JPH10245379A - エポキシ化合物の製造方法およびトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの製造方法 - Google Patents

エポキシ化合物の製造方法およびトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの製造方法

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JPH10245379A
JPH10245379A JP6216497A JP6216497A JPH10245379A JP H10245379 A JPH10245379 A JP H10245379A JP 6216497 A JP6216497 A JP 6216497A JP 6216497 A JP6216497 A JP 6216497A JP H10245379 A JPH10245379 A JP H10245379A
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epichlorohydrin
isocyanurate
tris
epoxypropyl
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JP6216497A
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Noriyoshi Matsunaga
紀義 松長
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Daichi Kasei Co Ltd
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Daichi Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロルヒドリン構造を有する化合物から高収
率で高純度のエポキシ化合物を製造する。 【解決手段】 エポキシ化合物の製造方法は、クロルヒ
ドリン構造を有する化合物とエピクロルヒドリンとを反
応させて、目的とするエポキシ化合物と副生成物である
グリセリンジクロロヒドリンとを含む第1の反応生成物
を得るための第1の反応工程、第1の反応生成物中から
グリセリンジクロロヒドリンを除去するための除去工
程、およびグリセリンジクロロヒドリンが除去された第
1の反応生成物にエピクロルヒドリンを追加してさらに
反応させ、目的とするエポキシ化合物と副生成物として
のジグリセリンジクロロヒドリンとを含む第2の反応生
成物を得るための第2の反応工程を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、エポキシ化合物の
製造方法、特に、クロルヒドリン構造を有する化合物か
らエポキシ化合物を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ化合物は、粉体塗料、電気部
品、工業部品、成形材料、強化プラスチック、接着剤お
よび耐熱レジストインキ用などの分野で用いられる各種
の合成樹脂、並びにその他の化学材料を製造するための
原料として広く利用されており、その消費量は増大の一
途にある。
【0003】このようなエポキシ化合物の製造方法とし
て、クロルヒドリン構造を有する化合物に対して塩基成
物質を反応させ、クロルヒドリン構造を閉環させてエポ
キシ基に変換する方法が知られている。例えば、エポキ
シ樹脂系粉体塗料やポリエステル樹脂系粉体塗料の硬化
剤の主剤および架橋剤等として広く利用されているトリ
ス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートは、
このような製造方法に従って製造されている(特公昭4
2−1989号公報参照)。具体的には、イソシアヌル
酸を原料として用い、このイソシアヌル酸にエピクロル
ヒドリンを反応させてクロルヒドリン構造を有する化合
物であるトリス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ル)イソシアヌレートを先ず製造する。次に、得られた
トリス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)イソシ
アヌレートに苛性ソーダなどの塩基性物質を作用させ、
これによりクロルヒドリン構造部分を閉環させてエポキ
シ基に変換する。これにより、トリス(3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートの(3−クロ
ロ−2−ヒドロキシプロピル)構造部分がエポキシ基と
なり、目的とするトリス(2,3−エポキシプロピル)
イソシアヌレートが得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなエポキシ
化合物の製造方法では、塩基性物質を用いてクロルヒド
リン構造部分をエポキシ基に変換する際に、生成したエ
ポキシ基が塩基性物質の作用を受けて分解し、グリコー
ル構造になる場合が多い。また、副反応の進行により、
クロルヒドリン構造に再変換されてしまう場合がある。
さらに、大量の塩基性物質を用いる必要があるため、最
終製品であるエポキシ化合物中に塩基性物質に由来する
異物(例えば、苛性ソーダを利用した場合にはナトリウ
ムや塩素等)が混入する場合も多い。
【0005】従って、上述の製造方法では、目的とする
エポキシ化合物を高収率で、しかも高純度に得るのは困
難である。また、得られたエポキシ化合物は、例えば水
洗により上述のグリコール構造を有する副生成物等を除
去する必要があるが、この場合は、洗浄水中に多量の副
生成物が溶け込むことになるので、当該洗浄水をそのま
まの状態で廃棄するのは環境衛生上問題がある。すなわ
ち、当該洗浄水を廃棄するためには、そこから副生成物
等を除去するための特別な処理が不可欠となる。
【0006】本発明の目的は、クロルヒドリン構造を有
する化合物から高収率で高純度のエポキシ化合物を製造
することにある。
【0007】本発明の他の目的は、イソシアヌル酸を原
料として、高収率で高純度のトリス(2,3−エポキシ
