JPH10176117A - 水性樹脂、その製造法及びそれを含有する水性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

水性樹脂、その製造法及びそれを含有する水性硬化性樹脂組成物

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JPH10176117A
JPH10176117A JP33961696A JP33961696A JPH10176117A JP H10176117 A JPH10176117 A JP H10176117A JP 33961696 A JP33961696 A JP 33961696A JP 33961696 A JP33961696 A JP 33961696A JP H10176117 A JPH10176117 A JP H10176117A
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伸一 工藤
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宏司 木下
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正隆 大岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならび
に耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性をはじめ、
耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性などの諸性能にも優
れる塗膜を形成することが出来て、しかも、優れた硬化
性と、優れた保存安定性とを兼備した水性樹脂を提供し
ようとすること、該水性樹脂の製造法をも提供しようと
すること、加えて、特に、被覆用組成物として、極めて
実用性の高い該水性樹脂を含有する水性硬化性樹脂組成
物をも提供することにある。 【解決手段】 酸性化合物で中和された塩基性基を有す
る重合体セグメントと、珪素原子に結合した水酸基を有
する、分岐したポリシロキサン・セグメントとで以て構
成され、しかも、これらの両セグメントが、−C−Si
−O−Si−なる結合を介して複合化しているという特
定の複合樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめることに
よってはじめて、上記した、水性樹脂の製造法を可能に
し、併せて、かくして得られる水性樹脂という特定の樹
脂を用いることによって、叙上のような効果が発現され
るということを見出すに及んで、見事に解決し得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性樹脂と、該水性樹脂の新規にして有用なる製造法
と、該水性樹脂を必須の成分として含有する、新規にし
て有用なる水性硬化性樹脂組成物との関する。さらに詳
細には、本発明は、酸性化合物で以て中和された塩基性
基を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合
した水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント
(B)とで構成され、しかも、これらの(A)成分と
(B)成分とが、下記の構造式(S−I)
【0002】
【化8】
【0003】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサ ンセグメント(B)の一部分を構成
するものとする。)
【0004】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る、それぞれ、水性樹脂、該水性樹脂の製造法ならびに
該水性樹脂を必須の成分として含有する、水性硬化性樹
脂組成物に関するし、
【0005】とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性なら
びに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性をはじめ
として、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性などの諸性
能にも優れる塗膜を形成することが出来て、しかも、優
れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備した水性樹脂
を提供するというものであるし、該水性樹脂の製造法を
も提供するというものであるし、加えて、該水性樹脂を
含有する、硬化性に優れ、しかも、前述したような耐久
性をはじめとする諸性能に優れる硬化塗膜を与える水性
硬化性樹脂組成物をも提供するものである。
【0006】
【従来の技術】これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂
組成物としては、塩基性基ないしは酸基と、水酸基のよ
うな、いわゆる官能基とを併有するビニル系重合体を、
酸性化合物あるいは塩基性化合物で以て中和せしめたの
ち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂
と、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂またはアミノ樹
脂のような、種々の硬化剤とから成る水性硬化性樹脂組
成物が、幅広く、使用されている。
【0007】しかしながら、こうした、これまでに使用
されて来たような水性樹脂をベースとする水性硬化性樹
脂組成物から得られる硬化塗膜は、とりわけ、曝露時の
光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性などの耐
久性が不十分であり、したがって、高度の耐久性などが
要求されるような用途には、全くと言ってよいほど、利
用することが出来ない、という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く解決するべく、鋭意、研究を開始した。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐
酸性雨性などの耐久性に優れた硬化物を与えることがで
き、しかも、硬化性や保存安定性などにも優れる、新規
にして有用なる水性樹脂と、そうした水性樹脂の製造方
法とを提供することにもあるし、併せて、かかる新規に
して有用なる水性樹脂を含有する、前述したような耐久
性に加えて、とりわけ、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐
水性などの諸性能にも優れるという、極めて実用性の高
い水性硬化性樹脂組成物をも提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
【0011】酸性化合物で以て中和された塩基性基を有
する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合した水
酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント(B)
で構成され、しかも、これらの(A)成分と(B)成分
とが、下記の構造式(S−I)
【0012】
【化9】
【0013】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサ ンセグメント(B)の一部分を構成
するものとする。)
【0014】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る水性樹脂が、とりわけ、硬化性ならびに保存安定性な
どに優れるということを見出し、該水性樹脂の製造法を
確立するとともに、
【0015】該水性樹脂を必須の成分として含有する水
性硬化性樹脂組成物が、とりわけ、光沢保持性、耐酸性
雨性ならびに耐曝露汚染性などの耐久性に優れるという
ことをも見出し、ひいては、上述したような発明が解決
しようとする課題を、見事に、解決することが出来ると
いうことを確信するに及んで、ここに、本発明を完成さ
せるに到った。
【0016】すなわち、本発明は、基本的には、酸性化
合物で以て中和された塩基性基を有する重合体セグメン
ト(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサンセグメント(B)で構成され、しか
も、これらの(A)成分と(B)成分とが、共に、次の
ような構造式(S−I)
【0017】
【化10】
【0018】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0019】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る水性樹脂(D)を提供し、該水性樹脂(D)の製造法
ならびに該水性樹脂(D)を必須の成分として含有する
ことから成る、水性硬化性樹脂組成物を提供しようとす
るものであるし、さらには、該水性樹脂(D)と、該水
性樹脂(D)中に含まれる官能基と反応する官能基を有
する化合物(E)とを含有することから成る、水性硬化
性樹脂組成物をも提供しようとするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本願は、一つには、酸性化合物で
以て中和された塩基性基を有する重合体セグメント
(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐した
ポリシロキサンセグメント(B)で構成され、しかも、
これらの(A)成分と(B)成分とが、次のような構造
式(S−I)
【0021】
【化11】
【0022】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0023】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る、極めて実用性の高い水性樹脂(D)それ自体を請求
しようとするものであるし、
【0024】二つには、酸性化合物で以て中和された塩
基性基を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に
結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメ
ント(B)で以て構成され、しかも、これらの(A)成
分と(B)成分とが、次のような構造式(S−I)
【0025】
【化12】
【0026】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0027】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめることか
ら成る水性樹脂(D)の、新規にして有用なる製造法を
も請求しようとするものであるし、
【0028】三つには、酸性化合物で以て中和された塩
基性基を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に
結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメ
ント(B)で構成され、しかも、これらの(A)成分と
(B)成分とが、次のような構造式(S−I)
【0029】
【化13】
【0030】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0031】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る水性樹脂(D)を必須の成分として含有する、水性硬
化性樹脂組成物を請求しようとするものであるし、
【0032】四つには、前記水性樹脂(D)と、水性樹
脂(D)に含まれる官能基と反応する官能基を有する化
合物(E)を含有することから成る、水性硬化性樹脂組
成物をも請求しようとするものである。
【0033】また、本願は、前記した複合樹脂(C)
が、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
ポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめたのち、
塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中
和せしめて得られるものであるという、特定の水性樹脂
をも請求しようとするものであるし、
【0034】さらに、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめた
のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
全に中和せしめて得られるものであるという、特定の水
性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0035】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基を併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応
せしめて得られるものであるという、特定の水性樹脂を
も請求しようとするものであるし、
【0036】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
サン(b−1)とを縮合反応せしめて得られるものであ
るという、特定の水性樹脂をも請求しようとするもので
あるし、
【0037】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基性基を
酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて
得られるものであるという、特定の水性樹脂をも請求し
ようとするものであるし、
【0038】そして、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)の存在下において、一分子
中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性
基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原
子に結合した水酸基有する分岐したポリシロキサン(b
−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記し
た(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基性基
を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
て得られるものであるという、特定の水性樹脂をも請求
しようとするものであるし、
【0039】そしてまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基を併有する重合体(a−1)の存在下において、一
分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪
素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサ
ン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−1)と
上記した(b−2)とを複合化せしめることにより得ら
れるものであるという、特定の水性樹脂をも請求しよう
とするものであるし、
【0040】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリル基な
る両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)の存在
下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記し
た(a−2)と上記した(b−2)とを複合化せしめる
ことにより得られるものであるという、特定の水性樹脂
をも請求しようとするものであるし、
【0041】そして更には、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基を併有する重合体(a−1)を調製する過
程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを複
合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中
和ないしは完全に中和せしめて得られるものであるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0042】そして更に亦、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
(b−1)とを複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化
合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られ
るものであるという、特定の水性樹脂をも請求しようと
するものであるし、
【0043】そして更には亦、前記した複合樹脂(C)
が、酸性化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシ
ロキサン(b−1)の存在下において、塩基性基と加水
分解性シリル基を併有する重合体(a−1)を調製する
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを
複合化せしめることにより得られるものであるという、
特定の水性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0044】あるいは前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上
記した(b−1)とを複合化せしめることにより得られ
るものであるという、特定の水性樹脂をも請求しようと
するものであるし、
【0045】あるいは亦、前記した複合樹脂(C)が、
塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有する
重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性
化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得ら
れるものであるという、特定の水性樹脂をも請求しよう
とするものであるし、
【0046】また、前記した複合樹脂(C)が、塩基性
基と加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基
および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有
する重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基
を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
て得られるものであるという、特定の水性樹脂をも請求
しようとするものであるし、
【0047】さらに、前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反
応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
シロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを
複合化せしめることにより得られるものであるという、
特定の水性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0048】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基と、これら塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、
珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応
を並行して行なう過程で、上記した(a−2)と上記し
た(b−2)と複合化せしめることにより得られるもの
であるという、特定の水性樹脂をも請求しようとするも
のであるし、
【0049】さらにまた、前記した重合体(a−2)
が、塩基性基および加水分解シリル基以外の官能基とし
て、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、
ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シ
クロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級
アミド、カーバメート基および次のような構造式(S−
II)
【0050】
【化14】
【0051】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものであるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0052】さらにはまた、前記した重合体セグメント
(A)が、ビニル系重合体セグメントである特定の水性
樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0053】そして、前記した重合体(a−1)が、加
水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性
シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基
を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも
1種の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単
量体を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調
製されるビニル系重合体であるという、特定の水性樹脂
をも請求しようとするものであるし、
【0054】そしてまた、前記した重合体(a−2)
が、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水
分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シ
リル基を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少な
くとも1種の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの
塩基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を
有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラジ
カル重合せしめて調製されるビニル系重合体であるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0055】そして更に、前記した、重合体(a−1)
中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル
基であるという、特定の水性樹脂をも請求しようとする
ものであるし、
【0056】そして更には、前記した、重合体(a−
2)中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシ
リル基であるという、特定の水性樹脂をも請求しようと
するものであるし、
【0057】そして更に亦、前記した、珪素原子に結合
した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解
性基を有するポリシロキサン(b−1)が、一分子に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を必須の成分として含有する珪素化合物
類の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物である
という、特定の水性樹脂をも請求しようとするものであ
るし、
【0058】そして更には亦、前記した、一分子に少な
くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
る珪素化合物が、テトラアルコキシシラン、オルガノト
リアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、
それらの加水分解縮合物およびその部分共加水分解縮合
よりなる群れから選ばれる、少なくとも1種のアルコキ
シシランであるという、特定の水性樹脂をも請求しよう
とするものである。
【0059】また、本願は、前記した複合樹脂(C)
が、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
ポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめたのち、
塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中
和せしめて得られるものであるという、本発明に係る水
性樹脂の、特定なる製造法をも請求しようとするもので
あるし、
【0060】さらに、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめた
のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
全に中和せしめて得られるものであるという、本発明に
係る水性樹脂の、特定の製造法をも請求しようとするも
のであるし、
【0061】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基を併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応
せしめて得られるものであるという、本発明に係る水性
樹脂の、特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0062】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
サン(b−1)とを縮合反応せしめて得られるものであ
るという、本発明に係る水性樹脂の、特定の製造法をも
請求しようとするものであるし、
【0063】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基性基を
酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて
得られるものであるという、本発明に係る水性樹脂の、
特定の製造法をも請求しようとするものであるし、
【0064】そして、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)の存在下において、一分子
中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性
基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原
子に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン
(b−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上
記した(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基
性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せ
しめて得られるものであるという、本発明に係る水性樹
脂の、特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0065】そしてまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基を併有する重合体(a−1)の存在下において、一
分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪
素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサ
ン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−1)と
上記した(b−2)とを複合化せしめることにより得ら
れるものであるという、本発明に係る水性樹脂の、特定
の製造法をも請求しようとするものであるし、
【0066】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリル基な
る両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)の存在
下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記し
た(a−2)と上記した(b−2)とを複合化せしめる
ことにより得られるものであるという、本発明に係る水
性樹脂の、特定の製造法をも請求しようとするものであ
るし、
【0067】そして更には、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基を併有する重合体(a−1)を調製する過
程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを複
合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中
和ないしは完全に中和せしめて得られるものであるとい
う、本発明に係る水性樹脂の、特定の製造法をも請求し
ようとするものであるし、
【0068】そして更に亦、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
(b−1)とを複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化
合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られ
るものであるという、本発明に係る水性樹脂の、特定の
製造法をも請求しようとするものであるし、
【0069】そして更には亦、前記した複合樹脂(C)
が、酸性化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシ
ロキサン(b−1)の存在下において、塩基性基と加水
分解性シリル基を併有する重合体(a−1)を調製する
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを
複合化せしめることにより得られるものであるという、
本発明に係る水性樹脂の、特定の製造法をも請求しよう
とするものであるし、
【0070】あるいは前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上
記した(b−1)とを複合化せしめることにより得られ
ることを特徴とする、水性樹脂の特定の製造法をも請求
しようとするものであるし、
【0071】あるいは亦、前記した複合樹脂(C)が、
塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有する
重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性
化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得ら
れることを特徴とする、水性樹脂の特定の製造法をも請
求しようとするものであるし、
【0072】また、前記した複合樹脂(C)が、塩基性
基と加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基
および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有
する重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基
を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
て得られることを特徴とする、水性樹脂の特定の製造法
をも請求しようとするものであるし、
【0073】さらに、前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反
応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
シロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを
複合化せしめることにより得られることを特徴とする、
水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとするものであ
るし、
【0074】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基と、これら塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、
珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応
を並行して行なう過程で、上記した(a−2)と上記し
た(b−2)と複合化せしめることにより得られること
を特徴とする、水性樹脂の特定の製造法をも請求しよう
とするものであるし、
【0075】さらにまた、前記した重合体(a−2)
が、塩基性基および加水分解シリル基以外の官能基とし
て、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、
ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シ
クロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級
アミド、カーバメート基および次のような構造式(S−
II)
【0076】
【化15】
【0077】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものである、水性
樹脂の特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0078】さらにはまた、前記した重合体セグメント
(A)が、ビニル系重合体セグメントである水性樹脂の
特定の製造法をも請求しようとするものであるし、
【0079】そして、前記した重合体(a−1)が、加
水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性
シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基
を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも
1種の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単
量体を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調
製されるビニル系重合体であること、水性樹脂の特定の
製造法をも請求しようとするものであるし、
【0080】そしてまた、前記した重合体(a−2)
が、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水
分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シ
リル基を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少な
くとも1種の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの
塩基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を
有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラジ
カル重合せしめて調製されるビニル系重合体である、水
性樹脂の特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0081】そして更に、前記した、重合体(a−1)
中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル
基である、水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとす
るものであるし、
【0082】そして更には、前記した、重合体(a−
2)中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシ
リル基である、水性樹脂の特定の製造法をも請求しよう
とするものであるし、
【0083】そして更に亦、前記した、珪素原子に結合
した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解
性基を有するポリシロキサン(b−1)が、一分子に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を必須の成分として含有する珪素化合物
類の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物であ
る、水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとするもの
であるし、
【0084】そして更には亦、前記した、一分子に少な
くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
る珪素化合物が、テトラアルコキシシシラン、オルガノ
トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラ
ン、それらの部分加水分解縮合物および其の部分共加水
分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の
アルコキシシランである、水性樹脂の特定の製造法をも
請求しようとするものである。
【0085】また、前記した複合樹脂(C)が、塩基性
基および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
サン(b−1)とを縮合反応せしめたのち、塩基性基を
酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて
得られるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成
物をも請求しようとするものであるし、
【0086】さらに、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめた
のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
全に中和せしめて得られるものであるという、特定の水
性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするものである
し、
【0087】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基を併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応
せしめて得られるものであるという、特定の水性硬化性
樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0088】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
サン(b−1)とを縮合反応せしめて得られるものであ
るという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しよう
とするものであるし、
【0089】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基性基を
酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて
得られるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成
物をも請求しようとするものであるし、
【0090】そして、前記した複合樹脂(C)が、塩基
性基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩
基性基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
を併有する重合体(a−2)の存在下において、一分子
中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性
基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原
子に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン
(b−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上
記した(b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基
性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せ
しめて得られるものであるという、特定の水性硬化性樹
脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0091】そしてまた、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基を併有する重合体(a−1)の存在下において、一
分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪
素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサ
ン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−1)と
上記した(b−2)とを複合化せしめることにより得ら
れるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物を
も請求しようとするものであるし、
【0092】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
酸性化合物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる
両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリル基な
る両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)の存在
下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記し
た(a−2)と上記した(b−2)とを複合化せしめる
ことにより得られるものであるという、特定の水性硬化
性樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0093】そして更には、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基を併有する重合体(a−1)を調製する過
程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを複
合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中
和ないしは完全に中和せしめて得られるものであるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0094】そして更に亦、前記した複合樹脂(C)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シリ
ル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
(b−1)とを複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化
合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られ
るものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも
請求しようとするものであるし、
【0095】そして更には亦、前記した複合樹脂(C)
が、酸性化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシ
ロキサン(b−1)の存在下において、塩基性基と加水
分解性シリル基を併有する重合体(a−1)を調製する
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを
複合化せしめることにより得られるものであるという、
特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするもの
であるし、
【0096】あるいは前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、塩基性基および加水分解
性シリル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分
解性シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体
(a−2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上
記した(b−1)とを複合化せしめることにより得られ
るものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも
請求しようとするものであるし、
【0097】あるいは亦、前記した複合樹脂(C)が、
塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有する
重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性
化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得ら
れるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物を
も請求しようとするものであるし、
【0098】また、前記した複合樹脂(C)が、塩基性
基と加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基
および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有
する重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基
を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
て得られるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組
成物をも請求しようとするものであるし、
【0099】さらに、前記した複合樹脂(C)が、酸性
化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
リル基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反
応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
シロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう
過程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを
複合化せしめることにより得られるものであるという、
特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするもの
であるし、
【0100】さらには、前記した複合樹脂(C)が、酸
性化合物の存在下において、塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基と、これら塩基性基および加水分解性
シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
2)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、
珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応
を並行して行なう過程で、上記した(a−2)と上記し
た(b−2)と複合化せしめることにより得られるもの
であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求し
ようとするものであるし、
【0101】さらにまた、前記した重合体(a−2)
が、塩基性基および加水分解シリル基以外の官能基とし
て、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、
ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シ
クロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級
アミド、カーバメート基および次のような構造式(S−
II)
【0102】
【化16】
【0103】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものであるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0104】さらには亦、前記した重合体セグメント
(A)が、ビニル系重合体セグメントであるという、特
定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするもので
あるし、
【0105】そして、前記した重合体(a−1)が、加
水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性
シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基
を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも
1種の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単
量体を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調
製されるビニル系重合体であるという、特定の水性硬化
性樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0106】そしてまた、前記した重合体(a−2)
が、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水
分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シ
リル基を有するラジカル重合開始剤より選ばれる、少な
くとも1種の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの
塩基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を
有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラジ
カル重合せしめて調製されるビニル系重合体であるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0107】そして更に、前記した、重合体(a−1)
中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル
基であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求
しようとするものであるし、
【0108】そして更には、前記した、重合体(a−
2)中に含まれる加水分解性シリル基が、アルコキシシ
リル基であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも
請求しようとするものであるし、
【0109】そして更に亦、前記した、珪素原子に結合
した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解
性基を有するポリシロキサン(b−1)が、一分子に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を必須の成分として含有する珪素化合物
類の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物である
という、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようと
するものであるし、
【0110】そして更には亦、前記した、一分子に少な
くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
る珪素化合物が、テトラアルコキシシシラン、オルガノ
トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラ
ン、それらの部分加水分解縮合物および其の部分共加水
分解縮合物であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物
をも請求しようとするものであるし、
【0111】あるいは前記した化合物(E)が、珪素原
子の結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネー
ト基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化
合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水
分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合
物、ブロックイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合
物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級
ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合
物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の化合物であるという、特定の水性
硬化性樹脂組成物をも請求しようとするものである。
【0112】以下に、本発明を、さらに一層、詳細に、
説明することにする。
【0113】本発明に係る水性樹脂(D)とは、親水性
を付与するための酸性化合物で以て中和された塩基性基
を有する重合体セグメント(A)と、耐久性等を付与す
るための珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポ
リシロキサンセグメント(B)とで構成されるような樹
脂を指称するものであり、しかも、これらの(A)成分
と(B)成分とが、次のような構造式(S−I)
【0114】
【化17】
【0115】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0116】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
るような樹脂を指称するものである。
【0117】水性樹脂(D)を構成する、酸性化合物で
以て中和された塩基性基を有する重合体セグメント
(A)としては、たとえば、アクリル系重合体、フルオ
ロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香
族ビニル系重合体またはポリオレフィン系重合体の如
き、各種のビニル系重合体に基づくセグメントがある
し、さらには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂または
ポリウレタン系重合体などのビニル系重合体以外の重合
体に基づくセグメントがある。
【0118】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体セグメントまたはポリウレタン系重
合体セグメントが挙げられ、さらに、ビニル重合体セグ
メントのうちで特に望ましいものとしては、アクリル系
重合体セグメントが挙げられる。
【0119】また、重合体セグメント(A)中に含まれ
る、酸性化合物で以て中和された塩基性基の代表的なも
のとしては、たとえば、それぞれが中和された、1級ア
ミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基およびアンモニウ
ムヒドロオキシド基などが挙げられる。
【0120】そして、塩基性基を中和する際に使用され
る酸性化合物の代表的なものとしては、蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸または乳酸などの各種のカルボン酸類;燐酸
モノメチルエステルまたは燐酸ジメチルエステルなどの
燐酸の各種のモノ−ないしはジエステル類;
【0121】メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸も
しくはドデシルベンゼンスルホン酸の如き、各種の有機
スルホン酸類;さらには、塩酸、硫酸、硝酸もしくは燐
酸の如き種々の無機酸などが挙げられる。
【0122】重合体セグメント(A)において、かかる
酸性化合物で以て中和された塩基性基の量としては、重
合体セグメント(A)の1,000グラム当たりの中和
された塩基性基のモル数として、約0.005モル〜約
10モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.
