JPH10202003A - 水銀吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の水銀の除去方法 - Google Patents

水銀吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の水銀の除去方法

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JPH10202003A
JPH10202003A JP2594697A JP2594697A JPH10202003A JP H10202003 A JPH10202003 A JP H10202003A JP 2594697 A JP2594697 A JP 2594697A JP 2594697 A JP2594697 A JP 2594697A JP H10202003 A JPH10202003 A JP H10202003A
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mercury
volume
activated carbon
less
pores
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JP2594697A
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English (en)
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Kenji Ikushima
賢治 幾島
Akihisa Nagai
明久 長井
Kazuyuki Fukuda
一之 福田
Tadahiko Murakami
忠彦 村上
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TAIYO ENG KK
Original Assignee
TAIYO ENG KK
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Publication date
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化水素油中の水銀および水銀化合物を
吸着除去するための吸着性能の優れた活性炭吸着剤およ
び該吸着剤を用いる水銀および水銀化合物の除去方法を
提供すること。 【解決手段】 比表面積が100m2 /g〜2500m
2 /gであり、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔
半径100Å以下の細孔の容積の50%以上であり、さ
らに、好ましくは、細孔半径100Å以上の細孔の容積
が細孔半径200Å以下の容積の10%以下である活性
炭からなる炭化水素油中の水銀および水銀化合物の吸着
除去に好適な吸着剤および吸着除去方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油中の微
量金属、特に、水銀および水銀化合物の吸着剤およびそ
れを用いる除去方法に関するものであり、さらに詳しく
は、石油製品または石油化学製品の製造に用いられるナ
フサ等の石油留分および天然ガスコンデンセート等の石
油炭化水素油中の微量金属、特に水銀および水銀化合物
を吸着除去するための水銀吸着剤およびそれを用いる吸
着除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、石油精製工程において、石油製品
の混合基材として用いられるナフサ等の炭化水素油は白
金、パラジウム等の貴金属を触媒とする接触改質、水素
化処理等に供される。このような接触改質工程等の原料
油として用いられる炭化水素油中に重金属、特に水銀が
含まれていると、たとえ、微量であっても貴金属系触媒
が著しく被毒され、触媒活性が急速に低下するという問
題が生じる。被毒された貴金属系触媒は再生不能となる
おそれが生じ、その結果、生産活動に甚大な支障をきた
すことになる。また、エチレン、プロピレン等の化学原
料用炭化水素ガスを製造する際にも原料とする炭化水素
油中に水銀等が存在するとコーキングを促進させる等の
悪影響が生じる。従って、前記貴金属系触媒を用いる接
触改質工程および熱分解工程等において使用する原料炭
化水素油はあらかじめ含有する水銀および水銀化合物等
を所定量以下に除去する必要がある。
