JPH11256080A - つや消し電着塗料組成物 - Google Patents

つや消し電着塗料組成物

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JPH11256080A
JPH11256080A JP36599A JP36599A JPH11256080A JP H11256080 A JPH11256080 A JP H11256080A JP 36599 A JP36599 A JP 36599A JP 36599 A JP36599 A JP 36599A JP H11256080 A JPH11256080 A JP H11256080A
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JP
Japan
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electrodeposition coating
ketoester
coating composition
matte
weight
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Application number
JP36599A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Nishimura
英一 西村
Shinji Nakano
伸司 仲野
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11256080A publication Critical patent/JPH11256080A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期保存、高温保存(40℃)でも塗料にゲ
ル状部分を含まない、均一でむらの無いつや消し塗膜を
得ることができ、更に塗膜の光沢の経時的安定性の優れ
た電着塗料組成物を提供する。 【解決手段】 炭素数が6〜30のアルキルエステル基
を持つ長鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケトンを含
有する金属キレート化合物を含む艶消し電着塗料組成
物。組成物はa)カルボキシル基および水酸基を有する
アクリル樹脂およびフッ素樹脂の少なくとも1種を50
〜80重量%、b)アミノ樹脂およびブロックイソシア
ネート樹脂の少なくとも1種を20〜50重量%、およ
びc)炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長
鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケトンを含有する金
属キレート化合物を0.5〜5.0重量%、の割合で含
む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長時間安定に保存、
使用でき、均一で肌の細かいつや消し塗膜を得ることの
できる、つや消し電着塗料組成物に関する。更に本発明
は、長時間安定した光沢のつや消し塗膜を得ることがで
きる、つや消し電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム製品の塗装方法として電着
塗装方法が用いられているが、つや消し塗膜を得るため
のつや消し電着塗装方法としては従来から様々に研究さ
れている。これには、例えば電着塗料浴中に無機顔料を
添加し、電着塗装時に塗料の有機樹脂成分と共に析出せ
しめる方法、電着塗装された被覆物を焼き付け硬化前に
エッチングする方法、あるいは相互に溶解しないもの、
相互に架橋または重合しないもの、又は相互に硬化速度
が異なるものを混合した電着浴を用いる方法等が用いら
れている。しかしながら従来の方法では、例えば塗料中
の粒子の沈降、分離、および塗料が不均一になることに
起因するつやむらの発生という問題がある。また、経時
的に塗料がゲル化し、あるいは粘性が上昇する。被覆物
をエッチングする方法ではツヤむらが生じる他、部分的
に過度にエッチングされるため塗膜特性の低下、すなわ
ち塗膜の剥離や耐候性の低下が起こるという問題もあ
る。さらに、硬化性の異なる混合物を用いる場合には塗
膜の内部に硬化歪みが生じるという問題もある。
【0003】これらの問題を解決するため、例えば特公
昭62−24519号公報では、アルコキシシラン基を
側鎖に有するアクリル樹脂とアミノ樹脂からなるアニオ
ン性電着塗料を用いるつや消し電着塗装方法が開示され
ている。これはアクリル樹脂中のアルコキシシラン基
が、電着浴の調製時に加水分解されてシラノールとな
り、このシラノールが縮合してシラノール結合を生成
し、粒子内ゲル構造を有する微細なディスパーション粒
子を形成することによって、つや消し塗膜を得るもので
ある。また、特開昭58−45270号公報にはアルミ
ニウムアルコラート化合物をアニオン電着塗料へ添加し
て、塗料中にて微小なゲル状物質を作成することによる
つや消し電着塗装方法が開示されている。しかしながら
これらの塗料あるいは方法には粒子の沈降により塗膜が
不均一となる、時間の経過と共に塗料中のゲル化が進行
し、あるいは塗料全体の粘性が増加するという問題が依
然として残る。
【0004】また、特開平7−233340号及び同7
−292296号公報はいずれもアクリル樹脂とメラミ
ン樹脂との混合物のエマルションに、自己架橋性単量体
の重合体が分散した塗料組成物を提供している。この塗
料も、塗料中へ微小なゲル化粒子を含むため、時間の経
過と共に粒子が沈殿したり、粘性が増加したりするとい
う問題が残る。さらに特開平3−207773号公報で
はアルミニウムアルコラート錯化合物とメラミン樹脂等
のアミノ樹脂とを予め混合し、次いでこの混合物と有機
溶剤に溶解したアクリル系重合体とを重合して粒子を形
成する方法を開示する。かかる方法によって非常に安定
な塗料が生成するとしているが、この方法では反応性の
高いアルコラートが用いられているため、塗料中でゲル
