JPH10245509A - 艶消し電着塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents

艶消し電着塗料組成物およびその製造方法

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JPH10245509A
JPH10245509A JP9051449A JP5144997A JPH10245509A JP H10245509 A JPH10245509 A JP H10245509A JP 9051449 A JP9051449 A JP 9051449A JP 5144997 A JP5144997 A JP 5144997A JP H10245509 A JPH10245509 A JP H10245509A
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英一 西村
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伸司 仲野
Yoshitaka Okude
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、且つ長期間安定に塗装でき、
長時間優れた塗膜外観が得られる艶消し電着塗料を提供
する。 【解決手段】 (A)(a)アセトアセチル基含有アク
リル系重合体5〜30重量%および(b)燐酸基含有ア
クリル系重合体70〜95重量%とからなるアクリル系
重合体、(B)Al(OR)m(L)3-mで表されるアルミニ
ウム錯化合物〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基
を示し、Lはケトエノール型互変異性化合物を表す。ま
たmは0≦m≦3の整数を表す〕および(C)アミノ樹
脂を含む艶消し電着塗料組成物。またアセトアセチル基
含有アクリル系重合体、アルミニウム錯化合物およびア
ミノ樹脂を予め混合しこの混合物に燐酸基含有アクリル
系重合体を混合した後、これを水に分散する上記艶消し
電着塗料組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は艶消し電着塗料組成
物に関し、特に長時間安定に保存および使用でき、均一
で肌の細かい艶消し塗膜を得ることのできる艶消し電着
塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】保存および使用安定性に優れた艶消し電
着塗料として、カルボキシル基を含むアクリル樹脂にア
ルミニウムアルコラートまたはその錯化合物を配合した
組成物が特公平7−65010号公報、特開平8−24
5912号公報、特公平1−39464号公報等で提案
されている。しかし、アルミニウムアルコラートまたは
その錯化合物は反応性が高く、アクリル樹脂中の官能基
である水酸基やカルボキシル基等との反応が経時的に進
行し、その結果塗料の増粘やゲル化が起こり、塗料とし
て利用することができなくなる。またこの電着塗料を用
いて得られた塗膜は、経時的にその平滑性が低下した
り、ブツブツの塗面になるなどの経時安定性に劣るとい
う問題が避けられなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製造
が容易で、且つ塗料の製造後に粒子の沈降や塗料の増粘
・ゲル化といった経時変化を起こさず、長期間安定に塗
装でき、長時間優れた塗膜外観が得られる艶消し電着塗
料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)(a)
アセトアセチル基含有アクリル系重合体5〜30重量%
および(b)燐酸基含有アクリル系重合体70〜95重
量%とからなるアクリル系重合体、(B)式(1)に示
すアルミニウム錯化合物、 Al(OR)m(L)3-m (1) 〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lは
ケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m
≦3の整数を表す〕、および(C)アミノ樹脂を含んで
なる艶消し電着塗料組成物に関する。また本発明は、ア
セトアセチル基含有アクリル系重合体、アルミニウム錯
化合物およびアミノ樹脂を予め混合し、この混合物に燐
酸基含有アクリル系重合体を混合した後、これを水に分
散する上記艶消し電着塗料組成物の製造方法に関する。
【0005】アルミニウム錯化合物はアクリル系重合体
中の官能基と反応して、塗料の安定性を損なうことなく
アクリル樹脂ベースの電着塗装膜に艶消し外観を付与す
ることができるため、最近電着塗料組成物に好んで用い
られてきている。しかしアルミニウム錯化合物は比較的
反応性が高いため、保存中更には使用中に徐々に反応ま
たは分解してアルミニウム錯化合物の実質的な濃度は減
少していくことが分かってきた。したがって電着塗装に
より形成された塗膜の艶消し状態も経時的に変化してい
くことが明らかになってきた。本発明はアルミニウム錯
化合物を長期的に安定に保持する方法を研究した結果得
られたものであり、アクリル樹脂がアセトアセチル基を
含有するアクリル系重合体と燐酸基を含有するアクリル
系重合体とを含むことを特徴とする。更にまた、特定の
アルミニウム錯化合物とアセトアセチル基を含有するア
クリル系重合体およびアミノ基とを予め混合し混合物
(I)を調製した後、この混合物(I)に、燐酸基を含有
するアクリル系重合体の溶剤混合物(II)を混合するこ
とによる電着塗料の製造方法を特徴とする。これにより
アルミニウム錯化合物を安定化することができ、塗料製
造が容易で長期間安定に保存・塗装することができ、且
つ長期間優れた塗膜外観を有する艶消し電着塗料が得ら
