JPH10202096A - 微量金属吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の微量金属の除去方法 - Google Patents

微量金属吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の微量金属の除去方法

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JPH10202096A
JPH10202096A JP9025803A JP2580397A JPH10202096A JP H10202096 A JPH10202096 A JP H10202096A JP 9025803 A JP9025803 A JP 9025803A JP 2580397 A JP2580397 A JP 2580397A JP H10202096 A JPH10202096 A JP H10202096A
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mercury
activated carbon
hydrocarbon oil
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adsorbent
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JP9025803A
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English (en)
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Kenji Ikushima
賢治 幾島
Akihisa Nagai
明久 長井
Kazuyuki Fukuda
一之 福田
Tadahiko Murakami
忠彦 村上
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TAIYO ENG KK
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TAIYO ENG KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化水素油中の水銀、砒素、バナジウ
ム、ニッケル等の微量金属を効率よく吸着除去するため
の担持成分を必要としない吸着剤および吸着除去方法を
提供すること。 【解決手段】 600℃までの昇温脱離分布によるアン
モニア全吸着量が0.05μmol/g以上の活性炭か
らなる炭化水素油中の微量金属、特に水銀の吸着剤を提
供する。さらに、アンモニア全吸着量の制御と細孔構造
の特定により、一層高度の吸着性能を有する活性炭を提
供することができる。また、該活性炭からなる吸着剤を
用いる炭化水素油中の微量金属の吸着剤除去方法を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油中の微
量金属の吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の微量
金属、特に水銀および水銀化合物の吸着除去方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、活性炭吸着剤およびそ
れを用いる石油製品または石油化学製品の製造用ナフサ
等の石油留分および天然ガスコンデンセート等の炭化水
素油中の微量金属、特に、水銀および水銀化合物の吸着
除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、石油精製工程において、石油製品
の混合基材として用いられるナフサ等の液体炭化水素は
白金、パラジウム等の貴金属を触媒とする接触改質、水
素化処理等が行なわれている。このような接触改質工程
等の原料油として用いられる炭化水素油中に重金属、特
に水銀が含まれていると、たとえ、微量であっても貴金
属系触媒が著しく被毒され、触媒活性が急激に低下する
という問題が生じる。被毒された貴金属系触媒は再生不
能となるおそれが生じ、その結果、生産活動に甚大な支
障をきたすことになる。また、エチレン、プロピレン等
の化学原料用炭化水素ガスを製造する際にも原料とする
液体炭化水素中に水銀等が存在するとコーキングを促進
させる等の悪影響が生じる。従って、前記貴金属系触媒
を用いる接触改質工程および熱分解工程等において使用
する原料炭化水素油に含有する水銀および水銀化合物を
あらかじめ所定量以下に除去する必要がある。
【0003】このため、従来から炭化水素油中の水銀の
含有量の低減方法の確立が要求され、各種の除去方法が
提案されている。例えば、炭化水素油中に含まれている
