JPH10241460A - 固体電解質材料及びリチウム系二次電池 - Google Patents

固体電解質材料及びリチウム系二次電池

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JPH10241460A
JPH10241460A JP9358237A JP35823797A JPH10241460A JP H10241460 A JPH10241460 A JP H10241460A JP 9358237 A JP9358237 A JP 9358237A JP 35823797 A JP35823797 A JP 35823797A JP H10241460 A JPH10241460 A JP H10241460A
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JP
Japan
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fiber
solid electrolyte
anions
electrolyte material
polyvinyl alcohol
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JP9358237A
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English (en)
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Masatoshi Kishida
正俊 岸田
Takitaro Yamaguchi
滝太郎 山口
Mamoru Katsumata
守 勝又
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M6/00Primary cells; Manufacture thereof
    • H01M6/14Cells with non-aqueous electrolyte
    • H01M6/18Cells with non-aqueous electrolyte with solid electrolyte
    • H01M6/181Cells with non-aqueous electrolyte with solid electrolyte with polymeric electrolytes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アニオン移動を防止して分極の発生を抑制す
ることができ、また、フレキシビリティがありながら充
分な強度を有する固体電解質材料を提供する。 【解決手段】 アニオンが固定化された繊維強化固体
電解質材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
などに固体電解質として用いることができるイオン導電
性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の携帯電子機器の発達はまさに目を
見張るものがある。毎週・毎日のように携帯電話、PH
S、ノート型コンピュータ、PDA、デジタルカメラ、
デジタルビデオカメラなどの新製品が発表され、そのい
ずれもが前世代の製品より小型でありながら、それらを
遙かに凌駕する性能・機能を有する。このような新製品
開発の鍵はそれら電子機器に電気を供給する電池が握っ
ていると云って良い。すなわち、電池の能力アップがこ
れら携帯形電子機器の発達を牽引してきた。このような
電池の雄としてリチウム系二次電池が挙げられる。この
ものはリチウムに由来する高いエネルギー密度を有し、
なかでも金属リチウムを負極とする電池では最高のエネ
ルギー密度が得られる。しかし、金属リチウムを負極と
するこの電池ではデンドライト析出により短絡等の障害
が発生し、火災や事故の原因となる可能性があって実用
化に難点があった。
【0003】最近、この障害を克服するものとして高分
子ゲルを用いた固体電解質が注目を浴びている。このよ
うな固体電解質を用いたリチウム二次電池は、安全で、
フレキシブル、高エネルギー密度、かつ超薄型とするこ
とが可能である。しかしながら、固体電解質の欠点とし
て放電時の放電電圧の著しい降下をもたらすと云う問題
点があった。さらに、従来の固体電解質では高分子ゲル
からなるため、フレキシビリティが不充分であるか、あ
るいは強度的に弱く、人手で注意深く取り扱う場合はと
もかく、自動製造ラインでの電池の組立を想定すると、
破損による著しい歩留まり低下が予想され、そのため実
用化・工業化が困難なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決する、すなわち、アニオン移動を防止して分極の発
生を抑制することができ、また、フレキシビリティがあ
りながら充分な強度を有する固体電解質材料を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記従来技
術の問題のうち、放電時の電圧の著しい降下はこれら固
体電解質の分極にあると考えた。このことをモデル図を
用いて説明する。図12(a)は放電前の電池を示すモ
デル図であって、リチウムイオンなどのカチオン(符号
○)、過塩素酸イオンなどのアニオン(符号△)を含有
する固体電解質を挟んで正極及び陰極が配されている。
図12(b)に示すように放電によりカチオンは正極側
へ移動するが、同時にアニオンが負極側に移動して分極
し、その結果固体電解質自体のイオン導電性が低下し
て、上記放電時電圧の降下が発生する。したがってこの
ような電解質自体のイオン導電性の低下を防止すること
により上記課題を解決することができると考えた。すな
