JPH10130852A - アルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法 - Google Patents

アルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法

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JPH10130852A
JPH10130852A JP29809196A JP29809196A JPH10130852A JP H10130852 A JPH10130852 A JP H10130852A JP 29809196 A JP29809196 A JP 29809196A JP 29809196 A JP29809196 A JP 29809196A JP H10130852 A JPH10130852 A JP H10130852A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のアルミヘの亜鉛置換ニッケルメッキ方
法においては、前記活性化処理および亜鉛置換処理を複
数回行なわないと、アルミ表面に亜鉛結晶粒子を均一に
析出できなかったので、電子デバイス等のアルミ端子、
あるいは、各種アルミ部品や磁気ディスクのアルミ基板
等の、処理工程数が多くなり、生産性が低下してコスト
高になる問題があった。 【解決手段】 酸化処理工程で、基板11上に形成され
ているアルミ端子12の表面を、高出力の酸素プラズマ
装置で強制的に発熱させて酸化膜13を形成し、次の粗
面化処理工程で、前記酸化膜13を、リン酸三ナトリウ
ムあるいはリン酸三カリウムの水溶液等でエッチングす
ることにより、アルミの粒界部分から選択的に異方性エ
ッチングが進行して、アルミ12の表面に、高密度で均
一な突起12aが無数に形成されて粗面化され、亜鉛結
晶粒子14の析出性および密着性を高めることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミからなる軽
量部品、あるいは基板、あるいは端子等への亜鉛置換無
電解ニッケルメッキ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルミは軽量かつ電気、熱伝
導性に優れているだけでなく、加工が容易であるなどの
特性を有し、且つ安価であるので、工業的に広く利用さ
れている金属である。例えば、自動車の燃費向上を目的
とした軽量化部品、あるいは各種電子デバイスの電極材
料、あるいは磁気ディスク基板材料等へと数多くの用途
がある。これら、アルミおよびアルミ合金等からなる各
種部品、あるいは電子デバイスの表面に、メッキを施す
場合の前処理として、亜鉛置換法が一般的に知られてい
る。この種の従来のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ
方法の工程について、電子デバイス等に広く使われてい
るアルミ端子を例に、その工程フローを図4に従って説
明する。まず、第1の工程は、アルカリ液にアルミ端子
を浸漬してアルミの表面の油脂分を除去する脱脂処理工
程である。次の第2の工程は、フッ酸、あるいは塩酸、
あるいはリン酸、あるいは硫酸、あるいは水酸化ナトリ
ウム、あるいは水酸化カリウム等の、酸あるいはアルカ
リのアルミエッチング液で、アルミ端子をエッチングし
て、アルミ端子の表面を粗面化する粗面化処理工程であ
る。この従来の粗面化処理工程は前工程でアルミ端子の
脱脂処理しかされてないので、この粗面化処理によって
形成されたアルミ端子表面の凹凸は、該凹凸の段差が小
さく、また凹凸の分布にバラツキがあった。
【0003】次の第3の工程は、前記第2の工程で粗面
化されたアルミ端子の表面を、硝酸等で酸化膜を形成す
る第1の活性化処理工程である。次の第4の工程は、水
酸化ナトリウムと酸化亜鉛を主成分とする亜鉛置換液に
アルミ端子を浸漬することにより、前記第3の工程で形
成した酸化膜を溶解して、前記粗面化されたアルミ端子
の表面に亜鉛結晶粒子を析出させながら、同時に亜鉛結
晶粒子の周辺のアルミを局部電池効果により溶解させ
て、前記第2の工程で粗面化されたアルミ端子の表面を
更に粗面化する、第1の亜鉛置換処理工程である。そし
て、この亜鉛置換処理工程で析出する亜鉛結晶粒子は、
前記粗面化処理工程で粗面化された、アルミ端子表面の
凹凸の段差が大きくて均一なものでないと、アルミ端子
の端面からなるコーナー部や、アルミ端子表面に傷等に
よって生じた突起等に優先的に析出する性質がある。そ
のために、従来の粗面化処理では、アルミ端子表面の粗
