JP2508098B2 - 含フッ素水性分散液の製造法 - Google Patents

含フッ素水性分散液の製造法

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JP2508098B2
JP2508098B2 JP15098887A JP15098887A JP2508098B2 JP 2508098 B2 JP2508098 B2 JP 2508098B2 JP 15098887 A JP15098887 A JP 15098887A JP 15098887 A JP15098887 A JP 15098887A JP 2508098 B2 JP2508098 B2 JP 2508098B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は含フッ素水性分散液の製造方法に関する。さ
らに詳しくは、高分子分散安定剤の単量体成分としてフ
ルオロオレフインを用いた、耐候性、撥水性、撥油性、
耐汚染性などに優れた水性被覆用組成物となる水性分散
液の製造法に関する。
従来の技術および問題点 従来、フッ素系単量体を構成成分として含有する重合
体は、耐候性、撥水性、撥油性、耐汚染性に優れ、非粘
着性を示し、しかも低屈折率の塗膜を形成し得るという
特性を有している。この重合体は、通常溶液重合法によ
り合成されている。しかし、上記耐候性等の特性を充分
に発揮させるために必要な量のフッ素系単量体を含有せ
しめると、その重合体で形成された塗膜の他の性能、例
えば耐熱性、付着性、硬度、耐衝撃性等の熱的乃至機械
的性質が低下する場合がある。換言すれば、溶液重合法
により合成されたフッ素系単量体含有重合体では、本来
塗膜として有すべき性能とフッ素原子に基づく特性とを
同時に具備する塗膜を形成させるのが困難である。更に
フッ素系単量体は、一般の重合可能なビニル系単量体と
比べると、著しく高価であり、そのため必要最少限の配
合量でその効果を発揮させることが重要とされている。
発明の開示 そこで本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究
の結果、フルオロオレフインを単量体として特定量使用
して得られる含フッ素重合体を分散安定剤として乳化重
合することによって得られる水性分散液が上記問題点を
解決することを見出し本発明に到達した。すなわち本発
明は、フルオロオレフインと重合性不飽和酸とを必須成
分とする、フッ素原子含有率が1〜60重量%、重量平均
分子量が2,000〜200,000、酸価が20〜200であり、かつ
水酸基価が300以下である含フッ素重合体を塩基性物質
で中和してなる水可溶性分散安定剤、および水の存在下
に、α,β−エチレン性不飽和単量体を乳化重合せしめ
ることを特徴とする含フッ素水性分散液の製造法であ
る。
本発明では、フルオロオレフインを含有する含フッ素
重合体の水溶化物を水性分散液の分散安定剤として用い
ており、このために本発明製造法で得られた水性分散液
は、以下に示す理由により本来塗膜として有すべき性能
とフッ素原子に基づく特性とを同時に具備する塗膜を形
成し得るのである。即ち、本発明の水性分散液から造膜
した塗膜の連続相は、主として該分散安定剤(即ちフル
オロオレフインを含有する重合体)からなるものであ
り、従って該塗膜表面は主としてフッ素原子に基づく特
性、例えば耐候性、撥水性、撥油性、耐汚染性に優れ、
非粘着性を示し、しかも低屈折率の塗膜を形成し得ると
いう特性が発現されることになる。しかも、塗膜として
有していなければならない耐熱性、付着性、硬度、耐衝
撃性等の熱的乃至機械的特性は、水性分散液の重合体粒
子部分により補強されるのである。更にこのフッ素原子
は、連続相(分散安定剤)に存在しておればよく、水性
分散液の重合体粒子の内部に存在させる必要はないた
め、従来の溶液重合により得られるフルオロオレフイン
含有重合体樹脂溶液に比べ、フルオロオレフインの使用
量を少なくしてもこれと同等のフッ素原子に基づく特性
を発揮させることができる。つまり、価格的にも大幅に
有利な塗膜が得られることになる。本発明において使用
される含フッ素重合体は、フルオロオレフイン(第1成
分)、及び重合性不飽和酸(第2成分)を必須成分とし
て共重合させたものであり、フッ素原子含有率1〜60重
量%、重量平均分子量2,000〜200,000、酸価20〜200及
び水酸基価300以下である含フッ素重合体である。該重
合体は、上記第1成分および第2成分に加えて、第3成
分として、これらの成分と共重合可能なその他の重合性
不飽和単量体を共重合させたものであってもよい。
第1成分のフルオロオレフインとしては、例えばテト
ラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリ
デン等を挙げることができる。本発明では、これらを1
種単独で又は2種以上混合して使用することができる。
