JPH10219152A - 艶消し電着塗料組成物 - Google Patents

艶消し電着塗料組成物

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JPH10219152A
JPH10219152A JP2135497A JP2135497A JPH10219152A JP H10219152 A JPH10219152 A JP H10219152A JP 2135497 A JP2135497 A JP 2135497A JP 2135497 A JP2135497 A JP 2135497A JP H10219152 A JPH10219152 A JP H10219152A
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JP
Japan
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resin
electrodeposition coating
water
coating composition
solvent
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Application number
JP2135497A
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English (en)
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Noriya Sasagawa
憲也 笹川
Hiroyuki Oguri
弘之 大栗
Hiroshi Saito
宏 斎藤
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた付着性および耐アルカリ性を保持しつ
つ、下地のアルミニウム等の軽金属製品基材のダイスマ
ークを効果的に隠蔽することができるアニオン性艶消し
電着塗料組成物を提供する。 【解決手段】 沸点140〜200℃で水に対する溶解
度が10以下である溶剤が1種または2種以上含有さ
れ、その溶剤量が全有機溶剤中に重量比で1/3以上で
あるアニオン性艶消し電着塗料組成物。また電着塗装に
使用する電着塗料の有機溶剤の一部を沸点140〜20
0℃で水に対する溶解度が10以下である溶剤に代える
ことによりダイス目を改善する電着塗装方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は艶消し電着塗料組成
物に関し、特にアルミニウム材等の軽金属材に塗装した
場合に、下地のダイスマーク等が目立たない良好な塗膜
外観を有する艶消し塗膜を形成し得る艶消し電着塗料組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】電着塗装は、長期間にわたって連続的に
塗装を行うことができるため自動化工程に好適であり、
且つ自動車のような大型の対象物をも容易に塗装でき、
また水性溶媒を使用できるため、更に塗膜厚さの制御も
容易であるため、工業的に広く採用されている。電着塗
装の中でも、艶消し電着塗装は、金属光沢感を抑制した
塗膜を得ることができるため、各種金属製品の表面保護
だけでなく、美観も向上させ得る手段として、最近その
需要が広がりつつある。
【0003】近年、高外観指向の一環として、アルミニ
ウム等の軽金属について、その押出成形時に生じる傷で
あるダイスマークを塗装によりできるだけカバーしたい
との要求があり、それに応じて種々の試みがなされてい
る。特開平8−170036号公報ではシリコーン樹脂
などの不相溶成分を配合した電着塗料をアルミニウム材
に塗装することにより、下地のダイスマークを目立たな
いようにする方法が提供されている。また特開平8−2
31903号公報は、含フッ素界面活性剤を添加した艶
消し電着塗料用樹脂組成物を電着塗装することにより、
下地のダイスマークを隠蔽することができることを開示
している。しかし、特開平8−170036号公報の場
合、塗膜が白ぼけし外観が悪くなるため商品価値が低下
する。また特開平8−231903号公報の場合は、含
フッ素界面活性剤が非常に高価であり、フッ素が特異な
表面特性を持っているため密着性、シーリング性、塗膜
はじきなどで問題を生じ易いといった欠点を有してい
る。
【0004】本発明者らは先に、アミノ樹脂とアクリル
樹脂との混合系へ金属キレート化合物を存在させること
によって、塗膜の硬化反応を金属キレート化合物とアク
リル樹脂との反応、およびアクリル樹脂とアミノ樹脂の
間の反応の二種類とし、硬化が両者の反応温度の相違に
よる2段反応によって進行するために艶消し塗膜が得ら
れる塗料について出願している(特願平8−16716
2号)。この塗料は、塗料中にゲル状物質を含まないた
め、沈降や増粘によって塗料が不均一になることがな
く、また硬化反応の温度差でつやを消すため、電着塗装
時の塗膜状態の影響を受けることのない、均一でむらの
無い艶消し塗膜を長期にわたり安定に得ることができる
ものであった。
【0005】更に、本発明者らは、特願平8-3354
50号において、a)δ値(溶解性パラメータ:R.F.Fe
dors,Polym. Eng. Sci.,14〔2〕147(1974)より引用)が
9.3未満である低極性モノマー成分を全アクリル樹脂
のモノマー成分に対して10〜50重量%含有するアク
リル樹脂、b)アミノ樹脂およびc)金属アルコラート
またはキレートを含む、アセトン不溶分を含まず、0.