化しやすく、経時的な粒子の沈降や増粘が生じるなどの
問題がある。
【0005】メラミン樹脂はアルミニウムキレート化合
物とアクリル樹脂との反応を遅延させる効果はあるが、
アルミニウムキレート化合物の反応を完全にブロックす
る作用はない。したがって、塗料製造時はゲル化させる
ことなく製造できるが長期保存中には反応が進行し一部
のゲル化は避け難い。長期安定性を確保するため、本発
明者らは、先にアルミニウムアルコラート錯化合物の代
わりにより安定なアルミニウムキレート化合物/キレー
ト化剤を使用し2段反応を利用したゲル粒子のない塗料
組成物を提供した。しかしこの場合、数カ月の保存には
耐えることができるが、更に長期の保存や40℃以上の
高温保存ではアセトン不溶分が生成し始める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期保存、
高温保存(40℃)でも均一でむらの無いつや消し塗膜
を得ることができ、更に塗膜光沢の経時的安定性に優れ
た電着塗料組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素数が6〜
30のアルキルエステル基を持つ長鎖β-ケトエステル
または更にβ-ジケトンを含有する金属キレート化合物
を含む艶消し電着塗料組成物に関する。詳しくは、本発
明は、a)カルボキシル基および水酸基を有するアクリ
ル樹脂およびフッ素樹脂の少なくとも1種を50〜80
重量%、b)アミノ樹脂およびブロックイソシアネート
樹脂の少なくとも1種を20〜50重量%、およびc)
炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長鎖β-
ケトエステルまたは更にβ-ジケトンを含有する金属キ
レート化合物を0.5〜5.0重量%、の割合で含む艶消
し電着塗料組成物に関する。特に、本発明は、a)カル
ボキシル基および水酸基を有するアクリル樹脂を50〜
80重量%、b)アミノ樹脂を20〜50重量%、およ
びc)炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長
鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケトンを含有する金
属キレート化合物を0.5〜5.0重量%、の割合で含む
艶消し電着塗料組成物において、上記アクリル樹脂をア
クリル樹脂:アミノ樹脂が固形分重量比で98:2〜8
5:15となるように上記アミノ樹脂の一部と予め混合
加熱し、反応後の重量平均分子量を6,000〜150,
000として使用する艶消し電着塗料組成物に関する。
【0008】より詳しくは、本発明は、金属キレート化
合物が金属原子としてアルミニウム、ジルコニウム、チ
タニウムおよび亜鉛のいずれか1種以上を含み、それぞ
れの金属原子への長鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジ
ケトンの配位分子数の平均値が;アルミニウムに対し
て:長鎖β-ケトエステルが0.5〜2.5、β-ジケトン
が0.5〜2.5、亜鉛、ジルコニウムに対して:長鎖β
-ケトエステルが0.5〜1.5、β-ジケトンが0.5〜
1.5、チタニウムに対して:長鎖β-ケトエステルが1
〜3.5、β-ジケトンが0.5〜2.5、である上記艶消
し電着塗料組成物に関する。
【0009】また、本発明は、上記のつや消し電着塗料
組成物を含む電着浴中で被塗装金属材料を電着塗装する
金属材料のつや消し電着塗装方法に関する。更にまた、
本発明は、上記の方法で電着塗装することにより表面に
つや消し塗膜が形成されたつや消し塗膜を有する金属材
料に関する。
【0010】本発明の塗料は、少なくとも二種類の硬化
反応により硬化する。この二種類の硬化反応の温度差に
よって艶を消すため、電着塗装時の塗膜状態の影響を受
けずに均一な艶消し塗膜が得られる。アミノ樹脂および
/またはブロックイソシアネート樹脂である硬化剤とア
クリル樹脂および/またはフッ素樹脂との混合系中に金
属キレート化合物を存在させることによって、塗膜の硬
化反応が金属キレート化合物とアクリル樹脂および/ま
たはフッ素樹脂との反応、およびアクリル樹脂および/
またはフッ素樹脂と硬化剤の反応の二種類となり、両者
の反応温度の相違によって艶消し塗膜が得られる。
【0011】本発明の特徴は、アミノ樹脂および/また
はブロックイソシアネート樹脂である硬化剤とアクリル
樹脂および/またはフッ素樹脂との混合系中に金属キレ
ート化合物を存在させることによって、塗膜の硬化反応
が金属キレート化合物とアクリル樹脂および/またはフ
ッ素樹脂との反応、およびアクリル樹脂および/または
フッ素樹脂と上記硬化剤の反応の二種類からなることに
より艶消し電着塗膜が形成される艶消し電着塗料組成物
において、炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持
つ長鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケトンを含有す
る金属キレート化合物を含むところにある。この金属キ
レート化合物を含むことにより、長期の保存、高温(4
0℃)保存でもゲル状部分を生成しない安定な艶消し電
着塗料組成物を提供することができる。この電着塗料組
成物は均一でむらの無い艶消し電着塗膜を形成すること
ができ、且つ経時的安定性に優れた光沢のある塗膜を形
成することができる。
【0012】本発明のもうひとつの特徴は、従来の金属
キレート化合物を含有する艶消し電着塗料組成物におい
ては、ゲル状物の生成を防止するために、その調製に当
たっては、まず金属キレート化合物を硬化剤である樹脂
と混合したのち、得られた混合物をアクリル樹脂と混合
し、次にこの混合物へ更に脱イオン水を加えるという複
雑な調製工程を要したが、本発明では各塗料成分をすべ
て一緒に、または任意の順序に混合してもゲル部分を生
成しないため、塗料の調製が極めて容易且つ簡単に得ら
れることである。
【0013】即ち、本発明はa)カルボキシル基および
