JPH10261490A - 有機el表示装置およびその製造方法 - Google Patents

有機el表示装置およびその製造方法

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JPH10261490A
JPH10261490A JP9063685A JP6368597A JPH10261490A JP H10261490 A JPH10261490 A JP H10261490A JP 9063685 A JP9063685 A JP 9063685A JP 6368597 A JP6368597 A JP 6368597A JP H10261490 A JPH10261490 A JP H10261490A
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JP
Japan
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organic
layer
lower electrode
electrode line
material layer
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Application number
JP9063685A
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English (en)
Inventor
Chishio Hosokawa
地潮 細川
Noboru Sakaeda
暢 栄田
Masahide Matsuura
正英 松浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/17Passive-matrix OLED displays
    • H10K59/173Passive-matrix OLED displays comprising banks or shadow masks

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 有機EL素子からなる個々の画素の発光特性
が高く、かつ、高精細なものを得ることが容易な有機E
L表示装置、およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基材に複数の下部電極ライン2を形成し
て下部電極ライン付き基板3を得、下部電極ラインが形
成されている側の下部電極ライン付き基板の外表面に、
基材の表面に対して実質的に垂直になっている複数個の
分離用リブ4を下部電極ラインの各々と交差するように
して形成し、分離用リブそれぞれの側面に剥離層を形成
した後、分離用リブが設けられている側の下部電極ライ
ン付き基板の外表面に、有機発光部用材料層6と有機E
L素子8が対向電極となる対向電極用材料層7を順次形
成し、剥離層5を、不活性な剥離層上に形成されている
層ごと除去することによって、有機EL表示装置10を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL素子を画
素として用いている有機EL表示装置およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、陽極,有機発光部,陰
極がこの順番またはこれとは逆の順番で基材上に順次積
層された構成を基本的な層構成とする発光素子であり、
当該有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加す
ることによって、有機発光部に使用されている有機発光
材料の種類に応じた所定色の発光を得る。この有機EL
素子は、無機EL素子に比べて大幅に低い印加電圧によ
って発光させることができるため、有機EL素子を発光
源として用いた面光源や、有機EL素子を画素として用
いた有機EL表示装置の開発が現在活発に進められてい
る。
【0003】有機EL表示装置を得る場合には、基材上
に所定個の画素すなわち有機EL素子を形成する必要が
あるが、例えばX−Yマトリックス型の有機EL表示装
置においては、個々の有機EL素子毎に対向電極(有機
発光部の形成後に当該有機発光部上に形成される電極を
意味する。以下同じ。)を形成するということをせず
に、所定個の有機EL素子に共通する帯状の対向電極
(以下、この対向電極を「対向電極ライン」という。)
を必要本数形成する。
【0004】ところで、有機EL表示装置の開発の進展
に伴い、現在ではより高精細な有機EL表示装置の開発
が望まれるようになってきており、これに伴って、例え
ばX−Yマトリックス型の有機EL表示装置においては
対向電極ライン同士のピッチを概ね10〜500μm
に、また、隣り合う対向電極ライン同士のギャップを概
ね50μm以下にすることが望まれている。すなわち、
対向電極ライン同士を高精細に分離する技術の確立が望
まれている。
【0005】対向電極ライン同士が高精細に分離されて
いる有機EL表示装置としては、基板上に所定個の下部
電極ライン(第1表示電極)と所定個の樹脂製隔壁とを
形成し、前記の樹脂製隔壁の垂直断面形状を逆テーパー
状またはT字状とすることによって、蒸着法により前記
の下部電極ライン上に有機EL媒体および対向電極(第
2表示電極)材料を順次蒸着させたときに互いに分離し
た対向電極ラインが形成されるようにしたものが知られ
ている(特開平8−315981号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】対向電極ラインの形成
に先立って有機EL素子形成用の基板に所定個の樹脂製
隔壁を形成しておくという上記の方法によって有機EL
表示装置を製造すれば、対向電極ライン同士が高精細に
分離されている有機EL表示装置を得ることが可能であ
る。
【0007】しかしながら、同公報に開示されているよ
うな断面が逆テーパ状を呈するフォトレジスト製の隔壁
は、加工の均一性を確保することが著しく困難であるこ
とから部分的に倒壊してしまい易く、加工の歩留まりが
低い。また、フォトレジスト製の隔壁は吸湿性が比較的
高く、隔壁(フォトレジスト)中に水分が吸収されてい
た場合には当該水分が有機EL素子の製造後に経時的に
放出されて対向電極ラインの劣化を促進することから、
有機EL素子に発光欠陥が生じ易くなる。
【0008】さらに、同公報には非感光性のポリイミド
からなる隔壁本体と、当該隔壁本体上に形成されたSi
2 膜製のオーバーハング部とからなり、断面がT字状
を呈する隔壁も開示されているが、このような構造の隔
壁では、対向電極ラインの形成時に当該対向電極ライン
の材料がオーバーハング部の下側(基板側)に回り込ん
で下部電極ライン上に付着し、リークや短絡が生じ易
い。
【0009】本発明の目的は、有機EL素子からなる個
々の画素の発光特性が高く、かつ、高精細なものを得る
ことが容易な有機EL表示装置、およびその製造方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の有機EL表示装置は、基材と、該基材上に形成さ
れている複数本の下部電極ラインと、該下部電極ライン
の各々と交差するようにして前記の基材上に形成されて
いる複数個の分離用リブと、前記の下部電極ラインそれ
ぞれの上に形成されている有機発光部用材料層と、該有
機発光部用材料層を介して前記下部電極ラインの各々と
交差するようにして形成されている複数本の対向電極ラ
インとを備え、個々の分離用リブは、長手方向と平行な
方向に延びている側面が前記の基材の表面に対して実質
的に垂直になっているものであり、隣り合う対向電極ラ
イン同士は前記の分離用リブのいずれかによって、該分
離用リブの側面から離間した状態で互いに分離されてお
り、前記の対向電極ラインと前記の下部電極ラインとの
平面視上の交差部に画素としての有機EL素子が形成さ
れていることを特徴とするものである。
【0011】一方、上記の目的を達成する本発明の有機
EL表示装置の製造方法は、基材に複数の下部電極ライ
ンを形成して下部電極ライン付き基板を得る下部電極ラ
イン付き基板作製工程と、前記の下部電極ラインが形成
されている側の下部電極ライン付き基板の外表面に、長
手方向と平行な方向に延びている側面が前記の基材の表
