JPH0618889B2 - 含フツ素ビニル系水性分散液の製造方法 - Google Patents

含フツ素ビニル系水性分散液の製造方法

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JPH0618889B2
JPH0618889B2 JP8867586A JP8867586A JPH0618889B2 JP H0618889 B2 JPH0618889 B2 JP H0618889B2 JP 8867586 A JP8867586 A JP 8867586A JP 8867586 A JP8867586 A JP 8867586A JP H0618889 B2 JPH0618889 B2 JP H0618889B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、含フツ素ビニル系水性分散液の製造方法に関
する。
従来の技術及びその問題点 従来、水性分散液の製造法に関して種々の検討がなされ
ているが、その殆んどが自己乳化法又は乳化重合法によ
るものである。而して親水性樹脂による自己乳化法で
は、高濃度且つ安定性に優れた水性分散液が得難いとい
う欠点がある。また乳化重合法では、水中で重合反応を
行なわせるために極性の高いモノマーを多量に用いるこ
とは困難であり、またの乳化重合法により得られた水性
分散液を用いて作られた被膜は、残存する乳化剤(界面
活性剤)のために耐水性、耐候性等に劣るという欠点を
有している。
発明の開示 本発明者らは、界面活性剤を用いることなく、安定性に
優れ、しかも耐水性、耐候性等が良好な被膜を形成し得
る水性分散液を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定
の含フツ素分散安定剤の存在下、特定の有機液体中でビ
ニル単量体を重合せしめ、中和後、水を加え、更に必要
に応じて上記有機液体の一部又は全部を除去することに
より、上記要望を満足する水性分散液が得られ、本発明
の所期の目的を達成し得ることを見い出した。本発明
は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、水に対する溶解度が5以上、水素結合
数が−19〜0及びソリビリテイーパラメータ値(以下
「SP値」という)が9〜13である有機液体中で、フ
ルオロオレフインを必須成分とし、フツ素原子含有率1
〜60重量%、重量平均分子量5000〜12000
0、酸価20〜200及び水酸基価20〜350であり
且つ上記有機液体に可溶な含フツ素重合体からなる分散
安定剤の存在下に、(A) SP値がメチルメタクリレート
と同等乃至19であるビニルモノマー60〜100重量
%と(B) 他のビニルモノマー40〜0重量%とからなる
ビニル単量体を重合して該ビニル単量体の重合体の分散
液を得た後、該分散液を塩基性物質で中和し、次いで水
を加え、必要に応じて上記有機液体の一部又は全部を留
去することを特徴とする含フツ素水性分散液の製造方法
に係る。
本発明においては、水性分散液の分散安定剤としてフル
オロオレフインを必須成分とし、フツ素原子含有率1〜
60重量%、重量平均分子量5000〜120000、
酸価20〜200及び水酸基価20〜350であり且つ
上記有機液体に可溶な含フツ素重合体を使用することに
特徴を有している。
本発明では、前記の界面活性剤を使用していないので、
界面活性剤に基づく種々の欠点を有していない。
また、フルオロオレフインを構成成分として含有する重
合体は、耐候性、撥水性、撥油性、耐汚染性に優れ、非
粘着性を示し、しかも低屈折率の塗膜を形成し得るとい
う特性を有している。該重合体は、通常溶液重合法によ
り合成されている。しかし、上記耐候性等の特性を充分
に発揮させるために必要な量のフルオロオレフインを含
有せしめると、その重合体で形成された塗膜の他の性
能、例えば耐熱性、付着性、硬度、耐衝撃性等の熱的乃
至機械的性質が低下する場合がある。換言すれば、溶液
重合法により合成されたフルオロオレフイン含有重合体
では、本来塗膜として有すべき性能とフツ素原子に基づ
く特性とを同時に具備する塗膜を形成させるのが困難で
ある。更にフルオロオレフインは、一般の重合可能なビ
ニル系単量体と比べると、著しく高価であり、そのため
必要最少限の配合量でその効果を発揮させることが重要
とされている。
これに対して本発明では、フルオロオレフインを含有す
る重合体を水性分散液の分散安定剤として用いており、
このために本発明で得られた水性分散液は、以下に示す
理由により本来塗膜として有すべき性能とフツ素原子に
基づく特性とを同時に具備する塗膜を形成し得るのであ
る。即ち、本発明の水性分散液から造膜した塗膜の連続
