JP3773324B2 - 艶消し電着塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は艶消し電着塗料組成物に関し、特に長時間安定に保存および使用でき、均一で肌の細かい艶消し塗膜を得ることのできる艶消し電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
保存および使用安定性に優れた艶消し電着塗料として、カルボキシル基を含むアクリル樹脂にアルミニウムアルコラートまたはその錯化合物を配合した組成物が特公平7−65010号公報、特開平8−245912号公報、特公平1−39464号公報等で提案されている。
しかし、アルミニウムアルコラートまたはその錯化合物は反応性が高く、アクリル樹脂中の官能基である水酸基やカルボキシル基等との反応が経時的に進行し、その結果塗料の増粘やゲル化が起こり、塗料として利用することができなくなる。またこの電着塗料を用いて得られた塗膜は、経時的にその平滑性が低下したり、ブツブツの塗面になるなどの経時安定性に劣るという問題が避けられなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造が容易で、且つ塗料の製造後に粒子の沈降や塗料の増粘・ゲル化といった経時変化を起こさず、長期間安定に塗装でき、長時間優れた塗膜外観が得られる艶消し電着塗料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)(a)アセトアセチル基含有アクリル系重合体5〜30重量%および(b)燐酸基含有アクリル系重合体70〜95重量%とからなるアクリル系重合体、(B)式(1)に示すアルミニウム錯化合物、
Al(OR)m(L)3-m (1)
〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lはケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m≦3の整数を表す〕、および
(C)アミノ樹脂
を含んでなる艶消し電着塗料組成物に関する。
また本発明は、アセトアセチル基含有アクリル系重合体、アルミニウム錯化合物およびアミノ樹脂を予め混合し、この混合物に燐酸基含有アクリル系重合体を混合した後、これを水に分散する上記艶消し電着塗料組成物の製造方法に関する。
【0005】
アルミニウム錯化合物はアクリル系重合体中の官能基と反応して、塗料の安定性を損なうことなくアクリル樹脂ベースの電着塗装膜に艶消し外観を付与することができるため、最近電着塗料組成物に好んで用いられてきている。しかしアルミニウム錯化合物は比較的反応性が高いため、保存中更には使用中に徐々に反応または分解してアルミニウム錯化合物の実質的な濃度は減少していくことが分かってきた。したがって電着塗装により形成された塗膜の艶消し状態も経時的に変化していくことが明らかになってきた。本発明はアルミニウム錯化合物を長期的に安定に保持する方法を研究した結果得られたものであり、アクリル樹脂がアセトアセチル基を含有するアクリル系重合体と燐酸基を含有するアクリル系重合体とを含むことを特徴とする。更にまた、特定のアルミニウム錯化合物とアセトアセチル基を含有するアクリル系重合体およびアミノ基とを予め混合し混合物(I)を調製した後、この混合物(I)に、燐酸基を含有するアクリル系重合体の溶剤混合物(II)を混合することによる電着塗料の製造方法を特徴とする。
これによりアルミニウム錯化合物を安定化することができ、塗料製造が容易で長期間安定に保存・塗装することができ、且つ長期間優れた塗膜外観を有する艶消し電着塗料が得られた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の艶消し電着塗料組成物を構成する樹脂は、アセトアセチル基を含有するアクリル系重合体〔以降はアクリル系重合体(a)と記す〕と燐酸基を含有するアクリル系重合体〔以降はアクリル系重合体(b)と記す〕とを含んでなる。
アクリル系重合体にアセトアセチル基を導入するには、側鎖にアセトアセチル基を有するビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体の1種または2種以上を他のアクリル単量体と共重合させる方法が適当である。このような側鎖にアセトアセチル基を有するビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体の例としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このうち特に好ましいものは式(2)で表されるアセトアセトキシエチルメタクリレートである。
【0007】
【化1】
【0008】
アクリル系重合体(a)は、アルミニウム錯化合物を保護するに十分な量のアセトアセチル基を含有することが望ましい。アクリル系重合体中の好ましいアセトアセチル基の含有量はアルミニウム錯化合物1モルに対して0.5〜2モルである。0.5モル以下では塗料の増粘・ゲル化や塗膜の外観不良が生じ、2モル以上では十分な艶消しを得ることができない。
【0009】
アクリル系重合体(b)は、燐酸基がアクリル系重合体の主鎖に導入されてもよいし、側鎖に導入されてもよい。燐酸基を導入するには、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドフォスフェート等の燐酸基を含有するビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体の1種または2種以上を他のアクリル系単量体と共重合する方法が好ましい。燐酸基を含有する特に好ましいビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体は式(3)で表されるモノ(2-メタアクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェートである。
