JP2910613B2 - 艶消し電着塗料 - Google Patents

艶消し電着塗料

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JP2910613B2
JP2910613B2 JP7820395A JP7820395A JP2910613B2 JP 2910613 B2 JP2910613 B2 JP 2910613B2 JP 7820395 A JP7820395 A JP 7820395A JP 7820395 A JP7820395 A JP 7820395A JP 2910613 B2 JP2910613 B2 JP 2910613B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミサッシ、スチー
ル家具等の金属製品や金属製部品に艶消し塗膜を施すの
に好適な艶消し電着塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電着塗装は、溶媒として水を使用してい
るため、火災、爆発等の危険性がなく、また工程を自動
化して長期間にわたって大量に連続塗装することが可能
であり、更に塗膜厚のコントロールが容易である等、多
くの利点を有しており、従来から広く利用されている。
電着塗装のなかでも、艶消し電着塗装は、金属光沢感を
抑制した塗膜を得ることができるため、各種金属製品の
表面保護ばかりでなく、美観も向上させ得る手段とし
て、最近その需要が広がりつつある
【0003】艶消し電着塗装方法については、今までに
いくつかの方法が提案されており、以下の方法は代表的
なものである。 従来技術1:電着塗料浴中に艶消し効果を有する無機質
透明顔料を含有せしめ、電着塗装時に塗料の有機樹脂成
分と共に無機顔料を析出せしめ、無機顔料表面で乱反射
させる方法。 従来技術2:電着塗装された被塗物を、焼付け硬化前に
酸あるいは有機溶剤等により浸漬処理することにより塗
膜表面をエッチングし、微細な起伏を形成させ、塗膜表
面で乱反射させる方法。 従来技術3:相互に溶解しないもの、相互に架橋、重合
しないもの又は相互に硬化速度が異なるもの、例えばポ
リエチレン系ワックス、ポリカーボネート樹脂、ポリエ
チレン粒子及びガラス転移点が異なる樹脂等のうち2種
以上の樹脂を含有する塗料を電着塗装し、焼付け時に生
ずる硬化ヒズミにより塗膜表面に起伏を形成し、乱反射
させる方法。 従来技術4:無機質顔料の代わりに、塗料中に基体樹脂
と化学的に結合したゲル粒子を含有させ、さらに焼付け
時に基体樹脂とゲル粒子との収縮性の相違から塗膜表面
に起伏を形成し、塗膜表面の起伏及び内部ゲル粒子表面
で乱反射させる方法。
【0004】しかしながら、上記従来技術においては、
以下に示すような問題があり、改善が望まれている。 1.粒子の沈降:上記従来技術1、従来技術3及び従来
技術4においては、塗料中に含まれる粒子と基体樹脂で
は比重が異なるため、塗料の保存中或は塗装工程中にお
いて、それらの粒子が沈降又は分離し、それらの粒子が
不均一に分散した塗膜となる。 2.艶ムラ:上記従来技術2、従来技術3及び従来技術
4においては、酸或は有機溶剤による処理条件又は塗装
条件の僅かな相違により、得られる塗膜の表面状態が異
なるため、塗膜表面に艶ムラを生ずることがしばしばあ
る。 3.塗膜特性の低下:上記従来技術2及び従来技術3に
おいては、部分的に過度にエッチングされるため塗膜が
剥離したり、耐候性等が劣化するという問題、或は塗膜
の内部にはかなり大きな硬化ヒズミが残存するため、被
塗物への付着力が弱い等、電着塗装後の塗膜の例えば硬
度、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性及び耐熱冷サイクル
性等の各種特性が低下するという問題がある。
【0005】上記の各問題を解決しようとする艶消し電
着塗料として、従来技術5:水を特定量含有させた電着
塗料に、アルミニウム錯化合物等の金属有機塩を配合し
た電着被覆塗料組成物が提案されている(特開昭58-452
70)。
【0006】しかし、上記電着被覆塗料組成物において
は、金属有機塩を電着塗料に添加すると、アクリル系重
合体の−OH基や−COOH基等の官能基と金属有機塩
が反応して、時間の経過とともに塗料浴の増粘或いはゲ
ル化が起こったり、場合によっては粒子の凝集或いは沈
降が起こるため、塗料浴として利用することができなく
なり、また上記電着塗料浴を用いて得られた塗膜は、そ
の平滑性が低下したり、ブツブツの塗面になるなど液安
