JP2022155549A - 蓄電デバイスおよび負極保護膜用コーティング液 - Google Patents

蓄電デバイスおよび負極保護膜用コーティング液 Download PDF

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Masahito Tabuchi
俊平 浜谷
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Abstract

【課題】負極保護膜の厚さが薄く、高い電池特性を発揮することが可能な蓄電デバイスを提供する。【解決手段】膜厚0.2~19μmの非常に薄膜の負極保護膜を備える蓄電デバイスを提供する。ポリマー、リチウム塩化合物、溶媒を含有する負極保護膜用コーティング液において、エチレングリコールジメチルエーテル、及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを溶媒として用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池等の蓄電デバイス、また蓄電デバイスに用いられる負極を保護するための負極保護膜を形成するための負極保護膜用コーティング液に関する。
リチウムイオン二次電池や電気化学キャパシタといった蓄電デバイスは、携帯電話やノートパソコン、カムコーダーなどの電子機器に用いられている。最近では環境保護への意識の高まりや関連法の整備により、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池としての応用も進んできている。
蓄電デバイスにおいては、正極、負極、電解質で構成されているが、蓄電デバイスの応用が進むと同時に、蓄電デバイスに高性能化が求められており、電極等の部材の改良が進められている。
また、特許文献1には、リチウム塩化合物を含む高分子固体電解質を電解質と電極層との間に介在させた電池が開示されている。
特開2020-087711号公報
特許文献1に示されるような負極と電解質間に保護膜を形成する場合には、負極、電解質に負極保護膜用コーティング液を塗工することになるが、負極、電解質の材質によっては、負極保護膜用コーティング液の塗工時、又は乾燥時に負極、電解質を腐食させる、反応する等の悪影響が生じるという課題があった。特に負極にリチウム系化合物を活物質に用いる場合、又は電解質として無機固体電解質を用いるには、その傾向が顕著であったため、負極上に塗工することなく、別の基板に塗工した後に、乾燥させ、負極保護膜を形成させた後に、負極上に積層させる必要があったが、基板から負極保護膜を剥がし、負極上に負極保護膜を積層させる際には、ある一定以上の厚さがないと行えなかった。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。非常に薄膜の負極保護膜を備える蓄電デバイス、及び、ポリマー、リチウム塩化合物、溶媒を含有する負極保護膜用コーティング液において、エチレングリコールジメチルエーテル、及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを溶媒として用いることにより、上記の課題を解決することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1 正極、無機固体電解質、膜厚0.2~19μmのリチウム塩化合物を含有する負極保護膜、リチウム系化合物、グラファイト、シリコン系化合物のいずれかを負極活物質として含有する負極を備える蓄電デバイス。
項2 負極保護膜と負極において、JIS Z 0237:2009で規定する180°剥離強度が0.1~10.0 N/cmである項1に記載の蓄電デバイス。
項3 リチウム系化合物を負極活物質として含有する負極である項1又は2に記載の蓄電デバイス。
項4 無機固体電解質が酸化物系無機固体電解質、又は硫化物系無機固体電解質である項1~3いずれかに記載の蓄電デバイス。
項5 (A)ポリマー、(B)リチウム塩化合物、(C)エチレングリコールジメチルエーテル、及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを含有する負極保護膜用コーティング液。
本発明の蓄電デバイスは、負極保護膜の厚さが非常に薄いために、高い電池特性を発揮することが可能となる。
本発明の負極保護膜用コーティング液を用いることにより、負極保護膜用コーティング液の塗工時、又は乾燥時に負極、電解質に悪影響がないために、形成された負極保護膜を備える蓄電デバイスにおける高い電池特性を発揮することが可能となる。
なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
「1.蓄電デバイス」
本発明の蓄電デバイスは、正極、無機固体電解質、膜厚0.2~19μmのリチウム塩化合物を含有する負極保護膜、負極を備える。負極保護膜は負極と電解質との間に介在する(積層されている)ことを特徴としている。
本発明の蓄電デバイスにおいて、正極、負極ともに公知のものを用いることができるが、集電体に正極材料層、又は負極材料層を備える電極を例示することができる。
正極、負極には、公知の集電体を用いることができる。具体的には、正極には、集電体として、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等の金属が使用される。負極には、集電体として、銅、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等の金属が使用される。
また、正極材料層、負極材料層は、それぞれ、少なくとも正極活物質、負極活物質を含有し、更に導電助剤、バインダー、増粘剤を含有していてもよい。
本発明で使用される正極活物質は、LiMO2、LiM24、Li2MO3、LiMEO4のいずれかの組成からなるリチウム金属含有複合酸化物粉末である。ここで式中のMは主として遷移金属からなり、Co、Mn、Ni、Cr、Fe、Tiの少なくとも一種を含んでいる。Mは遷移金属からなるが、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどが添加されていてもよい。EはP、Siの少なくとも1種を含んでいる。正極活物質の粒子径には50μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以下のものを用いる。これらの活物質は、3V(vs.Li/Li+)以上の起電力を有するものである。
正極活物質の具体例としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケル/コバルト/マンガン酸リチウム(3元系)、スピネル型マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなどが挙げられる。
本発明で使用される負極活物質は、グラファイト、リチウム系化合物(リチウム及びリチウム合金(Li-Si合金、Li-Sn合金等))、Si、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<x≦2、SiO等)、SnSiO、LiSiO等のシリコン系化合物である。粉末の場合、粒子径は10nm以上100μm以下が好ましく、更に好ましくは20nm以上20μm以下である。