相は、主として該分散安定剤(即ちフルオロオレフイン
を含有する重合体)からなるものであり、従つて該塗膜
表面は主としてフツ素原子に基づく特性、例えば耐候
性、撥水性、撥油性、耐汚染性に優れ、非粘着性を示
し、しかも低屈折率の塗膜を形成し得るという特性が発
現されることになる。しかも、塗膜として有していなけ
ればならない耐熱性、付着性、硬度、耐衝撃性等の熱的
乃至機械的特性は、水性分散液の重合体粒子部分により
補強されるのである。更にこのフツ素原子は、連続相
(分散安定剤)に存在しておればよく、水性分散液の重
合体粒子の内部に存在させる必要はないため、従来の溶
液重合により得られるフルオロオレフイン含有重合体樹
脂溶液に比べ、フルオロオレフインの使用量を少なくし
てもこれと同等のフツ素原子に基づく特性を発揮させる
ことができる。つまり、価格的にも大幅に有利な塗膜が
得られることになる。本発明において使用される分散安
定剤は、フルオロオレフインを必須成分とし、フツ素原
子含有率1〜60重量%、重量平均分子量5000〜1
20000、酸価20〜200及び水酸基価20〜35
0であり且つ上記有機液体に可溶な含フツ素重合体であ
る。該重合体は、例えばフルオロオレフイン(第1成
分)、水酸基含有単量体(第2成分)及び重合性不飽和
酸(第3成分)を共重合せしめるか、又はこれらの第1
〜3成分にこれらと共重合可能な他の重合性単量体(第
4成分)を併用して共重合せしめることにより製造され
る。
第1成分のフルオロオレフインとしては、例えばテトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキ
サフルオロプロピレン、フツ化ビニル、フツ化ビニリデ
ン等を挙げることができる。本発明では、これらを1種
単独で又は2種以上混合して使用することができる。
第2成分の水酸基含有単量体としては、1分子中に水酸
基と重合性不飽和二重結合とを有するものである限り、
従来公知のものを広く使用でき、例えばヒドロキシブチ
ルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエ
ーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレー
ト、ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸又
はメタクリル酸のヒドロキシアルキル(炭素数2〜8)
エステル等を挙げることができる。本発明では、これら
を1種単独で又は2種以上混合して使用し得る。
第3成分の重合性不飽和酸としては、1分子中に酸基と
重合性不飽和二重結合とを有するものである限り、従来
公知のものを広く使用でき、例えばアクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有不飽和酸; CF=CFO(CF1〜8COOH、 CF=CF(CF0〜8COOH、 CF=CFSOF等のカルボキシル基もしくはスル
ホニル基含有フツ化不飽和酸; CF=CFO(CF1〜8 オルソリン酸と上記水酸基含有単量体(第2成分)との
付加物等を挙げることができ、これらは1種単独で又は
2種以上混合して使用される。
また第4成分としては、例えばメチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタ
クリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタ
クリレート、ラウリルアクリレート、ラウリウメタクリ
レート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキル
(炭素数1〜22)エステル;エチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル
等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエ
ーテル及びその誘導体等のアリサイクリツク(alicycli
c)ビニルエーテル:エチレン、プロピレン、イソブチ
レン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のオレフイン及び
ハロオレフイン;酢酸ビニル、n−酪酸ビニル等のカル
ボン酸ビニルエステル;N,N−ジメチルアミノエチル
アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等;グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグ
リシジル基含有アクリレート;スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロ
トンアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチ
ロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリル
アミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド等を例示でき、これらは1種単独で
又は2種以上混合して用いられる。
本発明の分散安定剤における上記第1〜3成分又は第1
〜4成分の構成比率は、特に限定がなく、その目的によ
り任意に選択し得る。
具体的には、第1成分は、例べば第1〜4成分の合計重
量(第4成分を含まないこともある)からなる含フツ素
重合体中におけるフツ素原子の含有率が1〜60重量
%、好ましくは10〜50重量%の範囲内に包含される
ように使用するのがよい。フツ素原子の含有率が1重量
%より少なくなると、含フツ素重合体の特徴が充分に発
揮され得ず、またフツ素原子の含有率が60重量%を越
える場合には、有機液体に対する溶解性が低下する傾向
となるので、いずれも好ましくない。尚、本発明で用い
る分散安定剤(含フツ素重合体)において、上記のフツ
素原子及びその含有率は、第1成分中に含まれるフツ素
原子のみによるものであつて、第3成分に例示した単量
体に含まれるフツ素原子はこれらに包含されない。
また第2成分は、第1〜4成分の共重合によつて得られ
る含フツ素重合体(第4成分を含んでいないこともあ
る)の水酸基価が20〜350、好ましくは30〜20
0の範囲内に調製されるような割合で使用するのがよ
い。水酸基価が20より小さくなると、水分散液の安定
性が低下する傾向となり、一方水酸基価が350より大
きくなると、形成される塗膜の耐水性が低下する傾向と
なるので、いずれも好ましくない。
また第3成分は、第1〜4成分の共重合によつて得られ
る含フツ素重合体(第4成分を含んでいないこともあ
る)の酸価が20〜200、好ましくは30〜200の
範囲内に調製されるような割合で使用するのがよい。酸
価が20より小さくなると、該分散安定剤の水溶化が困
難となつて安定な水分散液を得ることが困難となり、一
方酸価が200より大きくなると、水性分散液から得ら
れる塗膜の耐水性、耐候性等の性質が低下する傾向とな
るので、好ましくない。ここで酸価とは、カルボキシル
基だけでなく、SOやP=Oも含めたものである。
また第4成分は、上記含フツ素重合体のフツ素原子含有
率、酸価及び水酸基価が上記範囲を逸脱しないような量
で使用される。
この分散安定剤において、第1成分は上記した本発明の
効果を発現するために必要な成分であり、第2成分は後
記する重合体粒子を安定に分散させるために必要な成分
であり、また第3成分は該分散安定剤を水溶化するのに
必要な成分である。従つて上記範囲を逸脱すると、この
ような効果の発現が期待できなくなる傾向が生ずる。
更に本発明で用いられる分散安定剤は、その分子中に重
合性二重結合を導入されたものであるのが有利である。
この重合性二重結合の導入は、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体を用いて
第1〜3成分を含む重合体に予め含有せしめたカルボキ
シル基にグリシジル基含有不飽和単量体(例えばグリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリル
グリシジルエーテル等)を反応させることにより行なう
ことができる。また上記第1〜3成分を含有する重合体
中に水酸基及び(又は)メルカプト基を含有せしめてお
き、次いでカルボキシル基、酸無水基及びイソシアネー
ト基から選ばれた官能基と重合性二重結合とを有する化
合物を付加せしめることによつても重合性二重結合を導
入し得る。このような反応基の組合せの間で付加反応が
起こる一般的な条件は周知であり、それらの反応が起こ
る温度は個々の選択された反応基の組合せにより左右さ
れること、そして触媒の使用によつて改変し得ることは
言うまでもない。
以上のような反応によつて、分散安定剤の1分子中に平
均して少なくとも0.1個の重合性二重結合を導入して
おくのが望ましい。該分散安定剤に重合性二重結合を導
入しておくと、乳化重合中に分散粒子を形成する重合体
と分散安定剤との間に共有結合が形成され、その結果得
られる水性分散液の貯蔵安定性、機械的安定性等をより
一層向上させることができるという効果が発揮される。
本発明において使用される分散安定剤の分子量は、重量
平均分子量で5000〜120000、好ましくは50
00〜80000の範囲内であるのが好都合である。分
子量が5000より小さいと、得られる水性分散液の分