4μmのフィルターにて濾過し得るアニオン性艶消し電
着塗料組成物についても出願している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特願平8−
167162号および特願平8−335450号の塗料
に改良を加え、下地の軽金属製品基材のダイスマークを
効果的に隠蔽することができるアニオン性艶消し電着塗
料組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意研究を重ねた結果、特定の溶剤を使用する
ことにより、著しくダイス目を改善できることを発見し
た。本発明は、沸点140〜200℃、好ましくは15
0〜180℃で水に対する溶解度が10以下である溶剤
が1種または2種以上含有され、その溶剤量が全有機溶
剤中に重量比で1/3以上であるアニオン性艶消し電着
塗料組成物に関する。また本発明は、アルミニウム基材
等の軽金属基材への電着塗装において、その電着塗装に
使用する電着塗料中の有機溶剤の一部として、沸点14
0〜200℃、好ましくは150〜180℃で水に対す
る溶解度が10以下である溶剤の1種または2種以上の
混合物を用いることによりダイス目を改善する方法に関
する。
【0008】電着塗料では、樹脂の粘度を下げて取り扱
い易くするとともに、水溶性樹脂の水に対する溶解性を
助長する目的で、通常少量の有機溶剤が電着浴中に添加
されるが、本発明はこのように用いられる有機溶剤の
中、その重量で1/3以上に、沸点が140〜200
℃、好ましくは150〜180℃で水に対する溶解度が
10以下である溶剤の1種または2種以上を使用するこ
とを特徴とする。これによって本発明のアニオン性艶消
し電着塗料組成物はアルミニウム等の軽金属製品基材に
塗装することにより基材表面上の塗膜のダイス目を改善
する作用を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】沸点が140〜200℃で水に対
する溶解度が10以下である溶剤の代表的な例は、プロ
ピレングリコール-n-ブチルエーテル、エチル-3-エト
キシプロピオネート、n-ヘキシルアセテート、アニソ
ール、フェネトール、プロピレングリコールモノ-t-ブ
チルエーテル、シクロヘキサノン、メチルアミルケト
ン、エチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイ
ソブチルケトン、ヘキサノール、ヘプタノール、シクロ
ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ジクロロベン
ゼン、クロロプロパノールである。また市販の溶剤であ
る、「スワゾール310」、「スワゾール1000」、
「スワゾール1500」(いずれも丸善石油社製)、
「ソルベッソ100」、「ソルベッソ150」(いずれ
も東燃化学社製のソルベントナフサ)も使用できる。特
に好ましい溶剤はプロピレングリコール-n-ブチルエー
テル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、
ジイソブチルケトン、2-エチルヘキサノール、「ソル
ベッソ100」、「ソルベッソ150」である。これら
の溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用
いてもよい。
【0010】これらの溶剤がダイス目改善に効果がある
のは、次のような理由によるものと考えられる。アルミ
ニウム表面上に塗装された塗膜は塗料樹脂を主体とし、
その他の少量成分とともに有機溶剤を含んでいる。焼き
付け工程での加熱にともなって溶剤は徐々に蒸発し、ま
たほぼ同時に樹脂は架橋して硬化膜を形成するが、図1
に図解するように、溶剤の沸点が140℃より低い(例
えば120℃)場合、樹脂の硬化前に溶剤が蒸発して揮
散してしまうため塗膜の粘度が高くなり、流動性がなく
なるため下地のダイスマークがそのまま焼付後の塗膜に
残ってしまってダイス目を生じる(図1の(a))。ま
た沸点が200℃より高い(例えば205℃)溶剤の場
合は焼付初期の粘度が最低になる状態でも溶剤はほとん
ど揮散しないため高い流動性を保持して塗膜が平滑にな
る(レベリング効果が大きい)。しかし焼付末期の樹脂
が硬化した時点でもなお多くの溶剤が残存しており、硬
化開始後に揮散して塗膜の体積を減少するため、塗膜は
ダイスマークに沿って窪んでやはりダイス目を発生する
(図1の(c))。これに対して、沸点が140〜20
0℃の範囲にある溶剤を使用すると、加熱初期には溶剤
は塗膜中に残存し粘度を下げる効果が大きい。そのため
塗膜をフローさせ基材表面の凹凸に追随することなく水
平平滑な硬化した塗膜表面を形成することができ、ダイ
ス目が改善されると考えらえる(図1の(b))。
【0011】また沸点範囲が上記の範囲内にある溶剤で
あっても、水との相溶性が良すぎる溶剤、例えばブチル
セロソルブ、の場合は、その大半が水層に移行して塗膜
中にあまり持ち込まれないためダイス目改善の効果は少
ない。
【0012】上記本発明は従来の一般のアニオン性艶消
し電着塗料のすべてに適用できる。特に特願平8−16
7162号および特願平8−335450号に記載のア
