JPH0765010B2 - 艶消し電着塗料の製造方法 - Google Patents

艶消し電着塗料の製造方法

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JPH0765010B2
JPH0765010B2 JP316690A JP316690A JPH0765010B2 JP H0765010 B2 JPH0765010 B2 JP H0765010B2 JP 316690 A JP316690 A JP 316690A JP 316690 A JP316690 A JP 316690A JP H0765010 B2 JPH0765010 B2 JP H0765010B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、アルミサッシ、スチール家具等の金属製品や
金属製部品に艶消し塗膜を施すのに好適な艶消し電着塗
料の製造法に関するものである。
[従来の技術] 電着塗装方法は、水を溶媒として使用するために、火
災、爆発等の危険性がなく、工程を自動化して長期間に
わたって大量に連続塗装することが可能であること、さ
らに塗膜厚のコントロールが容易である等多くの利点を
有しているため従来から広く利用されている。電着塗装
のなかでも、艶消し電着塗装は、金属光沢感を抑制した
塗膜を得ることができるため、各種金属製品の表面保護
ばかりでなく、美観も向上させ得る手段として、最近そ
の需要が広がりつつある。
艶消し電着塗装方法については、今までにいくつかの方
法が提案されており、以下の方法は代表的なものであ
る。
従来技術1:電着塗料浴中に艶消し効果を有する無機質透
明顔料を含有せしめ、電着塗装時に塗料の有機樹脂成分
と共に無機顔料を析出せしめ、無機顔料表面で乱反射さ
せる方法。
従来技術2:電着塗装された被塗物を、焼付け硬化前に酸
或は有機溶剤等により浸漬処理することにより塗膜表面
をエッチングし、微細な起伏を形成させ、塗膜表面で乱
反射させる方法。
従来技術3:相互に溶解しないもの、相互に架橋、重合し
ないもの又は相互に硬化速度が異なるもの、例えばポリ
エチレン系ワックス、ポリカーボネート樹脂、ポリエチ
レン粒子及びガラス転移点が異なる樹脂等のうち2種以
上の樹脂を含有する塗料を電着塗装し、焼付け時に生ず
る硬化ヒズミにより塗膜表面に起伏を形成し、乱反射さ
せる方法。
従来技術4:無機質顔料の代わりに、塗料中に基体樹脂と
化学的に結合したゲル粒子を含有させ、さらに焼付け時
に基体樹脂とゲル粒子との収縮性の相違から塗膜表面に
起状を形成し、塗膜表面の起伏及び内部ゲル粒子表面で
乱反射させる方法。
しかしながら、上記従来技術においては、以下に示すよ
うな問題があり、改善が望まれている。
1.粒子の沈降:上記従来技術1、従来技術3及び従来技
術4においては、塗料中に含まれる粒子と基体樹脂では
比重が異なるため、塗料の保存中或は塗装工程中におい
て、それらの粒子が沈降又は分離し、それらの粒子が不
均一に分散した塗膜となる。
2.艶ムラ:上記従来技術2、従来技術3及び従来技術4
においては、酸或は有機溶剤による処理条件又は塗装条
件の僅かな相違により、得られる塗膜の表面状態が異な
るため、塗膜表面に艶ムラが生ずることがしばしばあ
る。
3.塗膜特性の低下:上記従来技術2及び従来技術3にお
いては、部分的に過度にエッチングされるため塗膜が剥
離したり、耐候性等が劣化するという問題、或は塗膜の
内部にはかなり大きな硬化ヒズミが残存するため、被塗
物への付着力が弱い等、電着塗装後の塗膜の例えば硬
度、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性及び耐熱冷サイクル
性等の各種特性が低下するという問題がある。
従来技術5:一方、有機溶剤等に溶解したアクリル系重合
体や水分散したアクリル系重合体エマルションに、アル
ミニウム錯化合物等の金属有機塩を直接添加した塗料を
用いて塗装した塗膜は、一般的に強靭になり、塗膜特性
は著しく向上することが知られており、この知見を利用
することにより上記の各問題を解決しようとする塗料と
して、水を特定量含有させた電着塗料に、アルミニウム
錯化合物等の金属有機塩を配合した電着被覆塗料組成物
が提案されている(特開昭58−45270)。
しかし、上記電着被覆塗料組成物においては、金属有機
塩を電着塗料に添加すると、アクリル系重合体の−OH基
や−COOH基等の官能基と金属有機塩が反応して、時間の
経過とともに塗料浴の増粘或いはゲル化が起こったり、