01〜5モルなる範囲内が適切であるし、最も好ましく
は、0.05〜3モルなる範囲内が適切である。
【0123】水性樹脂(D)を構成するポリシロキサン
セグメント(B)は、反応性の官能基として、珪素原子
に結合した水酸基を有し、しかも、その原料成分の少な
くとも一部分として後掲するようなオルガノトリアルコ
キシシランやテトラアルコキシシランの如き3官能また
は4官能シラン化合物を使用することにより分岐構造を
導入したものである。
【0124】また、複合樹脂(C)における重合体セグ
メント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)との
比率は、(A):(B)なる重量割合として、5:95
〜99:1程度になるように、好ましくは、15:85
〜95:5になるように、さらに好ましくは、20:8
0〜85:15になるように設定するのがよい。
【0125】重合体セグメント(A)の重量割合が約5
%未満になるように設定すると、どうしても、ポリシロ
キサンセグメント(B)が多すぎるために、とりわけ、
耐アルカリ性などに乏しい硬化塗膜が得られるようにな
ったり、水性樹脂(D)の安定性が劣るようになってし
まったりするし、一方、重合体セグメント(A)の重量
割合が約99%を超えて余りにも多くなるような場合に
は、どうしても、ポリシロキサンセグメント(B)が少
なすぎるために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が
得られ難くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0126】かかる水性樹脂(D)の前駆体である複合
樹脂(C)を調製するには、(1)予め調製した、セグ
メント(A)を形成するための前駆体である重合体(a
−1)あるいは(a−2)と、セグメント(B)を形成
するための前駆体であるポリシロキサン(b−1)と
を、前記した構造式(S−I)で示される結合を介して
複合化するように縮合反応せしたのち、縮合反応生成物
中に含まれる塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ない
しは完全に中和せしめる方法、(2)酸性化合物の存在
下において、予め調製した、セグメント(A)を形成す
るための前駆体である重合体(a−1)あるいは(a−
2)と、セグメント(B)を形成するための前駆体であ
るポリシロキサン(b−1)とを、前記した構造式(S
−I)で示される結合を介して複合化するように縮合反
応せしめる方法、
【0127】(3)(b−1)の存在下に(a−1)あ
るいは(a−2)を調製する反応を行なう過程で、前記
した構造式(S−I)で示される結合を介して複合化す
るように、(a−1)あるいは(a−2)と(b−1)
を縮合反応せしめたのち、縮合反応生成物中に含まれる
塩基性基を酸性化合物で部分中和ないしは完全に中和せ
しめる方法、(4)酸性化合物と(b−1)の存在下に
(a−1)あるいは(a−2)を調製する反応を行なう
過程で、前記した構造式(S−I)で示される結合を介
して複合化するように、(a−1)あるいは(a−2)
と(b−1)を縮合反応せしめる方法、
【0128】(5)(a−1)あるいは(a−2)の存
在下に、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポ
リシロキサン(b−2)を調製する反応を行なう過程
で、前記した構造式(S−I)で示される結合を介して
複合化するように、(a−1)あるいは(a−2)と
(b−2)を縮合反応せしめたのち、縮合反応生成物に
含まれる塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは
完全に中和せしめる方法、(6)酸性化合物と(a−
1)あるいは(a−2)の存在下に、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応を行なう過程で、前記した構造式(S−
I)で示される結合を介して複合化するように、(a−
1)あるいは(a−2)と(b−2)を縮合反応せしめ
る方法、
【0129】(7)(a−1)あるいは(a−2)を調
製する反応と、前記したポリシロキサン(b−2)を調
製する反応とを、並行して行なう過程で、前記した構造
式(S−I)で示される結合を介して複合化するよう
に、(a−1)あるいは(a−2)と(b−2)を縮合
反応せしめたのち、縮合反応生成物中に含まれる塩基性
基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せし
める方法、さらには、(8)酸性化合物の存在下におい
て、(a−1)あるいは(a−2)を調製する反応と、
前記したポリシロキサン(b−2)を調製する反応と
を、並行して行なう過程で、前記した構造式(S−I)
で示される結合を介して複合化するように、(a−1)
あるいは(a−2)と(b−2)を縮合反応せしめる方
法、等の各種の方法を適用できる。
【0130】そして、セグメント(A)とセグメント
(B)とを、前記した構造式(S−I)で示される結合
を介して複合化せしめるには、前記した重合体(a−
1)あるいは(a−2)として加水分解性シリル基を有
するものを使用すればよい。
【0131】次いで、複合樹脂(C)の調製方法につい
て、詳しく述べることにする。
【0132】まず、複合樹脂(C)を調製する際に使用
される重合体の一つである、塩基性基と加水分解性シリ
ル基とを有する重合体(a−1)とは、塩基性基と加水
分解性シリル基とを併有する重合体を指称するものであ
り、かかる加水分解性シリル基とは、次のような一般式
(S−III)
【0133】
【化18】
【0134】(ただし、式中のR1 はアルキル基、アリ
ール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R2
水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ
基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、
アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基
またはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、a
は0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0135】で示されるような、加水分解されて珪素原
子に結合した水酸基、つまりシラノール基、を生成する
基を指称するものであって、しかも、該加水分解性シリ
ル基それ自体が、直接に、炭素原子と共有結合すること
により、あるいはシロキサン結合を介して、炭素原子と
共有結合することにより、此の重合体(a−1)に結合
しているものであるとする。
【0136】また、ここでいう塩基性基としては、たと
えば、1級アミノ基、2級アミノ基または3級アミノ基
の如き、各種のアミノ基などに加えて、アンモニウムヒ
ドロオキシド基などが挙げられる。
【0137】前記した各種の塩基性基の中でも、特に好
ましいものとしては、3級アミノ基が挙げられる。
【0138】斯かる重合体(a−1)として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合
体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重
合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル
系重合体;あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹脂ま
たはポリウレタン系重合体などである。
【0139】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体が挙げ
られ、さらに、ビニル重合体のうちで特に望ましいもの
としては、アクリル系重合体が挙げられる。
【0140】斯かる重合体(a−1)のうちの、此のビ
ニル系重合体を調製するには、たとえば、(i) 加水
分解性シリル基を有するビニル系単量体と、塩基性基を
有するビニル系単量体を共重せしめたり、前記した両タ
イプ(二タイプ)の単量体と、これらの単量体と共重合
可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめる方法であ
るとか、
【0141】(ii) 加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤の存在下に、塩基性基を有するビニル
系単量体を重合せしめたり、または、該単量体と共重合
可能なる其の他の単量体とを共重合せしめる方法である
とか、
【0142】(iii) 加水分解性シリル基を有する
連鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有する
ラジカル重合開始剤の存在下に、加水分解性シリル基を
有するビニル系単量体と塩基性基を有するビニル系単量
体を共重合せしめたり、加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤の存在下に、前記した両タイプ(二タ
イプ)の単量体と、これらの単量体と共重合可能なる其
の他の単量体とを共重合せしめる方法であるとか、
【0143】(iv) 予め調製しておいた、水酸基と
塩基性基とを併有するビニル系重合体に、3−イソシア
ナートプロピルトリエトキシシランのような、各種のイ
ソシアナート基含有シラン化合物を反応せしめる方法、
【0144】などの、公知慣用の種々の方法を適用する
ことが出来るが、これらのうちでも、上記(i)〜(i
ii)なる方法によるのが、特に簡便であるので推奨さ
れ得よう。
【0145】当該重合体(a−1)を調製する際に使用
される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とは、
前掲したような構造式(S−III)で示される加水分
解性シリル基を有する単量体を指称するものであって、
斯かる単量体として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキ
シエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−
トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエ
トキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメ
トキシシリル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキ
シシリルプロピルビニルエーテルもしくは3−トリエト
キシシリルプロピルビニルエーテル、
【0146】または3−(メチルジメトキシシリル)プ
ロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)
アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
もしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチ
ルジクロロシランなどである。
【0147】また、当該重合体(a−1)を調製する反
応において使用される、加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤とは、上述したような加水分解性シリル基と、
メルカプト基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子の
ような、いわゆる遊離ラジカルにより活性化される基な
いしは原子とを併有する化合物を指称するものである。
【0148】かかる連鎖移動剤として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−メルカプトプロピルジメチルクロロシラン、3
−ブロモプロピルトリメトキシシランまたは3−ブロモ
プロピルトリエトキシシランなどである。
【0149】さらにまた、前記(a−1)を調製する際
に使用される、前記したような加水分解性シリル基を有
するラジカル重合開始剤とは、分子中に、上述したよう
な加水分解性シリル基を有する化合物を指称するもので
あり、これらのうちでも特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、
【0150】2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−
トリメトキシシリルブチロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス−(2−メチル−4−トリエトキシシリルブチロニ
トリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−ジ
メトキシメチルシリルブチロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス−(2−メチル−4−ジエトキシメチルシリルブ
チロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキ
シメチル)プロピオニトリル]または4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリックアシッド)の如き、活性水素
含有基を有する各種のアゾ系開始剤と、たとえば、3−
イソシアナートプロピルトリエトキシシランまたは3−
イソシアナートプロピルメチルジメトキシシシランの如
き、イソシアナートシランとを反応せしめて得られるよ
うな形の、アミド結合あるいはウレタン結合を介して、
加水分解性シリル基が結合した形のアゾ系化合物などの
ような、各種のアゾ系化合物;
【0151】あるいはtert−ブチルパーオキシ−
2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプロパノエ
ート、tert−ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル
−3−トリエトキシシリルプロパノエート、tert−
ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル−3−ジメトキシ
メチルシリルプロパノエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2,2−ジメチル−3−ジエトキシメチルシリル
プロパノエート、tert−ブチルパーオキシ−3−メ
チル−5−トリメトキシシリルヘキサノエートまたはt
ert−ブチルパーオキシ−4−エチル−5−トリメト
キシシリルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物など
である。
【0152】続いて、当該重合体(a−1)を調製する
際に使用される、塩基性基を有するビニル系単量体のう
ち、3級アミノ基を有するビニル系単量体として代表的
なものを例示するにとどめれば、
【0153】2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ートもしくは4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリ
レートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]
エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類;
【0154】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール
もしくはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ
基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0155】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピ
ルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−
ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミ
ドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモ
ルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アク
リルアミド類;
【0156】N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチ
ルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロ
ピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミ
ノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ
基含有クロトン酸アミド類;
【0157】2−ジメチルアミノエチルビニルエーテ
ル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジ
メチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−ジメチ
ルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3級アミ
ノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0158】そしてまた、前述した(i)〜(iii)
なる方法に従って、斯かるビニル系重合体(a−1)を
調製するに当たって重合せしめるべきビニル系単量体と
しては、(i)と(iii)においては、塩基性基含有
ビニル系単量体と加水分解性シリル基含有ビニル系単量
体との併用系のみであってもよし、(ii)において
は、塩基性基を有するビニル系単量体のみであってもよ
いが、これらに加えて、これらの各ビニル系単量体と共
重合可能なる其の他のビニル系単量体をも併用すること
が出来る。
【0159】このような共重合可能なる其の他のビニル
系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n
−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)ア
クリレート〔イソブチル(メタ)アクリレート〕、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル
(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる炭素数を
有する1級ないしは2級アルキルアルコールと(メタ)
アクリル酸とのエステル類;
【0160】ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2
−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の
アラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル
(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)ア
クリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アク
リレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート
もしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
ト類;
【0161】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如
き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸
ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン
酸ビニルエステル類;
【0162】クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチ
ルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジ
メチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフ
マレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコ
ネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各
種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0163】(メタ)アクリロニトリルもしくはクロト
ノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ
化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフル
オロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;
塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロ
ル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα
−オレフィン類;
【0164】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキ
シルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエー
テル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテルもしくは4−メチルシクロヘキシルビ
ニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエー
テル類;
【0165】またはN,N−ジメチル(メタ)アクリル
アミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−
(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリド
ンの如き、各種の3級アミド基含有単量体類などであ
る。
【0166】以上に掲げられたような種々の単量体を用
いて、当該ビニル系重合体(a−1)を調製するには、
溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのよ
うな、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来る
が、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジ
カル重合法によるのが、最も簡便である。
【0167】此の溶液ラジカル重合法を適用する際に
は、前記したような、加水分解性シリル基を有するラジ
カル重合開始剤を必須成分として共存させ、ビニル系単
量体のラジカル重合を行なうケースがある。かかる加水
分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤を使用しな
い場合には、加水分解性シリル基を含まないラジカル重
合開始剤を使用しても、あるいは使用しなくてもよい
が、ラジカル重合反応を円滑に進行せしめる上からは、
ラジカル重合開始剤を使用するのが望ましい。
【0168】そして、加水分解性シリル基を有するラジ
カル重合開始剤を必須の成分に使用して、ラジカル重合
を行なうに当たっては、加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤を単独で使用することもできるし、加
水分解性シリル基を含まないラジカル重合開始剤を併用
することもできる。
【0169】こうした、加水分解性シリル基を含まない
ラジカル重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の
種々の化合物が使用できるけれども、それらのうちでも
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0170】2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0171】またはtert−ブチルパーオキシピバレ
ート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、te
rt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、アセチルパーオキサイドや、
【0172】ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパー
オキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエ
チルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパー
オキシカーボネートなどのような、各種の過酸化物類な
どである。
【0173】また、溶液ラジカル重合法を適用する際に
使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のい
ずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、
単独使用でもよいし、2種類以上の併用でもよいこと
は、勿論である。
【0174】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしく
はシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環
式系の炭化水素類;
【0175】トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼ
ンの如き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸メチル、ギ酸
エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸n−
アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテル
アセテートの如き、各種のエステル類;
【0176】メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−
アミルアルコール、i−アミルアルコールもしくはte
rt−アミルアルコール
【0177】またはエチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテルもしくは
エチレングリコールモノn−ブチルエーテルの如き、各
種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトンまたは
シクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0178】あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ
−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロ
ロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロ
ロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素
化炭化水素類などであるし、さらには、N−メチルピロ
リドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミ
ドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0179】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジ
カル重合法を適用することによって、目的とする塩基性
基と加水分解性シリル基とを有するビニル系重合体(a
−1)を調製することが出来る。
【0180】本発明に係る水性樹脂(D)の前駆体であ
る、前記した複合樹脂(C)を調製する際に使用され
る、もう一方の重合体である、塩基性基と加水分解性シ
リル基と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
以外の官能基とを有する重合体(a−2)とは、前記し
たような塩基性基と加水分解性シリル基に加えて、これ
ら両官能基以外の、公知慣用の種々の官能基をも含有す
る重合体を指称するものである。
【0181】そして、当該重合体(a−2)中に導入さ
れるべき、塩基性基と加水分解性シリル基なる両官能基
以外の官能基として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無
水基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド
基、2級アミド、カーバメート基および次のような構造
式(S−II)
【0182】
【化19】
【0183】で示される官能基などである。
【0184】そしてまた、上記した2級アミド基は、N
−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルア
ミド基または次のような構造式(S−IV)
【0185】
【化20】 −C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−IV)
【0186】(ただし、式中のR3 は水素原子、炭素数
が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わし、ま
た、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリー
ル基を表わすものとする。)
【0187】で示される官能基をも包含するものであ
る。
【0188】また、これらの官能基は、当該重合体(a
−2)中に、1種のみを導入せしめるようにしてもよい
し、2種以上を導入せしめるようにすることも出来る。
【0189】塩基性基と加水分解性シリル基なる両官能
基以外の、前掲したような各種の官能基のうちでも特に
望ましいもののみを例示するにとどめれば、水酸基、ブ
ロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされた
カルボキシル基、カルボン酸無水基、シクロカーボネー
ト基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カー
バメート基または前掲した構造式(S−II)で示され
るような官能基などである。
【0190】こうした各種の官能基を有する重合体(a
−2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合
体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合
体のような、各種のビニル系重合体;あるいはポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体な
どである。
【0191】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体などが
挙げられるし、さらに、此のビニル重合体のうちでも特
に望ましいものとしては、アクリル系重合体が挙げられ
る。
【0192】また、当該重合体(a−2)のうちの、此
のビニル系重合体を調製するには、公知慣用の種々の方
法を利用し適用することができるが、それらのうちで
も、(v) 水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無
水基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド
基、2級アミド基、カーバメート基または前掲した構造
式(S−II)で示される官能基のような、塩基性基と
加水分解性シリル基なる両官能基以外の各種官能基より
なる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する
単量体と、
【0193】加水分解性シリル基を有するビニル系単量
体と、塩基性基を有するビニル系量体とを共重合せしめ
たり、前記した三タイプの単量体と、これらと共重合可
能なる其の他のビニル系単量体とを共重合せしめる方法
であるとか、
【0194】(vi) 加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤の存在下に、水酸基、ブロックされた
水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル
基、カルボン酸無水基、シクロカーボネート基、エポキ
シ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基ま
たは前掲した構造式(S−II)で示されるような官能
基のような、塩基性基と加水分解性シリル基なる両官能
基以外の各種官能基よりなる群から選ばれる、少なくと
も1種の官能基を有する単量体と、塩基性基を有するビ
ニル系単量体を共重合せしめたり、前記した二タイプの
単量体類と、これらと共重合可能なる其の他の単量体と
を共重合せしめる方法であるとか、
【0195】(vii) 加水分解性シリル基を有する
連鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有する
ラジカル重合開始剤の存在下に、水酸基、ブロックされ
た水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
ル基、カルボン酸無水基、シクロカーボネート基、エポ
キシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基
または前掲した構造式(S−II)で示されるような官
能基のような、塩基性基と加水分解性シリル基なる両官
能基以外の各種官能基よりなる群から選ばれる、少なく
とも1種の官能基を有する単量体と、加水分解性シリル
基を有するビニル系単量体と、塩基性基を有するビニル
系単量体を共重合せしめたり、前記した三タイプの単量
体類と、これらと共重合可能なる其の他の単量体とを共
重合せしめる方法などが、特に簡便である。
【0196】こうした諸々の方法によって、特に、当該
重合体(a−2)のうちの、此のビニル系重合体(a−
2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基を
有するビニル系単量体、加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤、加水分解性シリル基を有するラジカル重合開
