JP3910232B2 - メルカプト化合物、トリオール化合物、およびそれらの製造方法 - Google Patents

メルカプト化合物、トリオール化合物、およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、メルカプト化合物、メルカプト化合物の製造方法、トリオール化合物およびトリオール化合物の製造方法、特に、新規なメルカプト化合物およびその製造方法、並びに当該メルカプト化合物を製造するための中間体としての新規なトリオール化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
有機光学材料の分野では、樹脂の高屈折率化を図ることを目的として、樹脂原料のモノマー分子内に原子屈折が高い硫黄原子の含有率を高めることが試みられている(例えば、特開平2−270859号、特開平5−208950号参照)。ここで、硫黄原子の含有率を高めるためには、一般にメルカプト化合物が用いられている。メルカプト化合物としては、例えばメタンチオール、エタンチオールおよびエタンジチオールなどの低分子量メルカプト化合物が広く知られている。ところが、このような低分子量メルカプト化合物は、メルカプト基に基づく特有の臭気があり、また、樹脂を硬化させるために用いる他の樹脂原料との組成比の関係で使用量が制限されることが多い。このため、低分子量メルカプト化合物は、作業者に不快感を与える等の点で取扱いが容易ではなく、また、樹脂中の硫黄原子の含有率を理想的に高めるのが困難である。
【0003】
このため、低分子量メルカプト化合物に代えて、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)やペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)などの、エポキシ樹脂硬化剤として用いられている分子量が大きな多官能性のメルカプト化合物の利用が考えられる。しかし、この種のメルカプト化合物は、分子量が大きいために臭気が少なく取扱い性が良好であるものの、分子内の硫黄原子含有率が小さいために、樹脂中の硫黄原子の含有率を理想的に高めるのは困難である。
【0004】
従って、メルカプト化合物としては、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で分子量が大きい(臭気が少ない)ものが望まれることになるが、このようなメルカプト化合物は現在提供されるに至っていない。
【0005】
本発明の目的は、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ないメルカプト化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み鋭意検討した結果、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ないメルカプト化合物を見い出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明に係るメルカプト化合物は、下記の式(1)で示されるメルカプト化合物である。
【0008】
【化14】
Figure 0003910232
【0009】
この式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法は、エピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールと下記の式(2)で示されるメルカプト化合物、即ち、2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノールとを塩基の存在下で反応させることにより下記の式(3)で示されるトリオール化合物を製造する工程と、得られた式(3)で示されるトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、この反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程とを含んでいる。
【0010】
【化15】
Figure 0003910232
【0011】
【化16】
Figure 0003910232
【0012】
また、本発明に係る式(1)で示されるメルカプト化合物の他の製造方法は、2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールと上記式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させることにより、上記式(3)で示されるトリオール化合物と下記の式(4)で示されるトリオール化合物との混合物を得る工程と、得られた混合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、この反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程とを含んでいる。
【0013】
【化17】
Figure 0003910232
【0014】
また、本発明に係る式(1)で示されるメルカプト化合物のさらに他の製造方法は、上記式(4)で示されるトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、この反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程とを含んでいる。
【0015】
本発明に係るトリオール化合物は、上記式(4)で示されるものである。このトリオール化合物の製造方法は、2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールと上記式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させる工程を含んでいる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係るメルカプト化合物は、下記の式(1)で示されるものである。
【0017】
【化18】
Figure 0003910232
【0018】
このメルカプト化合物は、硫黄原子の含有率が高いので、例えば、有機光学材料として用いられる樹脂中の硫黄原子含有率を高めるために有用である。具体的には、このメルカプト化合物は、有機光学材料用の樹脂を製造するためのモノマーとして使用されると、目的とする樹脂中の硫黄原子含有率を高めることができ、この結果、当該樹脂の高屈折率化を容易に図ることができる。このような目的で用いられる本発明のメルカプト化合物は、分子量が比較的大きく、メルカプト基に基づく特有の臭気が少ないので、取扱い性が良好である。