プロピル)イソシアヌレートを製造することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエポキシ化
合物の製造方法は、クロルヒドリン構造を有する化合物
からエポキシ化合物を製造するためのものである。この
製造方法は、次の工程を含んでいる。 ◎クロルヒドリン構造を有する化合物とエピクロルヒド
リンとを反応させて、目的とするエポキシ化合物と副生
成物であるグリセリンジクロロヒドリンとを含む第1の
反応生成物を得るための第1の反応工程。 ◎第1の反応生成物中からグリセリンジクロロヒドリン
を除去するための除去工程。 ◎グリセリンジクロロヒドリンが除去された第1の反応
生成物にエピクロルヒドリンを追加してさらに反応さ
せ、目的とするエポキシ化合物と副生成物としてのジグ
リセリンジクロロヒドリンとを含む第2の反応生成物を
得るための第2の反応工程。
【0009】なお、このようなエポキシ化合物の製造方
法では、例えば、第2の反応生成物からグリセリンジク
ロロヒドリンを除去し、その後第2の反応生成物にエピ
クロルヒドリンをさらに追加して第2の反応工程と同様
の反応を少なくとも1回繰り返す工程をさらに含んでい
る。また、このようなエポキシ化合物の製造方法は、例
えば、第2の反応生成物を塩基性物質を用いて処理する
ための工程をさらに含んでいる。
【0010】本発明に係るトリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートの製造方法は、イソシアヌル
酸とエピクロルヒドリンとを用いて当該化合物を製造す
るための方法である。この製造方法は、下記の工程を含
んでいる。 ◎イソシアヌル酸にエピクロルヒドリンを作用させてト
リス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシア
ヌレートを製造するための工程。 ◎得られたトリス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピ
ル)イソシアヌレートに対してエピクロルヒドリンをさ
らに反応させ、目的とするトリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートと副生成物であるグリセリン
ジクロロヒドリンとを含む第1の反応生成物を得るため
の第1の反応工程。 ◎第1の反応生成物中からグリセリンジクロロヒドリン
を除去するための除去工程。 ◎グリセリンジクロロヒドリンが除去された第1の反応
生成物にエピクロルヒドリンを追加してさらに反応さ
せ、目的とするトリス(2,3−エポキシプロピル)イ
ソシアヌレートと副生成物としてのジグリセリンジクロ
ロヒドリンとを含む第2の反応生成物を得るための第2
の反応工程。
【0011】なお、このような製造方法は、例えば、第
2の反応生成物を塩基性物質を用いて処理するための工
程をさらに含んでいる。
【0012】
【発明の実施の形態】エポキシ化合物の製造方法 本発明に係るエポキシ化合物の製造方法は、クロルヒド
リン構造を有する化合物を原料(出発物質)として用い
る。ここで、クロルヒドリン構造とは、下記の一般式
(1)で示される化学構造を言う。なお、一般式(1)
中、Rは任意の有機基である。
【0013】
【化1】
【0014】なお、原料となる化合物は、1分子中にこ
のようなクロルヒドリン構造を複数個有していてもよ
い。
【0015】本発明の製造方法では、上述のクロルヒド
リン構造を有する化合物とエピクロルヒドリンとを反応
させ、上述の原料化合物中のクロルヒドリン構造部分を
エポキシ基に変換する(第1の反応工程)。ここで、エ
ピクロルヒドリンの使用量は、原料化合物側に含まれる
クロルヒドリン構造の当量数よりも多くなるように設定
するのが好ましく、通常は原料化合物側に含まれるクロ
ルヒドリン構造の当量数の5〜20倍、より好ましくは
10〜15倍に設定されるのが好ましい。より具体的に
は、原料化合物の1分子中に含まれるクロルヒドリン構
造が1つの場合はエピクロルヒドリンの使用量を原料化
合物と等モル以上に設定するのが好ましく、原料化合物
の1分子中に含まれるクロルヒドリン構造が2つの場合
はエピクロルヒドリンの使用量を原料化合物の2倍モル
以上に設定するのが好ましい。
【0016】因みに、エピクロルヒドリンの使用量が原
料化合物側に含まれるクロルヒドリン構造の当量数の5
倍未満の場合は、エポキシ基への変換が十分に行われな
いおそれがある。
【0017】ここでの反応条件は、原料化合物中のクロ
ルヒドリン構造をエポキシ基に変換することができるよ
うに設定されていれば特に限定されないが、通常は、反
応温度を80〜120℃に設定するのが好ましく、ま
た、反応時間を1〜5時間に設定するのが好ましく、1
〜3時間に設定するのがより好ましい。反応温度が80
℃未満の場合は、エポキシ基への変換が遅くなる場合が
ある。逆に、120℃を超える場合は、副反応による不
純物の生成が多くなる場合がある。一方、反応時間が1
時間未満の場合は、エポキシ基への変換が不十分になる
場合がある。逆に、5時間を超える場合は、不純物の生
成が多くなる場合がある。
【0018】この工程での反応を式で示すと下記のよう
になる。
【0019】
【化2】
【0020】ここで、反応液I(第1の反応生成物)に
は、原料化合物中の全てのクロルヒドリン構造がエポキ
シ基に変換されたもの(すなわち、目的とするエポキシ
化合物)の他に、原料化合物中の一部のクロルヒドリン
構造がエポキシ基に変換されたもの、および未反応の原
料化合物も含まれる。なお、式(2)で示される化合物
は、グリセリンジクロロヒドリンであり、この反応工程
での副生成物である。
【0021】この反応工程の終点は、生成した目的とす
るエポキシ化合物の含量を基準にして判断することがで
きる。ここで基準となるエポキシ化合物の含量は、例え
ば、ガスクロマロトグラフや高速液体クロマトグラフな
どを用いて容易に判定することができる。
【0022】次に、上述の反応工程で得られた反応液I
からグリセリンジクロロヒドリンを除去する(除去工
程)。グリセリンジクロロヒドリンは、例えば、減圧下
において上述の混合物から容易に留去することができ、
ここではグリセリンジクロロヒドリンとともにエピクロ
ルヒドリンも同時に留去される。なお、この工程では、
反応液I中のグリセリンジクロロヒドリンを可能な限り
に除去するのが好ましい。グリセリンジクロロヒドリン
