JPH10182477A - 抗腫瘍活性物質 - Google Patents

抗腫瘍活性物質

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JPH10182477A
JPH10182477A JP8342025A JP34202596A JPH10182477A JP H10182477 A JPH10182477 A JP H10182477A JP 8342025 A JP8342025 A JP 8342025A JP 34202596 A JP34202596 A JP 34202596A JP H10182477 A JPH10182477 A JP H10182477A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固型癌に対しても強力な抗腫瘍効果を発揮す
る物質を得ることを目的とする。 【解決手段】 ハラタケ属に属するカワリハラタケの子
実体の熱水不溶でかつエタノール抽出残渣成分を5%蓚
酸アンモニウム水溶液で抽出し、抽出物を塩酸で分解
後、ゲル濾過及びアフィニティークロマトグラフによる
精製によって、ゲル濾過で測定した時の重量平均分子量
38×104 ダルトンで分散度2.3の抗腫瘍活性物質
が得られる。この物質は、固型癌に対して有意な抗腫瘍
効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、抗腫瘍活性物質、それを
含有する抗腫瘍剤及び健康食品に関する。更に詳細に
は、ハラタケ属に属するカワリハラタケの子実体のエタ
ノール抽出残渣を集め、この残渣を熱水抽出し、その残
渣を更に5%蓚酸アンモニウム水溶液で抽出して得られ
る可溶性抽出物を酸分解し、濃縮精製して得ることので
きる抗腫瘍活性物質、それを含有する抗腫瘍剤及び健康
食品に関する。
【0002】
【従来の技術】ハラタケ属に属するカワリハラタケ(
garicus blazei Murill)は別名
ヒメマツタケとも呼ばれ、主にブラジル東南部サンパウ
ロのピエダーテの出地に自生し、昔から住民が食用にし
ていたキノコの一種である。近年、日本においてもカワ
リハラタケは栽培されるようになり、糖尿病や高血圧の
治療に利用されてきた。
【0003】カワリハラタケから抗腫瘍活性を有する物
質を探索する研究も多く行われており、例えばカワリハ
ラタケの子実体あるいは菌子体を水性溶媒で抽出するこ
とにより抗腫瘍作用を有する多糖体が得られることが報
告されている(特開昭55−74797号公報、特開昭
64−67194号公報、特開昭64−67195号公
報、特開昭55−108292号公報など)。また、ヒ
メマツタケの子実体から抗腫瘍作用を有する核酸成分が
得られることも報告されている(特開昭64−6612
7号公報)。これらの抗腫瘍活性を有する物質は、いず
れも水性溶媒あるいは熱水に可溶な成分から採取された
ものである。
【0004】他方、特開平2−78630号公報には、
カワリハラタケ子実体の熱水抽出残渣から抗腫瘍活性を
有する蛋白多糖体が単離されたことが報告されている。
即ち、カワリハラタケ子実体を熱水抽出処理して水溶性
成分を除去し、得られる残渣を加熱した1%蓚酸アンモ
ニウム水溶液で更に抽出処理して得られる残渣から抗腫
瘍活性を有する蛋白多糖体が得られたことが報告されて
いる。上記した物質は、いずれも、水性溶媒あるいは熱
水に可溶な成分から得られるものであるか、あるいは熱
水抽出残渣から得られるものであって加熱した1%蓚酸
アンモニウム水溶液には不溶な成分由来のものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、本発明者らは、
カワリハラタケ子実体の熱水抽出残渣を加熱した1%蓚
酸アンモニウム水溶液で抽出し、その抽出物から抗腫瘍
作用を有する物質が得られることを見出し、特願平4−
160924(特開平6−9423号公報)として特許
出願した。しかしながら、この物質は、固型癌の治療用
に用いるための薬物としては、その抗腫瘍活性が十分に
強いとは言い難いものである。また、前記した、カワリ
ハラタケ子実体の水性溶媒あるいは熱水に可溶な成分か
ら得られる物質、及び熱水抽出残渣から得られるもので
あって加熱した1%蓚酸アンモニウム水溶液には不溶な
物質のいずれも同様にその抗腫瘍活性が十分に強いとは
言い難いものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはカワリハラ
タケの子実体を加熱した75〜90%、望ましくは80
〜85%エタノールで6時間〜24時間、望ましくは1
8時間〜22時間処理し、抽出残渣を集め、これを熱水
で6時間〜24時間、望ましくは18時間〜22時間抽