【0003】このため、従来から炭化水素油中の水銀の
含有量を低減させる除去方法の確立が要求され、各種の
除去方法が提案されている。例えば、炭化水素油中に含
まれている水銀を、シリカ、炭化ケイ素、シリカゲル、
活性炭等の担体に銅および硫黄をその一部硫化物形態で
担持させた固体物質と接触させて除去する方法(特開平
4−281841号公報参照。)が提案されているが、
固体吸着剤の製造が煩雑であり、水銀の除去率がなお十
分ではなかった。
【0004】また、水銀のほかに砒素を含有する炭化水
素油を175℃以下において、硫黄、亜鉛、パラジウム
等を担持した水銀補集物質と接触させ、水銀を除去した
後、水素の存在下においてより高い温度でかつ130℃
以上の温度でアルミナ担体上のニッケル酸化物等と接触
させ砒素を除去する方法(特開平6−33074号公報
参照。)も開示されている。しかし、このような方法は
高価な吸着剤を使用し、また、処理工程が複雑であり、
水素も必要とする等コスト面での問題が残されている。
【0005】以上説明したように、従来の炭化水素油中
の水銀および水銀化合物の吸着の除去方法として多数提
案されているが、水銀吸着剤にはいずれも何らかの難点
を有するものであり、炭化水素油中の水銀等微量金属を
ほぼ完全に除去することができ、かつ除去率を長期間に
わたり維持できる連続可能な吸着剤の開発が切望されて
きた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、前記のような従来の微量金属吸着剤の問題点に鑑
み、炭化水素油中に含有する微量金属、特に水銀および
水銀化合物を効率よく除去すると共に、高除去率の持続
が可能な水銀吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の
水銀の吸着除去方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の課題を解決するため、炭化水素油中の微量金属、
特に水銀および水銀化合物の吸着剤およびそれを用いる
微量金属の除去方法について鋭意検討を加えた結果、特
定の細孔構造を有する活性炭を吸着剤として使用するこ
とにより、炭化水素油中に微量存在する水銀および水銀
化合物を効率よくかつ連続的に吸着除去できることを見
い出し、これらの知見に基いて本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明第一は、比表面積が10
0m2 /g〜2500m2 /gであり、細孔半径25Å
以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積
の50%以上である活性炭からなる炭化水素油の吸着剤
に関するものである。
【0009】本発明の第二は、水銀を含有する炭化水素
油を、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径10
0Å以下の細孔の容積の50%以上である活性炭からな
る水銀吸着剤と接触させることからなる水銀の除去方法
に関するものである。
【0010】さらに、本発明の好ましい実施の態様とし
て、 比表面積が100m2 /g〜2500m2 /gであっ
て、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径100
Å以下の容積の50%以上であり、かつ、細孔半径10
0Å以上の細孔の容積が、細孔半径200Å以下の細孔
の容積の10%以下である活性炭からなる水銀吸着剤、 比表面積が200m2 /g〜2500m2 /gであっ
て、平均細孔半径が2Å〜50Åであり、細孔半径25
Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の容積の7
0%以上である活性炭からなる水銀吸着剤、 比表面積が200m2 /g〜2500m2 /gであっ
て、平均細孔半径が2Å〜50Åであり、細孔半径25
Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容
積の70%以上であり、かつ、細孔半径100Å以上の
細孔の容積が、細孔半径200Å以下の細孔の容積の1
0%以下である活性炭からなる吸着剤を提供することが
できる。
【0011】本発明の特異性は、炭化水素油中に微量含
有する水銀および水銀化合物等を除去するにあたり、平
均細孔半径が2Å〜50Åであり、細孔半径25Å以下