水酸基を有するアクリル樹脂およびフッ素樹脂の少なく
とも1種を50〜80重量%、b)アミノ樹脂およびブ
ロックイソシアネート樹脂の少なくとも1種を20〜5
0重量%、およびc)炭素数が6〜30のアルキルエス
テル基を持つ長鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケト
ンを含有する金属キレート化合物を0.5〜5.0重量
%、の割合で含む艶消し電着塗料組成物を提供する。
【0014】本発明の艶消し電着塗料組成物には樹脂成
分としてアクリル樹脂およびフッ素樹脂の少なくとも1
種が含まれる。アクリル樹脂および/またはフッ素樹脂
は好ましい第1の態様として、カルボキシル基、水酸基
を有することを特徴とする。アクリル樹脂はキレート生
成基を有するモノマーを共重合してもよい。
【0015】本発明のアクリル樹脂の好ましい第2の態
様として、本発明のアクリル樹脂は、式(I) δ=(△E/V)1/2=(Σ△e1/Σ△V11/2 (I) (ただし、△E:凝集エネルギー密度 V:モル体積 △e1:原子または原子団の蒸発エネルギー △V1:原子または原子団のモル体積 ) により計算されるδ値が9.3未満である低極性モノマ
ーを全アクリル樹脂モノマー成分に対して10〜50重
量%含有させる。これにより、塗膜光沢の経時安定性を
さらに高められる。
【0016】式(I)から算出されるδ値は、ポリマー
どうしの溶解性を大まかに見積もるための指標となる、
Fedorsの溶解性パラメーター算出式(R.F.Fedor
s, Polym. Eng. Sci., 14[2]147(1974))により得られる
計算値であるが、極性の指標ともなる。本明細書におい
ては、「低極性」という語をこの式から算出されるδ値
が9.3未満であるものと定義して用いる。かかる低極
性モノマーの配合により、本願発明の塗料は従来問題と
なっていた経時的な塗膜の光沢をより安定に保つことが
できる。低極性モノマーを一定量共重合させることによ
り、塗料の粒子径がさらに低下し、得られる塗膜の光沢
の経時安定性がより向上するものと考えられる。
【0017】本発明のアクリル樹脂には、さらにN−メ
チロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキシメ
チルアクリルアミドモノマーを共重合されていてもよ
い。
【0018】耐候性、耐久性、耐薬品性などが要求され
る用途ではアクリル樹脂の代わりにフッ素樹脂を用いる
のが好ましい。
【0019】本発明の艶消し電着塗料組成物にはまたア
ミノ樹脂およびブロックイソシアネート樹脂の少なくと
も1種が硬化剤として配合される。アミノ樹脂としては
特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹
脂、グリコールウリル樹脂、尿素樹脂等を挙げることが
できる。
【0020】本発明の艶消し電着塗料組成物には、炭素
数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長鎖β-ケト
エステルを含有する金属キレート化合物が配合される。
この金属キレート化合物の配合により、塗料の長期保存
安定性が著しく改良され、高温(40℃)保存において
も安定性が保持されるようになった。更に好ましくは前
記金属キレート化合物にはβ-ジケトンを含有していて
もよい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の金属キレート化合物は、
少なくとも長鎖β-ケトエステルまたは更にβ-ジケトン
を含有する化合物と金属原子とのキレート化合物であ
る。本発明の特に好ましい金属キレート化合物は、長鎖
β-ケトエステルおよびβ-ジケトンを含有する金属キレ
ート化合物であり、アルミニウムを金属原子の例とした
場合、式(II):
【0022】
【化1】 〔式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数6〜
30の長鎖アルキル基、Xは(R4O-CO-CH2-CO-
CH3)またはOR5であり、R4は炭素数1〜5のアル
キル基、R5は炭素数1〜20のアルキル基である〕で
表される化合物である。
【0023】長鎖β-ケトエステルの結合モル数が0.5
以下では長期の安定性(光沢安定性、高外観に維持)が
悪く、β-ジケトンの結合モル数が0.5以上ならば長期
安定性更に良好となる。またβ-ケトエステルのエステ
ル基の炭素数が1〜5の場合は長期の光沢安定性が確保
できない。
【0024】長鎖β-ケトエステルとしては炭素数が6
以上のアルコールとアセト酢酸との反応物が好適に利用
でき、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸-2-エチルヘキ
シル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸パルミチル、ア
セト酢酸ステアリル、アセト酢酸オレイルなどを例示す
ることができる。β-ジケトンとしてはアセチルアセト
ン、2,4-ヘキサンジオン、2,4-ヘプタンジオン、3
-ブチル-2,4-ペンタンジオンなどが利用できる。
【0025】金属原子としては、亜鉛、ジルコニウム、
アルミニウム、チタンなどのキレート化合物を形成し得
る性質があるものが利用できる。金属としては、アルミ
ニウムまたはジルコニウムが好ましく、最も好ましくは
アルミニウムである。
【0026】本発明の金属キレート化合物においては、
金属原子に配位する配位分子数は金属原子の種類によっ
て異なるが、各金属原子に配位する長鎖β-ケトエステ
ルおよびβ-ジケトンの数の平均値は次の通りである:
アルミニウムに対して:長鎖β-ケトエステルが0.5〜
2.5、好ましくは1.0〜2.0、β-ジケトンが2.5
以下であり、好ましくは0.5〜2.5、更に好ましくは
0.5〜1.5、亜鉛、ジルコニウムに対して:長鎖β-
ケトエステルが0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.
