JPH1072559A - つや消し電着塗装用塗料 - Google Patents

つや消し電着塗装用塗料

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JPH1072559A
JPH1072559A JP15348697A JP15348697A JPH1072559A JP H1072559 A JPH1072559 A JP H1072559A JP 15348697 A JP15348697 A JP 15348697A JP 15348697 A JP15348697 A JP 15348697A JP H1072559 A JPH1072559 A JP H1072559A
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JP
Japan
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electrodeposition coating
matte
acrylic resin
group
paint
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JP15348697A
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Inventor
Hiroshi Aoki
啓 青木
Hisanori Tanabe
久記 田辺
Hidekazu Nishimura
英一 西村
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間安定に保存、使用でき、均一で肌理の
細かいつや消し塗膜を得ることのできる、つや消し電着
塗装用塗料を提供する。 【解決手段】 a)側鎖にカルボキシル基、水酸基を有
し、キレート生成基を有するモノマーが共重合されてい
るアクリル樹脂、 b)硬化剤、および c)アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜
鉛からなる群から選択される金属のアルコラートまたは
キレート化合物を1種または2種以上、を含有する、つ
や消し電着塗装用塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアニオン型電着塗装
用つや消し塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム製品の塗装方法として電着
塗装方法が用いられているが、つや消し塗膜を得るため
のつや消し電着塗装方法としては従来から様々に研究さ
れている。これには、例えば電着塗料浴中に無機顔料を
添加し、電着塗装時に塗料の有機樹脂成分と共に析出せ
しめる方法、電着塗装された被覆物を焼き付け硬化前に
エッチングする方法、あるいは相互に溶解しないもの、
相互に架橋または重合しないもの、又は相互に硬化速度
が異なるものを混合した電着浴を用いる方法等が用いら
れている。しかしながら従来の方法では、例えば塗料中
の粒子の沈降、分離、および塗料が不均一になることに
起因するつやむらの発生という問題がある。また、経時
的に塗料がゲル化し、あるいは粘性が上昇する。被覆物
をエッチングする方法ではツヤむらが生じる他、部分的
に過度にエッチングされるため塗膜特性の低下、すなわ
ち塗膜の剥離や耐候性の低下が起こるという問題もあ
る。さらに、硬化性の異なる混合物を用いる場合には塗
膜の内部に硬化歪みが生じるという問題もある。
【0003】これらの問題を解決するため、例えば特開
昭58−45270ではアルミニウムキレート化合物を
アニオン電着塗料へ添加して、塗料中にて微小なゲル状
物質を作成することによるつや消し電着塗装方法を開示
する。しかしながら、この塗料は時間の経過と共に粒子
の沈降や塗料のゲル化が進み、あるいは塗料全体の粘性
が増加するという問題が依然として残る。
【0004】また、特開平7−233340及び同7−
292296号はいずれもアクリル樹脂とメラミン樹脂
との混合物のエマルションに、自己架橋性単量体の重合
体が分散した塗料を提供する。この塗料も、塗料中へ微
小なゲル化粒子を含むため、時間の経過と共に粒子が沈
殿したり、粘性が増加したりするという問題が残る。
【0005】さらに特開平3−207773ではアルミ
ニウムアルコラート錯化合物とメラミン樹脂等のアミノ
樹脂とを予め混合し、次いでこの混合物と有機溶剤に溶
解したアクリル系重合体とを重合して粒子を形成する方
法を開示する。かかる方法によって非常に安定な塗料が
生成するとしているが、この方法では反応性の高いアル
コラートが用いられているため、塗料中でゲル化しやす
く、経時的な粒子の沈降や増粘が生じる等の問題があ
る。実際、本発明者らが行った実験によってもアルミニ
ウムアルコラート錯化合物を用いた場合には、塗料に多
少のゲル化傾向が認められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塗料にゲル
状部分を含まない、均一でむらの無いつや消し塗膜を得
ることができるつや消し電着塗装用塗料を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、a)
側鎖にカルボキシル基、水酸基を有し、キレート生成基
