JP2008534752A - 活性炭を用いて炭化水素系燃料から有色体を除去する方法 - Google Patents
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Abstract
活性炭を用いて炭化水素系燃料、特にガソリンから有色体を除去するプロセスが開示される。細孔構造内に燃料を脱色する量の重合リン酸又は還元された遷移金属を有する活性炭と燃料を接触させることにより、有色体は燃料から除去される。リン酸は、続く熱処理の前に非リン酸−活性炭(蒸気活性化石炭系など)に添加されてもよいし、あるいは存在する残留リン酸、たとえばリン酸−活性化木系炭素の利点を採用してもよい。同様に、不純物としてすでに存在していてもさらに銅などの遷移金属を塩形態として活性炭に添加してもよい。
Description
本発明は、炭化水素燃料の脱色及び浄化に有用なプロセスに関する。特に、本発明は、液体炭化水素燃料、特にガソリンから、インダン類、ナフタレン類、フェナントレン類、ピレン、アルキルベンゼン類及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくともいくらかの痕跡量の不純物又は他の有色体を除去するために活性炭を使用することに関する。活性炭は、石炭、石油又はリグノセルロース材料から誘導される。加えて、本発明は、燃料浄化に対する使用を促進するために活性炭を調製して処理する方法に関する。
活性炭は、種々の源から有色体を除去するための浄化媒体として使用することが十分に確立されている吸着物質である。
米国特許US4,695,386号明細書は、逐次酸化(sequential acidulation)、沈殿及び凝固の結果、パルプミルプロセス流からの流出物の濾液を得て、この濾液を活性炭との接触による脱色用の一連のチャンバに通過させることを教示する。
米国特許US4,695,386号明細書は、逐次酸化(sequential acidulation)、沈殿及び凝固の結果、パルプミルプロセス流からの流出物の濾液を得て、この濾液を活性炭との接触による脱色用の一連のチャンバに通過させることを教示する。
米国特許US4,728,435号明細書は、顆粒状活性炭の固定床にグリオキサル水溶液を通過させることによるグリオキサル水溶液の脱色を教示する。
米国特許US4,746,368号明細書は、活性炭の粒子を用いる砂糖水から不純物を除去する長い間使用されてきた方法を教示する。砂糖水又はシロップはカラムなどの容器内に維持されているこのような粒子の床に強制的に通過させられる。
米国特許US4,746,368号明細書は、活性炭の粒子を用いる砂糖水から不純物を除去する長い間使用されてきた方法を教示する。砂糖水又はシロップはカラムなどの容器内に維持されているこのような粒子の床に強制的に通過させられる。
米国特許US5,429,747号明細書は、化粧品製造プロセスからの廃水の脱色を教示する。この廃水に高温で強塩基を添加して脂肪性物質を凝集させた後、無色の酸化剤を添加して部分酸化を生じさせる。得られた廃水は、次いで、粉末活性炭で脱色される。
燃料の脱色についての2つの主な技術的基盤がある。(1)炭素上に担持された金属触媒の存在下での水素処理、及び(2)吸着である。
(1) 接触水素処理
米国特許US4,755,280号明細書は、鉄及び1以上のアルカリ又はアルカリ土類金属成分を含む水素処理触媒の存在下で水素処理することによる多環芳香族及びヒドロ芳香族炭化水素を含む炭化水素流の色及び酸化安定性を改良するプロセスを開示する。
(1) 接触水素処理
米国特許US4,755,280号明細書は、鉄及び1以上のアルカリ又はアルカリ土類金属成分を含む水素処理触媒の存在下で水素処理することによる多環芳香族及びヒドロ芳香族炭化水素を含む炭化水素流の色及び酸化安定性を改良するプロセスを開示する。
米国特許US5,403,470号明細書は、穏やかな条件での水素処理によるディーゼル燃料の脱色を開示する。供給原料は、最初に重度に水素処理されて有機硫黄又は有機窒素に転化される。次いで、流出物は、もっと低温であるが最終的な燃料の色を明るくするに十分な温度のより小さな下流水素処理ゾーンに通過する。
