JPH10154763A - 電子部品用容器及びこれを用いた水晶発振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】金属カバーと樹脂基板のアース電極とを導通し
得る構造として、しかも金属カバーの樹脂基板に対する
位置精度を高め、もって寸法精度を良好とした電子部品
用容器及びこれを用いた水晶発振器を提供する。 【構成】裏面にアース電極を有して少なくとも対向する
一組の側面に凹部を有する矩形状の樹脂基板と、前記樹
脂基板の各４辺の外周表面に当接する突出部を有し、前
記突出部から延出して前記樹脂基板の凹部に挿入される
脚部を有するとともに、開口端面を前記樹脂基板の板面
より小さい金属カバーとを具備する電子部品用容器であ
って、 前記樹脂基板の凹部側に突出した膨出部を前記
金属カバーの脚部に設けるとともに、前記樹脂基板の凹
部間Ａ、金属カバーの脚部間Ｂ及び脚部の膨出部間Ｃの
関係をＡ≒Ｂ≧Ｃとし、前記金属カバーの脚部間の弾性
により、該金属カバーと前記樹脂基板とを嵌め合わせた
構成とする。また、このような電子部品用容器内に回路
素子を収容して水晶発振器を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電子部品用容器及びこれ
を用いた水晶発振器を利用分野とし、特にシート状の樹
脂基板（シート状基板とする）を用いて一体的に水晶発
振器を形成した後、個々に分割して製造される水晶発振
器の容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】（発明の背景）水晶発振器は、発振周波
数が安定なことから、種々の電子機器に周波数及び時間
源として多用されている。近年では、需要の増大に伴
い、生産性に優れた製造方法が求められている。このよ
うな製造方法の一つに例えばシート状基板により、一体
的に複数の水晶発振器を形成した後、個々に分割するよ
うにしたものがある。

【０００３】（従来技術の一例）第４図は、この種の一
従来例を説明する図で、シート状基板による水晶発振器
の製造方法を示す図である。水晶発振器は、縦横に断続
して分割溝１の形成されたシート状基板２を用いて一体
的に形成される。矩形状の各樹脂基板３は縦横の分割溝
１に囲まれてなり、主面には図示しない回路パターンを
有し、図示しない水晶振動子及びＩＣ等の回路素子が配
設される。そして、樹脂基板３の４隅の小孔４に、樹脂
カバー５（第５図参照）の突起６を嵌合して被せた後、
個々の水晶発振器に分割するようにしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする解決課題】

（問題点）しかしながら、上記構成のものでは、樹脂基
板３及び樹脂カバー５とから容器７を形成するので、Ｅ
ＭＩ（電磁波障害）による弊害があった。このことか
ら、樹脂基板３の裏面にはアース電極８を形成し、樹脂
カバー５を金属カバー９にすることが考えられた。

【０００５】例えば、第６図及び７図に示したように、
樹脂基板３の裏面にアース電極８を形成し、側面に凹部
１０を設けてアース電極８に接続する側面電極１１を形
成する。金属カバー９には、樹脂基板３の外周表面に当
接する突出部１２を設けて、脚部１３を延出する。そし
て、金属カバー９を各樹脂基板３上に載せ、脚部１３を
側面電極１１に半田付けすることが考えられた。図中の
符号１４は、主面の電極パターンから延出した面実装用
の電極である。なお、樹脂基板３の外周側面に金属カバ
ー９を被せると、金属カバー９の開口先端が、図示しな
い回路基板の導電路等に接触するおそれがあり、このよ
うな構造になる。

【０００６】しかし、このようなものでは、シート状基
板２にそれぞれ金属カバー９を被せて、例えば個々に半
田付けする際、あるいはクリーム半田を塗布して、高熱
炉あるいはレーザ等により溶融して接合する際、ガタツ
キを生じて金属カバー９の樹脂基板３に対する位置決め
が十分でない状態で、接合される問題があった。例え
ば、金属カバー９が傾斜して位置決めされると、個々の
樹脂基板３に分割する際、切断刃が当たって、金属カバ
ー９に損傷や変形を生じさせ、高さ寸法等を規格外とし
て不良品を生ずることになる。また、側面電極１１と脚
部１３とは基本的に互いの露出面にて半田接合されるの
で、機械的強度も損なわれる問題もあった。