正極材料層中、負極材料層中の活物質の含有量としては、例えば、100質量%であってよく、99.9~50質量%程度、より好ましくは99.5~70質量%程度、さらに好ましくは99~85質量%程度が挙げられる。
導電助剤を用いる場合には、公知の導電助剤を用いることができ、黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維、または金属粉末等が挙げられる。これら導電助剤は1種または2種以上用いてもよい。
導電助剤を用いる場合には、導電助剤の含有量は特に制限されないが、活物質全量100質量部に対して、上限値は20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが特に好ましく、導電助剤の含有量の下限値としては、通常、0.05質量部以上、0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.5質量部以上、2質量部以上を例示することができる。
バインダーとしては、例えばPVdF等のフッ素樹脂、フッ素ゴムやアクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル系重合体、ビニル系重合体、前記記載のイオン伝導性ポリマーから選ばれる1種以上の化合物を用いることができる。これらバインダーは活物質を100質量部として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、例えば0.01~3質量部添加する。
増粘剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびこれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。これら増粘剤は1種または2種以上用いてもよい。これら増粘剤は活物質を100質量部として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、例えば0.01~2質量部添加する。また、塗工液の粘度が低い場合には増粘剤を併用することができる。
正極材料層、負極材料層には、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22(LiTFSI),LiN(SFO22(LiFSI)、LiN(C25SO22、LiN[CF3SC(C25SO232等のリチウム塩化合物とエチレンオキシド/アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エチレンオキシド/メタクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/アクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アクリル酸グリシジル三元共重合体等のイオン導電性ポリマーを含有させていてもよい。
集電体と正極材料層、負極材料層を備える正極、負極の作製方法は特に限定されず一般的な方法が用いられる。例えば、正極活物質あるいは負極活物質、導電助剤、バインダー、必要に応じて増粘剤、溶媒などからなる正極材料、負極材料のペースト(塗工液)をドクターブレード法やシルクスクリーン法などにより集電体表面上に適切な厚さに均一に塗工することより行われる。
例えばドクターブレード法では、負極活物質粉末や正極活物質粉末、導電助剤、バインダー等を水に分散してスラリー状にし、金属電極基板に塗工した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さに均一化する。電極は活物質塗工後、余分な有機溶剤を除去するため、例えば、100℃の熱風や80℃減圧状態で乾燥する。乾燥後の電極はプレス装置によってプレス成型することで電極が製造される。
無機固体電解質は、酸化物系固体電解質、又は硫化物系固体電解質であることが好ましく、硫化物系固体電解質であることがより好ましい。無機固体電解質は、一般に、電解質を構成する無機固体粒子の集合体である。
酸化物系固体電解質は、酸素を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。
酸化物系固体電解質を構成する具体的な化合物としては、LixLayTiO3〔x=0.3~0.7、y=0.3~0.7〕(LLT)、LixLayZrzmn(MはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは5≦x≦10を満たし、yは1≦y≦4を満たし、zは1≦z≦4を満たし、mは0≦m≦2を満たし、nは5≦n≦20を満たす。)Lixyzn(式中MはC,S,Al,Si,Ga,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは0≦x≦5を満たし、yは0≦y≦1を満たし、zは0≦z≦1を満たし、nは0≦n≦6を満たす。)、Lix(Al,Ga)y(Ti,Ge)zSiamn(ただし、1≦x≦3、0≦y≦1、0≦z≦2、0≦a≦1、1≦m≦7、3≦n≦13)、Li(3-2x)xDO(xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixSiyz(1≦x≦5、0<y≦3、1≦z≦10)、Lixyz(1≦x≦3、0<y≦2、1≦z≦10)、Li3BO3-Li2SO4、Li2O-B23-P25、Li2O-SiO2、Li6BaLa2Ta212、Li3PO(4-3/2w)w(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO4、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO3、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi2312、Li(1+x+y)(Al,Ga)x(Ti,Ge)(2-x)Siy(3-y)12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLi7La3Zr212等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
その中でも、LixLayTiO3〔x=0.3~0.7、y=0.3~0.7〕(LLT)、LixLayZrzmn(MはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは5≦x≦10を満たし、yは1≦y≦4を満たし、zは1≦z≦4を満たし、mは0≦m≦2を満たし、nは5≦n≦20を満たす。)、Li7La3Zr212(LLZ)、Li3BO3、Li3BO3-Li2SO4、Li3BO3-Li2CO3、Lix(Al,Ga)y(Ti,Ge)zSiamn(ただし、1≦x≦3、0≦y≦1、0≦z≦2、0≦a≦1、1≦m≦7、3≦n≦13)が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫化物系固体電解質は、硫黄を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば下記式で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
