JP2002069694A - 表面処理アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents

表面処理アルミニウム材及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度
が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性
をも有する塗膜層を有し、これによってアルミニウム材
本来の耐食性、耐候性及び加工性に加えて、塗膜硬度、
塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた塗膜性能を発揮
する表面処理アルミニウム材及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により形成
された陽極酸化皮膜層と最外層を形成する塗膜層とを有
する表面処理アルミニウム材であり、陽極酸化皮膜層は
表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有
しており、また、塗膜層はその鉛筆硬度が6H以上であ
る、表面処理アルミニウム材であり、また、このような
表面処理アルミニウム材の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、
陽極酸化皮膜層、及び最外層として塗膜層を有する表面
処理アルミニウム材及びその製造方法に係り、特に最外
層として形成された塗膜層が鉛筆硬度6H以上の優れた
塗膜硬度を有すると共に、優れた塗膜密着性及び耐衝撃
性をも有する表面処理アルミニウム材及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材は、優れた加工性を有す
ることから、押出形材や板材等として鉄道車両内装、建
物の窓や玄関建具等の建物の内外装、ビル外壁や内装等
の各種建築部材、道路資材、各種キャビネット、冷凍車
コンテナ内外装、冷凍ショーケース、各種日用品等極め
て多岐に亘って利用されている。
【0003】このようなアルミニウム材の押出形材や板
材は、一般に、その表面に陽極酸化処理を施して陽極酸
化皮膜層を形成したり、更にその上にアクリル電着塗装
を施して複合皮膜層を形成したり、また、表面に化成処
理を施して化成皮膜層を形成し、その後に通常の塗装を
施して塗膜層を形成した表面処理アルミニウム材として
使用されている。
【0004】ところで、これら表面に陽極酸化皮膜層や
塗膜層が形成されたアルミニウム材は、長期に亘って美
観と優れた耐食性を発揮するが、アルミニウム材が他の
金属に比べて柔らかく、このアルミニウム材を表面処理
して形成された陽極酸化皮膜層や塗膜層、特に最外層を
形成する塗膜層は、その塗膜硬度や耐衝撃性等の物性に
おいて不足する場合があり、そのため、摺動部や人の出
入りの激しい部位では、アルミニウム材表面の塗膜層が
傷付き易く、また、塗膜割れし易く、長期間に亘って美
観を維持し続けるのが困難であるという問題がある。
【0005】また、仮に塗膜硬度の高い塗膜層が形成さ
れたアルミニウム材が得られたとしても、一般に塗膜層
はその塗膜硬度が高くなるにつれて塗膜密着性や耐衝撃
性が低下する傾向にあり、高い塗膜硬度と優れた塗膜密
着性及び耐衝撃性の相反する性能を同時に満足する塗膜
層を得るのは困難であり、用途等に応じてそのいずれか
の性能をある程度犠牲にせざるを得ないという問題があ
る。
【0006】また、このように表面に陽極酸化皮膜層や
塗膜層が形成されたアルミニウム材は、優れた耐食性、
耐候性及び加工性を有するため、前述したように広範な
用途で使用されているが、最近では、最終ユーザの嗜好
の変化から、薄っぺらである、安っぽい、冷たい等の感
じがすることを指摘するものも出始めている。このた
め、公共施設や鉄道施設のように不特定多数の人々が使
用する環境で用いられる材料については、これまでのア
ルミニウム材に代わって樹脂部材が用いられ始めている
のが現状である。
【0007】しかしながら、上記樹脂部材で形成された
樹脂製品については、廃棄後のリサイクル方法が確立さ
れていないため、廃棄物処理に大きな費用がかかるばか
りでなく、地球環境を汚染するという問題もある。
【0008】
【発明が解決すべき課題】そこで、本発明者等は、アル
ミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム材
において、アルミニウム材本来の優れた耐食性、耐候性
及び加工性だけでなく、高い塗膜硬度を有し、しかも、
優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を有する表面処理アルミ
ニウム材について鋭意研究した結果、アルミニウム材の
表面に、表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた
膜厚を有する陽極酸化皮膜層を形成し、最外層として塗
膜層を設けることにより、この塗膜層の塗膜硬度、塗膜
密着性及び耐衝撃性がいずれも向上することを見出し、
本発明を完成した。
