JP4501261B2 - 表面処理アルミニウム材の製造方法 - Google Patents

表面処理アルミニウム材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、陽極酸化皮膜層、及び最外層として塗膜層を有する表面処理アルミニウム材製造方法に係り、特に最外層として形成された塗膜層が鉛筆硬度7H以上の優れた塗膜硬度を有すると共に、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する表面処理アルミニウム材製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム材は、優れた加工性を有することから、押出形材や板材等として鉄道車両内装、建物の窓や玄関建具等の建物の内外装、ビル外壁や内装等の各種建築部材、道路資材、各種キャビネット、冷凍車コンテナ内外装、冷凍ショーケース、各種日用品等極めて多岐に亘って利用されている。
【0003】
このようなアルミニウム材の押出形材や板材は、一般に、その表面に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜層を形成したり、更にその上にアクリル電着塗装を施して複合皮膜層を形成したり、また、表面に化成処理を施して化成皮膜層を形成し、その後に通常の塗装を施して塗膜層を形成した表面処理アルミニウム材として使用されている。
【0004】
ところで、これら表面に陽極酸化皮膜層や塗膜層が形成されたアルミニウム材は、長期に亘って美観と優れた耐食性を発揮するが、アルミニウム材が他の金属に比べて柔らかく、このアルミニウム材を表面処理して形成された陽極酸化皮膜層や塗膜層、特に最外層を形成する塗膜層は、その塗膜硬度や耐衝撃性等の物性において不足する場合があり、そのため、摺動部や人の出入りの激しい部位では、アルミニウム材表面の塗膜層が傷付き易く、また、塗膜割れし易く、長期間に亘って美観を維持し続けるのが困難であるという問題がある。
【0005】
また、仮に塗膜硬度の高い塗膜層が形成されたアルミニウム材が得られたとしても、一般に塗膜層はその塗膜硬度が高くなるにつれて塗膜密着性や耐衝撃性が低下する傾向にあり、高い塗膜硬度と優れた塗膜密着性及び耐衝撃性の相反する性能を同時に満足する塗膜層を得るのは困難であり、用途等に応じてそのいずれかの性能をある程度犠牲にせざるを得ないという問題がある。
【0006】
また、このように表面に陽極酸化皮膜層や塗膜層が形成されたアルミニウム材は、優れた耐食性、耐候性及び加工性を有するため、前述したように広範な用途で使用されているが、最近では、最終ユーザの嗜好の変化から、薄っぺらである、安っぽい、冷たい等の感じがすることを指摘するものも出始めている。このため、公共施設や鉄道施設のように不特定多数の人々が使用する環境で用いられる材料については、これまでのアルミニウム材に代わって樹脂部材が用いられ始めているのが現状である。
【0007】
しかしながら、上記樹脂部材で形成された樹脂製品については、廃棄後のリサイクル方法が確立されていないため、廃棄物処理に大きな費用がかかるばかりでなく、地球環境を汚染するという問題もある。
【0008】
【発明が解決すべき課題】
そこで、本発明者等は、アルミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム材において、アルミニウム材本来の優れた耐食性、耐候性及び加工性だけでなく、高い塗膜硬度を有し、しかも、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を有する表面処理アルミニウム材について鋭意研究した結果、アルミニウム材の表面に、表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有する陽極酸化皮膜層を形成し、最外層として塗膜層を設けることにより、この塗膜層の塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性がいずれも向上することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を有し、これによってアルミニウム材本来の耐食性、耐候性及び加工性に加えて、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた塗膜性能を発揮することができる表面処理アルミニウム材の製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、表面処理アルミニウム材の素地が1種のアルミニウム材で構成されていても、また、2種以上のアルミニウム材で構成されていても、アルミニウム材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによって耐食性、耐候性、加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を発揮する表面処理アルミニウム材を製造することができる表面処理アルミニウム材の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層を形成すると共に、スプレー塗装により最外層をなす塗膜層を形成する表面処理アルミニウム材の製造方法であって、予め表面処理アルミニウム材の素地の硬度を求め、この求められた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成することに特徴を有する、塗膜層の鉛筆硬度が7H以上である表面処理アルミニウム材の製造方法である。
【0012】