散粒子の安定化が不充分であり、凝集、沈降を起こし易
くなり、他方分子量が120000を越えると、有機液
体への溶解性が低下し、得られる水性分散液の粘度が著
しく高くなつて、取扱い難くなり、好ましくない。
本発明の分散安定剤は、例えば水に対する溶解度が5以
上、水素結合数が−19〜0及びSP価が9〜13であ
る有機液体中、重合開始剤の存在下、上記各成分の所定
量を共重合させることにより得ることができる。重合開
始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクト
エート等の過酸化物系重合開始剤等を挙げることができ
る。斯かる重合開始剤の濃度としては、上記各成分の合
計量100重量部当り0.2〜10重量部程度、好まし
くは0.5〜5重量部である。
上記した含フツ素重合体の具体例として、例えば水素基
含有有機溶媒可溶型の「ルミフロン」シリーズ(例えば
酸価50、水酸基価100、重量平均分子量約1800
0、旭硝子社製)等が挙げられ、この他にもダイキン工
業社、セントラル硝子社、ペンウオルト社等からも有機
溶媒可溶型の含フツ素重合体が市販されている。
本発明で用いられる分散安定剤は、1種類単独で使用す
ることも、また異なる共重合組成や分子量のものを2種
以上組合せて使用してもよく、更には必要に応じて他の
樹脂、例えば水溶性もしくは水分散性のメチロールメラ
ミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂、アクリル
樹脂等の少量と併用することもできる。
本発明で使用される有機液体は、水に対する溶解度が5
以上、水素結合数が−19〜0及びSP値が9〜13の
ものである。ここで、有機液体の水に対する溶解度と
は、20℃において水100重量部中に溶解し得る有機
液体の重量部である。また有機液体の水素結合数及びS
P値は、ジヤーナル オブ ペイント テクノロジー,
42,550,644−652(1970)の記載に基
づいて計算を行つたものである。斯かる特性値をもつ有
機液体としては、具体的にはメチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコー
ル、3−ペンタノール、オクチルアルコール等のアルコ
ール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピル
セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル等のエーテルアルコール類等を例示
できる。これら有機液体は、1種単独で又は2種以上混
合して用いることができる。
尚、水素結合数及びSP値が上記範囲を逸脱する有機液
体であつても、水に対する溶解度が5以上の親水性溶剤
であつて且つ該親水性溶剤を上記アルコール類やエーテ
ルアルコール類と混合した時に水素結合数及びSP値が
上記範囲内に該当するものとなる溶剤であれば、該溶剤
を上記アルコール類やエーテルアルコール類と混合して
本発明の有機液体として用いることができる。このよう
な溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチ
ル、セロソルブアセテート、酢酸n−ブチル、酢酸イソ
ブチル、メチルセロソルブアセテート、酢酸カービトー
ル等のエステル類等を挙げることができる。
上記有機液体は、分散媒として機能し、水素結合数を−
19〜0に、またSP値を9〜13の値に制御すること
により、分散媒に溶媒和される分散安定剤の機能(即ち
粒子を安定に分散させる機能)を充分に発揮せしめ、該
分散安定剤の存在下で重合させることにより生成するビ
ニル重合体の安定な分散粒子を得ることが可能になる。
水に対する溶解度、水素結合数及びSP値が上記範囲を
逸脱する場合、例えば水素結合数が−19又はSP値が
9より小さくなると、分散粒子が析出し、一方水素結合
数が0又はSP値が13より大きくなると、分散粒子と
なるべきビニル重合体は上記有機液体中に溶解乃至殆ん
ど溶解に近い状態となり、安定な分散粒子を得ることは
不可能となる。また水に対する溶解度が5より小さい場
合には、分散状態が不安定になり、貯蔵安定性が乏しく
なるという欠点が生ずる。
本発明の方法においては、まず上記分散安定剤の存在
下、上記有機液体中でビニル単量体を重合させて、該ビ
ニル単量体の重合体粒子が安定に分散された分散液を得
る。該ビニル単量体は、(A) SP値がメチルメタクリレ
ートと同等乃至19であるビニルモノマー60〜100
重量%と(B) 他のビニルモノマー40〜0重量%とから
なるものである。
(A) 成分であるSP値がメチルメタクリレートと同等乃
至19であるビニルモノマーとしては、従来公知のもの
を広く使用でき、例えばメチルメタクリレート(SP