5、β-ジケトンが1.5以下であり、好ましくは0.5
〜1.5、更に好ましくは0.5〜1.0、チタニウムに
対して:長鎖β-ケトエステルが1〜3.5、好ましくは
1.5〜3.0、β-ジケトンが2.5以下であり、好まし
くは1.0〜2.5、更に好ましくは1.0〜2.0。また
上記の配位数が確保される限り、長鎖β-ケトエステ
ル、β-ジケトン以外の分子、例えば炭素数が5以下の
アルキルエステル基を有するβ-ケトエステルやアルコ
キシ基が配位または結合していてもよい。
【0027】本艶消し電着塗料組成物中、金属キレート
化合物は0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0
重量%配合される。0.5重量%未満の場合は十分な艶
消し作用が得られない。一方5.0重量%より多くなる
と艶が消えすぎる場合がある。
【0028】上記塗料を調製する際に用いるアクリル樹
脂および/またはフッ素樹脂はカルボキシル基および水
酸基を有する。アクリル樹脂にカルボキシル基を導入す
るための重合性モノマーとしては、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレ
イン酸モノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエス
テル、クロトン酸、シトラコン酸等のビニル重合可能な
α,β−不飽和脂肪酸およびこれらの混合物からなる群
から選択すればよい。カルボキシル基は、アクリル樹脂
の酸価が20〜150、好ましくは40〜100となる
よう、導入する。酸価が20未満では樹脂の水分散性が
劣り、均一な塗料の製造が困難になる。また、酸価が1
50を越えると塗膜の耐水性が不良となり好ましくな
い。
【0029】アクリル樹脂へ水酸基を導入するのは、硬
化剤との反応性を高めるためである。水酸基を導入する
ためには水酸基を有する重合性モノマー、例えばβヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、商標プラクセルFM1
〜5(ダイセル化学)およびこれらの混合物からなる群
から選択されるモノマーを共重合させればよい。
【0030】本発明のアクリル樹脂中、水酸基は水酸基
価40〜200、より好ましくは50〜150となるよ
うに導入する。水酸基価が40未満では硬化反応が十分
に起こらず、硬度が低下し、耐化学性が不良となる。一
方、200を越えると未反応の水酸基が塗膜に残存し、
耐水性、耐候性が不良となる。
【0031】本発明のアクリル樹脂にはまたキレート生
成基を有するモノマーを共重合させてもよい。キレート
生成基を有するモノマーとしては、アセトアセトキシエ
チル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル
(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メ
タ)アクリレートが例示される。特に好ましいのはアセ
トアセトキシエチル(メタ)アクリレートである。キレ
ート生成基を有するモノマーは共重合するモノマー全重
量に対して2〜20重量%共重合させてもよい。一方、
20重量%を越えて共重合させるとキレートが安定化し
すぎるため、良好なつや消し塗膜が得られない。
【0032】また、本発明の成分(a)のアクリル樹脂
には低極性モノマーが共重合されているのが好ましい。
低極性モノマーとしては、上記式(I)においてδが9.
3未満であるアクリル酸誘導体であればいかなる化合物
でもよく、具体的にはノルマルヘキシル(メタ)アクリ
レート(δ=8.8)、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート(δ=9.2)、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート(δ=8.6)およびラウリル(メタ)アク
リレート(δ=8.7)等が例示される。低極性モノマ
ーは全アクリル樹脂成分に対して10〜50重量%、よ
り好ましくは15〜40重量%配合する。
【0033】さらに、本発明のアクリル樹脂にはN−メ
チロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキシメ
チルアクリルアミドを共重合させてもよい。これらのア
ミド成分は、樹脂の全モノマー重量に対して2〜10重
量%、好ましくは3〜5重量%添加する。これらのアミ
ド成分を共重合させることによって、アクリル樹脂同士
で架橋反応が起こるため架橋密度が高くなり、耐水性、
耐化学性などが改善される。
【0034】本発明のアクリル樹脂のアクリル成分とし
ては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートお
よびラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート等がいずれも好適に用いられる。ま
た、本発明のアクリル樹脂にはスチレン、α−メチルス
チレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、弗化
ビニル、弗化ビニリデン、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート等を共重合してもよい。
【0035】アクリル樹脂は、溶液重合、エマルジョン
重合、懸濁重合等の公知の方法のいずれによって製造し
てもよい。特にアルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、
カルビトール系溶剤、グライム系溶剤およびセロソルブ
アセテート系溶剤等の水混和性溶剤を用い、各モノマー
と開始剤を添加して重合する溶液重合法によるのが好ま
しい。アクリル樹脂を調製する際に用いる開始剤として
は、通常の合成に用いられるものがいずれも好適に用い
られ、例えばアゾ系化合物、ジスルフィド系化合物、ス
ルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジアゾ系化合
物、ニトロソ化合物、パーオキサイド系化合物等が例示
される。
【0036】本発明の塗料に用いるアクリル樹脂は、重
量平均分子量が5000〜100000、より好ましく
は10000〜50000であり、分子量分布が1〜
6、より好ましくは1〜4である。アクリル樹脂の分子
量が5000以下ではつやが消えにくくなり、1000
00を越えると電着塗膜のフロー性が悪くなるため、均
一なつや消し外観を得ることが困難になる。