場合によっては粒子の凝集或いは沈降が起こるため、塗
料浴として利用することができなくなり、また上記電着
塗料浴を用いて得られた塗膜は、その平滑性が低下した
り、ブツブツの塗面になるという問題がある。
[本発明が解決しようとする課題] 本発明は、上記問題点1、2及び3を解消し、さらに製
造が容易で、且つ塗料浴の製造後に粒子の凝集或いは沈
降や塗料浴の増粘或いはゲル化を起こさず、安定に塗装
できる艶消し電着塗料の製造方法を提供することを課題
とするものである。
(ロ)発明の構成 [課題を解決するための手段] 本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のアルミニウム
アルコラート錯化合物とアミノ樹脂とを予め混合し、次
いでこの混合物と有機溶剤に溶解したアクリル系重合体
とを混合すると、上記問題を一挙に解決し、常に一定の
艶消し電着塗膜が得られることを見出し、本発明を完成
するに到った。
即ち、本発明は、(1)水混和性有機溶剤にアクリル系
重合体が溶解した無水の混合物(I)を、下記一般式で
表されるアルミニウムアルコラート錯化合物 Al(OR1)(OR2)(L) (但し、上記一般式に於て、R1は炭素数が1〜4のアル
キル基、R2は炭素数が5以上のアルキル基、Lはケトエ
ノール型互変異性化合物、1,3プロパンジオール又はそ
の誘導体を表す。) とアミノ樹脂からなる無水の混合物(II)と混合するこ
とにより、アルミニウムアルコラート錯化合物の割合
が、アクリル系重合体とアミノ樹脂からなる樹脂固形分
の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であり、また
アクリル系重合体とアミノ樹脂の割合が、両者の樹脂固
形分の重量比として9:1〜4:6である無水の混合物(II
I)を得る工程、及び(2)混合物(III)に水を加える
ことにより混合物(IV)を得る工程からなり、かつ、上
記(1)または(2)の各工程における成分または混合
物の1種または2種以上に、アルカリ性物質を添加する
ことにより、混合物(IV)に、水溶性又は水分散性を付
与することを特徴とする艶消し電着塗料の製造方法であ
る。
以下、本発明の組成物を構成する各種成分、電着塗料浴
の調製及び電着塗装方法について詳細に説明する。な
お、本明細書において、(メタ)アクリレートとあるの
は、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
○アクリル系重合体 本発明に用いられるアクリル系重合体は、カルボキシル
基を含有するものが好ましく、このカルボキシル基を導
入するには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、
イタコン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン酸、シ
トラコン酸等のビニル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸
の1種又は2種以上を重合させる方法が適当であり、ア
クリル酸とメタクリル酸を併用することは、塗膜により
良好な艶消し性を付与する上で好ましい。
上記アクリル系重合体は、カルボキシル基に加えて、後
述するアミノ樹脂及びアルミニウムアルコラート錯化合
物との反応性を高めるために、水酸基をも導入したもの
が好適である。アクリル系重合体に水酸基を導入する方
法としては、β−ハイドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、β−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート
又はアリルアルコール等の水酸基含有単量体の1種又は
2種以上を重合させる方法が一般的である。
アクリル系重合体には、更にアクリル成分として、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリレート、又はN−ブトキシ(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド
等の(メタ)アクリルアミドの1種もしくは2種以上を
共重合することができ、上記(メタ)アクリレート及び
(メタ)アクリルアミド以外に、スチレン、α−メチル
スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、弗化
ビニル及び弗化ビニリデン等を共重合してもよい。
