JPH10231443A - つや消し電着塗料組成物 - Google Patents

つや消し電着塗料組成物

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JPH10231443A
JPH10231443A JP15349097A JP15349097A JPH10231443A JP H10231443 A JPH10231443 A JP H10231443A JP 15349097 A JP15349097 A JP 15349097A JP 15349097 A JP15349097 A JP 15349097A JP H10231443 A JPH10231443 A JP H10231443A
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JP
Japan
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electrodeposition coating
coating composition
matte
composition according
acrylic resin
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JP15349097A
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English (en)
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Hidekazu Nishimura
英一 西村
Shinji Nakano
伸司 仲野
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定した塗膜光沢を得ることのでき
る、つや消し電着塗料組成物を提供する。 【解決手段】 a)側鎖にカルボキシル基および水酸基
を有するアクリル樹脂であって、以下の式: 【数1】 より計算されるδ値が9.3未満である低極性モノマー
成分を、全アクリル樹脂のモノマー成分に対して10〜
50重量%含有するアクリル樹脂、b)硬化剤、c)ア
ルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜鉛から
なる群から選択される金属のアルコラートまたはキレー
ト化合物の1種または2種以上、を含む、アニオン性つ
や消し電着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長時間安定に保存、
使用でき、均一で肌の細かいつや消し塗膜を得ることの
できる、つや消し電着塗装用塗料に関する。さらに本発
明は、長期間安定した光沢のつや消し塗膜を得ることが
できる、つや消し電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム製品の塗装方法として電着
塗装方法が用いられているが、つや消し塗膜を得るため
のつや消し電着塗装方法としては従来から様々に研究さ
れている。これには、例えば電着塗料浴中に無機顔料を
添加し、電着塗装時に塗料の有機樹脂成分と共に析出せ
しめる方法、電着塗装された被覆物を焼き付け硬化前に
エッチングする方法、あるいは相互に溶解しないもの、
相互に架橋または重合しないもの、又は相互に硬化速度
が異なるものを混合した電着浴を用いる方法等が用いら
れている。しかしながら従来の方法では、例えば塗料中
の粒子の沈降、分離、および塗料が不均一になることに
起因するつやむらの発生という問題がある。また、経時
的に塗料がゲル化し、あるいは粘性が上昇する。被覆物
をエッチングする方法ではツヤむらが生じる他、部分的
に過度にエッチングされるため塗膜特性の低下、すなわ
ち塗膜の剥離や耐候性の低下が起こるという問題もあ
る。さらに、硬化性の異なる混合物を用いる場合には塗
膜の内部に硬化歪みが生じるという問題もある。
【0003】これらの問題を解決するため、例えば特公
昭62−24519号では、アルコキシシラン基を側鎖
に有するアクリル樹脂とアミノ樹脂からなるアニオン性
電着塗料を用いるつや消し電着塗装方法を開示する。こ
れはアクリル樹脂中のアルコキシシラン基が、電着浴の
調製時に加水分解されてシラノールとなり、このシラノ
ールが縮合してシラノール結合を生成し、粒子内ゲル構
造を有する微細なディスパーション粒子を形成すること
によって、つや消し塗膜を得るものである。また、特開
昭58−45270ではアルミニウムキレート化合物を