定性に劣るという問題があった。更にまたアルミニウム
錯化合物等の金属有機塩は、塗料及び塗膜が黄変すると
いう問題を有していた。
【0007】また、アルコラート基が比較的短鎖のアル
コキシド基であり、かつ錯体を含有しないアルミニウム
アルコラートは、一般に水分及びアクリル系重合体にお
けるカルボキシル基との反応性が高く、カルボキシル基
を含有する塗料系に配合すると、塗料の増粘或いはゲル
化を起こしやすく、特に水性塗料の塗料化には使用でき
なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点1(粒子の沈降)、2(艶ムラ)及び3(塗膜の耐
候性等の低下)が解消され、更に塗料浴の製造時に塗料
浴の増粘或いはゲル化を起こさず、製造が容易で、安定
に塗装でき、しかも塗料及び塗膜の黄変等の着色の無
い、優れた艶消し電着塗料を提供せんと鋭意研究した結
果本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系重
合体、該重合体が可溶な水混和性有機溶剤(以下、水混
和性有機溶剤と称す)、式(1)で示されるアルミニウ
ムアルコラート、アミノ樹脂、アルカリ性物質および水
からなる水溶性または水分散性艶消し電着塗料である。
【0010】
【化2】 Al(OR1 m (OR2 3-m (1) (ただしR1 は炭素数5〜36のアルキル基もしくはア
ルケニル基、またはアリール基を示し、R1 は同一でも
異なっていてもよい。R2 は炭素数4以下のアルキル基
を示し、R2 は同一でも異なっていてもよい。また、1
≦m≦3である。)
【0011】以下、本発明の艶消し電着塗料を構成する
各種成分、電着塗料浴の調製及び電着塗装方法について
詳細に説明する。なお、本明細書において、(メタ)ア
クリレートとあるのは、アクリレート及び/又はメタク
リレートを表す。
【0012】○アクリル系重合体 本発明に用いられるアクリル系重合体は、カルボキシル
基をアクリル系重合体の主鎖又は側鎖に含有するものが
好ましく、このカルボキシル基を導入するには、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタコ
ン酸モノエステル、クロトン酸、シトラコン酸等のビニ
ル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸の1種又は2種以上
を重合させる方法が適当であり、アクリル酸とメタクリ
ル酸を併用することは、塗膜により良好な艶消し性を付
与する上で好ましい。
【0013】上記アクリル系重合体は、カルボキシル基
に加えて、後述するアミノ樹脂及びアルミニウムアルコ
ラートとの反応性を高めるために、水酸基を導入したも
のが好適である。アクリル系重合体に水酸基を導入する
方法としては、β−ハイドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、β−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト又はアリルアルコール等の水酸基含有単量体の1種又
は2種以上を重合させる方法が一般的である。
【0014】アクリル系重合体には、更にアクリル成分
として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イ
ソブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びラウ
リル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリレート、又はN−ブトキシ
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド等の(メタ)アクリルアミドの1種もしくは
2種以上を共重合することができ、上記(メタ)アクリ
レート及び(メタ)アクリルアミド以外に、スチレン、
α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニ
トリル、弗化ビニル及び弗化ビニリデン等を共重合して
もよい。
【0015】カルボキシル基を有するアクリル系重合体
は、該重合体が水希釈性を獲得するに充分な量のカルボ
キシル基即ち酸価として20〜120KOHmg/g 程度にな
る量のカルボキシル基を含有していることが通常望まし
く、一方アミノ樹脂及びアルミニウムアルコラートとの
反応性の関係からアクリル系重合体中に、水酸基価とし
て40〜200KOHmg/g 程度となる量の水酸基含有単量