【0019】
なお、本発明のメルカプト化合物は、上述の有機光学材料に対して用いられる他に、従来から知られたメルカプト化合物に代えて、加硫剤、架橋剤、エポキシ樹脂硬化剤、重合調整剤および酸化防止剤などの広範囲な分野に対して用いることも可能である。
【0020】
次に、上述のメルカプト化合物の製造方法について説明する。ここでは、上述のメルカプト化合物の製造方法として、3種類の製造方法を説明する。
【0021】
(第1の製造方法)
第1の製造方法では、先ず、エピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールと下記の式(2)で示されるメルカプト化合物とを反応させ、下記の式(3)で示されるトリオール化合物を製造する。
【0022】
【化19】
Figure 0003910232
【0023】
【化20】
Figure 0003910232
【0024】
ここで用いられるエピハロヒドリンは、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどである。このうち、反応性および経済性の点でエピクロロヒドリンを用いるのが好ましい。また、1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールとしては、例えば、1,3−ジブロモ−2−プロパノールや1,3−ジクロロ−2−プロパノールが用いられるが、反応性の点で1,3−ジブロモ−2−プロパノールを用いるのが好ましい。なお、式(2)で示されるメルカプト化合物、即ち、2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノールは、例えば、2−メルカプトエタノールとエチレンスルフィドとから、またはエチレンオキシドとエタンジチオールとから合成することができる。
【0025】
上述の反応は、通常、塩基の存在下で冷却または加熱することにより実施する。この際に用いられる塩基は、無機系および有機系のいずれの塩基であってもよい。無機系の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。一方、有機系の塩基としては、例えば、トリエチルアミンやトリブチルアミンなどの脂肪族アミンが挙げられる。なお、このような各種塩基のうち、反応性および経済性の点で水酸化ナトリウムを用いるのが最も好ましい。
【0026】
反応を行う際は、水またはメタノールやエタノールなどの低級アルコール溶媒中に式(2)で示されるメルカプト化合物と塩基とを加え、これにエピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールを滴下する。反応温度は、0〜120℃に設定するのが好ましい。
【0027】
式(2)で示されるメルカプト化合物の使用量は、通常、エピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールに対して2当量以上であり、2〜3当量が好ましい。式(2)で示されるメルカプト化合物の使用量が2当量未満の場合は、収率が低下する。また、塩基の使用量は、通常、エピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールに対して1当量以上に設定するが、副生物の生成を抑える点で式(2)で示されるメルカプト化合物の使用モル数以下に設定するのが好ましい。
【0028】
次に、このようにして得られた式(3)で示されるトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させる。ここで用いられる鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などが挙げられるが、十分な反応速度が得られ、しかも目的とするメルカプト化合物の着色を抑制することができる点で塩酸が好ましい。
【0029】
この反応工程では、式(3)で示されるトリオール化合物に対して鉱酸を3当量以上(好ましくは3〜12当量)、また、チオ尿素を3当量以上(好ましくは3〜6当量)用いるのが好ましい。鉱酸が3当量未満の場合やチオ尿素が3当量未満の場合は、収率が低下する。なお、反応温度は、室温〜100℃に設定するのが好ましい。
【0030】
次に、この反応工程で得られた反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する。ここで用いられる塩基は、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、アンモニア、ヒドラジンやトリエチルアミンなどの脂肪族アミン類である。
【0031】
塩基の使用量は、式(3)で示されるトリオール化合物を基準として3当量以上、好ましくは3〜12当量に設定するのが好ましい。塩基の使用量が3当量未満の場合は、中和が不十分となり好ましくない。また、塩基を加えるときの温度は、0〜50℃に設定するのが好ましい。このときの温度が50℃を超えると、目的とするメルカプト化合物の着色が起こる場合がある。なお、加水分解時の温度は、室温〜100℃に設定するのが好ましい。
【0032】
このような加水分解工程では、式(3)で示されるトリオール化合物から誘導された上述の反応生成物を構成するグリセリン骨格の1位と2位との間で転位反応が起こり、目的とする式(1)で示されるメルカプト化合物が得られる。
【0033】
このようにして得られたメルカプト化合物は、例えば、トルエンなどの有機溶媒を用いて抽出した後、酸洗浄、水洗、濃縮、濾過という、一連の工程を経て分離精製することができる。また、必要に応じて蒸留により精製することもできる。
【0034】
なお、このような第1の製造方法は、通常の大気下で実施することができるが、窒素雰囲気下で実施するのがより好ましい。
【0035】
(第2の製造方法)
第2の製造方法では、先ず、2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールと上記式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させる。ここで用いられる2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールは、例えば、2,3−ジブロモ−1−プロパノールや2,3−ジクロロ−1−プロパノールであるが、反応性の点で2,3−ジブロモ−1−プロパノールを用いるのが好ましい。また、利用可能な塩基は、第1の製造方法で用いられるものと同様である。
【0036】