アニオン電着塗料へ添加して、塗料中にて微小なゲル状
物質を作成することによるつや消し電着塗装方法を開示
する。しかしながらこれらの塗料あるいは方法には粒子
の沈降により塗膜が不均一となる、時間の経過と共に塗
料中のゲル化が進行し、あるいは塗料全体の粘性が増加
するという問題が依然として残る。
【0004】また、特開平7−233340及び同7−
292296号はいずれもアクリル樹脂とメラミン樹脂
との混合物のエマルションに、自己架橋性単量体の重合
体が分散した塗料組成物を提供する。この塗料も、塗料
中に微小なゲル化粒子を含むため、時間の経過と共に粒
子が沈殿したり、粘性が増加したりするという問題が残
る。
【0005】さらに特開平3−207773ではアルミ
ニウムアルコラート錯化合物とメラミン樹脂等のアミノ
樹脂とを予め混合し、次いでこの混合物と有機溶剤に溶
解したアクリル系重合体とを重合して粒子を形成する方
法を開示する。かかる方法によって非常に安定な塗料が
生成するとしているが、この方法では反応性の高いアル
コラートが用いられているため、塗料中でゲル化しやす
く、経時的な粒子の沈降や増粘が生じるなどの問題があ
る。実際、本発明者らが行った実験によってもアルミニ
ウムアルコラート錯化合物を用いた場合には、塗料に多
少のゲル化傾向が認められている。
【0006】本発明者らは先に、アミノ樹脂とアクリル
樹脂との混合系へ金属キレート化合物を存在させること
によって、塗膜の硬化反応を金属キレート化合物とアク
リル樹脂との反応、およびアクリル樹脂とアミノ樹脂の
間の反応の二種類とし、硬化が両者の反応温度の相違に
よる2段反応によって進行するためにつや消し塗膜が得
られる塗料について出願している(特願平8−1671
62)。この塗料は、塗料中にゲル状物質を含まないた
め、沈降や増粘によって塗料が不均一になることがな
く、また硬化反応の温度差でつやを消すため、電着塗装
時の塗膜状態の影響を受けない、均一でむらの無い艶消
し塗膜を長期にわたり安定に得ることができるものであ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特願平8−
167162の塗料に改良を加え、光沢の安定性をより
高めた電着塗料組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、アセ
トン不溶分を含まず、アセトン溶液は0.4μmのフィ
ルターにて濾過し得、 a)側鎖にカルボキシル基および水酸基を有するアクリ
ル樹脂であって、以下の式:
【数2】 より計算されるδ値が9.3未満である低極性モノマー
成分を、全アクリル樹脂のモノマー成分に対して10〜
50重量%含有するアクリル樹脂、 b)硬化剤、 c)アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜
鉛からなる群から選択される金属のアルコラートまたは
キレート化合物の1種または2種以上、を含むことに特
徴づけられる、アニオン性つや消し電着塗料組成物を提
供する。
【0009】すなわち本願発明は特願平8−16716
2号に記載した塗料のアクリル樹脂中へ、上記式Iより
計算されるδ値が9.3未満である低極性モノマーを全
アクリル樹脂モノマー成分に対して10〜50重量%含
有させることによって、塗膜光沢の経時安定性をさらに
高めるものである。
【0010】式(1):
【数3】 から算出されるδ値は、ポリマーどうしの溶解性を大ま
かに見積もるための指標となる、Fedorsの溶解性
パラメーター算出式(R.F.Fedors, Polym. Eng.Sci., 1
4[2]147(1974))により得られる計算値であるが、極性の
指標ともなる。本明細書においては、「低極性」という
語をこの式から算出されるδ値が9.3未満であるもの
と定義して用いる。
【0011】かかる低極性モノマーの配合により、本願
発明の塗料は従来問題となっていた経時的な塗膜の光沢
をより安定に保つことができる。低極性モノマーを一定
量共重合させることにより、塗料の粒子径がさらに低下
し、得られる塗膜の光沢の経時安定性がより向上するも
のと考えられる。
【0012】本明細書において、「アセトン不溶分を含
まない」とは、塗料0.2gをアセトン5gに加え混合
し1〜2日以内に、目視観察によって透明であることが
認められるものをいう。本発明の塗料は、アセトン不溶
分を含まないため、電着塗膜のフロー性が良く肌の細か
いつや消し外観となり、下地の凹凸や処理ムラ等のカバ
ー力が優れている。
【0013】本発明の塗料は、上記アセトン溶液を0.
