連の操作
を1回行っただけでは、発光色が異なる複数種の有機E
L素子を備えた有機EL発光装置を得ることは困難であ
る。したがって、マルチカラーディスプレイ用またはフ
ルカラーディスプレイ用の有機EL発光装置(有機EL
表示パネル)を得ようとする場合には、下部電極付き基
板作製工程を行った後、剥離層形成工程、有機発光部用
材料層形成工程、対向電極用材料層形成工程および剥離
層除去工程を含む一連の操作を複数回くり返して行うこ
とが好ましい。
【0059】このとき、剥離層における開口部の位置を
前記一連の操作ごとに適宜変更し、かつ、有機発光部用
材料層形成工程については前記一連の操作ごとに少なく
とも有機発光材料を変えて行うことにより、所望色の光
(EL光)を出射する有機EL素子を所望箇所に形成す
ることができるので、マルチカラーディスプレイ用の有
機EL発光装置(有機EL表示パネル)は勿論、画素の
配置がモザイク型,トライアングル型,ストライプ型,
4画素配置型等である種々のフルカラーディスプレイ用
の有機EL発光装置(有機EL表示パネル)を得ること
ができる。
【0060】また、有機EL素子に水分や酸素が侵入す
るとその発光特性や素子寿命が低下するので、方法Iに
おいては、剥離層除去工程を行った後に、有機EL素子
に水分や酸素が侵入するのを防止するための封止層を設
ける封止層形成工程を必要に応じて行ってもよい。
【0061】上記の封止層の材料としては、例えば、テ
トラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーと
を含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合
体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロ
ロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンと
ジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%
以上の吸水性物質および吸水率0.1%以下の防湿性物
質、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,T
i,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO2 ,Al2
3 ,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe23
23 ,TiO2 等の金属酸化物、MgF2 ,Li
F,AlF3 ,CaF2 等の金属フッ化物、パーフルオ
ロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリエ
ーテル等の液状フッ素化炭化水素および当該液状フッ素
化炭化水素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させた
もの等が挙げられる。
【0062】封止層を形成するにあたっては、当該封止
層の材料に応じて真空蒸着法,スピンコート法,スパッ
タリング法,キャスト法,MBE(分子線エピタキシ
ー)法,クラスターイオンビーム蒸着法,イオンプレー
ティング法,プラズマ重合法(高周波励起イオンプレー
ティング法),反応性スパッタリング法,プラズマCV
D法,レーザーCVD法,熱CVD法,ガスソースCV
D法等を適宜適用することができる。
【0063】封止層の材料として液状フッ素化炭化水素
や当該液状フッ素化炭化水素に水分や酸素を吸着する吸
着剤を分散させたもの等の液状物を用いる場合には、基
材上に形成されている有機EL素子(既に別の封止層が
あってもよい。)の外側に、前記の基材と共同してこの
有機EL素子との間に空隙を形成しつつ当該有機EL素
子を覆うハウジング材を設け、前記の基材と前記のハウ
ジング材とによって形成された空間に前記の液状物を充
填することによって封止層を形成することが好ましい。
前記のハウジング材としては、吸水率の小さいガラスま
たはポリマー(例えば三フッ化塩化エチレン)からなる
ものが好適に用いられる。ハウジング材を使用する場合
には、上述した封止層を設けずに当該ハウジング材のみ
を設けてもよいし、ハウジング材を設けた後に、当該ハ
ウジング材と前記の基材とによって形成された空間に酸
素や水を吸着する吸着材の層を設けるか当該吸着材から
なる粒子を分散させてもよい。
【0064】以上説明した各工程を含んでいる本発明の
方法Iでは、リソグラフィー法等によって所望の大きさ
および形状を有する有機EL素子用下部電極を高精度か
つ高精細に形成することができる。また、個々の有機E
L素子の有機発光部および対向電極は、有機EL素子用
の対向電極を形成しようとする箇所に開口部を有してい
る剥離層を下部電極付き基板に形成し、この剥離層をマ
スクとして利用して斜方蒸着法以外の製膜方法によって
有機発光部用材料層および対向電極用材料層を順次形成
した後、有機EL素子に対して実質的に不活性な剥離液
を用いて前記の剥離層の少なくとも一部を当該剥離層上