が残留している場合は、後述する第2の反応工程で生成
するエポキシ化合物が、当該グリセリンジクロロヒドリ
ンの作用を受けてクロロヒドリン構造を有する化合物に
逆戻りし、結果的に目的とするエポキシ化合物を高収
率、高純度で得るのが困難になるおそれがある。
【0023】なお、グリセリンジクロロヒドリンの除去
状況は、例えば、ガスクロマトグラフや高速液体クロマ
トグラフなどを用いて容易に判定することができる。
【0024】次に、グリセリンジクロロヒドリンが除去
された上述の反応液Iにエピクロルヒドリンをさらに追
加し、反応液Iとエピクロルヒドリンとを反応させる
(第2の反応工程)。ここでは、反応液I中に含まれて
いる未反応のクロルヒドリン構造部分がエポキシ基に変
換され、反応液Iに比べて目的とするエポキシ化合物を
より多量に含む反応液II(第2の反応生成物)が得ら
れる。
【0025】このような第2の反応工程では、そこで用
いられている反応液I中に含まれていたグリセリンジク
ロロヒドリンが上述の除去工程において予め除去されて
いるため、反応がクロルヒドリン構造からエポキシ基へ
の変換方向に向けて効率的に進行し、目的とするエポキ
シ化合物が速やかに高収率で生成することになる。
【0026】この工程で用いるエピクロルヒドリンの使
用量は、特に限定されるものではないが、通常、第1の
反応工程で用いたエピクロルヒドリンと同量ないしその
半量に設定するのが好ましい。
【0027】上述のような第2の反応工程で得られる反
応液IIは、主に、目的とするエポキシ化合物、副生成
物であるグリセリンジクロロヒドリンおよび未反応のエ
ピクロルヒドリンを含む。したがって、この反応液II
からグリセリンジクロロヒドリンおよびエピクロルヒド
リンを減圧下で留去して除去すると、目的とするエポキ
シ化合物を高純度で得ることができる。グリセリンジク
ロロヒドリンおよびエピクロルヒドリンの除去状況は、
ガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフを用いて
容易に判定することができる。
【0028】なお、本発明に係る上述の製造方法では、
反応液IIからグリセリンジクロロヒドリンを除去した
後、それにエピクロルヒドリンを追加してさらに反応さ
せてもよい。また、このような工程は2回以上繰り返し
てもよい。このようにすれば、反応液II中に含まれる
未反応原材料の濃度がより低下しかつ目的とするエポキ
シ化合物の濃度がより高まるので、目的とするエポキシ
化合物をさらに高収率で、しかもさらに高純度に得るこ
とができる。
【0029】一方、上述の反応液IIには、未反応の原
材料や一部のクロルヒドリン構造部分のみがエポキシ基
に変換された化合物、すなわちクロルヒドリン構造を有
する化合物(以下、未反応原材料と略す)が若干量含ま
れている場合がある。このような未反応原材料は、上述
の反応液IIを塩基性物質を用いて処理することにより
目的とするエポキシ化合物に変換することができる。こ
のような塩基性物質による処理では、未反応原材料中の
クロルヒドリン構造が塩基性物質の作用により閉環し、
エポキシ基に変換される。したがって、反応液IIを塩
基性物質により処理すれば、目的とするエポキシ化合物
をより高収率で、しかも高純度に得ることができること
になる。
【0030】ここで利用可能な塩基性物質は、クロルヒ
ドリン構造を閉環してエポキシ基に変換することができ
るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物が用いられる。これらの塩基性物質は、粉末状や
フレーク状などの固体状で用いられてもよいし、水溶液
の状態で用いられてもよい。
【0031】ここで用いる塩基性物質の量は、未反応原
材料に含まれるクロルヒドリン構造をエポキシ基に変換
するために十分な量であれば特に限定されるものではな
いが、通常、未反応原材料に含まれるクロルヒドリン構
造をエポキシ基に変換するために最低限必要な量と、第
2の反応工程の結果生成するグリセリンジクロロヒドリ
ンをエピクロルヒドリンに変換するために最低限必要な
量との合計の1割増しに設定するのが好ましい。塩基性
物質の量をこのように設定した場合は、収率の向上と原
料ロス防止の効果を期待することができる。
【0032】反応液IIを塩基性物質を用いて処理した
場合、この反応液IIは、上述の減圧留去工程へ移る前
に、酸を用いて中和し、その後水洗しておくのが好まし
い。ここで用いられる中和用の酸は、特に限定されるも
のではないが、例えば、10〜30%程度の酸性りん酸
ソーダ水溶液である。
【0033】上述のような本発明に係るエポキシ化合物
の製造方法は、出発原料となるクロルヒドリン構造を有
する化合物の他に、必須の材料としてエピクロルヒドリ
ンを用いるだけで実施することができる。しかも、この
エピクロルヒドリンは、反応時の副生成物とともに反応
液から容易に除去することができる。したがって、本発
明の製造方法によれば、従来の方法に比べて高純度のエ
ポキシ化合物を容易に得ることができる。
【0034】また、塩基性物質を用いる場合でも、その
使用量は従来の方法の場合に比べて格段に少量、すなわ
ち、少量の酸を用いて中和することにより容易に除去で
きる程度のものであるため、製造されたエポキシ化合物
は当該塩基性物質による汚染を受けにくい。したがっ
て、この場合であっても、目的とするエポキシ化合物の
純度が低下するおそれは少ない。
【0035】なお、本発明の製造方法における除去工程
等で除去されたグリセリンジクロロヒドリンは、塩基性
物質で処理するとエピクロルヒドリンに変換することが
できる。このため、除去されたグリセリンジクロロヒド
リンは、回収してエピクロルヒドリンに変換すると、後
の第2の反応工程などにおいて再利用することができる
ようになる。言い替えると、本発明の製造方法は、原料
の損失を効果的に抑制することができ、また、副生成物
の発生を最小限に抑制することができるので、環境衛生
の保全に益することができる。
【0036】本発明の製造方法により製造することがで
きるエポキシ化合物は、クロルヒドリン構造を有する化
合物から誘導可能なものであれば特に限定されるもので
はない。因に、製造可能なエポキシ化合物の具体例とし
ては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌ
レート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグ
リセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリト
ールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリ
シジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテ
ル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノール
ジグリシジルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸のグリ
シジルエステルエーテル、ネオペンチルグリコールジグ
リシジルエーテル、1,6―ヘキサンジオールジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールA(プロピレンオキサイ
ド)2ジグリシジルエーテル 、アリルグリシジルエーテ
ル、ステアリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシ
ルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、イ
ソブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエー
テル、フェノール(エチレンオキサイド)5グリシジル
エーテル 、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジ
ルエーテル、p−クロロフェニルグリシジルエーテル、
o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグ
リシジルエーテル、ラウリルアルコール(エチレンオキ
サイド)15グリシジルエーテル、炭素数が12〜13個
のアルコールの混合物のグリシジルエーテル、デシルグ
リシジルエーテル、グリシジルベンゾエート、グリシジ
ルブチレート、o−フタル酸のジグリシジルエステル、
高分子量二塩基酸のジグリシジルエステル、ハイドロキ
ノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、フェノー
ルノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラッ
クグリシジルエーテル、テレフタル酸のジグリシジルエ
ステル、グリシジルフタルイミド、ジブロモフェニルグ
リシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジ
グリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0037】トリス(2,3−エポキシプロピル)イソ
シアヌレートの製造方法 次に、上述のエポキシ化合物のうち、トリス(2,3−
エポキシプロピル)イソシアヌレートについて、本発明
による製造方法を具体的に説明する。
【0038】トリス(2,3−エポキシプロピル)イソ
シアヌレートを製造する場合には、先ず、イソシアヌル
酸にエピクロルヒドリンを反応させてトリス(3―クロ
ロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを製造
する。ここでの反応を式で示すと下記のようになる。
【0039】
【化3】
【0040】この反応では、イソシアヌル酸1モルに対
してエピクロルヒドリンを15〜25モル用いるのが好
ましい。また、ここでは、必要に応じて触媒を用いるこ
とができる。利用可能な触媒としては、例えば、トリエ
チルアミン,ベンジルジメチルアミンおよびトリエタノ
ールアミンなどの3級アミン、塩化テトラメチルアンモ
ニウム,塩化ベンジルトリメチルアンモニウムおよび塩
化トリエチルメチルアンモニウムなどの4級アンモニウ
ムハライドなどを挙げることができる。なお、触媒の使
用量は、通常、イソシアヌル酸1モルに対して0.01
〜0.05モル程度である。
【0041】ここでの反応は、通常、イソシアヌル酸1
モルに対して0.4〜0.8モルの水をさらに添加して
加熱し、エピクロルヒドリンを水と共沸させながら実施
する。より具体的には、共沸により反応系内より水を除
去しながら反応を継続し、最終的に反応温度を120℃
程度に設定する。なお、ここでの反応の進行状況は、例
えばガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフを用
いることにより容易に確認することができる。
【0042】次に、上述の反応工程で得られたトリス
(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレ
ートを出発原料として用い、上述の本発明に係る製造方
法を実施する。ここでは、先ず、得られたトリス(3―
クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートに
所定量のエピクロルヒドリンを加えて反応させ、トリス
(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレ
ートの(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)構造部
分をエポキシ基に変換する(第1の反応工程)。ここで
の反応を式で示すと下記のようになる。
【0043】
【化4】
【0044】反応式から明らかなように、ここでの反応
液I(反応生成物I)は、主に、式(3)で示されるト
リス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、
式(4)で示されるモノ(3―クロロ−2―ヒドロキシ
プロピル)−ビス(2,3−エポキシプロピル)イソシ
アヌレート、式(5)で示されるビス(3―クロロ−2
―ヒドロキシプロピル)−モノ(2,3−エポキシプロ
ピル)イソシアヌレートト、および副反応による生成物
であるグリセリンジクロロヒドリン(式(6))を含ん
でいる。
【0045】次に、上述の反応液Iから、未反応のエピ
クロルヒドリンと共に副生成物であるグリセリンジクロ
