JPH10226761A - つや消し電着塗料組成物およびこれを用いる電着塗装方法 - Google Patents
つや消し電着塗料組成物およびこれを用いる電着塗装方法Info
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- JPH10226761A JPH10226761A JP3184497A JP3184497A JPH10226761A JP H10226761 A JPH10226761 A JP H10226761A JP 3184497 A JP3184497 A JP 3184497A JP 3184497 A JP3184497 A JP 3184497A JP H10226761 A JPH10226761 A JP H10226761A
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Abstract
塗膜を得ることのできる、塗料組成物を提供する。 【解決手段】 (a)下式: A−Si(OCR1R2R3)nH3-n (Aは重合性二重結合を有する有機残基;R1、R2お
よびR3は水素原子または低級アルキル基を示すが、2
つ以上が同時に水素原子となることはない;nは1〜3
の整数)で示されるモノマーを含む、アルコキシシラン
含有疎水性アクリル樹脂、および(b)側鎖にカルボキ
シル基を有する親水性アクリル樹脂、を含有する、アニ
オン性つや消し電着塗料組成物。
Description
アルミサッシ等の金属製品のつや消し塗装に用いられ
る、つや消し電着塗料組成物およびつや消し電着塗装方
法に関する。
クステリア用アルミ建材は一般に、表面に10μm前後
の陽極酸化皮膜を形成させた後に、10μm前後のクリ
アーな電着塗装が施されたものが用いられている。近
年、陽極酸化皮膜へ黒またはブロンズ色の電解着色と共
につや消し電着塗膜を用いることが主流となっている。
装方法としては従来から様々に研究されている。これに
は、例えば電着塗料浴中に無機顔料を添加し、電着塗装
時に塗料の有機樹脂成分と共に析出せしめる方法、電着
塗装された被覆物を焼き付け硬化前にエッチングする方
法、あるいは相互に溶解しないもの、相互に架橋または
重合しないもの、又は相互に硬化速度が異なるものを混
合した電着浴を用いる方法等が用いられている。しかし
ながら従来の方法では、例えば塗料中の粒子の沈降、分
離、および塗料が不均一になることに起因するつやむら
の発生という問題がある。また、経時的に塗料がゲル化
し、あるいは粘性が上昇する。被覆物をエッチングする
方法ではツヤむらが生じる他、部分的に過度にエッチン
グされるため塗膜特性の低下、すなわち塗膜の剥離や耐
候性の低下が起こるという問題もある。さらに、硬化性
の異なる混合物を用いる場合には塗膜の内部に硬化歪み
が生じるという問題もある。
昭62−24519号では、加水分解を受けやすいアル
コキシシラン基を側鎖に有するアクリル樹脂とアミノ樹
脂からなるアニオン性電着塗料を用いるつや消し電着塗
装方法を開示する。これはアクリル樹脂中のアルコキシ
シラン基が、電着浴の調製時に加水分解されてシラノー
ルとなり、このシラノールが縮合してシロキサン結合を
生成し、粒子内ゲル構造を有する微細なディスパーショ
ン粒子を形成することによって、つや消し塗膜を得るも
のである。しかしながらこの塗料では塗装前にアルコキ
サイドの加水分解のためのエージング期間が必要である
一方でエージング期間中にアルコキサイド全てを反応さ
せることが困難である。従って、残存する未反応のアル
コキシシランが保存中に少しずつ加水分解し、粒子が沈
降することにより塗膜が不均一となる、時間の経過と共
に塗料中のゲル化が進行し、あるいは塗料全体の粘性が
増加するという問題があった。さらにこの塗料中におけ
るアルコキシシランの量が多くなりすぎると、ディスパ
ーション粒子の粒子径が大きくなり、塗料中で粒子の沈
降や凝集が生じて均一な電着塗膜が得られなくなること
から、アルコキシシランの添加量は10%程度に制限さ
れる。この少ない量のアルコキシシラン基はアクリル樹
脂と共重合しているため、塗膜上でのSi−O−Si結
合の生成は少なく、シロキサン結合による塗膜性能の向
上はほとんど期待できない。
を解決し、調製後すぐに使用でき、保存中に反応が進む