面化された凹凸は、その段差が小さかったので、前記第
1の亜鉛置換処理工程の1回だけの処理では、亜鉛結晶
粒子の析出密度分布に大きなバラツキとムラがあった。
図5の写真は、前記第1の亜鉛置換処理工程で析出した
亜鉛結晶粒子を、走行型電子顕微鏡(SEM)で撮影し
たもので、アルミ端子のコーナ部に亜鉛結晶粒子が集中
して析出しているのがわかる。次の第5の工程は、前記
第1の活性化処理と同様の硝酸により、前記第1の亜鉛
置換処理工程で、アルミの表面に析出した亜鉛結晶粒子
を溶解して、活性化されたアルミの表面に酸化膜を形成
する第2の活性化処理工程であり、次工程の第2の亜鉛
置換処理工程の亜鉛置換処理による亜鉛結晶粒子の析出
性を高めるものである。
【0004】次の第6の工程は、前記第1の亜鉛置換処
理工程と同様の処理を繰り返す第2の亜鉛置換処理工程
である。そして、この第2の亜鉛置換処理工程では、前
記粗面化処理工程および第1の亜鉛置換処理工程で、小
さい凹凸ではあるが、比較的粗面化されているアルミ表
面に、更に粗面化を進行させながら、同時に亜鉛結晶粒
子を析出するので、該亜鉛結晶粒子の析出性が改善され
て、アルミ表面の亜鉛結晶粒子の析出密度がほぼ均一化
される。しかし、アルミ端子表面が特別に平滑でツルツ
ル状態の場合には、前記2回の活性化処理と亜鉛置換処
理とを行なっても、アルミ端子表面の粗面化による凹凸
の段差が小さいので、亜鉛結晶粒子を均一に析出するの
が困難であった。このような場合には、前記第6の工程
の、第2の亜鉛置換処理工程が終了後に、更に、図4の
破線で囲んだ部分の活性化処理と、亜鉛置換処理とを繰
り返して、アルミ端子表面の粗面化による凹凸の段差を
大きくして、アルミ端子表面の全面に亜鉛結晶粒子を高
密度に均一に析出させることを行なっていた。
【0005】そして、前記第2の亜鉛置換処理工程、あ
るいは、前記繰り返しの活性化処理および亜鉛置換処理
で適正な亜鉛結晶粒子が析出されると、次に、第7の工
程の無電解ニッケルメッキ工程で、アルミ端子を無電解
ニッケルメッキ液に浸漬して亜鉛とニッケルの置換反応
によって、アルミ表面にニッケルメッキを行う。そし
て、該ニッケルメッキを施したアルミ端子の用途は、電
子デバイス、例えば、サーマルヘッドや半導体チップ等
のアルミ端子等に、前記無電解ニッケルメッキを施し
て、このニッケルメッキ上に耐蝕性、あるいはハンダ付
け性に優れた、スズ等の金属がメツキされて、各種電子
機器に使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような、従来のア
ルミヘの亜鉛置換ニッケルメッキ方法においては、アル
ミ端子を脱脂処理後に粗面化処理と第1の亜鉛置換処理
を行って、アルミ端子表面を粗面化していたが、この粗
面化処理と第1の亜鉛置換処理で粗面化された凹凸の段
差は小さくて、また、ムラになったりしていた。そし
て、このような不均一に粗面化されたアルミ表面に、1
回だけの亜鉛置換処理では、均一で適正な大きさの亜鉛
結晶粒子を形成することはできなかった。そのために、
亜鉛置換処理工程と活性化処理工程とを、複数回繰り返
してアルミ端子表面の凹凸の段差が大きくなるまで粗面
化を行っていた。そのために、一般の電子デバイス等の
アルミ端子は、その膜厚が約1〜2umと大変薄いもの
が多いため、前記亜鉛置換処理工程と活性化処理工程と
を、複数回繰り返すと、前記薄膜のアルミ端子がエッチ
ングされて消失したり、アルミ端子が縞状のムラになっ
たりしていた。そして、このような状態のアルミ端子
に、前記亜鉛置換処理を施しても、亜鉛結晶粒子の析出
ムラが発生したり、さらには、亜鉛結晶粒子の析出が不
能になることがあり、電子デバイス等の信頼性および製
造歩留まりを著しく低下させる等の問題がある。
【0007】また、前述のように従来のアルミヘの亜鉛
置換ニッケルメッキ方法においては、前記活性化処理お
よび亜鉛置換処理を複数回行なわないと、アルミ表面に
適正な亜鉛結晶粒子を均一に析出できなかったので、電
子デバイス等のアルミ端子、あるいは、各種アルミ部品
や磁気ディスクのアルミ基板等の、処理工程数が多くな
り、生産性が低下してコスト高になる問題があった。
【0008】また、前述のように従来のアルミヘの亜鉛
置換ニッケルメッキ方法においては、第2の工程の粗面
化処理工程で、フッ酸、塩酸、リン酸、硫酸、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等の、取り扱いに注意を要す
るアルミエッチング液で、アルミをエッチングしていた
ので、これらアルミエッチング液の取り扱い、および管
理に特別の注意を払わなければいけなかった。
【0009】