体が共重合されていることが通常望ましい。
【0016】アクリル系重合体は、溶液重合、エマルジ
ョン重合、懸濁重合等の公知の方法のいずれによっても
製造できるが、各種の溶剤例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチロールプロパンおよびグリセリ
ン等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル及びプロピレングリコールモノ−t−ブチ
ルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤、カルビト
ール系溶剤、グライム系溶剤、セロソルブアセテート系
溶剤、ベンジルアルコール及びフェネチルアルコール等
の芳香族アルコール等の、水混和性を有する溶剤を1種
又は2種以上併用して用いた溶液重合は望ましい製造法
である。尚、エマルション重合および懸濁重合等のごと
き水を含む方法でアクリル系重合体を製造した場合は、
水を除去した後、上記の溶剤に溶解して無水の状態とす
る必要がある。
【0017】重合触媒としては、アゾ系化合物、パーオ
キサイド系化合物、スルフィド系化合物、スルフィン系
化合物、ジアゾ系化合物、ニトロソ化合物等を通常使用
されている量を用いることができる。
【0018】アクリル系重合体は、その重量平均分子量
として、7,000〜150,000、更に好ましくは
10,000〜130,000の範囲のものがよく、室
温で100,000cps以下の粘度を有し、かつ比較
的高分子量のものが好ましい。
【0019】上記の方法で得たアクリル系重合体溶液
は、必要に応じて、塗料浴の調製を容易にする為に、下
記の水混和性有機溶剤で希釈することが出来る。本発明
の塗料における水混和性有機溶剤とアクリル系重合体の
好ましい配合割合は、アクリル系重合体が40〜70重
量%で、水混和性有機溶剤が60〜30重量%である。
【0020】○水混和性有機溶剤 本発明における水混和性有機溶剤としては、各種の水混
和性を有する有機溶剤が用いられるが、上記で述べたア
クリル系重合体を溶液重合により製造する際に用いられ
る水混和性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチロールプロパンおよびグリセリ
ン等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル及びプロピレングリコールモノ−t−ブチ
ルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤、カルビト
ール系溶剤、グライム系溶剤、セロソルブアセテート系
溶剤、ベンジルアルコール及びフェネチルアルコール等
の芳香族アルコール等の1種又は2種以上を用いるのが
好適である。
【0021】○アミノ樹脂 本発明におけるアミノ樹脂は、メラミン、尿素、ベンゾ
グアナミン等のアミノ系化合物とホルムアルデヒド、ア
セトアルデヒド等のアルデヒド化合物との縮合体、もし
くは該縮合体を更にメタノール、エタノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール等のアルコールによって変性
した縮合体変性物であって、比較的疎水性のものが望ま
しいが、通常はメタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチ
ルセロソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリメチロールプロパン又はグリセリン等の水混
和性を有する溶剤の溶液として使用される。
【0022】特に望ましいアミノ樹脂としては、アルコ
ール変性したメラミン−ホルムアルデヒド縮合体、なか
んづく該縮合体中のイミノ基およびメチロール基の合計
がメラミンのトリアジン環1個あたり2個以内で、残り
がすべてアルコールによりアルキルエーテル化されたも
のがあり、更に望ましくは該アルキルエーテル中のアル
キル基がメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピ
ル、n−ブチル、イソブチル、ターシャリイソブチル等
の、炭素数が4以下の低級アルキル基から選ばれた1種
もしくは2種以上の混合アルキル基であるものである。
市販品の例としてサイメル232、サイメル235〔三
井サイアナミッド(株)製〕などがある。
【0023】アクリル系重合体とアミノ樹脂との好まし
い配合割合は、樹脂分の重量比として9:1〜4:6で
あるが、アクリル系重合体中の官能基の含有率や目的と