面に対して実質的に垂直になっている複数個の分離用リ
ブを前記の下部電極ラインの各々と交差するようにして
形成する分離用リブ形成工程と、前記の分離用リブそれ
ぞれの上面および側面のうちの少なくとも側面に剥離層
を形成する剥離層形成工程と、前記の分離用リブが設け
られている側の下部電極ライン付き基板の外表面に、有
機EL素子において有機発光部となる有機発光部用材料
層を形成する有機発光部用材料層形成工程と、前記の有
機発光部用材料層が形成されている側の下部電極ライン
付き基板の外表面に、有機EL素子において対向電極と
なる対向電極用材料層を形成して、前記の下部電極ライ
ンと前記の有機発光部用材料層と該対向電極用材料層と
の平面視上の交差部に有機EL素子を形成する対向電極
用材料層形成工程と、前記の剥離層を、前記の有機EL
素子に対して実質的に不活性な剥離液を用いて該剥離層
上に形成されている層ごと除去して、前記の対向電極用
材料層を対向電極ラインにパターニングする対向電極ラ
イン形成工程とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず本発明の有機EL表示装置につ
いて説明する。本発明の有機EL表示装置は、上述した
ように、基材と、当該基材上に形成されている複数本の
下部電極ラインと、当該下部電極ラインの各々と交差す
るようにして前記の基材上に形成されている複数個の分
離用リブと、前記の下部電極ラインそれぞれの上に形成
されている有機発光部用材料層と、当該有機発光部用材
料層を介して前記下部電極ラインの各々と交差するよう
にして形成されている複数本の対向電極ラインとを備え
ている。
【0013】ここで、上記の基材としては、目的とする
有機EL表示装置において当該基材側を光取り出し面と
する場合には、有機EL素子からの発光(EL光)に対
して高い透過性(概ね80%以上)を与えるもの(以
下、このものを「透光性基材」という。)を用いること
が好ましい。また、基材側を光取り出し面としない場合
には、透光性基材を用いてもよいし、非透光性基材を用
いてもよい。
【0014】透光性基材の具体例としては、アルカリガ
ラス,無アルカリガス等の透明ガラスからなるものや、
ポリイミド,ポリサルフォン等の透明樹脂からなるも
の、透光性アルミナ,ZnS焼結体等の透明セラミック
スからなるもの、あるいは石英からなるもの等が挙げら
れる。一方、非透光性基材を用いる場合、当該非透光性
基材は有機材料からなっていてもよいし、無機材料から
なっていてもよい。
【0015】基材はフィルム状物,シート状物および板
状物のいずれであってもよく、また、単層構造および複
数層構造のいずれの構造を有していてもよい。更には、
所望の下部電極ラインを形成することができさえすれ
ば、電気絶縁性物質,半導体物質および導電性物質のい
ずれからなっていてもよい。どのような基材を用いるか
は、目的とする有機EL表示装置の用途や生産性等を勘
案して適宜選択可能である。
【0016】上記の基材には複数本の下部電極ラインが
形成されている。個々の下部電極ラインの平面視上の形
状は、目的とする有機EL表示装置における画素(有機
EL素子)の配置仕様に応じて適宜選択可能である。例
えば画素の配置パターンがモザイク型,ストライプ型ま
たは4画素配置型である場合には、直線状とすることが
できる。また、個々の下部電極ラインの大きさおよび下
部電極ライン同士のピッチは、目的とする有機EL表示
装置における精細化の度合い等に応じて適宜選択され
る。例えば、高精細なX−Yマトリックス型の有機EL
表示装置(画素数が概ね400個/cm2 以上のものを
意味する。以下同じ。)を得ようとする場合には、個々
の下部電極ラインの平面視上の形状を短手方向の幅が概
ね5〜499μmのストライプ状とし、これらの下部電
極ライン同士のピッチを概ね6〜500μmとすること
が好ましい。
【0017】下部電極ラインの材質は、目的とする有機
EL表示装置において上記の基材側を光取り出し面とす
るか否かに応じて、適宜選択される。すなわち、目的と
する有機EL表示装置において前述した基材側を光取り
出し面とする場合には、有機発光部で生じた光(EL
光)が透過するように、透光性を有する下部電極ライン
が得られるようにその材質を選択する。一方、目的とす
る有機EL表示装置において前述した基材側を光取り出
し面とせずに後述する対向電極ライン側を光取り出し面
とする場合には、下部電極ラインは有機発光部で生じた
EL光に対して透光性を有していても有していなくても
よいので、当該下部電極ラインを陽極として利用するか
陰極として利用するかに応じて、その材質を選択する。
【0018】下部電極ラインを陽極として利用する場合
には、仕事関数が大きい(例えば4eV以上)金属,合
金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物等を当該下
部電極ラインの材料として用いることが好ましく、その
具体例としてはAu等の金属や、CuI,ITO,錫酸
化物,亜鉛酸化物,In−Zn−O系酸化物等の導電性
透明材料が挙げられる。一方、下部電極ラインを陰極と
して利用する場合には、仕事関数の小さい(例えば4e
V以下)金属,合金,電気伝導性化合物,またはこれら
の混合物等を当該下部電極ラインの材料として用いるこ
とが好ましく、その具体例としてはナトリウム,ナトリ
ウム−カリウム合金,マグネシウム,リチウム,マグネ
シウムと銀との合金または混合金属,マグネシウム−銅
混合物,アルミニウム,Al/Al23 ,Al−Li
合金,インジウムやイッテルビウム等の希土類金属など
が挙げられる。
【0019】本発明の有機EL表示装置においては、前
述した基材上に複数個の分離用リブが設けられている。
これらの分離用リブは、上述した下部電極ラインの各々
と交差するようにして設けられているものであるので、
当該分離用リブによって下部電極ライン同士が短絡しな
いように電気絶縁性材料によって形成される。また、個
々の分離用リブは、加工の均一性を確保するうえから、
長手方向と平行な方向に延びている側面が前記の基材の
表面に対して実質的に垂直になっているものであること
が好ましい。
【0020】分離用リブは、互いに分離した所望本数の
対向電極ラインを得るために設けられたものであるの
で、個々の分離用リブの高さは、後述する本発明の有機
EL表示装置の製造方法についての説明から容易に理解
されるように、後述する有機発光部用材料層および対向
電極用材料層それぞれの膜厚の和と同等もしくはそれ以
上とすることが好ましい。また、個々の分離用リブの長
さは、分離しようとする対向電極ラインの長さと同等も
しくはそれ以上とすることが好ましい。
【0021】個々の分離用リブの短手方向の幅および隣
り合う分離用リブ同士の間のギャップは、目的とする有
機EL表示装置における精細化の度合い等に応じて適宜
選択される。例えば、高精細なX−Yマトリックス型の
有機EL表示装置を得ようとする場合には、個々の分離
用リブの短手方向の幅を概ね1〜100μmとし、隣り
合う分離用リブ同士の間のギャップを概ね6〜500μ
mとすることが好ましい。
【0022】上述した分離用リブは、微細なパターニン
グを施すことが可能で、かつ、吸水率(ASTM規格の
D570に準拠した方法によって測定した吸水率を意味
する。以下同じ。)が0.5%以下である電気絶縁性材
料によって形成されていることが好ましい。吸水率が
0.5%を超える電気絶縁性材料によって分離用リブを
形成することは、次の理由から好ましくない。
【0023】すなわち、吸水率が0.5%を超える電気
絶縁性材料によって分離用リブを形成した場合には、有
機EL表示装置の製造過程で当該分離用リブに水分が吸
収され易く、この水分が有機EL表示装置の製造後に経
時的に放出されて、有機EL素子の対向電極を酸化腐食
させる危険性が高くなる。有機EL素子の対向電極が酸
化腐食すると当該有機EL素子の発光特性が低下し、場
合によっては全く発光しなくなってしまう。したがっ
て、吸水率が0.5%を超える電気絶縁性材料によって
分離用リブを形成することは好ましくない。
【0024】分離用リブ用の好ましい有機材料として
は、例えばポリキノリン,ラダー型ポリシロキサンおよ
び環状構造を有するポリオレフィン等が挙げられ、無機
材料としては、例えばAl23 ,SiOx (1≦x≦