れた。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の艶消し電着塗料組成物を
構成する樹脂は、アセトアセチル基を含有するアクリル
系重合体〔以降はアクリル系重合体(a)と記す〕と燐
酸基を含有するアクリル系重合体〔以降はアクリル系重
合体(b)と記す〕とを含んでなる。アクリル系重合体
にアセトアセチル基を導入するには、側鎖にアセトアセ
チル基を有するビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽
和単量体の1種または2種以上を他のアクリル単量体と
共重合させる方法が適当である。このような側鎖にアセ
トアセチル基を有するビニル重合可能なα,β-エチレン
性不飽和単量体の例としては、アセトアセトキシエチル
(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メ
タ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。このうち特に好ましいもの
は式(2)で表されるアセトアセトキシエチルメタクリ
レートである。
【0007】
【化1】
【0008】アクリル系重合体(a)は、アルミニウム
錯化合物を保護するに十分な量のアセトアセチル基を含
有することが望ましい。アクリル系重合体中の好ましい
アセトアセチル基の含有量はアルミニウム錯化合物1モ
ルに対して0.5〜2モルである。0.5モル以下では塗
料の増粘・ゲル化や塗膜の外観不良が生じ、2モル以上
では十分な艶消しを得ることができない。
【0009】アクリル系重合体(b)は、燐酸基がアク
リル系重合体の主鎖に導入されてもよいし、側鎖に導入
されてもよい。燐酸基を導入するには、モノ(2-(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェー
ト、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)
アシッドフォスフェート等の燐酸基を含有するビニル重
合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体の1種または2
種以上を他のアクリル系単量体と共重合する方法が好ま
しい。燐酸基を含有する特に好ましいビニル重合可能な
α,β-エチレン性不飽和単量体は式(3)で表されるモ
ノ(2-メタアクリロイルオキシエチル)アシッドフォ
スフェートである。
【0010】
【化2】
【0011】アクリル系重合体に十分な艶消し性を付与
するためには、アクリル系重合体中の燐酸基に基づく酸
価が1〜20となる量で燐酸基を含有されるのが好まし
い。燐酸基のより好ましい含有量は、燐酸基に基づく酸
価が5〜15となる量である。燐酸酸価が1未満では十
分な艶消し効果が得られない場合があり、また20を越
えると艶が消えすぎたり、塗膜の耐水性が低下するため
好ましくない。
【0012】アクリル系重合体中に燐酸基を導入するこ
とにより、アミン等のアルカリ物質を添加した際に強い
親水性サイトを形成し、塗料組成物を水に分散したとき
一種の高分子界面活性剤として働き、その疎水性内部に
アルミニウム錯化合物およびアルミニウム錯化合物を結
合した上記アクリル系重合体(a)を内包することによ
り、アルミニウム錯化合物を水から保護することによ
り、アルミニウム錯化合物、したがって塗料の安定性向
上に寄与するものと考えられる。
【0013】本発明のアクリル系重合体はアセトアセチ
ル基を含有するアクリル系重合体(a)と燐酸基を含有
するアクリル系重合体(b)との混合物でもよいし、ま
たは1分子中にアセトアセチル基と燐酸基の両方を含有
するアクリル系重合体であってもよく、またはそれらの
混合物であってもよい。アクリル系重合体がアセトアセ
チル基を含有するアクリル系重合体(a)と燐酸基を含
有するアクリル系重合体(b)との混合物である場合は
全アクリル系重合体中の燐酸基を含有するアクリル系重
合体(b)の割合は70〜95重量%であることが好ま
しく、80〜90重量%が特に好ましい。いずれの存在
形態の場合もアセトアセチル基および燐酸基の含有量は
アクリル系重合体全体として上記の範囲の量を含むこと
が好ましい。
【0014】上記アクリル系重合体(a)およびアクリ
ル系重合体(b)からなるアクリル系重合体には、塗料
液の増粘防止や塗膜により良好な艶消し性を付与する上
で、アセトアセチル基および/または燐酸基と同時にカ
ルボキシル基を導入することが好ましい。カルボキシル
基を導入するには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエス
テル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン
酸、シトラコン酸等のビニル重合可能なα,β-エチレン
性不飽和単量体の1種または2種以上を重合させる方法
が適当である。
【0015】またアクリル系重合体には、燐酸基および
カルボキシル基のような酸性基に加えて、後述するアミ
ノ樹脂との反応性を高めるために、水酸基を導入したも
のが好ましい。アクリル系重合体に水酸基を導入する方
法としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ
ル基含有アクリルモノマーの1種または2種以上を共重
合させる方法が一般的である。
【0016】アクリル系重合体には、更にアクリル成分
として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イ
ソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)ア
クリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2-