式(2)で示されるメルカプト化合物の使用量は、通常、2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールに対して2当量以上であり、2〜3当量が好ましい。式(2)で示されるメルカプト化合物の使用量が2当量未満の場合は、収率が低下する。また、塩基の使用量は、通常、2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールに対して1当量以上に設定するが、副生物の生成を抑える点で式(2)で示されるメルカプト化合物の使用モル数以下に設定するのが好ましい。
【0037】
なお、この工程での反応操作法および反応温度は、第1の製造方法の最初の工程と同様である。
【0038】
この反応工程では、上記式(3)で示されるトリオール化合物と下記の式(4)で示されるトリオール化合物との混合物が得られる。
【0039】
【化21】
Figure 0003910232
【0040】
次に、得られた混合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得、さらにこの反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する。これにより、目的とする式(1)で示されるメルカプト化合物が得られる。この際、上記式(3)で示されるトリオール化合物は、メルカプト化されるとともにグリセリン骨格の1位と2位との間で転位を起こし、目的とする式(1)で示されるメルカプト化合物となる。一方、式(4)で示されるトリオール化合物は、そのままメルカプト化されて目的とする式(1)で示されるメルカプト化合物となる。
【0041】
なお、チオ尿素との反応工程および加水分解工程における条件などは、第1の製造方法の場合と同様である。但し、チオ尿素、鉱酸および塩基の使用量は、式(3)で示されるトリオール化合物と式(4)で示されるトリオール化合物との合計量を基準として、第1の製造方法の場合と同様に設定する。
【0042】
(第3の製造方法)
この方法では、第2の製造方法の最初の工程で得られた混合物に含まれる式(4)で示されるトリオール化合物を原料として、すなわち新規メルカプト化合物製造用の中間体として用いる。そして、このトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得、さらにこの反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する。これにより、目的とする式(1)で示されるメルカプト化合物が得られる。
【0043】
なお、式(4)で示されるトリオール化合物は、例えば晶析などの常法により、上述の混合物から分離することができる。また、チオ尿素との反応工程および加水分解工程における条件などは、第1の製造方法の場合と同様である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これにより本発明が何等制限されるものではない。
【0045】
実施例1
撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mlの4つ口フラスコを用意した。これに、5%の水酸化ナトリウム360g(0.45モル)を加え、窒素雰囲気下で2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノール62.1g(0.45モル)を滴下して均一溶液とした。次に、エピクロロヒドリン20.3g(0.22モル)を20〜40℃で1時間かけて滴下し、さらに40〜50℃で1時間加熱・撹拌した。その後、反応液を20℃まで冷却してから濾過し、乾燥したところ、上記式(3)で示される1,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−2−プロパノールが70.8g得られた。
【0046】
次に、得られた1,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−2−プロパノール70.8gを35%塩酸166.9g(1.6モル)に溶解し、これにチオ尿素9.12g(1.2モル)を加えて100〜110℃で5時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却してから28%のアンモニア水109.3g(1.8モル)を20〜40℃で加えてアルカリ性とし、100℃で2時間撹拌した。
【0047】
撹拌終了後、反応液を室温まで冷却してからトルエン250mlを加えて抽出し、トルエン層を分取した。このトルエン層を5%の塩酸100mlで洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄した後に硫酸マグネシウム20gを加えて乾燥した。次に、トルエンを減圧下で留去して濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離したところ、上記式(1)で示される2,3−ビス[(2−メルカプトエチル)チオエチル]−1−プロパンチオールが61.6g(0.162モル)得られた。これのエピクロロヒドリンに対する収率は73.6%であった。得られた2,3−ビス[(2−メルカプトエチル)チオエチル]−1−プロパンチオールの元素分析結果およびNMR分析結果をそれぞれ表1および表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003910232
【0049】
【表2】
Figure 0003910232
【0050】
実施例2
撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mlの4つ口フラスコを用意した。これに、10%の水酸化ナトリウム180g(0.45モル)を加え、2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノール62.1g(0.45モル)を滴下して均一溶液とした。次に、2,3−ジブロモ−1−プロパノール43.5g(0.2モル)を20〜40℃で1時間かけて滴下し、さらに30〜40℃で1時間加熱・撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、これに塩化メチレンを加えて抽出した。塩化メチレン層を水洗した後に濃縮したところ、上記式(4)で示される2,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−1−プロパノールと上記式(3)で示される1,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−2−プロパノールとの混合物が61.0g得られた。
【0051】