事なく安定しており、均一で塗膜性能の高いつや消し塗
膜を得ることができる、アニオン性つや消し電着塗料組
成物および該塗料組成物を用いた塗装方法を提供するこ
とを目的とする。
(a)式I: A−Si(OCR1R2R3)nH3-n
残基を示す;R1、R2およびR3は同一であっても異な
っていてもよい水素原子または低級アルキル基を示す
が、2つ以上が同時に水素原子となることはない;nは
1〜3の整数を示す)で示されるモノマーを単独重合、
または該モノマーと他の親水性の側鎖を有していない重
合性モノマーと共重合して得られる、側鎖にアルコキシ
シラン基を有する疎水性アクリル樹脂、および(b)側
鎖にカルボキシル基を有する親水性アクリル樹脂を含有
する、つや消し電着塗料組成物を提供する。
ラノールとなるが、本発明の疎水性アクリル樹脂(a)
側鎖のアルコキシシラン基は、アルコキシ基の立体障害
が大きいため、水と共存させた場合であっても常温では
加水分解がほとんど進まない。さらに本発明の塗料組成
物は疎水性アクリル樹脂(a)と親水性アクリル樹脂
(b)とを混合して、水中に分散させることによって得
られる、コア/シェル構造のエマルションであることか
ら、アルコキシシラン基はエマルションのコア部分に封
じ込められ、水との接触が避けられる。従って、本願の
電着塗料組成物は貯蔵中に加水分解が生じてゲル化が進
むことなく、良好な保存安定性を示す。
ン電着塗装時において、被塗装物側は陽極となるため水
の電気分解によりH+過剰となって酸性雰囲気が生成さ
れる。さらに電着塗装時には、アルマイト皮膜などの有
する電気抵抗、あるいは析出した電着塗膜自身の電気抵
抗に起因して発熱が起こる。これらの酸性、発熱などに
より常温の水中では内側に保護されていたアルコキシシ
ラン基が電着塗膜として析出すると同時に加水分解され
てシラノール基となり、次いでこのシラノール基が縮合
して塗膜上でシロキサン結合を生成する。こうして塗膜
の流動性が抑えられると同時に電着塗膜上でのゲルの生
成が起こり、均一なつや消し塗膜が得られる。
(a)のアルコキシシラン基は、立体障害が大きいこと
から加水分解が進みにくく、電着塗装時に塗料中のすべ
てのアルコキシシラン基が加水分解されることはない。
電着時に未反応で残ったアルコキシシラン基は、その後
の焼付工程において加熱することにより縮合反応してシ
ロキサン結合を生成する。こうして、本発明の塗料組成
物は従来のごとき保存中に塗料がゲル化したり塗膜が必
要以上に粗くなるという問題無く、塗膜内へのアルコキ
シシラン基の導入量を増やすことができ、得られる塗膜
はシロキサン結合により架橋されているため非常に優れ
た強度を示す。
いて塗装する電着塗装方法も提供する。即ち本発明は、
本発明の塗料組成物を用いた水性電着塗料浴中へ導電性
被塗物と電極を浸漬し、被塗物を陽極として両者の間に
50〜300ボルトの電圧を、1〜10分印加し、次い
で加熱する工程を含む、電着塗装方法に関する。
は同一であっても異なっていてもよく、好ましくはメチ
ルまたはエチル基であり、特にメチル基であるものが好
ましい。具体的にはモノ、ジ、トリイソプロポキシシラ
ンおよびモノ、ジ、トリt−ブトキシシランが例示され
る。nが2または3のものがより好ましい。nが2また
は3の場合、各アルコキシ基は同一であっても相違して
いてもよい。R1〜R3としては、より高級なアルキル基
を用いてもよいが、式Iで示されるアルコキシシラン含
有重合性単量体の合成が困難となり、コストも高くな
る。
二重結合を有する有機残基とは、重合可能であって、親
水性の側鎖を有していなければどのような残基であって
もよく、ビニル基、アリル基、メタクリレート基、メチ
ルメタクリレート基、ビニル−3−プロピルエーテル
基、メタクリレート−3−プロピル基、メチルメタクリ
レート−3−プロピル基などが例示される。
単独重合させて得てもよく、当該化合物と親水性の側鎖
を有さない重合性モノマーとを共重合させてもよい。共
重合させる親水性の側鎖を有さない重合性モノマーとし
ては、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラ
ン、γ−メタクリロキシトリメチルシラン、γ−メタク
リロキシトリエチルシランなどの、本発明とは異なるシ
ラン含有不飽和化合物、ビニルフォルメート、ビニルア