水銀を、シリカ、炭化ケイ素、シリカゲル、活性炭等の
担体に銅および硫黄をその一部硫化物形態で担持させた
固体物質と接触させて除去する方法(特開平4−281
841号公報参照。)が提案されているが、固体吸着剤
の製造が煩雑である上に、水銀の除去率がなお十分では
なかった。また、水銀および砒素含有炭化水素を175
℃以下において、硫黄、亜鉛、パラジウム等を担持した
水銀補集物質と接触させ、水銀を除去した後、水素の存
在下においてより高い温度でかつ130℃以上の温度で
アルミナ担体上のニッケル酸化物等と接触させ砒素を除
去する方法(特開平6−33074号公報参照。)も開
示されている。しかし、この方法においては高価な吸着
剤を使用し、また、処理工程が複雑であり、水素も必要
とする等コスト面での問題が残されている。
【0004】また、液体炭化水素から水銀を除去するた
めの金属ハロゲン化物で含浸した活性炭吸着剤も開示さ
れている(特開平3−213144号公報参照。)。こ
のように、従来、提案されている水銀吸着剤は担体に各
種化学成分を含浸または担持させたものであり、活性炭
のみからなる炭化水素油中の水銀の吸着除去可能な活性
炭吸着剤は提案されていない。従って、含浸成分を何ら
要することのない活性炭吸着剤が実現すれば、その工業
的価値は極めて高いものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な微量金属吸着剤の開発状況に鑑み、炭化水素油中の微
量金属、特に、水銀および水銀化合物を効率よく除去す
ると共に、高除去率の持続が可能な活性炭吸着剤および
吸着除去方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の課題を解決すべく、炭化水素油中の微量金属、特
に水銀の吸着剤および吸着除去方法について鋭意検討を
重ねた結果、特定量の酸性物質を有する活性炭が従来必
要とされた含浸または担持成分を要することなく、活性
炭のみで微量金属吸着剤として有用であることを見い出
し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明の第一は、昇温脱離分布
によるアンモニア全吸着量が0.05μmol/g以上
である活性炭からなる炭化水素油中の微量金属の吸着剤
に関するものである。
【0008】また、本発明の第二は、微量金属を含有す
る炭化水素油を昇温脱離分布によるアンモニア全吸着量
が0.05μmol/g以上である活性炭からなる微量
金属吸着剤と接触させることからなる炭化水素油中の微
量金属の吸着剤除去方法に関するものである。
【0009】さらに、本発明の好ましい実施の態様とし
て、 600℃までの昇温脱離分布によるアンモニア全吸着
量が0.05μmol/g以上であり、酸素量が1.5
重量%以上であり、細孔構造として、比表面積が200
2 /g〜2500m2 /gであり、細孔半径25Å以
下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積の
50%以上である活性炭からなる炭化水素油中の微量金
属の吸着剤、 水銀および水銀化合物を含有する炭化水素油を600
℃までの昇温脱離分布によるアンモニア全吸着量が0.
05%以上であり、酸素含有量が1重量%以上であり、
細孔構造として、比表面積が200m2 /g〜2500
2 /gであり、細孔半径25Å以下の細孔の容積が細
孔半径100Å以下の細孔の容積の50%以上である活
性炭からなる吸着剤と接触させることからなる炭化水素
油中の水銀および水銀化合物の吸着除去方法を提供する
ことができる。
【0010】本発明の特異性は、炭化水素油中に含有さ
れる微量金属、特に水銀および水銀化合物を除去するに
あたり、従来の含浸活性炭吸着剤の問題点を検討した結
果から得れた結論に基くものであり、昇温脱離分布によ
るアンモニア吸着量で特定される酸量を有する活性炭を
吸着剤として用いることにあり、担持成分を要すること
なく、活性炭のみで炭化水素油中の微量金属、特に、有
機水銀化合物を含め水銀を効率よく吸着除去できること
に着目した点にある。
【0011】以下本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明の微量金属、特に水銀および水銀化
合物の吸着除去方法において処理される炭化水素油は、
特に限定されるものではなく、常態において液状の炭化
水素であれば、特に制限されることがない。例えば、ナ
フサその他の各種石油製品の混合基材、天然ガスコンデ
ンセート、化学原料用ナフサ等を挙げることができる。
具体的には、直留ナフサ、灯油、軽油、減圧留出油、熱
分解ガソリン、接触分解ナフサ、接触分解ライトサイク
ル油、接触分解ヘビーサイクル油、水素分解ナフサ、天
然ガスコンデンセート等を挙げることができる。さら