アクリル系重合体は、該重合体が水希釈性を獲得するに
充分な量のカルボキシル基即ち酸価として20〜120KOHmg
/g程度になる量のカルボキシル基を含有していることが
通常望ましく、一方アミノ樹脂及びアルミニウムアルコ
ラート錯化合物との反応性の関係からアクリル系重合体
中に、水酸基価として40〜200KOHmg/g程度となる量の水
酸基含有単量体が共重合されていることが通常望まし
い。
アクリル系重合体は、溶液重合、エマルジョン重合、懸
濁重合等の公知の方法のいずれによっても製造できる
が、各種の溶剤例えばメタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン及びグリセリン等のアルコ
ール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及び
ノルマルブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、カル
ビトール系溶剤、グライム系溶剤、セロソルブアセテー
ト系溶剤等の、水混和性を有する溶剤を用いた溶液重合
は望ましい製造法である。尚、エマルジョン重合及び懸
濁重合等のごとき水を含む方法でアクリル系重合体を製
造した場合は、水を除去した後、上記の溶剤に溶解して
無水の状態とする必要がある。
重合触媒としては、アゾ系化合物、パーオキサイド系化
合物、スルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジア
ゾ系化合物、ニトロソ化合物等を通常使用されている量
用いることができる。
アクリル系重合体は、その重量平均分子量として、7,00
0〜150,000、より好ましくは10,000〜130,000の範囲の
ものがよく、室温で100,000cps以下の粘度を有し、かつ
比較的高分子量のものが好ましい。
上記の方法で得たアクリル系重合体溶液は本発明におけ
る混合物(I)として使用され、塗料浴の調製を容易に
するには、必要に応じて上記の水混和性を有する溶剤で
希釈することにより、混合物(I)における固形分の濃
度を40〜70重量%の範囲に調整することが好ましい。
○アミノ樹脂 本発明の無水混合物(II)におけるアミノ樹脂は、メラ
ミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ系化合物とホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合
物との縮合体、もしくは該縮合体を更にメタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール等の
アルコールによって変性した縮合体変性物であって、比
較的疎水性のものが望ましいが、通常はメタノール、エ
タノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、ノルマルブチルセロソルブ、エチレング
リコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロ
パン又はグリセリン等の、水混和性を有する溶剤の溶液
として使用される。特に望ましいアミノ樹脂としては、
アルコール変性したメラミン−ホルムアルデヒド縮合
体、なかんづく該縮合体中のイミノ基及びメチロール基
の合計がメラミンのトリアジン環1個あたり2個以内
で、残りがすべてアルコールによりアルキルエーテル化
されたものがあり、更に望ましくは該アルキルエーテル
中のアルキル基がメチル、エチル、イソプロピル、ノル
マルプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャ
リイソブチル等の、炭素数が4以下の低級アルキル基か
ら選ばれた1種もしくは2種以上の混合アルキル基であ
るものである。
○アルミニウムアルコラート錯化合物 本発明におけるアミノ樹脂に配合されるアルミニウムア
ルコラート錯化合物は、電着塗膜の艶消し効果を格段に
向上させることができるものであり、具体的には、下記
一般式で表されるアルミニウムアルコラート錯化合物 Al(OR1)(OR2)(L) (但し、上記一般式に於て、R1は炭素数が1〜4のアル
キル基、R2は炭素数が5以上のアルキル基、Lはケトエ
ノール型互変異性化合物、1,3プロパンジオール又はそ
の誘導体を表す。) である。
アルコラート基は、アクリル系重合体におけるOH基又は
COOH基との反応性が比較的高い官能基であり、比較的短
鎖のアルキル基を有するアルコラート基(OR1)は、比