Liabcde
式中、Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。なかでも、B、Sn、Si、Al、Geが好ましく、Sn、Al、Geがより好ましい。Aは、I、Br、Cl、Fを示し、I、Brが好ましく、Iが特に好ましい。a~eは各元素の組成比を示し、a:b:c:d:eは1~12:0~1:1:2~12:0~5を満たす。aはさらに、1~9が好ましく、1.5~4がより好ましい。bは0~0.5が好ましい。dはさらに、3~7が好ましく、3.25~4.5がより好ましい。eはさらに、0~3が好ましく、0~2がより好ましい。
式において、Li、M、P、S及びAの組成比は、好ましくはb、eが0であり、より好ましくはb=0、e=0で且つa、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1~9:1:3~7であり、さらに好ましくはb=0、e=0で且つa:c:d=1.5~4:1:3.25~4.5である。
硫化物系固体電解質がLi/P/S系である場合、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、60:40~85:15であることが好ましく、65:35~80:20であることが好ましい。
硫化物系固体電解質を具体的に例示すると、LiS/SiS、LiS-SiS/P、LiS/P、LiS/GeS、LiS/GeS/Ga、LiS/B、LiS/Ga、LiS/Al、LiS/GeS/P、LiS/Al/P、LiS/P、LiS/P/P、LiS/SiS/LiSiO、LiS/SiS/LiPO、LiX/LiS/P、LiX/LiS/SiS、LiX/LiS/B(Xはハロゲン原子(Br、ClまたはI))等を例示することができる。
無機固体電解質が粒子状である場合、その粒子径としては、例えば0.01~100μm、好ましくは0.1~20μmが挙げられる。
本発明の負極保護膜は、リチウム塩化合物を含有し、膜厚0.2~19μmである。
本発明の負極保護膜は、膜厚0.2~19μmであることが好ましく、膜厚0.5~15μmであることがより好ましい。
本発明の負極保護膜と負極との接着性は、JIS Z 0237:2009で規定する180°剥離強度が0.1~10.0 N/cmであることが好ましく、0.2~8.0 N/cmであることがより好ましく、0.5~5.0 N/cmであることが特に好ましい。この程度の接着性を有することで優れた充放電サイクル性能を発揮する点で好ましい。
本発明の負極保護膜は、リチウム塩化合物を含有する。リチウム塩化合物としては、リチウムイオン電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩化合物が好適である。リチウム塩化合物としては、例えば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22(LiTFSI),LiN(SFO22(LiFSI)、LiN(C25SO22、LiN[CF3SC(C25SO232などを挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
リチウム塩化合物の含有量としては、ポリマー100質量部に対して、下限としては、5質量部以上含有することが好ましく、8質量部以上含有することがより好ましく、10質量部以上含有することが特に好ましく、上限としては、900質量部以下含有することが好ましく、800質量部以下含有することがより好ましく、700質量部以下含有することが特に好ましく、500質量部以下であってよく、300質量部以下であってよい。
負極保護膜に用いられるポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリエーテルポリマー等が挙げられ、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルポリマーであることが好ましい。
ポリエーテルポリマーとしては、アルキレンオキシド由来の構成単位を有することが好ましく、特にエチレンオキシド由来の構成単位を有することがより好ましい。
ポリエーテルポリマーとしては、具体的には、式(1)である単量体由来の構成単位を含有し、必要に応じて、式(2)由来の構成単位、及び/又は式(3)由来の構成単位を有することが好ましい。各式で表される単量体は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
Figure 2022155549000001
Figure 2022155549000002
[式(2)中、Rは、炭素数1~12のアルキル基、又は-CH2O(CH2CH2O)n4であり、R4は炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~12の数である。]
式(2)の化合物は市販品からの入手、またはエピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法等により容易に合成が可能である。また、アリール基としては、フェニル基が挙げられる。
市販品から入手可能な化合物としては、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシヘプタン、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシへキサン、グリシジルフェニルエーテル、1,2-エポキシペンタン、グリシジルイソプロピルエーテルなどが使用できる。これら市販品のなかでは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテルが好ましく、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテルが特に好ましい。
合成によって得られる式(2)で表される単量体では、Rは-CHO(CR)が好ましく、R、R、Rの少なくとも一つが-CHO(CHCHO)nRであることが好ましい。Rは炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。nは0~6が好ましく、0~4がより好ましい。
Figure 2022155549000003
[式(3)中、R5は、エチレン性不飽和基を含有する基を表す。]
式(3)の単量体としては、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカンジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルである。
ポリエーテルポリマーにおいて、式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位とのモル比率はH-NMRスペクトルにより求められる。
式(1)の単量体に由来する構成単位は30モル%以上有することが好ましく、45モル%以上有することがより好ましく、60モル%以上有することが特に好ましく、100モル%以下有することが好ましく、96モル%以下有することがより好ましく、93.5モル%以下有することが特に好ましい。
