JPH10218528A - エレベータ部品の昇降路内揚重装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的大きな重量を有するエレベータ部品を
容易にかつ安全に昇降路内の所定高さ位置まで搬入でき
るエレベータ部品の昇降路内揚重装置の提供。 【解決手段】 昇降路２のピット４に設けられ、乗場１
の床面とほぼ同一高さの床面を有する受台８と、モータ
６などのエレベータ部品を搭載する台車５と、昇降路２
の上部に支持され、エレベータ部品を吊上げるウインチ
７とを備え、エレベータ部品を台車５上に搭載した状態
で、この台車５を乗場１から受台８の床面上に移動させ
ることによりエレベータ部品をウインチ７のほぼ真下付
近に配置し、このウインチ７により吊上げるとエレベー
タ部品に垂直方向の力のみが掛り、水平方向の力が掛ら
ないので、この水平方向の力を抑制する装置を要せずに
済むとともに、前記のウインチ７を簡単に操作できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ部品の
昇降路内揚重装置に係り、特に、大きな重量を有するエ
レベータ部品を昇降路内に搬入して所定の高さ位置まで
揚重するのに好適なエレベータ部品の昇降路内揚重装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のエレベータ部品を揚重す
る技術として、例えば実開昭４−１２５２８１号公報に
記載されているように、エレベータ部品を台車上に搭載
した状態でこの台車を乗場まで移動した後、ウインチの
吊上げ用ロープをエレベータ部品の一端に取付けて当該
エレベータ部品を斜め上方に吊上げることにより、エレ
ベータ部品の他端を台車上で滑らせて乗場側から昇降路
側に徐々に引き寄せた後、このエレベータ部品を所定の
高さ位置まで吊上げるようにしたものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、乗場まで搬入したエレベータ部品を斜め上
方に吊上げることにより、このエレベータ部品の他端を
台車上で滑らせながら昇降路側に徐々に引き寄せる際、
エレベータ部品の他端が台車上から浮き上がってしまう
と、エレベータ部品があたかも振り子のように昇降路の
奥側（すなわち乗場側から離れた側）の壁に向かって揺
動して、この壁に衝突することが懸念されていた。この
ため、エレベータ部品の一端を吊上げる速度を適宜調整
して徐々にエレベータ部品の他端を台車上で滑動させる
必要があり、このときにかなり面倒なウインチ操作を要
するとともに、エレベータ部品に掛る水平方向の力を抑
制する何らかの装置を設置する必要があった。特に、大
きな重量のエレベータ部品を吊上げる場合、上述した煩
雑なウインチ操作の必要性や、エレベータ部品に掛る水
平方向の力を抑制する装置の必要性が顕著であった。

【０００４】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その第１の目的は、揚重手段
の煩雑な操作や、エレベータ部品に掛る水平方向の力を
抑制する装置を要せずに、容易にかつ安全に比較的大き
な重量のエレベータ部品を昇降路内の所定高さ位置まで
搬入することのできるエレベータ部品の昇降路内揚重装
置を提供することにある。

【０００５】また、その第２の目的は、昇降路内揚重作
業に用いる受台の設置作業や撤去作業を迅速に行なえる
エレベータ部品の昇降路内揚重装置を提供することにあ
る。

【０００６】また、その第３の目的は、昇降路のピット
深さが異なる種々のエレベータに対応することのできる
エレベータ部品の昇降路内揚重装置を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記第１の目的を達成す
るため、本発明の請求項１に係る発明は、エレベータ部
品を下方の乗場より昇降路内に搬入した後、所定の高さ
位置まで揚重するエレベータ部品の昇降路内揚重装置に
おいて、前記昇降路のピットに設けられ、前記乗場の床
面とほぼ同一高さの床面を有する受台と、前記エレベー
タ部品を搭載する台車と、前記昇降路の上部に支持さ
れ、前記エレベータ部品を吊上げる揚重手段とを備え、
前記エレベータ部品を前記台車上に搭載した状態で、こ
の台車を前記乗場から前記受台の床面上に移動させた
後、前記揚重手段により前記エレベータ部品を前記所定
の高さ位置まで吊上げる構成にしてある。

【０００８】上記のように構成した本発明の請求項１に
係る発明では、エレベータ部品を台車に搭載したまま昇
降路内まで搬入したとき、前記のエレベータ部品が昇降
路の上部に支持される揚重手段のほぼ真下付近に位置す
るので、エレベータ部品を揚重手段で吊上げるとエレベ
ータ部品が垂直方向にのみ移動し、すなわちエレベータ
部品に水平方向の力が掛らないので、この力を抑制する
装置を特に要せずに済むとともに、エレベータ部品を斜
め上方に吊上げる場合に比べて、揚重手段の操作が簡単
である。したがって、比較的大きな重量を有するエレベ
ータ部品を容易にかつ安全に昇降路内の所定高さ位置ま
で搬入できる。