を有するモノマーが共重合されているアクリル樹脂、
b)硬化剤、およびc)アルミニウム、ジルコニウム、
チタニウムおよび亜鉛からなる群から選択される金属の
アルコラートまたはキレート化合物、を含有する、つや
消し電着塗装用塗料を提供する。
【0008】本発明の塗料は、硬化剤とアクリル樹脂と
の混合系へ金属キレート化合物を存在させることによっ
て、塗膜の硬化反応が金属キレート化合物とアクリル樹
脂との反応と、アクリル樹脂と硬化剤との反応の二種類
となり、その硬化反応の反応温度の相違によってつや消
し塗膜を得るものである。従来からアクリル樹脂、アミ
ノ樹脂および金属キレート化合物を含む塗料は知られて
いるが、キレート生成基を有するモノマーをアクリル樹
脂内へ共重合させたものは知られていない。本発明の塗
料は、二種類の硬化反応の温度差によってつやを消すた
め、電着塗装時の塗膜状態の影響を受けずに均一なつや
消し塗膜が得られる。
【0009】本発明のアクリル樹脂は、側鎖にカルボキ
シル基、水酸基を有しキレート生成を有するモノマーを
共重合して成る。キレート生成基を有するモノマーを共
重合させることによって、アクリル樹脂内に、本発明の
金属アルコラートまたはキレート化合物の金属成分であ
るアルミニウム、亜鉛、チタニウム、ジルコニウムのご
とき金属イオンとキレートを形成する基が導入される。
これによって塗料中の金属アルコラートまたはキレート
化合物とアクリル樹脂との反応性が高まり、低温での架
橋反応が可能になり、反応温度を低下させ、上述の膜の
二段階硬化反応の温度差が広げられ、十分なつや消し効
果が得られる。さらに、キレート基が樹脂内に導入され
ることによって、金属キレート化合物が安定化されるた
め、塗料のゲル化や粘性の増加が生じず、経時安定性が
増加する。
【0010】本発明のアクリル樹脂には、さらにN−メ
チロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキシメ
チルモノマーが共重合されていることが好ましい。
【0011】本発明の金属アルコラートまたはキレート
化合物としては、アルコール、アセト酢酸エステルおよ
びアセチルアセトンからなる群から選択される化合物と
アルミニウムとのアルコラートまたはキレート化合物が
好適に用いられる。特に好ましくは式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一の炭素数1〜20のアルキル基または
アルケニル基、Lは同一でも異なっていてもよいケトエ
ノール型互変異性化合物,nは0〜3の整数を示す)で
示される化合物である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の塗料には、a)側鎖にカ
ルボキシル基および水酸基を有し、キレートモノマーが
共重合されているアクリル樹脂、b)硬化剤およびc)
アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜鉛か
らなる群から選択される金属のキレート化合物を含む。
【0013】本発明のアクリル樹脂には側鎖にカルボキ
シル基および水酸基を有する。アクリル樹脂にカルボキ
シル基を導入するための重合性モノマーとしては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
フマル酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタ
コン酸モノエステル、クロトン酸、シトラコン酸等のビ
ニル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸、およびこれらの
混合物からなる群から選択すればよい。
【0014】カルボキシル基はアクリル樹脂の酸価が2
0〜150、好ましくは40〜100となるよう、導入
する。酸価が20未満では樹脂の水分散性が劣り、均一
な塗料を製造することができない。また、酸価が150
を越えると塗膜の耐水性が不良となり好ましくない。
【0015】アクリル樹脂へ水酸基を導入するのは、硬
化剤との反応性を高めるためである。水酸基を導入する
ためには水酸基を有する重合性モノマー、例えばβヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、βヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、商標プラクセルFM
1〜5(ダイセル化学)およびこれらの混合物からなる
群から選択されるモノマーを共重合させればよい。
【0016】本発明のアクリル樹脂中、水酸基は水酸基
価40〜200、より好ましくは50〜150となるよ
うに導入する。水酸基価が40未満では硬化反応が十分
に起こらず、塗膜の硬度が低下し、耐化学性が不良とな
る。一方、200を越えると未反応の水酸基が塗膜に残
存し、耐水性、耐候性が不良となる。
【0017】本発明のアクリル樹脂にはキレート生成基
を有するモノマーを共重合させる。キレート生成基を有
するモノマーとしては、アセトアセトキシエチル(メ
タ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)
アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリ
レートが例示される。特に好ましいのはアセトアセトキ
シエチル(メタ)アクリレートである。
【0018】キレート生成基を有するモノマーは共重合
するモノマー全重量に対して2〜20重量%共重合させ
る。2重量%未満では、塗料中の金属アルコラートまた
はキレートの安定性が悪くなり、塗料の貯蔵中にゲルが
生成するため好ましくない。一方、20重量%を越えて
共重合させるとキレートが安定化しすぎるため、良好な
つや消し塗膜が得られない。
【0019】本発明のアクリル樹脂には好ましくはさら
にN−メチロールアクリルアミドおよび/またはN−ブ
トキシメチルアクリルアミドを共重合させる。これらの
アクリルアミド成分を共重合させることによって、アク
リル樹脂間の架橋反応が生じ、耐水性、耐化学性が向上
する。アクリルアミドモノマーは、アクリル樹脂の全モ
ノマー重量に対して2〜10重量%、好ましくは3〜5
重量%共重合させる。2重量%未満では該成分の効果が
発揮できず、10重量%を越えて共重合させてもさらな
る効果は認められない一方でコストが高くなるため好ま
しくない。
【0020】本発明のアクリル樹脂のアクリル成分とし
ては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートお
よびラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート等がいずれも好適に用いられる。ま
た、本発明のアクリル樹脂にはスチレン、α−メチルス
チレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、弗化
ビニル、弗化ビニリデン、2−エチルヘキシルメタアク
リレート等を共重合してもよい。 アクリル樹脂は、溶
液重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法の
いずれによって製造してもよい。特にアルコール系溶
剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤、グライム
系溶剤およびセロソルブアセテート系溶剤等の水混和性
溶剤を用い、各モノマーと開始剤を添加して重合する溶
液重合法によるのが好ましい。
【0021】アクリル樹脂を調製する際に用いる開始剤
としては、通常の合成に用いられるものがいずれも好適
に用いられ、例えばアゾ系化合物、ジスルフィド系化合
物、スルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジアゾ
系化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド系化合物等
が例示される。
【0022】本発明のアクリル樹脂は重量平均分子量が
5000〜100000、より好ましくは10000〜
50000であり、分子量分布が1〜6、より好ましく
は1〜3である。
【0023】本発明のアクリル樹脂は、カルボキシル基
をアルカリ性物質、例えばトリエチルアミン、ジメチル
エタノールアミン、アンモニアなどで中和して、水溶性
の樹脂として用いればよい。
【0024】本発明の塗料中、アクリル樹脂は全樹脂成
分、すなわちアクリル樹脂、硬化剤および金属アルコラ
ートまたはキレートの合計重量に対して50〜80重量
%配合する。
【0025】本発明の塗料に用いるb)の硬化剤として
はアミノ樹脂、ブロックイソシアナート、またはこれら
の混合物を挙げることができる。硬化剤として用いられ
るアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン
等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコー
ルを変性させて得た縮合体である。本発明において、ア
ミノ樹脂は分子量が500〜2000のものが好まし
い。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時の移行
性が悪いため、好ましくない。従って、メタノール、エ
タノールのみで変性したものは水に溶けやすいため好ま
しくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性タイプ
のメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例として
は、商標サイメル235、238、285、232(三
井サイテック株式会社製)の名前で販売されているメラ
ミン樹脂が挙げられる。
【0026】硬化剤として用いられるブロックイソシア
ナートとしては、1)トリメチレンジイソシアナート、
ヘキサメチレンジイソシアナートなどの脂肪族ジイソシ
アナート、またはイソホロンジイソシアナートなどの脂
環式ジイソシアナート、2)上記ジイソシアナート類と
エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ベント
ールなどの多価アルコール類とを反応させて得られる2
官能性以上のポリイソシアナート、3)上記1)のジイ
ソシアナート類3モルを反応させて得られるイソシアヌ
レート結合含有3官能性イソシアナート、にブロック剤
としてメチルエチルケトオキシム、アセトキシムなどの
オキシム系化合物、ε-カプロラクタムなどのラクタム
系化合物を反応させたものが好適に用いられる。更に反