式(2)の単量体に由来する構成単位は0モル%以上であってよく、3モル%以上であってよく、5モル%以上であってよく、70モル%以下であってよく、59モル%以下であってよく、39モル%以下であってよい。
式(3)の単量体に由来する構成単位は0モル%以上であってよく、1モル%以上であってよく、1.5モル%以上であってよく、2モル%以上であってよく、3モル%以上であってよく、20モル%以下であってよく、15モル%以下であってよく、12モル%以下であってよい。
ポリエーテルポリマーにおいて、式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、他の単量体に由来する構成単位されていてもよい。ポリエーテルポリマーにおける式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位の合計されたモル比率が90モル%以上有することが好ましく、95モル%以上有することがより好ましく、98モル%以上有することが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
ポリエーテルポリマーの具体例としては、エチレンオキシド/アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エチレンオキシド/メタクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/アクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アクリル酸グリシジル三元共重合体等が挙げられる。
ポリエーテルポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、1万~300万であってよく、5万~250万であることがより好ましく、10万~200万であることが特に好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を使用して、標準ポリスチレン換算により算出する。
ポリエーテルポリマーの合成は、例えば、次のようにして行うことができる。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにK+を含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、各単量体を溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10~120℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル(i)が得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、配位アニオン開始剤が好ましく、なかでも有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が取り扱い易く特に好ましい。
ポリマーの含有量としては、負極保護膜全体を100質量%として、好ましくは1~95質量%、より好ましくは2~90質量%であり、特に好ましくは15~80質量%である。
また、負極保護膜には、常温溶融塩が含まれていてもよい。常温溶融塩は、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は-40℃程度、場合によっては-20℃程度である。
常温溶融塩はイオン液体とも呼ばれており、ピリジン系、脂肪族アミン系、脂環族アミン系の4級アンモニウム有機物カチオンが知られている。4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N-メチルピリジウムイオン、N-エチルピリジニウムイオン、N-プロピルピリジニウムイオン、N-ブチルピリジニウムイオン、1-エチル-2メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
負極保護膜に常温溶融塩が含まれる場合、その含有量としては、ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
負極保護膜は、可塑剤などを含んでいてもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、ジシアノ化合物、エーテル化合物が好ましい。可塑剤を添加する場合は、ポリマーを架橋する、即ちポリマー架橋物であることが好ましい。この架橋は、化学架橋であることが好ましく、ゲル膜の可塑剤の流出を抑制できる。
ジシアノ化合物としてはスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン等が挙げられる。
エーテル化合物としては、直鎖型エーテル化合物と分岐型エーテル化合物を例示することができる。
直鎖型エーテル化合物の例として、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)などが挙げられる。
分岐型エーテル化合物の例として、下記の多分岐型エーテル化合物などが挙げられる。
Figure 2022155549000004

Figure 2022155549000005
負極保護膜に可塑剤が含まれる場合、可塑剤の含有量としては、ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~900質量部である。
負極保護膜にフィラーを含んでもよい。フィラーは特に限定されないが、電気化学的に安定で、かつ電気絶縁性の材料であればよく、無機および有機フィラーが用いられる。無機フィラーの具体例として、シリカ、アルミナ、アルミナ-シリケート、ジルコニア、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、リチウムアルミネートなどの無機酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物等が挙げられる。
有機フィラーの具体例として、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、スチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等、ポリオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド等)、が挙げられる。これらのフィラーは、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
フィラーの形状は、特に限定されるものではなく、球状、扁平状、針状、柱状および不定形などである。フィラーの粒径は、動的光散乱法(分散媒:水)によって測定できる。フィラーの平均粒径は好ましくは0.1~19μm、更に好ましくは、0.2~15μmである。
フィラーを含有する場合、フィラーの含有量はポリマー100質量部に対して、1~80質量部の範囲でよく、10~80質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは15~50質量部である。