【0010】
【化2】
【0011】
アクリル系重合体に十分な艶消し性を付与するためには、アクリル系重合体中の燐酸基に基づく酸価が1〜20となる量で燐酸基を含有されるのが好ましい。燐酸基のより好ましい含有量は、燐酸基に基づく酸価が5〜15となる量である。燐酸酸価が1未満では十分な艶消し効果が得られない場合があり、また20を越えると艶が消えすぎたり、塗膜の耐水性が低下するため好ましくない。
【0012】
アクリル系重合体中に燐酸基を導入することにより、アミン等のアルカリ物質を添加した際に強い親水性サイトを形成し、塗料組成物を水に分散したとき一種の高分子界面活性剤として働き、その疎水性内部にアルミニウム錯化合物およびアルミニウム錯化合物を結合した上記アクリル系重合体(a)を内包することにより、アルミニウム錯化合物を水から保護することにより、アルミニウム錯化合物、したがって塗料の安定性向上に寄与するものと考えられる。
【0013】
本発明のアクリル系重合体はアセトアセチル基を含有するアクリル系重合体(a)と燐酸基を含有するアクリル系重合体(b)との混合物でもよいし、または1分子中にアセトアセチル基と燐酸基の両方を含有するアクリル系重合体であってもよく、またはそれらの混合物であってもよい。アクリル系重合体がアセトアセチル基を含有するアクリル系重合体(a)と燐酸基を含有するアクリル系重合体(b)との混合物である場合は全アクリル系重合体中の燐酸基を含有するアクリル系重合体(b)の割合は70〜95重量%であることが好ましく、80〜90重量%が特に好ましい。
いずれの存在形態の場合もアセトアセチル基および燐酸基の含有量はアクリル系重合体全体として上記の範囲の量を含むことが好ましい。
【0014】
上記アクリル系重合体(a)およびアクリル系重合体(b)からなるアクリル系重合体には、塗料液の増粘防止や塗膜により良好な艶消し性を付与する上で、アセトアセチル基および/または燐酸基と同時にカルボキシル基を導入することが好ましい。カルボキシル基を導入するには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン酸、シトラコン酸等のビニル重合可能なα,β-エチレン性不飽和単量体の1種または2種以上を重合させる方法が適当である。
【0015】
またアクリル系重合体には、燐酸基およびカルボキシル基のような酸性基に加えて、後述するアミノ樹脂との反応性を高めるために、水酸基を導入したものが好ましい。
アクリル系重合体に水酸基を導入する方法としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有アクリルモノマーの1種または2種以上を共重合させる方法が一般的である。
【0016】
アクリル系重合体には、更にアクリル成分として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、またはN-ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類の1種または2種以上を共重合することができ、上記(メタ)アクリレート類および(メタ)アクリルアミド類以外に、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、フッ化ビニルおよびフッ化ビニリデン等を共重合してもよい。これらのうち、塗料液の経時安定性を確保するうえで、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の比較的極性の低い置換基をもつ(メタ)アクリレートを共重合することが好ましい。
【0017】
カルボキシル基は、アクリル系重合体が水分散性を獲得するように、燐酸基とカルボキシルとの合計の酸基による酸価が20〜120となる量で含有されるのが好ましく、より好ましくは酸価が40〜100となる含有量である。
また水酸基含有単量体は、アミノ樹脂との反応性の関係から、アクリル系重合体中に、水酸基価として40〜200、より好ましくは50〜150程度となる量で共重合されていることが望ましい。
【0018】
また、アクリル系重合体は、艶消し性や電着塗膜のフロー性との関係から、その重量平均分子量として、5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000の範囲のものがよい。
【0019】
本発明において配合されるアルミニウム錯化合物は、式(1)
Al(OR)m(L)3-m (1)
〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lはケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m≦3の整数を表す〕で表される。
上記アルミニウム錯化合物におけるアルコラート基は、アクリル系重合体中のヒドロキシル基およびカルボキシル基との反応性が比較的高い官能基であり、比較的短鎖のアルキル基からなるアルコラート基は比較的長鎖のアルキル基からなるアルコラート基より反応性が高い。したがって、塗料の増粘やゲル化の発生を少なくし製造時の取り扱い性を容易にするために、好ましいRは炭素数が3以上のアルキル基であり、より好ましくは炭素数が6以上のアルキル基である。
【0020】
アルミニウム錯化合物中のLで表されるケトエノール型互変異性化合物の具体例としては、アセチルアセトンやアセト酢酸エチル等を挙げることができる。