2),SiNx (0<x≦(4/3)),SiON,S
iAlON,SiOF,α−Cおよびα−C:F(フッ
素添加非晶質カーボン)等が挙げられる。
【0025】本発明の有機EL表示装置においては、前
述した下部電極ラインそれぞれの上に有機発光部用材料
層が形成されている。ただし、上述した分離用リブと下
部電極ラインとの交差部における下部電極ライン上には
形成されていない。
【0026】ここで、有機EL素子の層構成の具体例と
しては下記(1)〜(4)のもの、すなわち、 (1)陽極/発光層/陰極 (2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極 (3)陽極/発光層/電子注入層/陰極 (4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極 のものが挙げられ、上記(1)のタイプの有機EL素子
を形成しようとする場合には発光層用の材料層が本発明
でいう有機発光部用材料層に相当し、上記(2)のタイ
プの有機EL素子を形成しようとする場合には正孔注入
層用の材料層と発光層用の材料層との積層物が本発明で
いう有機発光部用材料層に相当し、上記(3)のタイプ
の有機EL素子を形成しようとする場合には発光層用の
材料層と電子注入層用の材料層との積層物が本発明でい
う有機発光部用材料層に相当し、上記(4)のタイプの
有機EL素子を形成しようとする場合には正孔注入層用
の材料層と発光層用の材料層と電子注入層用の材料層と
の積層物が本発明でいう有機発光部用材料層に相当す
る。
【0027】発光層用の材料層は、通常1種または複数
種の有機発光材料によって形成されるが、有機発光材料
と電子注入材料および/または正孔注入材料との混合物
や、当該混合物もしくは有機発光材料を分散させた高分
子材料等によって形成されていてもよい。また、正孔注
入層と共に正孔輸送層が併用される有機EL素子もある
が、本明細書でいう「正孔注入層」とは、特に断らない
限り、正孔注入層と正孔輸送層との積層物と、正孔注入
層の単独層との総称である。
【0028】本発明でいう有機発光部用材料層の層構成
は、前述した下部電極ラインと後述する対向電極ライン
との間に電圧を印加することによって所望の発光(EL
光)が得られるものであれば特に限定されるものではな
く、適宜選択可能である。そして、有機発光部用材料層
を構成している層の材料も特に限定されるものではな
く、所望色の光(EL光)を出射する有機EL素子が得
られさえすれば種々の材料を使用することができる。
【0029】上述した有機発光部用材料層は、前述した
下部電極ラインおよび後述する対向電極ラインと共に有
機EL素子を構成するものであるので、少なくとも有機
EL素子を形成しようとする箇所の下部電極ライン上に
形成されている。勿論、当該箇所の下部電極ライン上の
他にその周辺部に形成されていてもよい。なお、正孔注
入層または電子注入層が下部電極上に形成されている有
機EL素子を備えた有機EL表示装置を得ようとする場
合には、前記の正孔注入層となる材料層(正孔注入層用
材料層)または電子注入層となる材料層(電子注入層用
材料層)を分離用リブと下部電極ラインとの交差部にお
ける下部電極ライン上にまで亘って形成したとしても、
個々の有機EL素子の発光特性が高い有機EL表示装置
を得ることが可能である。
【0030】上述した有機発光部用材料層上には複数本
の対向電極ラインが形成されており、これらの対向電極
ラインは、上記の有機発光部用材料層を介して前述した
下部電極ラインの各々と交差するようにして形成されて
いる。そして、隣り合う対向電極ライン同士は前述した
分離用リブのいずれかによって、当該分離用リブの側面
から離間した状態で互いに分離されている。
【0031】個々の対向電極ラインの平面視上の形状
は、目的とする有機EL表示装置における画素(有機E
L素子)の配置仕様に応じて適宜選択可能である。例え
ば画素の配置パターンがモザイク型,ストライプ型また
は4画素配置型である場合には、直線状とすることがで
きる。また、個々の対向電極ラインの大きさおよび対向
電極ライン同士のピッチは、目的とする有機EL表示装
置における精細化の度合い等に応じて適宜選択される。
例えば、高精細なX−Yマトリックス型の有機EL表示
装置を得ようとする場合には、個々の対向電極ラインの
平面視上の形状を短手方向の幅が概ね5〜499μmの
ストライプ状とし、これらの対向電極ライン同士のピッ
チを概ね6〜500μmとすることが好ましい。
【0032】ただし、隣り合う対向電極ライン同士は、
分離用リブのいずれかによって当該分離用リブの側面か
ら離間した状態で互いに分離されているので、対向電極
ラインの平面視上の形状や対向電極ライン同士のピッチ
を選定するにあたっては、同時に、分離用リブの平面視
上の形状,分離用リブ同士のピッチおよび分離用リブの
側面と当該分離用リブによって分離されている対向電極
ラインとの間の距離についても選定する。
【0033】隣り合う対向電極ラインがこれらの対向電
極ライン同士を分離している分離用リブの側面から離間
した状態にあるのは、本発明の有機EL表示装置を後述
する本発明の方法によって製造する際に、分離用リブの
側面に剥離層を形成した状態で有機発光部用材料層およ
び対向電極用材料層を形成し、その後に前記の剥離層を
当該剥離層上に形成されている層ごと除去することによ
って互いに分離した対向電極ラインを形成するからであ
る。有機EL表示装置において対向電極ライン同士が短
絡することは、前記の剥離層の膜厚を概ね50〜500
nmとすることによって容易に防止できるので、分離用
リブの側面と当該分離用リブによって分離されている対
向電極ラインとの間の距離は、概ね50〜500nmの
範囲内で適宜選択可能である。なお、分離用リブの側面
と当該分離用リブによって分離されている対向電極ライ
ンとの間には、上記の剥離層の残渣があってもよい。
【0034】対向電極ラインの材質は、目的とする有機
EL表示装置において前述した基材側を光取り出し面と
するか否かに応じて、適宜選択される。すなわち、目的
とする有機EL表示装置において前述した基材側を光取
り出し面とする場合、対向電極ラインは有機発光部で生
じたEL光に対して透光性を有していても有していなく
てもよいので、当該対向電極ラインを陽極として利用す
るか陰極として利用するかに応じて、その材質を選択す
る。一方、目的とする有機EL表示装置において前述し
た基材側を光取り出し面とする場合には、有機発光部で
生じた光(EL光)が透過するように、透光性を有する
対向電極ラインが得られるようにその材質を選択する。
【0035】対向電極ラインを陰極として利用する場合
には、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)金属,合
金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物等を当該対
向電極ラインの材料として用いることが好ましく、その
具体例としてはナトリウム,ナトリウム−カリウム合
金,マグネシウム,リチウム,マグネシウムと銀との合
金または混合金属,マグネシウム−銅混合物,アルミニ
ウム,Al/Al23,Al−Li合金,インジウムや
イッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。一
方、対向電極ラインを陽極として利用する場合には、仕
事関数が大きい(例えば4eV以上)金属,合金,電気
伝導性化合物またはこれらの混合物等を当該対向電極ラ
インの材料として用いることが好ましく、その具体例と
してはAu等の金属、CuI,ITO,錫酸化物,亜鉛
酸化物,In−Zn−O系酸化物等の導電性透明材料が
挙げられる。
【0036】以上説明した本発明の有機EL表示装置に
おいては、対向電極ラインの各々が有機発光部用材料層
を介して下部電極ラインの各々と交差するようにして形
成されているので、対向電極ラインと下部電極ラインと
の平面視上の交差部の各々が有機EL素子として機能す
る。これらの有機EL素子は、下部電極ラインおよび対
向電極ラインを所定の駆動回路に接続することによって
別個に駆動させることができるものであるので、画素と
して機能させることができる。
【0037】なお、有機EL素子に水分や酸素が侵入す