4μmのフィルターにて濾過し得る。この0.4μmの
フィルターによる濾過可能性は、塗料中にゲル粒子がで
きていないこと、およびゲル化、増粘が生じていないこ
との指標となるものである。即ち、本発明の塗料はゲル
状部分を含まず、粘性も高くないため、粒子の沈降等に
起因する塗料の不均一の問題がなく、長時間安定した塗
装が可能である。本発明の塗料は、長時間の保存、ある
いは繰り返し使用した後にも0.4μmのフィルター濾
過性を保持していることが要求される。塗膜の安定性を
向上させるためには、塗料中の粒子を5〜70mμ、好
ましくは5〜50mμの範囲とするのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の成分(a)のアクリル樹
脂に配合する低極性モノマーとしては、上記式において
δが9.3未満であるアクリル酸誘導体であればいかな
る化合物でもよく、具体的にはノルマルヘキシル(メ
タ)アクリレート(δ=8.8)、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート(δ=9.2)、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート(δ=8.6)およびラウリル
(メタ)アクリレート(δ=8.7)等が例示される。
【0015】低極性モノマーは全アクリル樹脂成分に対
して10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量
%配合する。低極性モノマーの配合量が10重量%未満
の場合には塗料粒子径を低下させるという効果が得られ
ず、一方、50重量%を越えて配合すると、硬度など得
られる塗膜物性が低下する。
【0016】本発明の成分(a)のアクリル樹脂は側鎖
にカルボキシル基および水酸基を有する。アクリル樹脂
にカルボキシル基を導入するための重合性モノマーとし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、イタコ
ン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン酸、シトラコ
ン酸等のビニル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸および
これらの混合物からなる群から選択すればよい。
【0017】カルボキシル基は、アクリル樹脂の酸価が
20〜150、好ましくは40〜100となるよう、導
入する。酸価が20未満では樹脂の水分散性が劣り、均
一な塗料を製造することができない。また、酸価が15
0を越えると塗膜の耐水性が不良となり好ましくない。
【0018】アクリル樹脂へ水酸基を導入するのは、硬
化剤との硬化膜を得るためである。水酸基を導入するた
めには水酸基を有する重合性モノマー、例えばβヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、βヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、商標プラクセルFM1
〜5(ダイセル化学)およびこれらの混合物からなる群
から選択されるモノマーを共重合させればよい。
【0019】本発明のアクリル樹脂中、水酸基は水酸基
価40〜200、より好ましくは50〜150となるよ
うに導入する。水酸基価が40未満では硬化反応が十分
に起こらず、硬度が低下し、耐化学性が不良となる。一
方、200を越えると未反応の水酸基が塗膜に残存し、
耐水性、耐候性が不良となる。
【0020】本発明のアクリル樹脂の他のアクリル成分
としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル
(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アクリ
レート等がいずれも好適に用いられる。また、本発明の
アクリル樹脂にはスチレン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、(メタ)アクリロニトリル、弗化ビニル、弗化ビ
ニリデン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等
を共重合してもよい。
【0021】さらに、本発明のアクリル樹脂はN−メチ
ロールアクリルアミドおよび/またはN−ブトキシメチ
ルアクリルアミドを共重合させてもよい。これらのアミ
ド成分は、樹脂の全モノマー重量に対して10重量%以
下、好ましくは5重量%以下を添加する。このアミド成
分を共重合させることによって、アクリル樹脂同士で架
橋反応が起こるため架橋密度が高くなり、耐水性、耐化
学性などが改善されるが、10重量%を越えて共重合さ
せてもさらなる効果の改善が認められない一方でコスト
高となり、好ましくない。
【0022】本発明のアクリル樹脂は、溶液重合、エマ
ルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法のいずれによっ
て製造してもよい。各モノマーと開始剤を添加して重合
する溶液重合法によるのが好ましい。
【0023】アクリル樹脂を調製する際に用いる開始剤
としては、通常の合成に用いられるものがいずれも好適
に用いられ、例えばアゾ系化合物、ジスルフィド系化合
物、スルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジアゾ
系化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド系化合物等
が例示される。
【0024】本発明の塗料に用いるアクリル樹脂は、重
量平均分子量が5000〜100000、より好ましく
は10000〜50000であり、分子量分布が1〜
6、より好ましくは1〜3である。アクリル樹脂の分子
量が5000以下ではつやが消えにくくなり、1000
00を越えると電着塗膜のフロー性が悪くなるため、均
一なつや消し外観を得ることができなくなる。
【0025】本発明の塗料において、アクリル樹脂はカ
ルボキシル基をアルカリ性物質、例えばトリエチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、アンモニアなどで中和
して水溶性の樹脂として用いればよい。本発明の塗料
中、アクリル樹脂は全樹脂成分、即ち上述のa)〜c)
およびキレート化剤の全重量に対して50〜80重量%
配合する。
【0026】本発明の塗料組成物の成分(b)の硬化剤
としてはアミノ樹脂、ブロックイソシアナート、または