【０００７】（目的）本発明は、金属カバーと樹脂基板
のアース電極とを導通し得る構造として、しかも金属カ
バーの樹脂基板に対する位置精度を高め、もって寸法精
度を良好とした電子部品用容器及びこれを用いた水晶発
振器を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、金属カバーの
開口端面を樹脂基板の板面より小さくして一組の対向す
る脚部に膨出部を設け、樹脂基板の凹部間Ａ、金属カバ
ーの脚部間Ｂ及び脚部の膨出部間Ｃの関係をＡ≒Ｂ≧Ｃ
あるいはＡ≧Ｂ≧Ｃとしことを、基本的な解決手段とす
る。

【０００９】

【作用】このような解決手段により、金属カバーの脚部
間に弾性を生じて、金属カバーと樹脂基板とを機械的に
結合する基本的な作用を有する。以下、本発明の実施例
を作用とともに詳述する。

【００１０】

【第１実施例】第１図は本発明の一実施例を説明する水
晶発振器の図てある。なお、前従来例図と同一部分に
は、同番号を付与してその説明は省略する。水晶発振器
は、前述と同様に、縦横に断続して分割溝１の形成され
たシート状基板２に（前第 図参照）、水晶振動子及び
ＩＣ等の回路素子（未図示）が配設され、金属カバー９
を被せて一体的に形成した後、個々に分割される。

【００１１】そして、この実施例では、先述したように
アース電極８（未図示）を裏面に有する樹脂基板の４側
面に凹部１０を設け、アース電極８に接続する側面電極
１１を形成する。金属カバー９は、樹脂基板３の外周表
面に当接する突出部１２を各カバー側面の中央部分に設
け、さらにその中央先端から延出した脚部１３を有す
る。そして、全ての脚部１３に樹脂基板３の凹部側に突
出した膨出部１５を設けてなる。

【００１２】但し、第２図の分解側面図に示したよう
に、金属カバー９の開口端面は樹脂基板４の板面より大
きく設定される。すなわち、樹脂基板３と金属カバー９
の中心線ＸーＸ’を一致させたとき、両端側でギャップ
（外形ギャップとする）Ｇ１を生ずるようにする。ま
た、凹部１０の幅は脚部１３より大きくし、中心線に対
して両側でギャップ（凹部ギャップとする）Ｇ２≧Ｇ１
を持たせる。さらに、樹脂基板３の凹部間の長さＡと金
属カバー９の脚部間Ｂはほぼ等しく、膨出部間Ｃをこれ
らより短くする（即ちＡ≒Ｂ≧Ｃ）。

【００１３】このようなものでは、シート状基板２とし
た状態での各樹脂基板３の凹部に、金属カバー９の脚部
１３を押し込み挿入する。そして、側面電極１１と脚部
との四側面の少なくとも一箇所を図示しない半田により
接合して裏面のアース電極８と電気的に接続する。そし
て、シート状基板２を個々に分割して、複数の水晶発振
器を得る。

【００１４】このような構成であれば、金属カバー９の
脚部１３を樹脂基板３の凹部に押し込むと、脚部１３は
凹部内に誘導され、突出部１２が外周表面にて衝止す
る。そして、第３図の断面図で示したように、二組の対
向する方向で、突出部１２を含む脚部１３は「八」の字
状となって、膨出部１５により樹脂基板３と弾性的（機
械的）に接続する。

【００１５】また、外形ギャップＧ１より凹部ギャップ
Ｇ２は小さくしたので、金属カバー９と樹脂基板３との
嵌め合わせ時に、例え横方向へのズレがあったとして
も、脚部１３が凹部内での移動を制限され、金属カバー
９が樹脂基板３から脱落することがない。したがって、
二組の対向する方向で弾性的に位置決めされ、しかも脚
部１３移動が制限され、樹脂基板３と金属カバー９の中
心が一致して結合する。

【００１６】また、図示しない半田が、膨出部１５によ
り生じた、脚部１３と側面電極１１との間隙に侵入する
ので、両者を面接合する。したがって、両者の接合強度
を高めることができる。

【００１７】このようなことから、金属カバー９は各樹
脂基板３上に、正しく位置決めされてガタツクことなく
高精度に固定される。したがって、シート基板２を分割
する際、切断刃が金属カバー９に当たることなく、スム
ーズな作業を遂行できる。