値:9.1〜9.5、ホモポリマーとしてのSP値であ
り、ジヤーナル オブ ペイント テクノロジー,38
〔492〕,43〜57,1月(1966)の記載に基
づいて計算したものである。以下同じ)、アクリロニト
リル(12.75〜15.4)、メチルアクリレート
(9.7〜10.1)、エチルアクリレート(9.2〜
9.4)、メタクリロニトリル(10.7)、エチルメ
タクリレート(8.95〜9.1)、アクリル酸(約1
3)、メタクリル酸(約13)、2−ヒドロキシエチル
アクリレート(約10)、2−ヒドロキシプロピルアク
リレート(約10)、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート(約10)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト(約10)、アクリルアミド(16〜19)、メタク
リルアミド(16〜19)、N−メチロールアクリルア
ミド(13〜14)、N−メチロールメタクリレートア
ミド(11〜12)、N−ブトキシメチルアクリルアミ
ド(10〜11)、N−ブトキシメチルメタクリルアミ
ド(10〜11)、スチレン(約9.1)等が挙げられ
る。
これらの中でも特にアクリルアミド類が硬化性の面から
望ましい。本発明ではこれらは1種単独で又は2種以上
混合して使用され得る。ビニルモノマーのSP値がメチ
ルメタクリレートのそれよりも小さいと、得られる重合
体が安定な粒子を形成することが困難となる。一方SP
値が19よりも大きいビニルモノマーは工業的に入手が
困難であり、実用的ではない。
また(B) 成分であるビニルモノマーとしては、上記(A)
成分以外であつて且つ(A) 成分と共重合が可能なビニル
モノマーである限り従来公知のものをいずれも使用で
き、例えばブチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。これらのモノマーも1種単独
で又は2種以上混合して使用され得る。
(A) モノマーと(B) モノマーとの混合割合は、通常前
者:後者=60〜100重量%:40〜0重量%、好ま
しくは前者:後者=70〜100重量%:30〜0重量
%である。(A) モノマー及び(B) モノマーの総量中に占
める(A) モノマーの割合が60重量%より少なくなる
と、安定な重合体粒子の形成が困難となるので好ましく
ない。
上記ビニル単量体の重合は、通常重合開始剤の存在下に
行なわれる。重合開始剤としては、例えば2,2′−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、
ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert
−ブチルパーオクトエート等の過酸化物系重合開始剤等
を挙げることができる。斯かる重合開始剤の濃度として
は、ビニル単量体100重量部当り0.5〜10重量部
程度とするのが好ましい。
上記重合反応において、上記分散安定剤の量としては、
ビニル単量体及び分散安定剤の総量中に3〜70重量%
程度となるように使用するのが好ましい。分散安定剤の
使用量が3重量%より少ないと、得られる分散液の安定
性が低下する恐れがあるので、好ましくない。また分散
安定剤の使用量が70重量%より多くなると、分散系が
溶液化し、分散系の特長(高固形分、低粘度)が失われ
る恐れがあるので、やはり好ましくない。本発明では、
ビニル単量体及び分散安定剤の総量中に10〜50重量
%程度となるように分散安定剤を使用するのが特に好ま
しい。また分散液中のビニル単量体及び分散安定剤の合
計濃度は、通常30〜70重量%程度、好ましくは30
〜60重量%程度となるように調節するのがよい。上記
重合反応は、通常60〜160℃の温度条件下にて行な
われる。
上記重合反応は、より具体的には、例えば反応容器中に
上記有機液体(分散媒)、分散安定剤、ビニル単量体全
量及び重合開始剤を仕込み、1〜15時間要して重合反
応を行ない、安定な分散液を得ることも可能であるが、
ビニル単量体(分散安定剤は全量又は一部分をビニル単
量体に混合される場合もある)と重合開始剤との混合液
を1〜7時間要して滴下し、その後2〜7時間反応を続
けることによつて安定な分散液を得ることもできる。
本発明において、斯くして得られた分散液を塩基性物質
で中和し、次いで水を加え、必要に応じて上記有機液体
の一部又は全部を留去する。
塩基性物質で処理することにより、主として該分散液中
の分散安定剤が中和される。用いられる塩基性物質とし
ては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジ
エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン等が挙げられ、これらは分散液中に含ま
れている遊離のカルボキシル基の50%程度以上、好し
くは70%程度以上が中和されるような量で用いられ
る。
本発明では、次に中和処理された分散液に水を加えて所
望の固形分濃度、例えば20〜60重量%程度になるよ
うに希釈し、更に必要に応じて該分散液中に含まれる有
機液体を常圧下又は減圧下に留去する。本発明では、公
害対策上、分散液中の水の量に対して有機液体の量が1
0重量%未満となるまで有機液体を留去するのが特に望
ましい。
斯くして得られた水性分散液は、塗料、成型品、接着
剤、充填剤等の用途に好適に使用され得る。
本発明の水性分散液は、そのままでも使用できるが、必
要に応じて着色剤、可塑剤、硬化剤等を混入することも
できる。ここで着色剤としては、染料、有機顔料、無機
顔料等を例示できる。可塑剤としては、従来公知のも
の、例えばジメチルフタレート、ジオクチルフタレート
等の低分子量可塑剤、ビニル重合体可塑剤、ポリエステ
ル系可塑剤等の高分子量可塑剤等が挙げられる。これら
は本発明の水性分散液製造後に混入して用いることもで
きるが、水性分散液製造時において、ビニル単量体に溶
解しておき、生成分散液の分散粒子中に分配しておくこ
ともできる。また硬化剤としては、水溶性乃至水分散性
のアミノ樹脂、エポキシ樹脂等の架橋剤を例示できる。
本発明の方法により製造される水性分散液は、分散安定
性が良好であり、また硬化剤と混合して硬化される時の
塗膜の仕上り状態、平滑性が優れ、肌アレ等が起こら
ず、塗膜の物理性も優秀である。
実施例 以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をより一層明ら
かにする。尚、以下においては、単に「部」とあるのは
「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味す
る。
実施例1 (1)分散安定剤の合成 クロロトリフルオロエチレン、シクロヘキシルビニルエ
ーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル及びパーフル
オロ(3−カルボキシプロピルビニルエーテル) 〔CF=CFO(CFCOOH〕からなる共重
合体〔フツ素原子含有率30%、酸価30、水酸基価1
00、重量平均分子量約18000〕を大過剰のヘプタ
ン中で沈澱させ、乾燥後、イソプロパノール/メチルセ
ロソルブアセテート=80/20(重量比)からなる有
機液体に、該共重合体含有率が50%になるように混合
溶解せしめて分散安定剤(以下「分散安定剤A」とい
う)を得た。
(2)水性分散液の合成 上記で得られた分散安定剤A86部及びイソプロピルア
ルコール100部の混合物を有機溶剤の還流温度に保
ち、以下のモノマー及び重合開始剤を5時間要して滴下
し、滴下終了後2時間熟成を行なつた。
アクリロニトリル 20部 メチルメタクリレート 68部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部 メタクリル酸 2部 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2部 得られた液は乳白色の分散液であり、これをトリエチル
アミンで当量中和し、水を214部加えた後、有機溶剤
を減圧留去することにより乳白色の水性分散液が得られ
た。該水性分散液は、2週間放置しても沈降物は認めら
れなかつた。また不揮発分は41重量%、ガードナー粘
度(25℃)はJであつた。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるサイメル(Cymel)#301〔アメリカン
シアナミド社製〕を10部混合し、ガラス板に塗布し、
150℃で30分間焼付けたところ、艶のある透明な硬
い、耐水性、耐候性等に優れた被膜が得られた。特に耐
候性については、サンシヤインウエザオメーターで30
00時間試験を行なつたところ、ワレ等の発生が全く認
められず、光沢保持率も90%以上であつた。
実施例2 (1)分散安定剤の合成 グリシジルメタクリレート 0.7部 分散安定剤A 100部 P−tert−ブチルカテコール 0.01部 ジメチルアミノエタノール 0.05部 以上の成分を80℃で反応させ、1分子当り約0.7の
活性な二重結合を導入した(該共重合体におけるフツ素
原子含有率は30%、酸価30、水酸基価80、重量平
均分子量18000であつた)。このようにして得られ
た分散安定剤を以下「分散安定剤B」という。
(2)水性分散液の合成 上記で得られた分散安定剤A21.5部、分散安定剤B
21.5部及びエチルアルコール100部の混合物を有