する塗膜性能等に応じて上記混合割合は変え得るもので
ある。
【0024】○アルミニウムアルコラート 本発明におけるアルミニウムアルコラートは、式(1)
で表される通りである。なお、本発明において、アルミ
ニウムアルコラートは、単一化合物だけではなく、(O
1 )基および(OR2 )基の種類または比率が異なる
化合物の混合物も使用でき、従って、これを表す式
(1)および同式におけるmは、混合物においては平均
的な化学式および値である。
【0025】
【化3】 Al(OR1 m (OR2 3-m (1) (ただしR1 は炭素数5〜36のアルキル基もしくはア
ルケニル基、またはアリール基を示し、R1 は同一でも
異なっていてもよい。R2 は炭素数4以下のアルキル基
を示し、R2 は同一でも異なっていてもよい。また、1
≦m≦3である。)
【0026】R1 が炭素数5未満のアルキル基またはア
ルケニル基は、アルミニウムアルコラートの反応性が高
くなり、塗料の増粘或いはゲル化を起こす。また、炭素
数36を越えるアルキル基またはアルケニル基では、ア
ルミニウムアルコラートの粘度が高くなり、常温で結晶
化しやすく、加熱したり、各種溶剤に溶解する必要があ
る等、取扱が困難である。R1 は好適には炭素数15〜
27のアルキル基もしくはアルケニル基、またはアリー
ル基である。
【0027】R1 において炭素数5〜36(以下、長鎖
ともいう)のアルキル基またはアルケニル基の具体例と
しては、ヘキシル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル
基、2−ヘキシルデシル基、および2−デシルテトラデ
シル基等の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、またはオ
レイル基等のアルケニル基が挙げられ、更に好ましくは
2−ヘキシルデシル基、および2−デシルテトラデシル
基またはオレイル基等が挙げられる。
【0028】また、R1 においてアリール基の炭素数に
関する制限は格別ないが、好適な具体例としては、ベン
ジル基あるいはフェネチル基が挙げられ、ベンジル基が
更に好適である。
【0029】R1 は、同一でも異なっていてもよい。
【0030】R2 において、炭素数4未満のアルキル基
の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基およびtert−ブチル基が挙げられ、
イソプロピル基が好適である。R2 は、同一でも異なっ
ていてもよい。
【0031】式(1)において、m<1の場合は、アル
ミニウムアルコラートの反応性が高く、塗膜の増粘性お
よびゲル化を引き起こす。またm>2.4になると、反
応性は穏やかであるが、常温で結晶化しやすく、加熱し
たり各種溶剤に溶解する必要がある等取扱に工夫を要
し、かつ艶消し効果が劣る恐れがある等の点から、好適
には1≦m≦2.4である。
【0032】式(1)のアルミニウムアルコラートの具
体例としては、イソプロポキシアルミニウムヘキシレー
ト、イソプロポキシアルミニウム−2−エチルヘキシレ
ート、イソプロポキシアルミニウム−2−ヘキシルデシ
レート、イソプロポキシアルミニウム−2−デシルテト
ラデシレート、イソプロポキシアルミニウムラウリレー
ト、イソプロポキシアルミニウムオレイルート等の、長
鎖の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル
基を有し、該長鎖アルキル基またはアルケニル基の平均
モル数が1〜3であるアルミニウムアルコラート、また
はイソプロポキシアルミニウムベンジレート、イソプロ
ポキシアルミニウムフェネチレート等、アリール基を有
し、該アリール基の平均モル数が1〜3であるアルミニ
ウムアルコラートが挙げられる。
【0033】特に好適なアルミニウムアルコラートの具
体例としては、炭素数15〜27のアルキル基もしくは
アルケニル基、またはアリール基を有し、かつ該基が平
均モル数として1〜2.4であるアルミニウムアルコラ
ート、例えば、イソプロポキシアルミニウム−2−ヘキ
シルデシレート、イソプロポキシアルミニウム−2−デ
シルテトラデシレート、イソプロポキシアルミニウムオ
レイレート等のアルキル基もしくはアルケニル基を有す
るアルミニウムアルコラート、またはイソプロポキシア
ルミニウムベンジレート等のアリール基を有するアルミ
ニウムアルコラートが挙げられる。
【0034】本発明においては、アルミニウムアルコラ
ートの配合割合は、アクリル系重合体とアミノ樹脂から