【謀題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段として、アルミの表面に酸化膜を形成する
酸化処理工程と、該酸化処理工程で形成された前記酸化
膜を酸またはアルカリエッチングにより粗面化する粗面
化処理工程と、該粗面化処理工程で粗面化された前記ア
ルミの表面に亜鉛結晶粒子を析出させる亜鉛置換処理工
程と、該亜鉛置換処理工程で亜鉛結晶粒子を析出させた
アルミ表面に無電解ニッケルメッキ処理を行う無電解ニ
ッケルメッキ処理工程とを有する構成とした。また、前
記課題を解決するための第2の手段として、前記酸化処
理工程は、酸化雰囲気中熱処理または酸化雰囲気中プラ
ズマ処理で酸化膜を形成する構成とした。また、前記課
題を解決するための第3の手段として、前記粗面化処理
工程は、リン酸またはリン酸の強アルカリ金属塩でエッ
チングする構成とした。また、前記課題を解決するため
の第4の手段として、前記粗面化処理工程は、前記酸化
処理工程で形成された酸化膜を部分的に残した状態でエ
ッチングを停止させる構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアルミへの亜鉛置
換ニッケルメッキ方法の実施の形態を電子デバイス等に
広く使用されているアルミ端子を例に、図1・図2を用
いて説明する。図1は、例えば、電子デバイス等のアル
ミナやシリコンから成る基板11上に形成されたアルミ
端子12に、本発明のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッ
キ方法によりニッケルメッキを施す、工程別の要部の変
化を説明する模式図で、図2はその工程フローである。
まず、第1の工程は、前記基板11上にアルミ端子12
が形成されていて、該アルミ端子12を強制的に熱酸化
させて、アルミ端子の表面に酸化膜13を形成する酸化
処理工程である。この酸化処理工程は、略300℃〜5
00℃の酸化雰囲気炉で、強制的に酸化雰囲気中熱処理
を行って酸化膜13を形成する方法、あるいは、高出力
の酸素プラズマ装置で、強制的に酸化雰囲気中プラズマ
処理を行ってアルミ表面を発熱させて酸化膜13を形成
する方法等がある。そして、これら強制熱酸化処理によ
って形成された酸化膜13は、従来のアルミへの亜鉛置
換ニッケルメッキ方法の活性化処理工程で形成する自然
酸化膜より厚く強固に形成することができる。そのため
に、アルミの各結晶粒間の境界面である粒界の、エッチ
ング異方性を顕在化させることができる。また、この酸
化処理工程の強制熱酸化処理を前記酸化雰囲気中プラズ
マ処理で行うと、該処理でアルミ表面の有機物が除去さ
れて、従来のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法の
脱脂処理工程を省くことができる。
【0011】次に第2の工程は粗面化処理工程で、前記
第1の工程の強制熱酸化処理により形成された酸化膜1
3を、リン酸の強アルカリ金属塩であるリン酸三ナトリ
ウムあるいはリン酸三カリウムの水溶液等でエッチング
することにより、アルミの粒界部分から選択的に異方性
エッチングが進行して、酸化膜13とアルミ端子12が
選択的に浸食されて、アルミ端子12の表面に高密度で
均一な、且つ、凹凸の段差が大きい突起12aが無数に
形成されて粗面化さる。そして、前記酸化処理工程で形
成された酸化膜13を部分的に残した状態でエッチング
を停止させて粗面化処理は終了する。
【0012】そして、前記粗面化処理工程のメカニズム
について、酸化膜13のエッチング進行状況を走査型電
子顕微鏡(SEM)で観察すると、アルミの結晶粒界に
沿って選択的に酸化膜13のエッチングが始まり、酸化
膜13に微細な蜂の巣状の亀裂13aが生じて、該亀裂
13aにより分割された酸化膜13が、亀の甲羅状の部
分酸化膜13bに形成される。そして、この亀の甲羅状
の部分酸化膜13bが、あたかもフォトリソ技術のフオ
トレジストの如く、アルミ端子12の表面を蜂の巣状に
マスクする作用をなしている。そして、隣り合った部分
酸化膜13b・13bとの間の亀裂13aの隙間をエッ
チングの進行によって大きくさせながら、それと同時に
前記亀裂13aにエッチング液が侵入して、アルミ端子
12の表面の結晶粒界が異方性エッチングされて、部分
酸化膜13bでマスクされてない部分が浸食されて、前
記突起12aがアルミ端子12の表面に均一に形成され
て粗面化される。また、前記突起12aの頂上部は部分
酸化膜13bでマスキングされているので、部分酸化膜
13bがなくなるまでは浸食されないし、前記亀裂13
aの部分酸化膜13bでマスキングされてない部分は、
更にエッチングが進行して、突起12aの凹凸の段差を