始剤、塩基性基を有するビニル系単量体および此等と共
重合可能なる其の他のビニル系単量体として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、前記したビニル系
重合体(a−1)を調製する際に使用されるものとし
て、それぞれにつき、既に例示したような、各種の単量
体などである。
【0197】また、此のビニル系重合体(a−2)を調
製する際に使用される、水酸基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0198】2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもし
くは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−
ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニ
ルエーテル類;
【0199】2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如
き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;前掲したよう
な各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンな
どで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加
物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て
代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体
と、酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との
付加物などであるし、
【0200】さらには、(メタ)アクリル酸などで以て
代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カ
ーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)など
で以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイ
ド系化合物以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加
物などのような種々の水酸基含有単量体類などである。
【0201】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル
系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アク
リレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アク
リレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテ
ルもしくは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテ
ルの如き、特開昭62−283163号公報に開示され
ているような、各種のシリルエーテル基含有ビニル系単
量体類;
【0202】2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アク
リロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランもしくは
2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメ
チルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報
に開示されているような、各種のアセタール基ないしは
ケタール基含有含有ビニル系単量体類;
【0203】または3−〔2−(メタ)アクリロイルオ
キシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3−
〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリ
ジンもしくは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−
(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの
如き、各種のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類な
どである。
【0204】さらに、此のビニル系重合体(a−2)を
調製する際に使用される、酸基含有ビニル系単量体のう
ち、遊離のカルボキシル基を有するビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メ
タ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリ
レート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフ
マル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0205】イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−
n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−
n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−
ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アル
コール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル
類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニル
の如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル
類;
【0206】無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリ
カルボン酸の無水物類と、前掲したような各種の水酸基
含有ビニル系単量体類との付加反応生成物などである
し、さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含
有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られ
るような各種の単量体類などである。
【0207】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、ブロックされたカルボキシル基を有す
る単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメ
チル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレートも
しくはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭6
2−254876号公報に開示されているような、各種
のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0208】1−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン
もしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロ
フランの如き、特開平5−222134号公報に開示さ
れているような、各種の、ヘミアセタールエステル基な
いしはヘミケタールエステル基含有単量体類;またはt
ert−ブチル(メタ)アクリレートもしくはtert
−ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチル
エステル基含有単量体類などである。
【0209】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、カルボン酸無水基含有単量体として特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸もしくは無水イタコン酸の如
き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アク
リル酸もしくは無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和
モノカルボン酸の無水物類;またはアクリル酸もしくは
メタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢
酸、プロピオン酸もしくは安息香酸などのような、種々
の飽和カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0210】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、シクロカーボネート基含有ビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、
【0211】2,3−カーボネートプロピル(メタ)ア
クリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピ
ル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル
(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネ
ートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4
−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−
カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−
カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチ
ル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレー
トもしくは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アク
リレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテ
ル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートまた
はジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの
如き、5員環のシクロカーボネート基含有ビニル系単量
体類などをはじめ、
【0212】さらには、〔5−N−(メタ)アクリロイ
ルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−
ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アク
リロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−
5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチ
ル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−
ジオキサン−2−オンまたは4−(5−エチル−2−オ
キソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチル
スチレンの如き、6員環のシクロカーボネート基含有ビ
ニル系単量体類である。
【0213】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、エポキシ基含有ビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)
アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシ
ド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニ
ルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、種
々の化合物などである。
【0214】当該ビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、1級アミド基ないしは2級アミド基含
有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプ
ロピル(メタ)アクリルアミド 、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−ビニルフォルムアミド、メチル
(メタ)アクリルアミドグリコレート、メチル(メタ)
アクリルアミドグリコレートメチルエーテル、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド、2−イソシアナートエチル
(メタ)アクリレートとアセチルアセトンまたはアセト
酢酸エステル類との付加反応物のような、種々の化合物
などである。
【0215】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、カーバメート基含有ビニル系単量体と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0216】N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メ
チル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、
N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカルバ
ミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)
アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)
エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルカルバ
モイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートもしくは3
−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシア
ネートと、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付
加反応物;
【0217】2−イソシアナートエチル(メタ)アクリ
レートと、フェノールとの付加反応物;2−イソシアナ
ートエチル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付
加反応物;または2−イソシアナートエチル(メタ)ア
クリレートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反応
物のような種々の化合物などである。
【0218】当該ビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、前掲した構造式(S−II)で示され
るような官能基を有するビニル系単量体として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナ
ートエチル(メタ)アクリレートもしくは3−イソプロ
ペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如
き、各種のイソシアナート基含有ビニル系単量体と、ε
−カプロラクタムもしくはγ−ブチロラクタムの如き、
各種のアミド化合物との付加反応物のような種々の化合
物などである。
【0219】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、前記したような種々の官能基のうちの
2種以上の官能基を併有するビニル系単量体として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノ−(2
−ヒドロキシエチル)イタコネートまたはモノ−(2,
3−カーボネートプロピル)イタコネートなどのような
種々の化合物などである。
【0220】また、前述した(v)〜(vii)なる方
法に従って、斯かるビニル系重合体(a−2)を調製す
るに当たって重合せしめるべきビニル系単量体として
は、(v)と(vii)においては、塩基性基含有ビニ
ル系単量体と、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体
と、前記した塩基性基と加水分解性シリル基なる両官能
基以外の官能基を有するビニル系単量体の3成分系であ
ってもよし、(vi)においては、塩基性基を有するビ
ニル系単量体と、前記した塩基性基と加水分解性なる両
官能基以外の官能基を有するビニル系単量体の2成分系
であってもよいが、これらに加えて、これらの各ビニル
系単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体をも
併用することが出来る。
【0221】かかる共重合可能なビニル系単量体として
は、ビニル系重合体(a−1)を調製するに当たり、塩
基性基を有するビニル系単量体あるいは加水分解性シリ
ル基を有する単量体と共重合可能なものとして例示した
如きビニル系単量体類が挙げられる。
【0222】さらに、此のビニル系重合体(a−2)を
調製するには、前述したビニル系重合体(a−1)を調
製する際に使用されるものとして既に例示したような、
溶剤類および重合開始剤類を使用して、公知慣用の種々
の方法に従って、溶液ラジカル重合せしめればよい。
【0223】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジ
カル重合法を適用することによって、目的とする塩基性
基と加水分解性シリル基とこれら両官能基以外の官能基
とを有するビニル系重合体(a−2)を調製することが
出来る。
【0224】以上に述べて来たような、ビニル系重合体
(a−1)または(a−2)中に導入されるべき加水分
解性シリル基量としては、それぞれの重合体の固形分の
1,000グラム当たりの加水分解性シリル基のモル数
として、大約0.005〜大約3モルなる範囲内が適切
であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適
切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モル
なる範囲内が適切である。
【0225】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、本発明に係る水性硬化性組成物からの硬化物の、
とりわけ、耐久性などを低下せしめるようになるし、一
方、約3モルを超えて余りにも多くなる場合には、複合
樹脂(C)の調製の際に、反応溶液の粘度が上昇するよ
うになり、ひいては、ゲル化が起きてしまうなどの不都
合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0226】したがって、上述したような好ましい量の
加水分解性シリル基が導入されるように、それぞれ、加
水分解性シリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有
連鎖移動剤あるいは加水分解性シリル基含有重合開始剤
の使用量を、適切に設定する必要がある。
【0227】また、ビニル系重合体(a−1)または
(a−2)中に導入されるべき塩基性基の量としては、
それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たりの
塩基性基のモル数として、約0.005〜約10モルな
る範囲内が適切であるし、好ましくは、0.01〜5モ
ルなる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.0
5〜3モルなる範囲内が適切である。
【0228】したがって、上述したような好ましい量の
塩基性基が導入されるように、塩基性基を有するビニル
系単量体の使用量を、適切に設定する必要がある。
【0229】さらに、ビニル系重合体(a−2)中に導
入されるべき、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸
基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、
カルボン酸無水基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は前掲した構造式(S−II)で示される官能基などに
よって代表される、塩基性基と加水分解性シリル基なる
両基以外の官能基を有するビニル系単量体のうちの少な
くとも1種のビニル系単量体の共重合量としては、ビニ
ル系重合体(a−2)の固形分の1,000グラム当た
りの官能基のモル数として、約0.1〜約5モルなる範
囲内が適切であり、好ましくは、0.2〜3モルなる範
囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜
2モルなる範囲内が適切である。
【0230】約5モルを超えて余りにも多くなる場合に
は、どうしても、硬化物の耐水性ならびに耐薬品性など
が低下するようになるので、好ましくない。
【0231】また、これらのビニル系重合体(a−1)
または(a−2)の数平均分子量としては、大約500
〜大約200,000なる範囲内が、好ましくは、1,
000〜10,000なる範囲内が適切であるし、一層
好ましくは、1,500〜50,000なる範囲内が適
切である。
【0232】これらのビニル系重合体(a−1)または
(a−2)の数平均分子量が、約500未満の場合に
は、どうしても、硬化性や、硬化物の機械的強度などが
劣るようになるし、一方、約200,000を超えて余
りにも高くなる場合には、どうしても、本発明に係る水
性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、
塗装作業性などにも劣るようになったり、また、硬化塗
膜の外観が低下したりするので、いずれの場合も好まし
くない。
【0233】ビニル系重合体(a−1)として、それぞ
れ、重合性不飽和二重結合を有する、ポリエステル樹脂
またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外
の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有ビニル系
単量体と、塩基性基を有するビニル系単量体とを必須成
分とする単量体類を、ラジカル重合せしめることによっ
て得られる、加水分解性シリル基と塩基性基を併有する
ビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、
ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用するこ
とも出来る。
【0234】また、ビニル系重合体(a−2)として、
それぞれ、重合性不飽和二重結合を有する、ポリエステ
ル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合
体以外の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有ビ
ニル系単量体と、塩基性基を有するビニル系単量体と、
これら塩基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官
能基を有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体
類を、ラジカル重合せしめることによって得られる、塩
基性基と加水分解性シリル基と、これら塩基性基と加水
分解性シリル基なる両基以外の官能基とを有するビニル
系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、ポリエ
ステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用することも出
来る。
【0235】重合体(a−1)のうちのポリウレタン系
重合体を調製するには、各種のジヒドロキシ化合物およ
び各種のジイソシアネート化合物に加えて、加水分解性
シリル基を導入するための原料成分として、加水分解性
シリル基を有するジアミン化合物または加水分解性シリ
ル基を有するモノアミン化合物を使用し、さらに、塩基
性基を導入するための原料成分として、N−メチルジエ
タノールアミンもしくはN,N−ジメチルエタノールア
ミン如き塩基性基と水酸基とを併有する化合物を含有す
る化合物等の公知慣用の種々の原料成分を使用して、特
開昭51−90391号公報、特開昭55−73729
号公報または特開昭60−255817号公報に記述さ
れているような方法を適用すればよい。
【0236】重合体(a−2)のうちのポリウレタン系
重合体を調製するには、前記したポリウレタン系重合体
(a−1)を調製する際に使用されるものとして既に掲
げたような公知慣用の各種の原料類に加えて、塩基性基
と加水分解性シリル基なる両基以外の、前記したような
各種の官能基を有し、しかも、イソシアネート基と反応
する活性水素を有する基を、1個または2個、有するよ
うな種々の化合物を原料成分として使用して、公知慣用
の種々の方法を適用すればよい。
【0237】ポリウレタン系重合体(a−2)を調製す
る際に使用される、塩基性基と加水分解性シリル基なる
両官能基以外の、前記したような各種の官能基を有し、
しかも、イソシアネート基と反応する活性水素を有する
基を、1個または2個、有する化合物として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、4−ヒドロキシメ
チル−1,3−ジオキソラン−2−オン、グリシドー
ル、2−ヒドロキシエチルカーバメートもしくは2−ヒ
ドロキシプロピルカーバメートの如き、各種の官能基と
水酸基とを併有する化合物などである。
【0238】前述したような方法で以て調製されるポリ
ウレタン系重合体(a−1)または(a−2)中に導入
されるべき加水分解性シリル基の量としては、それぞれ
の重合体の固形分1,000グラム当たり、大約0.0
05〜大約3モルなる範囲内が適切であり、好ましく
は、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さら
に一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切
である。
【0239】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、ポリウレタン系重合体(a−1)または(a−
2)と、ポリシロキサン(b−1)あるいは(b−2)
との間の複合化反応が進行しずらくなり、ひいては、得
られる硬化物の、とりわけ、耐久性などが低下するよう
になるし、一方、約3モルを超えて余りにも多くなる場
合には、前記した複合化反応時の溶液粘度が上昇し、ひ
いては、ゲル化を惹起してしまうようになるなどの不都
合が認められるようにもなるので、いずれの場合も好ま
しくない。
【0240】また、ポリウレタン系重合体(a−1)ま
たは(a−2)中に導入されるべき塩基性基の量として
は、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当た
りの塩基性基のモル数として、約0.005〜約10モ
ルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.01〜
5モルなる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、
0.05〜3モルなる範囲内が適切である。
【0241】さらに、ポリウレタン系重合体(a−2)
中に導入されるべき、塩基性基と加水分解性シリル基な
る両基以外の官能基の少なくとも1種の量としては、ポ
リウレタン系重合体(a−2)の固形分の1,000グ
ラム当たり、約0.1〜約5モルなる範囲内が適切であ
り、好ましくは、0.2〜3モルなる範囲内が適切であ
るし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲
内が適切である。
【0242】また、ポリウレタン系重合体(a−1)ま
たは(a−2)の数平均分子量としては、大約500〜
大約100,000なる範囲内が、好ましくは、1,0
00〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好
ましくは、1,500〜30,000なる範囲内が適切
である。
【0243】ポリウレタン系重合体(a−1)または
(a−2)の数平均分子量が、約500未満の場合に
は、どうしても、硬化性や硬化物の機械的強度などが劣
るようになるし、一方、約100,000を超えて余り
にも高くなる場合には、どうしても、本発明に係る水性
硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗
装作業性などにも劣るようになったり、また、硬化塗膜
の外観が低下したりするようにもなるので、いずれの場
合も好ましくない。
【0244】次いで、本発明の水性樹脂(D)の前駆体
である、複合樹脂(C)を調製するに当たり、使用され
る他方の成分である、前記した、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサン(b−1)とは、一般的に、シラ
ノール基と呼称される珪素原子に結合した水酸基および
/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリ
シロキサンを指称するものである。
【0245】ここにおいて、珪素原子に結合した加水分
解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、ハロゲン
原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ
基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド
基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニル
オキシ基の如き、加水分解されて、シラノール基を生成
する種々の基を指称するものである。
【0246】こうしたポリシロキサン(b−1)として
特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、一分
子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめること
によって調製される、当該珪素化合物の加水分解縮合
物、あるいは斯かる珪素化合物を部分加水分解縮合せし
めることによって調製される、当該珪素化合物の部分加
水分解縮合物などである。
【0247】前記した、一分子中に、少なくとも2個
の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
物の加水分解縮合ないしは部分加水分解縮合によって、
当該ポリシロキサン(b−1)を調製する際に使用され
る、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
物としては、公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使
用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、次のような一般式(S−
V)
【0248】
【化21】R5 bSiR6 4-b (S−V)
【0249】(ただし、式中のR5 は、それぞれ、置換
基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、
アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価
の有機基を、R6 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキ
シ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ
基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ
基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表わす
ものとし、また、bは0あるいは1または2なる整数で
あるものとする。)
【0250】で以て示される珪素化合物;これらの珪素
化合物の1種の部分加水分解縮合によって得られる部分
加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の
混合物の部分加水分解縮合によって得られる部分共加水
分解縮合物;
【0251】あるいは
【0252】
【化22】(CH3 CH2O)3 SiCH2 CH2 Si
(OCH2 CH3 3
【0253】または
【0254】
【化23】(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 CH
2 Si(OCH2 CH3 3
【0255】などのような、一分子中に2個以上の加水
分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0256】前掲したような一般式(S−V)で示され
る珪素化合物として特に代表的なるもののみを例示する
にとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシ
シランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各
種のテトラアルコキシシラン類;
【0257】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エ
チルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメト
キシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシランもしくはn−ブチルトリエトキ
シシラン、
【0258】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメ
トキシシラン
【0259】または2−トリメトキシシリルエチルビニ
ルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエー
テル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテ
ル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ
エトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシ
シラン類;
【0260】ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジ
エトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもし
くはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0261】あるいはジフェニルジメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフ
ェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエー
テル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニル
エーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメ
チルジメトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、の如き、各種のジオルガノ
ジアルコキシシラン類;
【0262】テトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロ
ロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェ
ニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランも
しくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチル
ジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0263】またはテトラアセトキシシラン、メチルト
リアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、
ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセ
トキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類などで
ある。
【0264】これらの加水分解性基を有する珪素化合物
のうちで、ポリシロキサン(b−1)を調製する際に使
用される化合物として特に望ましいもののみを例示する
にとどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリ
アルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラ
ン、それらの部分加水分解縮合物または其れらの部分共
加水分解縮合物などであるし、さらには、各種のクロル
シラン類の部分加水分解縮合物などである。
【0265】そして、かかるポリシロキサン(b−1)
を調製するに当たり、珪素化合物の少なくとも一部分と
して、オルガノトリアルコキシシランの如き3官能の珪
素化合物もしくはテトラアルコキシシランの如き4官能
の珪素化合物などの分岐構造を導入するのに適した化合
物を使用することにより、複合樹脂(C)を構成するポ
リシロキサンセグメントに分岐した構造を導入すること
が出来る。
【0266】また、当該珪素化合物として、4官能の珪
素化合物を使用する際には、重合体(a−1)または
(a−2)と、ポリシロキサン(b−1)との間の複合
化反応中のゲル化の防止のめにも、2官能ないしは3官
能の珪素化合物を併用することが望ましい。
【0267】斯かるポリシロキサン(b−1)を調製す
るに際して、前掲したような各種の珪素化合物に加え
て、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシ
シラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエ
トキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルク
ロロシランまたはトリフェニルクロロシランのような、
一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ
有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用するこ
とが出来る。
【0268】前記したような各種の珪素化合物を加水分
解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによっ
て、ポリシロキサン(b−1)として使用される加水分
解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得ることが出来
るが、その際に、触媒を使用してもよいし、使用しなく
てもよく、これらの縮合反応を容易に進行せしめるとい
う面からは、触媒を使用することが望ましい。
【0269】ここにおいて、触媒を使用する場合には、
公知慣用の種々の触媒のいずれをも使用することが出来
るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併
用でもよいことは、勿論である。
【0270】斯かる触媒として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、
各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイ
ソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0271】水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの
如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネー
トまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン
酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル
酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0272】鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如
き、各種の金属のナフテン酸塩;あるいはオクチル酸塩
の如き、各種の金属カルボン酸塩類;あるいは亦、アル
ミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種のア
ルミニウム化合物;
【0273】1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザ
ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ
−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミンま
たはブチルアミンもしくはオクチルアミン、
【0274】モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチル
イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは
1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化
合物類;
【0275】テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロ
ピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアン
モニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモ
ニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオ
クチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロ
メチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種
の4級アンモニウム塩類であって、
【0276】さらには、代表的なる対アニオンとして、
それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレート
もしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニ
ウム塩類などである。
【0277】使用される斯かる触媒の量としては、加水
分解ないしは部分加水分解に供される珪素化合物に対し
て、約0.000001〜約10重量%なる範囲内が、
好ましくは、0.000005〜5重量%なる範囲内
が、特に好ましくは、0.00001〜1重量%なる範
囲内が適切である。
【0278】また、前記した反応に用いられる水の量と
しては、かかる珪素化合物の珪素原子に結合している加
水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以上が、
好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好
ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0279】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用
上、好ましくないけれども、此の水の量が、5モルと
か、10モルとか、珪素原子に結合している加水分解性
基の1モルに対して、過剰となるように使用すること
は、一向に、支障が無い。
【0280】そして、これらの触媒および水の添加は、
一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混
合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加して
もよいことは、勿論である。
【0281】斯かる反応の反応温度としては、0℃〜1
50℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100
℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力として
は、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件において
も行なうことが出来る。
【0282】そして、こうした反応の副生成物である、
それぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行なわれ
る重合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロキサ
ン(b−1)との複合化反応を妨げたり、得られる水性
硬化性樹脂組成物の安定性などを低下させたりするよう
であれば、蒸留などの手段によって、系外に除くことが
出来るし、そうした問題が無ければ、そのまま、系内に
存在させておいて、一向に、支障は無い。
【0283】また、かかる反応にあっては、有機溶剤を
使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌
などが、容易に、行なえるようにするためにも、有機溶
剤を使用することが望ましい。
【0284】ここにおいて、斯かる有機溶剤を使用する
場合には、公知慣用の種々の有機溶剤のいずれをも使用
することが出来るし、しかも、それらは、単独使用でも
2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0285】その際に使用される有機溶剤としては、ビ
ニル系重合体(a−1)または(a−2)を調製する際
に使用できるものとして既に掲げたような種々のものを
使用することが出来る。
【0286】そして、斯かる有機溶剤を使用して、当該
ポリシロキサン(b−1)を調製する際には、一分子中
に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分解性基を
有する珪素化合物の、斯かる有機溶剤中における濃度と
しては、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0287】また、当該ポリシロキサン(b−1)とし
て、市販のポリシロキサンを使用することもできるが、
そのようなポリシロキサンとして特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、シラノール基あるいは珪素原
子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンとして
市販されているような、それぞれ、「TSR−160も
しくは165」[東芝シリコーン(株)製の商品名]、
「SH−6018」[東レ・ダウコーニング・シリコー
ン(株)製の商品名]または「GR−100、908も
しくは950」[昭和電工(株)製の商品名]などで以
て代表されるような、線状、環状、分岐状(分枝状)あ
るいはラダー(型)構造を有する、加水分解縮合物ない
しは部分加水分解縮合物などである。
【0288】前記した(5)、(6)、(7)あるいは
(8)なる方法により、複合樹脂(C)を調製する際に
は、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
ロキサン(b−2)が調製されるが、その際に使用され
る一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加
水分解性基を有する珪素化合物としては、ポリシロキサ
ン(b−1)を調製する際に使用されるものとして前掲
した如き、各種の珪素化合物を使用することが出来る。
【0289】そして、かかるポリシロキサン(b−2)
を調製するに当たり、珪素化合物の少なくとも一部分と
して、オルガノトリアルコキシシランの如き3官能の珪
素化合物もしくはテトラアルコキシシランの如き4官能
の珪素化合物などの分岐構造を導入するのに適した化合
物を使用することにより、複合樹脂(C)を構成するポ
リシロキサンセグメントに分岐した構造を導入すること
が出来る。
【0290】また、水性樹脂(D)の硬化性と、耐久性
との面からは、ポリシロキサン(b−1)あるいは(b
−2)を構成する全珪素原子のうち、10モル%以上、
好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30
モル%以上が、メチルトリアルコキシシラン類、メチル
トリクロロシラン、フェニルトリアルコキシラン類また
はフェニルトリクロロシランのような、いわゆる3官能
シラン化合物に由来するものを使用することが適切であ
る。
【0291】次いで、水性樹脂(D)の前駆体である複
合樹脂(C)の調製方法である、前記した(1)〜
(8)なる方法について詳細に述べることにする。
【0292】まず、はじめに、前記した(1)なる方法
とは、重合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロ
キサン(b−1)とを縮合反応せしめることにより、複
合化せしめる方法である。
【0293】此処において、重合体(a−1)または
(a−2)とポリシロキサン(b−1)の縮合反応をス
ムーズに進行させるために、触媒を添加することが出来
るが、斯かる触媒としては、ポリシロキサン(b−1)
を調製する際に使用されるものとして既に掲げたような
種々の触媒類を、そのまま、使用することが出来る。
【0294】(1)なる方法で複合化せしめる場合に使
用される触媒の量としては、重合体(a−1)または
(a−2)と、ポリシロキサン(b−1)の合計量に対
して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好
ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に
好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切
である。
【0295】そして、ポリシロキサン(b−1)を調製
する過程で使用された触媒が(b−1)中に残留してい
る場合には、殊更に、触媒を添加せずとも、(b−1)
中に残留している触媒のみでも、当該縮合反応を促進せ
しめることが可能である。
【0296】また、(1)なる方法において、重合体
(a−1)または(a−2)と、ポリシロキサン(b−
1)との間の縮合反応をスムーズに進行せしめるために
は、重合体(a−1)または(a−2)中に含まれる加
水分解性シリル基の加水分解と、ポリシロキサン(b−
1)中に、場合によっては含有される珪素原子に結合し
た加水分解性基の加水分解とを円滑に進行せしめること
が望ましく、したがって、こうした縮合反応を、水の存
在下で以て行なうことが、特に望ましい。
【0297】そして、ポリシロキサン(b−1)を調製
する際に使用された水が(b−1)中に残留している場
合には、殊更に水を添加せずとも、(b−1)中に残留
している水のみでも、当該縮合反応を行なうことも可能
である。
【0298】該縮合反応を行なうに際して使用される水
の量としては、重合体(a−1)または(a−2)に結
合した加水分解性シリル基中に含まれる加水分解性基
と、ポリシロキサン(b−1)中に存在する、珪素原子
に結合している加水分解性基との合計量の1モルに対し
て、約0.05モル以上が、好ましくは、0.1モル以
上が適切であるし、さらに好ましくは、0.5モル以上
が適切である。
【0299】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなり易いので、好まし
くない。
【0300】また、水の使用量を大過剰に設定しても、
反応中に不溶物が析出して来るなどの不都合が生じない
限り、支障なく、複合化反応を行なうことが出来るが、
ポリシロキサン(b−1)中に珪素原子に結合している
加水分解性基が存在する場合には、(b−1)中に含ま
れる加水分解性基の1モルに対して、水の使用量を、概
ね、10モル以下に、好ましくは、5モル以下に、より
好ましくは、3.5モル以下に設定するのが適切である
し、
【0301】(b−1)中に珪素原子に結合している加
水分解性基が存在しない場合においては、重合体(a−
1)もしくは(a−2)に結合した加水分解性シリル基
中に含まれる加水分解性基の1モルに対して、500モ
ル以下に、好ましくは、300モル以下に、より好まし
くは、200モル以下に設定するのが適切である。
【0302】(1)なる方法において、該縮合反応を行
なう際の反応温度としては、0〜150℃程度が適切で
あり、好ましくは、20℃〜100℃程度が適切であ
る。
【0303】さらに、(1)なる方法で、該縮合反応に
引き続いて行なわれる、縮合反応生成物中の塩基性基の
部分ないしは完全中和反応に際しては、各種の酸性化合
物を使用することができるけれども、その中で、特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、2−メチル酪酸、イソ吉草酸、ト
リメチル酢酸、グリコール酸または乳酸などによって代
表されるような、炭素数が1〜10なる、各種のカルボ
ン酸類;
【0304】燐酸モノメチルエステル、燐酸ジメチルエ
ステル、燐酸モノ−iso−プロピルエステル、燐酸ジ
−iso−プロピルエステル、燐酸モノ−2−エチルヘ
キシルエステルもしくは燐酸ジ−2−エチルヘキシルエ
ステルの如き、燐酸の各種のモノ−ないしはジアルキル
エステル類;
【0305】メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸もしくはドデシルベンゼンスルホン
酸の如き、各種の有機スルホン酸類;または塩酸、硫
酸、硝酸もしくは燐酸などによって代表されるような、
種々の無機酸などが挙げられる。
【0306】このような各種の酸性化合物の中でも、カ
ルボン酸類の使用が、特に望ましい。
【0307】そして、かかる酸性化合物の添加量として
は、少なくとも、前記重合体(a−1)または(a−
2)と、前記ポリシロキサン(b−1)の縮合反応生成
物に対し、水分散性を付与することが可能な量であり、
前記重合体(a−1)または(a−2)と(b−1)の
縮合反応生成物中に含まれる塩基性基の当量数に対す
る、当該酸性化合物の当量数の比率、
【0308】つまり、当該酸性化合物/「前記重合体
(a−1)または(a−2)と(b−1)との縮合反応
生成物中の塩基性基」なる当量比が約0.1以上となる
のが適切ではあるが、塗膜性能を損なわない範囲の量と
して、好ましくは、概ね、0.1〜3なる範囲内が適切
であるし、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲内が適
切である。
【0309】こうした中和反応の反応温度としては、0
℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜
100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力と
しては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件にお
いても行なうことが出来る。
【0310】次いで、前記した(2)なる方法とは、重
合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロキサン
(b−1)との間の縮合反応を、該縮合反応生成物が含
有する塩基性基を中和する目的で、予め、酸性化合物を
反応系内に添加した系内で行なう方法である。
【0311】此処において使用される酸性化合物として
は、前記した(1)なる方法で使用されるものとして既
に揚げたような種々の酸性化合物を、そのまま、(1)
において塩基性基を中和せしめる場合と同様の添加量で
使用することが出来る。
【0312】また、(2)なる方法においても、(a−
1)または(a−2)と、(b−1)とを縮合反応せし
めるに当たり、該反応をスムーズに進行させるために、
触媒を添加することが出来るが、斯かる触媒としては、
前記した(1)なる方法において使用されるものとして
既に掲げたような種々の触媒類を、そのまま、(1)と
同様の添加量で使用することが出来る。
【0313】そして、前記した(1)と同様に、ポリシ
ロキサン(b−1)を調製する過程で使用された触媒が
(b−1)中に残留している場合には、殊更に、触媒を
添加せずとも、(b−1)中に残留している触媒のみで
も、当該縮合反応を促進せしめることが可能であるし、
【0314】反応系内に、予め、添加した、前記したよ
うな酸性化合物が、触媒として当該縮合反応を促進する
可能性もある。
【0315】また、(2)なる方法においても、(a−
1)または(a−2)と、(b−1)との間の縮合反応
をスムーズに進行せしめるためには、(a−1)または
(a−2)中に含まれる加水分解性シリル基の加水分解
と、(b−1)中に、場合によっては含有される珪素原
子に結合した加水分解性基の加水分解とを円滑に進行せ
しめることが望ましく、したがって、こうした縮合反応
を、水の存在下で以て行なうことが、特に望ましい。
【0316】そして、(b−1)を調製する際に使用さ
れた水が(b−1)中に残留している場合には、殊更に
水を添加せずとも、(b−1)中に残留している水のみ
でも、当該縮合反応を行なうことも可能である。
【0317】さらに、(2)において、該縮合反応を行
なう際の反応温度および水の使用量については、前記し
た(1)なる方法に準ずるものとする。
【0318】次いで、前記した(3)なる方法とは、前
記したポリシロキサン(b−1)の存在下に前記した重
合体(a−1)または(a−2)を調製する反応を行な
う過程で、(b−1)と(a−1)あるいは(a−2)
を縮合反応せしめ、次いで、得られた縮合反応生成物中
に含まれる塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないし
は完全に中和せしめる方法である。
【0319】此処において、(a−1)あるいは(a−
2)を調製する過程で縮合反応を行なって、(b−1)
との複合化を行なうに当たり、(a−1)あるいは(a
−2)に含まれる加水分解性シリル基の加水分解反応を
促進し、さらに、ポリシロキサン(b−1)と、生成し
た重合体(a−1)あるいは(a−2)との縮合反応を
スムーズに進行させるために、触媒を添加することが出
来るが、斯かる触媒としては、前記した(1)と同様
に、ポリシロキサン(b−1)を調製する際に使用され
るものとして既に掲げたような種々の触媒類を、そのま
ま、使用することが出来る。
【0320】(3)なる方法で、複合化せしめる場合に
使用される触媒の量としては、重合体(a−1)または
(a−2)と、ポリシロキサン(b−1)の合計量に対
して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好
ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に
好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切
である。
【0321】そして、前記した(1)と同様に、ポリシ
ロキサン(b−1)を調製する過程で使用された触媒が
(b−1)中に残留している場合には、殊更に、触媒を
添加せずとも、(b−1)中に残留している触媒のみで
も、当該縮合反応を促進せしめることが可能である。
【0322】また、(3)なる方法においても、(a−
1)または(a−2)と(b−1)との間の縮合反応を
円滑に進行せしめる観点から、前記した(1)なる方法
と同様に、反応系に水を添加すること望ましい。そし
て、かかる水の量としては、(1)なる方法の場合に準
じる。
【0323】そして、これらの触媒および水の添加は、
一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混
合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加して
もよいことは、勿論である。
【0324】また、(3)なる方法において、重合体
(a−1)あるいは(a−2)を調製する際の反応温度
としては、0〜150℃程度が適切であり、好ましく
は、20℃〜120℃程度が適切である。
【0325】さらに、(3)なる方法で、該縮合反応に
引き続いて行なわれる、縮合反応生成物中の塩基性基の
部分ないしは完全中和反応に際しては、前記した(1)
なる方法において記載した各種の酸性化合物を、そのま
ま、使用することができるけれども、その中でも特に、
カルボン酸類の使用が望ましい。
【0326】そして、かかる中和反応における、酸性化
合物の添加量および該中和反応の反応条件に関しては、
前記した(1)なる方法に準ずるものである。
【0327】次いで、前記した(4)なる方法とは、
(b−1)の存在下に(a−1)または(a−2)を調
製する反応を行なう過程で、(b−1)と(a−1)あ
るいは(a−2)を縮合せしめる反応を、該縮合反応の
生成物が含有する塩基性基を中和する目的で、予め、酸
性化合物を反応系内に添加した形で行なう方法である。
【0328】此処において、予め、系内に添加される酸
性化合物としては、前記した(1)なる方法において、
中和反応の際に使用する、各種の酸性化合物を、そのま
ま、使用することができ、その使用量は、(1)の場合
に準じる。
【0329】さらに、この方法においも、反応系に水を
共存させることが好ましく、その量は、(1)なる方法
の場合に準じる。
【0330】次いで、前記した(5)なる方法とは、前
記した重合体(a−1)または(a−2)の存在下に、
一分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解せしめて珪素原子
に結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b
−2)を調製する反応を行なう過程で、(b−2)と
(a−1)あるいは(a−2)を縮合反応せしめ、次い
で、得られた縮合反応性生物中に含まれる塩基性基を酸
性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめる方
法であり、
【0331】また、前記した(6)なる方法とは、(a
−1)または(a−2)の存在下に(b−2)を調製す
る過程で、(b−2)と(a−1)あるいは(a−2)
を縮合せしめる反応を、該縮合反応の生成物が含有する
塩基性基を中和する目的で、予め、酸性化合物を反応系
内に添加して行なう方法であり、
【0332】さらに、前記した(7)なる方法とは、
(a−1)または(a−2)を調製する反応と、(b−
2)を調製する反応を、同一の反応系において、並行し
て行なう過程で、(b−2)と(a−1)あるいは(a
−2)を縮合せしめ、次いで、得られた縮合反応性生物
中に含まれる塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ない
しは完全に中和せしめる方法であり、
【0333】さらにまた、前記した(8)なる方法と
は、(a−1)または(a−2)を調製する反応と、
(b−2)を調製する反応を、同一の反応系において、
並行して行なう過程で、(b−2)と(a−1)あるい
は(a−2)を縮合せしめる反応を、該縮合反応の生成
物が含有する塩基性基を中和する目的で、予め、酸性化
合物を反応系内に添加して行なう方法である。
【0334】前記した(5)〜(8)なる方法により複
合樹脂(C)を調製するに当たり、一分子中に少なくと
も2個の珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
化合物の加水分解縮合を促進するための触媒を使用して
もよいし、使用しなくてもよいが、当該珪素化合物の加
水分解反応を速やかに進行させると同時に、生成する
(b−2)と(a−1)もしくは(a−2)との間の縮
合反応をスムーズに進行させるうえから、触媒を使用す
ることが望ましい。
【0335】かかる触媒としては、前記した(b−1)
の調製に際し使用できるものとして例示した如きもの
を、使用することができる。
【0336】使用される触媒の量としては、(b−2)
の原料である珪素化合物に対して、約0.000001
〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.000
005〜5重量%なる範囲が、特に好ましくは、0.0
001〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0337】また、(5)〜(8)なる方法で複合樹脂
を調製するに当たり、(b−2)の原料である珪素化合
物の加水分解反応を円滑に進行せしめ、さらに、生成し
た(b−2)と(a−1)もしくは(a−2)との間の
縮合反応をスムーズに進行させるために、通常、水を添
加した形で反応が行なわれる。その際の水の添加量は、
重合体(a−1)または(a−2)に結合した加水分解
性シリル基中に含まれる加水分解性基と、当該珪素化合
物中に存在する、珪素原子に結合している加水分解性基
との合計量の1モルに対して、約0.05モル以上が、
好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好
ましくは、0.5モル以上が適切である。
【0338】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなり易いので、好まし
くない。
【0339】さらに、水の使用量を大過剰に設定して
も、反応中に不溶物が析出するなどの不都合が生じない
限り、支障なく、複合化反応を行なうことが出来るが、
前記した加水分解性基の合計量の1モルに対して、水の
使用量を、概ね、10モル以下に、好ましくは、5モル
以下に、より好ましくは、3.5モル以下に設定するの
が適切であるし、
【0340】さらに亦、(5)〜(8)なる方法で複合
樹脂を調製するに際しての反応条件、ならびに、触媒お
よび水の添加方法は、前記(a−1)もしくは(a−
2)および(b−1)の調製に当たって採用されるもの
に準じればよい。
【0341】そして、前記した(5)〜(8)なる方法
において、中和用の酸性化合物としては、前記した
(1)なる方法において使用できるものとして例示した
如き各種の化合物を、使用することができる。
【0342】また、かかる方法における、酸性化合物の
使用量等の中和反応の反応条件は、前出の(1)〜
(4)なる方法におけるものに準じるものとする。
【0343】(1)〜(8)なる方法により、複合樹脂
(C)を調製するに当たり、重合体(a−1)または
(a−2)と、ポリシロキサン(b−1)または(b−
2)との使用割合は、複合樹脂(C)における重合体セ
グメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)と
の比率が、(A):(B)なる重量割合として、5:9
5〜99:1程度になるように、好ましくは、15:8
5〜95:5になるように、さらに好ましくは、20:
80〜85:15になるように設定するのがよい。
【0344】さらに亦、(3)、(4)、(7)または
(8)なる方法において、(a−1)または(a−2)
を調製するための条件、あるいは(a−1)または(a
−2)の目標性状としては、(a−1)または(a−
2)の調製方法として、既に記載した条件あるいは性状
と合致するものでなければならない。
【0345】さらに、(1)〜(8)なる方法で複合樹
脂(C)を調製する際には、有機溶剤を使用してもよい
し、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行なえる
ようにするためには、ビニル系重合体(a−1)を調製
する際に使用できるものとして既に掲げたような、種々
の有機溶剤類を使用することが望ましい。
【0346】とくに、重合体(a−1)または(a−
2)の調製とポリシロキサン(b−2)の調製を並行し
て行なう(7)または(8)なる方法においては、不溶
解物質の析出を防止して反応中のゲル化を防ぎ、円滑に
反応を進行せしめる観点から、反応系を均一に保つこと
が望ましく、そのためにも、有機溶剤を使用することが
必要不可欠である。
【0347】ここにおいて、有機溶剤を使用する場合に
は、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよい
ことは、勿論である。
【0348】(1)〜(8)なる方法で、複合化樹脂
(C)の調製を行なうに際しての、各成分の合計濃度
は、該反応により生成する複合樹脂(C)の、複合化反
応終了時点での、濃度として、5重量%程度以上に、好
ましくは、10重量%以上に、さらに好ましくは、20
重量%以上になるように設定することが望ましい。そし
て、この濃度の調整は、前掲したような各種の有機溶剤
類で以て行なうことが出来る。