第2成分の重合性不飽和酸としては、1分子中に酸基
と重合性不飽和二重結合とを有するものである限り、従
来公知のものを広く使用でき、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基
含有不飽和酸; CF2=CFO(CF21〜8COOH、 CF2=CF(CF20〜8COOH、 等のカルボキシル基含有フッ化不飽和酸等を挙げること
ができ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用
される。
また第3成分としては、例えばメチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメ
タクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルア
クリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタ
クリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリ
レート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキル
(炭素数1〜22)エステル;エチルビニルエーテル、イ
ソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等
のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエー
テル及びその誘導体等の脂環族ビニルエーテル;エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン等のオレフイン及びハロオレフイン;酢酸ビニ
ル、n−酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;N,N
−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタク
リレート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸のN,N−
ジアルキルアミノアルキルエステル;グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレートおよびアリル(ally
l)グリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単
量体;スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトル
エン等の芳香族不飽和単量体;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド、
クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアク
リルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドおよ
びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリル酸ア
ミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレートおよび2−ヒドロキ
シブチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル
酸のヒドロキシアルキル(炭素数2〜8)エステル;ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキ
シルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエー
テル等を挙げることができる。本発明では、これらを1
種単独で又は2種以上混合して使用し得る。
本発明の含フッ素重合体における上記第1〜第3成分
の構成比率は、特に限定がなく、その目的により任意に
選択し得るが、例えば第1成分は、第1〜3成分の合計
重量(第3成分を含まないこともある)からなる含フッ
素重合体中におけるフッ素原子の含有率が1〜60重量
%、好ましくは10〜50重量%の範囲内に包含されるよう
に使用するのがよい。フッ素原子の含有率が1重量%よ
り少なくなると、含フッ素重合体の特徴が充分に発揮さ
れ得ず、またフッ素原子の含有率が60重量%を越える場
合には、中和・水溶化する際に、水に対する溶解性が低
下する傾向となるので、いずれも好ましくない。尚、本
発明で用いる分散安定剤(含フッ素重合体)において、
上記のフッ素原子及びその含有率は、第1成分中に含ま
れるフッ素原子のみによるものであって、第2成分に例
示した単量体に含まれるフッ素原子はこれらに包含され
ない。
また第2成分は、第1〜3成分の共重合によって得ら
れる含フッ素重合体(第3成分を含んでいないこともあ