本発明において、予め陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデルを作製するか、あるいは、アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜層を作り、塗料を塗布することなく塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理してモデルを作製することにより表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVを求め、この求められた表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVに応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成する。
【0013】
本発明において、アルミニウム材としては、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材や、圧延加工された厚肉又は薄肉の板材、又はこれらを適宜折り曲げ加工した曲げ加工材等が使用される。
また、上記アルミニウム材の表面は、平坦面に限らず、湾曲面又は球状面も含まれ、かつ適宜のコーナー線を介して連続する複数の平坦面及び/又は湾曲(球状)面の組合せも含まれる。更に、加工されたアルミニウム材については、その表となる面が片面である場合と両面である場合とがあり、従って、アルミニウム材の表面については片面の場合と両面の場合とが含まれる。
【0014】
そして、本発明の表面処理アルミニウム材の素地を構成するアルミニウム材についても、必ずしも1種のアルミニウム材である必要はなく、表面処理アルミニウム材の用途等に応じて、例えばプレス成形した板材と形材を組合わせて作られた窓枠の化粧カバー等のように、2種以上の複数のアルミニウム材を組合せて構成されたものでもよい。
【0015】
本発明の表面処理アルミニウム材は、アルミニウム材の表面全体に、陽極酸化処理で形成され、膜厚が表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて制御された皮膜層を有し、更に、最外層として上記皮膜層の上に塗膜層を有するものである。
【0016】
ここで、陽極酸化皮膜層の膜厚が表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて制御されているとは、表面処理前の素材の硬さが陽極酸化処理後の乾燥処理や塗装焼付の加熱処理による熱履歴によって変化する場合があるが、完成品となった塗装後の正確な素材の硬さを知る必要があるので、先ず本発明の表面処理アルミニウム材の製作手順に従って適当な膜厚の陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデル(又は試験片)を作製するか、あるいは、アルミニウム材の表面に適当な膜厚の陽極酸化皮膜層を作り、塗料を塗布することなく塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理してモデル(又は試験片)を作製し、次いでこのモデル(又は試験片)の素地の硬度を測定し、求められた素地の硬度に応じて陽極酸化皮膜層の膜厚を設計し、この設計された膜厚を達成する陽極酸化処理の処理条件を設定し、設定された処理条件に従って陽極酸化処理を行うことによりアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜層が形成されているということである。
【0017】
この目的で製作されるモデル(又は試験片)は、アルミニウム材の種類、陽極酸化皮膜層、及び塗膜層並びに必要に応じて付与されるその他の表面処理と製作手順及びその際の製作条件とにおいて、製作予定の表面処理アルミニウム材と全く同じあるのが理想ではあるが、少なくとも適当な皮膜厚を有する陽極酸化皮膜層を形成し、実際に表面処理アルミニウム材を製造するときの塗膜の焼付条件と同じ条件で加熱処理を行って素材の硬さを測定すれば、必ずしも製作予定の表面処理アルミニウム材の表面処理と製作手順及びその際の製作条件とにおいて完全に一致している必要はない。
【0018】
本発明において、陽極酸化皮膜層の膜厚を設計するのに用いられる表面処理アルミニウム材の素地の硬度については、素地(すなわち、最終的に塗膜焼付け処理を施して最外層の塗膜層を形成せしめた表面処理後のアルミニウム材)の硬さを正確に反映するものであれば、例えばビッカース硬さ(JIS Z2244-1998)、ブリネル硬さ(JIS Z2243-1998)等どのような測定値でもよいが、再現性の観点から、好ましくはビッカース硬さである。
【0019】
陽極酸化皮膜層の膜厚を設計するのに用いられる表面処理アルミニウム材の素地の硬度がビッカース硬さの場合、陽極酸化皮膜層の膜厚は、素地のビッカース硬さが40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が15μm以上25μm以下、好ましくは15μm以上20μm以下であり、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが40HV以上50HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が7μm以上20μm以下、好ましくは7μm以上12μm以下であり、また、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が0.1μm以上12μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下である。この素地のビッカース硬さと陽極酸化皮膜層の膜厚との関係が上記条件を外れると、塗膜硬度と塗膜密着性及び耐衝撃性とにおいて同時に優れた塗膜性能を有する塗膜層を形成することが難しくなる。