るとその発光特性や素子寿命が低下するので、本発明の
有機EL表示装置においては、所望の封止層を設けて有
機EL素子に水分や酸素が侵入するのを防止することが
好ましい。このような封止層の材料の具体例としては、
例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコ
モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られ
る共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共
重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポ
リジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸
水率1%以上の吸水性物質および吸水率0.1%以下の
防湿性物質、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,A
l,Ti,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO2
Al23 ,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe2
3 ,Y23 ,TiO2 等の金属酸化物、MgF2 ,L
iF,AlF3 ,CaF2 等の金属フッ化物、パーフル
オロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリ
エーテル等の液状フッ素化炭化水素および当該液状フッ
素化炭化水素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させ
たもの等が挙げられる。
【0038】本発明の有機EL表示装置は、例えば以下
に詳述する本発明の有機EL表示装置の製造方法によっ
て得ることができるものであるので、有機EL素子から
なる個々の画素の発光特性が高く、かつ、高精細なもの
を得ることが容易な有機EL表示装置である。
【0039】本発明の有機EL表示装置の製造方法は、
前述したように、下部電極ライン付き基板作製工程,分
離用リブ形成工程,剥離層形成工程,有機発光部用材料
層形成工程,対向電極用材料層形成工程および対向電極
ライン形成工程を含むことを特徴とするものであり、こ
れらの各工程は前記の順番で順次実施される。
【0040】上記の下部電極ライン付き基板作製工程で
は、基材に複数の下部電極ラインを形成して下部電極ラ
イン付き基板を得る。基材の材質ならびに下部電極ライ
ンの形状およびその材質については、本発明の有機EL
表示装置についての説明の中で既に述べてあるので、こ
こではその説明を省略する。
【0041】電気絶縁性材料からなる基材を用いた場合
の下部電極ラインの形成は、例えば、当該下部電極ライ
ンの材料となる導電膜を真空蒸着法,スパッタリング法
およびイオンプレーティング法等の各種PVD法(物理
的蒸着法)や、各種CVD法(化学的気相蒸着法)、あ
るいは塗布熱分解法等の方法によって形成した後、この
導電膜をフォトリソグラフィー法,電子線リソグラフィ
ー法,X線リソグラフィー法等の各種リソグラフィー法
によって所望形状にパターンニングすることによって行
うことができる。また、所定形状のマスクを用いたPV
D法,CVD法,スクリーン印刷法等の方法によって直
接形成することも可能である。
【0042】一方、導電性材料からなる基材を用いた場
合(電気絶縁性材料からなる層と導電性材料からなる層
とを有している複数層構造の基材を用い、かつ、当該基
材における導電性材料からなる層に下部電極ラインを形
成する場合を含む。)の下部電極ラインの形成は、例え
ば、陽極酸化法,イオン注入法等の方法によって当該導
電性材料からなる基材または導電性材料からなる層の所
望箇所にその厚さ方向の全体に亘って電気絶縁部を形成
することにより行うことができる。さらには、ポリシリ
コン等の半導体の所望箇所にホウ素,リン等をイオン注
入することによって当該箇所を低抵抗化し、ここを下部
電極ラインとして利用することもできる。
【0043】どのような方法によって下部電極ラインを
形成するかは、基材の材質,目的とする有機EL表示装
置の用途,生産性等を勘案して適宜選択可能である。た
だし、下部電極ラインの材料としてアルカリ金属または
アルカリ土類金属を成分として含有している材料(例え
ばアルカリ金属,アルカリ土類金属,アルカリ金属とア
ルカリ土類金属との合金もしくは混合物,アルカリ金属
もしくはアルカリ土類金属を含有している合金もしくは
混合物等)を使用する場合には、リソグラフィー法を利
用することなく下部電極ラインを形成することが好まし
い。前記の材料からなる下部電極ラインをリソグラフィ
ー法を利用して形成すると、レジスト膜の原料として使
用されるコーティング溶液中の溶剤,レジストパターン
形成時に使用される現像液,ウエットエッチングの際に
使用されるエッチング液(ただし、ウエットエッチング
によってパターニングする場合に限る。)あるいはレジ
ストパターンを剥離する際に使用される剥離液との接触
によって、前記の材料の下部電極ラインとしての機能が
低下し易い。
【0044】本発明の方法では、上述のようにして下部
電極ライン付き基板を作製した後、下部電極ラインが形
成されている側の下部電極ライン付き基板の外表面に、
長手方向と平行な方向に延びている側面が前記の基材の
表面に対して実質的に垂直になっている複数個の分離用
リブを前記の下部電極ラインの各々と交差するようにし
て形成する分離用リブ形成工程を行う。
【0045】ただし、正孔注入層または電子注入層が下
部電極上に形成されている有機EL素子を備えた有機E
L表示装置を得ようとする場合には、分離用リブ形成工
程に先立って、有機EL素子において正孔注入層となる
正孔注入層用材料層または有機EL素子において電子注
入層となる電子注入用材料層を必要に応じて形成しても
よい。これらの正孔注入層用材料層または電子注入層用
材料層は、例えば前記の下部電極ラインを覆うようにし
て当該下部電極ラインが形成されている側の下部電極ラ
イン付き基板の外表面に形成される。したがって、本発
明の方法でいう「下部電極ラインが形成されている側の
下部電極ライン付き基板の外表面に複数個の分離用リブ
を形成する」とは、下記(1)〜(3) のいずれをも包含す
る。
【0046】(1) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極ライン付き
基板を得た後、当該下部電極ライン付き基板において下
部電極ラインが成形されている側の外表面(下部電極ラ
インの外表面を含む。)に複数個の分離用リブを形成す
る。
【0047】(2) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極ライン付き
基板を得た後、当該下部電極ライン付き基板において下
部電極ラインが形成されている側の外表面(下部電極ラ
インの外表面を含む。)に正孔注入層用材料層を形成
し、当該正孔注入層用材料層が成形されている側の下部
電極ライン付き基板の外表面(正孔注入層用材料層の外
表面を含む。)に複数個の分離用リブを形成する。
【0048】(3) 電気絶縁性材料もしくは半導体材料か
らなる基材または導電性材料からなる層と電気絶縁性材
料からなる層とを有する複数層構造の基材(ただし、導
電性材料からなる層に下部電極ラインを形成する場合に
限る。)を用いて前述のようにして下部電極ライン付き
基板を得た後、当該下部電極ライン付き基板において下
部電極ラインが形成されている側の外表面(下部電極ラ
インの外表面を含む。)に電子注入層用材料層を形成
し、当該電子注入層用材料層が成形されている側の下部
電極ライン付き基板の外表面(電子注入層用材料層の外
表面を含む。)に複数個の分離用リブを形成する。
【0049】分離用リブの形状およびその材質等につい
ては、本発明の有機EL表示装置についての説明の中で
既に述べてあるので、ここではその説明を省略する。分
離用リブは、その材料となる所望膜厚の電気絶縁膜をス
ピンコート法,塗布法,ディッピング法,PVD法(物
理的気相蒸着法),CVD(化学的気相蒸着法)法等、