に形成されている層ごと剥離することによって形成され
るので、これら有機発光部および対向電極を形成するに
あたってリソグラフィー法を適用する必要がない。そし
て、前記の開口部はリソグラフィー法等によって所望箇
所に高精度かつ高精細に形成することができる。
【0065】すなわち、有機EL素子の発光層の材料と
して使用した有機発光材料の発光能を低下させることな
く、また、対向電極用材料の電極としての機能を低下さ
せることなく、所望の大きさ(平面視上の大きさ)を有
する複数の有機EL素子を高い位置度精度の下に高精細
に形成することができる。
【0066】したがって、方法Iによれば所望の大きさ
(平面視上の大きさ)を有する複数の有機EL素子を備
え、個々の有機EL素子の発光特性が高く、かつ、これ
らの有機EL素子が高い位置度精度の下に高精細に形成
されている有機EL発光装置を容易に得ることができ
る。また、個々の有機EL素子の性能についての均一性
が高い有機EL発光装置を容易に得ることができる。方
法Iによって製造した有機EL発光装置は、有機EL表
示パネルやその材料として好適である他、線状の画素ア
レイ等としても好適である。
【0067】次に、本発明の方法IIについて説明する。
本発明の方法IIは、前述したように、基材に複数の有機
EL素子用下部電極を形成して下部電極付き基板を得る
下部電極付き基板作製工程と、前記の有機EL素子用下
部電極が形成されている側の下部電極付き基板の外表面
に、前記の下部電極を覆うようにして、かつ、前記の基
材からみたときの積層順が層間絶縁膜,剥離層となるよ
うにして、有機EL素子用の対向電極を形成しようとす
る箇所に開口部を有している層間絶縁膜−剥離層積層部
を形成する層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程と、前記
の層間絶縁膜−剥離層積層部をマスクとして利用して、
有機EL素子において有機発光部となる有機発光部用材
料層を前記の開口部から裸出している部材表面上に形成
する有機発光部用材料層形成工程と、前記の層間絶縁膜
−剥離層積層部をマスクとして利用して、有機EL素子
において対向電極となる対向電極用材料層を前記の開口
部内に形成されている有機発光部用材料層上に形成し
て、前記の有機EL素子用下部電極と前記の有機発光部
用材料層と該対向電極用材料層との平面視上の交差部に
有機EL素子を形成する対向電極用材料層形成工程と、
前記の剥離層の少なくとも一部を、前記の有機EL素子
に対して実質的に不活性な剥離液を用いて当該剥離層上
に形成されている層ごと除去する剥離層除去工程とを含
み、前記の剥離層を、前記の有機EL素子に対して実質
的に不活性な溶媒に可溶の樹脂によって形成することを
特徴とするものである。
【0068】この方法IIは、剥離層形成工程に代えて層
間絶縁膜−剥離層積層部形成工程を行い、その後、層間
絶縁膜−剥離層積層部をマスクとして利用して有機発光
部用材料層形成工程および対向電極用材料層形成工程を
行う以外は前述した方法Iと同じであるので、ここで
は、層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程について詳細に
説明する。
【0069】方法IIにおける層間絶縁膜−剥離層積層部
形成工程では、まず、有機EL素子用下部電極が形成さ
れている側の下部電極付き基板の外表面に、下部電極を
覆うようにして層間絶縁膜用の電気絶縁膜を形成する。
前述した方法Iにおけると同様に、正孔注入層または電
子注入層が下部電極上に形成されている有機EL素子を
備えた有機EL発光装置を得ようとする場合には、層間
絶縁膜−剥離層積層部形成工程に先立って、有機EL素
子において正孔注入層となる正孔注入層用材料層または
有機EL素子において電子注入層となる電子注入用材料
層を必要に応じて形成してもよい。これらの正孔注入層
用材料層または電子注入層用材料層は、前記の下部電極
を覆うようにして、当該下部電極が形成されている側の
下部電極付き基板の外表面に形成することができる。
【0070】層間絶縁膜は、対向電極と下部電極との間
で短絡が生じるのを防止するためのものであるので、当
該層間絶縁膜の材料として用いる電気絶縁膜の膜厚は、
所望の電気絶縁特性を有する層間絶縁膜が得られるよう
に、その材料や、膜の性質(例えばピンホールがない
等)等に応じて適宜選択される。
【0071】また、層間絶縁膜は目的とする有機EL発
光装置の一構成部材なので、微細なパターニングを施す
ことが可能であっても吸水率(ASTM規格のD570
に準拠した方法によって測定した吸水率を意味する。以
下同じ。)が0.5%を超える電気絶縁膜からなるもの
は、次の理由から好ましくない。すなわち、吸水率が
0.5%を超える電気絶縁膜からなる層間絶縁膜を用い
た場合には、有機EL発光装置の形成過程で当該層間絶
縁膜に水分が吸収され易く、この水分が有機EL発光装
置の作製後に経時的に放出されて有機EL素子の対向電
極を酸化腐食させる危険性が高くなる。有機EL素子の
対向電極が酸化腐食すると当該有機EL素子の発光特性
が低下し、場合によっては全く発光しなくなってしま