本発明の蓄電デバイスの製造方法は特に限定されず、少なくとも、正極、負極、電解質、及び負極保護膜で構成され、公知の方法にて製造される。例えば、コイン型のリチウムイオン電池の場合、正極、電解質、負極、更に負極と電解質との間に負極保護膜を配置して、外装缶に挿入する。その後、封口体とタブ溶接などで接合して、封口体を封入し、カシめることで得られる。電池の形状は限定されないが、例としてはコイン型、円筒型、シート型などがあげられ、2個以上を積層した構造でもよい。
本発明の蓄電デバイスの製造方法としては、次の例も開示することができる。
1)正極と無機固体電解質を積層させる。
2)正極と無機固体電解質の積層体において、無機固体電解質の表面に「2.負極保護膜用コーティング液」の項で記載の負極保護膜用コーティング液を塗工後、無機固体電解質上に負極保護膜を形成する。
3)無機固体電解質の表面に負極保護膜を有する正極と電解質の積層体に、負極をさらに積層させる。
本発明の蓄電デバイスの製造方法としては、次の例も開示することができる。
1)負極の表面に本発明の「2.負極保護膜用コーティング液」の項で記載の負極保護膜用コーティング液を塗工後、負極上に負極保護膜を形成する。
2)負極の表面に負極保護膜を有する負極と正極と無機固体電解質を積層させる。正極と無機固体電解質は別々に積層しても、正極と無機固体電解質を積層させた積層体を積層させてもよい。
本発明の負極保護膜の形成方法は特に限定されないが、無機固体電解質、又は負極にキャスティングし、溶媒を除去後、加熱又は紫外線などの活性エネルギー線照射によって負極保護膜を作製する方法が挙げられる。
架橋反応は、熱による場合は、室温から200℃ぐらいの温度設定で10分から24時間程度加熱することによって行なうことができる。紫外線による場合では、キセノンランプ、水銀ランプ、高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプを用いることができ、例えば、波長365nm、光量1~50mW/cm2で0.1~30分間照射することによって行うことができる。
「2.負極保護膜用コーティング液」
本発明の負極保護膜用コーティング液は(A)ポリマー、(B)リチウム塩化合物、(C)エチレングリコールジメチルエーテル、及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを含有する。
本発明の負極保護膜用コーティング液に用いられるポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリエーテルポリマー等が挙げられ、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルポリマーであることが好ましい。
ポリエーテルポリマーとしては、アルキレンオキシド由来の構成単位を有することが好ましく、特にエチレンオキシド由来の構成単位を有することがより好ましい。
ポリエーテルポリマーとしては、具体的には、式(1)である単量体由来の構成単位を含有し、必要に応じて、式(2)由来の構成単位、及び/又は式(3)由来の構成単位を有することが好ましい。各式で表される単量体は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
Figure 2022155549000006
Figure 2022155549000007
[式(2)中、Rは、炭素数1~12のアルキル基、又は-CHO(CHCHO)であり、Rは炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~12の数である。]
式(2)の化合物は市販品からの入手、またはエピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法等により容易に合成が可能である。また、アリール基としては、フェニル基が挙げられる。
市販品から入手可能な化合物としては、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシヘプタン、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシへキサン、グリシジルフェニルエーテル、1,2-エポキシペンタン、グリシジルイソプロピルエーテルなどが使用できる。これら市販品のなかでは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテルが好ましく、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテルが特に好ましい。
合成によって得られる式(1)で表される単量体では、Rは-CHO(CR)が好ましく、R、R、Rの少なくとも一つが-CHO(CHCHO)nRであることが好ましい。Rは炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。nは0~6が好ましく、0~4がより好ましい。
Figure 2022155549000008
[式(3)中、Rは、エチレン性不飽和基を含有する基を表す。]
式(3)の単量体としては、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカンジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルである。
ポリエーテルポリマーにおいて、式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位とのモル比率はH-NMRスペクトルにより求められる。
式(1)の単量体に由来する構成単位は30モル%以上有することが好ましく、45モル%以上有することがより好ましく、60モル%以上有することが特に好ましく、100モル%以下有することが好ましく、96モル%以下有することがより好ましく、93.5モル%以下有することが特に好ましい。
式(2)の単量体に由来する構成単位は0モル%以上であってよく、3モル%以上であってよく、5モル%以上であってよく、70モル%以下であってよく、59モル%以下であってよく、39モル%以下であってよい。
式(3)の単量体に由来する構成単位は0モル%以上であってよく、1モル%以上であってよく、1.5モル%以上であってよく、2モル%以上であってよく、3モル%以上であってよく、20モル%以下であってよく、15モル%以下であってよく、12モル%以下であってよい。
ポリエーテルポリマーにおいて、式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、他の単量体に由来する構成単位されていてもよい。ポリエーテルポリマーにおける式(1)の単量体に由来する構成単位と、式(2)の単量体に由来する構成単位と、式(3)の単量体に由来する構成単位の合計されたモル比率が90モル%以上有することが好ましく、95モル%以上有することがより好ましく、98モル%以上有することが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
ポリエーテルポリマーの具体例としては、エチレンオキシド/アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エチレンオキシド/メタクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/アクリル酸グリシジル二元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アクリル酸グリシジル三元共重合体等が挙げられる。
ポリエーテルポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、1万~300万であってよく、5万~250万であることがより好ましく、10万~200万であることが特に好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を使用して、標準ポリスチレン換算により算出する。
ポリエーテルポリマーの合成は、例えば、次のようにして行うことができる。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにK+を含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、各単量体を溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10~120℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル(i)が得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、配位アニオン開始剤が好ましく、なかでも有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が取り扱い易く特に好ましい。
負極保護膜用コーティング液に含まれるポリマーの含有量としては、負極保護膜用コーティング液全体を100質量%として、好ましくは5~95質量%、より好ましくは5~50質量%、更に好ましくは6~30質量%を例示することができる。
本発明の負極保護膜用コーティング液に用いられるリチウム塩化合物としては、リチウムイオン電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩化合物が好適である。リチウム塩化合物としては、例えば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22(LiTFSI),LiN(SFO22(LiFSI)、LiN(C25SO22、LiN[CF3SC(C25SO232などを挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
リチウム塩化合物の含有量としては、ポリマー100質量部に対して、下限としては、5質量部以上含有することが好ましく、8質量部以上含有することがより好ましく、10質量部以上含有することが特に好ましく、上限としては、900質量部以下含有することが好ましく、800質量部以下含有することがより好ましく、700質量部以下含有することが特に好ましい。
本発明の負極保護膜用コーティング液は、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)を含有する。
エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)の含有量としては、ポリマー100質量部に対して、好ましくは20~1400質量部、より好ましくは50~900質量部である。
本発明の負極保護膜用コーティング液は、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)と可塑剤の合計量は、ポリマー100質量部に対して、200~1500質量部であることが好ましく、300~1300質量部であることがより好ましく、400~1200質量部であることが特に好ましい。
また、負極保護膜用コーティング液には、常温溶融塩が含まれていてもよい。常温溶融塩は、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は-20℃程度、場合によっては-15℃程度である。
常温溶融塩はイオン液体とも呼ばれており、ピリジン系、脂肪族アミン系、脂環族アミン系の4級アンモニウム有機物カチオンが知られている。4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N-メチルピリジウムイオン、N-エチルピリジニウムイオン、N-プロピルピリジニウムイオン、N-ブチルピリジニウムイオン、1-エチル-2メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
負極保護膜用コーティング液に常温溶融塩が含まれる場合、その含有量としては、ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
負極保護膜用コーティング液は、可塑剤などを含んでいてもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、ジシアノ化合物、エーテル化合物が好ましい。
ジシアノ化合物としてはスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン等が挙げられる。
エーテル化合物としては、直鎖型エーテル化合物と分岐型エーテル化合物を例示することができる。
直鎖型エーテル化合物の例として、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)などが挙げられる。
分岐型エーテル化合物の例として、下記の多分岐型エーテル化合物などが挙げられる。
Figure 2022155549000009

Figure 2022155549000010
負極保護膜用コーティング液に可塑剤が含まれる場合、可塑剤の含有量としては、ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
負極保護膜にフィラーを含んでもよい。フィラーは特に限定されないが、電気化学的に安定で、かつ電気絶縁性の材料であればよく、無機および有機フィラーが用いられる。無機フィラーの具体例として、シリカ、アルミナ、アルミナ-シリケート、ジルコニア、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、リチウムアルミネートなどの無機酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物等が挙げられる。
有機フィラーの具体例として、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、スチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等、ポリオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド等)、が挙げられる。これらのフィラーは、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
フィラーの形状は、特に限定されるものではなく、球状、扁平状、針状、柱状および不定形などである。フィラーの粒径は、動的光散乱法(分散媒:水)によって測定できる。フィラーの平均粒径は好ましくは0.1~19μm、更に好ましくは、0.2~15μmである。