の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積の5
0%以上である活性炭を固体吸着剤として用いることに
あり、基本的には担持成分を要することなく活性炭のみ
で炭化水素油中に含有する水銀をほぼ完全にかつ連続し
て吸着除去できることに着目した点にある。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】なお、本明細書において「水銀」というと
きはことわりがある場合を除き、単体水銀、有機および
無機の水銀化合物のすべての形態を含むものとする。
【0014】本発明の水銀の吸着除去方法に供される炭
化水素油は、特に限定されるものではなく、水銀を含有
し、常態において液体の炭化水素であれば、特に、制限
されることがない。例えば、ナフサその他の各種石油製
品の混合基材、天然ガスコンデンセート、化学原料用ナ
フサ等を挙げることができる。具体的には、直留ナフ
サ、灯油、軽油、減圧留出油、熱分解ガソリン、接触分
解ナフサ、接触分解ライトサイクル油、接触分解ヘビー
サイクル油、水素化分解ナフサ、天然ガスコンデンセー
ト等を挙げることができる。さらに、天然ガス、エチレ
ンまたはプロピレン等の常温常圧で気体である炭化水素
であっても加圧して液化状態にすれば本発明の炭化水素
油中の水銀の除去方法における吸着処理に供することが
でき、常温で固体の炭化水素も加温して液体となるもの
であれば、液状にして本発明の水銀の吸着除去方法を適
用することができる。例えば、液化天然ガス(LN
G)、液化プロパンガス(LPG)および液化エチレ
ン、液化プロピレン等の液化オレフィンならびにナフサ
等は液状であり、そのまま本発明の水銀の除去方法を適
用することができる。また、前記炭化水素油は、単一成
分または複数成分の混合物のいずれでもよい。
【0015】このような水銀は、炭化水素油の種類によ
って異なるが、通常炭化水素油中に数ppbから数10
0ppbまで含有しているが多量に含まれる水銀もほぼ
完全に除去することができる。
【0016】本発明の炭化水素油の水銀の除去方法に用
いられる吸着剤は、特定の細孔構造を有し、水銀に対す
る吸着特性の優れた活性炭である。
【0017】本発明において、好ましい活性炭は、10
0m2 /g以上の比表面積を有し、細孔構造の特性値と
しては、(1)平均細孔半径が2Å〜50Åであり、
(2)細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径10
0Å以下の細孔の容積の50%以上であり、(3)さら
に、好ましくは、細孔半径100Å以上の細孔の容積が
細孔半径200Å以下の細孔の容積の10%以下であ
り、(4)全細孔容積0.1ml/g以上であることを
挙げることができる。
【0018】さらに、比表面積が200m2 /g以上、
好ましくは、2500m2 /g以下のものである。
【0019】特に好ましい活性炭は、平均細孔半径は、
2Å〜25Åであり、細孔半径25Å以下の細孔の容積
が細孔半径100Å以下の細孔の容積の50%以上、好
ましくは70%以上であり、この活性炭を吸着剤として
用いることにより後述の実施例において示すように炭化
水素油中の水銀をほぼ完全に除去することができる。
【0020】このような細孔分布を有する活性炭は、水
銀および水銀化合物の吸着除去に極めて効果的であるこ
とを本発明者らの多くの実験から把握することができ
た。
【0021】また、細孔半径の比較的大きい100Å以
上の領域の細孔の容積を低減させることにより高い水銀
の吸着性能を確保することができる。
【0022】本発明において、細孔分布、すなわち、細
孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔100Å以下の細
孔の容積に占める比率が50%以上、好ましくは70%
以上、さらに好ましくは80%以上に設定することによ
り、水銀の吸着を容易にしたものであり、比表面積およ
び平均細孔半径を特定することにより、前記吸着を一層
効率よく行なうことができる。また、好ましくは、細孔
半径100Å以上の細孔の容積が細孔半径200Å以下
の細孔容積の10%以下であり、特に、8%以下が好適
である。
【0023】本発明の水銀の除去方法に用いられる活性
炭の全細孔容積は、ミクロポア、トランジショナルポア
の細孔の容積であり、0.1ml/g以上であり、好ま
しくは、0.15ml/g〜1.5ml/gである。活
性炭の比表面積は窒素吸着BET法により測定し、平均