【0037】本発明の塗料において、アクリル樹脂はカ
ルボキシル基をアルカリ性物質、例えばアンモニア;ト
リメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、
トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロ
ピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリ
ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシ
ルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、メトキシイ
ソプロピルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノー
ル、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、
モルホリン、N-エチルモルホリン等の脂肪族アミン
類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、モノメチルエタノールアミン、ジメチル
エタノールアミン、ジブチルエタノールアミン等のアル
カノールアミン類などで中和して水溶性の樹脂として用
いればよい。
【0038】本発明の電着塗料組成物には、樹脂成分と
して、アクリル樹脂とともに、またはアクリル樹脂に代
えてフッ素樹脂が用いられる。本発明で使用するフッ素
樹脂は分子内にカルボキシル基および水酸基を含有し、
中和剤で中和することにより、水に溶解するかまたは水
中に安定に分散する樹脂が好ましい。上記フッ素樹脂は
酸価が好ましくは20〜150、特に好ましくは30〜
100である。酸価がこの範囲より小さくなると、塗料
の水分散性が低下する傾向にあり、逆に大きくなると塗
膜の耐水性等が悪くなる傾向にある。水酸基価は好まし
くは40〜200、特に好ましくは50〜150であ
る。水酸基価が40未満では硬化反応が十分に起こら
ず、硬度が低下し、耐化学性が不良となる。一方、20
0を越えると未反応の水酸基が塗膜に残存し、耐水性、
耐候性が不良となる。
【0039】フッ素樹脂の重量平均分子量は好ましくは
5,000〜100,000、特に好ましくは10,00
0〜50,000である。このようなフッ素樹脂として
は、市販品として、フルオロオレフィン、シクロアルキ
ルビニルエーテルを主成分とする共重合体である「ルミ
フロン926」(商品名;旭硝子社製;酸価約20、水
酸基価約60)、フルオロオレフィン、ビニルエーテ
ル、ビニルエステルを主成分とする共重合体である「ゼ
ッフルEV-120」(商品名;ダイキン工業社製;酸
価約48、水酸基価約60)、「ゼッフルEV-21
0」(商品名;ダイキン工業社製;酸価約80、水酸基
価約89)、フルオロオレフィン、ビニルエーテル、ア
リルエーテル、ビニルエステルを主成分とする共重合体
である「セフラルコートXA-500」(商品名;セン
トラル硝子社製;酸価約50、水酸基価約40)、「セ
フラルコートXA-510」(商品名;セントラル硝子
社製;酸価約50、水酸基価約45)、「セフラルコー
トXA-520」(商品名;セントラル硝子社製;酸価
約45、水酸基価約60)等が代表的なものとして利用
できる。
【0040】また、特開平5−98207号、特開平3
−181540号、特開平2−70706号、特開平2
−55776号、特開昭62−243603号、特開昭
62−50306号、特開昭58−136605号に記
載の各種水性含フッ素共重合体も使用可能である。以上
のようなフッ素樹脂を本発明で結合剤の1成分として使
用することにより、耐候性の優れた艶消し塗膜を得るこ
とができる。
【0041】フッ素樹脂は樹脂成分中、0〜80重量%
の範囲、好ましくは60〜75重量%の範囲で用いられ
る。80重量%より多くなると架橋剤の割合が少なくな
りすぎ、塗膜の機械的強度、硬度、耐薬品性などが低下
する。フッ素樹脂をアクリル樹脂と併用してもよい。
【0042】本発明の塗料中、アクリル樹脂およびフッ
素樹脂は全塗料組成物の全重量中50〜80重量%とな
るように配合する。
【0043】硬化剤として用いられるアミノ樹脂とは、
メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル
等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコー
ルを変性させて得た縮合体である。水に溶解した際に溶
けやすいものは、電着時の移行性が悪いため、好ましく
ない。従って、メタノール、エタノールのみで変性した
ものは水に溶けやすいため好ましくなく、通常メチル/
ブチル混合エーテル変性タイプのメラミン樹脂が好適に
用いられる。
【0044】上記メラミン樹脂は、高イミノ型アルキル
エーテル化メラミン樹脂、メチロール型アルキルエーテ
ル化メラミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂、
混合アルキルエーテル化メラミン樹脂等に分類される
が、いずれも使用することができ、焼き付け温度、塗膜
の物性に応じて、適宜選択可能である。イミノ基やメチ
ロール基を有するものは、一般に耐水性が低下するの
で、塗膜の耐水性の点からアルキルエーテル化メラミン
樹脂、混合アルキルエーテル化メラミン樹脂が好まし
い。
【0045】上記アルキルエーテル化メラミン樹脂とし
ては、n-ブチル基、i-ブチル基によりエーテル化され
たブチル化メラミン樹脂、メチル基によりエーテル化さ
れたメチル化メラミン樹脂、およびメチル基、n-ブチ
ル基、i-ブチル基によりエーテル化されたメチル/ブ
チル混合エーテル化メラミン樹脂がある。上記メチル化
メラミン樹脂として市販されているものとしては、例え
ば、メトキシ基/イソブトキシ基のモル比が60/40
のサイメル238、メトキシ基/ブトキシ基のモル比が
60/40のサイメル235、メトキシ基/ブトキシ基
のモル比が65/35のサイメル231、メトキシ基/
ブトキシ基のモル比が40/60のサイメル236、メ
トキシ基/ブトキシ基のモル比が70/30のサイメル
266、277(以上いずれも三井サイテック社製);
スミマール50B(住友化学社製)等を挙げることがで
きる。
【0046】上記ブチル化メラミン樹脂として市販され
ているものとしては、例えば、マイコート506(三井
サイテック社製)、ユーバン20SE、ユーバン20N
-60(三井東圧化学社製)等を挙げることができる。