フィラーを含有する場合、フィラーの含有量はポリマー100質量部に対して、1~80質量部の範囲でよく、10~80質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは15~50質量部である。
本発明の負極保護膜用コーティング液には、反応開始剤を用いることができ、熱反応開始剤、光反応開始剤が挙げられ、更に架橋助剤を含有させることができる。
熱反応開始剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤が用いられる。有機過酸化物としては、ケトンパーオキシド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられる。ラジカル開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、ポリマーを100質量部として0.1~10質量部の範囲内である。
光反応開始剤としては、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン類、トリアジン類、ビスイミダゾール類、オキシムエステル類などラジカル開始剤が用いられる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、ポリマーを100質量部として0.01~5.0質量部の範囲内である。
架橋助剤としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。架橋助剤の含有量は、ポリマーを100質量部として5~50質量部の範囲内である。
本願においては、「2.負極保護膜用コーティング液」を用いて得られる負極保護膜、また前記負極保護膜を用いた、正極、無機固体電解質、膜厚0.2~19μmのリチウム塩化合物を含有する負極保護膜、リチウム系化合物、グラファイト、シリコン系化合物のいずれかを負極活物質として含有する負極を備える蓄電デバイスと記載することもできる。
以下の実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施例では、保護膜が形成された負極を作製し、保護膜剥離強度の評価を、またコイン電池を作製し、コイン電池の充放電特性の性能評価を以下の実験にて行った。
ポリマーは以下の方法で測定した。
〔組成モル比率〕
H-NMRスペクトルにより組成単位に由来するシグナル強度比から求めた。
〔重量平均分子量〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を算出した。GPC測定は(株)島津製作所製RID-6A、昭和電工(株)製ショウデックスKD-807、KD-806、KD-806MおよびKD-803カラム、および溶媒にDMFを用いて60℃で行った。
[合成例(ポリエーテル重合用触媒の製造)]
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド10g及びトリブチルホスフェート35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら250℃で20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以下の重合例で重合触媒として用いた。
[重合例1 ポリマー1]
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに重合触媒として触媒の合成例で示した縮合物質1gと水分10ppm以下に調整したグリシジルエーテル化合物(a):
Figure 2022155549000011
114g、アリルグリシジルエーテル12g、n-ブタノール0.10g及び溶媒としてn-ヘキサン1000gを仕込み、化合物(a)の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、エチレンオキシド136gを逐次添加した。このときの重合温度は20℃とし、10時間反応を行った。重合反応はメタノールを1mL加え反応を停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー210gを得た。得られたポリマーのモル比率はエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%であり、重量平均分子量150万であった。
[重合例2 ポリマー2]
重合例1の仕込みにおいてグリシジルエーテル化合物(a)130g、n-ブタノール0.13g及び溶媒としてn-ヘキサン1000gを仕込み、化合物(a)の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、エチレンオキシド135gを逐次添加した。このときの重合温度は20℃とし、10時間反応を行った。重合反応はメタノールを1mL加え反応を停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー220gを得た。得られたポリマーのモル比率はエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル=80/20モル%であり、重量平均分子量180万)
保護膜が形成された負極の作製 実施例1
(1)ポリマーとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%三元共重合体(重量平均分子量150万)100質量部、リチウム塩化合物としてLiN(CF3SO22(略号:LiTFSI)116質量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)200質量部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート(略号:TMPTMA)40質量部、ラジカル開始剤としてベンゾフェノン3質量部を、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム) 700質量部に完全に溶解させた負極コーティング液1を調製した。
(2)アルゴングローブボックス内で、銅/金属リチウムの積層箔上の金属リチウム上に上記(1)の負極コーティング液1を滴下塗工した。その後、10分間室温で乾燥したのち、真空下50℃で1時間溶媒を除去した。次いで、アルゴングローブボックス内でUV照射1J/cm2による架橋を行い、厚み15μmの負極保護膜1が積層した負極1を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 実施例2
実施例1と同様にして、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工する負極コーティング液1の量を変えて、厚み0.5μmの負極保護膜2が積層した負極2を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 実施例3
実施例1と同様にして、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工する負極コーティング液1量を変えて、厚み19μmの負極保護膜3が積層した負極3を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 実施例4