う。したがって、層間絶縁膜の材料として用いる電気絶
縁膜は、吸水率が0.5%以下で、かつ、微細なパター
ニングを施すことが可能であるものが好ましい。
【0072】上記の条件を満たす電気絶縁膜は、例え
ば、環状構造を有するポリオレフィン,ポリキノリン,
ラダー型ポリシロキサン等の樹脂や、Al23 , Si
x (1≦x≦2),SiNx (0<x≦(4/
3)),SiON,SiOF,α−C,α−C:F(フ
ッ素添加非晶質カーボン)等の無機材料によって形成す
ることができる。電気絶縁膜を形成するにあたっては、
当該電気絶縁膜の材料に応じて、真空蒸着法,スパッタ
リング法,イオンプレーティング法等のPVD法や、C
VD法、あるいはスピンコート法,キャスト法等の方法
を適宜適用することができる。
【0073】層間絶縁膜は、上記の電気絶縁膜の所定箇
所にリソグラフィー,レーザービーム加工,電子線ビー
ム描画等の方法によって開口部を形成することにより得
ることができる。このとき形成する開口部の場所は、有
機EL素子を形成しようとする箇所のみであってもよい
し、有機EL素子用の対向電極を形成しようとする箇所
であってもよい。
【0074】有機EL素子を形成しようとする箇所のみ
に開口部を有する層間絶縁膜を得ようとする場合には、
剥離層用材料層を形成する前に当該層間絶縁膜を形成す
る。一方、有機EL素子用の対向電極を形成しようとす
る箇所に開口部を有する層間絶縁膜を得ようとする場合
には、剥離層用材料層を形成する前に当該層間絶縁膜を
形成してもよいし、剥離層用材料層をパターニングして
剥離層を一旦得た後にこの剥離層をマスクとして利用し
たエッチング法によって当該層間絶縁膜を形成してもよ
いし、剥離層用材料層をパターニングして剥離層を得る
際に上記の電気絶縁膜を実質的に一緒にパターニングし
て当該層間絶縁膜を形成してもよい。
【0075】剥離層は、方法Iにおけると同様にして剥
離層用材料層の形成およびそのパターニングを行うこと
により得ることができる。そして、層間絶縁膜および剥
離層を上述のようにして形成することにより、目的とす
る層間絶縁膜−剥離層積層部が得られる。
【0076】方法IIによる有機EL発光装置の製造は、
上述のようにして層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程を
行った後に、当該層間絶縁膜−剥離層積層部をマスクと
して利用して有機発光部用材料層形成工程および対向電
極用材料層形成工程を行う以外は前述した方法Iと同様
にして行われる。
【0077】以上説明した方法IIによれば、方法Iにお
けると同様の理由から、所望の大きさ(平面視上の大き
さ)を有する複数の有機EL素子を備え、個々の有機E
L素子の発光特性が高く、かつ、これらの有機EL素子
が高い位置度精度の下に高精細に形成されている有機E
L発光装置を容易に得ることができる。また、個々の有
機EL素子の性能についての均一性が高い有機EL発光
装置を容易に得ることができる。さらに、対向電極と下
部電極との間で短絡が生じるのを防止するための層間絶
縁膜を形成しているので、対向電極と下部電極との間で
短絡が生じにくい有機EL素子を備えた有機EL発光装
置を得易く、かつ、対向電極の側面(長手方向に沿って
延びる側面)が層間絶縁膜に密着して形成されるので、
当該対向電極の縁部(長手方向に沿って延びる縁部)が
酸素や水分によって劣化されることが起こりづらくな
り、個々の有機EL素子に無発光欠陥が生じにくい有機
EL発光装置を得ることができる。
【0078】方法IIによって製造した有機EL発光装置
は、方法Iによって製造した有機EL発光装置と同様
に、有機EL表示パネルやその材料として好適である
他、線状の画素アレイ等としても好適である。
【0079】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。実施例1 (方法Iによる有機EL発光装置の製造) (1)下部電極付き基板作製工程 まず、10×10×0.11cmの白板ガラスの片面に
膜厚130nmのITO膜が製膜されているものを用意
した。次に、フォトリソグラフィー法によって上記のI
TO膜をパターニングして、図1(a)に示すように、
上記の白板ガラスからなる基材1の片面に幅280μ
m,長さ8.2cmのストライプ状を呈するITO膜製
の下部電極2を300μmピッチ(隣り合う下部電極2
同士のギャップは20μm)で計300本形成し、これ
によって下部電極付き基板3を得た。
【0080】(2)剥離層形成工程 まず、下部電極2が形成されている側の下部電極付き基
板3の外表面全体に、環状構造を有するフッ素化ポリエ
ーテルからなる膜厚3.1μmのフッ素系樹脂層(硬化
後のもの。吸水率は0.01%以下。)をスピンコート
法を利用して形成した。このとき、上記のフッ素系樹脂
層の材料(コーティング液)として旭ガラス社製のサイ
トップCTX−809Aを用い、スピンコーティングの
初期の段階では下部電極付き基板3の回転数を500r
pmとし、この回転数で10秒間回転させた後、回転数
を1200rpmに上げて更に30秒間回転させた。ま