セテート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、グリ
シジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート等の共重合性の良
いモノマーなどが例示される。
水性の樹脂へ式Iで示されるモノマーをグラフト重合さ
せたものであってもよい。
有アクリル樹脂には、式Iで示されるアルコキシシラン
モノマー成分を20重量〜100重量%、好ましくは2
5〜100、より好ましくは30〜100重量%含有す
る。この含有量が20重量%未満であると、良好なつや
消し塗膜を得ることができず、本願の効果が達成できな
い。
リル樹脂は分子量が、500〜50000、好ましくは
1000〜40000、より好ましくは4000〜30
000である。分子量が500未満であると、つやが消
えにくくなり、分子量が50000を越えると、良好な
構造のエマルションをつくりにくくなるため、いずれも
好ましくない。
リル樹脂は、塊状重合法、溶液重合法等の公知の方法の
いずれによって製造してもよい。特に溶液重合法で、芳
香族炭化水素系、セロソルブ系、セロソルブアセテート
系等の溶媒中に、アゾ系化合物、パーオキサイド化合物
等の開始剤を用い、50〜180℃で4〜20時間反応
させる方法によるのが好ましい。
いる親水性アクリル樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有
する。アクリル樹脂にカルボキシル基を導入するための
重合性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モ
ノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、ク
ロトン酸、シトラコン酸等のビニル重合可能なα,β−
不飽和脂肪酸およびこれらの混合物からなる群から選択
すればよい。
30〜200、好ましくは40〜100となるよう、導
入する。酸価が30未満では樹脂の親水性が劣り、均一
なコア/シェル型のエマルションを調製することができ
ない。一方、酸価が200を越えると塗膜の耐水性が不
良となり好ましくない。
もよい。水酸基によりさらに親水性が増し、良好な構造
のエマルションが得られる。また、後述するように架橋
剤としてアミノ樹脂等を共存させる場合には、架橋点と
しての水酸基が必須となる。水酸基を導入するためには
水酸基を有する重合性モノマー、例えばβヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、βヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、商標プラクセルFM1〜5
(ダイセル化学)およびこれらの混合物からなる群から
選択されるモノマーを共重合させればよい。
水酸基価30〜200、より好ましくは40〜150と
なるように導入する。水酸基価が30未満ではメラミン
樹脂を用いる場合には架橋による硬化反応が十分に起こ
らず、硬度が低下する。一方、200を越えると未反応
の水酸基が塗膜に残存し、耐水性、耐候性が不良とな
る。
ー成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、イソブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチ
ル(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アク
リレート等がいずれも好適に用いられる。また、本発明
のアクリル樹脂にはスチレン、α−メチルスチレン、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、(メタ)アクリロニトリル、弗化ビニル、弗化
ビニリデン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート
等を共重合してもよい。
−メチロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキ
シメチルアクリルアミドを共重合させてもよい。これら
のアミド成分は、樹脂の全モノマー重量に対して10重
量%以下、好ましくは5重量%以下を添加する。このア