細孔半径、細孔容積、細孔径分布の測定は、例えばベル
ソープ28・SA型測定器(日本ベル株式会社製)で測
定した窒素ガス吸着等温線に基づいてDH法により算出
したものである。
【0024】前記のように、本発明において用いられる
活性炭は、特異な全細孔容積値を有し、かつ、特定の細
孔半径、すなわち、25Å以下の特定範囲の細孔が集中
的に形成され、その細孔容積の比率が高いことに特徴が
あり、炭化水素油中の水銀の吸着除去に著しい効果を発
揮するものであり、従来、公知の活性炭としては存在し
なかったものである。従って、このような活性炭を調製
するには平均細孔半径が極度に増大することを抑制し、
かつ、特定の細孔分布が得られるように賦活条件を選択
することが要求される。
【0025】通常、活性炭賦活用ガスは水蒸気および二
酸化炭素ガスを含有するが、本発明において使用する活
性炭は、二酸化炭素ガスの含有量と水蒸気含有量を各々
制御し、二酸化炭素ガスの含有量との関連で水蒸気含有
量が15容量%以上、好ましくは20容量%〜60容量
%の賦活ガスで活性化処理を行なう必要がある。
【0026】従って、本発明の賦活処理は、従来の常法
に比較して賦活速度を適度に制御した条件を採用したも
のである。賦活速度を常法に比し遅くしたことによっ
て、実施例および比較例で示すように、細孔半径25Å
以下の領域の細孔容積を増加させ、細孔半径100Å以
上の細孔容積を抑制させることができ、水銀の吸着性能
が向上していることを観察することができる。
【0027】本発明の活性炭の活性化処理においては、
前記の賦活ガス中での加熱後も活性炭の温度が300℃
以下になるまで、賦活ガスと同様な組成のガス中で冷却
し、その後系外に取り出すことが好ましい。ここで、冷
却時に必要とされる賦活ガスと同様なガスとは、賦活時
に用いられる窒素ガス、炭酸ガスまたはこれらの混合ガ
ス、例えば、酸素ガス、水素ガスの含有量1%〜2%以
下のガスであればよく、賦活に用いられるガスと冷却に
用いられるガスとは、必ずしも同一組成のものでなくて
もよい。
【0028】前記炭素質原料の活性化処理によれば、炭
素質原料を窒素ガス25容量%〜80容量%、水蒸気1
5容量%〜70容量%、二酸化炭素ガス3容量%〜30
容量%、酸素ガス0容量%〜2容量%および水素ガス0
容量%〜2容量%からなる賦活ガスと700℃〜120
0℃の温度で接触させた後、加熱された活性炭を冷却
し、後述の特性値を有する活性炭を調製する。すなわ
ち、前記活性化処理は比表面積100m2 /g〜250
0m2 /gおよび平均細孔半径2Å〜50Åであり、細
孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下
の細孔の容積の50%以上の細孔構造を有する活性炭が
得られるように前記賦活条件を適宜調整して行なわれ
る。
【0029】水蒸気含有量が比較的低い賦活ガスを用い
て活性化処理をして得られた活性炭は、細孔径分布に示
すように水銀の吸着に適したミクロポアが高度に発達し
た構造を有し、この細孔構造により、液体炭化水素中の
水銀に対する吸着性能が向上しているものと推定するこ
とができる。
【0030】活性炭の原料は、特に限定されるものでは
なく、石炭、コークス、木炭、骨炭またはヤシ殻、木
材、フェノール樹脂等の炭化物を使用することができ
る。炭化物は、前記のような原料を熱処理し、水、二酸
化炭素、軽質炭化水素を揮発させ、同時に液状タールを
留出させた後、反応残渣として得ることができる。炭化
温度は、賦活温度よりも低く、約600℃〜約800℃
に設定される。
【0031】本発明の活性化処理により得られる活性炭
は、平均細孔半径2Å〜50Å、好ましくは7Å〜20
Åであり、比表面積が200m2 /g〜2500m2
gであり、好ましくは、1500m2 /g以下である。
また、全細孔容積は、0.15ml/g〜1.5ml/
g、好ましくは、0.2ml/g〜1.3ml/gであ
る。強熱残分は10%以下であることが好ましい。この
ような特性値をすべて備えた活性炭は、炭化水素油中の
水銀の除去にとって極めて高い効果を発揮することがで
きる。
【0032】活性炭の形状は特に限定するものでなく、
粒状、破砕状、円柱状、球状、繊維状およびハニカム状
のいずれも選択することができるが、圧損失および吸着
容量、充填作業上から粒状物が好ましい。また、粒造炭
または成形炭は炭素材料100倍に対し30部〜60部
の石油ピッチ、コールタールまたはポリマー等をバイン
ダーとして加え、混和成型後賦活して調製される。