た、スピンコート後に120℃で2分間熱処理して、乾
燥・硬化させた。
【0081】次いで、スピンコート法によって上記のフ
ッ素系樹脂層上に膜厚2μmのポジ型レジスト(東京応
化社製のTOPR−100)層を形成した。この後、所
定形状のマスクを用いつつ上記のポジ型レジスト層を高
圧水銀灯のg線(波長436nm;出力500mW/c
2 )によって露光し、更に現像,ポストベークを行っ
て、所定箇所に開口部を有するレジストパターンを得
た。前記の開口部の総数は240本であり、個々の開口
部は、平面視上、幅280μm,長さ9.6cmのスト
ライプ状を呈する。開口部同士のピッチは300μm、
隣り合う開口部同士のギャップは20μmである。開口
部の各々は、前述した下部電極2(図1参照)の各々と
平面視上直交するように形成されている。
【0082】次に、上記のレジストパターンをマスクと
して用いた反応性イオンエッチングによってフッ素系樹
脂層をパターニングした。前記の反応性イオンエッチン
グは、CHF3 ガスとCF4 ガスとArガスとの混合ガ
スをエッチングガスとして用い、CHF3 ガス,CF4
ガスおよびArガスの流量(単位:SCCM)比をCH
3 ガス:CF4 ガス:Arガス=25:24:98、
プラズマ出力を300Wにして行った。
【0083】上記のパターニングにより、図2に示すよ
うに、下部電極2が形成されている側の下部電極付き基
板3の外表面に、平面視上の形状が幅280μm,長さ
9.6cmのストライプ状を呈する開口部4aが300
μmピッチ(隣り合う開口部4a同士のギャップは20
μm)で計240本形成されているフッ素系樹脂製の剥
離層4が形成された。なお、図2中の二点鎖線は、エッ
チングされる前のフッ素系樹脂層の上端を示している。
【0084】その後、剥離層4上のレジストパターン5
(図2参照)をO2 プラズマアッシング装置を用いて除
去した。このとき、各下部電極2上の残留有機物も除去
されたので、結果として、各下部電極2が洗浄された。
【0085】(3)有機発光部用材料層形成工程 上記の剥離層4をマスクとして利用して、以下の要領で
正孔注入層用材料層,正孔輸送層用材料層および発光層
を順次製膜して、図3に示すように、上記(2)で形成
した剥離層4における各開口部4aから裸出している下
部電極2の表面上および基材1の表面上ならびに剥離層
4の外表面上に、正孔注入層用材料層,正孔輸送層用材
料層および発光層の3つの層からなる有機発光部用材料
層6を形成した。
【0086】まず、下式(I)
【化2】 によって示されるアミンオリゴマー(以下、このものを
「TPD74」と略記する。)を蒸着材料として用い
て、真空蒸着法により膜厚80nmの正孔注入層用材料
層を形成した。
【0087】次に、下式(II)
【化3】 によって示されるN,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニ
ル)−4,4’−ジアミン(以下、「TPD」と略記す
る。)を蒸着材料として用いて、真空蒸着法により上記
の正孔注入層用材料層(TPD74層)上に膜厚20n
mの正孔輸送層用材料層を形成した。
【0088】この後、緑色のEL光が生じる有機発光材
料の1つであるトリス(8−ヒドロキシキノリノ)アル
ミニウム錯体(以下、「Alq」と略記する。)を蒸着
材料として用いて、真空蒸着法により上記の正孔輸送層
用材料層(TPD層)上に膜厚60nmの発光層用材料
層(Alq層)を形成した。
【0089】(4)対向電極用材料層形成工程 前述した剥離層4をマスクとして利用した真空蒸着法に
よって、図4に示すように、上記(3)で形成した有機
発光部用材料層6上に膜厚200nmのAl−Li合金
(Li濃度は0.5at%)層7を形成した。このAl−
Li合金層7は対向電極用材料層であるので、以下「対
向電極用材料層7」という。上記の対向電極用材料層7
まで形成した後の下部電極付き基板3では、図4に示し
たように、下部電極2のうちで有機発光部用材料層6の
形成前において剥離層4の開口部4aから裸出していた
部分で、下部電極2,有機発光部用材料層6および対向
電極用材料層7が平面視上交差する。すなわち、当該部
分においては、基材からみて下部電極2,有機発光部用
材料層6および対向電極用材料層7がこの順で積層され
ている。したがって、この平面視上の交差部は下部電
極,有機発光部および対向電極からなる有機EL素子8
として機能し、当該有機EL素子8は緑色のEL光を出
射する。
【0090】なお、前述した正孔注入層用材料層(TP
D74層)の製膜から上述した対向電極用材料層7の製
膜までは1台の真空蒸着装置を用いて行い、かつ、その
間、真空槽を1度も開放せずに連続して各層の製膜を行
った。
【0091】(5)剥離層除去工程 上記の有機EL素子8に対して実質的に不活性な剥離液
として液状フッ素化炭化水素(旭ガラス社製のCT−S
olv 100)を用い、この剥離液中に上記の対向電
極用材料層7まで形成した後の対向電極付き基板3を浸
漬して超音波振動を付与し、この状態で3分間、超音波
洗浄した。この超音波洗浄により、剥離層4がその上に