米国特許US5,449,452号明細書は、仕込み供給物を水素処理条件で、炭素担体上にホウ素、VIII族の非貴金属及びVIB族の金属を含む硫化触媒の床に通過させて接触させることによる炭化水素の水素化脱芳香族プロセスを開示する。
米国特許US5,435,907号明細書は、299℃〜454℃(570〜850°F)、4.1Mpa〜17.2MPa(600〜2500psi)及び1000〜5000SCFB(液体供給物の1バレルあたり標準立方フィート)の水素流で、水素の存在下で、活性炭担体上のVIII族金属及びVIB族金属の硫化触媒の床に仕込んだ供給物を通過させて接触させることによる中間留分炭化水素の水素化脱芳香族プロセスを開示する。活性炭担体は、少なくとも約900m2/gのBET表面積、16〜50Åの間の平均細孔直径及び0.4〜1.2cc/gの細孔総容積(窒素に対して)を有する。
米国特許US5,472,595号明細書は、200〜450℃、200〜3000psigの圧力、0.1〜10LHSVの液体時間当たり空間速度及び200〜10,000SCFBの水素供給速度の水素処理条件、水素ガスの存在下で、活性炭担体上に0.1〜15wt%のニッケル及び1〜50wt%のタングステン及び0.01〜10wt%のリンを含む硫化物触媒の床に仕込んだ供給物を通過させて接触させることによる炭化水素の水素化脱芳香族プロセスを開示する。活性炭担体は、600〜2000m2/gの表面積、少なくとも0.3cc/gの窒素に対する細孔容積及び12〜100Åの平均細孔直径を有する。
米国特許US5,462,651号明細書は、水素処理条件で水素の存在下で、リン処理炭素上に担持されている金属硫化物触媒の床に仕込み炭化水素供給物を通過させて接触させることによる炭化水素オイルの同時に行う水素化脱芳香族、水素化脱硫及び水素化脱窒を開示する。金属硫化物触媒は、1以上のVIII族非貴金属を含み、少なくとも1の金属はタングステン及びモリブデンから選択される。
米国特許US5,676,822号明細書は、望ましくない芳香族成分、硫黄化合物及び窒素化合物を含む炭化水素オイルの水素化脱芳香族プロセスを開示する。仕込み炭化水素供給物は、水素処理条件、水素ガスの存在下で、活性炭上に担持されている亜鉛で活性化された金属硫化物触媒の床に通過して接触する。
硫化物触媒は、0.1〜15wt%の1以上のVIII族非貴金属、1〜50wt%のタングステン及び/又は1〜20wt%のモリブデンもしくはクロム、及び0.01〜10wt%の亜鉛を含む。活性炭担体は、600〜2000m2/gのBET表面積、少なくとも0.3cc/gの窒素についての細孔容積及び12〜100Åの平均細孔直径を特徴とする。
米国特許US5,651,878号明細書は、(i)モリブデンもしくはタングステン、(ii)VIII族非貴金属及び(iii)クロムを担持する炭素担持触媒の存在下での水素処理によるナフサ又は中間留分炭化水素の水素化脱芳香族プロセスを開示する。炭素担体は、少なくとも800m2/gのBET表面積、少なくとも0.4cc/gの窒素についての細孔総容積及び16〜50Åの間の窒素吸着による平均細孔直径を有する。この炭素担体は予め形成され、炭素担持触媒は元素の塩の溶液を用いる慣用の含浸方法により調製される。
米国特許US5,837,640号明細書は、VIII族金属及びVIB族金属を含む炭素担持触媒を用いるナフサ又は中間留分炭化水素の水素化脱芳香族プロセスを開示する。
(2) 吸着
米国特許US3,920,540号明細書は、10℃〜149℃(50〜300°F)で金属スチールウール担体上のアルミナに通過させることによる潤滑油などの石油オイルの脱色及び粘度係数を増加させる方法を開示する。
米国特許US3,920,540号明細書は、10℃〜149℃(50〜300°F)で金属スチールウール担体上のアルミナに通過させることによる潤滑油などの石油オイルの脱色及び粘度係数を増加させる方法を開示する。
米国特許US5,207,894号明細書は、芳香族有色体を吸着するに十分な時間、炭化水素流を天然アタパルジャイトクレイと接触させることによる芳香族炭化水素流から芳香族有色体、特に酸素又は硫黄含有芳香族を除去するプロセスを開示する。このプロセスは、芳香族炭化水素流を最初にモレキュラーシーブを用いて乾燥させると最も効果的である。