【0033】本発明においては、前記の細孔特性を有す
る活性炭を単体で吸着剤として使用しても良いが、さら
に前記の活性炭にアルカリ金属硫化物および/またはア
ルカリ土類金属硫化物を担持させた吸着剤も用いること
ができる。これらの金属硫化物は化学吸着に寄与するこ
とができ、活性炭の水銀吸着性能をさらに高める効果を
有する。
【0034】活性炭に担持するアルカリ金属硫化物また
はアルカリ土類金属硫化物は特に限定しないが、アルカ
リ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナ
トリウムおよび硫化カリウムであり、アルカリ土類金属
硫化物としては、例えば、硫化マグネシウム、硫化バリ
ウムおよび硫化カルシウムである。これらのアルカリ金
属硫化物およびアルカリ土類金属硫化物は一種類のみで
もよいが、二種類以上を混合して使用してもよい。これ
らの金属硫化物のうち、硫化ナトリウムを担持させた場
合に水銀に対し最も優れた吸着性能を得ることができ
る。
【0035】アルカリ金属硫化物およびアルカリ土類金
属硫化物の担持量は特に限定されないが、活性炭に対し
て、吸着剤全重量基準で、0.1重量%〜30重量%が
好ましい。担持量が0.1重量%に達しないと吸着性能
が低下する傾向にあり、また担持量が30重量%を超え
ると活性炭の吸着性能がこれらの金属硫化物により阻害
されるため、水銀の吸着性能を向上させることができな
い。
【0036】本発明に使用するアルカリ金属硫化物等を
担持した活性炭の製法は、例えば、硫化アルカリ金属お
よび硫化アルカリ土類金属を水溶液またはアンモニア水
溶液等適切な無機溶媒またはアセトン、アルコール等の
有機溶媒に溶解し、この溶液に活性炭を浸漬して金属硫
化物を吸着させた後、オーブン中で110℃〜400
℃、好ましくは、110℃〜200℃で乾燥し、アルカ
リ金属硫化物およびアルカリ土類金属硫化物を担持させ
た吸着剤を調製することができる。また、前記の浸漬法
以外にも種々の方法が挙げられるが、例えば、アルカリ
金属硫化物およびアルカリ土類金属硫化物の溶液を活性
炭にシャワー状または霧状で散布する方法を採用しても
よい。
【0037】アルカリ金属硫化物およびアルカリ土類金
属硫化物を担持後乾燥するときの雰囲気は特に限定する
ものではないが、例えば、空気、窒素またはプロパン燃
焼ガスを使用することができる。
【0038】前記のようにして得られたアルカリ金属硫
化物および/またはアルカリ土類金属硫化物を担持させ
た前記活性炭を液体炭化水素中で水銀等の吸着除去に用
いた場合でも、硫黄の液体炭化水素中への溶出はほとん
ど生じることがない。
【0039】また、本発明によれば、前記活性炭に酸を
担持させた吸着剤を提供することができる。酸として
は、塩酸、硫酸等の鉱酸を用いることができる。活性炭
への酸の担持の方法は、特に、限定されるものではない
が、酸溶液を活性炭に含浸させる方法を採用することが
できる。酸溶液としては0.1N〜4N程度のものを任
意に選択することができ、過剰の酸は水洗等により除去
することができる。酸の添加量としては、活性炭への酸
溶液の含浸後、過剰の酸を水洗等で洗浄除去した後残留
したものでよい。活性炭にこのような酸を担持させるこ
とにより、特に有機水銀の吸着性能を改善することがで
きる。
【0040】また、本発明の水銀の除去方法に用いられ
る活性炭にはアルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト等
の多孔性固体吸着剤を混合することもできる。
【0041】本発明の液体炭化水素中の水銀等の除去
は、吸着剤を吸着塔に充填した固定床に水銀等含有液体
炭化水素を通過させることにより行うことができる。吸
着剤を固定床として使用する場合、その粒径は0.5m
m〜1.7mmが好ましい。
【0042】本発明の炭化水素油中の水銀の除去方法に
おいて、吸着条件として0.1cm/分〜100cm/
分、好ましくは、50cm/分以下のLV値(線速
度)、15℃〜200℃、好ましくは、100℃以下の
温度を採用することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施の好ましい一態様に
ついて説明すると、本発明の水銀の除去方法は、水銀含
有するライトナフサを、 ・細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積に 占める割合: 70%〜80% ・粒径: 0.4mm〜1.7mm の活性炭を充填した固定床に ・LV値 20cm/分〜30cm/分 ・温度 常温〜50℃ の条件で通過させることからなり、ライトナフサから水