形成されている有機発光部用材料層6および対向電極用
材料層7ごと除去され、有機EL発光装置が得られた。
【0092】図5に示すように、この有機EL発光装置
10は、白板ガラスからなる基材1と、当該基材1の片
面に形成された計300本の下部電極2と、これらの下
部電極2と平面視上直交するように形成された計240
本の有機発光部用材料層6と、有機発光部用材料層6そ
れぞれの上に形成された対向電極用材料層7aとを有し
ており、前記の対向電極用材料層7aが対向電極として
機能する(以下、この対向電極用材料層7aを「対向電
極7a」という。)。
【0093】個々の下部電極2は幅280μm,長さ
8.2cmのストライプ状を呈し、これらの下部電極2
は300μmピッチで形成されている。また、個々の有
機発光部用材料層6および対向電極7aは、いずれも幅
280μm,長さ9.6cmのストライプ状を呈し、い
ずれも300μmピッチで形成されている。個々の有機
発光部用材料層6は、上述したように、平面視したとき
に前記の下部電極2の各々と直交するようにして形成さ
れており、対向電極7aは当該有機発光部用材料層6上
に形成されているので、個々の対向電極7aもまた下部
電極2の各々と平面視上直交する。そして、下部電極
2,有機発光部用材料層6および対向電極7aの平面視
上の交差部が、前述したように有機EL素子8として機
能する。
【0094】(6)封止層形成工程 個々の有機EL素子8の素子寿命がより長い有機EL発
光装置を得るために、対向電極用材料層7の形成から下
記の封止層の形成までの間に上記の有機EL発光装置1
0を大気に曝すことなく、次のようにして封止層を形成
した。まず、所定の大きさを有するガラス蓋を用意し
た。このガラス蓋には、後述する注入口として使用され
る貫通孔が設けられている。次に、このガラス蓋と上記
の有機EL発光装置10とを、有機EL発光装置10を
構成している各有機EL素子8と前記のガラス蓋との間
に所望の空間が形成されるようにして、紫外線硬化型樹
脂を用いて貼り合わせた。
【0095】次いで、ガラス蓋に形成されている貫通孔
を注入口として利用して、上記の空間内に液状フッ素化
炭化水素(ダイキン工業社製のデムナムS−20)を充
填し、これによって当該液状フッ素化炭化水素からなる
封止層を形成した。この後、ガラス蓋に形成されている
注入口(貫通孔)を密閉して、目的とする有機EL発光
装置を得た。
【0096】実施例2(方法IIによる有機EL発光装置
の製造) (1)下部電極付き基板作製工程 実施例1と同様にして下部電極付き基板作製工程を行っ
て、下部電極付き基板を得た。
【0097】(2)層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程 まず、下部電極が形成されている側の下部電極付き基板
の外表面全体に、SiO1.8 からなる膜厚300nmの
電気絶縁膜をPECVD(プラズマエンハストCVD)
によって形成した。この電気絶縁膜は、層間絶縁膜の材
料となるものである。次いで、剥離層の材料となるフッ
素系樹脂層を上記の電気絶縁膜上に実施例1と同様にし
て形成し、このフッ素系樹脂層上に実施例1と同様にし
てレジストパターンを形成した。この後、上記のレジス
トパターンをマスクとして用いた反応性イオンエッチン
グによって、フッ素系樹脂層および電気絶縁膜をパター
ニングした。このときの反応性イオンエッチングは、実
施例1における反応性イオンエッチングと同条件で行っ
た。
【0098】図6に示すように、上記のパターニングに
よって、所定形状の開口部20を有する層間絶縁膜21
および剥離層22が得られた。すなわち、下部電極2が
形成されている側の下部電極付き基板3の外表面には、
平面視上の形状が幅280μm,長さ9.6cmのスト
ライプ状を呈する開口部20が300μmピッチ(隣り
合う開口部20同士のギャップは20μm)で計240
本形成されている層間絶縁膜−剥離層積層部23が形成
された。なお、図6中の二点鎖線は、エッチングされる
前のフッ素系樹脂層の上端を示しいている。
【0099】その後、剥離層22上のレジストパターン
5(図6参照)をO2 プラズマアッシング装置を用いて
除去した。このとき、各下部電極2上の残留有機物も除
去されたので、結果として、各下部電極2が洗浄され
た。なお、図6に示した部材のうちで図2示した部材と
共通するものについては、図2におけると同じ符号を付
してある。
【0100】(3)有機発光部用材料層形成工程 上記の層間絶縁膜−剥離層積層部23をマスクとして利
用した以外は実施例1と同様にして、有機発光部用材料
層を形成した。
【0101】(4)対向電極用材料層形成工程 上記の層間絶縁膜−剥離層積層部23をマスクとして利
用した以外は実施例1と同様にして、図7に示すよう
に、上記(3)で形成した有機発光部用材料層6上に対
向電極用材料層7を形成した。上記の対向電極用材料層
7まで形成した後の下部電極付き基板3では、図7に示
したように、下部電極2のうちで有機発光部用材料層6
の形成前において層間絶縁膜−剥離層積層部23の開口
部23aから裸出していた部分において、下部電極2,