当該電気絶縁膜の材質に応じた方法によって形成した
後、フォトリソグラフィー法,電子線リソグラフィー
法,X線リソグラフィー法等のリソグラフィー法や、レ
ーザービーム加工、電子ビーム描画等の方法によって前
記の電気絶縁膜を所望形状にパターニングすることによ
り得ることができる。このとき、下部電極ライン上(下
部電極ライン上に正孔注入層用材料層または電子注入層
用材料層が既に形成されている場合には、当該正孔注入
層用材料層上または電子注入層用材料層上)に残渣が残
らないようにすることが好ましい。
【0050】長手方向と平行な方向に延びている側面が
前述した基材の表面に対して実質的に垂直になっている
分離用リブを容易に得るうえからは、リソグラフィー法
によって前記の電気絶縁膜をパターニングして分離用リ
ブを得ることが好ましい。
【0051】上述のようにして複数個の分離用リブを形
成する分離用リブ形成工程に引き続いて行われる剥離層
形成工程では、分離用リブの上面および側面(長手方向
に沿って延びている2つの側面を意味する。以下同
じ。)のうちの少なくとも側面に剥離層を形成する。上
記の剥離層は、形成しようとする有機EL素子に対して
不活性な溶媒、すなわち、有機EL素子の有機発光部に
使用されている有機材料(有機発光材料,正孔注入層用
の有機材料および電子注入層用の有機材料の総称であ
る。以下同じ。)または対向電極用材料と実質的に反応
しない溶媒(後述する対向電極ライン形成工程参照)を
用いて除去することができる材料によって形成される。
【0052】当該材料の具体例としては、(1) ポリクロ
ロトリフルオロエチレン,ポリジクロロジフルオロエチ
レン,クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオ
ロエチレンとの共重合体等のフッ素化ポリオレフィン、
(2) テトラフルオロエチレンと下式
【化1】 によって示される化合物との共重合体等のフッ素化環状
ポリオレフィン、(3) テトラフルオロエチレンとパーフ
ルオロアリルビニルエーテルとの共重合体,クロロトリ
フルオロエチレンとパーフルオロアリルビニルエーテル
との共重合体,テトラフルオロエチレンとパーフルオロ
アルキルビニルエーテルとの共重合体,クロロトリフル
オロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体等のフッ素化ポリエーテル、および(4) フッ
素化ポリシロキサン、などのフッ素系樹脂や、シリコー
ン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、テト
ラフルオロエチレンと炭素数が4〜8のパーフルオロア
リルビニルエーテルとの重合体や、テトラフルオロエチ
レンと炭素数が4〜8のパーフルオロアルキルビニルエ
ーテルとの共重合体が好ましい。
【0053】剥離層は、例えば、前述した分離用リブが
形成されている側の下部電極ライン付き基板の外表面全
体に当該剥離層の材料となる剥離層用材料層を形成した
後、当該剥離層用材料層を反応性イオンエッチング,プ
ラズマエッチング,イオンビームエッチング等の方法に
よって所望形状にパターニングすることにより、すなわ
ち、前述した分離用リブの側面および上面のうちの少な
くとも側面に前記の剥離層用材料層が残るようにパター
ニングすることにより、得ることができる。剥離層の材
料として上述した樹脂を用いる場合には、所定のコーテ
ィング液(プレポリマーをも含めるものとする。)を用
いたスピンコート法やディッピング法によって剥離層用
材料層を形成することが好ましい。そして、剥離層用材
料層の膜厚(分離用リブの側面における膜厚)は、概ね
50〜500nmとすることが好ましい。
【0054】剥離層用材料層のパターニングを如何なる
方法によって行うかは、当該剥離層用材料層の材質,当
該剥離層用材料層の下地となっている下部電極ラインや
基材の材質,生産性等を勘案して適宜選択可能である。
ドライエッチング法、特に活性化したイオンまたはプラ
ズマを基材表面の法線方向から照射する反応性イオンエ
ッチング法によれば、目的とする剥離層を比較的容易に
得ることができる。なお、剥離層用材料層をリソグラフ
ィー法によってパターニングする場合、当該パターニン
グに用いたレジストパターンは、剥離層形成工程で除去
してもよいし、後述する対向電極ライン形成工程で剥離
層と一緒に除去してもよい。
【0055】本発明の方法では、上述のようにして剥離
層を形成した後、前述した分離用リブが形成されている
側の下部電極ライン付き基板の外表面に、有機EL素子
において有機発光部となる有機発光部用材料層を形成す
る有機発光部用材料層形成工程を行う。有機発光部用材
料層の層構成およびその材料については、本発明の有機
EL表示装置についての説明の中で既に述べてあるの
で、ここではその説明を省略する。
【0056】有機発光部用材料層は、前述した下部電極
ラインおよび後述する対向電極ラインと共に有機EL素
子を構成するものであるので、少なくとも有機EL素子
を形成しようとする箇所の下部電極ライン上に形成する
必要があるが、当該箇所における下部電極ライン上の他
にその周辺部に形成されていてもよい。有機EL素子を
形成しようとする箇所の下部電極ライン上の他にその周
辺部に有機発光部用材料層を形成したとしても目的とす
る有機EL表示装置を得ることができるので、分離用リ
ブが形成されている側の下部電極ライン付き基板(前述
した剥離層形成工程まで経た後のもの)の外表面全体に
有機発光部用材料層を形成するようにした方が簡便であ
る。
【0057】有機発光部用材料層を形成するにあたって
は、個々の有機EL素子の発光特性が高い有機EL表示
装置を得るうえから、少なくとも発光層用の材料層につ
いては真空蒸着法によって形成することが好ましい。有
機発光部用材料層を構成する他の層については、その材
料に応じて種々の方法を適用して形成することができる
が、真空蒸着法によって他の層も形成するようにすれ
ば、真空蒸着法のみによって有機発光部用材料層を形成
することができるので、実用上好都合である。
【0058】上述した有機発光部用材料層形成工程に引
き続いて行われる対向電極用材料層形成工程では、有機
発光部用材料層が形成されている側の下部電極ライン付
き基板の外表面に、有機EL素子において対向電極とな
る対向電極用材料層を形成して、前記の下部電極ライン
と前記の有機発光部用材料層と当該対向電極用材料層と
の平面視上の交差部に有機EL素子を形成する。対向電
極用材料層の材質については、本発明の有機EL表示装
置についての説明の中で既に述べてあるので、ここでは
その説明を省略する。
【0059】上記の対向電極用材料層は、後述する対向
電極ライン形成工程でパターニングされて対向電極ライ
ンとなるものである。したがって、当該対向電極用材料
層は対向電極ラインを形成しようとする箇所全体を覆う
ようにして、前記の有機発光部用材料層が形成されてい
る側の下部電極ライン付き基板の外表面に形成される。
有機発光部用材料層が形成されている側の下部電極ライ
ン付き基板の外表面全体に対向電極用材料層を形成する
ようにすれば、当該対向電極用材料層の形成が簡便にな
る。
【0060】対向電極用材料層の形成は、真空蒸着法,
スパッタリング法等の方法により行うことができる。真
空蒸着法によって対向電極用材料層を形成するようにす
れば1台の真空蒸着装置によって有機発光部用材料層の
形成から対向電極用材料層の形成までを行うことが可能
になり、かつ、有機発光部用材料層の形成後に当該有機
発光部用材料層が大気に曝されるのを容易に防止するこ
とが可能になるので、実用上好都合である。
【0061】上述の対向電極用材料層まで形成した後の
下部電極ライン付き基板では、少なくとも有機EL素子
を形成しようとする箇所において、平面視上、下部電極
ライン,有機発光部用材料層および対向電極用材料層が
交差している。すなわち、当該箇所においては、基材か
らみて下部電極ライン,有機発光部用材料層および対向
電極用材料層がこの順で積層されている。したがって、
この部分は下部電極,有機発光部および対向電極からな
る有機EL素子として機能する。
【0062】ただし、上述のようにして対向電極用材料
層まで形成しただけでは、分離用リブの高さが有機発光
部用材料層および対向電極用材料層それぞれの膜厚の和