ミド成分を共重合させることによって、アクリル樹脂同
士で架橋反応が起こるため架橋密度がさらに高くなり、
耐水性、耐化学性などが改善されるが、10重量%を越
えて共重合させてもさらなる効果の改善が認められない
一方でコスト高となり、好ましくない。
合、エマルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法のいず
れによって製造してもよい。各モノマーと開始剤を添加
して重合する溶液重合法によるのが好ましい。
に用いる開始剤としては、通常の合成に用いられるもの
がいずれも好適に用いられ、例えばアゾ系化合物、ジス
ルフィド系化合物、スルフィド系化合物、スルフィン系
化合物、ジアゾ系化合物、ニトロソ化合物、パーオキサ
イド系化合物等が例示される。
量平均分子量が5000〜100000、より好ましく
は10000〜50000であり、分子量分布が1〜
6、より好ましくは1〜3である。アクリル樹脂の分子
量が5000以下ではつやが消えにくくなり、1000
00を越えると電着塗膜のフロー性が悪くなるため、均
一なつや消し外観を得ることができなくなる。
含有疎水性アクリル樹脂(a):親水性アクリル樹脂
(b)の配合比は固形分重量比で8:2〜1:9、より
好ましくは6:4〜2:8とする。この配合比が8:2
を越えると、良好な構造のエマルションをつくりにくく
なる。一方、1:9未満であるとつやが消えにくくなる
ため好ましくない。
染料、顔料または他の着色剤、硬化触媒等の種々添加剤
等を添加してもよい。
クリル樹脂(b)を架橋する架橋剤を添加して得られる
塗膜をより強固なものとしてもよい。架橋剤としてはア
ミノ樹脂、具体的には従来から公知の、メラミン、尿
素、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物とホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物との縮合
体にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどの低級アルコールを変性させて得た縮合体であ
る。本発明において、アミノ樹脂は分子量が5000〜
20000のものが好ましい。水に溶解した際に溶けや
すいものは、電着時の移行性が悪いため、好ましくな
い。従って、メタノール、エタノールのみで変性したも
のは水に溶けやすいため好ましくなく、通常メチル/ブ
チル混合エーテル変性タイプのメラミン樹脂が好適に用
いられる。これらの例としては、商標サイメル235、
238、285、232(三井サイテック株式会社製)
の名前で販売されているメラミン樹脂が挙げられる。な
お、アミノ樹脂を添加する場合には、上記のごとく親水
性アクリル樹脂(b)が水酸基を有していることが必須
である。
用途に対してはアミノ樹脂を併用して塗膜性能をさらに
向上させるのが好ましい。その添加する範囲は全固形分
量に対して10〜40重量%、より好ましくは10〜3
0重量%添加する。アミノ樹脂の添加量が40重量%を
越えると良好な構造のエマルションをつくりにくくな
り、一方10重量%未満であると塗膜性能の向上を充分
にはかることができないため好ましくない。特に好まし
い本発明の塗料組成物としては、全樹脂成分中、疎水性
アクリル樹脂(a)を9〜72重量%、親水性アクリル
樹脂(b)を81〜18重量%、およびメラミン樹脂を
10〜40重量%含有するものが例示される。
含有疎水性アクリル樹脂(a)と親水性アクリル樹脂
(b)の混合物を水中に分散させて得られるコア/シェ
ル型のエマルションである。親水性アクリル樹脂(b)
は予めアルカリ性物質、例えばモノエチルアミン、ジエ
チルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノー
ルアミン類、ピリジン、ピペリジンなどの環状アミン類
およびアンモニア等を用いて中和すればよい。中和は、
カルボキシル基に対して0.5〜1.0当量の上記アル
カリ性化合物を用いればよい。
疎水性アクリル樹脂と親水性アクリル樹脂および必要に
応じて架橋剤を含む非水混合物と水とを未乳化状態で接
触させることなく直ちに分散することが必要である。従
って、まず無水条件下でアルコキシシラン含有疎水性ア
クリル樹脂(a)、親水性アクリル樹脂(b)、中和用