る)の酸価が20〜200、好ましくは30〜200の範囲内に調
製されるような割合で使用するのがよい。酸価が20より
小さくなると、含フッ素重合体の水溶化が困難となって
安定な水分散液を得ることが困難となり、一方酸価が20
0より大きくなると、水性分散液から得られる塗膜の耐
水性、耐候性等の性質が低下する傾向となるので、好ま
しくない。
また第3成分は、上記含フッ素重合体のフッ素原子含
有率および酸価が上記範囲を逸脱しないような量でか
つ、水酸基価が300以下、より好ましくは200以下となる
範囲内で使用される。
水酸基価が300を超えると、形成される塗膜の耐水性
が低下する傾向があるので好ましくない。この含フッ素
重合体において、第1成分は上記した本発明の効果を発
現するために必要な成分であり、また第2成分は含フッ
素重合体を水溶化するのに必要な成分である。従って上
記範囲を逸脱すると、このような効果の発現が期待でき
なくなる傾向が生ずる。
更に本発明で用いられる含フッ素重合体は、その分子
中に重合性二重結合を導入されたものであってもよい。
この重合性二重結合の導入は、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体を用いて
重合体に予め含有せしめたカルボキシル基にグリシジル
基含有不飽和単量体(例えばグリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル
等)を反応させることにより行なうことができる。また
上記第1〜3成分を含有する重合体中に水酸基を含有せ
しめておき、次いでカルボキシル基、酸無水基及びイソ
シアネート基から選ばれた官能基と重合性二重結合とを
有する化合物を付加せしめることによっても重合性二重
結合を導入し得る。このような反応基の組合せの間で付
加反応が起こる一般的な条件は周知であり、それらの反
応が起こる温度は個々の選択された反応基の組合せによ
り左右されること、そして触媒の使用によって改変し得
ることは言うまでもない。
含フッ素重合体は塩基性物質で中和・水溶化され、分
散安定剤として働らくが、含フッ素重合体中に重合性二
重結合を導入しておくと、乳化重合中に分散粒子を形成
する重合体と分散安定剤との間に共有結合が形成され、
その結果得られる水性分散液の貯蔵安定性、機械的安定
性等をより一層向上させることができるという効果が発
揮される。
本発明において使用される含フッ素重合体の分子量
は、重量平均分子量で2,000〜200,000、好ましくは4,00
0〜100,000の範囲内であるのが好都合である。分子量が
2,000より小さいと、得られる水性分散液の分散粒子の
安定化が不充分であり、凝集、沈降を起し易くなり、他
方分子量が200,000を越えると、得られる水性分散液の
粘度が著しく高くなって、取扱い難くなり、好ましくな
い。
本発明の含フッ素重合体は、有機液体中、重合開始剤
の存在下、前記各成分の所定量を共重合させることによ
り得ることができる。重合開始剤としては、例えば2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始
剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、
tert−ブチルパーオクトエート等の過酸化物系重合開始
剤等を挙げることができる。斯かる重合開始剤の濃度と
しては、各単量体成分の合計量100重量部当り0.1〜15重
量部、好ましくは0.2〜10重量部である。
上記した含フッ素重合体の具体例として、例えば水酸
基含有有機溶媒可溶型の「ルミフロン」シリーズ(例え
ば酸価50、水酸基価100、重量平均分子量約18000、旭硝
子社製)等が挙げられ、この他にもダイキン工業社、セ
ントラル硝子社、ペンウオルト社等からも有機溶媒可溶
型の含フッ素重合体が市販されている。
含フッ素重合体の製造に使用される有機液体は親水性
溶剤であって、例えばメチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、
sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3
−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3
−メトキシブタノール等のアルコール類;メチルセロソ
ルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等
のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチ
ル、セロソルブアセテート、酢酸n−ブチル、酢酸イソ
ブチル、メチルセロソルブアセテート、酢酸カービトー
ル等のエステル類等を挙げることができる。中でもアル
コール類、エーテルアルコール類が好ましい。
本発明の含フッ素重合体を中和する塩基性物質として