わち、本発明の導電性材料は、請求項1に記載のよう
に、アニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料で
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の導電性材料は、繊維によ
り補強されていることが必要である。すなわち繊維によ
って補強されていることにより、フレキシビリティがあ
りながら充分な強度を有するものとなる。用いる補強繊
維は、天然繊維、化学繊維、合成繊維、無機繊維を問わ
ないが、化学的に安定なこと、被補強材料との密着性が
良好なこと、水分の持ち込みが極めて少ないこと、絶縁
性を有すること、導電性材料の構成中に有機溶媒を用い
る場合にはその有機溶媒に対する耐性を有すること、あ
るいは入手の容易性等を考慮すると、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、フッ素樹脂からなる繊維などが挙げられ
る。このうち、価格の点でポリプロピレン繊維が最適で
ある。なお、補強繊維兼アニオン固定用担体として用い
る場合には、ポリビニルアルコールからなる繊維が表面
官能基が多いため適している。なお本発明の趣旨から云
って水のない環境で用いるため、ポリビニルアルコール
は不水溶化のための変性を行わないものを用いることが
できる。また、補強繊維は必要に応じて2種類以上を併
用して良い。
【0007】これら繊維の繊維径、断面、あるいはクリ
ンプやフィブリル化の有無等の形状は取扱性、導電性材
料との密着性などを勘案して適宜選択できる。また、一
般に繊維は繊維構造体として織布、不織布、ニット、カ
ットファイバー、ミルドファイバーなどの形態を取りう
るが、これら形態は必要に応じて選択する。ただし、2
次元材料でありながら、比較的薄いものが入手できるた
め不織布であることが望ましい。なお、通常入手される
繊維には加工のための油剤、糊剤等が付着しているの
で、障害を未然に防止するためにこれら薬剤を各種洗浄
剤、有機溶媒あるいは酸やアルカリ等の手段によって除
去することが望ましい。
【0008】ここでアニオンを固定化する素材としては
上記繊維により補強されたもの以外に連通気孔を有する
スポンジ状の三次元網目構造体が用い得る。このような
ものは多種あり、一般に繊維補強された材料に比べ物性
的には劣るが、その中に柔軟でフレキシビリティに富
み、強度的にも充分なものがあり、また比較的表面積が
大きいので、担体ないし補強材料として用い得るものが
ある。必要な物性、原料等により選択して適宜用いるこ
とができる。なお、このようなものとしてはブリヂスト
ンを始め広く入手できる。
【0009】本発明のアニオンが固定化された繊維強化
固体電解質材料において、固定化とは不可逆的に固定さ
れている状態を云う。例えば物理吸着、化学吸着、化学
結合などの手段が考えられ、この順に固定が強くなる
が、本発明においてはこれらの如何を問わず、使用条件
においてアニオンが繊維強化固体電解質材料から放出さ
れなければよい。
【0010】このようなアニオンの固定の具体例として
は、ポリビニルアルコール、第三級アミンを有する高分
子ポリマー、あるいはシリカなどの無機物のように表面
官能基の多い物質への固定が挙げられる。なお、本発明
の繊維強化固体電解質材料において、アニオンは材料の
どこに固定されていても良い。すなわち補強材である繊
維自体にアニオンが固定されていても、繊維にグラフト
重合された化合物に固定されていても、また被補強材料
にアニオンが固定されていても良い。また被補強材料に
添加されている物質に固定されていても良い。
【0011】本発明のアニオンが固定化された繊維強化
固体電解質材料を電解質として用いてリチウム系二次電
池を作製する際には、正極・負極ともに通常これらリチ
ウム系二次電池に用いることができるもの、すべてを用
いることができる。すなわち正極としては、ニッケル酸
化物系やスピネル系マンガン酸化物、バナジウム酸化物
系あるいはコバルト酸化物系、あるいはこれらニッケ
ル、マンガン、バナジウム及びコバルトのいずれか2種
以上からなる複合酸化物、スルフィド化合物系、有機硫
黄化合物、またはこれらのリチウム化合物が利用でき
る。
【0012】また、負極としてはいわゆるリチウム系物
質、すなわち、金属リチウム、リチウム−アルミニウム
合金、或いはリチウムと黒鉛や炭素などの層間化合物な
どが挙げられる。ここで、本発明の導電性材料を用いた
場合には、高エネルギー密度が可能な金属リチウムを用
いて充放電を繰り返しても短絡等の障害を起こすことが
ない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の5種の実施例について説明す
る。実施例1は、繊維上にポリビニルアルコール薄膜を
作製し、その薄膜にアニオンを固定化した。この方法は
アニオンが繊維とほぼ一体に結合されるため繊維とアニ
オンとの結合を極めて強いものとすることができると云
う利点を有する。また、実施例2は、繊維上に第四級ア
ミン高分子薄膜を作製し、その薄膜にアニオンを固定化
した。この方法はアニオンが繊維表面上でイオン結合さ
れるため、容易に脱離しないものとすることができる。
実施例3は、繊維2次元構造体(ここでは不織布)に、
アニオンを固定したゲルの被覆を施した。この方法は、
繊維表面を改質することなく容易に強度のある導電性材
料を得ることができると云う利点を有する。
【0014】実施例4は、繊維に官能基を多く有するモ
ノマーをグラフト重合し、このグラフト重合体にアニオ
ンを固定化した。このものは、ポリオレフィン繊維のよ
うな表面官能基の少なく、かつ耐薬品性の高い繊維に直
接アニオンを固定することができる利点を有する。ま
た、実施例5では、ポリビニルアルコール繊維に直接モ
ノマーを固定した。ポリビニルアルコール繊維が官能基