に、天然ガス、エチレンまたはプロピレン等の常温常圧
で気体である炭化水素であっても加圧して液化状態にす
れば本発明の炭化水素油中の微量金属の除去方法におけ
る吸着処理に供することができ、常温で固体の炭化水素
も加温して液体となるものであれば、液状にして本発明
の微量金属の吸着除去方法を適用することができる。例
えば、液化天然ガス(LNG)、液化プロパンガス(L
PG)および液化エチレン、液化プロピレン等の液化オ
レフィンならびにナフサ等は液状であり、そのまま本発
明の微量金属の除去方法を適用することができる。
【0013】炭化水素油中の微量金属としては、水銀、
砒素、バナシウム、ニッケル等が挙げられる。これらの
なかで最も多く含まれるのは水銀であり、水銀は、単体
水銀、無機水銀化合物、有機水銀化合物として含有され
るが、いずれの形態であっても、本発明の吸着剤を使用
することにより吸着除去することができる。また、砒素
は炭化水素油中では、通常、Rns3-n (式中、R
はアルキル基、アリール基等であり、nは0、1、2、
3である。)で表されるような水素化物またはその水素
を炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基で置換し
た有機化合物の形態で存在し得る。具体的には、例え
ば、アルシン、モノメチルアルシン、ジメチルアルシ
ン、トリメチルアルシン、モノエチルアルシン、ジエチ
ルアルシン、トリエチルアルシン、モノプロピルアルシ
ン、ジプロピルアルシン、トリプロピルアルシン、モノ
ブチルアルシン、ジブチルアルシン、トリブチルアルシ
ン、モノフェニルジメチルアルシン、ジフェニルアルシ
ン等が挙げられる。このような水銀および砒素は、通常
炭化水素油中に数ppbから数100ppb含有し、ま
た天然ガスコンデンセートのなかには水銀が数100p
pbから数1000ppb含有するものもあるが、本発
明の微量金属の吸着除去方法に適用可能な炭化水素油中
の微量金属の濃度には特に制限がなく、広範囲の濃度の
ものでも処理することができる。
【0014】本発明の炭化水素油中の微量金属の吸着剤
は、昇温脱離分布によるアンモニア全吸着量が0.05
μmol/g以上の活性炭からなるものである。
【0015】本発明の明細書において「昇温脱離分布に
よるアンモニア全吸着量」とは、100℃でアンモニア
ガスを活性炭に吸着させた後600℃まで昇温し、脱離
してくるアンモニア量であり、アンモニアを吸着する活
性炭表面の酸性物質の含有量を表すものである。なお、
「昇温脱離分布によるアンモニア全吸着量」は、以後、
必要に応じNH3 −TPDによるアンモニア全吸着量と
略記する。
【0016】本発明の微量金属吸着剤に係る活性炭は、
炭素結晶子の端面および欠損部の炭素原子と酸素が反応
して生成した表面酸化物であって、制御された特定量の
酸性物質、特に、酸性表面酸化物を有するものである。
酸性表面酸化物としては、塩基吸着能力を有する表面酸
化物であり、例えば、カルボキシル基、フェノール性水
酸基、カルボン酸無水物、ラクトンおよびフルオレッセ
ン型ラクトン等を挙げることができる。このような表面
酸化物の含有量は、炭素材原料の炭化物の賦活条件の調
整により制御することができる。賦活条件としては、温
度、賦活ガス組成、冷却雰囲気および方法等を挙げるこ
とができる。温度としては700℃〜1200℃が好適
であり、賦活ガス組成としては、水蒸気含有量を15容
量%以上、特に20容量%以上、炭酸ガス含有量を7容
量%以下、特に、5容量%以下の範囲で活性炭のNH3
−TPDによるアンモニア全吸着量が所定の範囲になる
ように選択することができる。
【0017】本発明の活性炭にはNH3 −TPDによる
アンモニア全吸着量が0.05μmol/g以上に達す
る範囲で酸性物質として酸および硫化物等を添加するこ
とができる。酸としては有機酸、鉱酸等を挙げることが
でき、具体的には酢酸、塩酸、硫酸等を用いることがで
き、また、硫化物として例えば硫化水素等を有効量用い
ることができる。酸および硫化物等の活性炭への添加
は、濃度を調整した酸溶液に活性炭粒状物を含浸させる
ことにより行なうことができ、酸水溶液の噴霧等によ
り、また、硫化水素等の場合はガス状で活性炭に接触吸
収させることができる。
【0018】本発明の活性炭は前記のように昇温脱離分
布によるアンモニア全吸着量を有するものであれば、物
理性状については特に限定されるものでもなく如何なる
ものでもよいか;次の物理性状を有するものが好まし
い。
【0019】 表面積 100m2 /g〜2500m2 /g 平均細孔半径 2Å〜50Å 細孔半径25Å以下の細孔 の容積が細孔半径100Å 以下の細孔容積の割合 50%以上 全細孔容積 0.15ml/g以上 従って、本発明において、好ましい活性炭の特性値は、 (A)NH3 −TPDによるアンモニア全吸着量が0.