特開平10−204,446号公報は、活性白土及び/又はシリカ−アルミナで処理することによるオイルの脱色を開示する。
米国特許出願公開2004/0,256,320号公報は、膜濾過を用いて炭化水素混合物から有色体及び/又はアスファルテン性汚染物質を分離するプロセスを開示する。膜は、(1)稠密膜からなる頂部薄層及び(2)多孔性膜からなる担体層を含む。頂部薄層は有色体及び汚染物質を炭化水素混合物から濾去し、多孔性担体膜は膜の機械的強度を提供する。
米国特許出願公開2004/0,256,320号公報は、膜濾過を用いて炭化水素混合物から有色体及び/又はアスファルテン性汚染物質を分離するプロセスを開示する。膜は、(1)稠密膜からなる頂部薄層及び(2)多孔性膜からなる担体層を含む。頂部薄層は有色体及び汚染物質を炭化水素混合物から濾去し、多孔性担体膜は膜の機械的強度を提供する。
米国特許出願公開2004/0,129,608号公報(本願に援用する)は、脱色炭素を用いてガソリン燃料などの液体炭化水素燃料を脱色するプロセスを開示する。このプロセスは、燃料をカーボンフィルター(おそらく多重炭素充填カラム)に通過させるか、又は炭素粒子を液体燃料に導入して処理後に粒子を回収することにより、液体燃料を活性炭と接触させることを含む。痕跡量の不純物は、インダン類、ナフタレン類、フェナントレン類、ピレン、アルカリベンゼン及びこれらの混合物を含む。公開された特許出願はさらに、用いられる脱色炭素は任意の炭素源を用いて調製してもよいことを教示する。木、ココヤシ又は石炭から誘導される炭素が好ましいと教示する。炭素は、たとえば酸処理、アルカリ処理又は蒸気処理によって活性化されてもよい。適切な脱色炭素は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd Edition, VoI 4, pages 562〜569に記載されている。
米国特許出願公開2004/0,200,758号公報は、チオフェン及びチオフェン化合物を優先的に吸着する吸着剤と液体燃料を接触させることを含むチオフェン及びチオフェン化合物を液体燃料から除去する方法並びに芳香族化合物及び脂肪族化合物の混合物から芳香族化合物を選択的に除去することを含む別の方法を開示する。吸着剤は、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトLSX、MCM−41ゼオライト、シリコアルミノフォスフェート及びこれらの混合物から選択されるイオン交換ゼオライトを含み、ゼオライトは交換可能なカチオンサイトを有し、少なくとも1のサイトは少なくとも1の金属及び存在する金属カチオンを有する。
引用した先行技術文献の開示によれば、脱色特性について知られている従来の活性炭物質がガソリンなどの炭化水素燃料の有色を減少させ得ることは予測できるかもしれない。従来技術に欠如しており、従来技術の教示によって示唆されないことは、従来技術により教示も示唆もされていない炭化水素燃料を脱色し得る活性炭材料を用いて炭化水素系燃料から有色体を除去する方法である。したがって、本発明の目的は、予測できないほど改良された炭化水素燃料の脱色を提供する活性炭材料を用いて炭化水素系燃料から有色体を除去する方法を提供することである。
本発明は、本明細書に記載した活性炭を用いて有色体を炭化水素系燃料から除去する改良された方法を提供する。活性炭を用いるプロセスは、驚異的に改良されたこのような燃料からの有色体の除去を提供することができる。
本発明は、炭化水素系燃料から有色体を除去する方法を提供する。このようなプロセスは、細孔構造内に燃料を脱色する量の還元遷移金属を有する脱色炭素と炭化水素系燃料を接触させる工程、及び炭化水素系燃料内の有色体の少なくとも一部を脱色炭素に吸着させて脱色された炭化水素系燃料を製造する工程を含む。好ましくは、脱色された炭化水素系燃料は、脱色前の炭化水素系燃料と比較して少なくとも15のセーボルトゲイン(利得)を有する。より好ましくは、脱色前の炭化水素系燃料は−10以下のセーボルト値を有し、脱色された炭化水素系燃料は少なくとも12のセーボルト値を有する。