【0349】上述のようにして、複合樹脂(C)を調製
することが出来るが、かかる複合樹脂中に含まれる水;
ビニル系重合体(a−1)または(a−2)に含有され
ていた有機溶剤;複合化反応時に添加した有機溶剤;あ
るいは複合化反応に伴って生成するアルコールなどの溶
剤類は、除去せずとも、そのままで、水に分散ないしは
溶解せしめることも出来るし、必要に応じて、蒸留操作
などによって除去することも出来る。
【0350】このようにして得られる複合樹脂(C)
を、水に分散ないしは溶解せしめることによって、水性
樹脂(D)が調製される。
【0351】複合樹脂(C)から、水性樹脂(D)を調
製するには、公知慣用の種々の方法を適用することが出
来る。たとえば、複合樹脂(C)に対して、単に、水を
添加せしめるか、あるいは複合樹脂(C)を、水に対し
て加えることによって水中に分散せしめるか、あるいは
溶解せしめることによって、目的とする水性樹脂(D)
を製造することが出来る。
【0352】また、必要に応じて、このようにして調製
される水性樹脂(D)中に含まれる有機溶剤を、加熱お
よび/または減圧によって、部分的に、あるいは完全に
除去せしめることによって、有機溶剤の含有率が低い、
あるいは有機溶剤を含有しない水性樹脂(D)を調製す
ることが出来る。
【0353】このようにして調製される水性樹脂(D)
中に含まれる官能基は、重合体(a−1)と、ポリシロ
キサン(b−1)あるいは(b−2)とに由来する、シ
ラノール基および場合によっては含有されるようにな
る、珪素原子に結合した加水分解性基、ならびに重合体
(a−1)に由来する塩基性基および酸性化合物により
中和された塩基性基であり、
【0354】さらには、重合体(a−2)と、ポリシロ
キサン(b−1)あるいは(b−2)とに由来する、シ
ラノール基および場合によっては含有されるようにな
る、珪素原子に結合した加水分解性基、ならびに重合体
(a−2)に由来する、塩基性基と酸性化合物により中
和された塩基性基、さらには、水酸基、ブロックされた
水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル
基、カルボン酸無水基、シクロカーボネート基、エポキ
シ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基ま
たは構造式(S−II)で示されるような官能基など
の、塩基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能
基の、少なくとも1種のものである。
【0355】水性樹脂(D)を調製する過程で、塩基性
基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を有する
ビニル系単量体として、ブロックした酸基あるいは酸無
水基を有するビニル系単量体を使用して合成されたビニ
ル系重合体(a−2)を使用した場合には、斯かるブロ
ックした酸基あるいは酸無水基のうちの少なくとも一部
分は、前述したような複合化反応を行なう過程で以て、
加水分解、酸触媒分解、熱分解あるいはアルコリシスな
どによって、遊離の酸基に変換される可能性がある。
【0356】また、水性樹脂(D)を調製する際に、塩
基性基と加水分解性シリル基なる両基以外の官能基含有
ビニル系単量体として、ブロックされた水酸基、エポキ
シ基またはシクロカーボネート基含有単量体を使用して
合成されたビニル系重合体(a−2)を使用した場合に
は、前述した複合化反応の段階で以て、
【0357】さらには、複合化樹脂(C)を水に分散す
るか、ないしは、水に溶解する段階で以て、これらの官
能基の少なくとも一部分は、加水分解、酸触媒分解ある
いはアルコリシスなどによって、遊離の水酸基に変換さ
れることもある。
【0358】そして、斯かるブロックされた水酸基、エ
ポキシ基またはシクロカーボネート基の種類とか、ある
いは前述した複合化反応の条件であるとか、引き続いて
行なう水への分散ないしは溶解の条件などによっては、
斯かる各種の官能基は、完全に、遊離の水酸基に変換さ
れることもある。
【0359】このようにして調製される水性樹脂(D)
から、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を調製するに
は、一つには、(D)は、それ自体で、自己硬化性を有
する処から、(D)を必須の成分として含有する自己硬
化性の樹脂組成物とすればよいし、
【0360】二つには、(D)に対して、さらに、前記
した化合物(E)を配合せしめることによって、(D)
中に含まれる官能基と、化合物(E)中に含まれる官能
基との間の、いわゆる架橋反応をも利用する硬化性樹脂
組成物とすればよい。
【0361】後者の形の硬化性樹脂組成物の調製に際し
て使用されるこの化合物(E)とは、前述した水性樹脂
(D)中に含まれる、前述のような各種の官能基と反応
する官能基を少なくとも1種有する、公知慣用の種々の
化合物を指称するものであり、こうした官能基として特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、イソシア
ネート基、ブロックされたイソシアネート基、水酸基、
ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされ
たカルボキシル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シク
ロカーボネート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、
1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基、オキサ
ゾリン基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコ
キシメチルアミノ基、カルボニル基、アセトアセチル
基、シラノール基、珪素原子に結合した加水分解性基ま
たは次の構造式(S−IV)
【0362】
【化24】 −C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−IV)
【0363】(ただし、式中のR3 は水素原子、炭素数
が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすもの
とし、また、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基また
はアリール基を表わすものとする。)
【0364】で示されるような官能基などである。
【0365】そして、当該化合物(E)中に含まれる官
能基は、水性樹脂(D)中に含まれる官能基の種類に応
じて、適宜、選択される。そうした組み合わせとして特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シラノー
ル基−シラノール基、シラノール基−アルコキシシリル
基、アルコキシシリル基−アルコキシシリル基、カルボ
キシル基−エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボ
ネート基、3級アミノ基−エポキシ基、水酸基−N−ヒ
ドロキシメチルアミノ基、水酸基−イソシアネート基ま
たは水酸基−ブロックイソシアネート基などである。
【0366】当該化合物(E)としては、水性樹脂
(D)中に含まれる官能基によっては、前述したような
種々の官能基のうちの2種以上を有するものであっても
よい。また、当該化合物(E)としては、比較的、分子
量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類を使用すること
も出来るが、このような樹脂類として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ
素樹脂の如き、各種のビニル系重合体などをはじめ、さ
らには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタ
ン樹脂またはエポキシ樹脂などである。そして、当該化
合物(E)として、特に、前記した官能基を2種以上有
するような化合物を使用する際には、当該化合物(E)
としては、特に、ビニル系重合体を使用するのが簡便で
ある。
【0367】かかる化合物(E)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有する化合物、一分子中にイソシアネート基と珪素原子
に結合した加水分解性基とを併有する化合物、一分子中
にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併
有する化合物、一分子中にアミノ基と珪素原子に結合し
た加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネー
ト化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエ
ポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ
樹脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカル
ボキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物、ポリアジリジン
化合物、ポリアクリレート化合物、ポリカーボジイミド
化合物、ブロックされた水酸基を有する化合物、ポリア
ミン化合物、少なくとも2個のカルボン酸無水基を有す
る化合物またはポリオキサゾリン化合物などであり、こ
れらの諸々の化合物類は、単独使用であってもよいし、
2種以上の併用であってもよいことは、勿論、可能であ
る。
【0368】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にイ
ソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを
併有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結
合した加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシア
ネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポ
リエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、ア
ミノ樹脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリ
カルボキシ化合物およびポリヒドロキシ化合物などが挙
げられる。
【0369】前記した、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪
素化合物のうちでも特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、前掲したような一般式(S−V)で以て示
される珪素化合物;これらの珪素化合物の加水分解物あ
るいは加水分解縮合物;これらの珪素化合物の1種の部
分加水分解縮合によって得られる部分加水分解縮合物;
または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合
によって得られる部分共加水分解縮合物などである。
【0370】これらのうちでも、当該珪素化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラ
メトキシシランおよびテトラエトキシシラン、それらの
部分加水分解縮合物、それらの部分共加水分解縮合物ま
たは珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する、線状、分岐状ないし
は環状の、あるいはラダー状のシリコーン樹脂などであ
る。
【0371】前記した、一分子中に、それぞれ、イソシ
アネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併
せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示
するにとどめることにするならば、
【0372】3−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ンまたは3−イソシアナートプロピルメチルジエトキシ
シランの如き、珪素化合物;
【0373】あるいは前掲したような、加水分解性シリ
ル基含有ビニル系単量体と、後掲するような、イソシア
ネート基含有ビニル系単量体とからなる種々の共重合体
または此等の両単量体を、該両単量体と共重合可能な
る、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロ
オレフィン系のような種々のビニル単量体類などと共重
合せしめることによって得られる、それぞれ、イソシア
ネート基と加水分解性シリル基とを併有する、アクリル
系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロ
オレフィン系共重合体のような種々のビニル系共重合体
類などである。
【0374】前記した、一分子中に、それぞれ、エポキ
シ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有す
る化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するに
とどめれば、
【0375】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランまた
は3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの
如き、珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加
水分解縮合によって得られる部分加水分解縮合物;ある
いは此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合に
よって得られる部分共加水分解縮合物;
【0376】「EGM−202」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメトキ
シ基と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状
のポリシロキサンの商品名];「KP−392」[信越
化学(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの部分加水分解縮合物の商品名];
【0377】あるいは亦、前掲したような各種のエポキ
シ基含有ビニル単量体と、同じく、前掲したような各種
の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とからなる種
々の共重合体または此等の両単量体を、該両単量体と共
重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニル
エステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系ないし
はフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せ
しめることによって得られる、それぞれ、エポキシ基と
加水分解性シリル基とを併有する、アクリル系共重合
体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィ
ン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などで
ある。
【0378】前記したポリイソシアネート化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレ
ンジイソシアネートまたはジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネ
ート類;
【0379】メタ−キシリレンジイソシアネートまたは
α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレン
ジイソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシア
ネート類;
【0380】ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチル
シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナー
トシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナ
ートシクロヘキサンまたはイソホロンジイソシアネート
の如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート
類;
【0381】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を、多価アルコール類と付加反応せしめることによっ
て得られる、イソシアネート基を有する各種のプレポリ
マー類であるとか、
【0382】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を環化三量化せしめることによって得られる、イソシ
アヌレート環を有する各種のプレポリマー類;
【0383】前掲したような各種のポリイソシアネート
類と、水とを反応せしめることによって得られる、ビウ
レット構造を有する各種のポリイソシアネート類;
【0384】さらには、2−イソシアナートエチル(メ
タ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジルイソシアネートまたは(メタ)アクリロイ
ルイソシアネートの如き、各種の、イソシアネート基を
有するビニル単量体の単独重合体;
【0385】または此等のイソシアネート基含有ビニル
単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族、ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニ
ル単量体類などと共重合せしめることによって得られ
る、
【0386】それぞれ、イソシアネート基含有アクリル
系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロ
オレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合
体類などである。
【0387】そして、かかるポリイソシアネートのうち
にあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族、アラ
ルキル系ないしは脂環式ジイソシアネート化合物、それ
らの各種のジイソシアネート化合物から誘導される、種
々のタイプのプレポリマーあるいはイソシアネート基含
有ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい。
【0388】前記したブロック・ポリイソシアネート化
合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物
を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化
せしめることによって得られる種々のブロックポリイソ
シアネート化合物や、
【0389】イソシアネート基を環化二量化せしめるこ
とによって得られる種々のウレトジオン構造を含む化合
物のように、熱によって、イソシアネート基が再生する
という部類の化合物などである。
【0390】そして、ブロック・ポリイソシアネート化
合物を調製する際に使用されるブロック剤として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノール、
エタノール、ベンジルアルコールまたは乳酸エステルの
如き、各種のアルコール類;
【0391】フェノール、サリチル酸エステルまたはク
レゾールの如き、各種のフェノール性水酸基含有化合物
類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンまたは
アセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0392】あるいはアセトンオキシムまたはメチルエ
チルケトオキシムの如き、各種のオキシム類などである
し、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルま
たはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合
物類などである。
【0393】前記したポリエポキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリ
コール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水
添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ないしは脂環
式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0394】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールSまたはビスフェノ
ールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポリグリシジ
ルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオール類のエ
チレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加体の如
き、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジルエーテ
ル類;
【0395】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールまたはポリテトラメチレングリコールの如
き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエ
ーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル
酸、テレフタル酸またはトリメリット酸の如き、各種の
脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジル
エステル類;
【0396】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンま
たはビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系ジ
エンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル)アジペートまたは3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロ
ヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエ
ポキシ化合物;あるいはポリブタジエンまたはポリイソ
プレンの如き、各種のジエンポリマーの種々のエポキシ
化物;
【0397】「デナコールEX−612」[ナガセ化成
工業(株)製の、ソルビトールポリグリシジルエーテル
の商品名];「EGM−400」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の、3−グリシドキシプロピル
を有する、環状のポリシロキサンの商品名];
【0398】あるいは亦、前掲したような各種のエポキ
シ基含有ビニル単量体の種々の単独重合体または此等の
エポキシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能
なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオ
ロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめるこ
とによって得られるような、それぞれ、エポキシ基を有
する、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体
またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々の
ビニル系共重合体類などである。
【0399】ポリシクロカーボネート化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したよ
うな各種のポリエポキシ化合物を、たとえば、触媒の存
在下に、二酸化炭素と反応せしめて、このエポキシ基
を、シクロカーボネート基に変換することによって得ら
れる5員環シクロカーボネート基含有ポリシクロカーボ
ネート化合物;あるいは前掲したような各種のシクロカ
ーボネート基含有ビニル単量体の種々の単独重合体
【0400】または此等のシクロカーボネート基含有ビ
ニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、
(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニ
ル単量体類などと共重合せしめることによって得られ
る、それぞれ、シクロカーボネート基を有する、アクリ
ル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオ
ロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重
合体類などである。
【0401】続いて、前記したアミノ樹脂として特に代
表的なるもののみを例示するにとどめるならば、
【0402】メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグア
ナミン、尿素またはグリコウリルの如き、各種のアミノ
基含有化合物を、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデ
ヒドの如き、各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデ
ヒド供給物質)と反応せしめることによって得られるア
ルキロール基を有する種々のアミノ樹脂;
【0403】あるいは斯かるアルキロール基を有するア
ミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノール
またはi−ブタノール(イソブタノール)の如き、各種
の低級アルコールと反応せしめることによって得られ
る、種々のアルコキシアルキル基含有アミノ樹脂などで
ある。
【0404】また、1級ないしは2級アミド基含有化合
物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、前述したビニル系重合体(a−2)の調製の際に、
塩基性基と加水分解性シリル基なる両官能基以外の官能
基を有するビニル系単量体の一部として、すでに、例示
しているような、1級ないしは2級アミド基を有する、
種々のビニル系単量体の単独重合体
【0405】または此等の1級ないしは2級アミド基含
有ビニル系単量体を、該単量体と共重合可能なる、それ
ぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニル
エーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン
系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得
られる、1級ないしは2級アミド基を有する、各種のア
クリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフ
ルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系
共重合体類などである。
【0406】さらに、ポリカルボキシ化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチ
ン酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン
酸などのような低分子量の化合物などであるし、さらに
は、
【0407】ビニル系重合体(a−2)の調製の際に、
酸基含有ビニル系単量体の一部として、既に例示してい
るような、カルボキシル基を有する、種々のビニル単量
体の単独重合体
【0408】または此等のカルボキシル基含有ビニル単
量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル
単量体類などと共重合せしめることによって得られる、
カルボキシル基を有する、各種のアクリル系共重合体、
ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系
共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などであ
る。
【0409】前記したポリヒドロキシ化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール
またはグリセリンなどのような種々の低分子化合物など
であり、また、ポリエチレングリコールまたはポリプロ
ピレングリコールなどをはじめ、さらには、ビニル系重
合体(a−2)の調製の際に、塩基性基と加水分解性シ
リル基なる両官能基以外の官能基含有ビニル系単量体の
一部として、すでに、例示しているような、水酸基を有
する、種々のビニル単量体の単独重合体
【0410】または此等の水酸基含有ビニル単量体を、
該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビ
ニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類など
と共重合せしめることによって得られる、水酸基を有す
る、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重
合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種
々のビニル系共重合体類などである。
【0411】化合物(E)を、水性樹脂(D)に配合せ
しめる際、この化合物(E)が、それ自体、水溶性のも
のであったり、水分散体であったり、或る程度の親水性
を有するようなものであったりする場合には、当該化合
物(E)が、水性樹脂(D)中に、均一に溶解ないしは
均一に分散した形の組成物を得ることが出来る。
【0412】しかしながら、当該化合物(E)の親水性
が低い場合には、水性樹脂(D)と混合せしめようとし
ても、均一に溶解ないしは分散した形の組成物を得るこ
とは出来ないようになるが、このような場合には、公知
慣用の種々の方法によって、当該化合物(E)中に、い
わゆる親水性基などを導入せしめることによって、当該
化合物(E)それ自体の親水性を向上せしめ、均一なる
形の組成物を得ることが出来る。
【0413】当該化合物(E)が重合体である場合に
は、当該化合物(E)としては、無溶剤液状物、有機溶
剤溶液、水溶液または水分散体のいずれの形態であって
も使用することができる。そして、当該化合物(E)そ
れ自体がビニル重合体である場合には、エマルジョン重
合体として使用するのも好適である。
【0414】前記した水性樹脂(D)と、当該化合物
(E)とから成る水性硬化性樹脂組成物を調製するに
は、当該化合物(E)それ自体が、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有する化合物である場合には、水性樹脂(D)の固形
分の100重量部に対して、当該化合物(E)の固形分
量が、約0.1〜約200重量部の範囲内、好ましく
は、0.5〜150重量部の範囲内、一層好ましくは、
1〜100重量部の範囲内となるように配合すればよ
い。
【0415】また、当該化合物(E)が、一分子中にイ
ソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを
併有する化合物、ポリイソシアネート化合物またはブロ
ックポリイソシアネート化合物である場合には、水性樹
脂(D)中に含まれる、それぞれ、イソシアネート基ま
たはブロックイソシアネート基と反応する官能基の1当
量に対して、
【0416】当該化合物(E)中に含まれる、それぞ
れ、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基
の量が約0.1〜約10当量の範囲内、好ましくは、
0.3〜5当量の範囲内、一層好ましくは、0.5〜2
当量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配合す
ればよい。
【0417】また、当該化合物(E)が、一分子中にエ
ポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有す
る化合物、ポリエポキシ化合物あるいはポリシクロカー
ボネート化合物である場合には、水性樹脂(D)中に含
まれる、それぞれ、エポキシ基またはシクロカーボネー
ト基と反応する官能基の1当量に対して、
【0418】当該化合物(E)中に含まれるエポキシ基
量および/またはシクロカーボネート基量の合計量が、
約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、0.5
〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当
量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配合すれ
ばよい。
【0419】続いて、当該化合物(E)が、特に、アミ
ノ樹脂である場合には、水性樹脂(D)の固形分の10
0重量部に対して、化合物(E)の固形分量が、約5〜
約200重量部の範囲内、好ましくは、10〜150重
量部の範囲内、一層好ましくは、15〜100重量部の
範囲内となるように配合すればよい。
【0420】また、当該化合物(E)が、特に、1級な
いしは2級アミド基を有する化合物である場合には、水
性樹脂(D)中に含まれる1級ないしは2級アミド基と
反応する官能基の1当量に対して、
【0421】当該化合物(E)中に含まれる1級ないし
は2級アミド基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲
内、好ましくは、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好
ましくは、0.7〜2当量の範囲内となるように、化合
物(E)を配合すればよい。
【0422】さらに、当該化合物(E)が、特に、ポリ
カルボキシ化合物である場合には、水性樹脂(D)中に
含まれるカルボキシル基と反応する官能基の1当量に対
して、
【0423】当該化合物(E)中に含まれるカルボキシ