は例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジ
エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン等が挙げられ、これらは含フッ素重合体
中のカルボキシル基の20%程度以上、好ましくは40%程
度以上が中和されるような量で用いられる。
本発明の方法においては、上記の中和された含フッ素
重合体を水溶化し、このものを分散安定剤として、水の
存在下、α,β−エチレン性不飽和単量体を乳化重合さ
せて、該不飽和単量体の重合体粒子が安定に分散された
水性分散液を得るものである。
本発明で用いられる分散安定剤は、1種類単独で使用
することも、また異なる共重合組成や分子量のものを2
種以上組合せて使用してもよく、更には必要に応じて他
の水溶化可能な樹脂、例えば水溶性もしくは水分散性の
メチロールメラミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン
樹脂、アクリル樹脂等の少量と併用することもできる。
本発明において乳化重合されるα,β−エチレン性不
飽和単量体としては、25℃において水に対する溶解度が
5%未満の非親水性単量体が好ましく、例としてスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリル酸
と炭素数2〜18のアルコールとのエステル化物、メタク
リル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化物、
グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレー
トと炭素数1〜26の有機カルボン酸との附加物、アクリ
ル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、ア
クリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチ
ル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシ
ブチル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、
アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチル
メタクリレート、ビニルピリジン、ブタジエン、イソプ
レン、クロロプレン等が挙げられる。α,β−エチレン
性不飽和単量体としては、上記の非親水性単量体以外
に、α,β−エチレン性不飽和単量体全体量に対して、
50重量%未満、好ましくは30重量%未満の下記親水性単
量体を含有してもよい。
親水性単量体の量が50重量%以上になると乳化重合中
に凝集を起こすなどの不具合を生ずる危険がある。
親水性ビニルモノマーとしてはヒドロキシプロピルメ
タクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒド
ロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリ
レート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アク
リル酸、メチルアクリレート、メタクリレ酸、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げら
れる。
また水性分散液の重合体粒子内を架橋することによっ
て耐水性、耐溶剤性等を向上させる目的で多官能不飽和
単量体も使用でき、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ
アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールトリ
アクリレート等が使用できる。
上記乳化重合反応において、上記分散安定剤の量とし
ては、α,β−エチレン性不飽和単量体及び分散安定剤
の総量中に3〜70重量%程度となるように使用するのが
好ましい。分散安定剤の使用量が3重量%より少ない
と、得られる分散液の安定性が低下する恐れがあるの
で、好ましくない。また分散安定剤の使用量が70重量%
より多くなると、分散系が溶液化し、分散系の特長(高
固形分、低粘度)が失なわれる恐れがあるので、やはり
好ましくない。本発明では、α,β−エチレン性不飽和
単量体及び分散安定剤の総量中に10〜50重量%程度とな
るように分散安定剤を使用するのが特に好ましい。
重合開始剤としては、通常の過硫酸カリウムまたはア
ンモニウムのような無機のパーオキサイド化合物、過酸
化ベンゾイルのような有機パーオキサイド化合物、アゾ
系化合物、レドックス系触媒などが全モノマーに対して
0.01〜5%の量で使用される。また熱重合も可能であ
る。
重合方法は、反応系の氷点より沸点までの範囲で通常
の方法によって行われる。固形分は25%以上であり、好