機溶剤の還流温度に保ち、以下のモノマー及び重合開始
剤を5時間要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を行な
つた。
アクリロニトリル 35部 メチルメタクリレート 30部 スチレン 20部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部 メタクリル酸 5部 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2部 得られた液は乳白色の分散液であり、これをジメチルエ
タノールアミンで0.7当量中和し、水を214部加え
た後、有機溶剤を減圧留去することにより乳白色の水性
分散液が得られた。該水性分散液は、室温での放置安定
性は極めて良好なものであつた。また不揮発分は39重
量%、ガードナー粘度(25℃)はQであつた。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるサイメル#301を10部混合し、ガラス板
に塗布し、170℃で20分間焼付けたところ、艶のあ
る透明な硬い、耐水性、耐候性等に優れた被膜が得られ
た。耐候性については、実施例1と同様の結果が得られ
た。
実施例3 (1)分散安定剤の合成 フツ化ビニリデン、ヒドロキシブチルビニルエーテル、
アクリル酸及びブチルアクリレートからなる共重合体
〔フツ素原子含有率25%、酸価40、水酸基価12
0、重量平均分子量約60000〕をイソプロパノール
/酢酸カルビトール=60/40(重量比)からなる有
機液体に、該共重合体含有率が50%になるように混合
溶解せしめて分散安定剤を得た。
(2)水性分散液の合成 上記で得られた分散安定剤50部、イソプロピルアルコ
ール90部及び酢酸カルビトール10部の混合物をイソ
プロピルアルコールの還流温度に保ち、以下のモノマー
及び重合開始剤を5時間要して滴下し、滴下終了後3時
間熟成を行なつた。
アクリロニトリル 20部 エチルアクリレート 40部 スチレン 20部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部 N−メチロールアクリルアミド 5部 メタクリル酸 5部 2,2′−アゾビス(2,4− 5部 ジメチルバレロニトリル) 得られた液は乳白色の分散液であり、これをジメチルエ
タノールアミンで当量中和し、水を207部加えた後、
有機溶剤を減圧留去することにより乳白色の水性分散液
が得られた。該水性分散液は、室温での放置安定性は極
めて良好なものであつた。不揮発分は38重量%、ガー
ドナー粘度(25℃)はGであつた。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるHM−100〔住友化学社製〕を11部混合
し、ガラス板に塗布し、170℃で20分間焼付けたと
ころ、艶のある透明な硬い、耐水性、耐候性等に優れた
被膜が得られた。耐候性については、実施例1と同様の
結果が得られた。
実施例4 (1)分散安定剤の合成 エチルアルコール100部及び分散安定剤B36部の混
合物を還流温度に保ち、これに以下のモノマー及び重合
開始剤を5時間要して滴下し、滴下終了後4時間熟成を
行なつた。
アクリロニトリル 30部 メチルメタクリレート 35部 グリシジルメタクリレート 10部 メタクリル酸 3部 スチレン 22部 ベンゾイルパーオキシド 2部 得られた液は乳白色の分散液であり、これをトリエチル
アミンで0.75当量中和し、水を145部加えた後、
有機溶剤を減圧留去することにより乳白色の水性分散液
が得られた。該水性分散液は、室温での放置安定性は極
めて良好なものであつた。不揮発分は42重量%、ガー
ドナー粘度(25℃)はRであつた。
この水性分散液100部に対し、HM−100を10部
混合し、ガラス板に塗布し、150℃で30分間焼付け
たところ、極めて艶のある透明な硬い、耐水性、耐候性
等に優れた被膜が得られた。耐候性については、実施例
1と同様の結果が得られた。尚、粒子内部は、グリシジ
ルメタクリレートとメタクリル酸との反応により架橋し
ていた。
実施例5 (1)分散安定剤の合成 テトラフルオロエチレン、ヒドロキシブチルビニルエー
テル、メタクリル酸及びラウリルメタクリレートからな
る共重合体にグリシジルメタクリレートを付加せしめて
なる生成物〔フツ素原子含有率10%、酸価60、水酸
基価70、重量平均分子量約80000、1分子当りの
重合性不飽和結合数は2個〕をメチルセロソルブに、該
生成物の含有率が50%になるように混合溶解せしめて
分散安定剤を得た。
(2)水性分散液の合成 上記で得られた分散安定剤86部、エチルアルコール9
0部及びブチルセロソルブ10部の混合物を還流温度に