が多く、反応性に富むのでアニオンを多量に導入するこ
とが可能となる。なお、この例では機械的強度の高いポ
リプロピレンを併せて用いているため、導電性材料の強
度の低下を未然に防止できる。
【0015】なお、下記実施例中で用いられている四級
化されたアミノ基を有する有機高分子化合物は、高分子
化合物中の三級化されたアミノ基にハロゲン化アルキル
を反応させる方法で得られたものであるが、本発明はこ
の方法で作製された第四級アミノ基に限定されるもので
はない。なお、ハロゲン化アルキルのアルキル基は後述
するゲル形成能に影響するため、良好なゲル体を得るた
めに予め検討する必要がある。なお、上記ハロゲン化ア
ルキルに関して、ヨウ化メチルが充分な反応性を有し、
かつ、常温で液体であるため取り扱いやすい。また、ヨ
ウ化メチル等のハロゲン化アルキルによる第三級アミノ
基の四級化を行う場合には、第三級アミノ基すべてに対
して行う必要がなく、四級化されずに残留する三級アミ
ノ基があってもよい。
【0016】このような第四級アミノ基を有する有機高
分子化合物としては、メタクリル酸メチル・メタクリル
酸2−(トリメチルアミノ)エチルヨウ化物共重合物
(メタクリル酸メチルユニット(以下「MMA」とも云
う)とメタクリル酸2−(トリメチルアミノ)エチルヨ
ウ化物ユニット(以下「TMAEMA」とも云う)とか
らなる共重合物。以下「MMA−TMAEMA」とも云
う)が挙げられる。また、メタクリル酸メチルのかわり
にメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル
酸メチル、スチレン等のビニルモノマーを有する共重合
物が使用可能である。このようにアミノ基を有しない高
分子化合物部分を適宜変更することで、実施例3で後述
するゾル化時のゾルの粘度等を調整することが可能であ
る。また、上記ビニルモノマーとビニルピリジンとの共
重合物を四級化して用いることも可能であり、容易であ
る。
【0017】MMA−TMAEMAはメタクリル酸メチ
ル及びメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルと触
媒存在下で共重合させ、次いでヨウ化メチルを反応させ
て化学式Iに示したように得ることができる。
【0018】
【化1】
【0019】〔実施例1〕 [繊維強化固体電解質材料の調製]ポリプロピレン不織
布(目付46g/m2)を希塩酸、アセトン及びジエチ
ルエーテルで洗浄し、これを10重量%のポリビニルア
ルコール(平均分子量10万:市販品)水溶液に10分
間浸漬したのち取り出して乾燥した。ポリビニルアルコ
ールの添着量は5g/m2であった。このポリビニルア
ルコール被覆ポリプロピレン不織布から1辺の長さが2
0mmの正方形のサンプルを切り出し、これを200m
lのフラスコに入れ、テトラヒドロフラン50mlを加
え、−80℃に冷却し、撹拌しながら1mol/lの水
素化リチウムアルミニウム−テトラヒドロフラン溶液を
ゆっくり滴下した後、徐々に室温に戻し、さらに2時間
攪拌して反応を進行させた。
【0020】再度−80℃に冷却し、攪拌しながら脱水
メチルアルコール1mlをゆっくり滴下したのち徐々に
室温に戻し、さらに2時間攪拌して反応を進行させた。
その後ポリビニルアルコール被覆ポリプロピレン不織布
を取り出し、テトラヒドロフランで洗浄後、減圧乾燥し
た。これら反応の前後の重量変化を調べたところ、ポリ
ビニルアルコールに対する重量増加は100%であり、
これに図1のモデル図中符号γで示す官能基がこのポリ
ビニルアルコール被覆ポリプロピレン不織布の表面に固
定化されたと考えられる。なお、図1中Rは本実施例で
は上記メチルアルコール由来のメチル基を示す。
【0021】ここで、微粉末状のポリアクリロニトリル
−メチルアクリレート共重合物(平均分子量10万:市
販品)1.5gとエチレンカーボネート−プロピレンカ
ーボネートの容量で1:1の混合溶液10mlとを混合
して120℃で均一分散させゾルとしたのち50℃まで
冷却し、このゾルを上記ポリビニルアルコール被覆ポリ
プロピレン不織布に含浸させ、さらにロールで絞って過
剰のゾルを除去する。その後室温で一昼夜放置すること
により上記ゾルをゲル化させて、アニオンが固定化され
た繊維強化固体電解質材料を得(厚さ0.5mm)、こ
れを直径16mmに打ち抜いて以下固体電解質として用
いた。なお、このようにゲルによって上記ポリビニルア
ルコール含浸ポリプロピレン不織布をカバーすることに
よりカチオンの流れを潤滑にさせることができ、その結
果イオン伝導度がさらに向上する(このようなゲルの被
覆を以下「ゲル被覆」と云う)。
【0022】上記アニオンが固定化された繊維強化固体
電解質材料の取扱性は極めて良好で、故意に多少引っ張
ってもあるいは曲げても、何らの障害も発生しなかっ
た。このものは二次電池作製の自動化ラインでの取り扱
いに充分耐えられると判断された。
【0023】[正極の作製] (結着剤としての橋架けポリマーの作製)正極の作製に
当たり、正極成分の結着剤として橋架けポリマーを使う
こととした。ここで用いる橋架けポリマーはイオン導電
性でありながらアニオンが固定されているものであっ
て、高分子化合物にアルカリシロキシアルミナートが固
定されている導電性材料である。この橋架けポリマーの
使用により、正極近辺にリチウムイオンを留めておくこ
とが可能となり、放電時の分極を一層抑制できる。
【0024】〔リチウムシロキシアルミナートの合成:
化学式II参照〕アルカリシロキシアルミナートとして
フェニル置換基を有するリチウムシロキシアルミナート
を選択し、以下に示すように合成した。まず、窒素雰囲
気下で300mlの三口フラスコに乾燥させたジフェニ
ルシランジオール8.66g(40.03mmol)及
びテトラヒドロフラン75mlを入れ、−78℃に冷却
し、撹拌しながら水素化リチウムアルミニウムが20.