アルカリ性化合物および所望によりアミノ樹脂を混合
し、この混合物を撹拌しながら水を加えて直ちに乳化分
散させる方法、あるいは中和用アルカリ性化合物の水溶
液を撹拌しながら、未中和の上記樹脂混合物を投入する
方法、あるいは該樹脂混合物の中和物の非水溶液と水と
を同時に少量ずつパイプラインミキサーで連続的に乳化
する方法などが例示される。塗料中のエマルション粒子
の大きさは特に限定的ではないが、20〜200mμ、
特に50〜150mμとなるよう調節するのが好まし
い。
性溶剤、界面活性剤などを必要に応じて添加し、水で希
釈して固形分を5〜30重量%、好ましくは5〜20重
量%、より好ましくは7〜13重量%とした電着塗料浴
を調製して電着塗装に供される。水性電着塗料浴の固形
分濃度が30重量%を越えると粘度電導度等が高くなり
すぎ、塗装電圧低下(つきまわり性不良)や、水溶性等の
作業性が悪化し、5重量%未満であると、電導度が低く
なりすぎ、塗装電圧増大等の作業性や塗料の安定性が悪
化するため好ましくない。
のアニオン性つや消し電着塗装に用いることができる。
特にアルミニウム、アルミニウム合金のつや消し電着塗
装に有用である。アルミニウムあるいはその合金は、本
発明の塗料により塗装する前に、アルマイト処理および
封孔処理を施すのが好ましい。
導電性被塗物および電極を浸漬し、被塗物を陽極として
電気回路を形成させ、50〜300V、好ましくは80
〜250Vの直流電圧を1〜10分間、より好ましくは
1〜8分間印加する。本発明の塗料組成物は、電着塗装
時に疎水性樹脂の側鎖が加水分解されると共に塗膜上で
ゲル化が生じて塗膜のつやを消す。印加電圧が50V未
満の場合には、アルコキシシランの十分な加水分解が進
まず、平滑な塗膜となる。一方、電圧が300Vを越え
ると塗膜表面が粗くなり、外観が悪化するため好ましく
ない。
物は必要に応じて水洗し、次いで120〜250℃、好
ましくは150〜200℃にて焼き付け乾燥して電着塗
装膜を完成させる。この焼付工程によって、未反応アル
コキシシラン基の縮合反応によりシロキサン結合が生成
し、得られる塗膜は均一なつや消し外観を有する強固な
ものとなる。
に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断
りのない限りすべて重量部である。 (1)アルコキシシラン含有疎水性アクリル樹脂の合成
例1 キシレン27部を70℃に熱したところへ、ビニルトリ
イソプロポキシシラン80部とt−ブチルパーオキシピ
バレート16部を混合したもの、およびビニルアセテー
ト80部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに
キシレン13部とt−ブチルパーオキシピバレート2.
3部を30分かけて滴下し、反応を4時間続けた。得ら
れたアルコキシシラン含有疎水性アクリル樹脂ワニスは
不揮発分73%、酸価0、水酸基価0、重量平均分子量
16000であった。
ル樹脂の合成例2 キシレン19部を70℃に熱したところへ、ビニルトリ
イソプロポキシシラン80部とt−ブチルパーオキシピ
バレート11部を混合したもの、およびビニルアセテー
ト30部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに
キシレン9部とt−ブチルパーオキシピバレート1.6
部を30分かけて滴下し、反応を4時間続けた。得られ
たアルコキシシラン含有疎水性アクリル樹脂ワニスは不
揮発分73%、酸価0、水酸基価0、重量平均分子量1
4000であった。
樹脂の合成例3 キシレン20部を90℃に熱したところへ、3−メタク
リロキシプロピルトリt−ブトキシシラン80部とt−
ブチルパーオキシ2−エチルキサノエート10部を混合
したもの、およびメチルメタクリレート21部を3時間
かけて滴下した。滴下終了後、さらにキシレン9部とt
−ブチルパーオキシ2−エチルキサノエート1部を30
分かけて滴下し、反応を3時間続けた。得られたアルコ
キシシラン含有疎水性アクリル樹脂ワニスは不揮発分7
1%、酸価0、水酸基価0、重量平均分子量18000
であった。
の合成例 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3