ロヒドリンを除去する(除去工程)。未反応のエピクロ
ルヒドリンとグリセリンジクロロヒドリンとは、減圧下
において生成物から容易に留去することができる。
【0046】次に、上述のようにしてエピクロルヒドリ
ンとグリセリンジクロロヒドリンとが除去された反応液
I(これには、上述の式(3)、(4)および(5)で
示される化合物が主に含まれている)にエピクロルヒド
リンを再度加えて反応させる(第2の反応工程)。この
際の反応温度は通常120℃程度であり、また、反応時
間は2時間程度である。なお、ここで用いられるエピク
ロルヒドリンの量は、通常、上述の第1の反応工程で用
いたエピクロルヒドリンと同量ないしその半量である。
【0047】この反応工程では、エポキシ基を再度3−
クロロ−2−ヒドロキシプロピル構造に変換させる原因
となるグリセリンジクロロヒドリンが予め除去されてい
るため、上述の反応液中に含まれているモノ(3―クロ
ロ−2―ヒドロキシプロピル)−ビス(2,3−エポキ
シプロピル)イソシアヌレートおよびビス(3―クロロ
−2―ヒドロキシプロピル)−モノ(2,3−エポキシ
プロピル)イソシアヌレートの(3―クロロ−2―ヒド
ロキシプロピル)構造部分が添加されたエピクロルヒド
リンの作用を受けて効率的にかつ速やかにエポキシ基に
変換され、すなわち両化合物が目的とするトリス(2,
3−エポキシプロピル)イソシアヌレートに変換され、
新たな反応液II(反応生成物II)が得られる。
【0048】なお、上述の第2の反応工程は、反応液I
Iから未反応のエピクロルヒドリンおよび副生成物であ
るグリセリンジクロロヒドリンを除去した後に数回繰り
返されてもよい。このようにした場合は、反応液II中
に含まれるモノ(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピ
ル)−ビス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ
ートおよびビス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピ
ル)−モノ(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ
ートの割合が減少することになるので(言い替えると、
反応液II中に含まれるトリス(2,3−エポキシプロ
ピル)イソシアヌレートの割合がより高まることになる
ので)、目的とするトリス(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレートをより高収率で、しかもより高純
度に製造することができるようになる。
【0049】このような第2の反応工程の終了後、必要
に応じて反応液IIに苛性アルカリ化合物の粉末や苛性
アルカリ化合物の濃厚水溶液などの塩基性物質を加え
る。このようにすれば、反応液II中に残留している若
干量のモノ(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)−
ビス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートお
よびビス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)−モ
ノ(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの
(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)構造部分を閉
環させてエポキシ基へ変換することができ、これにより
両化合物を目的とするトリス(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレートに変換することができる。ここで
使用する塩基性物質の量は、通常、既述のように設定さ
れるが、この量は、通常、トリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートに関する従来の製造方法で用
いられていた量に比べて格段に少量である。
【0050】反応液IIに対して上述のような塩基性物
質による処理を施した場合は、その後反応液IIを既述
の中和剤を用いて中和し、さらに水洗するのが好まし
い。
【0051】このようにして得られた反応液IIは、目
的とするトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシア
ヌレートを極めて高濃度で含んでいるため、更なる精製
工程などを経なくても、そのままで高純度のトリス
(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとして
利用することができる。但し、このトリス(2,3−エ
ポキシプロピル)イソシアヌレートは、所望により再結
晶されてもよい。この場合は、反応液II、すなわち粗
トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート
を95±5℃に加温して溶解し、攪拌下で内温を90℃
に維持しながらメタノールを8〜10モル加えて再結晶
するのが好ましい。
【0052】なお、上述の説明では、先ずイソシアヌル
酸にエピクロルヒドリンを反応させてトリス(3―クロ
ロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを一旦
製造し、得られたトリス(3―クロロ−2―ヒドロキシ
プロピル)イソシアヌレートに対してさらにエピクロル
ヒドリンを添加して本発明に係るエポキシ化合物の製造
方法を実施する場合について説明したが、本発明に係る
トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート
の製造方法はこれに限られない。例えば、イソシアヌル
酸に対してエピクロルヒドリンを反応させてトリス(3
―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート
を製造する際に、同時に上述の第1の反応工程を実施す
るようにしてもよい。すなわち、生成したトリス(3―
クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートに
対してそのままエピクロルヒドリンを反応させ、その