01mmolとなるよう1mol/ l−水素化リチウム
アルミニウム・テトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下
した後、徐々に室温に戻し、2時間撹拌して反応させ
た。なお、反応後の溶液には沈殿物、析出物はなかっ
た。
【0025】上記反応後減圧乾燥を行った。得られた反
応物は12.655gで、収率は137%となるが、こ
れは溶媒のテトラヒドロフランの除去が完全にできない
ためである。(1H−NMR(ジメチルホルムアミドの
重水素置換物C37NO。以下「DMF−d7」と云
う)/TMS) δ(ppm):6.90(m.10
H,Arom) ここでδは内部標準にテトラメチルシ
ランを用いたときの値である。以下同。) このものの赤外吸収スペクトルを図2に示す。なお、別
途GPCクロマトグラフィーにより分子量を測定したと
ころ、このものは分子量5800付近及び2300付近
にそれぞれピークを有する二稜型の分子量分布を有する
ものであることが判った。
【0026】
【化2】
【0027】〔メタクリル酸メチル・メタクリル酸2−
(ジメチルアミノ)エチル共重合物の合成:化学式1参
照〕 アミノ基を有する有機高分子化合物としては、メタクリ
ル酸メチル・メタクリル酸2−(トリメチルアミノ)エ
チルヨウ化物共重合物(MMA−TMAEMA)を選択
し、合成した。
【0028】まず、100mlフラスコに、減圧蒸留を
おこなって重合禁止剤を除去したメタクリル酸メチル1
8.66g(186.4mmol)、同様に重合禁止剤
を除去したメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル
1.465g(9.32mmol)、α,α’−アゾビ
スイソブチロニトリル(以下「AIBN」とも云う)
0.15g、及びテトラヒドロフラン50mlを加え
た。これを液体窒素で冷却して凍結させた後、減圧する
と云う操作を繰り返してモノマー及びテトラヒドロフラ
ン中の酸素を取り除いた。その後6時間加熱・還流した
後メタノール中に滴下し、デカンテーションにより下層
の重合物を取り出した。これをメタノールで数回洗浄し
た後、テトラヒドロフランに再び溶解し、同様の操作の
メタノール洗浄をおこなった。
【0029】減圧乾燥し乳白色固体のメタクリル酸メチ
ル・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合
物を得た。このものの1H−NMR(DMF−d7)によ
ると、メトキシカルボニル基(−COOCH3)とジメ
チルアミノ基(−N(CH3 2)との存在量の比から、
メタクリル酸メチルユニットのメタクリル酸2-(ジメ
チルアミノ)エチルユニットに対するモル比が18.6
であることが判った。(δ(ppm):3.46(s.
Me−O)、2.20(s.N(Me)))。収量:1
3.64g(収率:67.8%) このもののIRスペクトルを図3に示す。また別途GP
Cクロマトグラフィーにより分子量を測定したところ、
このものの平均分子量は290000であることが判っ
た。
【0030】〔MMA−TMAEMAの合成:化学式I
参照〕上記メタクリル酸メチルユニットのメタクリル酸
2-(ジメチルアミノ)エチルユニットに対するモル比
が18.6のメタクリル酸メチル−メタクリル酸2−
(ジメチルアミノ)エチル共重合物11.98gを20
0mlのフラスコに入れアセトン80mlに溶解した。
これにヨウ化メチル1.69g(11.9mmol)を
ゆっくり加え、室温で2時間撹拌した(溶液は黄色とな
った)。これをヘキサン中に滴下し、デカンテーション
により下層の物質を取り出した。
【0031】この重合物をヘキサンで数回洗浄した後、
再度アセトンに溶解し、同様の操作のヘキサン洗浄をお
こなった。その後減圧乾燥して、黄色固体のMMA−T
MAEMA(共重合比18.6)を得た。そのときの収
量は10.42gで収率は81.3%であった。
【0032】〔アニオン固定化橋架けポリマーの作製〕
上記リチウムシロキシアルミナートをMMA−TMAE
MAに化学結合させ(化学式III参照)、次いでそれ
らのアニオンを固定化した橋架けポリマーを作製した。
なお、これら操作はすべて窒素雰囲気下でおこなった。
まず、リチウムシロキシアルミナート2.81gを30
0mlの三口フラスコに入れ、ジメチルホルムアミド1
0mlを加え、35℃に保って溶解した。
【0033】
【化3】
【0034】一方、MMA−TMAEMA(共重合比
1:18.6)3.07gを100mlフラスコ中でジ
メチルホルムアミド15mlを加え、50℃に保って溶
解し、この溶液を上記で作製したリチウムシロキシアル
ミナート−ジメチルホルムアミド溶液にテフロンチュー
ブを用いてゆっくりと注いだ。このときのリチウムシロ
キシアルミナート中のアルミニウムと、MMA−TMA
EMAの四級アミノ基のモル比は4:1である。得られ
たもののFT−IRによるIRスペクトルを図4に示
す。
【0035】上記混合物を35℃で2時間撹拌した後、
アセトン100mlを加えイオン的に橋架けしたポリマ
ーを析出させた。デカンテーションにより下層のポリマ
ーを取り出し、アセトンで数回洗浄した後、再度ジメチ
ルホルムアミド10mlに溶解後、アセトン100mlを加
え、デカンテーション、アセトン洗浄をおこなった。そ
の後、取り出したポリマーを減圧乾燥し、白色の橋架け
ポリマーを得た。(収量1.28g、収率22.5%) このアニオンを固定化した橋架けポリマー(以下「アニ
オン固定化橋架けポリマー」と云う)はジメチルホルム
アミド等の有機溶媒とともにゲルを形成するものであっ
た。
【0036】〔正極の調製〕活物質としてリチウムの挿
入・離脱が可能なコバルト酸リチウム(LiCo
2)、導電材(アセチレンブラック)及び上記結着剤
としてアニオン固定化橋架けポリマーとを80:6:1
4の重量比で混合し、ジメチルホルムアミドを加えスラ
リー状とし、80度で5時間真空乾燥を行い、得られた
固体を粉砕し微粉末とした。これを加圧成形して、直径
14mm、厚さ0.3mmの円板とし、80℃・24時
間真空乾燥して正極として用いた。
【0037】[負極の作製]厚さ0.1mmのリチウム
箔を直径14mmに打ち抜いて負極とした。 [密閉型二次電池aの作製]上記で作製したアニオンが
固定化された繊維強化固体電解質材料の両面に正極及び
負極を重ねて、内径が16mmのステンレスケースに収
めて密閉型二次電池aを作製した。
【0038】[密閉型二次電池aの評価]上記密閉型二
次電池の評価を充放電を5サイクル繰り返したのちの放
電時の電圧変化を調べて行った。この時の充電は、1.