【0009】従って、本発明の目的は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、
最外層として、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優
れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を有し、
これによってアルミニウム材本来の耐食性、耐候性及び
加工性に加えて、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性に
おいて優れた塗膜性能を発揮する表面処理アルミニウム
材を提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、アルミニウム
材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れ
た塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成する
ことができ、これによって耐食性、耐候性、加工性、塗
膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を
発揮する表面処理アルミニウム材を製造することができ
る表面処理アルミニウム材の製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に、陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮
膜層と最外層を形成する塗膜層とを有する表面処理アル
ミニウム材であり、陽極酸化皮膜層は表面処理アルミニ
ウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有しており、また、
塗膜層はその鉛筆硬度が6H以上であることを特徴とす
る表面処理アルミニウム材である。
【0012】また、本発明は、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、陽極酸化
処理により、予め求められた表面処理アルミニウム材の
素地の硬度に応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を
形成し、最外層として塗膜層を設けることを特徴とす
る、塗膜層の鉛筆硬度が6H以上である表面処理アルミ
ニウム材の製造方法である。
【0013】本発明において、アルミニウム材として
は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材や、
圧延加工された厚肉又は薄肉の板材、又はこれらを適宜
折り曲げ加工した曲げ加工材等が使用される。また、上
記アルミニウム材の表面は、平坦面に限らず、湾曲面又
は球状面も含まれ、かつ適宜のコーナー線を介して連続
する複数の平坦面及び/又は湾曲(球状)面の組合せも
含まれる。更に、加工されたアルミニウム材について
は、その表となる面が片面である場合と両面である場合
とがあり、従って、アルミニウム材の表面については片
面の場合と両面の場合とが含まれる。
【0014】そして、本発明の表面処理アルミニウム材
の素地を構成するアルミニウム材についても、必ずしも
1種のアルミニウム材である必要はなく、表面処理アル
ミニウム材の用途等に応じて、例えばプレス成形した板
材と形材を組合わせて作られた窓枠の化粧カバー等のよ
うに、2種以上の複数のアルミニウム材を組合せて構成
されたものでもよい。
【0015】本発明の表面処理アルミニウム材は、アル
ミニウム材の表面全体に、陽極酸化処理で形成され、膜
厚が表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて制御
された皮膜層を有し、更に、最外層として上記皮膜層の
上に塗膜層を有するものである。
【0016】ここで、陽極酸化皮膜層の膜厚が表面処理
アルミニウム材の素地の硬度に応じて制御されていると
は、表面処理前の素材の硬さが陽極酸化処理後の乾燥処
理や塗装焼付の加熱処理による熱履歴によって変化する
場合があるが、完成品となった塗装後の正確な素材の硬
さを知る必要があるので、先ず本発明の表面処理アルミ
ニウム材の製作手順に従って適当な膜厚の陽極酸化皮膜
層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材の試作品
(又は試験片)を作製するか、あるいは、アルミニウム
材の表面に適当な膜厚の陽極酸化皮膜層を作り、塗料を
塗布することなく塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で
加熱処理して試作品(又は試験片)を作製し、次いでこ
の試作品(又は試験片)の素地の硬度を測定し、求めら
れた素地の硬度に応じて陽極酸化皮膜層の膜厚を設計
し、この設計された膜厚を達成する陽極酸化処理の処理
条件を設定し、設定された処理条件に従って陽極酸化処
理を行うことによりアルミニウム材の表面に陽極酸化皮
膜層が形成されているということである。