ル基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましく
は、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、
0.7〜2当量の範囲内となるように、当該化合物
(E)を配合すればよい。
【0424】また、当該化合物(E)が、特に、ポリヒ
ドロキシ化合物である場合には、水性樹脂(D)に含ま
れる、ヒドロキシ基と反応する官能基の1当量に対し
て、
【0425】当該化合物(E)中に含まれる水酸基量
が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、
0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7
〜2当量の範囲内となるように、化合物(E)を配合す
ればよい。
【0426】上述のようにして調製される、それぞれ、
水性樹脂(D)を必須の成分として含有する、本発明に
係る水性硬化性樹脂組成物、あるいは水性樹脂(D)
に、さらに、化合物(E)をも配合せしめてなる、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物は、着色顔料を含まない
クリヤーな組成物として使用することも出来るし、ま
た、公知慣用の種々の有機系あるいは無機系の顔料を含
有する着色組成物として、使用することも出来る。
【0427】また、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
には、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリン
グ剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添
加剤類などをも配合せしめた形で以て、種々の用途に利
用することが出来る。
【0428】前記した添加剤類のうち、硬化触媒として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前記し
たようなポリシロキサン(b−1)の調製に使用される
ものとして、すでに、前掲しているような各種の触媒類
を使用することも出来るし、これらの諸化合物に加え
て、テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホ
ニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチ
ルホスホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロ
ピル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩ま
たはベンジルホスホニウム塩類などであって、対アニオ
ンとして、たとえば、フルオライド、クロライド、ブロ
マイドまたはカルボキシレートの如き、各種のアニオン
を有するような種々の化合物を使用することも出来る。
【0429】かくして得られる、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物は、該水性硬化性樹脂組成物を構成してい
る、それぞれ、水性樹脂(D)の種類によって、(E)
成分の有無によって、(E)成分を添加した場合には、
その種類と使用量とによって、硬化触媒の有無によっ
て、硬化触媒を添加した場合にはその種類と量によっ
て、最適なる硬化条件は異なるけれども、室温で、3〜
10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、
【0430】あるいは約80〜約250℃程度の温度範
囲で、約30秒間〜約2時間程度のあいだ、焼き付けを
行なうことによって、実用性の高い硬化物を得ることが
出来る。
【0431】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、耐久
性などに極めて優れる硬化物を与えるものであるという
処から、該水性樹脂を必須の成分として含有する、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上
塗り用塗料、建築外装用塗料、あるいは建材用塗料など
の、種々の塗料用に利用することが出来るし、さらに
は、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに
表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも、利用す
ることが出来る。
【0432】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本
発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下において、部および%は、特に断
りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0433】参考例1〔重合体(a−1)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、イソプロパノール(IPA)の
470部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にま
で昇温した。
【0434】次いで、同温度で、スチレン(ST)の1
00部、メチルメタアクリレート(MMA)の300
部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の264部、
n−ブチルアクリレート(BA)の186部、3−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPT
MS)の30部および2−ジメチルアミノエチルメタク
リレート(DMAEMA)の120部からなる混合物
と、IPAの350部と、2,2’−アゾビス−(2−
メチルブチロニトリル)(ABMBN)の50部とから
なる混合物とを、別々に、4時間かけて滴下した。
【0435】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が57.3%で、か
つ、数平均分子量が10,100なる、ジメチルアミノ
基およびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の
溶液を得た。以下、これを(a−1−1)と略記する。
【0436】参考例2(同上) 参考例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0437】次いで、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの264部、BAの186部およ
びDMAEMAの120部からなる混合物と、IPAの
350部とABMBNの50部とからなる混合物と、3
−メルカプトプロピルトリメトキシシランの24部と
を、それぞれ、別々に、4時間かけて滴下した。
【0438】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が55.1%で、か
つ、数平均分子量が7,300なる、ジメチルアミノ基
およびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の溶
液を得た。以下、これを(a−1−2)と略記する。
【0439】参考例3および4〔重合体(a−2)の調
製例〕 単量体の種類および使用量と、重合開始剤の使用量と
を、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同
様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有す
る、各種の目的重合体(a−2)を得た。それらの重合
体は、同表に示すように略記をする。
【0440】
【表1】
【0441】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0442】「AA」………………………アクリル酸の
略記
【0443】「2−HEMA」……………2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートの略記
【0444】
【表2】
【0445】《第1表の脚注》数平均分子量を示す各数
値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍(つ
まり、「×100」)をした値が、真のものである。
【0446】参考例5および6〔重合体(R−1)およ
び(R−2)の調製例〕 単量体の種類および使用量と、重合開始剤の使用量と
を、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同
様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有する
目的重合体(R−1)および(R−2)を得た。それら
の重合体は、同表に示すように略記する。
【0447】
【表3】
【0448】
【表4】
【0449】《第1表の脚注》参考例5で得られた「R
−1」は、対照用樹脂1を調製する際に使用するための
重合体である。
【0450】参考例6で得られた「R−2」は、対照用
樹脂2を調製する際に使用するための重合体である。
【0451】参考例7(対照用樹脂1の調製例) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−1)の911部を仕込んだ。次
いで、室温で、攪拌下に、酢酸の14部とイオン交換水
の750部との混合物を、30分間を要して滴下したの
ち、減圧蒸留で、溶剤であるIPAを除くことによっ
て、不揮発分が34.5%なる、対照用の水性樹脂を得
た。以下、これを対照用樹脂1と略記する。
【0452】参考例8(対照用樹脂2の調製例) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−2)の909部を仕込んだ。次
いで、室温で、攪拌下に、酢酸の21部とイオン交換水
の750部との混合物を、30分間を要して滴下したの
ち、減圧蒸留で、溶剤であるIPAを除くことによっ
て、不揮発分が35.0%なる、対照用の水性樹脂を得
た。以下、これを対照用樹脂2と略記する。
【0453】実施例1
【0454】本例は、本発明に係る水性樹脂それ自体、
そして、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を構成する
一必須成分としての水性樹脂(D)についての一実施態
様を示し、さらに、当該水性樹脂(D)の製造法につい
ての一実施態様を示すためのものである。
【0455】温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏
斗を備えた反応容器に、フェニルトリメトキシシラン
(PTMS)の354部およびIPAの422部を仕込
んで、80℃にまで昇温した。
【0456】次いで、同温度で、「AP−3」[大八化
学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェー
トの商品名]の2.9部と、イオン交換水の96部と
を、5分間を要して滴下し、同温度で、4時間のあいだ
攪拌を行なった。
【0457】しかるのち、核磁気共鳴分析(1H−NM
R)で以て、反応混合物の分析を行ない、PTMSの加
水分解が、100%進行していることを確認した。
【0458】引き続いて、此処へ、参考例1で得られた
重合体(a−1−1)の1,355部を添加し、同温度
で、4時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサン
と、重合体(a−1−1)との縮合物を調製した。
【0459】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−1−1)中に含まれていた
トリメトキシシリル基の加水分解が、100%進行して
いることが判明した。
【0460】引き続いて、同温度で、酢酸の32.1部
とイオン交換水の1,452部との混合物を、30分間
かけて滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IP
Aなどのアルコール類とを除くことによって、不揮発分
が40.1%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを
(D−1)と略記する。
【0461】しかるのち、此の水性樹脂(D−1)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−1)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0462】実施例2
【0463】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体、そして、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を構成
する一必須成分としての水性樹脂(D)の調製について
の、更なる一実施態様を、あるいは本発明に係る、それ
ぞれ、製造法ならびに水性硬化性の水性樹脂(D)それ
自体の調製についての、更なる一実施態様を示すための
ものである。
【0464】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0465】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
354部およびIPAの392部を仕込んで、80℃に
まで昇温した。
【0466】次いで、同温度で、「AP−3」の2.9
部と、イオン交換水の96部とを、5分間を要して滴下
し、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なった。1H−
NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSの加
水分解が、100%進行していることを確認した。
【0467】しかるのち、参考例3で得られた重合体
(a−2−1)の1,379部を添加し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサンと、重合
体(a−2−1)との縮合物を調製した。
【0468】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−2−1)に含まれていたト
リメトキシシリル基の加水分解が、100%進行してい
ることが判明した。
【0469】引き続いて、同温度で、酢酸の21部とイ
オン交換水の1,436部との混合物を、30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAな
どのアルコール類を除くことによって、不揮発分が4
1.1%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−
2)と略記する。
【0470】しかるのち、此の水性樹脂(D−2)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−2)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0471】実施例3
【0472】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体、そして、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を構成
する一必須成分としての水性樹脂(D)の調製法につい
ての更なる一実施態様を示すためのものである。
【0473】実施例1と同様の反応容器に、酢酸の26
部、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)の354
部、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)の214
部およびIPAの480部を仕込んで、80℃にまで昇
温した。
【0474】次いで、同温度で、「AP−3」の5.7
部と、イオン交換水の193部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なった。核磁
気共鳴分析(1H−NMR)で以て反応混合物の分析を
行ない、PTMSおよびDMDMSの加水分解が、10
0%進行していることを確認した。
【0475】しかるのち、参考例2で得られた重合体
(a−1−2)の1,159部を添加し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサンと、重合
体(a−1−2)との縮合物を調製した。
【0476】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−1−2)中に含まれていた
トリメトキシシリル基の加水分解が、100%進行して
いることが判明した。
【0477】引き続いて、同温度で、イオン交換水の
1,346部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が41.5%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−3)と略記する。
【0478】しかるのち、此の水性樹脂(D−3)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−3)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0479】実施例4
【0480】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体、そして、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を構成
する一必須成分としての水性樹脂(D)の調製法につい
ての更なる一実施態様を示すためのものである。
【0481】実施例1と同様の反応容器に、酢酸の25
部、PTMSの566部、メチルトリエトキシシラン
(MTES)の64部およびIPAの518部を仕込ん
で、80℃にまで昇温した。
【0482】次いで、同温度で、「AP−3」の5.2
部と、イオン交換水の174部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSお
よびMTESの加水分解が、100%進行していること
を確認した。
【0483】しかるのち、参考例4で得られた重合体
(a−2−2)の1,090部を添加し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサンと、重合
体(a−2−2)との縮合物を調製した。
【0484】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−2−2)に含まれていたト
リメトキシシリル基の加水分解が、100%進行してい
ることが判明した。
【0485】引き続いて、同温度で、イオン交換水の
1,364部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類を除く
ことによって、不揮発分が42.2%なる目的水性樹脂
を得た。以下、これを(D−4)と略記する。
【0486】しかるのち、此の水性樹脂(D−4)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−4)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0487】実施例5
【0488】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0489】参考例1で得られた重合体(a−1−1)
の1,180部、PTMSの424部、MTESの12
7部およびIPAの496部を仕込んで、80℃にまで
昇温した。
【0490】次いで、同温度で、「AP−3」の4.6
部と、イオン交換水の154部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、重合体(a
−1−1)に含有されていたトリメトキシシリル基、P
TMSおよびMTESの加水分解が、100%進行して
いることを確認した。
【0491】しかるのち、同温度で、酢酸の28部とイ
オン交換水の1,388部との混合物を、30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAな
どのアルコール類を除くことによって、不揮発分が3
9.9%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−
5)と略記する。
【0492】しかるのち、此の水性樹脂(D−5)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−5)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0493】実施例6
【0494】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0495】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0496】参考例3で得られた重合体(a−2−1)
の882部、PTMSの495部、DMDMSの300
部およびIPAの611部を仕込んで、80℃にまで昇
温した。
【0497】次いで、同温度で、「AP−3」の8.0
部と、イオン交換水の270部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、重合体(a
−2−1)に含有されていたトリメトキシシリル基、P
TMSおよびDMDMSの加水分解が、100%進行し
ていることを確認した。
【0498】しかるのち、同温度で、酢酸の14部とイ
オン交換水の1,250部との混合物を、30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAな
どのアルコール類を除くことによって、不揮発分が4
0.9%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−
6)と略記する。
【0499】しかるのち、此の水性樹脂(D−6)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−6)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0500】実施例7
【0501】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0502】参考例2で得られた重合体(a−1−2)
の905部、酢酸の21部、PTMSの771部および
IPAの594部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0503】次いで、同温度で、「AP−3」の6.3
部と、イオン交換水の210部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、重合体(a
−1−2)に含有されていたトリメトキシシリル基、P
TMSの加水分解が、100%進行していることを確認
した。
【0504】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,385部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類を除く
ことによって、不揮発分が42.1%なる目的水性樹脂
を得た。以下、これを(D−7)と略記する。
【0505】しかるのち、此の水性樹脂(D−7)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−7)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0506】実施例8
【0507】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0508】参考例4で得られた重合体(a−2−2)
の893部、酢酸の21部、PTMSの771部および
IPAの395部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0509】次いで、同温度で、「AP−3」の6.3
部と、イオン交換水の210部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、重合体(a
−2−2)に含有されていたトリメトキシシリル基、P
TMSの加水分解が、100%進行していることを確認
した。
【0510】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,385部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類を除く
ことによって、不揮発分が40.2%なる目的水性樹脂
を得た。以下、これを(D−8)と略記する。
【0511】しかるのち、此の水性樹脂(D−8)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−8)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0512】実施例9
【0513】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0514】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
769部およびIPAの1150部を仕込んで、80℃
にまで昇温した。
【0515】次いで、同温度で、「AP−3」の6.3
部と、イオン交換水の210部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSの
加水分解が、100%進行していることを確認した。
【0516】さらに、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの264部、BAの186部、D
MAEMAの120部およびMPTMSの30部からな
る混合物と、IPAの350部と、ABMBNの50部
とからなる混合物とを、別々に、4時間に亘って滴下し
た。
【0517】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌を行なって複合樹脂を得た。この複合樹脂を1H
−NMRで分析した処、MPTMSに含まれていたトリ
メトキシシリル基の加水分解が、100%進行している
ことが判明した。
【0518】しかるのち、同温度で、酢酸の41部とイ
オン交換水の2,102部との混合物を、30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAな
どのアルコール類とを除くことによって、不揮発分が4
3.3%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−
9)と略記する。
【0519】しかるのち、此の水性樹脂(D−9)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−9)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0520】実施例10
【0521】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0522】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
255部、DMDMSの51部およびIPAの860部
を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0523】次いで、同温度で、「AP−3」の2.8
部と、イオン交換水の93部とを、5分間を要して滴下
し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H−
NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSおよ
びDMDMSの加水分解が、100%進行していること
を確認した。
【0524】さらに、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの214部、BAの186部、D
MAEMAの120部、MPTMSの30部および2−
HEMAの50部からなる混合物と、IPAの350部
と、ABMBNの50部とからなる混合物とを、別々
に、4時間に亘って滴下した。
【0525】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌を行なって複合樹脂を得た。この複合樹脂を1H
−NMRで分析した処、MPTMSに含まれていたトリ
メトキシシリル基の加水分解が、100%進行している
ことが判明した。
【0526】しかるのち、同温度で、酢酸の41部とイ
オン交換水の1,769部との混合物を、30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAな
どのアルコール類とを除くことによって、不揮発分が4
1.5%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−
10)と略記する。
【0527】しかるのち、此の水性樹脂(D−10)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−10)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0528】実施例11
【0529】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0530】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
255部、MTESの76部およびIPAの860部を
仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0531】次いで、同温度で、「AP−3」の2.8
部と、イオン交換水の93部とを、5分間を要して滴下
し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H−
NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSおよ
びMTESの加水分解が、100%進行していることを
確認した。
【0532】さらに、同温度で、酢酸の41部を5分間
を要して適下したのち、STの100部、MMAの30
0部、BMAの264部、BAの186部、DMAEM
Aの120部およびMPTMSの30部からなる混合物
と、IPAの350部と、ABMBNの50部とからな
る混合物とを、別々に、4時間に亘って滴下した。
【0533】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌を行なって複合樹脂を得た。この複合樹脂を1H
−NMRで分析した処、MPTMSに含まれていたトリ
メトキシシリル基の加水分解が、100%進行している
ことが判明した。
【0534】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,769部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が42.7%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−11)と略記する。
【0535】しかるのち、此の水性樹脂(D−11)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−11)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0536】実施例12
【0537】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0538】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
170部、DMDMSの167部およびIPAの860
部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0539】次いで、同温度で、「AP−3」の3.3
部と、イオン交換水の112部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H
−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSお
よびDMDMSの加水分解が、100%進行しているこ
とを確認した。
【0540】さらに、同温度で、酢酸の28部を5分間
を要して滴下したのち、シクロヘキシルメタクリレート
(CHMA)の100部、MMAの300部、BMAの
264部、BAの186部、DMAEMAの80部、M
PTMSの30部およびAAの40部からなる混合物
と、IPAの350部と、ABMBNの50部とからな
る混合物とを、別々に、4時間に亘って滴下した。
【0541】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌を行なって複合樹脂を得た。この複合樹脂を1H
−NMRで分析した処、MPTMSに含まれていたトリ
メトキシシリル基の加水分解が、100%進行している
ことが判明した。
【0542】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,730部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が41.9%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−12)と略記する。
【0543】しかるのち、此の水性樹脂(D−12)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−12)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0544】実施例13
【0545】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0546】参考例1と同様の反応容器に、PTMSの
769部と、IPAの1,150部とを仕込んで、窒素
ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0547】次いで、同温度で、「AP−3」の6.3
部およびイオン交換水の210部の混合物と、STの1
00部、MMAの300部、BMAの284部、BAの
186部、DMAEMAの120部、MPTMSの10
部の混合物と、IPAの350部と、2,2’−アゾビ
ス−(2−メチル−4−トリメトキシシリルブチロニト
リル)の50部とからなる混合物とを、別々に、4時間