大きくすることができるので、アルミ端子12の表面に
後述する亜鉛結晶粒子14を析出するのに最適な粗面化
状態を形成できる。
【0013】また、アルミ端子12の表面が特別に平滑
なツルツルの面であったとしても、前記亀の甲羅状の部
分酸化膜13bの形成メカニズムで、アルミ端子12の
表面が均一に粗面化される。また、前記突起12aの先
端から部分酸化膜13bが全て、エッチングされて消滅
した状態よりも、図1の第2の工程に示すように、前記
酸化処理工程で形成された酸化膜13を部分的に残した
状態でエッチングを停止させて、突起12aの先端に部
分酸化膜13bを若干残した状態の方が、後述する亜鉛
結晶粒子14の析出性が良好となることがわかった。そ
のために、従来の技術で説明した硝酸による活性化処理
工程を廃止することが可能になった。
【0014】次に、第3の工程は、従来の技術で説明し
た亜鉛置換処理工程と同様の、水酸化ナトリウムと酸化
亜鉛を主成分とする強アルカリ性の亜鉛置換液を用い
て、前記第2の工程で粗面化されたアルミ端子12の表
面の突起12aに、亜鉛結晶粒子14を析出させる亜鉛
置換処理工程である。そして、該亜鉛置換処理工程で
は、前記亜鉛置換液にアルミ端子12を浸潰することに
より、前記第2の工程で説明した、均一に粗面化された
アルミ端子12の表面の突起12aの先端に若干残って
いる、部分酸化膜13bを溶解しながら、前記突起12
a上に均一で高品質な亜鉛結晶粒子14を析出させてい
る。図3の写真は、前記第3の工程の亜鉛置換処理工程
で析出した亜鉛結晶粒子を、走行型電子顕微鏡(SE
M)で撮影したもので、前記従来の技術で説明した図5
の亜鉛結晶粒子の顕微鏡写真と比較して、アルミ端子の
表面のほぼ全面に均一な亜鉛結晶粒子14が析出してい
るのがよくわかる。また、アルミ表面が特別に平滑な面
であっても、前記粗面化処理工程でアルミ表面に突起1
2aが均一に形成されているので、この第3の工程の1
回だけの亜鉛置換処理で、突起12aの先端に均一で高
品質な亜鉛結晶粒子14を析出することができる。ま
た、更に、高品質の亜鉛結晶粒子14を析出したい場合
には、図2の破線で囲った部分の、従来の技術で説明し
た活性化処理と同様の活性化処理、および前記本発明の
亜鉛置換処理を追加することも、自由に選択することが
可能である。
【0015】次に、第4の工程は、無電解二ッケルメッ
キ工程であり、一般に市販されている無電解ニッケルメ
ッキ液、例えば、商品名が「プルーシユーマー」等を用
いて、前記第3の工程で析出された亜鉛結晶粒子14
と、前記無電解ニッケルメッキ液との間の置換反応によ
って、前記亜鉛結晶粒子14の表面にニッケルが析出さ
れる。そして、該ニッケルが無電解ニッケルメッキ反応
の触媒として働き、ニッケルが前記亜鉛結晶粒子14の
表面に島状析出する。そして、更に該島状析出が進行し
て、お互いの島状部分がつながって、連続膜へと析出が
進行して、図1の第4の工程のようなニッケル膜15が
形成される。このとき、本発明の方法で形成した亜鉛結
晶粒子14は大きさが均一で、高品質であるので、該亜
鉛結晶粒子14の表面には、膜厚が一定で高品質なニッ
ケル膜15を形成することができる。
【0016】そして、前記ニッケル膜15の上に、耐蝕
性およびハンダ付け性に優れた、スズ、あるいはスズ鉛
合金、あるいは金、あるいはパラジウム等の金属がメッ
キされて、各種電子デバイスに使用されている。また、
本発明の適用分野としては電子デバイス等のアルミ端子
に限定されるものではなく、その他のアルミ部品、ある
いはアルミ基板、あるいはアルミ電極等の、アルミある
いはアルミ合金を使ったもの全てに対応可能で、例えば
アルミ部品や磁気ディスク基板等において、ニッケルメ
ッキ後に研磨等の後加工がされる製品にも、本発明のア
ルミヘの亜鉛置換ニッケルメッキ方法を適用できること
は勿論のことである。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるアル
ミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法によれば、アルミの
表面に酸化膜を形成する酸化処理工程と、該酸化処理工
程で形成された前記酸化膜を酸またはアルカリエッチン
グにより粗面化する粗面化処理工程と、該粗面化処理工
程で粗面化された前記アルミの表面に亜鉛結晶粒子を析
出させる亜鉛置換処理工程と、該亜鉛置換処理工程で亜
鉛結晶粒子を析出させたアルミ表面に無電解ニッケルメ
ッキ処理を行うので、前記粗面化処理工程と前記亜鉛置
換処理工程との、それぞれ1回だけの処理で、高品質で
均一な適正な亜鉛結晶粒子を析出することができる。そ