較的長鎖のアルキル基を有するもの(OR2)及び官能基
Lに比較して、より高い反応性を持っている。OR1が2
つ以上Alと結合していると、反応性が高過ぎ、塗料の増
粘或いはゲル化が起こるという問題があるため、アルミ
ニウムアルコラート錯化合物がアルコラート基の適度な
反応性を保持し、かつ塗料の安定性を維持するために
は、上記一般式に表されるように、三種の官能基を有す
ることが必要である。
塗料製造時の取り扱いを容易にする上において、好まし
いR1は、その炭素数が2〜4の比較的短鎖のアルキル基
であり、好ましいR2は、その炭素数が8〜36、より好ま
しくは炭素数が15〜27の比較的長鎖のアルキル基であ
る。
ケトエノール型互変異性化合物の具体例として、アセチ
ルアセトンやアセト酢酸エチル等がある。
本発明に用いる好ましいアルミニウムアルコラート錯化
合物は、炭素数が2〜4のアルキル基を有するOR1、炭
素数が15〜27のアルキル基を有するOR2及びアセチルア
セトン又はアセト酢酸エチルをLとする化合物があり、
市販品の具体例としては、OL−1000(川研ファインケミ
カル株式会社製商品名)等がある。
本発明においては、前記の無水混合物(I)と無水混合
物(II)を混合することにより、無水混合物(III)を
調製するが、無水の混合物(III)におけるアルミニウ
ムアルコラート錯化合物の割合は、アクリル系重合体と
アミノ樹脂からなる樹脂固形分の合計量100重量部(以
下部とあるのは、重量部を表す)に対して0.1〜10部で
あり、好ましくは0.5〜7部の範囲とするのがよく、ア
クリル系重合体の分子量が大きい程、或いはアクリル系
重合体の酸価又は水酸基価が大きい程、小量の添加で充
分な艶消し効果が得られる傾向がある。
又、無水の混合物(III)におけるアクリル系重合体と
アミノ樹脂との割合は、両者の樹脂固形分の重量比とし
て9:1〜4:6であるが、アクリル系重合体中の官能基の含
有率や目的とする塗膜性能等に応じて上記範囲内で混合
割合は変え得るものである。
○電着塗料浴の調製方法 本発明の製造方法において、アルミニウムアルコラート
錯化合物とアミノ樹脂とを予め充分混合する必要があ
り、次に有機溶剤に溶解したアクリル系重合体を混ぜ合
わせて無水の混合物(III)を調製した後、これに水を
加えて混合物(IV)とする。
本発明における水溶性ないしは水分散性の付与は、アル
カリ性物質を、前掲の(1)または(2)の各工程にお
ける成分または混合物の1種または2種以上に、添加す
ることによって行う。即ち、アクリル系重合体のカルボ
キシル基に対して、通常0.3〜1.0当量のアルカリ性物
質、例えばモノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエ
チルアミン等の脂肪族アミン類、ジメチルエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の
アルカノールアミン類、ピリジン、ピペリジン等の環状
アミン類その他の有機塩基或いはアンモニア、カセイソ
ーダ、カセイカリ等の無機塩基を用いて、アクリル系重
合体を中和することにより、水希釈性を与えることがで
きる。
このアルカリ性物質の添加時期及び添加対象物に関して
は前記した通りであり、アクリル系重合体の有機溶剤溶
液である混合物(I)又はアルミニウムアルコラート錯
化合物とアミノ樹脂からなる混合物(II)に予め混合し
ておいても良いし、混合物(I)と混合物(II)の混合
前又は混合後に添加しても良いし、混合物(IV)を調製
する際に、水をアルカリ性物質との混合液として使用し
ても良いし、水溶性ないしは水分散性をある程度付与し
た後に一部を後添加しても構わない。
各成分の混合温度に関しても、特に制限はないが、好ま
しい温度範囲は5〜95℃である。
アルミニウムアルコラート錯化合物とアミノ樹脂及びア
クリル系重合体の混合系[混合物(III)]中には、混
合物(I)において、アクリル系重合体の濃度を調整す
るために、水混和性有機溶剤を用いて希釈する際、有機
溶剤中に含有される水が混入することがあるが、混合物
(I)と混合物(II)から得られる混合物(III)の含
水量が多いと、混合時に増粘やゲル化を生じ易く、また
それを水分散して得た塗料は時間の経過とともに塗膜の
光沢が変化したり、塗面に多数のブツを生じるので、本
発明の方法においては、有機溶剤中に含有される極少量
の水が混合物(III)に混入する以外、実質的に水を含
有させるべきではない。混合物(III)において許容さ