これらの混合物を挙げることができる。硬化剤として用
られるアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグアナ
ミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アル
コールを変性させて得た縮合体である。本発明におい
て、アミノ樹脂は分子量が500〜2000のものが好
ましい。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時の
移行性が悪いため、好ましくない。従って、メタノー
ル、エタノールのみで変性したものは水に溶けやすいた
め好ましくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性
タイプのメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例
としては、商標サイメル235、238、285、23
2(三井サイテック株式会社製)の名前で販売されてい
るメラミン樹脂が挙げられる。
【0027】硬化剤として用いられるブロックイソシア
ナートとしては、1)トリメチレンジイソシアナート、
ヘキサメチレンジイソシアナートなどの脂肪族ジイソシ
アナート、またはイソホロンジイソシアナートなどの脂
環式ジイソシアナート、2)上記ジイソシアナート類と
エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ベント
ールなどの多価アルコール類とを反応させて得られる2
官能性以上のポリイソシアナート、3)上記1)のジイ
ソシアナート類3モルを反応させて得られるイソシアヌ
レート結合含有3官能性イソシアナート、にブロック剤
としてメチルエチルケトオキシム、アセトキシムなどの
オキシム系化合物、ε-カプロラクタムなどのラクタム
系化合物を反応させたものが好適に用いられる。更に反
応性を改善するために必要に応じてジブチル錫ジラウレ
ートなどの錫系化合物を少量併用してもよい。また、硬
化剤としては上記アミノ樹脂とブロックイソシアナート
の混合物を使用してもよい。
【0028】本発明の塗料中、硬化剤は全樹脂成分に対
して15〜50重量%配合する。硬化剤の量が15重量
%未満では塗膜がつや消しとはならず、また十分な硬化
反応が起こらないため、好ましくない。一方、50重量
%を越えると塗膜が硬くなりすぎ、密着性や柔軟性が低
下する。
【0029】本発明の塗料組成物に成分(c)として用
いられる金属アルコラートもしくはキレート化合物とし
ては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび
亜鉛からなる群から選択される金属と、アルコール、ア
ルキルアセト酢酸エステルおよびアセチルアセトンから
なる群から選択される化合物とのアルコラートまたはキ
レートが好適に用いられる。金属アルコラートを生成す
るのに好適なアルコールとしては、エタノール、n−プ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の一級アル
コール、およびイソプロピルアルコール、イソブチルア
ルコール等の2級アルコールtert.−ブチルアルコール
等の三級アルコールなどが例示される。金属としては、
アルミニウムまたはジルコニウムが好ましく、最も好ま
しくはアルミニウムである。
【0030】本発明の塗料に用いられる金属アルコラー
トまたはキレート化合物としては、1の金属に対して単
一のアルコラートまたはキレート基が結合乃至配位して
いるものであっても、1の金属に対して複数種類のアル
コラートおよび/またはキレート基が結合乃至配位して
いるものであってもよい。
【0031】本発明の塗料に用いられる特に好ましいア
ルミニウムアルコラートまたはアルミニウムキレート化
合物としては、式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一の炭素数1〜20の同一アルキル基、
Lは同一でも異なっていてもよいケトエノール互変異性
体化合物、nは0〜3の整数を示す。)で示される化合
物である。nが2または3の化合物が好ましい。
【0032】上記式中、具体的にはアルキルアセテート
アルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムイソプ
ロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソ
プロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アル
ミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニ
ウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチル
アセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミ
ニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチル
アセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモ
ノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテー
ト、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(tert
−ブチルアセトアセテート)等が例示される。
【0033】本発明の塗料中、金属アルコラートあるい
はキレート化合物は全樹脂成分に対して1〜10重量
%、好ましくは2〜6重量%配合する。1重量%未満の
配合量では十分なつや消し作用が得られず、一方6重量
%を越える場合にはつやが消えすぎる場合もある。但
し、アクリル樹脂の分子量が1万以下の場合には6〜1
0重量%の量を添加した方がよい場合もある。
【0034】本発明の塗料組成物においては、上記樹脂
成分に加えてさらに溶剤にキレート化剤を添加してもよ
い。キレート化剤を加えることによって塗料中の金属キ
レート化合物が安定化され、塗料の経時安定性が増加す
る、すなわちゲルの生成や、増粘が抑制されると考えら
れる。キレート化剤としてはアセチルアセトン、アセト
酢酸エステル、マロン酸ジエステルなどのβ−ジケトン
およびβ−ジケトエステル類が好適に用いられる。特に
アルミニウムアルコラート化合物を用いる場合には、該
化合物の反応性が高いためキレート化剤を溶剤に添加す