【0020】
また、表面処理アルミニウム材の素地が2種以上のアルミニウム材で構成されている場合には、この素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が15μm以上25μm以下、好ましくは15μm以上20μm以下であり、この素地がビッカース硬さ40HV未満の素地構成材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が15μm以上20μm以下、好ましくは15μm以上18μm以下であり、この素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が7μm以上20μm以下、好ましくは7μm以上15μm以下であり、この素地がビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構成材とビッカース硬さ50HV以上の素地構成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が7μm以上12μm以下、好ましくは7μm以上10μm以下であり、この素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が0.1μm以上12μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下である。素地のビッカース硬さと陽極酸化皮膜層の膜厚との関係が上記条件を外れると、1つの製品において素地の異なる部分で、塗膜硬度が低くなったり、塗膜密着性が悪くなったり、耐衝撃性が低下した部分が発生し、全体が均一な性能を発現しなくなり、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成することが難しくなる。
【0021】
また、最外層を構成する塗膜層については、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の塗料を用いて形成することができ、例えば、有機塗料としては、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、ふっ素樹脂塗料、ポリエステル、ビニールオルガノゾル等の塗料を挙げることができ、また、無機系塗料としては、アルキルシリケート系塗料、光触媒酸化チタン含有無機塗料、シリカゾル系塗料、アルカリ金属塩素系塗料、金属アルコキシド系塗料等の塗料を挙げることができ、更に、有機及び無機の複合塗料としては、例えばアルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン、シリコン樹脂等を反応させたシロキサン結合を主体とするシリコンポリマー系塗料や、アルコキシシラン、アルコキシチタン等をゾル−ゲル法で反応させた金属アルコキシド系塗料、シリカ系セラミックス塗料等のセラミックス系塗料、光触媒酸化チタン含有の有機・無機複合塗料等の塗料を挙げることができる。また、これら塗膜層を形成する塗料については、顔料を含む有色塗料又はクリア塗料が使用される。
【0022】
この塗膜層の膜厚については、通常5μm以上80μm以下であり、好ましくは5μm以上60μm以下であるのがよい。塗膜層の膜厚が5μm未満であると塗料のレベリング性が不良となって凹凸を解消できず、最外層として形成された塗膜層に凹凸が生じ、好ましくない外観となる場合がある。また、塗膜層の厚さが80μmを超えると、効果が飽和するばかりでなく、かえって使用される塗料そのものの塗膜硬度が現出し、本発明の目的の1つである高い塗膜硬度を発現せしめることが難しくなる。
【0023】
本発明において、表面処理アルミニウム材の塗膜層は、その鉛筆硬度が7H以上であるのがよい。この塗膜層の鉛筆硬度が7H以上であると、塗膜に傷がつき難くなる
【0024】
次に、本発明の表面処理アルミニウム材は、次のようにして製造される。
すなわち、先ず、アルミニウム材の表面に、陽極酸化処理を施して予め求められた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有する陽極酸化皮膜層を形成し、次いでこの陽極酸化皮膜層の上に塗料を塗布して塗膜層を設けることにより製造される。
【0025】
この陽極酸化処理としては、酸性浴の建浴に硫酸、シュウ酸、クロム酸、ほう酸等を用いる公知の方法が適用可能であり、また、低温で高い電解電圧を付与して皮膜の溶解を抑えた硬質アルマイト処理も適用することができる。また、この陽極酸化処理の際には、例えば、陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデルを形成して予め求められた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて最適な陽極酸化皮膜層の膜厚を決定し、この陽極酸化皮膜層の膜厚を達成し得るように陽極酸化処理の処理条件、具体的には電流密度、電解時間等の処理条件を設定し、この設定された処理条件に従って陽極酸化処理を行い、アルミニウム材の表面に所定の膜厚の陽極酸化皮膜層を形成する。
【0026】
本発明方法において、アルミニウム材の表面に形成される陽極酸化皮膜層は、厚さ方向に沿って細径の通電孔が多数内包された多孔性であるため、陽極酸化皮膜層が形成された後に直ちに、公知の方法で封孔処理を行なって通電孔を封孔してもよい。この封孔処理を行うことにより、表面処理アルミニウム材の耐食性を更に向上せしめることができる。
【0027】