有機発光部用材料層6および対向電極用材料層7が平面
視上交差する。すなわち、当該部においては、基材から
みて下部電極2,有機発光部用材料層6および対向電極
用材料層7がこの順で積層されている。したがって、こ
の平面視上の交差部は下部電極,有機発光部および対向
電極からなる有機EL素子8として機能する。なお、図
7に示した部材のうちで図4示した部材と共通するもの
については、図4におけると同じ符号を付してある。
【0102】(5)剥離層除去工程 層間絶縁膜−剥離層積層部23を構成している剥離層2
2を、実施1と同様にして当該剥離層22上に形成され
ている有機発光部用材料層6および対向電極用材料層7
ごと除去して、有機EL発光装置を得た。図8に示すよ
うに、この有機EL発光装置30は、実施例1で作製し
た有機EL発光装置10(図5参照)と同様に、白板ガ
ラスからなる基材1と、当該基材1の片面に形成された
計300本の下部電極2と、これらの下部電極2と平面
視上直交するように形成された計240本の有機発光部
用材料層6と、有機発光部用材料層6それぞれの上に形
成された対向電極7aとを有しており、下部電極2,有
機発光部用材料層6および対向電極7aの平面視上の交
差部が、前述したように有機EL素子8として機能す
る。そして、隣り合う対向電極7a同士の間には層間絶
縁膜21が設けられており、当該層間絶縁膜21によっ
て、対向電極7aと下部電極2との間での短絡が防止さ
れている。
【0103】(6)封止層形成工程 個々の有機EL素子8の素子寿命がより長い有機EL発
光装置を得るために、実施例1と同様にして封止層を形
成して目的とする有機EL発光装置を得た。ただし、対
向電極用材料層の形成から封止層の形成までの間、有機
EL発光装置を大気に曝した。
【0104】発光試験1 実施例1および実施例2でそれぞれ得た各有機EL発光
装置について、下部電極を信号電極、対向電極を走査電
極として用い、これらの電極と所定の駆動回路とを接続
して、各有機EL素子を個別に発光させることができる
か否かを確かめた。その結果、実施例1および実施例2
のいずれで得た有機EL発光装置においても、全ての有
機EL素子を個別に発光させることができた。また、個
々の有機EL素子を高輝度に発光させることができ、か
つ、基板面内の発光均一性も高かった。
【0105】保存試験1 実施例1および実施例2でそれぞれ得た各有機EL発光
装置を常温,相対湿度70%の条件下で500時間保存
し、その後に発光欠陥の発生の有無を調べた。その結
果、実施例1および実施例2のいずれで得た有機EL発
光装置においても、個々の有機EL素子に発光欠陥の発
生は認められなかった。
【0106】なお、対向電極用材料層の形成から封止層
の形成までの間に有機EL発光装置を大気に曝した以外
は実施例1と同様にして有機EL発光装置(封止層まで
形成したもの)を製造し、この有機EL発光装置につい
て同条件の保存試験を行ったところ、対向電極のエッジ
(長手方向と平行な方向に延びるエッジ)に沿って幅1
0μm程度の線状の発光欠陥(無発光部)が生じた。
【0107】対向電極用材料層の形成から封止層の形成
までの間に未封止の有機EL発光装置を大気に曝した実
施例2の有機EL発光装置(封止層まで形成したもの)
に発光欠陥が生じず、上記参考のための有機EL発光装
置において発光欠陥が生じたのは、実施例2で得た有機
EL発光装置においては対向電極のエッジ(長手方向と
平行な方向に延びるエッジ)が層間絶縁膜に密着してい
ることから、発光欠陥の原因となる水分や酸素が対向電
極用材料層の形成から封止層の形成までの間に対向電極
用材料層または対向電極に侵入することが抑制されたた
めであると推察される。
【0108】実施例3(方法Iによる有機EL発光装置
の製造) まず、剥離層形成工程で剥離層4(図2参照)を形成す
るにあたって開口部4a同士のピッチを300μm,隣
り合う開口部4a同士のギャップを170μmにした以
外は実施例1と同様にして下部電極付き基板作製工程,
剥離層形成工程,有機発光部用材料層形成工程,対向電
極用材料層形成工程および剥離層除去工程を行って、緑
色のEL光を出射する有機EL素子を備えた有機EL発
光装置を得た。
【0109】次に、上記の有機EL発光装置において有
機EL素子が形成されている側の面全体に、剥離層の材
料となるフッ素系樹脂層(材料は旭ガラス社製のサイト
ップCTX−809A)を実施例1と同様にして形成
し、実施例1における剥離層形成工程と同様にして当該
フッ素系樹脂層をパターニングして第2の剥離層を形成
した。このとき、当該第2の剥離層における開口部は、
平面視上、上記の有機EL発光装置を構成している対向
電極同士の間(隣り合う対向電極同士の間)に位置する
ようにして形成した。
【0110】次いで、上記第2の剥離層をマスクとして
利用して、有機発光部形成工程を行った。このとき、正
孔注入層用材料層(TPD74層)および正孔輸送層用
材料層(TPD層)の形成はそれぞれ実施例1と同様に
して行ったが、発光層用材料層は、青色のEL光を出射
する有機発光材料である4,4′−ビス[2−[4−