ることが好ましい。キレート化溶剤を添加する場合は、
全樹脂成分中、1〜20重量%、より好ましくは2〜1
0重量%添加する。キレート化剤の添加量が1%未満で
は安定化作用が十分ではなく、一方20重量%を越える
と金属アルコラートまたはキレート化合物が安定になり
すぎ、つや消し効果が低下するため好ましくない。
【0035】本発明の塗料は、硬化剤と金属アルコラー
トまたはキレート化合物を混合し、得られた混合物を本
発明のアクリル樹脂と混合し、得られた混合物へアルカ
リ性物質、脱イオン水を加えて調製すればよい。塗料の
固形分含量は5〜20重量%、好ましくは約10重量%
とする。さらに必要に応じて染料、着色剤その他通常用
いられる添加剤を配合してもよい。
【0036】本発明の塗料組成物の貯蔵安定性をさらに
向上させるためには、塗料中の粒子径を5〜70mμ、
好ましくは5〜50mμの範囲にするとよい。粒子径が
5mμ未満である場合には塗料組成物がすべて水溶化し
てしまい、電着しにくくなる。一方、70mμを越える
とつや消し塗膜の安定性が低下するため好ましくない。
【0037】本発明の塗料は、様々な導電性の金属材料
のつや消し電着塗装に用いることができる。特にアルミ
ニウム、アルミニウム合金のつや消し電着塗装に有用で
ある。アルミニウムあるいはその合金は、本発明の塗料
により塗装する前に、アルマイト処理および封孔処理を
施すのが好ましい。
【0038】本発明の塗料を用いての電着塗装には、従
来行われている条件を用いればよく、特に限定されな
い。具体的には、例えば塗料の温度を15〜35℃に保
ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間かける。そ
の後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗装膜を
完成させる。
【0039】
【実施例】本発明の塗料を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。なお、各表に記載の各成分の量は、特に断
りのない限りすべて重量部である。 (1)アクリル樹脂の合成 下表に示す配合でアクリル樹脂を合成した。溶剤である
イソプロピルアルコールおよびブチルセロソルブの所定
量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加熱し、緩や
かに還流させながらモノマー、開始剤混合物を3時間か
けて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、開始剤
であるアゾイソブチロニトリルおよびイソプロピルアル
コールを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間反応さ
せた。得られたアクリルワニスの不揮発分、水酸基価、
酸価、重量平均分子量を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】(2)水分散液(塗料)の調製 (1)で調製したアクリル樹脂ワニスと以下のアルミニ
ウムキレートおよびアルコラート化合物: アルミキレートD:アルミニウムモノアセチルアセトナ
ートビス(エチル)アセトアセテート) アルミキレートM:アルキルアセトアセテートアルミニ
ウムジイソプロピラート(いずれも川研ファインケミカ
ル社製)およびアミノ樹脂として商標サイメル235の
名前で販売されているメラミン樹脂(三井サイテック
(株)製、メチル/ブチル変性)を用いて実施例および
比較例の塗料を調製した。
【0042】塗料の調製は以下の処方:
【表2】 に基づき、以下の手順で行った。
【0043】アクリル樹脂ワニス35.0重量部にトリ
エチルアミンを中和率が60%、すなわちカルボキシル
基に対して0.6当量分となるよう添加し、10分間撹
拌して均一に混合した。この中に表に記載したメラミン
樹脂とアルミニウムキレート化合物(比較例2以外)と
を予め混合しておいたものを加え、10分間撹拌した。
撹拌を続けながら脱イオン水を徐々に加えて固形分10
%の水分散液を調製し、電着塗装用塗料とした。
【0044】(3)塗料の性能試験 塗料のアセトン溶解性、フィルター濾過性、粒子径およ
び経時安定性を調べた。アセトン溶解性およびフィルタ
ー濾過性については、塗料作成後1カ月間室温(20〜
25℃)の条件にて保存した塗料を用いて試験した。試
験は室温で行った。
【0045】アセトン溶解性は塗料0.2gにアセトン
5gを加え、均一に混合し、1日後目視で溶解性を判定
した。判定基準は以下の通りである: ◎:完全に透明 〇:ほんのわずか濁り、沈殿生成 △:すこし白濁、沈殿生成 ×:白濁
【0046】フィルター濾過性は、5mlの注射器に上
記アセトン溶液4〜5mlを取り、先端に0.4μのテ
フロン製フィルターを取り付け、軽く注射器を押した場
合の濾過性を判定した。判定基準は以下の通りである: ◎:問題なく濾過できる 〇:多少目詰まりする △:数mlで目詰まりする ×:濾過できない
【0047】粒子径については、分光光度計にて測定し
た。
【0048】経時安定性については、塗料を室温で3カ
月放置した後の粒子の沈降状態を目視判定した。判定基
準は以下の通りである: ◎:沈降なし 〇:少し沈降あり △:かなり沈降あり
【0049】(4)電着塗装および塗膜性能試験 6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アル
マイト皮膜厚9μ)、封孔処理(85℃の熱水に3分間
浸漬)を施した板へ塗装した。上記(2)で調製した実
施例および比較例の塗料中へこの板を浸け、100〜2
00Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その
後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行ったものにつ
いて、塗膜の厚さ、塗膜の外観、光沢、付着性、耐アル
カリ性および経時安定性を調べた。
【0050】塗膜の膜厚はミニテスト900N(エレク
トロ・フィジック社(ドイツ)製)により測定した。
【0051】塗膜の外観は目視により、以下の基準に従
って判定した: ◎:肌の細かいつや消し肌 〇:やや肌の粗いつや消し肌 △:肌の粗いつや消し肌 また、同じ電着塗装および塗膜性能試験を塗料を室温で
3カ月間放置した後に行い、塗膜外観の経時安定性とし
て評価した。
【0052】塗膜の光沢は、デジタル変角光沢計UGV
−5K(スガ試験機(株)製)によって塗膜の60度鏡
面光沢度を測定した。
【0053】塗膜の付着性は、JIS H8602 5.