なる樹脂固形分の合計量100重量部(以下部とあるの
は、重量部を表す)に対して、0.1〜15部、より好
ましくは0.5〜10部が好ましく、アクリル系重合体
の分子量が大きい程、あるいはアクリル系重合体の酸価
又は水酸基価が大きい程、少量の配合で充分な艶消し効
果が得られる傾向がある。
【0035】式(1)のアルミニウムアルコラートは、
通常のアルミニウムアルコラートの製造条件を用いるこ
とができ、例えば次のようにして製造することができ
る。原料アルミニウムアルコラートとしてAl(O
2 3 、例えばアルミニウムイソプロポキシドを攪拌
しつつ、その中へ、式R1 OHで表されるアルコール、
例えば2−ヘキシルデカノールを、原料アルミニウムア
ルコラート1モルに対し、目的とするアルミニウムアル
コラートにおける(OR1 )基のモル数m(1〜3モ
ル)となるよう、例えば1.0モル〜3.5モル滴下し
て反応させ、徐々に加熱し、副生物であるアルコールを
留去することにより得られる。
【0036】○アルカリ性物質 本発明における水溶性または水分散性の付与は、アルカ
リ性物質の添加によって行う。即ち、例えばアクリル系
重合体のカルボキシル基に対して、通常0.2〜1.0
当量のアルカリ性物質、例えばモノエチルアミン、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、ジ
メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン等のアルカノールアミン類、ピリジン、
ピペリジン等の環状アミン類その他の有機塩基或いはア
ンモニア、カセイソーダ、カセイカリ等の無機塩基を用
いて、アクリル系重合体を中和することにより、水溶性
ないしは水希釈性を与えることができる。
【0037】○電着塗料の製造方法 本発明の電着塗料の製造は、アクリル系重合体、水混和
性有機溶剤、アルミニウムアルコラート、アミノ樹脂、
アルカリ性物質および水を適宜混合することにより製造
出来る。好適な製造例としては、水混和性有機溶剤にア
クリル系重合体を溶解した混合物、アルミニウムアルコ
ラート、アミノ樹脂、アルカリ性物質を適宜混合し、次
いで撹拌しながら水を徐々に加えて水溶性または水分散
性とすることにより得ることができる。
【0038】更に好ましい方法は、アルミニウムアルコ
ラートとアミノ樹脂とを予め充分混合しておき、これと
水混和性有機溶剤にアクリル系重合体を溶解した混合物
を混ぜ合わせて、無水の混合物を調製した後、アルカリ
性物質を加え、これを撹拌しながら水を徐々に加えて水
溶性または水分散性とすることにより得ることができ
る。この際、アルカリ性物質の添加時期及び添加対象物
に関しては特に制限は無いが、アクリル系重合体が容易
に水溶性または水分散性となる方法で添加されることが
好ましい。又、前出の水混和性有機溶剤を必要に応じ
て、後で更に添加しても構わない。各成分の混合温度に
関しても、特に制限はないが、好ましい温度範囲は5〜
95℃である。
【0039】本発明の電着塗料の製造においては、塗料
の増粘あるいはゲル化が極めて緩慢であり、容易に安定
な塗料を製造できる利点を有する。また場合により、時
間の経過とともに塗料が増粘して撹拌し難くなる場合も
あるが、アルカリ性物質の存在下にゆっくり水を加える
と、驚くべきことに残渣なくきれいに水溶性化又は水分
散性化させることができ、塗料製造は容易である。
【0040】本発明の電着塗料は、そのままで、又は所
望の添加剤を配合し、或いは希釈して艶消し電着塗料と
して実用に供されるが、その調製方法の具体例を示せば
以下のようになる。イソプロピルアルコール等の水混和
性有機溶剤によって、樹脂固形分を50重量%に調整し
たアクリル系重合体からなる混合物(1)280部、及
びトリエチルアミン等のアルカリ性物質1〜15部を添
加し、室温で1時間撹拌する。他方、アミノ樹脂60部
及びアルミニウムアルコラート5部で、又はこれに10
0部までのイソプロピルアルコール等の水混和性有機溶
剤を予め添加したものを、室温で1時間混合撹拌して、
混合物(2)を調製する。その後、これを上記混合物
( 1)に添加し、室温で1時間撹拌する。このとき、若
干増粘することがあるが、必要に応じて少量のイソプロ
ピルアルコール等の水混和性有機溶剤で希釈することに
より粘度を低下させてもよい。このようにして得られる
混合物(3)を撹拌しながら、水を徐々に添加して、水
溶性あるいは水分散性の混合物(4)即ち艶消し電着塗
料組成物を製造する。尚、水の中に上記の混合物を徐々
に添加してもよく、必要に応じてアルカリ性物質を追加