のために、アルミ端子の薄い膜厚のアルミが、前記粗面
化処理工程あるいは前記亜鉛置換処理工程のエッチング
で消失したりムラになることがないので、本発明により
電子デバイス等の信頼性および製造歩留まりを向上する
ことができる。また、高品質で均一な亜鉛結晶粒子を、
前記一回だけの亜鉛置換処理で析出できるので、電子デ
バイスのアルミ端子製造の工程が短縮できて生産性を向
上させることができる。
【0018】また、前記酸化処理工程は、酸化雰囲気中
熱処理または酸化雰囲気中プラズマ処理で酸化膜を形成
するので、該酸化膜を従来の酸化膜より厚く形成でき
て、アルミの各結晶粒間の境界面である粒界の、エッチ
ング異方性を顕在化させることができるので、次工程の
粗面化処理工程で、アルミ表面を均一に粗面化すること
ができる。そのために、電子デバイス等のアルミ端子
の、無電解ニッケルメッキの品質バラツキを解消して、
電子デバイス等の歩留まりを向上することができる。ま
た、前記酸化処理工程を前記酸化雰囲気中プラズマ処理
で行うと、アルミ表面の有機物の除去能力を高めること
ができるので、従来の脱脂処理工程を省くことができ、
工程が短縮できて生産性を向上することができる。
【0019】また、前記粗面化処理工程は、リン酸の強
アルカリ金属塩であるリン酸三ナトリウムやリン酸三カ
リウム水溶液等でエッチングしているので、従来のアル
ミエッチング剤である、フッ酸、塩酸、リン酸、硫酸、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等と比較して人体に
対する有害性が低く、取り扱い性に優れている。また、
前記リン酸の強アルカリ金属塩であるリン酸三ナトリウ
ムやリン酸三カリウム水溶液等は、スズ等の酸性浴メッ
キ後の中和剤としても共用することができ、工程への適
合性に優れている。
【0020】また、前記粗面化処理工程は、前記酸化処
理工程で形成された酸化膜を部分的に残した状態でエッ
チングを停止させているので、次工程の亜鉛置換工程で
の亜鉛結晶粒子の析出性が良好となり、従来の硝酸によ
る活性化処理工程を省くことができるので、工程が短縮
できて生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方
法の工程別の模式図。
【図2】本発明のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方
法の工程フロー。
【図3】本発明の亜鉛置換処理工程で析出された顕微鏡
写真。
【図4】従来のアルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法
の工程フロー。
【図5】従来の第1の亜鉛置換処理工程で析出された顕
微鏡写真。
【符号の説明】
11 基板 12 アルミ端子 12a 突起 13 酸化膜 13a 亀裂 13b 部分酸化膜 14 亜鉛結晶粒子 15 ニッケルメッキ膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミの表面に酸化膜を形成する酸化処
    理工程と、該酸化処理工程で形成された前記酸化膜を酸
    またはアルカリエッチングにより粗面化する粗面化処理
    工程と、該粗面化処理工程で粗面化された前記アルミの
    表面に亜鉛の結晶粒子を析出させる亜鉛置換処理工程
    と、該亜鉛置換処理工程で亜鉛の結晶粒子を析出させた
    アルミ表面に無電解ニッケルメッキ処理を行う無電解ニ
    ッケルメッキ処理工程とを有することを特徴とするアル
    ミヘの亜鉛置換ニッケルメツキ方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化処理工程は、酸化雰囲気中熱処
    理または酸化雰囲気中プラズマ処理で酸化膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載のアルミヘの亜鉛置換ニ
    ッケルメッキ方法。
  3. 【請求項3】 前記粗面化処理工程は、リン酸の強アル
    カリ金属塩でエッチングして、アルミ表面を粗面化した
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミヘの亜鉛置換
    ニッケルメッキ方法。
  4. 【請求項4】 前記粗面化処理工程は、前記酸化処理工
    程で形成された酸化膜を部分的に残した状態でエッチン
    グを停止させることを特徴とする請求項1、あるいは3
    記載のアルミヘの亜鉛置換ニッケルメッキ方法。
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