5mAの電流規制で電池電圧が4.2Vになるまで行
い、放電は1.5mAで電池電圧が2.0Vとなるまで
放電して行った。5サイクル目の放電時の電圧変化を図
5に示す。図5より、この密閉型二次電池aの上記条件
での放電深度50%付近での電圧は3.0Vであること
が判る。
【0039】なお、本実施例においては、アニオンの固
定化のためのポリマーとして、取り扱いが簡便で入手が
容易であるため、水酸基を有するポリマーであるポリビ
ニルアルコールを用いたが、このほかに、アミノ基、イ
ミノ基、チオール基等の官能基を有するポリマーを用い
ることができる。また、本実施例においては、安価で大
量入手が容易なポリアクリロニトリル−メチルアクリレ
ート共重合物を用いたが、その他、ポリアクリロニトリ
ル、ポリエチレンオキサイド等を用いることができる。
【0040】有機溶媒としては、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、ジエチルエーテル、スルホラン、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、アニソール等を単独または混合
して用いることができる。また、上記実施例では図1の
Rで示された基を導入するためメチルアルコールを用い
たが、その代わりに、エチルアルコール、プロピルアル
コール、トリメチルシラノール((CH33SiOH)
及びエチレングリコール等を用いることが可能である。
また、水酸基に限らず、チオール基、イミノ基あるいは
アミノ基を有するものであれば、アルミニウムに結合し
た水素との反応が速やかに生じるので使用可能ある。
【0041】ここで、トリメチルシラノールを用いた場
合、アルミニウムにイオン結合しているリチウムイオン
の解離が促されるため、固体電解質のイオン導電度が向
上する。またエチレングリコールを導入した場合に、−
(CH2CH2O)−のセグメント運動がリチウムイオン
の解離を促し、固体電解質のイオン導電度が向上する。
また、本実施例ではポリプロピレン繊維表面にポリビニ
ルアルコール膜を形成してこの膜にアニオンを固定した
が、ポリプロピレン繊維ではなくポリビニルアルコール
繊維を用いてこれに直接アニオンを固定することも可能
である。
【0042】〔実施例2〕 [繊維強化固体電解質材料の調製]実施例1で用いたも
のと同じポリプロピレン不織布を希塩酸、アセトン及び
ジエチルエーテルで洗浄し、同様に実施例1でのメタク
リル酸メチル−メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エ
チル共重合物の合成方法と同様にして合成したメタクリ
ル酸メチル−メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチ
ルの1:1の共重合物(分子量20万)のアセトン溶液
(10重量%)に10分間浸漬し、次いで乾燥した。こ
のときメタクリル酸メチル−メタクリル酸2−(ジメチ
ルアミノ)エチル共重合物の添着量は10g/m2であ
った。これに過剰のヨウ化メチルに含浸し、繊維上に形
成された第三アミンを含むポリマー薄層を第四級化し
た。
【0043】実施例1で作製したフェニル置換基を有す
るリチウムシロキシアルミナートの脱水メチルアルコー
ル溶液(5重量%)30mlに上記第四級アミンを含む
ポリマー薄層を有する不織布(一辺の長さが20mmの
正方形)を2時間浸漬した後、脱水メタノールで洗浄
し、減圧乾燥した。この処理の前後の第四級アミンを含
むポリマーに対する重量変化は2%であり、これにモデ
ル図である図6中符号γ’で示す官能基がこのポリプロ
ピレン不織布に固定化された。
【0044】上記で得たリチウムシロキシアルミナート
を固定した繊維補強導電性材料にゲル被覆を施した。ま
ず、微粉末状のポリアクリロニトリル−メチルアクリレ
ート共重合物(平均分子量10万)1.5gとエチレン
カーボネートとプロピレンカーボネートとの容量1:1
の混合溶液10mlとを混合し、120℃で均一分散さ
せゾルとする。上記ゾルを50℃まで冷却し、上記不織
布に含浸させ、さらにロールで絞って過剰のゾルを除去
する。その後室温で一昼夜放置することにより上記ゾル
をゲル化させて、アニオンが固定化されたゲル被覆繊維
強化固体電解質材料を得(厚さ0.5mm)、これを直
径16mmに打ち抜いて以下固体電解質として用いた。
上記アニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料の
取扱性は極めて良好で、故意に多少引っ張ってもあるい
は曲げても、何らの障害も発生しなかった。このものは
二次電池作製の自動化ラインでの取り扱いに充分耐えら
れると判断された。なお、このようにゲルによって上記
ポリビニルアルコール含浸ポリプロピレン不織布をカバ
ーすることによりカチオンの流れを潤滑にさせることが
でき、その結果イオン伝導度が向上する。
【0045】[密閉型二次電池bの作製・評価]上記ア
ニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料を用い
て、実施例1と同様にして密閉型二次電池bを作製し、
密閉型二次電池a同様の評価を行った。その結果実施例
1同様に、密閉型二次電池bの放電深度50%付近での
電圧は3.0Vであることが判った。
【0046】〔実施例3〕実施例1で用いたのと同様に
作製したリチウムシロキシアルミナートをMMA−TM
AEMAに化学結合させたアニオン固定化橋架けポリマ
ーを粉砕して微粉状としたもの0.3gとプロピレンカ