出して可溶成分を除去して再び残渣を集め、この残渣を
更に加熱した1%〜5%、望ましくは5%蓚酸アンモニ
ウムで6時間〜24時間、望ましくは18時間〜22時
間抽出して得られた抽出物を、更に酸分解し、得られる
酸分解物を精製することによって、強力な抗腫瘍活性を
有する物質が得られ、この物質は抗腫瘍剤及び健康食品
の成分として有用であることを見出し本発明を完成し
た。
【0007】本発明は、ハラタケ属に属するカワリハラ
タケの子実体の熱水不溶成分の1〜5%、望ましくは5
%蓚酸アンモニウム水溶液抽出物を酸分解して精製する
ことによって得ることのできる、ゲル濾過で測定した時
の重量平均分子量38×10 4 ダルトンで分散度2.3
の抗腫瘍活性物質に関する。更に本発明は、上記抗腫瘍
活性物質を有効成分として含有する抗腫瘍剤に関する。
更に本発明は、上記抗腫瘍活性物質を有効成分として含
有する健康食品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】ハラタケ属に属するカワリハラタ
ケは、既に広く知られているが、工業技術院微生物工業
研究所に受託番号、微工研菌寄第4731号として寄託
されている。カワリハラタケの子実体から本発明の抗腫
瘍活性物質を得るには以下の方法が採用される。子実体
は生の子実体あるいは乾燥した子実体のいずれでもよ
く、通常、生の子実体の場合には千切りにしたものが、
乾燥品の場合にはよく粉砕したものが用いられる。先
ず、子実体を加熱した75〜90%、望ましくは80〜
85%、例えば80%エタノールで処理して可溶な成分
を除去して残渣を集める。この場合の温度は通常80℃
程度であり、その処理時間は処理量などにもよるが通常
6時間〜24時間、望ましくは18〜22時間程度であ
る。尚、このような処理により低分子有機化合物成分が
除去される。
【0009】次いで、得られた残渣を熱水で処理して熱
水に可溶な成分を除去して、再び残渣を集める。これに
より、熱水可溶性中性及び酸性多糖類が除去される。こ
こで用いる熱水の温度は通常80〜100℃である。処
理時間は通常6時間〜24時間、望ましくは18〜22
時間である。次いで、集めた残渣を加熱した1%〜5
%、望ましくは5%蓚酸アンモニウム水溶液で抽出し、
蓚酸アンモニウム水溶液に可溶な成分を回収する。蓚酸
アンモニウム水溶液は通常煮沸した状態にて抽出処理を
行う。かくして回収された可溶成分を集めて濃縮し、濃
縮後蓚酸アンモニウムを限外濾過により脱塩濃縮して凍
結乾燥する。
【0010】次いでこの凍結乾燥品を酸分解する。酸分
解に用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸が
好ましく、特に塩酸が好ましい。具体的には、例えば、
1N塩酸に凍結乾燥品を溶解し、室温にて1晩放置する
ことによって酸分解を実施することができる。酸分解
後、例えば、1N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、得
られる水溶液を遠心分離して不要物を除去し、上清を限
外濾過膜で脱塩濃縮し、凍結乾燥し、次いで精製工程に
付す。
【0011】得られる酸分解物の凍結乾燥品の精製は、
ゲル濾過及びアフィニティークロマトグラフィーにより
達成できる。ゲル濾過は、例えばGPCカラム、TSK
gel G 5000PWとTSKgel G 300
0PW(各21.5mm×300mm、東ソー社製)を連結
したものなどを用いることによって実施できる。ゲル濾
過によって、酸分解物を、分子量105 〜106 ダルト
ン前後の高分子画分、及び分子量5×103 〜5×10
4 ダルトン前後の低分子画分に分離する。次いで、得ら
れる高分子画分を、アフィニティークロマトグラフィー
に付して精製する。アフィニティークロマトグラフィー
は、例えばDEAEカラム、TSKgelDEAE−5
PW(21.5mm×150mm×2:東ソー社製)などを
用いることによって実施できる。本発明の重量平均分子
量38×104 ダルトンで分散度2.3の抗腫瘍活性物
質は、例えばDEAEカラムに上記の高分子画分を吸着
させ、次いで0.5MNaCl水溶液で溶出してアフィ
ニティークロマトグラフィーによる精製を行った後、更
に上記したと同様に例えばGPCカラムなどを用いたゲ
ル濾過により精製し、脱塩濃縮することによって得るこ
とができる。
【0012】本発明の重量平均38×104 ダルトンで
分散度2.3の抗腫瘍活性物質は、アイボリーホワイ
ト、綿状で強吸湿性で、水に可溶性であるという性質を
有している。 1H−NMR及び13C−NMRの測定によ
り、本発明の抗腫瘍活性物質の一次元スペクトルのアノ
メリックプロトン領域をみると、5.27ppmと4.