【0017】この目的で製作される試作品(又は試験
片)は、アルミニウム材の種類、陽極酸化皮膜層、及び
塗膜層並びに必要に応じて付与されるその他の表面処理
と製作手順及びその際の製作条件とにおいて、製作予定
の表面処理アルミニウム材と全く同じあるのが理想では
あるが、少なくとも適当な皮膜厚を有する陽極酸化皮膜
層を形成し、実際に表面処理アルミニウム材を製造する
ときの塗膜の焼付条件と同じ条件で加熱処理を行って素
材の硬さを測定すれば、必ずしも製作予定の表面処理ア
ルミニウム材の表面処理と製作手順及びその際の製作条
件とにおいて完全に一致している必要はない。
【0018】本発明において、陽極酸化皮膜層の膜厚を
設計するのに用いられる表面処理アルミニウム材の素地
の硬度については、素地(すなわち、最終的に塗膜焼付
け処理を施して最外層の塗膜層を形成せしめた表面処理
後のアルミニウム材)の硬さを正確に反映するものであ
れば、例えばビッカース硬さ(JIS Z2244-1998)、ブリ
ネル硬さ(JIS Z2243-1998)等どのような測定値でもよ
いが、再現性の観点から、好ましくはビッカース硬さで
ある。
【0019】陽極酸化皮膜層の膜厚を設計するのに用い
られる表面処理アルミニウム材の素地の硬度がビッカー
ス硬さの場合、陽極酸化皮膜層の膜厚は、素地のビッカ
ース硬さが40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
15μm以上25μm以下、好ましくは15μm以上2
0μm以下であり、表面処理アルミニウム材の素地のビ
ッカース硬さが40HV以上50HV未満のとき陽極酸
化皮膜層の膜厚が7μm以上17μm以下、好ましくは
7μm以上12μm以下であり、また、表面処理アルミ
ニウム材の素地のビッカース硬さが50HV以上のとき
陽極酸化皮膜層の膜厚が0.1μm以上10μm以下、
好ましくは2μm以上10μm以下である。この素地の
ビッカース硬さと陽極酸化皮膜層の膜厚との関係が上記
条件を外れると、塗膜硬度と塗膜密着性及び耐衝撃性と
において同時に優れた塗膜性能を有する塗膜層を形成す
ることが難しくなる。
【0020】また、表面処理アルミニウム材の素地が2
種以上のアルミニウム材で構成されている場合には、こ
の素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ4
0HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が15μm以上
25μm以下、好ましくは15μm以上20μm以下で
あり、この素地がビッカース硬さ40HV未満の素地構
成材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地
構成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
15μm以上20μm以下、好ましくは15μm以上18
μm以下であり、この素地を構成する全ての素地構成材
がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき陽極
酸化皮膜層の膜厚が7μm以上20μm以下、好ましく
は7μm以上15μm以下であり、この素地がビッカー
ス硬さ40HV以上50HV未満の素地構成材とビッカ
ース硬さ50HV以上の素地構成材とで構成されている
とき陽極酸化皮膜層の膜厚が7μm以上12μm以下、
好ましくは7μm以上10μm以下であり、この素地を
構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ50HV以
上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が0.1μm以上12μ
m以下、好ましくは2μm以上10μm以下である。素
地のビッカース硬さと陽極酸化皮膜層の膜厚との関係が
上記条件を外れると、1つの製品において素地の異なる
部分で、塗膜硬度が低くなったり、塗膜密着性が悪くな
ったり、耐衝撃性が低下した部分が発生し、全体が均一
な性能を発現しなくなり、単に塗膜硬度が高いというだ
けでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜
層を形成することが難しくなる。
【0021】また、最外層を構成する塗膜層について
は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の塗
料を用いて形成することができ、例えば、有機塗料とし
ては、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、ふっ素樹
脂塗料、ポリエステル、ビニールオルガノゾル等の塗料
を挙げることができ、また、無機系塗料としては、アル
キルシリケート系塗料、光触媒酸化チタン含有無機塗
料、シリカゾル系塗料、アルカリ金属塩素系塗料、金属
アルコキシド系塗料等の塗料を挙げることができ、更
に、有機及び無機の複合塗料としては、例えばアルコキ
シシラン、オルガノアルコキシシラン、シリコン樹脂等