05μmol/g以上であり、 (B)酸素含有量が1.5重量%以上であり、 (C)細孔構造の特性値としては、(1)100m2
g〜2500m2 /gの比表面積を有し、(2)平均細
孔半径が2Å〜50Åであり、(3)細孔半径25Å以
下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積の
50%以上であり、(4)全細孔容積0.15ml/g
以上であることを挙げることができる。
【0020】特に好ましい活性炭は、NH3 −TPDに
よるアンモニア全吸着量が0.07μmol/g以上で
あり、酸素含有量が2重量%以上である。また、平均細
孔半径は、2Å〜25Åであり、細孔半径25Å以下の
細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積の70
%以上であり、この活性炭を吸着剤として用いることに
より炭化水素油中の水銀を効率よく除去することができ
る。前記酸素量は、カルボキシル基等の酸性含酸素化合
物のほか、中性酸化物等も含まれる。
【0021】本発明の炭化水素油中の水銀の吸着除去方
法に用いられる活性炭の全細孔容積は、ミクロポア、ト
ランジショナルポアを主とする細孔の容積であり、0.
1ml/g以上であり、好ましくは、0.15ml/g
〜1.5ml/gである。活性炭の比表面積は窒素吸着
BET法により測定し、平均細孔半径、細孔容積、細孔
径分布の測定は、例えばベルソープ28・SA型測定機
(日本ベル株式会社製)で測定した窒素ガス吸着等温線
に基づいて算出することができる。
【0022】前記のように、本発明の微量金属吸着剤に
用いられる活性炭はNH3 −TPDによる酸量が制御さ
れ、かつ特定の細孔、すなわち、25Å以下の特定範囲
の細孔が集中的に形成され、その細孔容積の比率が高い
ことに特徴があり、従来、公知の活性炭としては存在し
なかったものである。従って、このような活性炭を調製
するには特定量の表面酸化物を有し、平均細孔半径が極
度に増大することを抑制し、かつ、特定の細孔分布が得
られるように賦活条件を選択することが要求される。
【0023】通常、活性炭賦活用ガスは水蒸気および二
酸化炭素ガスを含有するが、本発明において使用する活
性炭は、二酸化炭素ガスの含有量を特に限定されるもの
ではないが、水蒸気含有量が15容量%以上、好ましく
は20容量%〜60容量%の賦活ガスで活性化処理を行
なう必要がある。
【0024】従って、本発明の賦活処理は、従来の常法
に比較して賦活速度を適度に制御した条件を採用したも
のである。賦活速度を常法に比し遅くしたことによっ
て、実施例および比較例で示すように、特定のアンモニ
ア全吸着量を有し、細孔半径25Å以下の領域の細孔容
積が増加し、水銀の吸着性能が向上していることを観察
することができる。
【0025】本発明の活性炭の活性化処理においては、
上記の賦活ガス中での加熱後も活性炭の温度が300℃
以下になるまで、賦活ガスと同様な組成のガス中で冷却
し、その後系外に取り出すことが好ましい。ここで、冷
却時に必要とされる賦活ガスと同様なガスとは、賦活時
に用いられる窒素ガス、炭酸ガスまたはこれらの混合ガ
ス、例えば、酸素ガス、水素ガスの含有量1%〜2%以
下のガスであればよく、賦活に用いられるガスと冷却に
用いられるガスとは、必ずしも同一組成のものでなくて
もよい。
【0026】前記炭素質原料の活性化処理によれば、炭
素質原料を窒素ガス25容量%〜80容量%、水蒸気1
5容量%〜70容量%、二酸化炭素ガス3容量%〜30
容量%、酸素ガス0容量%〜2容量%および水素ガス0
容量%〜2容量%からなる賦活ガスと700℃〜120
0℃の温度で接触させた後、加熱された活性炭を冷却
し、後述の特性値を有する活性炭を調製する。すなわ
ち、前記活性化処理は比表面積200m2 /g〜250
0m2 /gおよび細孔半径25Å以下の細孔の容積が細
孔半径100Å以下の細孔の容積の50%以上の細孔構
造を有する活性炭が得られるように前記賦活条件を適宜
調整して行なわれる。
【0027】活性炭の原料は、特に限定されるものでは
なく、石炭、コークス、木炭、骨炭またはヤシ殻、木
材、フェノール樹脂等の炭化物を使用することができ
る。炭化物は、上記のような原料を熱処理し、水、酸化
炭素、軽質炭化水素を揮発させ、同時に液状タールを留
出させた後、反応残渣として得ることができる。炭化温