51ppmにピークがみられる。5.27ppmのピー
クは1−4−α−グルカン、4.51ppmのピークは
1−6−βグルカンであることを示しており、NMRピ
ークの積分値から1−4−α−グルカン、1−6−βグ
ルカンの存在比は4:1である。従って、本発明の抗腫
瘍活性物質は主として1−4−α−グルカンと1−6−
βグルカンから構成される多糖体である。また、本発明
の抗腫瘍活性物質のIRの測定では881cm-1に吸収が
ある。比旋光度
【外1】 である。
【0013】本発明の抗腫瘍活性物質は、例えば腺維芽
肉色腫由来のMeth−Aに対して強力な抗腫瘍作用を
示す。Meth−Aは一般の固型癌の中でもっとも化学
療法剤に抵抗性を有することが知られたものであり〔B
iotherapy,3(2),557(1989);
Biotherapy,4(4)915(1990);
癌と化学療法,18(11)1812(1991)〕、
従って本発明の物質は他の固型癌に対しても十分に有効
なものと期待できる。本発明の抗腫瘍活性物質は、治療
に適用する場合には、経口投与あるいは注射による投与
が採用される。経口投与の場合の剤型としては、錠剤、
カプセル剤、顆粒剤などが挙げられ、これらは通常の方
法により調製することができる。注射剤も通常用いられ
る注射用ビークルに抗腫瘍活性物質を溶解もしくは分散
させる通常の方法によって調製することができる。本発
明の抗腫瘍活性物質の投与量は、腫瘍の種類、投与ルー
トなどによって変動するが、通常5〜100mg/体重kg
である。
【0014】また、本発明の抗腫瘍活性物質は、健康食
品の有効成分として用いることもできる。健康食品とし
て用いる場合には乾燥原料を前記した方法で精製し、凍
結乾燥品とした後、既存の食品に一定の割合にて配合
し、食品とする。例えば、その凍結乾燥品を含んだふり
かけとして、あるいはティーパックやカプセルに調製し
て用いることができる。また、その凍結乾燥品あるいは
濃縮液を、乳製品、油脂製品、調味料、菓子、果実ジュ
ース、清涼飲料等に添加して用いることもできる。これ
らに用いる場合の本発明の抗腫瘍活性物質の添加量は、
通常、健康食品中に0.001〜0.1重量%含有する
量である。
【0015】
【発明の効果】ハラタケ属に属するカワリハラタケの子
実体の熱水不溶でかつエタノール不溶成分からの1〜5
%蓚酸アンモニウム水溶液抽出物を酸分解し、次いで精
製することによって、固型癌に対して強い抗腫瘍活性を
有する物質を得ることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1.抗腫瘍活性物質の製造 (1) ヒメマツタケ乾燥子実体30kgを粗粉砕(5mm以
下)する。子実体30kgに80% vv 、エタノール2
70リットルを加え、加熱還流下22時間抽出し、固液
分離をした後、残渣に80% vv エタノール270リ
ットルを加えて上記と同様に処理し、これを3回繰り返
した。 (2) 上記(1) の抽出残渣に精製水270リットルを加
え、加熱還流下22時間抽出し、固液分離をした。その
後、残渣に精製水270リットルを加えて上記と同様に
処理し、これを3回繰り返した。 (3) 上記(2) の抽出残渣に5%蓚酸アンモニウム水27
0リットルを加え、加熱還流下22時間抽出した。固液
分離後、3液を濃縮した。残渣に5%蓚酸アンモニウム
水270リットル加え、上記と同様に処理し、これを3
回繰り返した。全抽出液800リットルを濃縮して80
〜100リットルとした。 (4) この溶液を濾紙で濾過し、限外濾過膜(分画分子量
10000)で脱塩濃縮した。凍結乾燥したものを1N
HClに溶解し、24時間放置し、その後1NNaO
H水溶液にて中和しpH7とした。遠心分離で不要物を切
除し、上清を限外濾過膜(分画分子量10000)で脱
塩濃縮し、凍結乾燥した。
【0017】(5) 上記(4) の酸分解処理後、精製した乾
燥粉末を10mg/mlの割合で0.2MNaClで溶解し
た。溶解後遠心分離し、溶解上清を0.8μmのmem
brane filterで濾過した。上記濾過上清を
ゲル濾過カラム(TSKgel G 5000PW+T
SKgel G 3000PW;各5mm×30mm、連結
カラム)にかけ、溶解した成分をRI(示差屈折率計)
にて高分子画分及び低分子画分を得た。この各画分を限