してもよい。また、混合物(4)に過剰の有機溶剤が含
まれる場合は電着特性に影響するので、水を含有する混
合物(4)を加熱しながら減圧で溶剤を留去してもよ
い。
【0041】電着塗料浴の固形分濃度は、5〜20重量
%が適当であり、5重量%未満では塗装電圧が高くなる
恐れがあり、20重量%を超えると塗装系外への損失が
大きくなる恐れがあり経済的とはいえない。更に必要に
応じて、本発明により得られる塗料に染料、着色剤その
他通常用いられる種々の添加剤を配合してもよい。
【0042】○電着塗装方法 電着塗装は、通常採用されている条件、例えば、塗料浴
の温度が15〜35℃、塗装電圧が50〜250V及び
処理時間が1〜5分等の条件で行うことができる。電着
塗装により析出した電着塗膜表面上の付着塗料を水洗に
より除去し、電着塗膜面を露出させた後、100〜25
0℃、より好ましくは150〜200℃の温度で塗膜の
焼付けを行う。
【0043】艶消し電着塗装に適用できる被塗物は、導
電性を有するものであれば特に限定されないが、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金を陽極酸化処理したいわゆ
るアルマイト処理材を用いた場合は、平滑性等の性能に
優れた均一な艶消し塗膜が得られ、特に好適である。
【0044】
【実施例】以下参考例、実施例及び比較例により、本発
明をさらに具体的に説明する。
【0045】(参考例1)(アクリル系重合体の合成) 4つ口フラスコに攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート
を付し、このフラスコの中にイソプロピルアルコール5
22gを仕込み、攪拌しながら80℃に昇温した。別に
メチルメタクリレート270g、スチレン100g、イ
ソブチルアクリレート200g、β−ハイドロキシエチ
ルアクリレート300g、メタクリル酸40g、アクリ
ル酸60g、N−ブトキシアクリルアミド30gを混合
しておき、それを滴下ロートより重合触媒アゾビスイソ
ブチロニトリル18gとともに7時間かけて滴下した。
その後更にアゾイソブチロニトリル3gを加えてエージ
ングし、カルボキシル基を有するアクリル系重合体15
38gを得た。固形分65%、粘度330ps(30
℃)の粘稠な液体であった。得られたアクリル系重合体
の特性は以下のとおりであった。 酸価 :73KOHmg/g ソリッド 水酸基価 :145KOHmg/g ソリッド 重量平均分子量:28,000
【0046】(参考例2)(アルミニウムアルコラート
の合成) 4つ口フラスコに攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート
を付し、このフラスコの中にアルミニウムイソプロポキ
シド〔川研ファインケミカル(株)製〕204g(1モ
ル)を入れる。滴下ロートよりヘキシルアルコール20
4g(2モル)を攪拌下室温で滴下した。滴下終了後、
徐々に加熱して生成するイソプロピルアルコールを留去
した。液温が110℃に達してから系内を減圧にして更
にイソプロピルアルコールが留去してこなくなるまで加
熱(125℃)した後、冷却して淡黄色粘稠液体のイソ
プロポキシアルミニウムヘキシレート(ヘキシレート平
均モル数2)87.4g(99.8%)を得た。H−N
MRを測定して目的物であることを確認した。
【0047】(参考例3〜13)(アルミニウムアルコ
ラートの合成) 参考例2と同様の方法で、下記表1の様に、反応させる
アルコールを変えて、種々のアルミニウムアルコラート
を合成した。
【0048】実施例1 参考例1で得たアクリル系重合体60部をイソプロピル
アルコールの水混和性溶剤で希釈し、樹脂固形分を50
重量%に調整した。このアクリル系重合体の酸成分に対
して中和度65%となるトリエチルアミンを配合して、
室温で1時間撹拌した。他方、アミノ樹脂としてサイメ
ル232〔三井サイアナミッド(株)製〕40部および
参考例2で得たアルミニウムアルコラート3部を予め混
合して添加し、室温で1時間混合撹拌した。その後、該
混合物を上記水混和性有機溶剤とアクリル系重合体との
混合物中に添加し、室温で1時間撹拌した。このように
して得られた混合物を撹拌しながら、脱イオン水を徐々
に添加していくと容易に乳化分散した。固形分8%まで
希釈して400メッシュの金網でろ過して電着塗料組成
物を調製した。
【0049】次いで、該電着塗料組成物を、22℃、通
電時間3分で黒色に着色されたアルマイト処理材へ電着
塗装した。電着塗装後,焼き付けて得られた塗膜につい
て、膜厚と光沢を測定した。また、塗料を35℃に保持