を反応させたシロキサン結合を主体とするシリコンポリ
マー系塗料や、アルコキシシラン、アルコキシチタン等
をゾル−ゲル法で反応させた金属アルコキシド系塗料、
シリカ系セラミックス塗料等のセラミックス系塗料、光
触媒酸化チタン含有の有機・無機複合塗料等の塗料を挙
げることができる。また、これら塗膜層を形成する塗料
については、顔料を含む有色塗料又はクリア塗料が使用
される。
【0022】この塗膜層の膜厚については、通常5μm
以上80μm以下であり、好ましくは5μm以上60μ
m以下であるのがよい。塗膜層の膜厚が5μm未満であ
ると塗料のレベリング性が不良となって凹凸を解消でき
ず、最外層として形成された塗膜層に凹凸が生じ、好ま
しくない外観となる場合がある。また、塗膜層の厚さが
80μmを超えると、効果が飽和するばかりでなく、か
えって使用される塗料そのものの塗膜硬度が現出し、本
発明の目的の1つである高い塗膜硬度を発現せしめるこ
とが難しくなる。
【0023】本発明において、表面処理アルミニウム材
の塗膜層は、その鉛筆硬度が6H以上であることが必要
であり、好ましくは7H以上であるのがよい。この塗膜
層の鉛筆硬度が6Hより低いと、塗膜に傷がつき易くな
るという問題がある。
【0024】次に、本発明の表面処理アルミニウム材
は、次のようにして製造される。すなわち、先ず、アル
ミニウム材の表面に、陽極酸化処理を施して予め求めら
れた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚
を有する陽極酸化皮膜層を形成し、次いでこの陽極酸化
皮膜層の上に塗料を塗布して塗膜層を設けることにより
製造される。
【0025】この陽極酸化処理としては、酸性浴の建浴
に硫酸、シュウ酸、クロム酸、ほう酸等を用いる公知の
方法が適用可能であり、また、低温で高い電解電圧を付
与して皮膜の溶解を抑えた硬質アルマイト処理も適用す
ることができる。また、この陽極酸化処理の際には、例
えば、陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アル
ミニウム材のモデルを形成して予め求められた表面処理
アルミニウム材の素地の硬度に応じて最適な陽極酸化皮
膜層の膜厚を決定し、この陽極酸化皮膜層の膜厚を達成
し得るように陽極酸化処理の処理条件、具体的には電流
密度、電解時間等の処理条件を設定し、この設定された
処理条件に従って陽極酸化処理を行い、アルミニウム材
の表面に所定の膜厚の陽極酸化皮膜層を形成する。
【0026】本発明方法において、アルミニウム材の表
面に形成される陽極酸化皮膜層は、厚さ方向に沿って細
径の通電孔が多数内包された多孔性であるため、陽極酸
化皮膜層が形成された後に直ちに、公知の方法で封孔処
理を行なって通電孔を封孔してもよい。この封孔処理を
行うことにより、表面処理アルミニウム材の耐食性を更
に向上せしめることができる。
【0027】また、本発明における表面処理アルミニウ
ム材はその表面に着色が施されたものであってもよく、
この着色が施された表面処理アルミニウム材としては、
例えば、陽極酸化皮膜層が電解着色された表面処理アル
ミニウム材等が挙げられる。
【0028】上記電解着色処理としては、例えば金属塩
浴を用いて金属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層の
層中の細孔内に充填させる公知の方法でよく、Ni、S
n、Co、Cu等の金属塩中に浸漬したアルミニウム材
1に対し、交流、直流、矩形波電流、又はパルス電流を
供給して電解することにより、Ni、Sn、Co、Cu
等の金属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層の細孔中
に充填させる。
【0029】このように陽極酸化皮膜層が設けられたア
ルミニウム材は、その表面に、電着塗装、スプレー塗
装、静電塗装又は浸漬塗装等の塗装処理が施され、陽極
酸化皮膜層の上に塗膜層が形成される。上記電着塗装、
スプレー塗装、及び浸漬塗装等はそれぞれ公知の方法に
よって行うことができる。本発明方法により製造された
表面処理アルミニウム材の最外層を形成する塗膜層は、
少なくともその鉛筆硬度が6H以上の値を示し、同時
に、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を発揮する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づい
て、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0031】実施例1〜16及び比較例1〜13 表1に示すように、ビッカース硬さの異なる各種のアル
ミニウム材からなり、同じ形状及びサイズの板材又は形
材に形成された試験片を用意し、実施例1〜16及び比
較例1〜13とした。
【0032】次いで、これら実施例1〜16及び比較例
1〜13の試験片について、硫酸法により陽極酸化処理
を施し、各試験片の表面全面に陽極酸化皮膜層を設け
た。この陽極酸化処理は、硫酸160g/リットルで2