銀をほとんど完全に除去することができる。
【0044】
【実施例】以下に実施例および比較例に基いて本発明を
さらに具体的に説明する。活性炭の比表面積、細孔容積
および細孔径分布は次の方法で測定した。
【0045】比表面積;窒素吸着BET法を用いて測定
した。
【0046】細孔容積および細孔径分布;活性炭の細孔
容積および細孔径分布は、活性炭を真空脱気した後、日
本ベル株式会社製、ベルソーブ28SA製測定器で窒素
ガスの吸着等温線を用い、DH法(Dollimore & Heal
法)により算出した。
【0047】また、液体炭化水素中の水銀の濃度は、温
式灰化、原子吸光光度法(JPI法による。)により測
定した。
【0048】実施例1 ヤシ殻を乾留した炭化物を4メッシュ〜10メッシュ
(4.75mm以下、1.7mm以上)に整粒し炭化物
100重量部に対し30重量部の石油ピッチを混合し粒
状活性炭の原料とした。この原料炭化物を賦活ガスとし
てプロパン燃焼ガス(ガス組成:窒素50容量%、水蒸
気40容量%、炭酸ガス9.8容量%、酸素0.2容量
%)を用いて900℃で比表面積1400m2 /gにな
るまで賦活した後、同一組成のガスを用いて300℃以
下に冷却した。このようにして得られた活性炭を破砕
し、10メッシュ〜32メッシュ(0.5mm以上、
1.7mm以下)の粒状活性炭Aを得た。この粒状活性
炭の強熱残分は2.5重量%であった。これを粒状活性
炭Aとする。物理性状を次に示す。
【0049】粒状活性炭A0.2gを水銀を含むライト
ナフサ(沸点範囲:70℃〜130℃)1000mlに
浸漬して24時間攪拌経過後ライトナフサ中の水銀濃度
を測定した。 粒状活性炭A物理性状 比表面積(m2 /g) 1250 平均細孔半径(Å) 9 細孔分布(体積%) 10以下 29.57 10Å〜25Å 43.25 25Å〜50Å 10.96 50Å〜100Å 8.71 100Å〜200Å 6.01 200Å以上 1.5 25Å以下 72.82 100Å以下 89.79 200Å以下 98.50 PV(25Å以下)/PV(100Å以下)×100
(%) 81.1 PV(100Å以上)/PV(200Å以下)×100
(%) 7.6吸着性能 ナフサ水銀濃度(μg/kg) 有機水銀吸着性能 処理前 処理後 125 32 良好
【0050】実施例2 下記の粒状活性炭Bを用いたこと以外すべて実施例1と
同様にして炭化水素油中の水銀の吸着処理に供した。吸
着性能の評価結果を次に示す。 粒状活性炭B物理性状 比表面積(m2 /g) 890 平均細孔半径(Å) 9 細孔分布(体積%) 10Å以下 21.70 10Å〜25Å 43.68 25Å〜50Å 17.14 50Å〜100Å 9.95 100Å〜200Å 5.25 200Å以上 2.26 25Å以下 65.38 100Å以下 92.47 200Å以下 97.74 PV(25Å以下)/PV(100Å以下)×100
(%) 70.7 PV(100Å以上)/PV(200Å以下)×100
(%) 7.7吸着性能 ナフサ水銀濃度(μg/kg) 有機水銀吸着性能 処理前 処理後 131 40 良好
【0051】実施例3 下記の粒状活性炭Cを用いたこと以外すべて実施例1と
同様にして炭化水素油中の水銀の吸着処理に供した。吸
着性能の評価結果を次に示す。 粒状活性炭C物理性状 比表面積(m2 /g) 1050 平均細孔半径(Å) 9 細孔分布(体積%) 10Å以下 24.02 10Å〜25Å 59.18 25Å〜50Å 7.01 50Å〜100Å 4.82 100Å〜200Å 3.85 200Å以上 1.12 25Å以上 83.20 100Å以下 95.03 200Å以下 98.8 PV(25Å以下)/PV(100Å以下)×100
(%) 87.6 PV(100Å以上)/PV(200Å以下)×100
(%) 5.0吸着性能 ナフサ水銀濃度(μg/kg) 有機水銀吸着性能 処理前 処理後 135 6 良好
【0052】比較例1 ヤシ殻を乾留した炭化物を1.7mm〜4.75mmの
粒径の範囲に整粒し、炭化物100重量部あたり30重
量部の石油ピッチを混合した粒状活性炭原料を賦活ガス
としてプロパン燃焼ガス(ガス組成:窒素40容量%、
水蒸気50容量%、炭酸ガス9.8容量%、酸素0.2
容量%)を用いて950℃で賦活処理をした後、冷却し
た。このようにして得られた活性炭を破砕し、粒径0.