【0021】
特に好ましいアルミニウム錯化合物は、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルをLとし、アルコラート基を含まない化合物であり、具体例として「アルミキレートD」(川研ファインケミカル(株)製)等がある。
【0022】
本発明におけるアルミニウム錯化合物の配合量は、アクリル系重合体とアミノ樹脂からなる樹脂の合計量100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部であり、アクリル系重合体の分子量や官能基濃度、更には目的とする塗膜性能に応じて上記範囲内で適宜変え得るものである。
【0023】
本発明の塗料組成物の成分(C)として用られるアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールを変性させて得た縮合体である。本発明において、アミノ樹脂は分子量が400〜2,000のものが好ましい。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時の移行性が悪いため、好ましくない。従って、メタノール、エタノールのみで変性したものは水に溶けやすいため好ましくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性タイプのメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例としては、商標サイメル235、238、285、232(三井サイテック株式会社製)の名前で販売されているメラミン樹脂が挙げられる。
【0024】
塗料中の全樹脂成分(アクリル系重合体およびアミノ樹脂)に占めるアミノ樹脂の配合割合は10〜60重量%が好適であるが、アクリル系重合体中の官能基量や塗膜性能に応じて変え得るものである。特に好ましい配合割合は25〜45重量%である。
【0025】
本発明の電着塗料の製造方法においては、アルミニウム錯化合物、アクリル系重合体(a)およびアミノ樹脂とを予め十分混合して無水の混合物(I)を調製するのが好ましく、塗料製造時の増粘や塗料製造後の塗料浴の経時的な増粘を防ぐ上で、アルミニウム錯化合物とアクリル系重合体(a)とを温度範囲5〜100℃で、1〜10時間予め混合し、その後にアミノ樹脂を混合して無水の混合物(I)を調製することが更に好ましい。
このように調製した混合物(I)に、アクリル系重合体(b)を溶剤に溶解した混合物(II)を混ぜ合わせて混合物(III)を調製し、これに水を加えて混合物(IV)とするのが最も好ましい。しかし必ずしもこの製造方法に限定されるものではない。
【0026】
本発明におけるアクリル系重合体への水溶性ないしは水分散性の付与は、アルカリ性物質の1種または2種以上を添加することによって行う。即ち、アクリル系重合体(A)の酸性基に対して、通常0.3〜1.0当量のアルカリ性物質、例えばモノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン等の脂肪族アミン類、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ピリジン、ピペリジン等の環状アミン類、その他の有機塩基あるいはアンモニア、カセイソーダ、カセイカリ等の無機塩基を用いて、燐酸基含有アクリル系重合体を中和することにより、水分散性を付与することができる。
【0027】
アルカリ性物質の添加時期および添加対象物に関しては、アルミニウム錯化合物とアクリル系重合体(a)およびアミノ樹脂からなる混合物(I)またはアクリル系重合体(b)が溶剤に溶解した混合物(II)に予め混合しておいてもよいし、混合物(I)と混合物(II)の混合前または混合後に添加してもよいし、混合物(IV)を調製する際に、水をアルカリ性物質との混合液として使用してもよいし、水溶性ないしは水分散性をある程度付与した後に一部を後添加しても構わないが、塗料製造時の増粘を防ぐ上では、アクリル系重合体(b)が溶剤に溶解した混合物IIに予め混合しておくことが好ましい。
【0028】
水の添加時期および添加対象物に関しては、アルミニウム錯化合物とアクリル系重合体(a)および(b)およびアミノ樹脂およびアルカリ性物質よりなる混合物(III)に添加することが好ましいが、塗料製造を容易にする上で、一部の水をアルカリ性物質との混合液としてアクリル系重合体(b)が溶剤に溶解した混合物(II)に添加しても構わない。混合物(II)において許容される水分量は、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
【0029】
アルミニウム錯化合物、アクリル系重合体(a)およびアミノ樹脂を予め混合し、これにアクリル系重合体(b)を混合する本発明の方法は、アクリル系重合体(a)によるアルミニウム錯化合物の保護によって、アルミニウム錯化合物が水やアクリル系重合体(b)と接触するのが抑制されるために塗料浴の増粘やゲル化が極めて緩慢となり、容易に安定な塗料を製造できる利点がある。
【0030】
本発明の塗料を用いての電着塗装には、従来行われている条件を用いればよく、特に限定されない。具体的には、例えば塗料の温度を15〜35℃に保ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間かける。その後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗装膜を完成させる。
【0031】
【実施例】