(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)構造部分をエ
ポキシ基に変換するようにしてもよい。
【0053】この場合は、イソシアヌル酸からトリス
(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレ
ート等が生成する反応と、生成したトリス(3−クロロ
−2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート等にエピ
クロルヒドリンがさらに反応したトリス(2,3−エポ
キシプロピル)イソシアヌレート等が生成する反応とが
同一の反応系内で競走することになる。これを式で示す
と下記のようになる。
【0054】
【化5】
【0055】
【実施例】実施例1 蒸留装置を備えた2リットルの反応容器を用意し、これ
にイソシアヌル酸129.1重量部、エピクロルヒドリ
ン1850重量部および水90重量部を仕込んで89℃
に加熱した。この温度では、エピクロルヒドリンと水と
が共沸して僅かに留出し始めた。この反応系に、テトラ
メチルアンモニウムクロライド3重量部を10mlの水
に溶解した触媒液を30分かけて添加した。なお、反応
容器から留出した蒸気は、凝集させて水とエピクロルヒ
ドリンとに分離し、エピクロルヒドリンのみを連続的に
反応容器内に戻した。
【0056】次に、上述の反応系の反応温度を89℃か
ら120℃に1時間かけて昇温し、この間、反応系から
連続的に水を留去した。その後、反応温度を120℃で
1時間保持して反応を終了させた。反応終了後、高速液
体クロマトグラフを用いて反応液を分析したところ、そ
こには、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシア
ヌレートが41.3%、モノ(3−クロロ−2−ヒドロ
キシプロピル)−ビス(2,3−エポキシプロピル)イ
ソシアヌレートが40.2%、ビス(3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピル)−モノ(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレートが15.3%、およびその他の化
合物が3.2%含まれていた。
【0057】得られた反応液を20リットルのロータリ
ーエバポレーターに移し、60℃の油浴を用いて濃縮し
た。この際、冷却器には−12℃の冷媒を通じた。ま
た、濃縮の初期段階では真空度を100〜50mmHg
に設定し、主にエピクロルヒドリンを回収した。なお、
回収されたエピクロルヒドリンは、1150重量部であ
り、ここにはグリセリンジクロロヒドリンは含まれてい
なかった。この後、さらに真空度を高めて最終真空度を
0.6mmHgに設定して1時間濃縮し、第1次濃縮物
を得た。この過程では、エピクロルヒドリンとグリセリ
ンジクロロヒドリンとの混合物を360重量部回収し
た。回収された混合物をガスクロマトグラフを用いて分
析したところ、そこにはエピクロルヒドリンが30.5
%、グリセリンジクロロヒドリンが68.5%含まれて
いた。
【0058】次に、第1次濃縮物に対し、回収されたエ
ピクロルヒドリン647.5重量部と新たなエピクロル
ヒドリン277.5重量部とを加え、緩やかに攪拌しな
がら30分かけて120℃に昇温し、エピクロルヒドリ
ンを含む蒸気を回収しながら2時間保持して反応させ
た。ここでの反応液を高速液体クロマトグラフを用いて
分析したところ、そこにはトリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートが76.3%、モノ(3−ク
ロロ−2−ヒドロキシプロピル)−ビス(2,3−エポ
キシプロピル)イソシアヌレートが13.1%、ビス
(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−モノ(2,
3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが5.3%、
およびその他の化合物が5.3%含まれていた。一方、
回収された蒸気を凝縮させて採取し、その内容をガスク
ロマトグラフを用いて分析したところ、そこにはエピク
ロルヒドリンが72.1%、グリセリンジクロロヒドリ
ン(即ち、1,3−ジクロロ−2−ヒドロキシプロパ
ン)が7.1%およびグリセリンジクロロヒドリンの異
性体(即ち、1,2−ジクロロ−3−ヒドロキシプロパ
ン)が0.1%含まれていた。
【0059】上述の反応液を25℃に冷却した後、粉砕
した苛性ソーダ33重量部を15分間隔で2回に分けて
加え、強力に攪拌しながら25℃で1時間反応させた。
反応終了後、300重量部の水を加え、油層と水層とに
分離した。反応により生成した塩化ナトリウムと過剰の
苛性ソーダとを含む水層は、油層から分液して廃棄し
た。一方、油層は、10重量部の酸性リン酸ソーダを含
む200重量部の水を加えて中和し、その際の水層を廃
棄した後、さらに200重量部の水を加えて洗浄した。
【0060】洗浄後の油層をロータリーエバポレーター
を用いて70℃の高真空下で濃縮し、エピクロルヒドリ
ンを852重量部回収した。これにより得られた粗トリ
ス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートは、
271重量部であり、その収率は91%であった。
【0061】次に、得られた粗トリス(2,3−エポキ
シプロピル)イソシアヌレートを95℃に加熱して溶解
し、これにメタノール1,000重量部を加えて結晶を
析出させ、さらに0℃で2時間保持した。得られたトリ
ス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの結
晶をヌッチェを用いて濾過し、6時間風乾した後に50
℃で12時間乾燥させた。この結晶を高速液体クロマト
グラフを用いて分析したところ、収量は248.0重量
部(収率=83.4%)であり、純度は95.1%であ
った。
【0062】実施例2 実施例1の場合と同様に操作し、実施例1の過程で得ら
れたものと同様の第1次濃縮物を同量得た。この第1次
濃縮物に、回収されたエピクロルヒドリン277.5重
量部と新たなエピクロルヒドリン277.5重量部とを
加え、緩やかに攪拌しながら30分かけて120℃に昇