度は、賦活温度よりも低く、約600℃〜約800℃に
設定される。
【0028】本発明の活性化処理により得られる活性炭
は、NH3 −TPDによるアンモニア全吸着量が0.5
μmol/g以上、酸素含有量が1.5重量%以上であ
り、平均細孔半径2Å〜25Å、好ましくは7Å〜20
Åであり、比表面積が200m2 /g〜2500m2
gであり、好ましくは、1500m2 /g以下である。
また、全細孔容積は、0.1ml/g〜1.5ml/
g、好ましくは、0.15ml/g〜1.3ml/gで
ある。強熱残分は10%以下であることが好ましい。こ
のような特性値をすべて備えた活性炭は、液体炭化水素
中の水銀の除去にとって極めて高い効果を発揮すること
ができる。
【0029】活性炭の形状は特に限定するものでなく、
粒状、破砕状、円柱状、球状、繊維状およびハニカム状
のいずれも選択することができるが、圧損失および吸着
容量、充填作業上から粒状物が好ましい。また、粒造炭
または成形炭は常法に従って炭素材料100倍に対し3
0部〜60部の石油ピッチ、コールタールまたはポリマ
ー等をバインダーとして加え、混和成型後賦活して調製
される。
【0030】また、本発明の水銀の除去方法に用いられ
る活性炭にはアルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト等
の多孔性固体吸着剤を混合することもできる。
【0031】本発明の炭化水素油中の水銀等の除去は、
吸着剤を吸着塔に充填した固定床に水銀等含有液体炭化
水素を通過させることにより行なうことができる。吸着
剤を固定床として使用する場合、その粒径は0.4mm
〜1.7mmが好ましい。
【0032】本発明の炭化水素油中の水銀の除去方法に
おいて、吸着処理条件として0.1cm/分〜100c
m/分、好ましくは、50cm/分以下のLV値(線速
度)、15℃〜200℃、好ましくは、100℃以下の
温度を採用することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の好まし一態様につ
いて説明すると、本発明の水銀の吸着除去方法は、水銀
を含有するライトナフサを、 ・細孔半径25Å以下の細孔の容積が細孔半径100Å以下の細孔の容積に占め る割合: 70%〜80% ・粒径: 0.4mm〜1.7mm の活性炭を充填した固定床に ・LV値 20cm/分〜30cm/分 ・温度 常温〜50℃ の条件で通過させることからなり、ライトナフサから水
銀をほとんど完全に除去することができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。なお、活性炭のNH3 −TPDによる
アンモニア全吸着量、比表面積、細孔分布等および水銀
吸着性能は、次の方法で測定した。NH3 −TPD(アンモニア昇温脱離分布) 昇温脱離分布スペクトル装置マルチタスクTPD(日本
ベル株式会社製)を用い、100℃でNH3 ガスを定圧
で活性炭酸点に吸着させた後、600℃まで昇温し、脱
離してくるNH3 をQ−MASSで定量測定する。測定
条件として、次の(1)〜(4)を採用する。(1)常
温から600℃まで10℃/分の速度で昇温し、600
℃で1時間保持し水分を除去、(2)真空に引きながら
100℃に降温後1時間保持、(3)NH3 ガスを定圧
(20Torr)で吸着、(4)ヘリウム流通下で10
0℃〜600℃に昇温し、排ガスをQ−MASSで測定
する。比表面積 : BELSORP28SA(日本ベル株式会
社製)を用いた窒素吸着によるBET法細孔分布 : BELSORP28SA(日本ベル株式会
社製)を用いた窒素吸着によるDH法水銀吸着性能 活性炭試料0.05gを水銀含有ライトナフサ1000
mlに、浸漬し、24時間後のライトナフサ中の残存水
銀量を測定する。水銀濃度の定量は原子吸光法による。
【0035】実施例1 ヤシ殻を乾留した炭化物を1.7mm〜4.75mmに
整粒し、炭化物100重量部に対し30重量部の石油ピ
ッチを混和し、賦活ガスとしてプロパン燃焼ガス(ガス
組成:窒素39.8容量%、水蒸気35容量%、炭酸ガ
ス25容量%、酸素0.2容量%)を用いて800℃で
比表面積1050m2 /gになるまで賦活した後、同一
組成のガスを用いて冷却した。このようにして得られた
活性炭を粉砕し、整粒し0.4mm〜1.6mmの粒状
活性炭Xを得た。
【0036】粒状活性炭Xの特性値は次の通りであっ