幾つかの実施形態において、脱色炭素は、蒸気活性化、リン酸活性化又は塩化亜鉛活性化により製造された炭素を含む。好ましくは、燃料を脱色する量の還元遷移金属は、約0.1%〜約5%の範囲にあり、より好ましくは約1%〜約3%の範囲にある。幾つかの実施形態において、還元遷移金属は銅を含む。
活性炭は、蒸気活性化又はリン酸活性化によってリグノセルロース材料又は石炭から誘導されてもよい。リグノセルロース材料の例としては、木、ココヤシ、ナッツ殻及び果実種をあげることができる。
新しく活性炭を用いて炭化水素系燃料から有色体を除去する方法が開発されている。炭化水素系燃料は、そのような活性炭と接触し、燃料内の有色体の少なくとも一部は活性炭に吸着される。
活性炭は、ガソリン脱色及び浄化に特に有効である。種々の技術的アプローチが開発されており、ガソリン有色体分子に対する吸着サイトとして作用する重合隣酸塩の量を効果的に増強することによって、炭素ガソリン脱色能を増加させる。
第一に、この新規な活性炭は、不活性又はCO2雰囲気にて、MeadWestvaco Corporationから市販されている慣用のリン酸−活性炭製品(WV−Bなど)の約538℃〜約1093℃(約1000〜約2000゜F)(好ましくは約649℃〜約982℃(約1200〜約1800°F))における熱処理により製造され得る。熱処理は、残留リン酸をガソリン有色体分子の吸着に効果的な重合形態に転化する。
第二のアプローチは、リン酸活性化温度を約427℃〜約593℃(約800〜1100°F)の範囲から621℃〜871℃(1150〜1600°F)の範囲まで上昇させることを必要とする。しかし、704℃(1300°F)を超える活性化温度が好ましい。より高い活性化温度は、リン酸の重合を促進するので、リン酸−活性炭中の重合リン酸の量を増加させる。
第三のアプローチにおいて、リン酸は、すでにいくらかの残留リン酸を含む活性炭(MeadWestvaco Corporationからの木系WV−B及びWV−A 1100など)又は実質量のリン酸を含まない活性炭(Calgon Corporationからの蒸気−活性化石炭系CPG又はMeadWestvaco Corporationからの木系TAC−900など)に添加される。添加されたリン酸は、続いて第1のアプローチに記載したような熱処理によって重合リン酸に転化される。
最後に、すでにいくらかの残留遷移金属を含む活性炭(Calgon Corporationからの蒸気−活性化石炭系CPG又はMeadWestvaco Corporationからの木系TAC−900など)又は実質量の遷移金属を含まない活性炭(MeadWestvaco Corporationからの木系WV−B及びWV−A 1100)に、1以上の遷移金属を添加してもよい。これら最後の2種のアプローチにおいて、存在する残留遷移金属を有する活性炭にリン酸を添加する場合又は残留リン酸を有する活性炭に遷移金属(通常は塩形態)を添加する場合に、改良された水素燃料浄化/脱色に対する相乗効果が達成され得る。
下記実施例により本発明の実施形態及び活性炭及びその調製方法をさらに説明する。これらの実施例において、所与ガソリンを一定投与量の活性炭で処理した後のセーボルト値の増加が大きいほど、ガソリン脱色能力が大きいことを表す。セーボルト値は、−30(最も暗い)〜+30(最も明るい)(ASTM D 156−00)のガソリン色を測定する。より高いセーボルト値は液体中にあまり色がないことを反映するが、相対値である。よって、脱色の有効性は、その初期せーボルト値に関連する(及び明らかに影響される)。特に断らない限り、すべての等温テストは、重度有色ガソリンについて、周囲温度での0.3wt%の炭素投与量で行った。固体/液体接触時間は、撹拌しながら1時間とした。ガソリンのセーボルト値は、炭素粒子を濾去した後に測定した。
[実施例1]