【０００９】また、前記第２の目的を達成するため、本
発明の請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明にお
いて、前記受台を、前記ピットの底部に立設される複数
本の脚部と、これらの脚部を互いに連結する結合金具
と、前記脚部上に取付けられる床枠と、この床枠により
支持される床板とから構成し、これらの脚部、結合金
具、床枠および床板を前記ピット内に搬入して前記受台
を組立てる構成にしてある。

【００１０】上記のように構成した本発明の請求項１，
２に係る発明では、複数本の脚部、結合金具、床枠およ
び床板をピット内に搬入してピット内で受台を組立てる
とともに、使用後の受台を分解した状態でピット内から
撤去するようになっているので、このような受台を設置
する作業や撤去する作業を迅速に行なえる。

【００１１】また、前記第３の目的を達成するため、本
発明の請求項３に係る発明は、請求項１，２に係る発明
において、前記複数本の脚部をそれぞれ伸縮可能に形成
し、これらの脚部を伸縮することにより前記床板の上面
の高さ位置を調整する構成にしてある。

【００１２】上記のように構成した本発明の請求項１〜
３に係る発明では、昇降路のピット深さに応じて複数本
の脚部をそれぞれ伸縮させることにより、前記床板の上
面、すなわち受台の床面の高さ位置を調整できるので、
ピット深さの異なる種々のエレベータに対応できる昇降
路内揚重装置が得られる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明のエレベータ部品の
昇降路内揚重装置の実施の形態を図に基づいて説明す
る。図１は本発明の一実施形態に係るエレベータ部品の
昇降路内揚重装置を説明する縦断面図、図２は本実施形
態の昇降路内揚重装置によりエレベータ部品を吊上げた
状態を示す縦断面図、図３は本実施形態の昇降路内揚重
装置に備えられる受台の斜視図である。

【００１４】図中、１は図示しない建物の搬入口がある
階床の乗場、２はエレベータ昇降路、３は昇降路２の頂
部に形成される機械室、４は昇降路２の下部に形成され
るピットである。

【００１５】そして、本実施形態の昇降路内揚重装置
は、エレベータ部品、例えばモータ６が搭載される台車
５と、機械室３の天井に取付けられる揚重手段、例えば
吊りロープ７Ａおよびフック７Ｂを有するウインチ７
と、昇降路２のピット４に設けられる受台８とからなっ
ている。

【００１６】この受台８は、図３に示すように、ピット
４の床面に立設される４本の伸縮可能な脚部９と、隣合
う脚部９を互いに連結する結合金具１０と、４本の脚部
９上に取付けられる床枠１１と、この床枠１１上に敷設
される図１、図２の床板１２とからなっている。各脚部
９は、ピット４の床面に配置されるベース部９Ａと、こ
のベース部９Ａの上部が挿入される支柱９Ｂと、これら
のベース部９Ａおよび支柱９Ｂを結合するボルト、ナッ
ト等の結合具９Ｃとから構成されており、前記の支柱９
Ｂを適宜上下動させるとともに各支柱９Ｂをベース部９
Ａに結合具９Ｃを介して結合することによって、それぞ
れの脚部９の高さを調整するようになっている。

【００１７】この実施形態の昇降路内揚重装置にあって
は、次の（１）〜（４）の作業手順にしたがってエレベ
ータ部品、例えばモータ６を機械室３まで搬入するよう
になっている。すなわち、まず（１）受台８を構成する
脚部９、結合金具１０、床枠１１および床板１２をピッ
ト４内に搬入して、このピット４内で受台８を組立てる
とともに、４本の脚部９の高さをそれぞれ調整して床板
１２の上面、すなわち受台８の床面を乗場１の床面と同
一高さ（すなわちピット４の深さ）になるように設定
し、（２）図１に示すように台車５上にモータ６を搭載
した状態で、台車５を手で押して乗場１から受台８上ま
で移動させた後、（３）図２に示すように、ウインチ７
のフック７Ｂをモータ６のアイボルト６Ａに掛けて、吊
りロープ７Ａを巻取ることによりモータ６を機械室３ま
で吊上げる。

【００１８】次いで、同様の手順で他のエレベータ部
品、例えば図示しないマシンベース、巻上機、乗場出入
口ユニットなどをそれぞれ昇降路２の所定の高さ位置ま
で搬入した後、（４）台車５を受台８上から乗場１に戻
し、受台８を分解してピット４内から撤去する。