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート
およびグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリレート類、またはN-ブトキシ(メタ)アクリルア
ミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メ
タ)アクリルアミド類の1種または2種以上を共重合す
ることができ、上記(メタ)アクリレート類および(メ
タ)アクリルアミド類以外に、スチレン、α-メチルス
チレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、フッ
化ビニルおよびフッ化ビニリデン等を共重合してもよ
い。これらのうち、塗料液の経時安定性を確保するうえ
で、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の比較
的極性の低い置換基をもつ(メタ)アクリレートを共重
合することが好ましい。
【0017】カルボキシル基は、アクリル系重合体が水
分散性を獲得するように、燐酸基とカルボキシルとの合
計の酸基による酸価が20〜120となる量で含有され
るのが好ましく、より好ましくは酸価が40〜100と
なる含有量である。また水酸基含有単量体は、アミノ樹
脂との反応性の関係から、アクリル系重合体中に、水酸
基価として40〜200、より好ましくは50〜150
程度となる量で共重合されていることが望ましい。
【0018】また、アクリル系重合体は、艶消し性や電
着塗膜のフロー性との関係から、その重量平均分子量と
して、5,000〜100,000、より好ましくは1
0,000〜50,000の範囲のものがよい。
【0019】本発明において配合されるアルミニウム錯
化合物は、式(1) Al(OR)m(L)3-m (1) 〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lは
ケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m
≦3の整数を表す〕で表される。上記アルミニウム錯化
合物におけるアルコラート基は、アクリル系重合体中の
ヒドロキシル基およびカルボキシル基との反応性が比較
的高い官能基であり、比較的短鎖のアルキル基からなる
アルコラート基は比較的長鎖のアルキル基からなるアル
コラート基より反応性が高い。したがって、塗料の増粘
やゲル化の発生を少なくし製造時の取り扱い性を容易に
するために、好ましいRは炭素数が3以上のアルキル基
であり、より好ましくは炭素数が6以上のアルキル基で
ある。
【0020】アルミニウム錯化合物中のLで表されるケ
トエノール型互変異性化合物の具体例としては、アセチ
ルアセトンやアセト酢酸エチル等を挙げることができ
る。
【0021】特に好ましいアルミニウム錯化合物は、ア
セチルアセトンやアセト酢酸エチルをLとし、アルコラ
ート基を含まない化合物であり、具体例として「アルミ
キレートD」(川研ファインケミカル(株)製)等があ
る。
【0022】本発明におけるアルミニウム錯化合物の配
合量は、アクリル系重合体とアミノ樹脂からなる樹脂の
合計量100重量部に対して1〜10重量部、好ましく
は2〜6重量部であり、アクリル系重合体の分子量や官
能基濃度、更には目的とする塗膜性能に応じて上記範囲
内で適宜変え得るものである。
【0023】本発明の塗料組成物の成分(C)として用
られるアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグアナ
ミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アル
コールを変性させて得た縮合体である。本発明におい
て、アミノ樹脂は分子量が400〜2,000のものが
好ましい。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時
の移行性が悪いため、好ましくない。従って、メタノー
ル、エタノールのみで変性したものは水に溶けやすいた
め好ましくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性
タイプのメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例
としては、商標サイメル235、238、285、23
2(三井サイテック株式会社製)の名前で販売されてい
るメラミン樹脂が挙げられる。
【0024】塗料中の全樹脂成分(アクリル系重合体お
よびアミノ樹脂)に占めるアミノ樹脂の配合割合は10
〜60重量%が好適であるが、アクリル系重合体中の官
能基量や塗膜性能に応じて変え得るものである。特に好
ましい配合割合は25〜45重量%である。
【0025】本発明の電着塗料の製造方法においては、
アルミニウム錯化合物、アクリル系重合体(a)および
アミノ樹脂とを予め十分混合して無水の混合物(I)を
調製するのが好ましく、塗料製造時の増粘や塗料製造後
の塗料浴の経時的な増粘を防ぐ上で、アルミニウム錯化
合物とアクリル系重合体(a)とを温度範囲5〜100
℃で、1〜10時間予め混合し、その後にアミノ樹脂を
混合して無水の混合物(I)を調製することが更に好ま
しい。このように調製した混合物(I)に、アクリル系
重合体(b)を溶剤に溶解した混合物(II)を混ぜ合わ
せて混合物(III)を調製し、これに水を加えて混合物
(IV)とするのが最も好ましい。しかし必ずしもこの製
造方法に限定されるものではない。
【0026】本発明におけるアクリル系重合体への水溶
性ないしは水分散性の付与は、アルカリ性物質の1種ま
たは2種以上を添加することによって行う。即ち、アク
リル系重合体(A)の酸性基に対して、通常0.3〜1.