た。 ・NH3 −TPDによるアンモニア全吸着量0.38μ
mol/g ・酸素含有量 2.6重量% ・物理性状 比表面積(m2 /g) 1000 平均細孔半径(Å) 10 細孔分布(体積%) 10Å以下 24.00 10Å〜25Å 60.20 25Å〜100Å 11.83 100Å〜200Å 4.05 200Å以上 1.50 この粒状活性炭Xの水銀吸着性能を評価したところ次の
結果を得た。
【0037】 ナフサ水銀濃度(μg/kg有機水銀吸着性能 総合評価 処理後 処理後 125 69 良好 良好 実施例2 NH3 −TPDによるアンモニア吸着量0.24μmo
l/g、酸素含有量2.3重量%の活性炭を用意し、実
施例1と同様の操作で、水銀吸着性能を評価した。
【0038】 ライトナフサ水銀濃度(μg/kg有機水銀吸着性能 総合評価 処理後 処理後 232 88 良好 良好 実施例3 NH3 −TPDによるアンモニア吸着量0.07μmo
l/g、酸素含有量2.3重量%の活性炭を用意し、実
施例1と同様の操作で、水銀吸着性能を評価した。
【0039】 ライトナフサ水銀濃度(μg/kg有機水銀吸着性能 総合評価 処理後 処理後 132 86 良好 良好 比較例1 ヤシ殻を乾留した炭化物を1.7mm〜4.75mmに
粒径の範囲に整粒し、炭化物100重量部あたり30重
量部の石油ピッチを混和し粒状活性炭原料を調製した。
この粒状活性炭原料を賦活ガスとしてプロパン燃焼ガス
(ガス組成:窒素40.2容量%、水蒸気35容量%、
炭酸ガス5容量%、酸素0.2容量%)を用いて700
℃で賦活処理した後、冷却した。得られた活性炭を粉砕
し、粒径0.4mm〜1.7mmに整粒し粒状活性炭
を得た。粒状活性炭のNH3 −TPDによるアンモニ
ア全吸着量は0.01μmol/gであった。粒状活性
炭の物理性状を次に示す。
【0040】 比表面積(m2 /g) 1000 平均細孔半径(Å) 30 細孔分布(体積%) 25Å以下 20.00 25Å〜50Å 4.50 50Å〜100Å 38.00 100Å〜200Å 25.10 200Å以上 5.01 粒状活性炭の水銀吸着性能を評価したところ次に示す
結果を得た。
【0041】 ナフサ水銀濃度(μg/kg有機水銀吸着性能 総合評価 処理後 処理後 132 120 不良 不良
【0042】
【発明の効果】以上説明したように昇温脱離分布により
算出されたアンモニア全吸着量が0.05μmol/g
以上である活性炭からなる炭化水素油中の微量金属の吸
着剤は、水銀、特に有機水銀化合物に対しても優れた吸
着性能を発揮する。アンモニア全吸着量の制御と細孔構
造の特定によりさらに、水銀吸着性能を向上させること
ができる。また、該微量金属吸着剤を用いる炭化水素油
中の微量金属の吸着除去方法においては効率よく、しか
も長期間にわたり安定した吸着処理を行なうことができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇温脱離分布によるアンモニア全吸
    着量が0.05μmol/g以上である活性炭からなる
    炭化水素油中の微量金属の吸着剤。
  2. 【請求項2】 前記活性炭の酸素含有量が1.5重
    量%以上である請求項1記載の炭化水素油中の微量金属
    の吸着剤。
  3. 【請求項3】 微量金属を含有する炭化水素油を昇
    温脱離分布によるアンモニア吸着量が0.05μmol
    /g以上である活性炭からなる微量金属吸着剤と接触さ
    せることからなる炭化水素油中の微量金属の吸着除去方
    法。
JP9025803A 1997-01-26 1997-01-26 微量金属吸着剤およびそれを用いる炭化水素油中の微量金属の除去方法 Pending JPH10202096A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010222579A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 General Electric Co <Ge> 表面改質吸着剤
JP2015078110A (ja) * 2013-09-13 2015-04-23 株式会社豊田中央研究所 炭素多孔体、その製法及びアンモニア吸着材

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