ガソリン脱色等温テスト結果の概要をTable Iに示す。等温テスト結果は、例えば843℃(1550°F)、15分間の不活性ガス熱処理に供する前後での慣用の木系リン酸−活性炭、WV−B及びWV−A 1100(MeadWestvaco Corporation)のサンプル間の固体/液体接触により生じた。未処理WV−B及びWV−A 1100サンプルは、ガソリン色の大部分を取り除き、−16未満の供給ガソリンについてのセーボルト値と比較して、セーボルト値を11〜12とガソリンを改良した。一方、新規熱処理炭素製品は、炭素処理ガソリンのセーボルト値を17から19程度に高くした。これは、元の炭素よりも5〜7ポイントのセーボルト値の上昇を表す。改良された脱色は、これらの活性炭上に存在していた残留リン酸の熱処理の結果としての重合に関連する。
ガソリン脱色等温テスト結果の概要をTable Iに示す。等温テスト結果は、例えば843℃(1550°F)、15分間の不活性ガス熱処理に供する前後での慣用の木系リン酸−活性炭、WV−B及びWV−A 1100(MeadWestvaco Corporation)のサンプル間の固体/液体接触により生じた。未処理WV−B及びWV−A 1100サンプルは、ガソリン色の大部分を取り除き、−16未満の供給ガソリンについてのセーボルト値と比較して、セーボルト値を11〜12とガソリンを改良した。一方、新規熱処理炭素製品は、炭素処理ガソリンのセーボルト値を17から19程度に高くした。これは、元の炭素よりも5〜7ポイントのセーボルト値の上昇を表す。改良された脱色は、これらの活性炭上に存在していた残留リン酸の熱処理の結果としての重合に関連する。
[実施例2]
実施例1に記載したような不活性ガス熱処理は、石炭系及びココヤシ系蒸気−活性炭の脱色能力をも改良する。Table IIに示すように、入手したままのCalgon CPG (蒸気−活性化石炭系)及びPica G270(蒸気−活性化ココヤシ系)活性炭は、それぞれセーボルト値5及び2までガソリンを処理した。しかし、不活性ガス熱処理は、石炭系CPGのガソリン脱色能力を5から13までセーボルト値で8ポイント改良し、ココヤシ系G270のガソリン脱色能力を2から4までセーボルト値で2ポイント改良した。熱処理の結果改良された脱色は、これらの炭素中に不純物として存在していた銅及び鉄などの遷移金属の自動還元に起因する。
実施例1に記載したような不活性ガス熱処理は、石炭系及びココヤシ系蒸気−活性炭の脱色能力をも改良する。Table IIに示すように、入手したままのCalgon CPG (蒸気−活性化石炭系)及びPica G270(蒸気−活性化ココヤシ系)活性炭は、それぞれセーボルト値5及び2までガソリンを処理した。しかし、不活性ガス熱処理は、石炭系CPGのガソリン脱色能力を5から13までセーボルト値で8ポイント改良し、ココヤシ系G270のガソリン脱色能力を2から4までセーボルト値で2ポイント改良した。熱処理の結果改良された脱色は、これらの炭素中に不純物として存在していた銅及び鉄などの遷移金属の自動還元に起因する。
[実施例3]
実施例1及び2において、活性炭のガソリン脱色能力が不活性ガス熱処理によって実質的に改良されたことを開示した。熱処理の結果形成された重合リン酸及び還元銅は、ガソリン有色体分子の吸着についての活性サイトとして作用する。これらの知見に基づいて、改良されたガソリン脱色性能を有する新規な炭素材料は、本明細書に開示されるように重合リン酸又は還元銅を活性炭に組み込むことによって調製される。改良された炭素性能は、炭素吸着を接触水素処理技術、特に重度有色ガソリンの浄化に対するより競合的な代替技術とすることができる。
実施例1及び2において、活性炭のガソリン脱色能力が不活性ガス熱処理によって実質的に改良されたことを開示した。熱処理の結果形成された重合リン酸及び還元銅は、ガソリン有色体分子の吸着についての活性サイトとして作用する。これらの知見に基づいて、改良されたガソリン脱色性能を有する新規な炭素材料は、本明細書に開示されるように重合リン酸又は還元銅を活性炭に組み込むことによって調製される。改良された炭素性能は、炭素吸着を接触水素処理技術、特に重度有色ガソリンの浄化に対するより競合的な代替技術とすることができる。