ニオン性艶消し電着塗料組成物に適用することにより均
一でむらのない長期にわたって安定でありダイス目改善
に有効なアニオン性艶消し電着塗料組成物を得ることが
できる。
【0013】特に本発明の電着塗料組成物はアセトン不
溶分を含まず、0.4μmのフィルターにて濾過しうる
アニオン性艶消し電着塗料組成物である。本明細書にお
いて、「アセトン不溶分を含まない」とは、塗料0.2
gをアセトン5gに加え混合した際に、目視観察によっ
て透明となることが認められるものをいう。本発明の塗
料は、アセトン不溶分を含まないため、電着塗膜のフロ
ー性が良く肌の細かい艶消し外観となり、下地の凹凸や
処理ムラ等の隠蔽力が優れている。
【0014】本発明の塗料は、0.4μmのフィルター
にて濾過し得る。塗料を濾過する必要は無いが、この
0.4μmのフィルターによる濾過可能性は、塗料中に
粒子ができていないこと、およびゲル化、増粘が生じて
いないことの指標となるものである。即ち、本発明の塗
料は粒子、ゲル状部分を含まず、粘性も高くないため、
粒子の沈降等に起因する塗料の不均一の問題がなく、長
時間安定した塗装が可能である。
【0015】したがって本発明のアニオン性艶消しアル
ミ電着塗料組成物は、必須成分としてアニオン性水溶性
樹脂、架橋用樹脂および添加剤を含むものであるが、好
ましくは架橋用樹脂としてアミノ樹脂、ブロックイソシ
アネート、添加剤として金属のアルコラートまたはキレ
ート化合物、および顔料を含む。
【0016】本発明においては、アニオン性水溶性樹脂
としては水溶性アクリル樹脂を使用する。アクリル樹脂
は側鎖にカルボキシル基および水酸基を有する。アクリ
ル樹脂にカルボキシル基を導入するための重合性モノマ
ーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、
イタコン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン酸、シ
トラコン酸等のビニル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸
およびこれらの混合物からなる群から選択すればよい。
【0017】カルボキシル基は、アクリル樹脂の酸価が
20〜150、好ましくは40〜100となるよう、導
入する。酸価が20未満では樹脂の水分散性が劣り、均
一な塗料を製造することができない。また、酸価が15
0を越えると塗膜の耐水性が不良となり好ましくない。
【0018】アクリル樹脂へ水酸基を導入するのは、架
橋剤との硬化膜を得るためである。水酸基を導入するた
めには水酸基を有する重合性モノマー、例えばβヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、βヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、「プラクセルFM1〜
5」(商標;ダイセル化学社製)およびこれらの混合物
からなる群から選択されるモノマーを共重合させればよ
い。
【0019】本発明のアクリル樹脂中、水酸基は水酸基
価40〜200、より好ましくは50〜150となるよ
うに導入する。水酸基価が40未満では硬化反応が十分
に起こらず、硬度が低下し、耐化学性が不良となる。一
方、200を越えると未反応の水酸基が塗膜に残存し、
耐水性、耐候性が不良となる。
【0020】本発明のアクリル樹脂の他のアクリル成分
としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル
(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アクリ
レート等がいずれも好適に用いられる。また、本発明の
アクリル樹脂にはスチレン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、(メタ)アクリロニトリル、弗化ビニル、弗化ビ
ニリデン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等
を共重合してもよい。
【0021】さらに、本発明のアクリル樹脂はN−メチ
ロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキシメチ
ルアクリルアミドを共重合させてもよい。これらのアミ
ド成分は、樹脂の全モノマー重量に対して10重量%以
下、好ましくは5重量%以下を添加する。このアミド成
分を共重合させることによって、アクリル樹脂同士で架
橋反応が起こるため架橋密度が高くなり、耐水性、耐化
学性などが改善されるが、10重量%を越えて共重合さ
せても更なる効果の改善が認められない一方でコスト高
となり、好ましくない。
【0022】本発明のアクリル樹脂は、溶液重合、エマ
ルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法のいずれによっ
て製造してもよい。各モノマーと開始剤を添加して重合
する溶液重合法によるのが好ましい。
【0023】アクリル樹脂を調製する際に用いる開始剤
としては、通常の合成に用いられるものがいずれも好適