温し、エピクロルヒドリンを含む蒸気を回収しながら2
時間保持して反応させた。ここでの反応液を高速液体ク
ロマトグラフを用いて分析したところ、そこにはトリス
(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが7
1.1%、モノ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ル)−ビス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ
ートが15.8%、ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピル)−モノ(2,3−エポキシプロピル)イソシ
アヌレートが7.1%、およびその他の化合物が5.5
%含まれていた。一方、回収された蒸気を凝縮させて採
取し、その内容をガスクロマトグラフを用いて分析した
ところ、そこにはエピクロルヒドリンが92.7%、グ
リセリンジクロロヒドリン(即ち、1,3−ジクロロ−
2−ヒドロキシプロパン)が8.8%およびグリセリン
ジクロロヒドリンの異性体(即ち、1,2−ジクロロ−
3−ヒドロキシプロパン)が0.1%含まれていた。
【0063】得られた反応液をロータリーエバポレータ
ーに移し、これを60℃の油浴を用いて濃縮した。ここ
では、濃縮の初期段階で真空度を100〜50mmHg
に設定して主にエピクロルヒドリンを回収した。なお、
回収されたエピクロルヒドリンは、302重量部であ
り、ここにはグリセリンジクロロヒドリンは含まれてい
なかった。その後、さらに真空度を高めて最終真空度を
0.8mmHgに設定して1時間濃縮し、第2次濃縮物
を得た。この過程では、エピクロルヒドリンとグリセリ
ンジクロロヒドリンとの混合物を220重量部回収し
た。回収された混合物をガスクロマトグラフを用いて分
析したところ、これにはエピクロルヒドリンが68.0
%、グリセリンジクロロヒドリン(即ち、1,3−ジク
ロロ−2−ヒドロキシプロパン)が31.1%およびグ
リセリンジクロロヒドリンの異性体(即ち、1,2−ジ
クロロ−3−ヒドロキシプロパン)が0.1%含まれて
いた。
【0064】一方、第2次濃縮物を高速液体クロマトグ
ラフを用いて分析したところ、そこにはトリス(2,3
−エポキシプロピル)イソシアヌレートが85.2%、
モノ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−ビス
(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが9.
1%、ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−
モノ(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが
3.1%、およびその他の化合物が2.6%含まれてい
た。
【0065】次に、第2次濃縮物を555重量部のエピ
クロルヒドリンで溶解し、25℃に冷却した。これに粉
末苛性ソーダ6重量部を一度に加えて高速攪拌し、1時
間反応させた。反応終了後、200重量部の水を加えて
油層と水層とに分離した。反応により生成した塩化ナト
リウムと過剰の苛性ソーダとを含む水層は油層から分液
して廃棄した。一方、油層は、10重量部の酸性リン酸
ソーダを含む200重量部の水を加えて中和し、その際
の水層を廃棄した後、さらに200重量部の水を加えて
洗浄した。
【0066】洗浄後の油層をロータリーエバポレーター
を用いて70℃の高真空下で濃縮し、エピクロルヒドリ
ンを455重量部回収した。これにより得られた粗トリ
ス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートは、
279.5重量部であり、その収率は94%であった。
【0067】次に、得られた粗トリス(2,3−エポキ
シプロピル)イソシアヌレートを95℃に加熱して溶解
し、これにメタノール1,000重量部を加えて結晶を
析出させ、さらに0℃で2時間保持した。得られたトリ
ス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの結
晶をヌッチェを用いて濾過し、6時間風乾した後に50
℃で12時間乾燥させた。この結晶を高速液体クロマト
グラフを用いて分析したところ、収量は256.0重量
部(収率=86.1%)であり、純度は95.5%であ
った。
【0068】比較例1 蒸留装置を備えた2リットルの反応容器を用意し、これ
にイソシアヌル酸129.1重量部、エピクロルヒドリ
ン1850重量部および水90重量部を仕込んで89℃
に加熱した。この温度では、エピクロルヒドリンと水と
が共沸して僅かに留出し始めた。この反応系に、テトラ
メチルアンモニウムクロライド3重量部を10mlの水
に溶解した触媒液を30分かけて添加した。なお、反応
容器から留出した蒸気は、凝集させて水とエピクロルヒ
ドリンとに分離し、エピクロルヒドリンのみを連続的に
反応容器内に戻した。
【0069】次に、上述の反応系の反応温度を89℃か
ら120℃に1時間かけて昇温し、この間、反応系から
連続的に水を留去した。その後、反応温度を120℃で
1時間保持して反応を終了させた。反応終了後、高速液
体クロマトグラフを用いて反応液を分析したところ、反
応液には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシ
アヌレートが41.3%、モノ(3−クロロ−2−ヒド
ロキシプロピル)−ビス(2,3−エポキシプロピル)
イソシアヌレートが40.2%、ビス(3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピル)−モノ(2,3−エポキシプロ
ピル)イソシアヌレートが15.3%、およびその他の
化合物が3.2%含まれていた。
【0070】得られた反応液を含む上述の反応容器の内
温を25℃に冷却し、その温度を保持しながら132重
量部の粉末苛性ソーダを60分かけて徐々に添加した。
そして、苛性ソーダの添加完了後、45分間反応を継続
した。
【0071】次に、苛性ソーダ処理により得られた反応
液に水を500重量部加え、この水に先の反応で生成し
た塩化ナトリウム、過剰の苛性ソーダおよび副反応生成