Table IIIは、入手したままではあまりよい性能ではないが重合リン酸の組み込みにより大きく改良される4種の活性炭の概要を示す。2つのポイントに注意されたい。第一に、引き続く高温窒素処理なしのリン酸の含浸は、ガソリン脱色能力を顕著に改良しない。例としては、含浸前に−3セーボルトを有し、含浸後に−2セーボルトを有するTAC−900(MeadWestvaco Corporationから入手)がある。これは、炭素酸性度が上昇したにもかかわらず、非重合(通常は水溶性)リン酸のガソリン脱色に対する非有効性を示す。第二に、添加されたリン酸を高温窒素処理(たとえば、843℃(1550°F)、15分間)によって重合形態に転化することは、炭素性質にかかわらず、ガソリン脱色能力を大きく改良することを示す。セーボルト値の利得は9〜38ポイントの範囲にある。このように、MeadWestvacoのAquaGuard炭素は、セーボルト値−15から23への38ポイントの上昇と最も劇的な利得を示した。同じアプローチで追加の重合リン酸を良好な性能の本発明の炭素に添加することは、18から21へとセーボルト値をわずかに3ポイント上昇させただけであった。
Table IVは、酢酸銅による含浸の影響を試験した活性炭の概要を示す。ココヤシ系炭素(セーボルト2から3へと改良)及びTAC−900(セーボルト−3から0へと改良)について、炭素に酢酸銅を含浸させ、15分間、843℃(1550°F)での熱処理に供した(銅をCu(II)からCu(I)又はCu(0)へと還元する)後、ガソリン脱色能力におけるわずかな利得が見られた。本発明の炭素では、より大きな利得、セーボルト値が18から23へと5ポイント上昇が見られた。重合リン酸塩と還元銅との間に、ガソリン中異なる有色体分子の吸着に対して有効な相乗効果が存在する可能性がある。Y−ゼオライトマトリックス中の還元Cu(I)状態での銅は、輸送燃料の脱窒に対する実質的な能力を有すると米国特許出願公報2004/0200758に報告されている。
[実施例4]
Meadwestvaco WV−B炭素を窒素雰囲気中、3種の異なる温度621℃(1150゜F)、843℃(1550゜F)及び954℃(1750゜F)で15分間の熱処理に供した。Table Vに示すように、供給炭素は、0.9%の重合リン酸塩を含んでいて、セーボルト値11を得た。621℃(1150゜F)での熱処理後、重合リン酸塩含有率は0.9%から2.7%へ増加し、セーボルト値は11から15へと改良された。熱処理温度をさらに621℃(1150゜F)から954℃(1750゜F)まで上昇させると、重合リン酸塩の含有率は2.7%から4.8%へと増加し続け、セーボルト値は15から20へと改良され続けた。
Meadwestvaco WV−B炭素を窒素雰囲気中、3種の異なる温度621℃(1150゜F)、843℃(1550゜F)及び954℃(1750゜F)で15分間の熱処理に供した。Table Vに示すように、供給炭素は、0.9%の重合リン酸塩を含んでいて、セーボルト値11を得た。621℃(1150゜F)での熱処理後、重合リン酸塩含有率は0.9%から2.7%へ増加し、セーボルト値は11から15へと改良された。熱処理温度をさらに621℃(1150゜F)から954℃(1750゜F)まで上昇させると、重合リン酸塩の含有率は2.7%から4.8%へと増加し続け、セーボルト値は15から20へと改良され続けた。
*実施例1〜4及びTable I〜Vの実験プロトコールは以下のとおりであった。
炭素熱処理は、外部から電気的に加熱した縦型石英管反応器内で行った。各実験において、正確に5g又は10gの乾燥炭素顆粒を完全流動炭素床で熱処理した。
炭素熱処理は、外部から電気的に加熱した縦型石英管反応器内で行った。各実験において、正確に5g又は10gの乾燥炭素顆粒を完全流動炭素床で熱処理した。
顆粒活性炭に10wt%H3PO4又は10%酢酸銅溶液を炭素:溶液の質量比3:10で含浸させた。過剰の液体を排出した後、湿潤炭素を105℃(221゜F)で一晩、空気炉中で乾燥させた。乾燥した炭素を次いで上述の流動床内で熱処理した。