実施例1と同様にして、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工する負極コーティング液1の量を変えて、厚み0.2μmの負極保護膜4が積層した負極4を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 実施例5
負極コーティング液1における可塑剤としてトリグライムからテトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)に、塗工溶媒をモノグライムからジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)に変えた以外は同様に負極コーティング液2を作製し、実施例1と同様に、銅/金属リチウムの積層箔上に滴下塗工することにより、厚み15μmの負極保護膜5が積層した負極5を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 実施例6
実施例1と同様にして、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工する負極コーティング液1の量を変えて、厚み12μmの負極保護膜6が積層した負極6を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 比較例1
実施例1と同様にして、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工する負極コーティング液1の量を変えて、厚み50μmの負極保護膜7が積層した負極7を作製した。
保護膜が形成された負極の作製 比較例2
負極コーティング液1における溶媒をモノグライムからアセトニトリルに変えた以外は同様に負極コーティング液3を作製し、実施例1と同様に、銅/金属リチウムの積層箔の金属リチウム上に滴下塗工することにより、厚み15μmの負極保護膜8が積層した負極8を作製した。しかし、負極のリチウムが変色し、負極から負極保護膜が剥離することになり、剥離強度と電池特性の測定ができなかった。
負極保護膜の剥離強度試験
負極保護膜と金属リチウム負極との接着性は、JIS Z 0237:2009で規定する180°剥離強度に従い、測定を実施した。結果を表1に示す。
正極の作製例
(1)正極活物質としてNCM(LiNi0.5Co0.2Mn0.32)100質量部に、導電助剤としてアセチレンブラック3質量部、黒鉛3質量部、バインダーとしてポリビニリデンフロライド(PVdF)3質量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が35質量%となるようにNMP溶液中に加えて、十分に混合して正極用スラリーを得た。得られた正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム集電体上にダイコーターを用いて塗工し、100℃で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ18μmの正極の前駆体を作製した(目付量 6.0mg/cm2、正極密度 3.0g/cm3、空隙率 26%)。
(2)ポリマーとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル=80/20モル%二元共重合体(重量平均分子量180万)100質量部、リチウム塩化合物としてLiBF412質量部、可塑剤としてトリグライム200質量部、架橋助剤としてTMPTMA10質量部をアセトニトリル700質量部に完全に溶解させた正極含浸用塗工溶液を調製した。
(3)アルゴングローブボックス内で、(1)の正極の前駆体の上に上記(2)の塗工溶液を滴下塗工した。その後、2時間静置することにより、溶媒を除去しながら、正極内の空隙にポリマー電解質を含浸した無機固体電解質二次電池用正極を作製した。
硫化物系電解質二次電池の実施製造例1~5、比較製造例1
アルゴングローブボックス内において、保護膜が形成された負極の作製例 実施例1~5および比較例1で得た負極、正極の作製例で得た正極、無機固体電解質として、メカニカルミリング法によりLiS/P=70/30モル%組成において得られた硫化物系電解質(膜厚300μm)を用いて、正極、無機固体電解質、負極の順に積層後、カシめ、試験用2032型コイン電池を製造した。
酸化物系電解質二次電池の実施製造例2
アルゴングローブボックス内において、保護膜が形成された負極の作製例 実施例6で得た負極、正極の作製例で得た正極、無機固体電解質としてLi7La3Zr212(膜厚500μm)を用いて、正極、無機固体電解質、負極の順に積層後、カシめ、試験用2032型コイン電池を製造した。
[作製した電池の評価]
作製した電池の評価としては充放電装置を用いて充放電試験を行い、充電放電3サイクル目の放電容量を求めた。充放電試験条件は、0.1C(10時間率)に相当する電流で4.2VまでCCCV充電(0.01Cカット)後、0.1Cに相当する電流で、2.5VまでCCCV放電(0.01Cカット)を行った。試験温度は60℃環境とした。結果を表1に示す。
前記の負極保護膜は、薄膜、且つ負極との十分な剥離強度を有する。実施例および比較例の結果から、負極と無機固体電解質との間に当該保護膜が配置されている無機固体電解質二次電池は、電池特性(充放電サイクル容量維持)が優れていることがわかる。
Figure 2022155549000012
本発明の無機固体電解質二次電池は、優れた充放電特性を発揮することができ、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池といった大型の電池用途に好適に利用可能である。

Claims (5)

  1. 正極、無機固体電解質、膜厚0.2~19μmのリチウム塩化合物を含有する負極保護膜、リチウム系化合物、グラファイト、シリコン系化合物のいずれかを負極活物質として含有する負極を備える蓄電デバイス。
  2. 負極保護膜と負極において、JIS Z 0237:2009で規定する180°剥離強度が0.1~10.0 N/cmである請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. リチウム系化合物を負極活物質として含有する負極である請求項1又は2に記載の蓄電デバイス。
  4. 無機固体電解質が酸化物系無機固体電解質、又は硫化物系無機固体電解質である請求項1~3いずれかに記載の蓄電デバイス。
  5. (A)ポリマー、(B)リチウム塩化合物、(C)エチレングリコールジメチルエーテル、及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを含有する負極保護膜用コーティング液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115986230B (zh) * 2022-12-07 2024-05-14 山东派智新能源科技有限公司 缓释自修复锂负极保护膜及其制备方法和应用

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