外濾過(分画分子量5000)にて脱塩し、濃縮した。
高分子濃縮分画をDEAEカラム(TSKgel DE
AE−5PW)にかけ、0.2M NaClにて溶出し
たものを除去後0.5M NaClで溶出し、限外濾過
にて脱塩したものを凍結乾燥濃縮後、水溶液としその可
溶性物質に強い抗腫瘍活性を認めた。又低分子濃縮分画
を同種のカラムにかけ、水で溶解したものを除去し、
0.2M NaClと0.5M NaClで溶出したも
のを限外濾過にて脱塩し、他と同じように調製した水溶
液に強い抗腫瘍活性を認めた。更に上記高分子濃縮分画
の精製物を上記したと同様にしてゲル濾過カラムにか
け、溶出部を限外濾過にて脱塩し、濃縮した。この物質
はさらに強い抗腫瘍活性を示した。 (6) 上記(5) の工程を、以下の表1に更に具体的に示し
た。表1の最後に示したH−3精製品が本発明の抗腫瘍
活性物質である。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示した高分子成分a−3を更にゲル
濾過(GPC分画)に付してH−3精製品を得た時のG
PC分画によるクロマトグラムのプロファイルを図1に
示す。 (7) 表1に示されている酸分解処理品、ゲル濾過により
得られる高分子成分(a)及び低分子成分(b) 、更にアフ
ィニティークロマトグラフィーにより得られる高分子成
分a−1、a−2及びa−3、低分子成分b−1、b−
2及びb−3、更にH−3精製品について、ゲル濾過分
析を行った。その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】ゲル濾過分析条件 カラム:TSKgel G5000PW+TSKgel G3000PW (各21.
5mm×300mm) 検出:RI カラム温度:40℃ 移動相:50mM 硝酸ナトリウム 流速:0.5ml/分 注入量:200μl(約1mg/ml、移動相) 分子量較正:プルラン (Shodex: 0.58×104 、1.22×104 、2.
37×104 、4.80×104 、10.0×104
18.6×104 、38.6×104 、85.3×10
4
【0022】本発明の重量平均分子量38×104 ダル
トンで分散度2.3の抗腫瘍活性物質は、表−1及び表
−2の高分子成分a−3を更にゲル濾過精製し、脱塩濃
縮して得られるH−3精製品に相当する。 (8) 本発明のH−3精製品について、KBr錠剤法によ
ってIRの測定を行った。得られるIRのスペクトルを
図2に示した。得られたスペクトルには、881cm-1
吸収があり、これはB−D−グルコピラノ結合に由来す
るものと思われる。また、H−3精製品について、BR
UKER社のAC−300PによりNMRの一次元スペ
クトル( 1H−NMR、13C−NMR)を測定した。測
定温度は298kであった。得られる一次元スペクトル
を図3に示した。一次元スペクトルでは、プロトン領域
をみると、5.27ppmと4.51ppmにピークが
みられ、文献値(Agric.Biol.Chem.,
54,2889(1990)から、5.27ppmのピ
ークは1−4−α−グルカン、4.51ppmのピーク
は1−6−β−グルカン由来のピークであると考えられ
る。積分値から、1−4−α−グルカン、1−6−β−
グルカンの存在比は4:1であると思われる。更には、
H−3精製品について、ナトリウムスペクトルのD線を
用い、温度20℃、層長50mm、濃度1%、1%水酸化
ナトリウム水溶液で施光度を測定した。その結果、比施
光度
【外2】 は+121°であった。
【0023】(9) H−3精製品について、フェノール硫
酸法を用いて全糖の測定を行った結果、H−3精製品の
糖含量(%)は90.0%であった。また、H−3精製
品について、試料(5mg)を2M−トリフルオロ酢酸
(2ml)で加水分解(100℃、3時間)し、減圧留去
後アミノカラム[CAPCELL PAK NH
2 (4.6mm×250mm)]を用いて構成糖の測定を行
った。その結果、グルコースのみが検出された。
【0024】(10)H−3精製品について、ローリー法を
用いて、タンパク含量の測定を行った。標準品は牛製ア
ルブミンを使用した。その結果、タンパク含量(%)は
3.4%であった。 また、H−3精製品の8mgを6N−塩酸(2ml)で加水
分解(110℃、22時間)し、HPLC(日立、L−