物を溶解させた。これから水層を分離した後、油層側は
10%の酸性リン酸ナトリウム溶液を200ml添加し
て中和した。このように処理された油層から水層を除去
し、油層に水200mlを加えて洗浄した。
【0072】油層の洗浄完了後、油層をロータリーエバ
ポレーターに移し、浴温を70℃に設定して濃縮した。
この際、凝縮器には−12℃の冷媒を通じた。また、濃
縮の初期段階では真空度を100mmHgに設定し、最
終的な真空度は1.0mmHgとした。因に、この間で
約2時間を要した。この濃縮工程では、1468重量部
のエピクロルヒドリンを回収し、また、濃縮物として粘
稠な粗トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌ
レートが272重量部(収率=91%)得られた。
【0073】得られた粗トリス(2,3−エポキシプロ
ピル)イソシアヌレートを、1,000mlのメタノー
ルを用いて90℃に加温して溶解させ、その後0℃まで
冷却して2時間保持したところ、トリス(2,3−エポ
キシプロピル)イソシアヌレートの結晶が得られた。こ
の結晶をヌッチェを用いて濾過し、6時間風乾させた
後、50℃で12時間乾燥させた。この結晶の収量は2
15.5重量部であり、収率は75.8%であった。ま
た、この結晶を高速液体クロマトグラフで分析したとこ
ろ、その純度は88.0%であった。
【0074】
【発明の効果】本発明に係るエポキシ化合物の製造方法
は、上述のような第1の反応生成物から副生成物である
グリセリンジクロロヒドリンを除去するための工程を含
んでいるので、クロルヒドリン構造を有する化合物とエ
ピクロルヒドリンとから高収率で高純度のエポキシ化合
物を製造することができる。
【0075】また、本発明に係るトリス(2,3−エポ
キシプロピル)イソシアヌレートの製造方法は、本発明
に係る上述のエポキシ化合物の製造方法を採用している
ため、イソシアヌル酸とエピクロルヒドリンとを用いて
高収率で、しかも高純度なトリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレートを製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロルヒドリン構造を有する化合物からエ
    ポキシ化合物を製造するためのエポキシ化合物の製造方
    法であって、 前記クロルヒドリン構造を有する化合物とエピクロルヒ
    ドリンとを反応させて、目的とする前記エポキシ化合物
    と副生成物であるグリセリンジクロロヒドリンとを含む
    第1の反応生成物を得るための第1の反応工程と、 前記第1の反応生成物中から前記グリセリンジクロロヒ
    ドリンを除去するための除去工程と、 前記グリセリンジクロロヒドリンが除去された前記第1
    の反応生成物に前記エピクロルヒドリンを追加してさら
    に反応させ、目的とする前記エポキシ化合物と副生成物
    としてのジグリセリンジクロロヒドリンとを含む第2の
    反応生成物を得るための第2の反応工程と、を含むエポ
    キシ化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】前記第2の反応生成物から前記グリセリン
    ジクロロヒドリンを除去し、その後前記第2の反応生成
    物に前記エピクロルヒドリンをさらに追加して前記第2
    の反応工程と同様の反応を少なくとも1回繰り返す工程
    をさらに含む、請求項1に記載のエポキシ化合物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記第2の反応生成物を塩基性物質を用い
    て処理するための工程をさらに含む、請求項1または2
    に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】イソシアヌル酸とエピクロルヒドリンとを
    用いてトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌ
    レートを製造するための方法であって、 前記イソシアヌル酸に前記エピクロルヒドリンを作用さ
    せてトリス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロピル)イ
    ソシアヌレートを製造するための工程と、 得られた前記トリス(3―クロロ−2―ヒドロキシプロ
    ピル)イソシアヌレートに対して前記エピクロルヒドリ
    ンをさらに反応させ、目的とするトリス(2,3−エポ
    キシプロピル)イソシアヌレートと副生成物であるグリ
    セリンジクロロヒドリンとを含む第1の反応生成物を得
    るための第1の反応工程と、 前記第1の反応生成物中から前記グリセリンジクロロヒ
    ドリンを除去するための除去工程と、 前記グリセリンジクロロヒドリンが除去された前記第1
    の反応生成物に前記エピクロルヒドリンを追加してさら
    に反応させ、目的とする前記トリス(2,3−エポキシ
    プロピル)イソシアヌレートと副生成物としてのジグリ
    セリンジクロロヒドリンとを含む第2の反応生成物を得
    るための第2の反応工程と、を含むトリス(2,3−エ
    ポキシプロピル)イソシアヌレートの製造方法。
  5. 【請求項5】前記第2の反応生成物を塩基性物質を用い
    て処理するための工程をさらに含む、請求項4に記載の
    トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート
    の製造方法。
JP6216497A 1997-02-28 1997-02-28 エポキシ化合物の製造方法およびトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの製造方法 Pending JPH10245379A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009185047A (ja) * 2002-09-25 2009-08-20 Daiso Co Ltd グリシジルフタルイミドの製造法

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