して1カ月の貯蔵安定性試験を行った後の浴の状態を観
察し、再度電着塗装して焼き付けた後の塗膜外観を評価
した。その結果を下記表2に示す。
【0050】なお、各種塗膜特性の測定方法は、以下の
操作に従った。 膜厚 :JIS-H-8680-3.2に従い、うず電流式厚さ測定
器により測定した。 光沢 :JIS-Z-8741に従い、60゜鏡面光沢度を測定し
た。 塗膜外観:目視により、ムラやブリスター(ブツ)等の
外観異状の有り無しおよび黄変の有無を判定した。 浴液外観:目視により、液の色、沈降や分離の状態を判
定した。
【0051】実施例2〜11 参考例3〜13記載の各種アルミニウムアルコラートを
用いた以外は実施例1と同様にして電着塗料浴を調製
し、電着塗装した。塗装条件、塗膜の各種特性及び電着
塗料浴の貯蔵安定性を下記表2に示した。
【0052】(比較例1)アルミニウムアルコラートを
使用しなかった以外は、実施例1と同様にして電着塗料
浴を調製し、この電着塗料浴により電着塗装した。得ら
れた塗料及び塗膜の各種特性を下記表3に示した。得ら
れた塗膜は光沢が高く、艶消し塗膜にはならなかった。
【0053】(比較例2)アルミニウムアルコラートと
してモノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート
〔川研ファインケミカル(株)社製〕を使用した以外
は、実施例1と同様にして電着塗料浴を調製しようとし
たところ、アクリル系重合体とモノsec-ブトキシアルミ
ニウムジイソプロピレートを混ぜ合わした直後に混合物
は増粘し、攪拌できなくなった。脱イオン水を少しずつ
添加して強制的に混ぜていくと、ある程度は溶解若しく
は水分散して塗料が得られ、その中で電着塗装した。得
られた塗料及び塗膜の各種特性を下記表3に示した。塗
膜上にブツが多数見られザラザラしていて、塗装に耐え
うる状態では無かった。
【0054】(比較例3)参考例2で得たアルミニウム
アルコラートに代えてアルミニウムアルコラート錯化合
物であるアルミキレートD(アルコキシ基不含)〔川研
ファインケミカル(株)社製〕3部を用いた以外は実施
例1と同様にして電着塗料浴を調製した。得られた塗料
及び塗膜の各種特性を下記表3に示した。初期の塗装塗
膜状態は少しブツが見られるものの比較的良好な塗膜外
観であったが、35℃で1ヶ月後の電着塗料浴は黄変し
て沈降が見られ、電着後の塗膜もザラザラしている他に
黄変も認められ、塗装に耐えうる状態では無かった。
【0055】(比較例4)アルミキレートDに代えてア
ルミニウムアルコラート錯化合物A〔Al(CH3 7
O)(C2449O)(アセト酢酸エチル)〕を用いた以
外は比較例3と同様にして、電着塗装した。得られた塗
料及び塗膜の各種特性を下記表3に示した。初期の塗装
塗膜状態は良好な塗膜外観であったが、35℃で1ヶ月
後の塗膜電着塗料浴は黄変していた。
【0056】(比較例5)比較例1の電着塗料浴(固形
分100 部)に対し、HYTEC E4A (東邦化学株式会社製ポ
リエチレン系ワックスエマルション)を固形分として15
部添加した電着塗料浴を調製し、電着塗装した。得られ
た塗料及び塗膜の各種特性を下記表3に示した。電着塗
料浴は、35℃で1日静置した段階でも2相に分離し
た。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明の艶消し電着塗料は、粒子の沈
降、艶ムラ、塗膜の耐候性等の低下が解消され、塗料浴
の製造時に塗料浴の増粘或いはゲル化を起こさず、製造
が容易で、従って、安定に塗装でき、更に塗料及び塗膜
の黄変等の着色が無く、下地基材の色合いをそのまま反
映させることができる等、塗膜特性に優れた艶消し電着
塗料である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系重合体、該重合体が可溶な水
    混和性有機溶剤、式(1)で示されるアルミニウムアル
    コラート、アミノ樹脂、アルカリ性物質および水からな
    る水溶性または水分散性艶消し電着塗料。 【化1】 Al(OR1 m (OR2 3-m (1) (ただしR1 は炭素数5〜36のアルキル基もしくはア
    ルケニル基、またはアリール基を示し、R1 は同一でも
    異なっていてもよい。R2 は炭素数4以下のアルキル基
    を示し、R2 は同一でも異なっていてもよい。また、1
    ≦m≦3である。)
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