に用いられ、例えばアゾ系化合物、ジスルフィド系化合
物、スルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジアゾ
系化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド系化合物等
が例示される。
【0024】本発明の塗料に用いるアクリル樹脂は、重
量平均分子量が5000〜100000、より好ましく
は10000〜50000であり、分子量分布の尺度で
あるMw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が2
〜6、より好ましくは2〜4である。アクリル樹脂の分
子量が5000以下ではつやが消えにくくなり、100
000を越えると電着塗膜のフロー性が悪くなるため、
均一な艶消し外観を得ることができなくなる。
【0025】本発明の塗料において、アクリル樹脂はカ
ルボキシル基をアルカリ性物質、例えばトリエチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミンなどで中和して水溶性の
樹脂として用いればよい。本発明の塗料中、アクリル樹
脂は全樹脂成分およびキレート化剤の全重量に対して5
0〜80重量%配合する。
【0026】本発明の塗料組成物のひとつの成分として
用られるアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグア
ナミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級
アルコールを変性させて得た縮合体である。本発明にお
いて、アミノ樹脂は分子量が400〜2000のものが
好ましい。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時
の移行性が悪いため、好ましくない。従って、メタノー
ル、エタノールのみで変性したものは水に溶けやすいた
め好ましくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性
タイプのメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例
としては、商標サイメル235、238、285、23
2(三井サイテック株式会社製)の名前で販売されてい
るメラミン樹脂が挙げられる。
【0027】本発明の塗料中、アミノ樹脂は全樹脂成分
に対して15〜50重量%配合する。アミノ樹脂の量が
15重量%未満では十分な硬化反応が起こらないため、
好ましくない。一方、50重量%を越えると塗膜が硬く
なりすぎ、密着性や柔軟性が低下する。
【0028】架橋用として使用するブロックイソシアネ
ートとしてはHMDI(ヘキサメチレンジイソシアネー
ト)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)などの
メチルエチルケトンオキシムブロック体が適しており、
-NCO/-OH比が0.9〜1.2のものが好ましい。
【0029】本発明の塗料組成物にひとつの成分として
用いられる金属のアルコラートもしくはキレート化合物
としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムお
よび亜鉛からなる群から選択される金属と、アルコー
ル、アルキルアセト酢酸エステルおよびアセチルアセト
ンからなる群から選択される化合物とのアルコラートま
たはキレートが好適に用いられる。金属アルコラートを
生成するのに好適なアルコールとしては、エタノール、
n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の一
級アルコール、およびイソプロピルアルコール、イソブ
チルアルコール等の2級アルコール、tert.−ブチルア
ルコール等の三級アルコールなどが例示される。金属と
しては、アルミニウムまたはジルコニウムが好ましく、
最も好ましくはアルミニウムである。
【0030】本発明の塗料に用いられる金属アルコラー
トまたはキレート化合物としては、1の金属に対して単
一のアルコラートまたはキレート基が結合乃至配位して
いるものであっても、1の金属に対して複数種類のアル
コラートおよび/またはキレート基が結合乃至配位して
いるものであってもよい。
【0031】本発明の塗料に用いられる特に好ましいア
ルミニウムアルコラートまたはアルミニウムキレート化
合物としては、式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一の炭素数1〜20の同一アルキル基、
Lは同一でも異なっていてもよいケトエノール互変異性
体化合物、nは0〜3の整数を示す。)で示される化合
物である。nが2または3の化合物が好ましい。
【0032】上記式中、具体的にはアルキルアセテート
アルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムイソプ
ロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソ
プロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アル
ミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニ
ウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチル
アセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミ
ニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチル
アセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモ
ノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテー
ト、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(tert
−ブチルアセトアセテート)等が例示される。
【0033】本発明の塗料中、金属のアルコラートある
いはキレート化合物は全樹脂成分に対して1〜10重量
%、好ましくは1〜5重量%配合する。1重量%未満の
配合量では十分な艶消し作用が得られず、一方5重量%
を越える場合にはつやが消えすぎる場合もある。但し、
アクリル樹脂の分子量が1万以下の場合には6〜10重
量%の量を添加した方がよい場合もある。
【0034】本発明の塗料組成物においては、上記樹脂
成分に加えてさらに溶剤にキレート化剤を添加してもよ
い。キレート化剤を加えることによって塗料中の金属キ
レート化合物が安定化され、塗料の経時安定性が増加す
る、すなわちゲルの生成や、増粘が抑制されると考えら
れる。キレート化剤としてはアセチルアセトン、アセチ
ル酢酸エステル、マロン酸ジエステルなどのβ−ジケト
ンおよびβ−ジケトエステル類が好適に用いられる。特
にアルミニウムアルコラート化合物を用いる場合には、
該化合物の反応性が高いためキレート化剤を溶剤に添加
することが好ましい。キレート化剤を添加する場合は、
全樹脂成分中、1〜20重量%、より好ましくは2〜1
0重量%添加する。キレート化剤の添加量が1%未満で
は安定化作用が十分ではなく、一方20重量%を越える
と金属アルコラートまたはキレート化合物が安定になり
すぎ、艶消し効果が低下するため好ましくない。
【0035】本発明の塗料は、アミノ樹脂と金属アルコ
ラートまたはキレート化合物を混合し、得られた混合物
を本発明のアクリル樹脂と混合し、得られた混合物へア
ルカリ性物質、脱イオン水を加えて調製すればよい。塗
料の固形分含量は5〜20重量%、好ましくは約10重
量%とする。さらに必要に応じて消泡剤、界面活性剤、
染料、着色剤その他通常用いられる添加剤を配合しても
よい。
【0036】本発明の塗料組成物の貯蔵安定性をさらに
向上させるためには、塗料中の粒子径を200mμ以
下、好ましくは150mμ以下の範囲にするとよい。し
かし粒子径が5mμ未満である場合には塗料組成物がす
べて水溶化してしまい、電着しにくくなる。一方、20
0mμを越えるとエマルジョン粒子の安定性が低下する
ため好ましくない。
【0037】本発明の塗料は、様々な導電性の金属材料
の艶消し電着塗装に用いることができる。特にアルミニ
ウム、アルミニウム合金の艶消し電着塗装に有用であ
る。アルミニウムあるいはその合金は、本発明の塗料に
より塗装する前に、アルマイト処理および封孔処理を施
すのが好ましい。
【0038】本発明の塗料を用いての電着塗装には、従
来行われている条件を用いればよく、特に限定されな
い。具体的には、例えば塗料の温度を15〜35℃に保
ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間かける。そ
の後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗装膜を
完成させる。
【0039】
【実施例】本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断
りのない限りすべて重量部である。実施例 1〜4 (1)アクリル樹脂の合成とワニスの調製 表1に示す配合でアクリル樹脂を合成した。溶剤である
イソプロピルアルコールの所定量を反応容器に仕込み、
90〜100℃に加熱し、穏やかに還流させながらモノ
マー、開始剤混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了
後更に1時間反応を続けた後、開始剤であるアゾイソブ
チロニトリル0.5部およびイソプロピルアルコール1
部を1.5時間かけて滴下し、さらに2時間反応を続行
した。得られたアクリルのイソプロピルアルコール溶液
を減圧下、40℃前後で脱溶剤を行い不揮発分を75%
に濃縮した。樹脂の水酸基価、酸価、重量平均分子量を
表1に示した。このアクリル樹脂溶液1または2に、表
2に示すように各種溶剤を加えてアクリル樹脂ワニス
A、B、CおよびDを調製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】(2)水分散液(塗料)の調製 (1)で調製したアクリル樹脂ワニス35.0部にトリ