応性を改善するために必要に応じてジブチル錫ジラウレ
ートなどの錫系化合物を少量併用してもよい。また、硬
化剤としては上記アミノ樹脂とブロックイソシアナート
の混合物を使用してもよい。
【0027】本発明の塗料中、硬化剤は全樹脂成分に対
して15〜50重量%配合する。硬化剤の量が15重量
%未満では塗膜がつや消しとはならず、また十分な硬化
反応が起こらないため、好ましくない。一方、50重量
%を越えると塗膜が硬くなりすぎ、密着性や柔軟性が低
下する。
【0028】本発明の塗料に用いられる金属アルコラー
トまたはキレート化合物としては、アルミニウム、ジル
コニウム、チタニウムおよび亜鉛からなる群から選択さ
れる金属と、アルコール、アルキルアセト酢酸エステル
およびアセチルアセトンからなる群から選択される化合
物とのアルコラートまたはキレートが好適に用いられ
る。金属アルコラートを生成するのに好適なアルコール
としては、エタノール、n−プロピルアルコール、n−
ブチルアルコール等の一級アルコール、およびイソプロ
ピルアルコール、イソブチルアルコール等の2級アルコ
ールなどが例示される。金属としては、アルミニウムま
たはジルコニウムが好ましく、最も好ましくはアルミニ
ウムである。
【0029】本発明の塗料に用いられる金属アルコラー
トまたはキレート化合物としては、1の金属に対して単
一のアルコラートまたはキレート基が結合乃至配位して
いるものであっても、1の金属に対して複数種類のアル
コラートおよび/またはキレート基が結合乃至配位して
いるものであってもよい。
【0030】本発明の塗料に用いられる好ましいアルミ
ニウムアルコラートまたはアルミニウムキレート化合物
は、式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一である炭素数1〜20の同一アルキル
基、Lは同一でも異なっていてもよいケトエノール互変
異性体化合物,nは0〜3の整数を示す。)で示される
化合物であるが、このうちnが2または3である化合物
が好ましい。
【0031】これらの式で示される化合物として、具体
的にはアルキルアセテートアルミニウムジイソプロピラ
ート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブ
トキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム
sec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチル
アセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ア
ルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキ
ルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、
アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルア
セトアセテート)76%イソプロパノール溶液、アルミ
ニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム
モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテ
ート等が例示される。特に好ましいのはアルキルアセト
アセテートアルミニウムジイソプロピラートである。
【0032】本発明の塗料中、金属アルコラートあるい
はキレート化合物は全樹脂成分に対して1〜10重量
%、好ましくは2〜6重量%配合する。1%未満の配合
量では十分なつや消し作用が得られず、一方6重量%を
越える場合にはつやが消えすぎる場合もある、(粗い面
となる?)。但し、アクリル樹脂の分子量が1万以下の
場合には6〜10重量%の量を添加した方がよい場合も
ある。
【0033】本発明の塗料は、硬化剤と金属アルコラー
トまたはキレート化合物を混合し、得られた混合物を本
発明のアクリル樹脂と混合し、得られた樹脂混合物へ脱
イオン水を加えて、固形分含量を5〜20重量%、好ま
しくは約10重量%として調製すればよい。さらに必要
に応じて染料、着色剤その他通常用いられる添加剤を配
合してもよい。
【0034】本発明の塗料にはアセトン不溶分を含有し
ない。本明細書において「アセトン不溶分を含まない」
とは、塗料0.2gをアセトン5gに加え混合し、1〜
2日経過後透明であることが目視観察によって認められ
るものをいう。本発明の塗料はアセトン不溶分を含まな
いため、電着塗膜のフロー性がよく、肌の細かいつや消
し外観となり、下地の凹凸や処理ムラのカバー力にも優
れている。
【0035】本発明の塗料は、その上記アセトン溶液を
0.4μmのフィルターにて濾過し得る。この0.4μm
のフィルターによる濾過可能性は、塗料中にゲル粒子が
できていないこと、およびゲル化、増粘が生じていない
ことの指標となるものである。即ち、本発明の塗料はゲ
ル状部分を含まず、粘性も高くないため、粒子の沈降等
に起因して塗料が不均一となることもなく長時間安定し
た塗装が可能である。本発明の塗料は、長時間の保存、
あるいは繰り返し使用した後にもアセトン溶液は0.4
μmのフィルター濾過性を保持している。
【0036】また、本発明の塗料は二種類の硬化反応に