より高い場合であっても、対向電極用材料層の形成時に
対向電極用材料が前述した分離用リブを回り込んで、当
該分離用リブの側面に形成されている剥離層上や当該分
離用リブの上面上に対向電極用材料の薄層が形成され易
い。そして、この薄層が形成されると、当該薄層によっ
て有機EL素子同士の間で短絡が生じて個々の有機EL
素子を別個に駆動させることができなくなる。
【0063】このため本発明の方法では、対向電極用材
料層を形成した後、剥離層を当該剥離層上に形成されて
いる層ごと除去し、これによって上記の対向電極用材料
層を対向電極ラインにパターニングする対向電極ライン
形成工程を行う。そして、このときの剥離層の除去は、
上記の有機EL素子に対して実質的に不活性な剥離液を
用いて行われる。
【0064】ここで、本発明の方法でいう「有機EL素
子に対して実質的に不活性な剥離液」とは、有機EL素
子の有機発光部に使用されている有機材料または有機E
L素子の対向電極として使用されている対向電極用材料
と実質的に反応せず、かつ、前述した剥離層を溶解させ
るか、または、剥離層の下地となっている部材から当該
剥離層を剥離させることができる液を意味する。
【0065】上記の剥離液としては、有機EL素子の有
機発光部に使用されている有機材料の溶解度が0.00
1%以下のものが特に好ましく、その具体例としては例
えば下記のフッ素化炭化水素が挙げられる。すなわち、
直鎖状パーフルオロアルカン(動粘度が0.1〜1cS
t程度のもの)等のフッ素化低級パラフィン(炭素数が
50以下のもの)、パーフルオロアミン等のフッ素化低
級アミン(炭素数が20以下のもの)、およびパーフル
オロポリエーテル(分子量が1000〜10000程度
のもの)等のフッ素化ポリエーテルなどが挙げられる。
また、フッ素化シリコーンオイルも上記の剥離液として
用いることができる。
【0066】ジクロロメタン,ジクロロエタン,テトラ
ヒドロフラン,ヘキサン,キシレン等の溶媒は有機発光
部に使用されている有機材料を溶解させるので、本発明
の方法でいう剥離液としては好ましくない。また、過酸
化水素水,希塩酸,希硝酸,希アンモニア水等は対向電
極用材料に溶解,酸化,変質等の損傷を与えるので、本
発明の方法でいう剥離液としては好ましくない。そし
て、フォトレジストまたはドライフィルムフォトレジス
トの現像液もしくは剥離液として従来より利用されてい
る水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液,水酸化カリ
ウム水溶液,水酸化ナトリウム水溶液,エチルセルソル
ブアセテート,ブチルセルソルブアセテート,ブチルエ
ーテル,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケト
ン,メチルイソブチルケトン等の溶媒もまた、有機発光
部に使用されている有機材料または対向電極用材料に損
傷を与えるので、本発明の方法でいう剥離液としては好
ましくない。
【0067】上記の剥離液を用いての剥離層の除去は、
当該剥離層を完全に除去するまで行わなければならない
というものではなく、剥離層上に形成されている層、特
に対向電極用材料層が除去されるまで行えば実用上は十
分である。剥離層の表層部が溶解されれば、当該剥離層
上に形成されている層は自ずと除去される。その結果と
して、対向電極ラインを形成しようとする箇所以外の箇
所に形成されている対向電極用材料層が除去されるの
で、所望の対向電極ラインが形成される。このようにし
て形成された対向電極ライン同士の間では、隣り合う対
向電極ライン同士が前述した分離用リブのいずれかによ
って、かつ、当該分離用リブの側面から前述した剥離層
の厚みの分だけ離間した状態にあるので、実質的に短絡
が生じない。
【0068】上述した対向電極ライン形成工程まで行う
ことにより、目的とする有機EL表示装置を得ることが
できるが、有機EL素子に水分や酸素が侵入するとその
発光特性や素子寿命が低下するので、本発明の方法にお
いては、対向電極ライン形成工程を行った後に、有機E
L素子に水分や酸素が侵入するのを防止するための封止
層を設ける封止層形成工程を必要に応じて行ってもよ
い。
【0069】上記の封止層の材料については、本発明の
有機EL表示装置についての説明の中で既に述べてある
ので、ここではその説明を省略する。封止層を形成する
にあたっては、当該封止層の材料に応じて真空蒸着法,
スピンコート法,スパッタリング法,キャスト法,MB
E(分子線エピタキシー)法,クラスターイオンビーム
蒸着法,イオンプレーティング法,プラズマ重合法(高
周波励起イオンプレーティング法),反応性スパッタリ
ング法,プラズマCVD法,レーザーCVD法,熱CV
D法,ガスソースCVD法等を適宜適用することができ
る。
【0070】封止層の材料として液状フッ素化炭化水素
や当該液状フッ素化炭化水素に水分や酸素を吸着する吸
着剤を分散させたもの等の液状物を用いる場合には、基
材上に形成されている有機EL素子(既に別の封止層が
あってもよい。)の外側に、前記の基材と共同してこの
有機EL素子との間に空隙を形成しつつ当該有機EL素
子を覆うハウジング材を設け、前記の基材と前記のハウ
ジング材とによって形成された空間に前記の液状物を充
填することによって封止層を形成することが好ましい。
前記のハウジング材としては、吸水率の小さいガラスま
たはポリマー(例えば三フッ化塩化エチレン)からなる
ものが好適に用いられる。ハウジング材を使用する場合
には、上述した封止層を設けずに当該ハウジング材のみ
を設けてもよいし、ハウジング材を設けた後に、当該ハ
ウジング材と前記の基材とによって形成された空間に酸
素や水を吸着する吸着材の層を設けるか当該吸着材から
なる粒子を分散させてもよい。
【0071】以上説明した各工程を含んでいる本発明の
方法では、リソグラフィー法等によって所望の大きさお
よび形状を有する下部電極ラインを高精度かつ高精細に
形成することができる。また、分離用リブも、当該分離
用リブの側面(長手方向と平行な方向に延びている側
面)が基材の表面に対して実質的に垂直であるので、リ
ソグラフィー法等によって容易に高精度かつ高精細に形
成することができる。
【0072】そして、有機EL素子の有機発光部を形成
するにあたっては、その材料となる有機発光部用材料層
をリソグラフィー法によってパターニングする必要が無
く、前記の有機発光部用材料層を単に形成するだけでよ
い。同様に、有機EL素子の対向電極(対向電極ライ
ン)を形成するにあたっては、その材料となる対向電極
用材料層をリソグラフィー法によってパターニングする
必要が無く、前記の対向電極用材料層を形成した後、有
機EL素子に対して実質的に不活性な剥離液を用いて前
述した剥離層を除去し、これによって対向電極用材料層
を対向電極ラインにパターニングすればよい。
【0073】すなわち、本発明の方法では、有機EL素
子の発光層の材料として使用した有機発光材料の発光能
を低下させることなく、また、対向電極用材料の電極と
しての機能を低下させることなく、所望の大きさ(平面
視上の大きさ)を有する複数の有機EL素子を容易に高
精細に形成することができる。したがって、本発明の方
法によれば、有機EL素子からなる個々の画素の発光特
性が高く、かつ、高精細な有機EL表示装置を容易に得
ることができる。
【0074】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)下部電極ライン付き基板作製工程 まず、基材として10×10×1.1cmのガラス板を
用意し、DCマグネトロンスパッタリング法によって前
記の基材の片面に膜厚0.2μm,面抵抗20Ω/□の
In−Zn−O系非晶質酸化物膜(Inの原子比In/
(In+Zn)=0.8)からなる導電膜を形成した。
このとき、In−Zn−O系酸化物の焼結体(Inの原
子比In/(In+Zn)=0.81)をスパッタリン
グターゲットとして用い、スパッタリング時の雰囲気を
ArガスとO2 ガスとの混合ガス雰囲気(Ar:O2
1000:2.8(体積比))とし、スパッタリング時
の真空度を0.2Pa,DCスパッタ出力を2W/cm
2 としてスパッタリングを行った。
【0075】次に、上記の導電膜(In−Zn−O系非
晶質酸化物膜)をリソグラフィー法によってパターニン
グして、幅90μm,長さ8.2cmのストライプ状を