【００１８】

【他の事項】上記実施例では、樹脂基板３の対向する２
組の側面（即ちすべての側面）に凹部を設けて、金属カ
バー９の脚部１３を２組の対向する方向で弾性作用を持
たせて嵌め合わせたが、これに限らず次のようにしても
よい。なお、これらの各図は省略する。

【００１９】すなわち、樹脂基板３の対向する一組の側
面に凹部１０を設けて、これに対応した金属カバー９の
一組の脚部間で弾性作用を持たせて、嵌め合わせる。そ
して、いずれか一方あるいは両側側で、側面電極１１と
脚部１３とを半田付けすればよい。このようなものであ
っても、前述したように外形ギャップＧ１より凹部ギャ
ップＧ２は小さいので、脚部１３が凹部内での移動を制
限され、金属カバー９が樹脂基板３から脱落することが
なく、正しく位置決めされる。

【００２０】さらには、樹脂基板３の電極パターン（未
図示）との関係から、一組の脚部間で樹脂基板３とを位
置決め固定し、他組に設けた側面電極１１の一つと金属
カバー９の脚部１３とを接合して、裏面のアース電極と
電気的接続を得るようにしてもよい。この場合の脚部１
３は、単に電気的接続であるので、膨出部１５はなくと
もよい。

【００２１】また、樹脂基板の一組の対向する側面には
それぞれ一つの凹部を設けてこれに対応する脚部１３を
嵌め合わせたが、例えば側面に二つの凹部を設けてこれ
に対応する脚部１３を嵌め合わせるようにしてもよい。

【００２２】また、樹脂基板３の凹部間の長さＡ、金属
カバー９の脚部間Ｂ及び膨出部間Ｃの関係はＡ≒Ｂ≧Ｃ
としたが、要は、脚部を樹脂基板の凹部に押し込んだと
きに弾性作用を得るようにすればよいので、Ａ≧Ｂ≧Ｃ
の関係となっていてもよい。

【００２３】

【発明の効果】本発明は、金属カバーの開口端面を樹脂
基板の板面より小さくして一組の対向する脚部に膨出部
を設け、樹脂基板の凹部間Ａ、金属カバーの脚部間Ｂ及
び脚部の膨出部間Ｃの関係をＡ≒Ｂ≧ＣあるいはＡ≧Ｂ
≧Ｃとしたので、金属カバーの樹脂基板に対する位置精
度を高め、もって寸法精度を良好とした電子部品用容器
及びこれを用いた水晶発振器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明する水晶発振器（容
器）の分解斜視図である。

【図２】本発明の一実施例を説明する容器の分解側面図
である。

【図３】本発明の一実施例の作用を説明する容器の裁断
面図である。

【図４】従来例を説明するシート状基板による水晶発振
器の製造方法を示す図である。

【図５】従来例を説明する樹脂カバーの図である。

【図６】従来例に対する一案としての容器の図で、同図
（ａ）は分解図、図（ｂ）は樹脂基板の裏面図である。

【図７】従来例に対する一案としての容器の側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 分割溝、２ シート状基板、３ 樹脂基板、４ 小
孔、５ 樹脂カバー、６ 突起、７ 容器、８ シール
ド電極、９ 金属カバー、１０ 凹部、１１側面電極、
１２ 突出部、１３ 脚部、１４ 実装用の電極、１５
膨出部．

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】裏面にアース電極を有して少なくとも対向
   する一組の側面に凹部を有する矩形状の樹脂基板と、 前記樹脂基板の各４辺の外周表面に当接する突出部を有
   し、前記突出部から延出して前記樹脂基板の凹部に挿入
   される脚部を有するとともに、開口端面を前記樹脂基板
   の板面より小さい金属カバーとを具備する電子部品用容
   器であって、 前記樹脂基板の凹部側に突出した膨出部を前記金属カバ
   ーの脚部に設けるとともに、前記樹脂基板の凹部間Ａ、
   金属カバーの脚部間Ｂ及び脚部の膨出部間Ｃの関係をＡ
   ≒Ｂ≧Ｃとし、 前記金属カバーの脚部間の弾性により、該金属カバーと
   前記樹脂基板とを嵌め合わせたことを特徴とする電子部
   品用容器。
2. 【請求項２】請求項１の電子部品用容器内に回路素子を
   収容して構成したことを特徴とする水晶発振器。