に亘って滴下した。
【0548】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌して複合樹脂を得た。この複合樹脂を、 1H−
NMRで以て分析した処、PTMSおよびMPTMSの
加水分解反応は、100%進行していることが確認でき
た。
【0549】次いで、同温度で、酢酸の41部とイオン
交換水の2,102部との混合物を、30分間かけて滴
下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAなどの
アルコール類とを除くことによって、不揮発分が41.
4%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−1
3)と略記する。
【0550】しかるのち、此の水性樹脂(D−13)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−13)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0551】実施例14
【0552】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0553】参考例1と同様の反応容器に、PTMSの
530部、DMDMSの251部と、IPAの1150
部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇
温した。
【0554】次いで、同温度で、「AP−3」の7.7
部およびイオン交換水の258部の混合物と、STの1
00部、MMAの300部、BMAの214部、BAの
186部、DMAEMAの120部、2−HEMAの5
0部、MPTMSの30部の混合物と、IPAの350
部と、ABMBNの50部とからなる混合物とを、別々
に、4時間に亘って滴下した。
【0555】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌して複合樹脂を得た。この複合樹脂を、 1H−
NMRで以て分析した処、PTMS、DMDMSおよび
MPTMSの加水分解反応は、100%進行しているこ
とが確認できた。
【0556】次いで、同温度で、酢酸の41部とイオン
交換水の2,054部との混合物を、30分間かけて滴
下したのち、減圧蒸留で、メタノールと、IPAなどの
アルコール類とを除くことによって、不揮発分が40.
3%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを(D−1
4)と略記する。
【0557】しかるのち、此の水性樹脂(D−14)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−14)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0558】実施例15
【0559】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0560】参考例1と同様の反応容器に、酢酸の41
部、PTMSの385部と、IPAの900部とを仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0561】次いで、同温度で、「AP−3」の3.1
部およびイオン交換水の105部との混合物と、STの
100部、MMAの300部、BMAの284部、BA
の186部、DMAEMAの120部、MPTMSの3
0部の混合物と、IPAの350部と、ABMBNの5
0部とからなる混合物とを、別々に、4時間に亘って滴
下した。
【0562】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌して複合樹脂を得た。この複合樹脂を、 1H−
NMRで以て分析した処、PTMSおよびMPTMSの
加水分解反応は、100%進行していることが確認でき
た。
【0563】次いで、同温度で、イオン交換水の1,5
09部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、
メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除くこと
によって、不揮発分が40.4%なる目的水性樹脂を得
た。以下、これを(D−13)と略記する。
【0564】しかるのち、此の水性樹脂(D−15)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−15)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0565】実施例16
【0566】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体についての更なる一実施態様を示し、さらに、当該水
性樹脂(D)の製造法についての更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0567】参考例1と同様の反応容器に、酢酸の41
部、PTMSの1,151部、IPAの1,400部と
を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温し
た。
【0568】次いで、同温度で、「AP−3」の9.4
部およびイオン交換水の314部との混合物と、STの
100部、MMAの300部、BMAの214部、BA
の186部、DMAEMAの120部、2−HEMAの
50部、PTMSの30部の混合物と、IPAの350
部と、ABMBNの50部とからなる混合物とを、別々
に、4時間に亘って滴下した。
【0569】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌して複合樹脂を得た。この複合樹脂を、 1H−
NMRで以て分析した処、PTMS、DMDMSおよび
MPTMSの加水分解反応は、100%進行しているこ
とが確認できた。
【0570】次いで、同温度で、イオン交換水の2,3
73部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、
メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除くこと
によって、不揮発分が40.8%なる目的水性樹脂を得
た。以下、これを(D−16)と略記する。
【0571】しかるのち、此の水性樹脂(D−16)
を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の
水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状
は、全く、認められずに、此の水性樹脂(D−16)
は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明
した。
【0572】実施例17〜32
【0573】これらの一連の実施例は、いずれも、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物の調製の一実施態様を示
すためのものであるし、加えて、更なる種々の実施態様
を示すためのものである。
【0574】まず、水性樹脂(D)の一部と、顔料と、
エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)
との混合物を、サンドミルを使用して分散せしめ、顔料
重量濃度(PWC)が60%なる、各種のミルベースを
調製せしめ、次いで、それぞれのミルベースに、水性樹
脂(D)の残りの全量を添加して、混合せしめることに
よって、各種の白色ベースを調製した。
【0575】そして、それぞれの白色ベースに対して、
必要に応じて、化合物(E)を配合せしめることによっ
て、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0576】このように調製される、それぞれの白色塗
料に使用した、水性樹脂(D)、顔料、EGMBE、化
合物(E)および硬化触媒の使用比率は、第2表に示す
通りである。
【0577】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、予め、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装さ
れ、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水研ぎ
された此の鋼板上に、乾燥膜厚が約40マイクロ・メー
ターないしはミクロン(μm)となるように、アプリケ
ーターで塗布せしめ、次いで、第2表に示すような硬化
条件で以て、各種の硬化塗膜を得た。
【0578】此処において得られた、本発明に係る水性
硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれ
もが、とりわけ、外観に優れるものであることが明らか
となった。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定
を行なった。それらの結果は、まとめて、第2表に示
す。
【0579】比較例1および2 まず、それぞれ、参考例7または8で得られた、対照用
樹脂1または2の一部と、顔料と、EGMBEとの混合
物を、サンドミルを使用して分散せしめ、PWCが60
%なる、各種のミルベースを調製し、次いで、それぞれ
のミルベースに、対照用樹脂1または2の残りの全量を
添加して、混合せしめることによって、各種の白色ベー
スを調製した。
【0580】そして、それぞれの白色ベースに対して、
必要に応じて、化合物(E)を配合せしめることによっ
て、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0581】上記のように調製される、それぞれの白色
塗料に使用した、対照用樹脂1または2、顔料、EGM
BE、化合物(E)および硬化触媒の使用比率は、第2
表に示す通りである。
【0582】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、実施例17と同様にして、塗布せしめ、同表に示す
ような硬化条件で以て硬化せしめることによって、各種
の硬化塗膜を得た。
【0583】此処において得られた、対照用樹脂1また
は2を含有することから成る、対照用の水性硬化性樹脂
組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、外観
に優れるものであった。それぞれの塗膜についての諸性
能の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめて、
第2表に示す。
【0584】
【表5】
【0585】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0586】「CR−97」は、「タイペーク CR−
97」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型
酸化チタンの商品名である。
【0587】
【表6】
【0588】《第2表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の同上の光沢値
で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:
%)を表示したものである。
【0589】その値が大きいほど、耐候性が良好である
ことを示している。
【0590】「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、未曝露時の塗膜と
の色差△Eを表示したものである。その値が、0に近い
ほど、耐汚染性が良好であるということを示している。
【0591】「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験
として行なうものであり、それぞれの硬化塗膜の表面上
に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せた
試験板を、50℃の熱風乾燥器中に、30分間のあいだ
保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してから、その表面
の状態を、目視により評価判定した。その際の評価判定
の基準は、次の通りである。
【0592】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…光沢が低下している ×…エッチングが著しい
【0593】「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板
を、5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下におい
て、24時間のあいだ浸漬せしめたのちに、塗膜表面
を、各別に、水洗し乾燥してから、その表面状態を、目
視により評価判定したものである。
【0594】
【表7】
【0595】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0596】
【表8】
【0597】
【表9】
【0598】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0599】「S−695」は、「ウォーターゾル S
−695」の略記であって、大日本インキ化学工業
(株)製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂
水溶液;不揮発分=66%の商品名である。
【0600】
【表10】
【0601】
【表11】
【0602】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0603】
【表12】
【0604】
【表13】
【0605】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0606】「GPTMS」……………3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランの略記
【0607】
【表14】
【0608】
【表15】
【0609】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0610】「EX−612」は、「デナコール EX
−612」の略記であって、ナガセ化成工業(株)製の
ソルビトールポリグリシジルエーテルの商品名である。
【0611】
【表16】
【0612】実施例33
【0613】本例は、各種の水性樹脂についての、とり
わけ、保存安定性の評価判定を行なうことを目的とした
ものである。
【0614】実施例1〜16において得られた、各種の
水性樹脂(D)を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存せ
しめたのち、実施例17〜32と同様の方法で以て、各
種の白色ベースを調製し、さらに必要に応じて、化合物
(E)をも配合せしめることによって、PWCが35%
なる各種の白色塗料を調製した。
【0615】かくして得られた、それぞれの白色塗料に
使用した、水性樹脂(D)、顔料、EGMBEおよび化
合物(E)の使用比率は、第2表に示す通りである。
【0616】次いで、実施例17〜32と同様の方法で
以て、それぞれの白色塗料を試験塗板上に塗布せしめ、
しかるのち、第2表に示すような硬化条件で以て硬化せ
しめることによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0617】此処において得られた、40℃に、1ヵ月
間のあいだ保存したのちの水性樹脂より調製された白色
ベースを含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、とりわけ、
外観に優れるものであると共に、それぞれの塗膜の諸性
能が、第2表に示すような結果と、殆ど、差異が認めら
れなかった。
【0618】此等の各事実から、水性樹脂(D)は、と
りわけ、保存安定性に優れるものであると判断されよ
う。
【0619】以上に詳説した通り、本発明に係る水性樹
脂は、酸性化合物で以て中和された、塩基性基を有する
重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合した水酸基
を有する分岐したポリシロキサンセグメント(B)とで
以て構成され、しかも、これらの(A)成分と(B)成
分とが、共に、次のような構造式(S−I)
【0620】
【化25】
【0621】(ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子のみに結合した他方の珪素原子
は、ポリシロキサンセグメント(B)の一部分を構成す
るものとする。)
【0622】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめるとい
う、斬新なる製造方法により得られるものであり、とり
わけ、優れた硬化性ならびに優れた保存安定性を兼備す
るという、極めて実用性の高いものである。
【0623】また、こうした水性樹脂を必須の成分とし
て含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、と
りわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性
などのような、いわゆる耐久性などに優れる塗膜を形成
することの出来る、極めて実用性の高いものである。
【0624】
【発明の効果】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、優
れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備するというも
のであり、こうした水性樹脂を必須の成分として含有す
る、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物も亦、とりわ
け、曝露時の光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性
雨性などの、いわゆる耐久性に優れる硬化塗膜を形成す
ることの出来る、特に、被覆用組成物として、極めて実
用性の高いものである。
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性樹脂と、該水性樹脂の新規にして有用なる製造法
と、該水性樹脂を必須の成分として含有する、新規にし
て有用なる水性硬化性樹脂組成物とに関する。さらに詳
細には、本発明は、酸性化合物で以て中和された塩基性
基を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合
した水酸基を有するポリシロキサンセグメント(B)と
で構成され、しかも、これらの(A)成分と(B)成分
とが、下記の構造式(S−1)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正内容】
【0115】〔ただし、式中のそれぞれ、炭素原子およ
び該炭素原子に結合した珪素原子は、重合体セグメント
(A)の一部分を構成するものとし、酸素原子のみに結
合した他方の珪素原子は、ポリシロキサンセグメント
(B)の一部分を構成するものとする。〕
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0342
【補正方法】変更
【補正内容】
【0342】また、かかる方法における、酸性化合物の
使用量などのような、いわゆる中和反応の反応条件は、
前出の(1)〜(4)なる方法におけるものに準ずるも
のとする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0576
【補正方法】変更
【補正内容】
【0576】このように調製される、それぞれの白色塗
料に使用した、水性樹脂(D)、顔料、EGMBEおよ
び化合物(E)の使用比率は、第2表に示す通りであ
る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0581
【補正方法】変更
【補正内容】
【0581】上記のように調製される、それぞれの白色
塗料に使用した、対照用樹脂1または2と、顔料、EG
MBEおよび化合物(E)との使用比率は、第2表に示
す通りである。

Claims (77)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性化合物で以て中和された塩基性基を
    有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合した
    水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント
    (B)で構成され、しかも、これらの(A)成分と
    (B)成分とが、下記の構造式(S−I) 【化1】 (ただし、式中、炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子のみに結合した他方の珪素原子は、ポリシロキ
    サンセグメント(B)の一部分を構成するものとす
    る。)で示される結合を介して複合化している複合樹脂
    (C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性
    樹脂。
  2. 【請求項2】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体(a
    −1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
    素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
    (b−1)とを縮合反応せしめたのち、塩基性基を酸性
    化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得ら
    れるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  3. 【請求項3】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有
    する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基お
    よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
    ポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめたのち、
    塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中
    和せしめて得られるものである、請求項1に記載の水性
    樹脂。
  4. 【請求項4】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合物
    の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル基
    を併有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水
    酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
    有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめて
    得られるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  5. 【請求項5】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合物
    の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル基
    なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)
    と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
    に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
    1)とを縮合反応せしめて得られるものである、請求項
    1に記載の水性樹脂。
  6. 【請求項6】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体(a
    −1)の存在下において、一分子中に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基
    を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する
    過程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを
    複合化せしめたしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以
    て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるもので
    ある、請求項1に記載の水性樹脂。
  7. 【請求項7】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有
    する重合体(a−2)の存在下において、一分子中に少
    なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
    する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
    合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
    (b−2)とを複合化せしめたしめたのち、塩基性基を
    酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて
    得られるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  8. 【請求項8】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合物
    と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併有
    する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少
    なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
    する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
    合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
    (b−2)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項1に記載の水性樹脂。
  9. 【請求項9】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合物
    と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基と、こ
    れらの塩基性基および加水分解性シリル基なる両基以外
    の官能基を併有する重合体(a−2)の存在下におい
    て、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−
    2)と上記した(b−2)とを複合化せしめることによ
    り得られるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  10. 【請求項10】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
    を併有する重合体(a−1)を調製する過程で、上記し
    た(a−1)と上記した(b−1)とを複合化せしめた
    のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
    全に中和せしめて得られるものである、請求項1に記載
    の水性樹脂。
  11. 【請求項11】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
    と、これらの塩基性基および加水分解性シリル基なる両
    基以外の官能基を併有する重合体(a−2)を調製する
    過程で、上記した(a−2)と上記した(b−1)とを
    複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分
    中和ないしは完全に中和せしめて得られるものである、
    請求項1に記載の水性樹脂。
  12. 【請求項12】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基と加水分解性シリル
    基を併有する重合体(a−1)を調製する過程で、上記
    した(a−1)と上記した(b−1)とを複合化せしめ
    ることにより得られるものである、請求項1に記載の水
    性樹脂。
  13. 【請求項13】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
    リル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性
    シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
    2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
    (b−1)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項1に記載の水性樹脂。
  14. 【請求項14】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸
    基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製す
    る反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性化合物
    で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるも
    のである、請求項1に記載の水性樹脂。
  15. 【請求項15】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    と加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有す
    る重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に少な
    くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    る珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合
    した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)
    を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸
    性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得
    られるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  16. 【請求項16】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反応
    と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう過
    程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを複
    合化せしめることにより得られるものである、請求項1
    に記載の水性樹脂。
  17. 【請求項17】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基と、これら塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)を
    調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原
    子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分
    解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分
    岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応を並行
    して行なう過程で、上記した(a−2)と上記した(b
    −2)と複合化せしめることにより得られるものであ
    る、請求項1に記載の水性樹脂。
  18. 【請求項18】 前記した重合体(a−2)が、塩基性
    基および加水分解シリル基以外の官能基として、水酸
    基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロック
    されたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シクロカー
    ボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド、
    カーバメート基および下記の構造式(S−II) 【化2】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項3、5、7、
    9、11、13、15または17のいずれかに記載の水
    性樹脂。
  19. 【請求項19】 前記した重合体セグメント(A)が、
    ビニル系重合体セグメントである、請求項1に記載の水
    性樹脂。
  20. 【請求項20】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単量体
    を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調製さ
    れるビニル系重合体である、請求項2、4、6、8、1
    0、12、14または16のいずれかに記載の水性樹
    脂。