ましくは35%以上で行われる。
斯くして得られた水性分散液は、塗料、成型品、接着
剤、充填剤等の用途に好適に使用され得る。
本発明の水性分散液は、そのままでも使用できるが、
必要に応じて着色剤、可塑剤、硬化剤等を混入すること
もできる。ここで着色剤としては、染料、有機顔料、無
機顔料等を例示できる。可塑剤としては、従来公知のも
の、例えばジメチルフタレート、ジオクチルフタレート
等の低分子量可塑剤、ビニル重合体可塑剤、ポリエステ
ル系可塑剤等の高分子量可塑剤等が挙げられる。これら
は本発明の水性分散液製造後に混入して用いることもで
きるが、水性分散液製造時において、α,β−エチレン
性不飽和単量体に溶解しておき、生成分散液の分散粒子
中に分配しておくこともできる。また硬化剤としては、
水溶性乃至水分散性のアミノ樹脂、エポキシ樹脂等の架
橋剤を例示できる。
本発明の方法により製造される水性分散液は、分散安
定性が良好であり、また硬化剤と混合して硬化される時
の塗膜の仕上り状態、平滑性が優れ、肌アレ等が起ら
ず、塗膜の物理性も優秀である。
実施例 以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をより一層明
らかにする。尚、以下においては、単に「部」とあるの
は「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味す
る。
実施例1 クロロトリフルオロエチレン、シクロヘキシルビニル
エーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル及びパーフ
ルオロ(3−カルボキシプロピルビニルエーテル) 〔CF2=CFO(CF2)3COOH〕からなる含フッ素重合体〔フッ
素原子含有率30%、酸価30、水酸基価100、重量平均分
子量18,000〕の不揮発分74%のn−ブチルセロソルブ溶
液(含フッ素重合体液A)135部、トリエチルアミン5.4
部、水459部を反応容器に入れ、完全に溶解させた。次
に、スチレン51部、メチルメタクリレート173部、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート26部、メタクリル酸2
部の混合物を加え、窒素流入下、約30分間攪拌した。次
に、過硫酸アンモニウム0.8部を水12部に溶解した水溶
液を加え、55℃まで加熱した。55℃で重合開始に伴う発
熱が見られ80℃まで上昇した。さらに80℃で1時間攪拌
を続け、乳化重合を完結し、水性分散液を得た。得られ
た水性分散液は、室温で1カ月間放置しても沈降物は認
められず安定であった。また不揮発分は40重量%、ガー
ドナー粘度(25℃)はGであった。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるサイメル(cymel)#301〔アメリカン シア
ナミド社製〕を10部混合し、ガラス板に塗布し、150℃
で30分間焼付けたところ、艶のある透明な硬い、耐水
性、耐候性等に優れた被膜が得られた。特に耐候性につ
いては、サンシヤインウエザオメーターで3000時間試験
を行なったところ、ワレ等の発生が全く認められず、光
沢保持率も90%以上であった。
実施例2 グリシジルメタクリレート 0.7部 実施例1で使用した含フッ素重合体液A 68部 p−tert−ブチルカテコール 0.01部 ジメチルアミノエタノール 0.05部 以上の成分を80℃で反応させ、1分子当り約0.7個の活
性な二重結合を導入して、含フッ素重合体液Bを合成し
た。含フッ素重合体液Bの樹脂におけるフッ素原子含有
率は30%、樹脂酸価30、水酸基価80、重量平均分子量1
8,000であった。
次に、含フッ素重合体液Bを使用する以外は、実施例
1と全く同じ条件で中和・水溶化および乳化重合を行な
い、不揮発分40%、ガードナー粘度Fの水性分散液を得
た。得られた水性分散液は室温で3カ月間放置しても沈
降物は認められず、極めて安定であった。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるサイメル#301を10部混合し、ガラス板に塗
布し、170℃で20分間焼付けたところ、艶のある透明な
硬い、耐水性、耐候性等に優れた被膜が得られた。耐候
性については、実施例1と同様の結果が得られた。
実施例3 フッ化ビニリデン、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、アクリル酸及びブチルアクリレートからなる含フッ
素重合体〔フッ素原子含有率25%、酸価40、水酸基価12
0、重量平均分子量約60,000〕の固形分74%のブチルセ
ロソルブ溶液135部、トリエチルアミン7.2部、水774部
を反応容器に入れ、完全に溶解した。次に、t−ブチル
メタクリレート51部、n−ブチルメタクリレート102