0当量のアルカリ性物質、例えばモノエチルアミン、ジ
エチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミ
ン等の脂肪族アミン類、ジメチルエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノ
ールアミン類、ピリジン、ピペリジン等の環状アミン
類、その他の有機塩基あるいはアンモニア、カセイソー
ダ、カセイカリ等の無機塩基を用いて、燐酸基含有アク
リル系重合体を中和することにより、水分散性を付与す
ることができる。
【0027】アルカリ性物質の添加時期および添加対象
物に関しては、アルミニウム錯化合物とアクリル系重合
体(a)およびアミノ樹脂からなる混合物(I)または
アクリル系重合体(b)が溶剤に溶解した混合物(II)
に予め混合しておいてもよいし、混合物(I)と混合物
(II)の混合前または混合後に添加してもよいし、混合
物(IV)を調製する際に、水をアルカリ性物質との混合
液として使用してもよいし、水溶性ないしは水分散性を
ある程度付与した後に一部を後添加しても構わないが、
塗料製造時の増粘を防ぐ上では、アクリル系重合体
(b)が溶剤に溶解した混合物IIに予め混合しておくこ
とが好ましい。
【0028】水の添加時期および添加対象物に関して
は、アルミニウム錯化合物とアクリル系重合体(a)お
よび(b)およびアミノ樹脂およびアルカリ性物質より
なる混合物(III)に添加することが好ましいが、塗料
製造を容易にする上で、一部の水をアルカリ性物質との
混合液としてアクリル系重合体(b)が溶剤に溶解した
混合物(II)に添加しても構わない。混合物(II)にお
いて許容される水分量は、好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは15重量%以下である。
【0029】アルミニウム錯化合物、アクリル系重合体
(a)およびアミノ樹脂を予め混合し、これにアクリル
系重合体(b)を混合する本発明の方法は、アクリル系
重合体(a)によるアルミニウム錯化合物の保護によっ
て、アルミニウム錯化合物が水やアクリル系重合体
(b)と接触するのが抑制されるために塗料浴の増粘や
ゲル化が極めて緩慢となり、容易に安定な塗料を製造で
きる利点がある。
【0030】本発明の塗料を用いての電着塗装には、従
来行われている条件を用いればよく、特に限定されな
い。具体的には、例えば塗料の温度を15〜35℃に保
ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間かける。そ
の後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗装膜を
完成させる。
【0031】
【実施例】本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断
りのない限りすべて重量部である。実施例 1〜7および比較例 1〜3 (1)アクリル系重合体の合成 表1に示す配合でアクリル系重合体1〜7を合成した。
溶剤であるイソプロピルアルコールおよびブチルセロソ
ルブの所定量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加
熱し、緩やかに還流させながらモノマー、開始剤混合物
を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた
後、開始剤であるジメチル-2,2′−アゾビスイソブチ
レートおよびイソプロピルアルコールを1.5時間かけ
て滴下し、さらに2時間反応させた。得られたアクリル
樹脂ワニスの不揮発分、水酸基価、酸価、重量平均分子
量を表1に示す。このうち重合体1〜3が燐酸基含有ア
クリル系重合体(b)であり、重合体4〜6がアセトア
セチル基含有アクリル系重合体(a)である。重合体7
は燐酸基もアセトアセチル基も含まないアクリル系重合
体である。
【0032】
【表1】
【0033】(2)水分散液(塗料)の調製 (1)で調製した各アクリル樹脂ワニス、アミノ樹脂
〔メチル/ブチル変性メラミン樹脂「サイメル235」
(三井サイテック(株)製)〕およびアルミニウム錯化
合物を表2に記載した配合割合で混合した。次いでアク
リル系重合体の酸性基の60%を中和する量のトリエチ
ルアミンを添加して混合し、最後に固形分濃度が10重
量%となるように水を加えて、実施例1〜7および比較
例1〜3の塗料を得た。
【0034】
【表2】
【0035】(3)塗料の性能試験 塗料の性能として次のように経時安定性を調べた。試験
は室温で行った。試験の結果を表3に示した。経時安定性: 塗料を室温で3カ月放置した後の粒子の
沈降状態を目視判定した。判定基準は以下の通りであ
る: ◎:沈降なし 〇:少し沈降あり △:かなり沈降あり
【0036】(4)電着塗装および塗膜性能試験 6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アル