ガソリン脱色等温テストのために、顆粒炭素3gをSpexミル内で60秒間、粉砕した。0.3wt%の一定炭素投与量を重度の有色ガソリン(1369−R−04)に用いた。接触時間は、周囲温度で60分間と一定に維持した。ガソリンから炭素粒子を濾去した後、ガソリンのセーボルト値を測定した。セーボルト値は−32(最も暗い色)から32(最も薄い色)の範囲であると、ガソリンをはじめとする石油製品の有色を測定するためのASTM D−156/1500に特定されている。セーボルト値が高くなるほど、ガソリンの色は薄くなる。供給ガソリンは、セーボルト値<−16(ほとんどは約−24)を有していた。
[実施例5]
ある範囲の残留リン酸含有率を有する木系リン酸−活性炭を15分間、窒素雰囲気中、843℃(1550゜F)での熱処理に供した。熱処理後、炭素サンプルは、実施例1に記載したN2−加熱WV−Bについての3.1%と比較して、重合リン酸塩を3.7%〜11.8%の範囲で含んでいた。重合リン酸塩含有率が3.1%から10%以下まで増加し、炭素−処理ガソリンのセーボルト値が最初に15から17へと改良され、次に一定に維持されていることがTable VIからわかる。しかし、重合リン酸塩含有率が10%を超えてさらに増加すると、炭素−処理ガソリンのセーボルト値は減少し始めた。
ある範囲の残留リン酸含有率を有する木系リン酸−活性炭を15分間、窒素雰囲気中、843℃(1550゜F)での熱処理に供した。熱処理後、炭素サンプルは、実施例1に記載したN2−加熱WV−Bについての3.1%と比較して、重合リン酸塩を3.7%〜11.8%の範囲で含んでいた。重合リン酸塩含有率が3.1%から10%以下まで増加し、炭素−処理ガソリンのセーボルト値が最初に15から17へと改良され、次に一定に維持されていることがTable VIからわかる。しかし、重合リン酸塩含有率が10%を超えてさらに増加すると、炭素−処理ガソリンのセーボルト値は減少し始めた。
**重合リン酸塩の含有率(%PP)は、総リン酸塩と水溶性リン酸塩との間の差により決定した。総リン酸塩分析として、正確に0.50gのSpex−ミルで粉砕した乾燥粉末を硫酸及び硝酸でマイクロ波消化した。水溶性リン酸塩分析として、正確に0.50gの同じSpexミルで粉砕した乾燥粉末をナノ純水(nanopure water)中で15分間沸騰させた。固体を濾去した後、濾液のアリコートについてICPによりリン酸濃度を測定した。活性炭におけるリン酸塩含有率は%H3PO4として表される。この方法により測定された重合リン酸塩は、水溶性リン酸塩又は固定リン酸塩と呼ばれることもある。
***より重度の有色ガソリン(1550−R−04)について、より高い炭素投与量0.5wt%を用いた。供給ガソリン1550−R−04は、セーボルト値−24.8を有していた。
***より重度の有色ガソリン(1550−R−04)について、より高い炭素投与量0.5wt%を用いた。供給ガソリン1550−R−04は、セーボルト値−24.8を有していた。
上述の記載は本発明の実施形態に関し、本発明の範囲を逸脱しない限り変更及び変形がなされてもよい。
Claims (8)
- (a)細孔構造内に燃料を脱色する量の還元遷移金属を有する脱色炭素に炭化水素系燃料を接触させる工程;及び
(b)炭化水素系燃料内の有色体の少なくとも一部を脱色炭素に吸着させて、脱色された炭化水素系燃料を製造する工程
を含む、炭化水素系燃料から有色体を除去する方法。 - 工程(b)の脱色された炭化水素系燃料は、工程(a)の炭化水素系燃料と比較して少なくとも15のセーボルトゲイン(利得)を有する、請求項1に記載の方法。
- 工程(a)の炭化水素系燃料は−10以下のセーボルト値を有し、工程(b)の脱色された炭化水素系燃料は少なくとも12のセーボルト値を有する、請求項2に記載の方法。
- 脱色炭素は、蒸気活性化、リン酸活性化又は塩化亜鉛活性化により製造された炭素を含有する、請求項1に記載の方法。
- 燃料を脱色する量の還元遷移金属は、約0.1%〜約5%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 還元遷移金属は銅を含む、請求項5に記載の方法。
- 燃料を脱色する量の還元遷移金属は約1%〜約3%の範囲にある、請求項5に記載の方法。
- 還元遷移金属は銅を含む、請求項7に記載の方法。
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