部、スチレン51部、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト26部、N−メチロールアクリルアミド13部、メタクリ
ル酸13部の混合物を加え、30分間攪拌し、次に過硫酸ア
ンモニウム0.7部を水12部に溶解した水溶液を加え、50
℃まで加熱した。50℃で重合開始に伴う発熱が見られ、
発熱後75℃に2時間保ち乳化重合を完結させ、不揮発分
30%、ガードナー粘度Cの水性分散液を得た。得られた
分散液を室温で1ケ月間放置したところ沈降物は認めら
れず安定であった。
この水性分散液100部に対し、水溶性メラミン樹脂の
1種であるHM−100〔住友化学社製〕を11部混合し、ガ
ラス板に塗布し、170℃で20分間焼付けたところ、艶の
ある透明な硬い、耐水性、耐候性等に優れた被膜が得ら
れた。耐候性については、実施例1と同様の結果が得ら
れた。
実施例4 テトラフルオロエチレン、ヒドロキシブチルビニルエ
ーテル、メタクリル酸及びラウリルメタクリレートから
なる共重合体にグリシジルメタクリレートを付加せしめ
てなる含フッ素重合体〔フッ素原子含有率10%、酸価6
0、水酸基価70、重量平均分子通約80,000、1分子当り
の重合性不飽和結合数は2個〕の固形分74%の3−メト
キシ−3−メチルブタール溶液108部、ジメチルエタノ
ールアミン7.6部、水732部を反応容器に入れ、完全に水
に溶解させた。
次に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、
n−ブチルメタクリレート47部、メチルメタクリレート
75部、スチレン51部、メタクリル酸13部、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド40部の混合物を入れ、30分間攪拌
し、過硫酸アンモニウム1gを水13部に溶解した水溶液を
加え、53℃まで昇温したところ、発熱が始まった。発熱
後75℃で2時間保ち、乳化重合を完結させ、不揮発物30
%、ガードナー粘度(25℃)Cの水性分散液を得た。得
られた水性分散液は、室温で3ケ月間放置しても沈降物
は認められず安定性は極めて良好なものであった。
この水性分散液をガラス板に塗布し、170℃で20分間
焼付けたところ、艶のある透明な硬い、耐水性、耐候性
等に優れた被膜が得られた。耐候性は、実施例1と同程
度であった。
比較例1 フラスコ中にn−ブチルセロソルブ100部を入れ、100
℃に保持し、以下のモノマー及び重合開始剤の混合物を
3時間要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を行なっ
た。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 80部 アクリル酸 3部 スチレン 17部 ベンゾイルパーオキシド 5部 重合終了後、減圧蒸留を行なったところ、得られた重
合体液は透明であり、不揮発分74%で、ガードナー粘度
(25℃)はZ2であった。この重合体樹脂の重量平均分子
量は約8,000であった。
次に、上記で得られた重合体液を使用する以外は実施
例1と同様に、中和・水溶化および乳化重合を行ない、
不揮発分は40%、ガードナー粘度(25℃)Mの水性分散
液を得た。
得られた水性分散液を室温で1ケ月間放置したところ
沈降物は認められず安定であった。この水性分散液100
部に対し、サイメル#301を10部混合し、ガラス板に塗
布し、150℃で30分間焼付けたところ、艶のある透明な
硬い塗膜が得られたが、実施例1で得られた塗膜に比し
耐水性、耐候性が劣るものであった。特に耐候性につい
てみると、サンシヤインウエザオメーターで800時間試
験すると、ワレ等が発生し、光沢保持率も30%以下であ
った。
比較例2 実施例1で使用した含フッ素重合体液Aをトリエチル
アミンで当量中和し、水を加えて25%水溶液とした。
この水溶液100部に対し、サイメル#301を6.3部混合
し、ガラス板に塗布し、150℃で30分間焼付けたとこ
ろ、得られる塗膜は実施例1で得られるそれに比し、硬
度、耐水性、耐候性等に劣るものであった。特に耐候性
についてみると、サンシヤインウエザオメーターで3,00
0時間試験すると、ワレ等が多く発生し、また光沢保持
率も50%以下であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロオレフインと重合性不飽和酸とを
    必須成分とする、フッ素原子含有率が1〜60重量%、重
    量平均分子量が2,000〜200,000、酸価が20〜200であ
    り、かつ水酸基価が300以下である含フッ素重合体を塩
    基性物質で中和してなる水可溶性分散安定剤、および水
    の存在下に、α,β−エチレン性不飽和単量体を乳化重
    合せしめることを特徴とする含フッ素水性分散液の製造
    法。
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