上記メチル化メラミン樹脂として市販されているものと
しては、例えば、サイメル303(三井サイテック社
製)、スミマールM30W、M40S、M50W(いず
れも住友化学社製)、メラン622、623(いずれも
日立化成工業社製)等を挙げることができる。
【0047】上記尿素樹脂としては、例えばUFR6
5、300(三井サイテック社製)等の市販品を挙げる
ことができる。
【0048】上記グアナミン樹脂としては、例えば、サ
イメル1123、1128、マイコート105(ベンゾ
グアナミン樹脂;三井サイテック社製)等の市販品を挙
げることができる。
【0049】上記グリコールウリル樹脂としては、例え
ば、サイメル1170、1171、1172(三井サイ
テック社製)等の市販品を挙げることができる。本発明
において、アミノ樹脂は分子量が500〜2000のも
のが好ましい。
【0050】また、アクリル樹脂/メラミン樹脂の相溶
性改善などのためにアクリル樹脂とメラミン樹脂の一部
をあらかじめ反応させておいてもよい。特に水溶解性の
良いメチル変性メラミン樹脂サイメル303、325、
350、370(いずれも三井サイテック株式会社製)
などの場合、分散性が悪いブチル変性のユーバン20S
E60、125、166(三井東圧化学株式会社製)な
どの場合は効果が高い。
【0051】一方、アクリル樹脂とメラミン樹脂の一部
を予め共縮合させておいてもよい。その共縮合の方法は
以下の通りである。アクリル樹脂ワニスとメラミン樹脂
ワニスの固形分重量比で98:2〜85:15となるよ
うに混合し、混合物を70〜100℃、好ましくは80
〜90℃で所定の分子量が得られるまで加熱し、次いで
冷却する。アクリル樹脂とメラミン樹脂の固形分重量比
が98:2より高くなると、即ちメラミン樹脂の割合が
低くなると、共縮合の効果が少なくなり、また85:1
5より低くなると、即ちメラミン樹脂の割合が高くなる
と、経時によるアクリルワニスの増粘が顕著になり、塗
料を安定に製造できなくなるため好ましくない。特に好
ましい混合比率は97:3〜92:8である。共縮合は
反応により得られるアクリル樹脂の重量平均分子量が
6,000〜150,000となるようにすることが好ま
しく、特に好ましくは10,000〜100,000であ
る。アクリル樹脂の重量平均分子量が6,000未満で
は共縮合の効果が少なく、また150,000を超える
と経時安定性が低下する。一般にアクリルの分子量が高
くなるほど、共縮合の程度は少なくてよい。
【0052】上記イソシアネート化合物は、得られる塗
料組成物の安定性を高めるために、通常、反応基を適当
なブロック化剤でブロックしたブロックイソシアネート
化合物として使用される。上記ブロック化剤としては特
に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、ア
セトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノ
ンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブ
ロック化剤;m-クレゾール、キシレノール等のフェノ
ール系ブロック化剤;メタノール、エタノール、ブタノ
ール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、
エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール
系ブロック化剤;ε-カプロラクタム等のラクタム系ブ
ロック化剤;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等
のジケトン系ブロック化剤;チオフェノール等のメルカ
プタン系ブロック化剤;チオ尿素等の尿素系ブロック化
剤;イミダゾール系のブロック化剤;カルバミン酸系ブ
ロック化剤等を挙げることができる。中でも、ラクタム
系ブロック化剤、オキシム系ブロック化剤、ジケトン系
ブロック化剤が好ましい。
【0053】ブロックイソシアネートとして用いるイソ
シアネート化合物としては、1分子中に少なくとも2個
のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定さ
れず、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMD
I)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(T
MDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジ
イソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネー
ト類;キシリレンジイソシアネート(XDI)の芳香族
-脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネー
ト(TDI)、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマ
ー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI
(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水
素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソ
シアネート類;これらの2量体、3量体、4量体以上の
多量体のポリイソシアネート類;これらとエチレングリ
コール、トリメチロールプロパン、ペントール等の多価
アルコール、水または低分子量ポリエステル樹脂との付
加物等を挙げることができる。更に反応性を改善するた
めに必要に応じてジブチル錫ジラウレートなどの錫系化
合物を少量併用してもよい。
【0054】上記ブロックイソシアネート化合物は、常
法により、上記イソシアネート化合物および上記ブロッ
ク化剤を遊離のイソシアネート基がなくなるまで反応さ
せて得られる。これらは市販されているものもあり、例
えば、デスモジュールシリーズ(住友バイエルウレタン
社製)、バーノックDシリーズ(大日本インキ化学工業
社製)、タケネートBシリーズ(武田薬品工業社製)、
コロネート2500シリーズ(日本ポリウレタン工業社
製)等を使用することができる。
【0055】また、硬化剤としては上記アミノ樹脂とブ
ロックイソシアネートの混合物を使用してもよい。本発
明の塗料中、硬化剤は全樹脂成分に対して20〜50重