3℃の電解液を用い、電流密度1.5A/dm2の条件
で電解することにより行い、形成される陽極酸化皮膜層
の膜厚の制御は表1に示すように電解時間を制御するこ
とにより行った。
【0033】そして、82℃の純水で4分間洗浄した
後、乾燥させ、封孔処理は行わずに、直ちに所定の塗装
処理を行なった。即ち、実施例1〜9、13、15、1
6及び比較例1〜7、10〜13の各試験片について
は、表1に示す膜厚のシロキサン結合を有する有機・無
機複合系塗料を用いた塗装を施した。この塗装はスプレ
ー塗装により行い、190℃×20分の焼き付け処理を
行なった。また、実施例10〜12、14及び比較例
8、9の各試験片については、スプレー塗布により熱硬
化型アクリル系塗料を塗布し、次いで170℃×20分
の焼き付け処理を行なった。
【0034】なお、表1に示したビッカース硬さは、各
種のアルミニウム材からなる試験片について、陽極酸化
処理の際の電解時間を20分とし、また、塗料を用いた
塗装処理を行わずに焼き付け処理の際の加熱条件、すな
わち190℃×20分又は170℃×20分の加熱処理
のみを行った以外は、上記各実施例と同じ条件で陽極酸
化皮膜層を形成し、得られた表面処理後の各試験片につ
いて、定法に従って樹脂に埋め込み、研磨した後、試験
荷重0.2452N(HV 0.025)、保持時間15
秒の条件で測定した。
【0035】以上の実施例1〜16及び比較例1〜13
の各試験片について、表面の塗膜層の塗膜硬度を鉛筆硬
度法(JIS K5400-1990に準拠)により測定すると共に、
塗膜層の密着性(付着性)を碁盤目法(JIS K5400-1990
に準拠)により測定し、◎:はがれによる欠損部が無
い、○:欠損部の面積が全正方形面積の5%以下であ
る、△:欠損部の面積が全正方形面積の5〜15%であ
る、×:欠損部の面積が全正方形面積の15%を超えて
いる、の4段階基準で評価した。
【0036】更に、上記実施例1〜16及び比較例1〜1
3の各試験片について、塗膜の耐衝撃性をデュポン衝撃
試験法(JIS K5400-1990に準拠)により測定した。この
際の衝撃荷重は500g(撃ち型及び受け台半径6.3
5±0.03mm)であり、落下高さは50cmであ
る。耐衝撃性の判定基準は、衝撃による変形で、◎:割
れ・剥がれを認めない、○:周辺部に目視観察で微かな
ひび割れを生じた、×:割れ・剥がれが生じた、の3段
階で評価した。
【0037】更に、上記の結果から表面処理アルミニウ
ム材の総合評価を行い、鉛筆硬度が6H以上であって、
塗膜密着性が◎又は○と評価され、かつ、耐衝撃性が◎
又は○と評価されたものを◎:良好と評価し、1項目で
も上記の基準を満たさないものを×:不良と判定した。
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】上記表1の結果から明らかなように、表面
処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さに応じた膜
厚の陽極酸化皮膜層を有する実施例1〜16の試験片
は、そのいずれも塗膜硬度(鉛筆硬度)、塗膜の密着性
及び耐衝撃性において優れているのに対し、陽極酸化皮
膜層の膜厚が素地のビッカース硬さに応じていない比較
例1〜13の各試験片については、その塗膜硬度(鉛筆
硬度)、塗膜の密着性及び耐衝撃性がそのいずれかにお
いて不足している。
【0040】
【発明の効果】本発明の表面処理アルミニウム材は、ア
ルミニウム材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけ
でなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層
を形成することができ、これによって耐食性、耐候性、
加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優
れた性能を発揮する。
【0041】また、本発明の表面処理アルミニウム材の
製造方法によれば、アルミニウム材の表面に、単に塗膜
硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝
撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによ
って耐食性、耐候性、加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及
び耐衝撃性において優れた性能を発揮する表面処理アル
ミニウム材を製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 11/18 306 C25D 11/18 306Z 11/22 11/22 Z (72)発明者 花崎 昌幸 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1−34−1、日本 軽金属株式会社グループ技術センター内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB67X BB99Z CA02 CA04 CA13 DA06 DB07 DC02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により形成