(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェ
ニル(以下、「DTAVBi」と略記する。)を用い、
かつ、その膜厚が40nmとなるようにして行った。ま
た、発光層用材料層(DTAVBi層)の上に、電子注
入層用材料層として膜厚20nmのAlq層を形成し
た。
【0111】この後、上記第2の剥離層をマスクとして
利用した以外は実施例1と同様にして対向電極用材料層
形成工程を行い、更に、実施例1と同様にして剥離層除
去工程を行って前記第2の剥離層を除去して、緑色のE
L光を出射する有機EL素子と青色のEL光を出射する
有機EL素子とを備えた有機EL発光装置を得た。
【0112】上記の有機EL発光装置においては、1つ
の下部電極2(図1参照)上に緑色のEL光を出射する
有機EL素子(以下、この有機EL素子を「緑色用有機
EL素子」という。)と青色のEL光を出射する有機E
L素子(以下、この有機EL素子を「青色用有機EL素
子」という。)とが交互に形成されている。1つの下部
電極2上における緑色用有機EL素子同士のピッチは3
00μm、青色用有機EL素子同士のピッチも300μ
mであり、隣り合う緑色用有機EL素子と青色用有機E
L素子とのギャップは20μmである。
【0113】発光試験2 実施例3で得た有機EL発光装置について、前述した発
行試験1と同条件で発光試験を行った。その結果、全て
の有機EL素子を個別に発光させることができた。ま
た、個々の有機EL素子を高輝度に発光させることがで
き、かつ、基板面内の発光均一性も高かった。
【0114】精度の測定 実施例1,実施例2および実施例3でそれぞれ得た各有
機EL発光装置について、個々の有機EL素子の形状精
度および位置度精度を測定した。その結果、実施例1,
実施例2および実施例3のいずれで得た有機EL発光装
置においても、有機EL素子の形状精度および位置度精
度は共に±5μm以内であり、個々の有機EL素子が高
精度に形成されていることが確認された。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
発光装置の製造方法によれば、発光特性の高い有機EL
素子を高い形状精度および位置度精度の下に形成するこ
とができる。したがって本発明によれば、所望の大きさ
を有する複数の有機EL素子を備え、個々の有機EL素
子の発光特性が高く、かつ、これらの有機EL素子が高
い位置度精度の下に高精細に形成されている有機EL発
光装置を得ることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は実施例1で作製した下部電極付き
基板を下部電極の長手方向を望むようにしてみたときの
概略を示す断面図であり、図1(b)は前記の下部電極
付き基板を下部電極の短手方向を望むようにしてみたと
きの概略を示す断面図である。
【図2】実施例1で剥離層形成工程まで経た後の下部電
極付き基板を下部電極の短手方向を望むようにしてみた
ときの概略を示す断面図である。
【図3】実施例1で有機発光部用材料層形成工程まで経
た後の下部電極付き基板を下部電極の短手方向を望むよ
うにしてみたときの概略を示す断面図である。
【図4】図4(a)は実施例1で対向電極用材料層形成
工程まで経た後の下部電極付き基板を下部電極の短手方
向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図であ
り、図4(b)は前記の下部電極付き基板を下部電極の
長手方向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図
である。
【図5】図5(a)は実施例1で作製した有機EL発光
装置(封止層を形成する前のもの)を対向電極が形成さ
れている側からみたときの概略を示す平面であり、図5
(b)は前記の有機EL発光装置を下部電極の短手方向
を望むようにしてみたときの概略を示す断面図である。
【図6】実施例2で層間絶縁膜−剥離層積層部形成工程
まで経た後の下部電極付き基板を下部電極の短手方向を
望むようにしてみたときの概略を示す断面図である。
【図7】図7(a)は実施例2で対向電極用材料層形成
工程まで経た後の下部電極付き基板を下部電極の短手方
向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図であ
り、図7(b)は前記の下部電極付き基板を下部電極の
長手方向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図
である。
【図8】図8(a)は実施例2で作製した有機EL発光
装置(封止層を形成する前のもの)を対向電極が形成さ
れている側からみたときの概略を示す平面であり、図8
(b)は前記の有機EL発光装置を下部電極の短手方向
を望むようにしてみたときの概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1…基材、 2…下部電極、 3…下部電極付き基板、
4…剥離層、 4a…剥離層に形成されている開口
部、 6…有機発光部用材料層、 7…対向電極用材料
層、 7a…対向電極、 8…有機EL素子、 10,