呈する下部電極ラインを100μmピッチで計900本
形成した。リソグラフィー法によって上記の導電膜をパ
ターニングするにあたっては、当該導電膜上に所定形状
のレジストパターンを形成し、このレジストパターンを
マスクとして利用しつつ、2%HBr水溶液をエッチャ
ントとするウエットエッチングを行った。
【0076】図1(a),(b)に示すように、前記の
基材(ガラス板)1の片面に形成された上記の下部電極
ライン2の各々は互いに平行であり、これらの下部電極
ライン2を形成することにより下部電極ライン付き基板
3が得られた。
【0077】(2)分離用リブ形成工程 まず、下部電極ライン付き基板3において下部電極ライ
ン2が形成されている側の外表面全体に、ACスパッタ
リング法によってSiOx (xは約1.7)からなる膜
厚1μmの電気絶縁膜を形成した。このとき、スパッタ
リング時の雰囲気はArガスとO2 ガスとの混合ガス雰
囲気(Ar:O2 =1000:4(体積比))とし、ス
パッタリング時の真空度を0.2Pa,ACスパッタ出
力を5W/cm2 としてスパッタリングを行った。
【0078】次に、上記の電気絶縁膜(SiOx 膜)を
リソグラフィー法によってパターニングして、前述した
下部電極ライン2の各々と直交する幅20μm,高さ1
μm,長さ9.5cmの分離用リブを300μmピッチ
で計240本形成した。リソグラフィー法によって上記
の電気絶縁膜をパターニングするにあたっては当該電気
絶縁膜上に所定形状のレジストパターンを形成し、この
レジストパターンをマスクとして利用しつつ、CHF3
ガスとCF4 ガスとArガスとをエッチングガスとする
ドライエッチングを行った。ドライエッチング時におけ
るCHF3 ガスとCF4 ガスとArガスの流量(単位;
SCCM)比は24:24:98とし、真空度は0.5
Torrとし、エッチング出力は300Wとした。
【0079】図2(a),(b)に示すように、分離用
リブ4の各々は互いに平行であり、これらの分離用リブ
4においてその長手方向と平行な方向に延びている側面
4a,4bは、基材1の表面1aに対して実質的に垂直
になっている。
【0080】(3)剥離層形成工程 まずスピンコート法を利用して、図3(a)に示すよう
に、分離用リブ4が形成されている側の下部電極ライン
付き基板3の外表面全体に、膜厚(分離用リブ4の側面
4a,4b上での膜厚)400nmのフッ素系樹脂層
(硬化後のもの。吸水率は0.01%以下。)5aを形
成した。このとき、上記のフッ素系樹脂層5aの材料
(コーティング液)として旭ガラス社製のサイトップC
TX−803Aを用い、スピンコーティングの初期の段
階では下部電極ライン付き基板3の回転数を500rp
mとし、この回転数で10秒間回転させた後、回転数を
4000rpmに上げて更に20秒間回転させた。ま
た、スピンコート後に200℃で60秒間熱処理して、
乾燥・硬化させた。
【0081】次に、分離用リブ形成工程で電気絶縁膜を
パターンニングするために適用したドライエッチング法
と同条件のドライエッチング法(反応性イオンエッチン
グ法)によってフッ素系樹脂層5aをパターニングし
て、図3(b)に示すように、分離用リブ4それぞれの
側面(長手方向と平行な方向に延びている前記の側面4
a,4b。図2(b)参照)にのみ、フッ素系樹脂層5
aの一部からなる剥離層5を形成した。上記のドライエ
ッチング法では、活性化したイオンまたはプラズマを基
材1の表面1a(図2(a)参照)の法線方向から照射
したので、マスクを使用することなく目的とする剥離層
5を容易に得ることができた。
【0082】(4)有機発光部用材料層形成工程 剥離層5まで形成した後の下部電極ライン付き基板3に
おいて分離用リブ4が形成されている側の外表面全体
に、以下の要領で正孔注入層用材料層,正孔輸送層用材
料層および発光層用材料層を順次製膜して、前記の外表
面に正孔注入層用材料層,正孔輸送層用材料層および発
光層用材料層の3つの層からなる有機発光部用材料層6
を形成した。
【0083】まず、下式(I)
【化2】 によって示されるアミンオリゴマー(以下、このものを
「TPD74」と略記する。)を蒸着材料として用い
て、真空蒸着法により膜厚80nmの正孔注入層用材料
層を形成した。
【0084】次に、下式(II)
【化3】 によって示されるN,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニ
ル)−4,4’−ジアミン(以下、「TPD」と略記す
る。)を蒸着材料として用いて、真空蒸着法により上記
の正孔注入層用材料層(TPD74層)上に膜厚20n
mの正孔輸送層用材料層を形成した。
【0085】この後、緑色のEL光が生じる有機発光材
料の1つであるトリス(8−ヒドロキシキノリノ)アル
ミニウム錯体(以下、「Alq」と略記する。)を蒸着
材料として用いて、真空蒸着法により上記の正孔輸送層
用材料層(TPD層)上に膜厚60nmの発光層用材料
層(Alq層)を形成した。
【0086】(5)対向電極用材料層形成工程 図4に示すように、上記(4)で形成した有機発光部用
材料層6上に真空蒸着法によって膜厚200nmのAl
−Li合金(Li濃度は0.5at%)層7を形成した。
このAl−Li合金層7は対向電極用材料層であるの
で、以下「対向電極用材料層7」という。上記の対向電
極用材料層7まで形成した後の下部電極ライン付き基板
3では、図4に示したように、下部電極ライン2のうち
で隣り合う2つの分離用リブ4の間に位置している部分
(厳密には、互いに対向する2つの剥離層5の間に位置
している部分)において、下部電極ライン2,有機発光
部用材料層6および対向電極用材料層7が平面視上交差
する。すなわち、当該部分においては、基材1からみて
下部電極ライン2,有機発光部用材料層6および対向電
極用材料層7がこの順で積層されている。したがって、
この平面視上の交差部は下部電極,有機発光部および対
向電極からなる有機EL素子8として機能し、これらの
有機EL素子8は緑色のEL光を出射する。
【0087】なお、図4においては図示を省略してある
が、各剥離層5の外表面(隣り合う分離用リブ4の間に
形成されている対向電極用材料層7の上端より上の部
分)には、有機発光部用材料からなる薄膜および対向電
極用材料からなる薄膜(以下、これらの薄層を「側面付
着層」という。)が積層されている。また、前述した正
孔注入層用材料層(TPD74層)の製膜から上述した
対向電極用材料層7の製膜までは1台の真空蒸着装置を
用いて行い、かつ、その間、真空槽を1度も開放せずに
連続して各層の製膜を行った。
【0088】(5)剥離層除去工程 上記の有機EL素子8に対して実質的に不活性な剥離液
として液状フッ素化炭化水素(旭ガラス社製のCT−S
olv 100)を用い、この剥離液中に上記の対向電
極用材料層7まで形成した後の対向電極ライン付き基板
3を浸漬して超音波振動を付与し、この状態で3分間、
超音波洗浄した。この超音波洗浄により、剥離層5がそ
の外表面に形成されている側面付着層(有機発光部用材
料からなる薄層および対向電極用材料からなる薄層)ご
と除去された。その結果として、前述した対向電極用材
料層7は計240本の対向電極ライン7aにパターニン
グされ、目的とする有機EL表示装置が得られた。
【0089】図5に示すように、この有機EL表示装置
10は、ガラス板からなる基材1と、当該基材1の片面
に形成された計900本の下部電極ライン2と、これら
の下部電極ライン2と直交するように形成された計24
0本の分離用リブ4と、隣り合う2つの分離用リブ4の
間にそれぞれ形成されている有機発光部用材料層6と、
有機発光部用材料層6それぞれの上に形成された対向電
極ライン7aとを有しており、分離用リブ4それぞれの
側面(長手方向と平行な方向に沿って延びている2つの
側面4a,4b(図2参照))は基材1の表面1a(図
2参照)に対して実質的に垂直になっている。なお、当
該有機EL表示装置10は、前述した側面付着層を有し
ていない。
【0090】個々の下部電極ライン2は、幅90μm,
長さ8.2cmのストライプ状を呈し、これらの下部電
極ライン2は100μmピッチで形成されている。ま
た、個々の有機発光部用材料層6は、上述したように、
平面視したときに前記の下部電極ライン2の各々と直交