保ち、以下のモノマー及び重合開始剤を5時間要して滴
下し、摘下終了後4時間熟成を行なつた。
アクリロニトリル 30部 N−ブトキシメチルアクリルアミド 15部 メチルメタクリレート 30部 スチレン 20部 メタクリル酸 5部 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2部 得られた液は乳白色の分散液であり、これをジメチルエ
タノールアミンで当量中和し、水を214部加えた後、
有機溶剤を減圧留去することにより乳白色の水性分散液
が得られた。該水性分散液は、室温での放置安定性は極
めて良好なものであつた。不揮発分は38重量%、ガー
ドナー粘度(25℃)はRであつた。
この水性分散液をガラス板に塗布し、170℃で20分
間焼付けたところ、艶のある透明な硬い、耐水性、耐候
性等に優れた被膜が得られた。耐候性は、実施例1と同
程度であつた。
比較例1 (1)分散安定剤の合成 フラスコ中にイソプロピルアルコール100部を入れ、
還流させながら以下のモノマー及び重合開始剤を3時間
要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を行なつた。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 80部 アクリル酸 3部 スチレン 17部 ベンゾイルパーオキシド 5部 得られた液は透明であり、不揮発分50重量%で、ガー
ドナー粘度(25℃)はVであつた。この重合体の数平
均分子量は約7000であつた。
(2)水性分散液の合成 上記で得られた分散安定剤86部及びイソプロピルアル
コール100部の混合物をイソプロピルアルコールの還
流温度に保ち、以下のモノマー及び重合開始剤を5時間
要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を行なつた。
アクリロニトリル 88部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部 メタクリル酸 2部 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2部 得られた液は乳白色の分散液であり、これをトリエチル
アミンで当量中和し、水を214部加えた後、イソプロ
ピルアルコールを減圧留去することにより乳白色の有機
溶剤を含まない水性分散液が得られた。該水性分散液
は、2週間放置しても沈澱物は認められなかつた。不揮
発分は41重量%、ガードナー粘度(25℃)はHであ
つた。
この水性分散液100部に対し、サイメル#301を1
0部混合し、ガラス板に塗布し、150℃で30分間焼
付けたところ、艶のある透明な硬い塗膜が得られたが、
実施例1で得られた塗膜に比し耐水性、耐候性が劣るも
のであつた。特に耐候性についてみると、サンシヤイン
ウエザオメーターで800時間試験すると、ワレ等が発
生し、光沢保持率も30%以下であつた。
比較例2 上記実施例1で得られた分散安定剤Aをトリエチルアミ
ンで当量中和し、水を65部加えた後、有機溶剤を減圧
留去することにより水溶液が得られた。
この水溶液100部に対し、サイメル#301を10部
混合し、ガラス板に塗布し、150℃で30分間焼付け
たところ、得られる塗膜は実施例1で得られるそれに比
し、硬度、耐水性、耐候性等に劣るものであつた。特に
耐候性についてみると、サンシヤインウエザオメーター
で3000時間試験すると、ワレ等が多く発生し、また
光沢保持率も50%以下であつた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に対する溶解度が5以上、水素結合数が
    −19〜0及びソルビリテイーパラメータ値が9〜13
    である有機液体中、フルオロオレフインを必須成分と
    し、フツ素原子含有率1〜60重量%、重量平均分子量
    5000〜120000、酸価20〜200及び水酸基
    価20〜350であり且つ上記有機液体に可溶な含フツ
    素重合体からなる分散安定剤の存在下に、 (A) ソルビリテイーパラメーター値がメチルメタクリレ
    ートと同等乃至19であるビニルモノマー60〜100
    重量%と(B) 他のビニルモノマー40〜0重量%とから
    なるビニル単量体を重合して該ビニル単量体の重合体の
    分散液を得た後、該分散液を塩基性物質で中和し、次い
    で水を加え、必要に応じて上記有機液体の一部又は全部
    を留去することを特徴とする含フツ素ビニル系水性分散
    液の製造方法。
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