量%、好ましくは25〜40重量%配合する。硬化剤の
量が20重量%未満では塗膜がつや消しとはならず、ま
た十分な硬化反応が起こらないため、好ましくない。一
方、50重量%を越えると塗膜が硬くなりすぎ、密着性
や柔軟性が低下する。
【0056】本発明の塗料においては、塗料の固形分含
量は5〜20重量%、好ましくは約8〜10重量%とす
る。さらに必要に応じて染料、着色剤その他通常用いら
れる添加剤を配合してもよい。
【0057】本発明の塗料は、様々な導電性の金属材料
のつや消し電着塗装に用いることができる。特にアルミ
ニウム、アルミニウム合金のつや消し電着塗装に有用で
ある。アルミニウムあるいはその合金は、本発明の塗料
により塗装する前に、アルマイト処理および封孔処理を
施すのが好ましい。本発明の塗料を用いての電着塗装に
は、従来行われている条件を用いればよく、特に限定さ
れない。具体的には、例えば塗料の温度を15〜35℃
に保ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間かけ
る。その後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗
装膜を完成させる。
【0058】本発明の艶消し技術は、従来の艶消し技
術、例えば 1.アルコキシシランモノマーをアクリル樹脂に組み込
んでマイクロジェルを作る方法: 特公昭62−24519号、特開昭8−157756
号、 2.ワックス成分を添加する方法: 3.マイクロジェルを添加または塗料中に作成する方
法: 特開昭61−141771号、特開昭63−63760
号、特開平7−331134号、特開平7−29229
7号、特開平6−107979号、 4.その他の方法: 特公平7−98913号 等と組み合わせることも可能である。組み合わせて使用
することでそれぞれ単独での艶消し成分量を減らすこと
ができ、それぞれの問題点改善、例えば、経時的光沢変
化、電着槽内での沈降、外観改善などに役立つ。
【0059】
【実施例】本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断
りのない限りすべて重量部である。 (1)アクリル樹脂の合成 表1に示す配合でアクリル樹脂を合成した。溶剤である
イソプロピルアルコールおよびブチルセロソルブの所定
量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加熱し、緩や
かに還流させながらモノマー、開始剤混合物を3時間か
けて滴下した。滴下終了後更に1時間反応を続けた後、
開始剤であるアゾイソブチロニトリルおよびイソプロピ
ルアルコールを1.5時間かけて後滴下し、さらに2時
間反応させた。得られたアクリルワニスの不揮発分、水
酸基価、酸価、重量平均分子量を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】(2)使用する金属キレート化合物 アルミニウムに表2に示す長鎖β-ケトエステルおよび
β-ジケトンを配位させて、表2のキレート化合物を調
製し、実施例の艶消し電着塗料組成物中に配合した。
【0062】
【表2】
【0063】(3)水分散塗料の調製方法 〔A法〕アクリル樹脂ワニス 35.0部にトリエチルア
ミンを中和率35%(カルボキシル基に対して0.35
当量)となるように添加し、均一に混合する。この中に
予めメラミン樹脂にアルミニウムキレート化合物を混合
しておいたものを所定量加え10分間撹拌する。この中
に撹拌しながら脱イオン水を徐々に加えて固形分30%
の水分散液を調製し電着塗料原液とした。この原液にト
リエチルアミン、脱イオン水を加えて中和率70%、固
形分10%としたものを電着に供した。 〔B法〕アクリル樹脂ワニス 35.0部にトリエチルア
ミンを中和率35%(カルボキシル基に対して0.35
当量)となるように添加し10分間撹拌し、均一に混合
する。この中に所定量のアルミニウムキレート化合物を
加え均一に混合後、メラミン樹脂を加え5分間撹拌す
る。この中に撹拌しながら脱イオン水を徐々に加えて固
形分30%の水分散液を調製し電着塗料原液とした。こ
の原液にトリエチルアミン、脱イオン水を加えて中和率
70%、固形分10%としたものを電着に供した。
【0064】実施例1〜10、比較例1〜3 表3および表4に示したように、アクリル樹脂ワニス、
メラミン樹脂およびアルミニウムキレートを配合し、
〔A法〕または〔B法〕の調製方法を用いて水分散塗料
を調製した。得られた電着塗料は、下記に記載の条件を
用いて、アルマイト処理しおよび封孔処理したアルミニ
ウム合金上に電着塗装した。塗膜の性能および塗料原液
の経時安定性を評価した。評価結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】実施例11 アクリル樹脂として表1のA(重量平均分子量30,0
00、水酸基価130、酸価65)100部(固形分6
0部)および「サイメル235」〔三井サイテック
(株)製;NV100%〕4.0部をコルベンに入れて
撹拌しながら80℃に加熱し、3時間反応させて冷却し
た。反応後の重量平均分子量は43,000であった。
これにトリエチルアミン2.46部(中和率35%)を
加えた。次いでこの反応物106.6部にアルミキレー
ト化合物として表2のOを1.9部(樹脂固形分に対し
て2%)加え、均一に混合後メラミン樹脂「サイメル2
35」を31部加え5分間撹拌した。この中に撹拌しな
がら、脱イオン水を徐々に加えて、不揮発分30%の水
分散液を調製し電着塗料用原液とした。この原液にトリ
エチルアミン、脱イオン水を加えて中和率70%、固形
分10%としたものを電着に供した。電着は実施例1〜
10と同じようにして行った。
【0068】実施例12 実施例11と同じアクリル樹脂およびメラミン樹脂を用
い、共縮合条件を表1に示すように変えた以外は実施例
11と同様にして共縮合を行い、且つ電着塗料用原液を
調製した。この原液にトリエチルアミン、脱イオン水を
加えて中和率70%、固形分10%としたものを電着に
供した。電着は実施例1〜10と同じようにして行っ
た。実施例11および12で得られた塗料の経時安定性
および電着塗膜の性能を表5に示した。
【0069】
【表5】
【0070】〔電着塗装条件〕表3にその配合組成を記
載した実施例および比較例の電着塗料を20℃に調整
し、6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理
(アルマイト皮膜厚さ:9μm)および封孔処理(85
℃の熱水に3分間浸漬)した後、乾燥膜厚8〜10μm