また、本発明における表面処理アルミニウム材はその表面に着色が施されたものであってもよく、この着色が施された表面処理アルミニウム材としては、例えば、陽極酸化皮膜層が電解着色された表面処理アルミニウム材等が挙げられる。
【0028】
上記電解着色処理としては、例えば金属塩浴を用いて金属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層の層中の細孔内に充填させる公知の方法でよく、Ni、Sn、Co、Cu等の金属塩中に浸漬したアルミニウム材1に対し、交流、直流、矩形波電流、又はパルス電流を供給して電解することにより、Ni、Sn、Co、Cu等の金属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層の細孔中に充填させる。
【0029】
このように陽極酸化皮膜層が設けられたアルミニウム材は、その表面に、スプレー塗装による塗装処理が施され、陽極酸化皮膜層の上に塗膜層が形成される。上記スプレー塗装公知の方法によって行うことができる。本発明方法により製造された表面処理アルミニウム材の最外層を形成する塗膜層は、少なくともその鉛筆硬度が7H以上の値を示し、同時に、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を発揮する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0031】
実施例1〜16及び比較例1〜13
表1に示すように、ビッカース硬さの異なる各種のアルミニウム材からなり、同じ形状及びサイズの板材又は形材に形成された試験片を用意し、実施例1〜16及び比較例1〜13とした。
【0032】
次いで、これら実施例1〜16及び比較例1〜13の試験片について、硫酸法により陽極酸化処理を施し、各試験片の表面全面に陽極酸化皮膜層を設けた。この陽極酸化処理は、硫酸160g/リットルで23℃の電解液を用い、電流密度1.5A/dm2の条件で電解することにより行い、形成される陽極酸化皮膜層の膜厚の制御は表1に示すように電解時間を制御することにより行った。
【0033】
そして、82℃の純水で4分間洗浄した後、乾燥させ、封孔処理は行わずに、直ちに所定の塗装処理を行なった。即ち、実施例1〜9、13、15、16及び比較例1〜7、10〜13の各試験片については、表1に示す膜厚のシロキサン結合を有する有機・無機複合系塗料を用いた塗装を施した。この塗装はスプレー塗装により行い、190℃×20分の焼き付け処理を行なった。
また、実施例10〜12、14及び比較例8、9の各試験片については、スプレー塗布により熱硬化型アクリル系塗料を塗布し、次いで170℃×20分の焼き付け処理を行なった。
【0034】
なお、表1に示したビッカース硬さは、各種のアルミニウム材からなる試験片について、陽極酸化処理の際の電解時間を20分とし、また、塗料を用いた塗装処理を行わずに焼き付け処理の際の加熱条件、すなわち190℃×20分又は170℃×20分の加熱処理のみを行った以外は、上記各実施例と同じ条件で陽極酸化皮膜層を形成し、得られた表面処理後の各試験片について、定法に従って樹脂に埋め込み、研磨した後、試験荷重0.2452N(HV 0.025)、保持時間15秒の条件で測定した。
【0035】
以上の実施例1〜16及び比較例1〜13の各試験片について、表面の塗膜層の塗膜硬度を鉛筆硬度法(JIS K5400-1990に準拠)により測定すると共に、塗膜層の密着性(付着性)を碁盤目法(JIS K5400-1990に準拠)により測定し、◎:はがれによる欠損部が無い、○:欠損部の面積が全正方形面積の5%以下である、△:欠損部の面積が全正方形面積の5〜15%である、×:欠損部の面積が全正方形面積の15%を超えている、の4段階基準で評価した。
【0036】
更に、上記実施例1〜16及び比較例1〜13の各試験片について、塗膜の耐衝撃性をデュポン衝撃試験法(JIS K5400-1990に準拠)により測定した。この際の衝撃荷重は500g(撃ち型及び受け台半径6.35±0.03mm)であり、落下高さは50cmである。耐衝撃性の判定基準は、衝撃による変形で、◎:割れ・剥がれを認めない、○:周辺部に目視観察で微かなひび割れを生じた、×:割れ・剥がれが生じた、の3段階で評価した。
【0037】
更に、上記の結果から表面処理アルミニウム材の総合評価を行い、鉛筆硬度が6H以上であって、塗膜密着性が◎又は○と評価され、かつ、耐衝撃性が◎又は○と評価されたものを◎:良好と評価し、1項目でも上記の基準を満たさないものを×:不良と判定した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004501261
【0039】
上記表1の結果から明らかなように、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さに応じた膜厚の陽極酸化皮膜層を有する実施例1〜16の試験片は、そのいずれも塗膜硬度(鉛筆硬度)、塗膜の密着性及び耐衝撃性において優れているのに対し、陽極酸化皮膜層の膜厚が素地のビッカース硬さに応じていない比較例1〜13の各試験片については、その塗膜硬度(鉛筆硬度)、塗膜の密着性及び耐衝撃性がそのいずれかにおいて不足している。
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られた表面処理アルミニウム材は、アルミニウム材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによって耐食性、耐候性、加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を発揮する。
【0041】