するようにして形成されており、対向電極ライン7aは
当該有機発光部用材料層6上に形成されているので、個
々の対向電極ライン7aもまた下部電極ライン2の各々
と平面視上直交する。
【0091】個々の対向電極ライン7aは幅約280μ
m,長さ9.5cmのストライプ状を呈し、これらの対
向電極ライン7aは300μmピッチで形成されてい
る。そして、隣り合う対向電極ライン7a同士は、1つ
の分離用リブ4によって当該分離用リブ4の側面(側面
4a,4b(図2参照))から剥離層5の膜厚分、すな
わち400nmだけ離間した状態で互いに分離されてい
る。
【0092】上記の有機EL表示装置10においては、
下部電極ライン2,有機発光部用材料層6および対向電
極ライン7aの平面視上の交差部にそれぞれ有機EL素
子8が形成されており、これらの有機EL素子8は画素
として機能する。
【0093】(6)封止層形成工程 個々の有機EL素子8の素子寿命がより長い有機EL表
示装置を得るために、対向電極用材料層7の形成から下
記の封止層の形成までの間に上記の有機EL表示装置1
0を大気に曝すことなく、次のようにして封止層を形成
した。まず、所定の大きさを有するガラス蓋を用意し
た。このガラス蓋には、後述する注入口として使用され
る貫通孔が設けられている。次に、このガラス蓋と上記
の有機EL表示装置10とを、有機EL表示装置10を
構成している各有機EL素子8と前記のガラス蓋との間
に所望の空間が形成されるようにして、紫外線硬化型樹
脂を用いて貼り合わせた。
【0094】次いで、ガラス蓋に形成されている貫通孔
を注入口として利用して、上記の空間内に液状フッ素化
炭化水素(ダイキン工業社製のデムナムS−20)を充
填し、これによって当該液状フッ素化炭化水素からなる
封止層を形成した。この後、ガラス蓋に形成されている
注入口(貫通孔)を密閉して、目的とする有機EL表示
装置を得た。
【0095】保存試験 実施例1で得た有機EL表示装置を常温,相対湿度70
%の条件下で500時間保存し、その後に発光欠陥の発
生の有無を調べた。その結果、個々の有機EL素子に発
光欠陥の発生は認められなかった。
【0096】発光試験 実施例1で得た有機EL表示装置について、下部電極ラ
インを信号電極、対向電極ラインを走査電極として用
い、これらの電極と所定の駆動回路とを接続して、デュ
ーティー比1/240で定電流単純マトリックス駆動を
行った。その結果、全ての有機EL素子を個別に、か
つ、高輝度に発光させることができ、良好な画像表示を
得ることができた。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
表示装置は、有機EL素子をからなる個々の発光特性が
高く、かつ、高精細なものを得ることが容易な有機EL
表示装置である。したがって、本発明によれば高精細な
有機EL表示装置を得ることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は実施例1で作製した下部電極ライ
ン付き基板を下部電極ラインの長手方向を望むようにし
てみたときの概略を示す断面図であり、図1(b)は前
記の下部電極ライン付き基板を下部電極ラインの短手方
向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図であ
る。
【図2】図2(a)は実施例1で分離用リブ形成工程ま
で経た後の下部電極ライン付き基板を下部電極ラインの
長手方向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図
であり、図2(b)は下部電極ライン付き基板を下部電
極ラインの短手方向を望むようにしてみたときの概略を
示す断面図である。
【図3】図3(a)は実施例1で剥離層の材料となる剥
離層用材料層を形成した後の下部電極ライン付き基板を
下部電極ラインの短手方向を望むようにしてみたときの
概略を示す断面図であり、図3(b)は剥離層を形成し
た後の下部電極ライン付き基板を下部電極ラインの短手
方向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図であ
る。
【図4】実施例1で対向電極用材料層形成工程まで経た
後の下部電極ライン付き基板を下部電極ラインの短手方
向を望むようにしてみたときの概略を示す断面図であ
る。
【図5】図5(a)は実施例1で作製した有機EL表示
装置(封止層を形成する前のもの)を対向電極ラインが
形成されている側からみたときの概略を示す平面図であ
り、図5(b)は前記の有機EL表示装置を下部電極ラ
インの短手方向を望むようにしてみたときの概略を示す
断面図である。
【符号の説明】
1…基材、 2…下部電極ライン、 3…下部電極ライ
ン付き基板、 4…分離用リブ、 5…剥離層、 6…
有機発光部用材料層、 7…対向電極用材料層、 7a
…対向電極ライン、 8…有機EL素子、 10…有機
EL表示装置。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材上に形成されている複数
    本の下部電極ラインと、該下部電極ラインの各々と交差
    するようにして前記の基材上に形成されている複数個の
    分離用リブと、前記の下部電極ラインそれぞれの上に形
    成されている有機発光部用材料層と、該有機発光部用材
    料層を介して前記下部電極ラインの各々と交差するよう
    にして形成されている複数本の対向電極ラインとを備
    え、 個々の分離用リブは、長手方向と平行な方向に延びてい
    る側面が前記の基材の表面に対して実質的に垂直になっ
    ているものであり、 隣り合う対向電極ライン同士は、前記の分離用リブのい
    ずれかによって、該分離用リブの側面から離間した状態
    で互いに分離されており、 前記の対向電極ラインと前記の下部電極ラインとの平面
    視上の交差部に画素としての有機EL素子が形成されて
    いる、ことを特徴とする有機EL表示装置。
  2. 【請求項2】 基材に複数の下部電極ラインを形成して
    下部電極ライン付き基板を得る下部電極ライン付き基板
    作製工程と、 前記の下部電極ラインが形成されている側の下部電極ラ
    イン付き基板の外表面に、長手方向と平行な方向に延び
    ている側面が前記の基材の表面に対して実質的に垂直に
    なっている複数個の分離用リブを前記の下部電極ライン
    の各々と交差するようにして形成する分離用リブ形成工
    程と、 前記の分離用リブそれぞれの上面および側面のうちの少
    なくとも側面に剥離層を形成する剥離層形成工程と、 前記の分離用リブが設けられている側の下部電極ライン
    付き基板の外表面に、有機EL素子において有機発光部
    となる有機発光部用材料層を形成する有機発光部用材料
    層形成工程と、 前記の有機発光部用材料層が形成されている側の下部電
    極ライン付き基板の外表面に、有機EL素子において対
    向電極となる対向電極用材料層を形成して、前記の下部
    電極ラインと前記の有機発光部用材料層と該対向電極用
    材料層との平面視上の交差部に有機EL素子を形成する
    対向電極用材料層形成工程と、 前記の剥離層を、前記の有機EL素子に対して実質的に
    不活性な剥離液を用いて該剥離層上に形成されている層
    ごと除去して、前記の対向電極用材料層を対向電極ライ
    ンにパターニングする対向電極ライン形成工程と、を含
    むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 分離用リブを吸水率が0.5%以下の材
    料によって形成する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 剥離層形成工程が、分離用リブが設けら
    れている側の下部電極ライン付き基板の外表面に剥離層
    用材料層を形成する剥離層用材料層形成工程と、前記の
    剥離層用材料層をドライエッチング法によってパターニ
    ングして剥離層を得るドライエッチング工程とを含む、
    請求項2または請求項3に記載の方法。
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