本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断りのない限りすべて重量部である。
実施例 1〜7および比較例 1〜3
(1)アクリル系重合体の合成
表1に示す配合でアクリル系重合体1〜7を合成した。溶剤であるイソプロピルアルコールおよびブチルセロソルブの所定量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加熱し、緩やかに還流させながらモノマー、開始剤混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、開始剤であるジメチル-2,2′-アゾビスイソブチレートおよびイソプロピルアルコールを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間反応させた。得られたアクリル樹脂ワニスの不揮発分、水酸基価、酸価、重量平均分子量を表1に示す。
このうち重合体1〜3が燐酸基含有アクリル系重合体(b)であり、重合体4〜6がアセトアセチル基含有アクリル系重合体(a)である。重合体7は燐酸基もアセトアセチル基も含まないアクリル系重合体である。
【0032】
【表1】
【0033】
(2)水分散液(塗料)の調製
(1)で調製した各アクリル樹脂ワニス、アミノ樹脂〔メチル/ブチル変性メラミン樹脂「サイメル235」(三井サイテック(株)製)〕およびアルミニウム錯化合物を表2に記載した配合割合で混合した。次いでアクリル系重合体の酸性基の60%を中和する量のトリエチルアミンを添加して混合し、最後に固形分濃度が10重量%となるように水を加えて、実施例1〜7および比較例1〜3の塗料を得た。
【0034】
【表2】
【0035】
(3)塗料の性能試験
塗料の性能として次のように経時安定性を調べた。試験は室温で行った。試験の結果を表3に示した。
経時安定性: 塗料を室温で3カ月放置した後の粒子の沈降状態を目視判定した。判定基準は以下の通りである:
◎:沈降なし
〇:少し沈降あり
△:かなり沈降あり
【0036】
(4)電着塗装および塗膜性能試験
6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アルマイト皮膜厚9μ)、封孔処理(85℃の熱水に3分間浸漬)を施した板へ塗装した。上記(2)で調製した実施例および比較例の塗料中へこの板を浸け、100〜200Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行ったものについて、塗膜の光沢および外観を評価した。また塗料を室温で3カ月保存した後電着塗装して、同様に塗膜の光沢と外観を評価しその変化を経時安定性とした。試験結果を表3に表した。
【0037】
【表3】
【0038】
表3に記載した塗膜性能は次の方法にしたがって行った。
塗膜の外観: 目視により、以下の基準に従って判定した:
◎:肌の細かい艶消し肌
〇:やや肌の粗い艶消し肌
△:肌の粗いブツブツの艶消し肌
【0039】
塗膜の光沢: デジタル変角光沢計UGV−5K(スガ試験機(株)製)によって塗膜の60°方向の光沢度を測定した。
塗膜光沢の経時安定性は、塗料を室温で3カ月放置した後に上記と同様にして塗装した塗膜の光沢を測定し、塗料調製直後に塗装した場合の光沢と比較してその変化を、以下の基準に従って判定した:
◎:±5以内
〇:±10以内
△:±15以内
【0040】
【発明の効果】
本発明の電着塗料は艶消し電着塗料として塗膜に微細で美しい艶消し肌を発現し、且つ保存後も粒子の沈降がなく、また保存後の塗料を用いて電着塗装を行った場合も従来のアルミニウム錯化合物を単独で用いた艶消し電着塗料に較べて、塗膜の外観および光沢の変化は少なく経時安定性に優れていることが確認された。
Claims (7)
- (A)(a)アセトアセチル基含有アクリル系重合体5〜30重量%および(b)燐酸基含有アクリル系重合体70〜95重量%とからなるアクリル系重合体、
(B)式(1)に示すアルミニウム錯化合物、
Al(OR)m(L)3-m (1)
〔ただし、Rは炭素数1以上のアルキル基を示し、Lはケトエノール型互変異性化合物を表す。またmは0≦m≦3の整数を表す〕、および
(C)アミノ樹脂
を含んでなる艶消し電着塗料組成物。 - アセトアセチル基含有アクリル系重合体(a)中のアセトアセチル基含有量がアルミニウム錯化合物1モルに対して0.5〜2モルの量である請求項1記載の艶消し電着塗料組成物。
- 燐酸基含有アクリル系重合体中に含有される燐酸基の含有量が燐酸基に基づく酸価が1〜20となる量である請求項1または2記載の艶消し電着塗料組成物。
- アルミニウム錯化合物(B)がアクリル系重合体(A)とアミノ樹脂(C)の樹脂合計固形分に対して1〜10重量%含まれる請求項1、2または3のいずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
- アクリル系重合体が酸価20〜120、水酸基価40〜200、重量平均分子量が5,000〜100,000である請求項1から4のいずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
- アミノ樹脂がアクリル系重合体/アミノ樹脂=9/1〜4/6の重量比で含まれる請求項1から5のいずれかに記載の艶消し電着塗料組成物。
- アセトアセチル基含有アクリル系重合体、アルミニウム錯化合物およびアミノ樹脂を予め混合し、この混合物に燐酸基含有アクリル系重合体を混合した後、これを水に分散する請求項1記載の艶消し電着塗料組成物の製造方法。
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