【００１９】このように構成した実施形態では、モータ
６を台車５に搭載したまま昇降路２内まで搬入したと
き、前記のモータ６がウインチ７のほぼ真下付近に位置
するため、モータ６をウインチ７で吊上げるとモータ６
に垂直方向の力のみが掛り、すなわち水平方向の力が掛
らないので、この水平方向の力を抑制する装置を要せず
に済むとともに、モータ６を斜め上方に吊上げる場合と
に比べて、前記のウインチ７の操作が簡単であり、した
がって、モータ６が比較的大きな重量を有する場合であ
っても、このモータ６を容易にかつ安全に昇降路２内の
所定高さ位置まで搬入できる。

【００２０】また、本実施形態では、４本の脚部９、結
合金具１０、床枠１１および床板１２をピット４内に搬
入してピット４内で受台８を組立てるとともに、当該昇
降路内揚重装置の使用後、受台８を分解した状態でピッ
ト４内から撤去するようになっているので、この受台８
の設置作業や撤去作業を迅速に行なえる。

【００２１】また、本実施形態では、昇降路２のピット
４の深さに応じて脚部９をそれぞれ伸縮させることによ
り、床板１２の上面、すなわち受台８の床面の高さ位置
を調整できるので、ピット深さの異なる種々のエレベー
タに対応できる昇降路内揚重装置が得られる。

【００２２】なお、本実施形態にあっては、モータ６の
アイボルト６Ａに吊りロープ７Ａのフック７Ｂを掛ける
ようにしたが、図示しない台付きロープをモータ６に巻
掛けて、この台付きロープに吊りロープ７Ａのフック７
Ｂを掛けてもよい。

【００２３】さらに、本実施形態にあっては、エレベー
タ部品の昇降路内揚重作業時に受台８を用いるようにし
たが、この受台８と同程度の高さ（１．３ｍ〜１．５
ｍ）を有する足場を受台８上に設けるだけで、昇降路２
内における他の作業、例えばガイドレールの継ぎ足し作
業などにも利用することができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
に係る発明によれば、比較的大きな重量を有するエレベ
ータ部品を容易にかつ安全に昇降路内の所定高さ位置ま
で搬入でき、したがって、前記のエレベータ部品の昇降
路内揚重作業を効率良く行なえるとともに、その際の安
全性を高めることができるという効果がある。

【００２５】また、本発明の請求項１，２に係る発明に
よれば、前記の昇降路内揚重作業に用いる受台の設置作
業や撤去作業を迅速に行なうことができ、したがって、
この点からも作業効率を向上できるという効果がある。

【００２６】また、本発明の請求項１〜３に係る発明に
よれば、昇降路のピット深さの異なる種々のエレベータ
に対応でき、したがって、汎用性に富む昇降路内揚重装
置が得られるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るエレベータ部品の昇
降路内揚重装置を説明する縦断面図である。

【図２】本実施形態の昇降路内揚重装置によりエレベー
タ部品を吊上げた状態を示す縦断面図である。

【図３】本実施形態の昇降路内揚重装置に備えられる受
台の斜視図である。

【符号の説明】

１ 乗場 ２ 昇降路 ３ 機械室 ４ ピット ５ 台車 ６ モータ（エレベータ部品） ７ ウインチ（揚重手段） ８ 受台 ９ 脚部 ９Ａ ベース部 ９Ｂ 支柱 ９Ｃ 結合具 １０ 結合金具 １１ 床枠 １２ 床板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータ部品を下方の乗場より昇降路
   内に搬入した後、所定の高さ位置まで揚重するエレベー
   タ部品の昇降路内揚重装置において、 前記昇降路のピットに設けられ、前記乗場の床面とほぼ
   同一高さの床面を有する受台と、前記エレベータ部品を
   搭載する台車と、前記昇降路の上部に支持され、前記エ
   レベータ部品を吊上げる揚重手段とを備え、 前記エレベータ部品を前記台車上に搭載した状態で、こ
   の台車を前記乗場から前記受台の床面上に移動させた
   後、前記揚重手段により前記エレベータ部品を前記所定
   の高さ位置まで吊上げることを特徴とするエレベータ部
   品の昇降路内揚重装置。
2. 【請求項２】 前記受台を、前記ピットの底部に立設さ
   れる複数本の脚部と、これらの脚部を互いに連結する結
   合金具と、前記脚部上に取付けられる床枠と、この床枠
   により支持される床板とから構成し、これらの脚部、結
   合金具、床枠および床板を前記ピット内に搬入して前記
   受台を組立てるようにしたことを特徴とする請求項１記
   載のエレベータ部品の昇降路内揚重装置。
3. 【請求項３】 前記複数本の脚部をそれぞれ伸縮可能に
   形成し、これらの脚部を伸縮することにより前記床板の
   上面の高さ位置を調整するようにしたことを特徴とする
   請求項２記載のエレベータ部品の昇降路内揚重装置。