    された陽極酸化皮膜層と最外層を形成する塗膜層とを有
    する表面処理アルミニウム材であり、陽極酸化皮膜層は
    表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有
    しており、また、塗膜層はその鉛筆硬度が6H以上であ
    ることを特徴とする表面処理アルミニウム材。
  2. 【請求項2】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度が
    ビッカース硬さである請求項1に記載の表面処理アルミ
    ニウム材。
  3. 【請求項3】 表面処理アルミニウム材の素地のビッカ
    ース硬さが40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
    15〜25μmであり、表面処理アルミニウム材の素地
    のビッカース硬さが40HV以上50HV未満のとき陽
    極酸化皮膜層の膜厚が7〜20μmであり、また、表面
    処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが50HV
    以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が0.1〜12μmで
    ある請求項2に記載の表面処理アルミニウム材。
  4. 【請求項4】 表面処理アルミニウム材はその素地が2
    種以上のアルミニウム材で構成されており、この素地を
    構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV未
    満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が15〜25μmであ
    り、この素地がビッカース硬さ40HV未満の素地構成
    材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構
    成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が1
    5〜20μmであり、この素地を構成する全ての素地構
    成材がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき
    陽極酸化皮膜層の膜厚が7〜20μmであり、この素地
    がビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構成
    材とビッカース硬さ50HV以上の素地構成材とで構成
    されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が7〜12μmで
    あり、この素地を構成する全ての素地構成材がビッカー
    ス硬さ50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が0.
    1〜12μmである請求項2に記載の表面処理アルミニ
    ウム材。
  5. 【請求項5】 陽極酸化皮膜層が電解着色されている請
    求項1〜4のいずれかに記載の表面処理アルミニウム
    材。
  6. 【請求項6】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度
    は、陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミ
    ニウム材のモデルを形成して測定された値である請求項
    1〜5のいずれかに記載の表面処理アルミニウム材。
  7. 【請求項7】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により、予
    め求められた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応
    じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成し、最外層
    として塗膜層を設けることを特徴とする、塗膜層の鉛筆
    硬度が6H以上である表面処理アルミニウム材の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度
    は、陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミ
    ニウム材のモデルを形成して測定される請求項7に記載
    の表面処理アルミニウム材の製造方法。
  9. 【請求項9】 素地の硬度がビッカース硬さである請求
    項7又は8に記載の表面処理アルミニウム材の製造方
    法。
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