5部を70℃に熱したところへ、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン95部とt−ブチルパーオキシ
ピバレート22.8とを混合したもの、およびビニルア
セテート95部と無水マレイン酸9.5部とを混合した
ものを3時間かけて滴下し、さらに2時間反応させた。
得られたアルコキシシラン含有アクリル樹脂は不揮発分
77%、酸価50、水酸基価0、重量平均分子量120
00であった。
タクリル酸メチル25部、スチレン21部、アクリル酸
n−ブチル22部、メタクリル酸ヒドロキシエチル20
部、アクリル酸7部およびアゾビスイソブチロニトリル
1部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、n−ブタノ
ール10部およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部
を30分かけて滴下し、反応をさらに4時間続けた。得
られた親水性アクリル樹脂ワニスは、不揮発分50%、
酸価54、水酸基価86、重量平均分子量35000で
あった。
の合成例 イソプロピルアルコール67部を80℃に熱したところ
へ、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2
部、メタクリル酸メチル25部、スチレン21部、アク
リル酸n−ブチル22部、メタクリル酸ヒドロキシエチ
ル20部、アクリル酸7部およびアゾビスイソブチロニ
トリル1部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、n−
ブタノール10部およびアゾビスイソブチロニトリル
0.5部を30分かけて滴下し、反応をさらに4時間続
けた。得られたアルコキシシラン含有アクリル樹脂ワニ
スは、不揮発分50%、酸価54、水酸基価86、重量
平均分子量40000であった。
リル樹脂ワニス69部と(5)で合成した親水性アクリ
ル樹脂ワニス95部、およびトリエチルアミン3.7部
(カルボキシル基に対し0.8当量)を30分撹拌混合
した後、撹拌を続けながら純水811部を徐々に加えて
固形分10%の電着塗料組成物を得た。
リル樹脂ワニス50部と(5)で合成した親水性アクリ
ル樹脂ワニス136部、およびトリエチルアミン5.3
部(カルボキシル基に対し0.8当量)を30分撹拌混
合した後、撹拌を続けながら純水854部を徐々に加え
て固形分10%の電着塗料組成物を得た。
リル樹脂ワニス61部とサイメル235(三井サイテッ
ク製造メラミン樹脂)19部を20分撹拌混合した後、
(5)で合成した親水性アクリル樹脂ワニス84部およ
びトリエチルアミン3.3部(カルボキシル基に対し
0.8当量)を30分撹拌混合した後、撹拌を続けなが
ら純水888部を徐々に加えて固形分10%の電着塗料
組成物を得た。
リル樹脂ワニス51部と(5)で合成した親水性アクリ
ル樹脂ワニス118部、およびトリエチルアミン4.6
部(カルボキシル基に対し0.8当量)を混合した後、
撹拌を続けながら純水779部を徐々に加えて、固形分
10%の電着塗料組成物を得た。
脂ワニス120部とサイメル235(三井サイテック製
メラミン樹脂)40部およびトリエチルアミン3.5部
(カルボキシル基に対し0.6当量)を混合した後、純
水837部を撹拌しながら加え、固形分10%の電着塗
料組成物を得た。
脂ワニス124部に、トリエチルアミン5.4部(カル
ボキシル基に対し0.6当量)を加え、これを混合した
後、純水871部を撹拌しながら徐々に加え、固形分1
0%の電着塗料組成物を得た。
成物につき、塗装電圧と塗膜の関係。 評価方法 1)塗装電圧と塗膜の光沢 実施例1〜4および比較例1の塗料組成物を用いてアル
マイト処理したアルミ板を陽極とし、ステンレス板を陰
極として電着塗装を行った。塗装時の塗料組成物の温度
を20℃〜22℃、印加電圧を0〜250ボルトとして
1〜6分間電圧をかけた。その後、180℃にて30分
間焼付けを行い、電着塗膜を得た。得られた塗膜の膜厚
は10μであった。得られた塗膜の60°光沢をJIS
Z 8741により調べた。結果を表1に示す。な
お、電圧0ボルト時の60°光沢はアルマイト処理した
アルミ板自身の光沢値である。
電圧では電極状の反応性が低く、加水分解が生じにくい
ため、高い光沢となるが、一定電圧以上では電着塗膜上
で加水分解が生じて良好な低い光沢が得られている。一