また、本発明の表面処理アルミニウム材の製造方法によれば、素地が1種のアルミニウム材で構成されていても、また、2種以上のアルミニウム材で構成されていても、アルミニウム材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによって耐食性、耐候性、加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を発揮する表面処理アルミニウム材を製造することができる。

Claims (3)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層を形成すると共に、スプレー塗装により最外層をなす塗膜層を形成し、塗膜層の鉛筆硬度が7H以上である表面処理アルミニウム材を製造する表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
    予め陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデルを作製するか、あるいは、アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜層を作り、塗料を塗布することなく塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理してモデルを作製することにより表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVを求め、この求められた表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVに応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成するに際し、
    上記表面処理アルミニウム材は、その素地が1種のアルミニウム材で構成されており、上記陽極酸化皮膜層の膜厚は、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが40HV未満のとき15〜25μmであり、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが40HV以上50HV未満のとき7〜20μmであり、また、表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さが50HV以上のとき0.1〜12μmであることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
  2. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層を形成すると共に、スプレー塗装により最外層をなす塗膜層を形成し、塗膜層の鉛筆硬度が7H以上である表面処理アルミニウム材を製造する表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
    予め陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデルを作製するか、あるいは、アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜層を作り、塗料を塗布することなく塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理してモデルを作製することにより表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVを求め、この求められた表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVに応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成するに際し、
    上記表面処理アルミニウム材は、その素地が2種以上のアルミニウム材で構成されており、上記陽極酸化皮膜層の膜厚は、表面処理アルミニウム材の素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV未満のとき15〜25μmであり、表面処理アルミニウム材の素地がビッカース硬さ40HV未満の素地構成材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構成材とで構成されているとき15〜20μmであり、表面処理アルミニウム材の素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき7〜20μmであり、表面処理アルミニウム材の素地がビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構成材とビッカース硬さ50HV以上の素地構成材とで構成されているとき7〜12μmであり、また、表面処理アルミニウム材の素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ50HV以上のとき0.1〜12μmであることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
  3. 表面処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さHVは、陽極酸化皮膜層及び塗膜層を有する表面処理アルミニウム材のモデルを形成して測定される請求項1又は2に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
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