れる水分量は、好ましくは3重量%以下、さらに好まし
くは1重量%以下である。
この様にして、アルミニウムアルコラート錯化合物とア
ミノ樹脂とを予め充分混合し、これにアクリル系重合体
を混合する本発明の方法は、アルミニウムアルコラート
錯化合物とアクリル系重合体との接触が恐らく抑制され
るためと考えられるが、混合物(III)は水を実質的に
含有しない無水の状態であるにもかかわらず、塗料浴の
増粘或いはゲル化が極めて緩慢なので、容易に安定な塗
料を製造できる利点を有する。
本発明の方法により、水溶性なしい水分散性を有する混
合物(IV)を製造しているとき、場合により、時間の経
過とともに塗料浴が増粘するため、高粘度で攪拌困難に
なる場合もあるが、ゆっくり水を加えると驚くべきこと
に残渣なくきれいに水溶性化又は水分散性化させること
ができる。
本発明によって製造された水溶性ないし水分散性を有す
る混合物(IV)は、そのままで、又は所望の添加剤を配
合し、或いは希釈して艶消し電着塗料として実用に供さ
れるが、その調製方法の一具体例を示せば以下のように
なる。
イソプロピルアルコール等の水混和性溶剤によって、樹
脂固形分を50重量%に調整したアクリル系重合体からな
る混合物(I)280部、及びジメチルエタノールアミン
等のアルカリ性物質1〜15部を添加し、室温で1時間攪
拌する。他方、アミノ樹脂60部及びアルミニウムアルコ
ラート錯化合物6部で、又はこれに50部までのイソプロ
ピルアルコール等の水混和性有機溶剤を予め添加したも
のを、室温で1時間混合攪拌して、混合物(II)を調製
する。その後、これを上記混合物(I)に添加し、室温
で1時間攪拌する。このとき、若干増粘することがある
が、必要に応じて少量のイソプロピルアルコール等の水
混和性有機溶剤で希釈することにより粘度を低下させて
もよい。このようにして得られる混合物(III)を攪拌
しながら、水を徐々に添加して、水溶性ないし水分散性
が付与された混合物(IV)即ち艶消し電着塗料組成物を
調製する。
尚、水の中に上記の混合物を徐々に添加してもよく、必
要に応じてアルカリ性物質を追加する。
また、混合物(IV)に過剰の有機溶剤が含まれる場合
は、電着特性に影響するので、水を含有する混合物(I
V)を加熱しながら減圧で溶剤を留去してもよい。
電着塗料浴の固形分濃度は、5〜20重量%が適当であ
り、5重量%以下では、塗装電圧が高くなりすぎ、20重
量%より多いと、塗装系外への損失が大きく経済的では
ない。
さらに必要に応じて、本発明により得られる塗料に染
料、着色剤その他通常用いられる種々の添加剤を配合し
てもよい。
○電着塗装方法 電着塗装は、塗料浴の温度が15〜35℃、塗装電圧が50〜
250V及び処理時間が1〜5分の通常採用されている条件
で行うことができる。電着塗装により析出した電着塗膜
表面上の付着塗料を水洗により除去し、電着塗膜面を露
出させた後、100〜250℃、より好ましくは160〜200℃の
温度で塗膜の焼付けを行う。艶消し電着塗装に適用でき
る被塗物は、導電性を有するものであれば特に限定され
ないが、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いた場
合は、平滑性等の性能に優れた均一な艶消し塗膜が得ら
れ、特に好適である。
〔作用〕
アルミニウムアルコラート錯化合物とアミノ樹脂とを予
め混合する操作により、該錯化合物がアミノ樹脂に包含
された形でアクリル系重合体と混合された塗料粒子が一
度形成されるので、その−OH基や−COOH基と該錯化合物
との反応が緩慢になる為に、また水溶化又は水分散化さ
れた時は、水との直接接触が抑制されている為に、分解
による該錯化合物の活性低下や塗料粒子間の凝集が起こ
り難い上、塗料粒子内でアクリル系重合体の−OH基や−
COOH基等の官能基と該錯化合物が徐々に反応して、安定
した結合状態を作ってしまうものと推定される。
[実施例及び比較例] 以下実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に
説明する。
まず、下記表1に示した各種モノマーを用いて、6種類
のアクリル系重合体を製造した。
得られた重合体について、酸価、水酸基価及び重量平均
分子量を測定し、それらの結果を併せて表1に示した。
このようにして得たアクリル系重合体を用いて以下の実
施例及び比較例の実験を行った。
実施例1 イソプロピルアルコール等の水混和性溶剤で希釈し、樹
脂固形分を50重量%に調整したアクリル系重合体60部及
びアクリル系重合体の酸成分に対して中和度65%となる