より硬化されるが、第1段目の硬化反応の、F−DOM
にて測定される硬化開始温度は60〜100℃、より好
ましくは70〜90℃である。該温度が60℃未満の場
合には、塗料の安定性が悪化し、一方100℃を越える
場合にはつや消し塗膜が得られない。第2段目の硬化反
応のF−DOMにて測定される硬化開始温度は120〜
180℃、より好ましくは120〜150℃である。該
温度が120℃未満の場合はつや消し塗膜が得られず、
一方、180℃を越える場合にはアルマイトが割れる等
の悪影響が出る。ここでF−DOMにて測定される硬化
開始温度とは、膜厚15μとなるように塗装した電着塗
膜を、室温から180℃まで20分かけて昇温させた際
に周期が短くなり始める温度をいう。
【0037】本発明の塗料は、様々な導電性の金属材料
のつや消し電着塗装に用いることができる。特にアルミ
ニウム、アルミニウム合金のつや消し電着塗装に有用で
ある。アルミニウムあるいはその合金は、本発明の塗料
により塗装する前に、通常の条件でアルマイト処理およ
び封孔処理を施すのが好ましい。
【0038】本発明の塗料を用いての電着塗装には、従
来行われている条件を用いればよく、特に限定されな
い。具体的には、例えば塗料の温度を15〜30℃に保
ち、100〜250Vの直流電圧を1〜5分間かける。
その後160〜180℃にて焼き付け乾燥して、電着塗
装膜を完成させればよい。
【0039】
【実施例】本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。なお、各表に記載の各成分の添加量は特に
断らない限り重量部である。 (1)アクリル樹脂の合成 下表に示す配合でアクリル樹脂を合成した。溶剤である
イソプロピルアルコールおよびブチルセロソルブの所定
量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加熱し、緩や
かに還流させながらキレートモノマーを含むモノマー、
開始剤混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時
間反応させた後、開始剤であるアゾイソブチロニトリル
およびイソプロピルアルコールを1.5時間かけて滴下
し、さらに2時間反応させた。用いたモノマーおよび得
られたアクリルワニスの不揮発分、水酸基価、酸価、重
量平均分子量を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】(2)水分散液(塗料)の調製 (1)で調製したアクリル樹脂ワニスと以下のアルミニ
ウムアルコラート化合物: アルミキレートM:アルキルアセトアセテートアルミニ
ウムジイソプロピラート(川研ファインケミカル社製) およびアミノ樹脂として商標サイメル235の名前で販
売されているメラミン樹脂(三井サイテック(株)製、
メチル/ブチル変性)を用い、表2に示す配合:
【0042】
【表2】
【0043】にて以下の通り本発明の塗料を調製した。 i)実施例1−3 表2に記載のアクリル樹脂ワニス35.0重量部にトリ
エチルアミンを中和率が60%、すなわちカルボキシル
基に対して0.6当量分となるよう添加し、10分間撹
拌して均一に混合した。この中に表2に記載したメラミ
ン樹脂とアルミニウムキレート化合物とを予め混合して
おいたものを加え、10分間撹拌した。撹拌を続けなが
ら脱イオン水を徐々に加えて固形分10%の水分散液を
調製し、電着用塗料とした。
【0044】ii)比較例 アクリル樹脂ワニス35.0部にトリエチルアミンを中
和率が60%(カルボキシル基に対して0.6当量)と
なるよう添加し、10分間撹拌して均一に混合した。こ
の中に表2に記載のメラミン樹脂およびアルミニウムア
ルコラート化合物を添加して10分間撹拌して均一に混
合した後、脱イオン水を徐々に加えて固形分10重量%
の水分散液を調製し、電着塗装用塗料とした。
【0045】(3)塗料の性能試験 塗料のアセトン溶解性、フィルター濾過性、および経時
安定性を調べた。アセトン溶解性およびフィルター濾過
性については、塗料作成後1カ月間室温(20〜25
℃)の条件にて保存した塗料を用いて試験した。試験は
室温で行った。
【0046】アセトン溶解性は塗料0.2gにアセトン
5gを加え、均一に混合した後、1日後に目視で溶解性
を判定した。判定基準は以下の通りである: ◎:完全に透明 〇:ほんのわずか濁り、沈殿生成 △:すこし白濁、沈殿生成 ×:白濁
【0047】フィルター濾過性は、塗料の上記アセトン
溶液4〜5mlを5mlの注射器に取り、先端に0.4
μのテフロン製フィルターを取り付け、軽く注射器を押
した場合の濾過性を判定した。判定基準は以下の通りで
ある: ◎:問題なく濾過できる 〇:多少目詰まりする △:数mlで目詰まりする ×:濾過できない
【0048】経時安定性については、塗料を室温で3カ
月放置した後の粒子の沈降状態を目視判定した。判定基
準は以下の通りである: ◎:沈降なし 〇:少し沈降あり △:かなり沈降あり 塗料性能試験の結果を表3にまとめた。
【0049】
【表3】
【0050】(4)電着塗装および塗膜性能試験 6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アル
マイト皮膜厚9μ)、封孔処理(85℃の熱水に3分間
浸漬)を施した板へ塗装した。上記(2)で調製した実