エチルアミンを中和率60%(カルボキシル基に対し
0.6当量)となるように添加し10分間撹拌して均一
に混合した。次いでこの中に予めメラミン樹脂〔サイメ
ル 235(三井サイテック(株)製);メチル/ブチ
ル変性〕にアルミキレート化合物〔アルミキレートD
(川研ファインケミカル社製);アルミニウムモノアセ
チルアセトナートビス(エチル)アセトアセテート〕を混
合しておいたものを所定量加えて10分間撹拌した。更
にこれに撹拌しながら脱イオン水を徐々に加えて固形分
10%の水分散液を調製し、電着塗料とした(表3)。
【0043】(3)電着塗装および得られた電着塗膜の
性能 上記電着塗料を20℃に温度調整し、6063Sアルミ
合金板にアルマイト処理(アルマイト皮膜厚9μm)お
よび封孔処理(85℃の熱水に3分間浸漬)を施した
後、乾燥膜厚8〜10μmとなるように100〜200
Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その後1
80℃で30分間焼付け乾燥し性能試験に供した。塗膜
の性能試験結果を表3に示した。
【0044】
【表3】
【0045】比較例 1〜3 (1)アクリル樹脂ワニスの調製 実施例で合成したアクリル樹脂溶液に表4に示すように
溶剤を添加してアクリル樹脂ワニスE、FおよびGを調
製した。
【0046】
【表4】
【0047】(2)電着塗装および得られた電着塗膜の
性能 アクリル樹脂ワニスE、F、Gを実施例と同様に処理し
て比較例1〜3の電着塗料を調製し(表5)、実施例と
同様にアルマイト処理および封孔処理したアルミニウム
板にこの塗料を電着塗装した。塗膜性能を表5に示し
た。
【0048】
【表5】
【0049】上記において塗膜の評価は次の方法および
判定基準により行った。耐ダイス目性: 目視によりダイス目の隠蔽性を判定し
た。 (判定基準)○:良好、 △:普通、 ×:劣る光沢: デジタル変角光沢計UGV−5K(スガ試験機
(株)製)により測定した60°方向の光線反射率で表
した。塗膜付着性: JIS H8602 5.8に碁盤目試験
法により測定した。耐アルカリ性: 25℃の1%NaOH水溶液中に72
時間浸漬して外観変化を目視判定した。
【0050】
【発明の効果】本発明の艶消し電着塗料組成物を用いて
アルミニウム製品等の軽金属製品を電着塗装することに
より、軽金属製品表面に存在するダイスマークが十分隠
蔽され、且つ付着性および耐アルカリ性も良好に保持さ
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 塗膜に含まれる溶剤の沸点と焼付け後の塗膜
上のダイス目との関係を示す模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 175/04 C09D 175/04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸点140〜200℃で水に対する溶解
    度が10以下である溶剤が1種または2種以上含有さ
    れ、その溶剤量が全有機溶剤中重量比で1/3以上であ
    るアニオン性艶消し電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 沸点140〜200℃で水に対する溶解
    度が10以下である溶剤がプロピレングリコール-n-ブ
    チルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエ
    ーテル、ジイソブチルケトン、2-エチルヘキサノー
    ル、ソルベントナフサから選ばれる1種または2種以上
    の混合物である請求項1記載のアニオン性艶消し電着塗
    料組成物。
  3. 【請求項3】 アセトン不溶分を含まず、0.4μmの
    フィルターにて濾過し得る請求項1または2記載のアニ
    オン性艶消し電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 アミノ樹脂またはブロックイソシアネー
    ト、金属のアルコラートまたはキレート化合物を更に含
    有する請求項3記載のアニオン性艶消し電着塗料組成
    物。
  5. 【請求項5】 軽金属基材への電着塗装において、その
    電着塗装に使用する電着塗料中の有機溶剤の一部とし
    て、沸点140〜180℃で水に対する溶解度が10以
    下である溶剤の1種または2種以上の混合物を用いるこ
    とにより軽金属基材上の塗膜のダイス目を改善する方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6266826B1 (ja) * 2017-04-28 2018-01-24 大木 彬 つや消し透明塗料用組成物及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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