ように配合したトリエチルアミンを、室温で1時間攪拌
する。
他方、アミノ樹脂40部及びアルミニウムアルコラート錯
化合物3部を予め混合して添加し、室温で1時間混合攪
拌する。その後、このものを上記アクリル系重合体系中
に添加し、室温で1時間攪拌する。
このようにして得られる混合物を攪拌しながら、水を徐
々に添加して電着塗料組成物を調製し、電着塗装した。
なお、電着塗料におけるアクリル系重合体、アミノ樹脂
及びアルミニウムアルコラート錯化合物の組成(種類と
部数で表された配合量)及び塗装条件を下記表2に示し
た。
得られた塗膜について、膜厚、電着塗装直後で熱冷サイ
クルテストを行う前の光沢、熱冷サイクルテスト後の光
沢保持率等、各種塗膜特性を測定した。その結果は表2
に示したとおりであった。なお、各種塗膜特性の測定方
法は、以下の操作に従った。
膜厚:JIS−H−8602−4.6に従い、うず電流式厚さ測定
器により測定した。
熱冷サイクルテスト:沸騰水に8時間浸漬した後、−20
℃で16時間保持する工程を1サイクルとし、その工程を
7サイクル実施した。
熱冷サイクルテスト前の光沢:JIS−Z−8741に従い、60
゜鏡面光沢度を測定した。
熱冷サイクルテスト後の光沢保持率:熱冷サイクルテス
ト前の光沢に対する熱冷サイクルテスト後の光沢の百分
率を求めた。この特性値が100に近い程、優れた塗膜耐
久性があることを示す。
熱冷サイクル後の外観:目視により判定した。
なお、電着塗装直後の塗膜外観は、いずれもムラやブリ
スター(ブツ)等の外観異常が無く、良好であった。ま
た、電着塗料浴及び塗膜を、25℃で3カ月静置した後の
変化を肉眼観察により調べた結果、いずれの場合も、電
着塗料浴中において塗料浴の凝集或いは沈降や増粘或い
はゲル化はいずれも見られず、又塗膜特性についても、
初期と同様、良好な艶消し塗膜の状態が保たれていた。
実施例2〜11 各種アクリル系重合体、アミノ樹脂及びアルミニウムア
ルコラート錯化合物を用いて、上記実施例1と同様にし
て電着塗料浴を調整し、電着塗装した。電着塗料におけ
るアクリル系重合体、アミノ樹脂及びアルミニウムアル
コラート錯化合物の組成(種類と部数で表された配合
量)、塗装条件、塗膜の各種特性及び電着塗料浴の貯蔵
安定性を下記表2に示した。
比較例1 アルミニウムアルコラート錯化合物を使用しなかった以
外は、上記実施例1と同様にして電着塗料浴を調整し、
この電着塗料浴により電着塗装した。得られた塗膜の各
種塗膜特性を表2に示した。
熱冷サイクルテスト前の光沢及び熱冷サイクルテスト後
の光沢保持率を、上記実施例1における結果と比較する
と、比較例1の方が、熱冷サイクルテスト前の光沢は高
く、熱冷サイクルテスト後の光沢保持率は低かった。こ
のことから、電着塗料浴中にアルミニウムアルコラート
錯化合物を含有させることが、電着塗膜の艶消し効果及
びその耐久性に大きな効果を有することがわかる。
比較例2 アルミニウムアルコラート錯化合物を使用しなかった以
外は、上記実施例1と同様にして電着塗料浴を調製し、
その後アルミニウムアルコラート錯化合物3部をイソプ
ロピルアルコール20部に溶解して添加した後電着塗装し
た。得られた塗膜の各種塗膜特性を表2に示した。
実施例1と同量のアルミニウムアルコラート錯化合物を
用いても初期光沢が高く、塗膜上にブツが見られる上、
3ヶ月後の電着塗料浴に沈降が見られ、電着後の塗膜も
ザラザラしていた。
比較例3 アルミニウムアルコラート錯化合物として、アルコラー
ト基を有しないものを使用した以外は、比較例2と同様
にして電着塗料浴を調製し、電着塗装した。得られた塗
膜の各種塗膜特性を表2に示した。
実施例1と同量のアルミニウムアルコラート錯化合物を
用いても、塗膜上にブツが見られる上、3ヶ月後の電着
塗料浴に沈降が見られ、電着後の塗膜もザラザラしてい
た。
比較例4 上記実施例1と同様だが、アミノ樹脂とアルミニウムア
ルコラート錯化合物を予め混合せず、まず有機溶剤に溶
解したアクリル系重合体にアミノ樹脂を混合した後、ア
ルミニウムアルコラート錯化合物を混合した。
アルミニウムアルコラート錯化合物を添加すると数分で
激しく増粘した。急いで水を加えたが、なかなか分散し
なかった。3時間攪拌すると一応分散した様であった
が、多量の濾過残渣があった。この浴を電着塗装した。
得られた塗膜の各種塗膜特性を表2に示した。
実施例1と同量のアルミニウムアルコラート錯化合物を
用いても初期光沢が高かった。更に3ヶ月後の電着塗料
浴には沈降が見られ、電着後の塗膜もブツが見られた。