施例および比較例の塗料中へこの板を浸け、100〜2
00Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その
後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行ったものにつ
いて、塗膜の厚さ、塗膜の外観、光沢、付着性、耐アル
カリ性および経時安定性を調べた。
【0051】塗膜の膜厚はミニテスト900N(エレク
トロ・フィジック社(ドイツ)製)により測定した。
【0052】塗膜の外観は目視により、以下の基準に従
って判定した: ◎:肌理の細かいつや消し肌 〇:やや肌理の粗いつや消し肌 △:肌理の粗いつや消し肌 また、同じ判定を室温で3カ月間放置した塗料について
電着塗装を行い、経時安定性として評価した。
【0053】塗膜の光沢は、デジタル変角光沢計UGV
−5K(スガ試験機(株)製)によって塗膜の60度鏡
面光沢度を測定した。
【0054】塗膜の付着性は、JIS H8602
5.8の碁盤目試験により測定した。耐アルカリ性試験
は1%NaOH水溶液に72時間浸漬した後の塗膜の状
態を調べた。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】本発明の塗料は、従来問題となっている
保存あるいは使用中にゲルを形成したり、増粘したりす
ることが無い。本発明の塗料は硬化反応の温度差によっ
て塗膜のつや消しを行うため、肌理の細かいつや消し肌
の塗膜が得られる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)側鎖にカルボキシル基、水酸基を有
    し、およびキレート生成基を有するモノマーが共重合さ
    れているアクリル樹脂、 b)硬化剤、および c)アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜
    鉛からなる群から選択される金属のアルコラートまたは
    キレート化合物の1種または2種以上、を含有する、つ
    や消し電着塗装用塗料。
  2. 【請求項2】 硬化剤がアミノ樹脂である請求項1記載
    のつや消し電着塗装用塗料。
  3. 【請求項3】 アクリル樹脂にさらにN−メチロールア
    クリルアミドおよび/またはN−ブトキシメチルモノマ
    ーが共重合されている、請求項1または2記載のつや消
    し電着塗装用塗料。
  4. 【請求項4】 キレート生成基を有するモノマーが、ア
    セトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである、請
    求項1、2または3記載のつや消し電着塗装用塗料。
  5. 【請求項5】 アクリル樹脂の重量平均分子量が500
    0〜100000であり、分子量分布が1〜6である、
    請求項1〜4いずれかに記載のつや消し電着塗装用塗
    料。
  6. 【請求項6】 成分c)が、アルコール、アセト酢酸エ
    ステルおよびアセチルアセトンからなる群から選択され
    る化合物とアルミニウムとのアルコラートまたはキレー
    ト化合物である、請求項1〜5いずれかに記載のつや消
    し電着塗装用塗料。
  7. 【請求項7】 成分c)が、式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一の炭素数1〜20のアルキル基または
    アルケニル基、Lは同一でも異なっていてもよいケトエ
    ノール型互変異性化合物、nは0〜3の整数を示す)の
    化合物である、請求項6記載のつや消し電着塗装用塗
    料。
  8. 【請求項8】 nが2または3である、請求項7記載の
    つや消し電着塗装用塗料。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のつや消
    し電着塗装用塗料を含む電着浴中で被塗装金属材料を電
    着塗装する金属材料のつや消し電着塗装方法。
  10. 【請求項10】 金属材料がアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金である請求項9記載の電着塗装方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の方法で電
    着塗装することにより表面につや消し塗膜が形成された
    つや消し塗膜を有する金属材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7479514B2 (en) * 2004-10-05 2009-01-20 Basf Corporation Adhesion promoting composition and method
JP2011168660A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Shinto Paint Co Ltd アニオン型電着塗料組成物
CN113388870A (zh) * 2021-06-11 2021-09-14 东莞天正新材料有限公司 一种复合镀液及其制备方法、电镀方法及由其形成的镀层

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