ーボネート0.7gとを均一になるよう混合し、次いで
50℃に加熱してゾル化させた。
【0047】このゾル溶液に実施例1で用いたのと同じ
ポリプロピレン不織布(一辺の長さが20mmの正方
形)を浸漬し、さらにロールで絞って過剰のゾルを除去
した。その後室温で一昼夜放置することにより上記ゾル
をゲル化させて、アニオンが固定化された繊維強化固体
電解質材料を得(厚さ0.5mm)、これを直径16m
mに打ち抜いて以下固体電解質として用いた。このもの
のモデル図を図7として示す。織布を構成する繊維αは
上記アニオン固定化橋架けポリマーのゲルδで被覆され
ていて、ゲルδには官能基δ’が結合している。なお、
上記アニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料の
取扱性は極めて良好で、故意に多少引っ張ってもあるい
は曲げても、何らの障害も発生しなかった。このものは
二次電池作製の自動化ラインでの取り扱いに充分耐えら
れると判断された。
【0048】[密閉型二次電池cの作製・評価]上記ア
ニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料を用い
て、その他の条件は実施例1と同様にして密閉型二次電
池cを作製し、密閉型二次電池a同様の評価を行った。
その結果、この密閉型二次電池cの放電深度50%付近
での電圧は3.0Vであることが判った。
【0049】〔実施例4〕実施例1で用いたポリプロピ
レンからなる不織布表面に2−ジエチルアミノエチルメ
タクリレートをグラフト重合した。なおグラフト化率は
微量であったため測定できなかった。次いで、このグラ
フト化ポリプロピレン不織布を過剰のヨウ化メチルに含
浸してその表面の第三級アミノ基を第四級化し、この第
四アミノ基を利用して実施例1同様にリチウムシロキシ
アルミナートを固定化した。その後ポリアクリロニトリ
ル−メチルアクリレート共重合物を実施例1と同様にエ
チレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合
溶媒でゾル化したものを用いてゲル被覆を行ってアニオ
ンが固定化された繊維強化固体電解質材料(厚さ0.5
mm)を得た。これを直径16mmに打ち抜いて以下固
体電解質として用いた。なお、上記アニオンが固定化さ
れた繊維強化固体電解質材料の取扱性は極めて良好で、
故意に多少引っ張ってもあるいは曲げても、何らの障害
も発生しなかった。このものは二次電池作製の自動化ラ
インでの取り扱いに充分耐えられると判断された。
【0050】[密閉型二次電池dの作製・評価]上記ア
ニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料を用い
て、その他の条件は実施例1と同様にして密閉型二次電
池dを作製し、密閉型二次電池a同様の評価を行った。
その結果、この密閉型二次電池dの放電深度50%付近
での電圧は3.0Vであることが判った。
【0051】〔実施例5〕ポリビニルアルコール繊維5
0重量%及びポリプロピレン繊維50重量%からなる不
織布(非水溶媒で抄紙して作製:目付46g/m2)を
用いてこのポリビニルアルコール繊維上に実施例1でポ
リビニルアルコール薄層に行ったのと同様に、ただし対
ポリビニルアルコール重量比が同様になるようにして、
水素化リチウムアルミニウムを固定化し、さらにその後
同様にポリアクリロニトリル−メチルアクリレート共重
合物を実施例1と同様にエチレンカーボネートとプロピ
レンカーボネートとの混合溶媒でゾル化したものを用い
てゲル被覆を行ってアニオンが固定化された繊維強化固
体電解質材料を得た。このアニオンが固定化された繊維
強化固体電解質材料の取扱性は極めて良好で、故意に多
少引っ張ってもあるいは曲げても、何らの障害も発生し
なかった。このものは二次電池作製の自動化ラインでの
取り扱いに充分耐えられると判断された。
【0052】[密閉型二次電池eの作製・評価]上記ア
ニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料を用い
て、その他の条件は実施例1と同様にして密閉型二次電
池eを作製し、密閉型二次電池a同様の評価を行った。
その結果、この密閉型二次電池eの放電深度50%付近
での電圧は3.0Vであることが判った。
【0053】〔比較例〕 [固体電解質の調製]実施例1で用いた微粉末状のポリ
アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合物1.5
gと、1mol/lの濃度となるように過塩素酸リチウ
ムをエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートと
の容量で1:1の混合溶液10mlに溶解させて作製し
た溶液とを混合して、120℃で均一分散させゾルとす
る。このものをガラスシャーレ上に展開して一昼夜放置
して、厚さ0.5mmのゲルフィルムを得、これを直径
16mmに打ち抜いて固体電解質として用いた。なお、
このものは、非常に脆く、容易に破損するため、取り扱
いが非常に困難であり、このものは二次電池作製の自動
化ラインでの取り扱いには困難があると判断された。
【0054】[密閉型二次電池fの作製・評価]上記固
体電解質を用いて、その他の条件は実施例1と同様にし
て密閉型二次電池fを作製し、密閉型二次電池a同様の
評価を行った。その結果を図8に示す。図8より、この
密閉型二次電池fの放電深度50%付近での電圧は2.