30…有機EL発光装置、 21…層間絶縁膜、 22
…剥離層、 23…層間絶縁膜−剥離層積層部、 23
a…層間絶縁膜−剥離層積層部に形成されている開口
部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に複数の有機EL素子用下部電極を
    形成して下部電極付き基板を得る下部電極付き基板作製
    工程と、 前記の有機EL素子用下部電極が形成されている側の下
    部電極付き基板の外表面に、有機EL素子用の対向電極
    を形成しようとする箇所に開口部を有している剥離層を
    形成する剥離層形成工程と、 前記の剥離層をマスクとして利用して、有機EL素子に
    おいて有機発光部となる有機発光部用材料層を前記の開
    口部から裸出している部材表面上に形成する有機発光部
    用材料層形成工程と、 前記の剥離層をマスクとして利用して、有機EL素子に
    おいて対向電極となる対向電極用材料層を前記の開口部
    内に形成されている有機発光部用材料層上に形成して、
    前記の有機EL素子用下部電極と前記の有機発光部用材
    料層と該対向電極用材料層との平面視上の交差部に有機
    EL素子を形成する対向電極用材料層形成工程と、 前記の剥離層の少なくとも一部を、前記の有機EL素子
    に対して実質的に不活性な剥離液を用いて該剥離層上に
    形成されている層ごと除去する剥離層除去工程と、を含
    み、 前記の剥離層を、前記の有機EL素子に対して実質的に
    不活性な溶媒に可溶の樹脂によって形成する、ことを特
    徴とする有機EL発光装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機EL素子用下部電極の各々がストラ
    イプ状を呈し、剥離層除去工程後の対向電極用材料層の
    各々もストライプ状を呈し、かつ、前記有機EL素子用
    下部電極の各々と前記対向電極用材料層の各々とが平面
    視上交差するようにして形成される、請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 剥離層をリソグラフィー法によって形成
    する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 下部電極付き基板作製工程を行った後、
    剥離層形成工程、有機発光部用材料層形成工程、対向電
    極用材料層形成工程および剥離層除去工程を含む一連の
    操作を複数回くり返し、かつ、剥離層形成工程について
    は開口部の位置を前記一連の操作ごとに変えて行い、有
    機発光部用材料層形成工程については前記一連の操作ご
    とに少なくとも有機発光材料を変えて行って、発光色が
    異なる複数種の有機EL素子を備えた有機EL発光装置
    を得る、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 基材に複数の有機EL素子用下部電極を
    形成して下部電極付き基板を得る下部電極付き基板作製
    工程と、 前記の有機EL素子用下部電極が形成されている側の下
    部電極付き基板の外表面に、前記の下部電極を覆うよう
    にして、かつ、前記の基材からみたときの積層順が層間
    絶縁膜,剥離層となるようにして、有機EL素子用の対
    向電極を形成しようとする箇所に開口部を有している層
    間絶縁膜−剥離層積層部を形成する層間絶縁膜−剥離層
    積層部形成工程と、 前記の層間絶縁膜−剥離層積層部をマスクとして利用し
    て、有機EL素子において有機発光部となる有機発光部
    用材料層を前記の開口部から裸出している部材表面上に
    形成する有機発光部用材料層形成工程と、 前記の層間絶縁膜−剥離層積層部をマスクとして利用し
    て、有機EL素子において対向電極となる対向電極用材
    料層を前記の開口部内に形成されている有機発光部用材
    料層上に形成して、前記の有機EL素子用下部電極と前
    記の有機発光部用材料層と該対向電極用材料層との平面
    視上の交差部に有機EL素子を形成する対向電極用材料
    層形成工程と、 前記の剥離層の少なくとも一部を、前記の有機EL素子
    に対して実質的に不活性な剥離液を用いて該剥離層上に
    形成されている層ごと除去する剥離層除去工程と、を含
    み、 前記の剥離層を、前記の有機EL素子に対して実質的に
    不活性な溶媒に可溶の樹脂によって形成する、ことを特
    徴とする有機EL発光装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 剥離層の材料としてフッ素系溶媒に可溶
    のフッ素系樹脂を用い、該剥離層を除去するための剥離
    液としてフッ素系溶媒を用いる、請求項1〜請求項5の
    いずれか1項に記載の方法。
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