  21. 【請求項21】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの塩基性基と
    加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を有するビニ
    ル系単量体とを必須成分とする単量体をラジカル重合せ
    しめて調製されるビニル系重合体である、請求項3、
    5、7、9、11、13、15または17のいずれかに
    記載の水性樹脂。
  22. 【請求項22】 前記した、重合体(a−1)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項2、4、6、8、10、12、14または1
    6のいずれかに記載の水性樹脂。
  23. 【請求項23】 前記した、重合体(a−2)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項3、5、7、9、11、13、15または1
    7のいずれかに記載の水性樹脂。
  24. 【請求項24】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須の成分として含有する珪素化合物類の加水分
    解縮合物ないしは部分加水分解縮合物である、請求項2
    〜5または10〜13のいずれかに記載の水性樹脂。
  25. 【請求項25】 前記した、一分子に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物およびその部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項6〜9、14〜17または24のいず
    れかに記載の水性樹脂。
  26. 【請求項26】 酸性化合物で以て中和された塩基性基
    を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合し
    た水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント
    (B)で構成され、しかも、上記した(A)と、上記し
    た(B)とが、下記の構造式(S−I) 【化3】 (ただし、式中、炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子のみに結合した他方の珪素原子は、ポリシロキ
    サンセグメント(B)の一部分を構成するものとす
    る。)で示される結合を介して化学的に複合化している
    複合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめること
    を特徴とする、水性樹脂の製造法。
  27. 【請求項27】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/また
    は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
    サン(b−1)とを縮合反応させたのち、塩基性基を酸
    性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得
    られるものである、請求項26に記載の製造法。
  28. 【請求項28】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性
    基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併
    有する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめたの
    ち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全
    に中和せしめて得られるものである、請求項26に記載
    の製造法。
  29. 【請求項29】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基をを併有する重合体(a−1)と、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合
    反応せしめて得られるものである、請求項26に記載の
    製造法。
  30. 【請求項30】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリ
    ル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)
    と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
    に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
    1)とを縮合反応せしめて得られるものである、請求項
    26に記載の製造法。
  31. 【請求項31】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)の存在下において、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸
    基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有
    するポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記
    した(a−1)と上記した(b−2)とを複合化せしめ
    たのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは
    完全に中和せしめて得られるものである、請求項26に
    記載の製造法。
  32. 【請求項32】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性
    基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併
    有する重合体(a−2)の存在下において、一分子中に
    少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
    有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に
    結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
    (b−2)と複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合
    物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られる
    ものである、請求項26に記載の製造法。
  33. 【請求項33】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、塩基性基と加水分解性シリル基をなる両基を併有
    する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少
    なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
    する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
    合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
    (b−2)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項26に記載の製造法。
  34. 【請求項34】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基と、
    これらの塩基性基および加水分解性シリル基なる両基以
    外の官能基を併有する重合体(a−2)の存在下におい
    て、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−
    2)と上記した(b−2)とを複合化せしめることによ
    り得られるものである、請求項26に記載の製造法。
  35. 【請求項35】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
    を併有する重合体(a−1)を調製する過程で、上記し
    た(a−1)と上記した(b−1)とを複合化せしめた
    のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
    全に中和せしめて得られるものである、請求項26に記
    載の製造法。
  36. 【請求項36】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基と加水分解性シリル基なる両基と、
    これらの塩基性基ならびに加水分解性シリル基なる両基
    以外の官能基を併有する重合体(a−2)を調製する過
    程で、上記した(a−2)と上記した(b−1)とを複
    合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中
    和ないしは完全に中和せしめて得られるものである、請
    求項26に記載の製造法。
  37. 【請求項37】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
    リル基なる両基を併有する重合体(a−1)を調製する
    過程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを
    複合化せしめることにより得られるものである、請求項
    26に記載の製造法。
  38. 【請求項38】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基と加水分解性シリル
    基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリ
    ル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)
    を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した(b
    −1)とを複合化せしめることにより得られるものであ
    る、請求項26に記載の製造法。
  39. 【請求項39】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸
    基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製す
    る反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性化合物
    で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるも
    のである、請求項26に記載の製造法。
  40. 【請求項40】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性
    基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併
    有する重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に
    少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
    有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に
    結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基
    を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
    て得られるものである、請求項26に記載の製造法。
  41. 【請求項41】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反応
    と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう過
    程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを複
    合化せしめることにより得られるものである、請求項2
    6に記載の製造法。
  42. 【請求項42】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基と、これら塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)を
    調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原
    子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分
    解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分
    岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応を並行
    して行なう過程で、上記した(a−2)と上記した(b
    −2)と複合化せしめることにより得られるものであ
    る、請求項26に記載の製造法。
  43. 【請求項43】 前記した重合体(a−2)が、塩基性
    基および加水分解シリル基以外の官能基として、水酸
    基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロック
    されたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シクロカー
    ボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド、
    カーバメート基および下記の構造式(S−II) 【化4】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項28、30、
    32、34、36、38、40または42のいずれかに
    記載の製造法。
  44. 【請求項44】 前記した重合体セグメント(A)が、
    ビニル系重合体セグメントである、請求項26に記載の
    製造法。
  45. 【請求項45】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単量体
    を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調製さ
    れるビニル系重合体である、請求項27、29、31、
    33、35、37、39または41のいずれかに記載の
    製造法。
  46. 【請求項46】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を有する
    ビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラジカル重
    合せしめて調製されるビニル系重合体である、請求項2
    8、30、32、34、36、38、40または42の
    いずれかに記載の製造法。
  47. 【請求項47】 前記した、重合体(a−1)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項27、29、31、33、35、37、39
    または41のいずれかに記載の製造法。
  48. 【請求項48】 前記した、重合体(a−2)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項28、30、32、34、36、38、40
    または42のいずれかに記載の製造法。
  49. 【請求項49】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須の成分として含有する珪素化合物類の加水分
    解縮合物ないしは部分加水分解縮合物である、請求項2
    7〜30または35〜38のいずれかに記載の製造法。
  50. 【請求項50】 前記した、一分子に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物およびその部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項31〜34、39〜42または49の
    いずれかに記載の製造法。
  51. 【請求項51】 酸性化合物で以て中和された塩基性基
    を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合し
    た水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント
    (B)で構成され、しかも、上記した(A)と上記した
    (B)とが、下記の構造式(S−I) 【化5】 (ただし、式中、炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子のみに結合した他方の珪素原子は、ポリシロキ
    サンセグメント(B)の一部分を構成するものとす
    る。)で示される結合を介して化学的に複合化している
    複合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得ら
    れる水性樹脂(D)を、必須の成分として含有すること
    を特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  52. 【請求項52】 酸性化合物で以て中和された塩基性基
    を有する重合体セグメント(A)と、珪素原子に結合し
    た水酸基を有する分岐したポリシロキサンセグメント
    (B)で構成され、しかも、上記した(A)と上記した
    (B)とが、下記の構造式(S−I) 【化6】 (ただし、式中、炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子のみに結合した他方の珪素原子は、ポリシロキ
    サ ンセグメント(B)の一部分を構成するものとす
    る。)で示される結合を介して化学的に複合化している
    複合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得ら
    れる水性樹脂(D)と、該水性樹脂(D)中に含まれる
    官能基と反応する官能基を有する化合物(E)とを、必
    須の成分として含有することを特徴とする、水性硬化性
    樹脂組成物。
  53. 【請求項53】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基を併有する重合体(a−1)
    と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
    に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
    1)とを縮合反応させたのち、塩基性基を酸性化合物で
    以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるもの
    である、請求項51または52に記載の組成物。
  54. 【請求項54】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性
    基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併
    有する重合体(a−2)と、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめたの
    ち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全
    に中和せしめて得られるものである、請求項51または
    52に記載の組成物。
  55. 【請求項55】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基を併有する重合体(a−1)と、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反
    応せしめて得られるものである、請求項51または52
    に記載の組成物。
  56. 【請求項56】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性シリ
    ル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)
    と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
    に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
    1)とを縮合反応せしめて得られるものである、請求項
    51または52に記載の組成物。
  57. 【請求項57】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)の存在下において、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸
    基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製す
    る過程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)と
    を複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部
    分中和ないしは完全に中和せしめて得られるものであ
    る、請求項51または52に記載の組成物。
  58. 【請求項58】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    と加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併有す
    る重合体(a−2)の存在下において、一分子中に少な
    くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    る珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合
    した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)
    を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した(b
    −2)と複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で
    以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるもの
    である、請求項51または52に記載の組成物。
  59. 【請求項59】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基を併
    有する重合体(a−1)の存在下において、一分子中に
    少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
    有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に
    結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する過程で、上記した(a−1)と上記した
    (b−2)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項51または52に記載の組成物。
  60. 【請求項60】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基と、
    これらの塩基性基および加水分解性シリル基なる両基以
    外の官能基を併有する重合体(a−2)の存在下におい
    て、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した(a−
    2)と上記した(b−2)とを複合化せしめることによ
    り得られるものである、請求項51または52に記載の
    組成物。
  61. 【請求項61】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
    を併有する重合体(a−1)を調製する過程で、上記し
    た(a−1)と上記した(b−1)とを複合化せしめた
    のち、塩基性基を酸性化合物で以て部分中和ないしは完
    全に中和せしめて得られるものである、請求項51また
    は52に記載の組成物。
  62. 【請求項62】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、塩基性基および加水分解性シリル基なる両基
    と、これらの塩基性基および加水分解性シリル基なる両
    基以外の官能基を併有する重合体(a−2)を調製する
    過程で、上記した(a−2)と上記した(b−1)とを
    複合化せしめたのち、塩基性基を酸性化合物で以て部分
    中和ないしは完全に中和せしめて得られるものである、
    請求項51または52に記載の組成物。
  63. 【請求項63】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
    リル基なる両基を併有する重合体(a−1)を調製する
    過程で、上記した(a−1)と上記した(b−1)とを
    複合化せしめることにより得られるものである、請求項
    51または52に記載の組成物。
  64. 【請求項64】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
    子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
    −1)の存在下において、塩基性基および加水分解性シ
    リル基なる両基と、これらの塩基性基および加水分解性
    シリル基なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−
    2)を調製する過程で、上記した(a−2)と上記した
    (b−1)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項51または52に記載の組成物。
  65. 【請求項65】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (a−1)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸
    基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製す
    る反応を並行して行なったのち、塩基性基を酸性化合物
    で以て部分中和ないしは完全に中和せしめて得られるも
    のである、請求項51または52に記載の組成物。
  66. 【請求項66】 前記した複合樹脂(C)が、塩基性基
    および加水分解性シリル基なる両基と、これらの塩基性
    基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を併
    有する重合体(a−2)を調製する反応と、一分子中に
    少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
    有する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に
    結合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
    2)を調製する反応を並行して行なったのち、塩基性基
    を酸性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめ
    て得られるものである、請求項51または52に記載の
    組成物。
  67. 【請求項67】 前記した複合樹脂(C)が、酸性化合
    物の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル
    基なる両基を有する重合体(a−1)を調製する反応
    と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する反応を並行して行なう過
    程で、上記した(a−1)と上記した(b−2)とを複
    合化せしめることにより得られるものである、請求項5
    1または52に記載の組成物。
  68. 【請求項68】前記した複合樹脂(C)が、酸性化合物
    の存在下において、塩基性基および加水分解性シリル基
    なる両基と、これら塩基性基および加水分解性シリル基
    なる両基以外の官能基を併有する重合体(a−2)を調
    製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子
    に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解
    縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐
    したポリシロキサン(b−2)を調製する反応を並行し
    て行なう過程で、上記した(a−2)と上記した(b−
    2)と複合化せしめることにより得られるものである、
    請求項51または52に記載の組成物。
  69. 【請求項69】 前記した重合体(a−2)が、塩基性
    基および加水分解シリル基以外の官能基として、水酸
    基、ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロック
    されたカルボキシル基、カルボン酸無水基、シクロカー
    ボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド、
    カーバメート基および下記の構造式(S−II) 【化7】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項54、56、
    58、60、62、64、66または68のいずれかに
    記載の組成物。
  70. 【請求項70】 前記した重合体セグメント(A)が、
    ビニル系重合体セグメントである請求項51または52
    に記載の組成物。
  71. 【請求項71】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基を有するビニル系単量体
    を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調製さ
    れるビニル系重合体である、請求項53、55、57、
    59、61、63、65または67のいずれかに記載の
    組成物。
  72. 【請求項72】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤より選ばれる、少なくとも1種
    の化合物の存在下に、塩基性基と、これらの塩基性基お
    よび加水分解性シリル基なる両基以外の官能基を有する
    ビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラジカル重
    合せしめて調製されるビニル系重合体である、請求項5
    4、56、58、60、62、64、66または68の
    いずれかに記載の組成物。
  73. 【請求項73】 前記した、重合体(a−1)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項53、55、57、59、61、63、65
    または67のいずれかに記載の組成物。
  74. 【請求項74】 前記した、重合体(a−2)中に含ま
    れる加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であ
    る、請求項54、56、58、60、62、64、66
    または68のいずれかに記載の組成物。
  75. 【請求項75】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須の成分として含有する珪素化合物類の加水分
    解縮合物ないしは部分加水分解縮合物である、請求項5
    3〜56または61〜64のいずれかに記載の組成物。
  76. 【請求項76】 前記した、一分子に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物およびその部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項57〜60、65〜68または75の
    いずれかに記載の組成物。
  77. 【請求項77】 前記した化合物(E)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基
    と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合
    物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分
    解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合
    物、ブロックイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合
    物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級
    ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合
    物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれ
    る、少なくとも1種の化合物である、請求項51または
    52に記載の組成物。
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