4Vであることが判る。
【0055】〔実施例6〕 [繊維強化固体電解質材料の調製(化学式IV参照)]
実施例4同様に実施例1で用いたポリプロピレンからな
る不織布表面に2−ジエチルアミノエチルメタクリレー
トをグラフト重合した。次いで、このグラフト化ポリプ
ロピレン不織布を−80℃で過剰のヨウ化メチルに含浸
してその表面の第三級アミノ基を第四級化し、この第四
アミノ基を利用して実施例1同様にリチウムシロキシア
ルミナートを固定化し、次いでアセトンにより洗浄し
た。このポリマー被覆ポリプロピレン不織布から1辺の
長さが20mmの正方形のサンプルを切り出し、これを
200mlのフラスコに入れ、テトラヒドロフラン50
mlを加え、−80℃に冷却し、攪拌しながら1mol
/lの水素化リチウムアルミニウム−テトラヒドロフラ
ン溶液をゆっくり滴下した後、徐々に室温に戻し、さら
に2時間撹拌して反応を進行させた。その後60℃で乾
燥した後、メタノールを反応させた。
【0056】
【化4】
【0057】その後ポリアクリロニトリル−メチルアク
リレート共重合物を実施例1と同様にエチレンカーボネ
ートとプロピレンカーボネートとの混合溶媒でゾル化し
たものを用いてゲル被覆を行い、アニオンが固定化され
た繊維強化固体電解質材料(厚さ0.5mm)を得た。
これを直径16mmに打ち抜いて以下固体電解質として
用いた。なお、上記アニオンが固定化された繊維強化固
体電解質材料の取扱性は極めて良好で、故意に多少引っ
張ってもあるいは曲げても、何らの障害も発生しなかっ
た。このものは二次電池作製の自動化ラインでの取り扱
いに充分耐えられると判断された。
【0058】〔ゲル体のイオン伝導度、輸率の評価〕上
記アニオンが固定化された繊維強化固体電解質材料につ
いてイオン伝導度及びカチオンの輸率の評価を行った。
上記材料について、その厚さ方向のイオン伝導度を交流
インピーダンス測定法に基づいて測定した。すなわち、
印加電圧10mV、周波数掃引範囲10mHz〜10M
HzでのCole−Coleプロットにより、試料のバ
ルク抵抗Rb(Ω)を求め、このバルク抵抗Rb、サン
プル厚さL(cm)及びサンプル面積S(cm2)から
式1により試料のイオン伝導度σ(Scm-1)を算出し
た。
【0059】
【数1】 σ = L/(RbS) (1)
【0060】一方、輸率t+はPETER G.BRU
CEとCOLIN A.VINCENTの報告(J.E
lectroanal.Chem.,255(198
7)1−17)に基づいて測定した。この測定には、図
9(a)に符号1を付して示したようなインピーダンス
測定用セルを用いる。すなわち、厚さ0.5mm、直径
10mmのシート状サンプル2をスペーサ3とともに2
枚のリチウム金属箔4及び4’に挟んでセット(図9
(b)参照)する。これらリチウム金属箔4及び4’
は、ステンレス製の導電材(ジグ)5とばね6、及び導
電材5’とを介して端子7及び7’にそれぞれ接続され
ている。なお、このセル1は2つの部分に分離するが、
その分離部分はOリング8の働きで気密に保たれてい
る。
【0061】輸率は、 ・まず上記測定用セルにサンプルをセットし、一日放置
した後インピーダンスR 0 b及び界面インピーダンスR0
ctを測定する ・次いでこの交流インピーダンス測定用セルの両極に1
0mVの電圧を加え、そのときの電流の時間変化を追跡
し、定電流ISに落ち着くことを確認する ・再度交流インピーダンス測定を行い、界面インピーダ
ンスRS ctを得るの測定を行った後、これら値により式
2より算出した。
【0062】
【数2】 t+=IS(ΔV−I00 ct)/I0/(ΔV−ISS ct) (2) ただし、ΔV=10mV、また、I0=ΔV/(R0 b
0 ct
【0063】これらの測定の結果、イオン伝導度が0.
3×10-5Scm、輸率は0.95であり、アニオンの
固定が確認された。なお上記サンプルの取扱性は良好
で、取り扱いに充分な強度を有していた。
【0064】〔実施例7〕 [繊維強化固体電解質材料の調製(化学式V参照)] [PVA含有量50重量%の不織布での検討:実施例7
A]ポリビニルアルコール繊維50重量%及びポリプロ
ピレン繊維50重量%からなる不織布(非水溶媒で抄紙
して作製:目付46g/m2)を用いてこのポリビニル
アルコール繊維上に実施例1でポリビニルアルコール薄
層に行ったのと同様に、ただし対ポリビニルアルコール
重量比が同様になるようにして、水素化リチウムアルミ
ニウムを固定化し、次いで室温でメタノールで洗浄する
ことによりメトキシ化し、その後60℃で乾燥した。
【0065】
【化5】
【0066】これら一連の処理によって得られたサンプ
ルのFT−IRスペクトルを図10に、原料である処理
前の不織布のFT−IRスペクトルを図11にそれぞれ
示す。この図10及び図11より、処理前の不織布で見
られる、アルケンに由来する800〜850cm-1、水
酸基に由来する1000〜1500cm-1及び2800
〜3300cm-1、の吸収が、処理品では大幅に減少し
ていることが判る。このことから、不織布表面が改質さ
れていることが確認された。
【0067】上記水素化リチウムアルミニウムが固定化
された不織布を、実施例1と同様にしてポリアクリロニ
トリル−メチルアクリレート共重合物、及び、エチレン
カーボネートとプロピレンカーボネートとの混合溶媒で
ゾル化したものを用いてゲル被覆を行ってアニオンが固
定化された繊維強化固体電解質材料を得た。この繊維強
化固体電解質材料についてそのイオン伝導度及びカチオ
ン輸率を調べた結果を符号7−Aとして表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】[PVA含有量80重量%の不織布での検
討:実施例7B]上記と同様に、但し、ポリビニルアル
コール繊維80重量%及びポリプロピレン繊維20重量
%からなる不織布を用いて本発明に係る繊維強化固体電