4mm〜1.7mm(10メッシュ〜30メッシュ)の
粒状活性炭aを得た。物理性状は次の通りであり、細孔
分布が各実施例の粒状活性炭A、BおよびCと大巾に異
なるものである。
【0053】粒状活性炭aを炭化水素油中の水銀の吸着
除去に供した。吸着性能の評価結果は下記の通りであ
る。 粒状活性炭a物理性状 比表面積(m2 /g) 1000 平均細孔半径(Å) 30 細孔分布(体積%) 10以下 3.90 10Å〜25Å 12.05 25Å〜50Å 4.20 50Å〜100Å 38.41 100Å〜200Å 24.50 200Å以上 4.50 25Å以下 19.95 100Å以下 58.56 PV(25Å以下)/PV(100Å以下)×100
(%) 34.1 PV(100Å以上)/PV(200Å以下)×100
(%) 30.0吸着性能 ナフサ水銀濃度(μg/kg) 有機水銀吸着性能 処理前 処理後 132 101 不良
【0054】比較例2 賦活ガスの水蒸気含有量を60容量%、窒素30容量%
とし、1000℃で賦活処理したこと以外すべて比較例
1と同様にして粒状活性bを調製した。 粒状活性炭b物理性状 比表面積(m2 /g) 1000 平均細孔半径(Å) 35 細孔分布(体積%) 10以下 3.80 10Å〜25Å 8.10 25Å〜50Å 7.80 50Å〜100Å 23.42 100Å〜200Å 55.60 200Å以上 1.28 25Å以下 11.9 100Å以下 43.12 PV(25Å以下)/PV(100Å以下)×100
(%) 27.6 PV(100Å以上)/PV(200Å以下)×100
(%) 57.6吸着性能 ナフサ水銀濃度(μg/kg) 有機水銀吸着性能 処理前 処理後 132 120 不良
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、特定の細孔構造、
すなわち、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径
100Å以下の細孔の容積の50%以上、好ましくは7
0%以上という細孔が小さい領域に集中した活性炭は炭
化水素油中の微量金属、特に水銀および水銀化合物の吸
着除去において高い吸着性能を示すことが明らかとなっ
た。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が100m2 /g〜2500m
    2 /gであり、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔
    半径100Å以下の細孔の容積の50%以上である活性
    炭からなる炭化水素油の水銀吸着剤。
  2. 【請求項2】 前記活性炭の細孔半径100Å以上の細
    孔の容積が細孔半径200Å以下の細孔の容積の10%
    以下である請求項1記載の水銀吸着剤。
  3. 【請求項3】 前記吸着剤が前記活性炭にアルカリ金属
    硫化物および/またはアルカリ土類金属硫化物を担持さ
    せて得られたものである請求項1記載の水銀吸着剤。
  4. 【請求項4】 前記吸着剤が前記活性炭に酸を担持させ
    て得られたものである請求項1記載の水銀吸着剤。
  5. 【請求項5】 水銀を含有する炭化水素油を、 比表面積が100m2 /g〜2500m2 /gであり、
    細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以
    下の細孔の容積の50%以上である活性炭からなる水銀
    吸着剤と接触させることを特徴とする炭化水素油中の水
    銀の除去方法。
  6. 【請求項6】 前記活性炭の細孔半径100Å以上の細
    孔の容積が細孔半径200Å以下の細孔の容積の10%
    以下である請求項5記載の炭化水素油中の水銀の除去方
    法。
  7. 【請求項7】 前記炭化水素油の活性炭との接触が粒径
    0.4mm〜1.6mmの造粒活性炭の固定床を用いて
    行なうことからなる請求項5または6記載の炭化水素油
    中の水銀の除去方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016110942A1 (ja) * 2015-01-06 2016-07-14 三菱重工業株式会社 濾過材、濾過材の製造方法、濾過装置、濾過装置の運転方法及び濾過処理システム
CN106770193A (zh) * 2017-01-11 2017-05-31 江西农业大学 一种食用植物油中倍硫磷含量检测装置及方法
CN115209985A (zh) * 2020-03-17 2022-10-18 株式会社可乐丽 汞吸附剂和其制造方法

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