となるよう100〜200Vの直流電圧を3分間印加し
電着塗装した。その後180℃で30分間焼付け乾燥
し、性能試験に供した。
【0071】〔性能試験方法〕塗料の経時安定性 :原液塗料を室温5ケ月、40℃1カ
月放置後固形分10%、中和率70%となるように希釈
し、上記と同様にして塗装、焼付けした。 外観:目視による ◎ きめの細かい艶消し肌、 ○ ややきめの粗い艶消し肌、 △ きめの粗い艶消し肌、 光沢変化: ◎ 経時による光沢変化が 5以内、 ○ 〃 6〜10、 △ 〃 11〜20、 × 〃 21以上、 ただし、光沢はディジタル変角光沢計UGV-5K(ス
ガ試験機(株)製)を使用して塗膜の60°で測定した
光沢度の数値である。 アセトン溶解性:塗料原液0.2gにアセトン5gを加
え、均一に混合。2日後目視により透明度を判定した。 ◎ 完全に溶解、 ○ ほんのわずか濁り、 △ 白濁、
【0072】塗膜の性能付着性:JIS H 8602 5.8の碁盤目試験方法に
よる耐アルカリ性:1%NaOH水溶液に72時間浸漬
した後の塗膜の状態を調べた。
【0073】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、保存あるいは使
用中にゲルを形成したり、増粘したりすることがなく、
また細かい艶消し肌の塗膜が得られる。本発明の塗料組
成物は光沢の経時安定性が特に優れており、塗料を長時
間、且高温(40℃)で保存した後でも安定した光沢の
塗料が得られる。また本発明の塗料組成物は特別な調製
方法を必要とせず、すべての成分を単に混合するだけで
保存安定性に優れた艶消し電着塗料が得られるという特
徴がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 161/28 C09D 161/28 175/04 175/04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が6〜30のアルキルエステル基
    を持つ長鎖β-ケトエステルを含有する金属キレート化
    合物を含む艶消し電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 炭素数が6〜30のアルキルエステル基
    を持つ長鎖β-ケトエステルおよびβ-ジケトンを含有す
    る金属キレート化合物を含む艶消し電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 a)カルボキシル基および水酸基を有す
    るアクリル樹脂およびカルボキシル基および水酸基を有
    するフッ素樹脂の少なくとも1種を50〜80重量%、 b)アミノ樹脂およびブロックイソシアネート樹脂の少
    なくとも1種を20〜50重量%、および c)炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長鎖
    β-ケトエステルを含有する金属キレート化合物を0.5
    〜5.0重量%、の割合で含む艶消し電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 a)カルボキシル基および水酸基を有す
    るアクリル樹脂を50〜80重量%、 b)アミノ樹脂を20〜50重量%、および c)炭素数が6〜30のアルキルエステル基を持つ長鎖
    β-ケトエステルを含有する金属キレート化合物を0.5
    〜5.0重量%、の割合で含む艶消し電着塗料組成物に
    おいて、上記アクリル樹脂をアクリル樹脂:アミノ樹脂
    が固形分重量比で98:2〜85:15となるように上
    記アミノ樹脂の一部と予め混合加熱し、反応後の重量平
    均分子量を6,000〜150,000として使用する艶
    消し電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 アミノ樹脂がメラミン樹脂である請求項
    4に記載の艶消し電着塗料組成物。
  6. 【請求項6】 金属キレート化合物が炭素数が6〜30
    のアルキルエステル基を持つ長鎖β-ケトエステルおよ
    びβ-ジケトンを含有する金属キレート化合物である請
    求項3〜5のいずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
  7. 【請求項7】金属キレート化合物が、金属原子としてア
    ルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜鉛のい
    ずれか1種以上を含み、それぞれの金属原子への長鎖β
    -ケトエステルの配位分子数の平均値が;アルミニウム
    に対して0.5〜2.5、亜鉛、ジルコニウムに対して
    0.5〜1.5、およびチタニウムに対して1〜3.5、
    である請求項1〜5のいずれかに記載の艶消し電着塗料
    組成物。
  8. 【請求項8】金属キレート化合物が、金属原子としてア
    ルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜鉛のい
    ずれか1種以上を含み、それぞれの金属原子への長鎖β
    -ケトエステルおよびβ-ジケトンの配位分子数の平均値
    が;アルミニウムに対して:長鎖β-ケトエステルが0.
    5〜2.5、β-ジケトンが0.5〜2.5、亜鉛、ジルコ
    ニウムに対して:長鎖β-ケトエステルが0.5〜1.
    5、β-ジケトンが0.5〜1.5、チタニウムに対し
    て:長鎖β-ケトエステルが1〜3.5、β-ジケトンが
    0.5〜2.5、である請求項2または6記載の艶消し電
    着塗料組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のつや消
    し電着塗料組成物を含む電着浴中で被塗装金属材料を電
    着塗装する金属材料のつや消し電着塗装方法。
  10. 【請求項10】 金属材料がアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金である請求項9記載の電着塗装方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の方法で電
    着塗装することにより表面につや消し塗膜が形成された
    つや消し塗膜を有する金属材料。
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