8500形アミノ酸分析計)を用いて構成アミノ酸の測
定を行った。結果を表3に示す。
【0025】
【表3】アミノ酸組成
【0026】尚、検出されたグルコサミン含量(%)は
0.06%であった。
【0027】実施例2抗腫瘍活性の測定 Meth−A(fibrosarcoma;線維芽肉
腫)をマウス(1群5匹、BALB/c、6週齢雄)の
右(1×106 )および左下腹部(2×105 )の皮内
に同時に接種し、その接種後3日目、4日目、5日目に
実施例1で得られた本発明の抗腫瘍活性物質(H−3精
製品)および別のマウス群に効果比較のために精製前の
酸分解処理品を右下腹部腫瘍内に上記スケジュールで注
射した。又、対照として別のマウス群に生理食塩水を右
下腹部腫瘍内に上記スケジュールで注射した。腫瘍接種
後21日まで右下腹部および左下腹部の腫瘍の大きさ
(面積;mm2 )を一定の時期に測定し、実施例1で得ら
れた抽出物の効果を見た。更に、21日目に動物を殺
し、腫瘍の重量(g)を測定した。表4に21日目の腫
瘍の重量を測定した結果及び大きさをまとめたものを示
した。図4および図5には腫瘍接種後21日目までの右
下腹部および左下腹部のそれぞれの実験結果を示す。表
4、図4および図5から明らかな様に、本発明の抗腫瘍
活性物質は、Meth−A腫瘍に対し強力な抗腫瘍活性
を示す。
【0028】
【表4】 * P<0.01 VS Control ** P<0.01 VS Control *** P<0.05 VS Control + P<0.01 VS 酸分解フラクション3 ++ P<0.05 VS 酸分解フラクション3 N/A;not applicable
【0029】実施例3錠剤の製造 実施例1で得られる本発明の抗腫瘍活性物質(H−3精
製品)100g、マンニトール100g及びブドウ糖1
00gを混合し、通常の成形機にて錠剤化する。
【0030】実施例4健康食品の製造 実施例1で得られる本発明の抗腫瘍活性物質(H−3精
製品)を1mgを含む水溶液1リットルを適量のデキス
トリンに加え攪拌しながら基材に吸着させる。この粉末
を押し出し顆粒機にかけ、網目1mmにて粉末を押し出し
て顆粒化し、受けに12meshの篩いを用いて篩い分
けする。得られる顆粒を乾燥機に入れ60℃で一晩乾燥
させ、これにより水分約3%の顆粒ができる。この顆粒
は、お茶などの飲物用添加物として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の抗腫瘍活性物質をゲル濾過に
付したときのクロマトグラムのプロファイルを示す。
【図2】図2は、本発明の抗腫瘍活性物質のIRスペク
トルを示す。
【図3】図3は、本発明の抗腫瘍活性物質のNMR一次
元スペクトルを示す。
【図4】図4は、マウスの右下腹部に接種した腫瘍Me
th−Aに対する本発明の抗腫瘍活性物質の抗腫瘍活性
効果を示す。
【図5】図5は、マウスの左下腹部に接種した腫瘍Me
th−Aに対する本発明の抗腫瘍活性物質の抗腫瘍活性
効果を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハラタケ属に属するカワリハラタケの子
    実体の熱水不溶でかつエタノール不溶成分を1〜5%蓚
    酸アンモニウム水溶液で抽出して得られる抽出物をさら
    に酸分解して精製することによって得ることのできる、
    ゲル濾過で測定した時の重量平均分子量38×104
    ルトンで分散度2.3の抗腫瘍活性物質。
  2. 【請求項2】 酸分解後に、ゲル濾過、次いでアフィニ
    ティークロマトグラフィーによって精製することによっ
    て得ることのできる請求項1の抗腫瘍活性物質。
  3. 【請求項3】 主として1−4−α−グルカンと1−6
    −β−グルカンから構成されており、それらの存在比が
    4:1である請求項1または2の抗腫瘍活性物質。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の抗腫瘍活性物質
    を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 請求項1、2または3の抗腫瘍活性物質
    を有効成分として含有する健康食品。
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