方、比較例においては、塗料保存中に加水分解してお
り、電圧に関係なく低い光沢の塗膜が得られている。
料組成物を電着塗装後、焼付する前にカッター、メス等
によって剥がしたものにつき、アセトン溶解性を調べ
た。得られた塗料および塗膜を固形分濃度が10%とな
るようアセトンと混合し、アセトンに対する溶解性を目
視判定した。結果を表2に示す。表2中、実施例1〜4
についての高光沢塗膜とは100ボルトの塗装電圧を5
分間印加して得られた塗膜であり、低光沢塗膜とは16
0ボルトの塗装電圧を3分間印加して得られた塗膜であ
る。比較例1については、160ボルトの塗装電圧を3
分間印加して得られた塗膜を用いた。いずれも、膜厚1
0μの塗膜を得た。
ルコキシシラン基が加水分解されていないため、アセト
ンに対する良好な溶解性を示すが、低光沢塗膜において
は塗膜とアセトンの混合液が2層に分離した。下層部が
加水分解によりゲル化した部分であり、シラン樹脂成分
がアセトンに対して不溶となっているが、上層部はゲル
化に関係していない親水性アクリル樹脂部分およびアル
コキシシランが未反応の部分であり、ゲル化が進まずア
セトンによく溶解するものと考えられる。
件下で放置し、製造直後、3日後および1カ月後に沈降
物が生成するか否かを目視判定した。結果を表3に示
す。
上記2)と同様にしてアセトン溶解性を調べたところ、
アセトンには不溶であった。
電圧を160ボルトとする以外は1)と同様にして膜厚
10μの塗膜を得た。得られた塗膜の塗膜外観、鉛筆硬
度、耐酸性、熱冷サイクル試験について評価した。
結果である。 c)耐酸性 5%H2SO4中に720時間浸漬した後、JIS H
8681に基づきレイティングナンバーを測定した。 d)熱冷サイクル 沸騰水中に8時間、−20℃にて16時間の熱冷サイク
ルを5サイクル繰り返し、熱冷サイクル前後の塗膜光沢
(60°)の変化を測定し、保持率で表した。結果を表
4に示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 (a)下式: A−Si(OCR1R2R3)nH3-n (式中、Aは重合性二重結合を有する有機残基を示す;
R1、R2およびR3は同一であっても異なっていてもよ
い水素原子または低級アルキル基を示すが、2つ以上が
同時に水素原子となることはない;nは1〜3の整数を
示す)で示されるモノマーを単独重合、または親水性の
側鎖を有していない他の重合性モノマーと共重合して得
られる側鎖にアルコキシシラン基を有する疎水性アクリ
ル樹脂、および(b)側鎖にカルボキシル基を有する親
水性アクリル樹脂を含有する、アニオン性つや消し電着
塗料組成物。 - 【請求項2】 R1〜R3がそれぞれ水素原子またはメチ
ル基である(但し2つ以上が同時に水素原子となること
はない)請求項1記載のアニオン性つや消し電着塗料組
成物。 - 【請求項3】 疎水性アクリル樹脂(a):親水性アク
リル樹脂(b)の固形分重量比が8:2〜1:9となる
よう配合されている、請求項1記載のアニオン性つや消
し電着塗料組成物。 - 【請求項4】 親水性アクリル樹脂(b)が側鎖に水酸
基を有しており、さらに架橋剤を含有する、請求項1記
載のアニオン性つや消し電着塗料組成物。 - 【請求項5】 架橋剤がメラミン樹脂である、請求項4
記載のアニオン性つや消し電着塗料組成物。 - 【請求項6】 全樹脂成分中、疎水性アクリル樹脂
(a)を9〜72重量%、親水性アクリル樹脂(b)を
81〜18重量%およびメラミン樹脂を10〜40重量
%含有する、請求項4記載のアニオン性つや消し電着塗
料組成物。 - 【請求項7】 請求項1記載のアニオン性つや消し電着
塗料組成物中の水性塗料浴中に導電性被塗物と電極を浸
漬し、該被塗物を陽極側にして50〜300ボルトの電
圧を1〜10分間印加し、次いで加熱することにより電
着塗装皮膜を形成させる工程を含む、電着塗装方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1997
- 1997-02-17 JP JP03184497A patent/JP4091138B2/ja not_active Expired - Fee Related
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