次に、得られた混合物61.0gに35%塩酸146g(1.4モル)とチオ尿素83.6g(1.1モル)とを加え、100〜110℃で6時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却してから80%ヒドラジン水和物95.1g(1.5モル)を20〜40℃で加えてアルカリ性とし、100℃で2時間撹拌した。
【0052】
撹拌終了後、反応液を室温まで冷却してからトルエン250mlを加えて抽出し、トルエン層を分取した。このトルエン層を5%の塩酸100mlで洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄した後に硫酸マグネシウム20gを加えて乾燥した。次に、トルエンを減圧下で留去して濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離したところ、上記式(1)で示される2,3−ビス[(2−メルカプトエチル)チオエチル]−1−プロパンチオールが53.9g(0.142モル)得られた。これの2,3−ジブロモ−1−プロパノールに対する収率は70.9%であった。得られた2,3−ビス[(2−メルカプトエチル)チオエチル]−1−プロパンチオールの元素分析結果およびNMR分析結果は、実施例1の場合と同様であった。
【0053】
実施例3
実施例2と同様にして得られた、上記式(4)で示される2,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−1−プロパノールと上記式(3)で示される1,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−2−プロパノールとの混合物5gをエタノール50mlに溶解して晶析させ、−30℃まで冷却した後に結晶を濾過した。
【0054】
この結晶は、式(3)で示される1,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−2−プロパノールであった。一方、濾液を濃縮してシリカゲルクロマトグラフィーを用いて分離したところ、式(4)で示される2,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−1−プロパノールが1.9g得られた。得られた2,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオエチル]−1−プロパノールの元素分析結果およびNMR分析結果をそれぞれ表3および表4に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0003910232
【0056】
【表4】
Figure 0003910232
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ない新規なメルカプト化合物を提供することができる。
【0058】
また、本発明に係るメルカプト化合物の製造方法によれば、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ない新規なメルカプト化合物を製造することができる。
【0059】
また、本発明によれば、上述の新規なメルカプト化合物を製造するための中間体として有用な、新規なトリオール化合物を提供することができる。
【0060】
さらに、本発明に係るトリオール化合物の製造方法によれば、上述の新規なメルカプト化合物を製造するための中間体として有用な、新規なトリオール化合物を製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記の式(1)で示されるメルカプト化合物。
    Figure 0003910232
  2. エピハロヒドリンまたは1,3−ジハロゲノ−2−プロパノールと下記の式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させることにより下記の式(3)で示されるトリオール化合物を製造する工程と、
    Figure 0003910232
    Figure 0003910232
    前記式(3)で示されるトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、
    前記反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程と、
    を含む下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003910232
  3. 2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールと下記の式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させることにより、下記の式(3)で示されるトリオール化合物と下記の式(4)で示されるトリオール化合物との混合物を得る工程と、
    Figure 0003910232
    Figure 0003910232
    Figure 0003910232
    前記混合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、前記反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程と、
    を含む下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003910232
  4. 下記の式(4)で示されるトリオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させて反応生成物を得る工程と、
    Figure 0003910232
    前記反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程と、
    を含む下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003910232
  5. 下記の式(4)で示されるトリオール化合物。
    Figure 0003910232
  6. 2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールと下記の式(2)で示されるメルカプト化合物とを塩基の存在下で反応させる工程を含む、
    下記の式(4)で示されるトリオール化合物の製造方法。
    Figure 0003910232
    Figure 0003910232
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