8の碁盤目試験により測定した。耐アルカリ性試験は1
%NaOH水溶液に72時間浸漬した後の塗膜の状態を
調べた。
【0054】塗膜光沢の経時安定性は、塗料を室温で3
カ月放置した後に上記と同様にして塗装した塗膜の光沢
を測定し、塗料調製直後に塗装した場合の光沢と比較し
た場合の変化を、以下の基準に従って判定した: ◎:±2以内 〇:±4以内 △:±10以内 結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、保存あるいは使
用中にゲルを形成したり、増粘したりすることが無く、
また本発明の塗料は硬化反応の温度差によって塗膜のつ
や消しを行うため、肌の細かいつや消し肌の塗膜が得ら
れる。本発明の塗料組成物は、光沢の経時安定性が特に
優れており、塗料を長時間保存した後でも安定した光沢
の塗膜を得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 133/06 C09D 133/06 161/20 161/20

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセトン不溶分を含まず、アセトン溶液
    は0.4μmのフィルターにて濾過し得、 a)側鎖にカルボキシル基および水酸基を有するアクリ
    ル樹脂であって、以下の式: 【数1】 より計算されるδ値が9.3未満である低極性モノマー
    成分を、全アクリル樹脂のモノマー成分に対して10〜
    50重量%含有するアクリル樹脂、 b)硬化剤、 c)アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムおよび亜
    鉛からなる群から選択される金属のアルコラートまたは
    キレート化合物の1種または2種以上、を含むことに特
    徴づけられる、アニオン性つや消し電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 硬化剤がアミノ樹脂である請求項2記載
    のつや消し電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 成分a)のアクリル樹脂の重量平均分子
    量が5000〜100000であり、分子量分布が1〜
    6である、請求項1または2記載のつや消し電着塗料組
    成物。
  4. 【請求項4】 成分c)が、アルコール、アセト酢酸エ
    ステルおよびアセチルアセトンからなる群から選択され
    る化合物とアルミニウムとのアルコラートまたはキレー
    ト化合物である、請求項1、2または3に記載のつや消
    し電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 成分c)が、式: Al(OR)3-n(L)n (式中、Rは同一の炭素数1〜20のアルキル基または
    アルケニル基、Lは同一でも異なっていてもよいケトエ
    ノール型互変異性化合物、nは0〜3の整数を示す)で
    示される化合物である、請求項4記載のつや消し電着塗
    料組成物。
  6. 【請求項6】 nが2または3である、請求項5記載の
    つや消し電着塗料組成物。
  7. 【請求項7】 塗料中の粒子径が5〜70mμである、
    請求項1〜6いずれかに記載のつや消し電着塗料組成
    物。
  8. 【請求項8】 さらにキレート化剤を溶剤中に含有して
    いる、請求項1〜7いずれかに記載のつや消し電着塗料
    組成物。
  9. 【請求項9】 キレート化剤がβジケトンまたはβジケ
    トエステルである、請求項8記載のつや消し電着塗料組
    成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のつや
    消し電着塗料組成物を含む電着浴中で被塗装金属材料を
    電着塗装する金属材料のつや消し電着塗装方法。
  11. 【請求項11】 金属材料がアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金である請求項10記載の電着塗装方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または11に記載の方法で
    電着塗装することにより表面につや消し電着塗膜が形成
    されたつや消し塗膜を有する金属材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006111687A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Honny Chem Ind Co Ltd アニオン型電着塗料用組成物
CN102212863A (zh) * 2011-01-23 2011-10-12 浙江大学 一种金属醇盐改进的阴极电泳防护涂层及其用途

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