マイト皮膜厚9μ)、封孔処理(85℃の熱水に3分間
浸漬)を施した板へ塗装した。上記(2)で調製した実
施例および比較例の塗料中へこの板を浸け、100〜2
00Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その
後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行ったものにつ
いて、塗膜の光沢および外観を評価した。また塗料を室
温で3カ月保存した後電着塗装して、同様に塗膜の光沢
と外観を評価しその変化を経時安定性とした。試験結果
を表3に表した。
【0037】
【表3】
【0038】表3に記載した塗膜性能は次の方法にした
がって行った。塗膜の外観: 目視により、以下の基準に従って判定し
た: ◎:肌の細かい艶消し肌 〇:やや肌の粗い艶消し肌 △:肌の粗いブツブツの艶消し肌
【0039】塗膜の光沢: デジタル変角光沢計UGV
−5K(スガ試験機(株)製)によって塗膜の60°方
向の光沢度を測定した。塗膜光沢の経時安定性は、塗料
を室温で3カ月放置した後に上記と同様にして塗装した
塗膜の光沢を測定し、塗料調製直後に塗装した場合の光
沢と比較してその変化を、以下の基準に従って判定し
た: ◎:±5以内 〇:±10以内 △:±15以内
【0040】
【発明の効果】本発明の電着塗料は艶消し電着塗料とし
て塗膜に微細で美しい艶消し肌を発現し、且つ保存後も
粒子の沈降がなく、また保存後の塗料を用いて電着塗装
を行った場合も従来のアルミニウム錯化合物を単独で用
いた艶消し電着塗料に較べて、塗膜の外観および光沢の
変化は少なく経時安定性に優れていることが確認され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C09D 143/02 133:14 161:20)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)アセトアセチル基含有アク
    リル系重合体5〜30重量%および(b)燐酸基含有ア
    クリル系重合体70〜95重量%とからなるアクリル系
    重合体、(B)式(1)に示すアルミニウム錯化合物、 Al(OR)m(L)3-m (1) 〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lは
    ケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m
    ≦3の整数を表す〕、および(C)アミノ樹脂を含んで
    なる艶消し電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 アセトアセチル基含有アクリル系重合体
    (a)中のアセトアセチル基含有量がアルミニウム錯化
    合物1モルに対して0.5〜2モルの量である請求項1
    記載の艶消し電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 燐酸基含有アクリル系重合体中に含有さ
    れる燐酸基の含有量が燐酸基に基づく酸価が1〜20と
    なる量である請求項1または2記載の艶消し電着塗料組
    成物。
  4. 【請求項4】 アルミニウム錯化合物(B)がアクリル
    系重合体(A)とアミノ樹脂(C)の樹脂合計固形分に
    対して1〜10重量%含まれる請求項1、2または3の
    いずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル系重合体が酸価20〜120、
    水酸基価40〜200、重量平均分子量が5,000〜
    100,000である請求項1から4のいずれかに記載
    の艶消し電着塗料組成物。
  6. 【請求項6】 アミノ樹脂がアクリル系重合体/アミノ
    樹脂=9/1〜4/6の重量比で含まれる請求項1から
    5のいずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
  7. 【請求項7】 アセトアセチル基含有アクリル系重合
    体、アルミニウム錯化合物およびアミノ樹脂を予め混合
    し、この混合物に燐酸基含有アクリル系重合体を混合し
    た後、これを水に分散する請求項1記載の艶消し電着塗
    料組成物の製造方法。
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JP2005002217A (ja) * 2003-06-12 2005-01-06 Honny Chem Ind Co Ltd アニオン型艶消し電着液用樹脂組成物
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