解質材料を作製し、その評価を行った。結果を符号7−
Bとして表1に示す。表1より、不織布中のポリビニル
アルコール含有量にかかわらず、イオン伝導度及び輸率
が高いことが判る。なおこの輸率がほぼ1であることか
ら、アニオンが固定されていることが確認された。
【0070】〔実施例8〕 [繊維強化固体電解質材料の調製(化学式VI参照)]
【0071】ポリビニルアルコール繊維50重量%及び
ポリプロピレン繊維50重量%からなる不織布の代わり
に、ポリプロピレン繊維50重量%及びエチレン−アク
リル酸共重合体繊維50重量%からなる不織布を用いた
以外は全く実施例7Aと同様にして繊維強化固体電解質
材料を作製した。
【0072】
【化6】
【0073】この繊維強化固体電解質材料についてその
イオン伝導度及びカチオン輸率を調べた結果を符号8と
して表1に併せて示した。表1により、この本発明に係
る繊維強化固体電解質材料(実施例8)はイオン伝導度
及び輸率が高いことが判る。なおこの輸率がほぼ1であ
ることから、アニオンが固定されていることが確認され
た。
【0074】上記実施例7A、実施例7B及び実施例8
のアニオンが固定された繊維強化固体電解質をそれぞれ
用いて、その他の条件は実施例1と同様にして密封型二
次電池g、h及びiを作製し、密封型二次電池a同様の
評価を行った。その結果これら密封型二次電池g、h及
びiすべての放電深度50%付近での電圧は3.0Vで
あった。
【0075】
【発明の効果】本発明の導電性材料は、従来の固体電解
質におけるアニオンの移動に着目し、分極を抑制するこ
とで放電時の電圧の低下を防止するものであり、また、
取扱性に優れ、二次電池の固体電解質として用いる際
に、自動化工程であっても充分耐えられる引張強度、曲
げ強度を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1でのアニオンが固定化された繊維強化
固体電解質材料の概念を示すモデル図である。
【図2】実施例1で合成したリチウムシロキシアルミナ
ートの赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】実施例1で合成したメタクリル酸メチル・メタ
クリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合物の赤外
吸収スペクトルを示す図である。
【図4】実施例1で作製したリチウムシロキシアルミナ
ートとMMA−TMAEMAとからなるアニオン固定化
橋架けポリマーの赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図5】実施例1での二次電池aの放電の状況を示す図
である。
【図6】実施例2でのアニオンが固定化された繊維強化
固体電解質材料の概念を示すモデル図である。
【図7】実施例3でのアニオンが固定化された繊維強化
固体電解質材料の概念を示すモデル図である。
【図8】比較例での二次電池fの放電の状況を示す図で
ある。
【図9】輸率を測定するために用いたインピーダンス測
定用セルを示す図である。 (a)断面を示す図である。 (b)サンプルのセット方法を示す斜視図である。
【図10】実施例6で作製された、アニオンが表面に固
定化された不織布のFT−IRスペクトルを示す図であ
る。
【図11】実施例6で用いられた、アニオンが表面に固
定化される前の原料の不織布のFT−IRスペクトルを
示す図である。
【図12】従来の固体電解質を用いた二次電池での放電
時のイオンの動きを示すモデル図である。 (a)放電前 (b)放電中
【符号の説明】
α 繊維 β ポリビニルアルコール β’ メタクリル酸メチル−メタクリル酸2−(ジメチ
ルアミノ)エチル共重合物 γ 固定化された官能基 γ’ 固定化された官能基 δ アニオン固定化橋架けポリマーのゲル δ’ 固定化された官能基

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオンが固定化されていることを特徴
    とする繊維強化固体電解質材料。
  2. 【請求項2】 繊維を被覆する高分子化合物にアニオン
    が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の繊
    維強化固体電解質材料。
  3. 【請求項3】 繊維構造体を被覆する高分子化合物にア
    ニオンが固定されていることを特徴とする請求項1に記
    載の繊維強化固体電解質材料。
  4. 【請求項4】 繊維にグラフト重合された化合物を介し
    てアニオンが固定されていることを特徴とする請求項1
    に記載の繊維強化固体電解質材料。
  5. 【請求項5】 繊維にアニオンが固定されていることを
    特徴とする請求項1に記載の繊維強化固体電解質材料。
  6. 【請求項6】 繊維構造体を構成する一部の繊維にアニ
    オンが固定されていることを特徴とする請求項5に記載
    の繊維強化固体電解質材料。
  7. 【請求項7】 上記アニオンがアルミニウムに由来する
    ものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6の
    いずれかに記載の繊維強化固体電解質材料。
  8. 【請求項8】 アニオンが固定化された連続気孔を有す
    る三次元網目構造体からなることを特徴とする固体電解
    質材料。
  9. 【請求項9】 アニオンが固定化され、かつ連続気孔を
    有する三次元網目構造体により補強されたことを特徴と
    する繊維強化固体電解質材料。
  10. 【請求項10】 アニオンが固定化された繊維強化固体
    電解質材料を有することを特徴とするリチウム系二次電
    池。
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