比較例5 比較例1の電着塗料浴(固形分100部)に対し、HYTEC E
4A(東邦化学株式会社製ポリエチレン系ワックスエマル
ション)を固形分として15部添加した電着塗料浴を調製
し、電着塗装した。得られた塗膜の各種塗膜特性を表2
に示した。電着塗料浴は、25℃で1日静置すると、2相
に分離した。
比較例6 アクリル系重合体(No.6*1) 185*2部 トリエチルアミン 10.2部 イソプロピルアルコール 60 部 水 15 部 (*1:表1におけるNo.6の条件で合成されたもの、*2:
固形分濃度65%) 上記の組成を有する混合物(I)を、アルミニウムアル
コラート錯化合物〔Al(C3H7O)(C24H49O)(アセチル
酢酸エチル)6部、アミノ樹脂(三井サイアナミッド株
式会社製商品名サイメル265J)82部及びイソプロピルア
ルコール15部からなる混合物(II)と混合して得た混合
物(III)〔含水率:4%〕は、混合物(II)を混合した
後1時間で増粘したが、水を加えると水分散性化した。
このようにして得た塗料を用いて電着塗装したときの電
着条件、塗膜特性及び塗料浴の貯蔵安定性は、以下のと
おりであった。
電圧:90V、膜厚 12μm、 熱冷サイクルテスト前 光沢 3 塗膜外観 ○ 熱冷サイクルテスト後 光沢保持率 96% 塗膜外観 ○ 3ヶ月後の状態 電着浴 沈降 塗膜外観 × ブツ 比較例7 アクリル系重合体(No.1*1) 178*2部 トリエチルアミン 7.4部 アミノ樹脂(サイメル265J) 47 部 水 55 部 (*1:表1におけるNo.1の条件で合成されたもの、*2:
固形分濃度56%) 上記の組成を有する混合物に、アルミニウムアルコラー
ト錯化合物〔Al(C3H7O)(C24H49O)(アセト酢酸エチ
ル)〕7部とイソプロピルアルコール144部からなる混
合物を混合することにより調製した混合物〔含水率:12.
5%〕は、上記錯化合物と有機溶剤からなる混合物を混
合した後10分で増粘したが、水を加えると水分散性化し
た。このようにして得た塗料を用いて電着塗装したとき
の電着条件と塗膜特性及び塗料浴の貯蔵安定は、以下の
とおりであった。
電圧:90V、膜厚 12μm、 熱冷サイクルテスト前 光沢 3 塗膜外観 ○ 熱冷サイクルテスト後 光沢保持率 96% 塗膜外観 ○ 3ヶ月後の状態 電着浴 沈降 塗膜外観 × ブツ (ハ)発明の効果 本発明の電着塗料組成物は、塗料の保存中或は塗装工程
において凝集或いは沈降や増粘或いはゲル化を生ずるこ
とがなく、これに起因する電着塗膜の不均一性を生じさ
せない。
又、本発明の電着塗料を用いた電着塗装条件としては、
電着塗膜の酸処理等、精密な制御を必要とせず、制御の
容易な一般的条件を採用すればよく、通常の電着塗装法
によって艶ムラのない電着塗膜を形成させることができ
る。
さらに、本発明の電着塗料を用いて電着塗装した電着塗
膜は、熱例サイクルテスト等に耐えるものであり、その
他の各種塗膜特性にも優れたものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水混和性有機溶剤にアクリル系重合体が溶
    解した無水の混合物(I)を、下記一般式で表されるア
    ルミニウムアルコラート錯化合物 A1(OR1)(OR2)(L) (但し、上記一般式に於て、R1は炭素数が1〜4のアル
    キル基、R2は炭素数が5以上のアルキル基、Lはケトエ
    ノール型互変異性化合物、1,3プロパンジオール又はそ
    の誘導体を表す。) とアミノ樹脂からなる無水の混合物(II)と混合するこ
    とにより、アルミニウムアルコラート錯化合物の割合
    が、アクリル系重合体とアミノ樹脂からなる樹脂固形分
    の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であり、また
    アクリル系重合体とアミノ樹脂の割合が、両者の樹脂固
    形分の重量比として9:1〜4:6である無水の混合物(II
    I)を得る工程、及び(2)混合物(III)に水を加える
    ことにより混合物(IV)を得る工程からなり、かつ、上
    記(1)または(2)の各工程における成分または混合
    物の1種または2種以上に、アルカリ性物質を添加する
    ことにより、混合物(IV)に、水溶性又は水分散性を付
    与することを特徴とする艶消し電着塗料の製造方法。
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