JP3815429B2 - 半導体装置用テープキャリアの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密電子部品であるテープキャリアの製造方法、特に、半導体素子搭載用配線テープを作成するのに適した半導体装置用テープキャリアの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体装置用のテープキャリアは、図2に示すように、ポリイミド樹脂フィルム21に接着剤層22を介して銅箔23を貼り合わせ、銅箔23をパターニングして配線パターンを形成し、この上に銅リードとの安定した接合性を与えるために無電解スズめっき24を施した構造である。このような構造であると、耐熱性に優れたポリイミド樹脂フィルム21を使用しているにも拘らず、接着剤層22の性能によってテープキャリア全体としての耐熱性が制限されてしまい、半導体素子実装技術の高密度化、微細ピッチ化、軽量化の上で問題が出てきている。
【0003】
そこで、最近、図3(a)に示すように、ポリイミド樹脂フィルム31の上にニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層32を形成した後、電解法により銅箔33を形成した材料が開発され、テープ材の耐熱化および薄型化が達成されるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図3(a)に示すようなテープ材を用いてエッチングにより配線パターンを形成する場合、下地のニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層32は表面の銅箔33に比べてエッチング液に対する溶解性が一般に劣るため、エッチング後は、図3(b)に示すように、ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層32が銅箔33の配線パターからはみ出した状態で残留し、はみ出し部32’を形成してしまう。このような状態で更に銅箔33表面に無電解スズめっき34を施すと、図3(c)に示すように、配線パターン側面のスパッタ層32と銅箔33の界面部分からはみ出し部32’にかけてスズの異常析出35が現出し、隣接するリードに接触して短絡を起こす場合があるという問題が出てきた。
【0005】
このような問題を解決するために、無電解スズめっきの前処理でニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層32のはみ出し部32’を剥離除去してから無電解スズめっきを施す方法が提案されている(例えば、特許文献1)が、この場合スパッタ層32の剥離処理時に銅も一部溶解されてしまうので、剥離処理後のリード表面の外観ムラやパターン寸法の変動もあり、必ずしも十分とはいえない。
【0006】
また、スズめっき液中のスズ濃度を高濃度化させたり、スズめっきする際に最初にプレスズ層を形成し、その後スズめっき層を形成させるなどの方法も提案されている(例えば、特許文献2)が、建浴コストがかかる、工程が増加するなどの問題があり、必ずしも効果的でない。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−289650号公報
【特許文献2】
特開2001−168147号公報
【0008】
本発明は、上記に基づいてなされたものであり、無電解スズめっきの際に起きる配線パターン側面のスズの過剰析出を抑制し、高い信頼性を有する半導体装置用テープキャリアを実現できる製造方法の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、絶縁フィルム上にニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を介して銅層を形成し、該銅層の上に配線パターンに対応したレジストを形成してから該銅層をエッチングすることによりパターニングして配線パターンを形成し、該レジストを施した状態で前記ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を除去する処理を行い、しかる後にレジストを除去して前記配線パターン上に無電解めっきによりスズめっき層を形成する半導体装置用テープキャリアの製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1(a)〜(g)を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
【0011】
まず、(a)に示すように、ポリイミド樹脂フィルム1の上にニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層2を形成する。
【0012】
(b)に示すように、ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層2の上に電解銅めっきにより、銅層3を形成する。
【0013】
(c)に示すように、銅層3の上にエッチング用レジスト4を塗布し、更に露光・現像を行うことにより、配線パターンに対応したレジストパターン4を形成する。
【0014】
(d)に示すように、エッチングを行うことにより銅箔3を除去して配線パターン5を形成する。
【0015】
(e)に示すように、レジスト4を残した状態でニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層2を溶解処理剤で除去する。
【0016】
ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層2を除去する処理は、皮膜溶解剤、酸化剤、銅の腐食抑制剤、界面活性剤、錯化剤およびアミン化合物で建浴した溶解処理剤を用いて行われる。皮膜溶解剤は、シアン化合物、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、クロム酸、クエン酸およびギ酸から選ばれる少なくとも一種を含有するものである。酸化剤は、過酸化水素、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物および硝酸塩から選ばれる少なくとも一種を含有するものである。銅の腐食抑制剤は、メルカプトベンゾチアゾールおよびジチオカルバミン酸から選ばれる少なくとも一種を含有するものである。
【0017】
(f)に示すように、レジスト4を剥離し、配線パターン5(銅層3)の表面を清浄化する。
【0018】
(g)に示すように、無電解スズめっきを行い、スズ層6を形成する。無電解めっきは、銅の錯化剤を含有するめっき液を使用した置換析出型が採用される。
【0019】
本発明においては、レジスト4を残した状態でニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層2を溶解処理剤で剥離除去するため、配線パターン5を形成する銅の表面は溶解されることがなくなり、スパッタ層2の剥離除去後の配線パターン5の表面の外観ムラやパターン寸法の変動が抑制されるようになる。また、溶解処理剤への銅の溶解量が少なくなり、処理剤の長寿命化が図れるようになる。
【0020】
(実施例1)
ポリイミド樹脂フィルム上に、ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を形成し、その上に電解銅めっきにより銅層を形成する。銅層の上に所定のレジストを塗布して乾燥させた後に、所定の配線リードパターンを有するフォトマスクを通して露光、現像させて配線パターンを形成する。続いて、35%硝酸200ml/l、過酸化水素50ml/l、エチレンジアミン200ml/l、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム50g/l、メルカプトベンゾチアゾール0.6g/lの組成で建浴した処理液を用い、液温55℃で10秒、20秒、40秒、60秒処理してニッケル−クロムスパッタ層を除去する処理を行った。その後、レジストを剥離し、脱脂、酸洗により配線パターン表面を清浄化させ、無電解スズめっきにより厚さ0.5〜0.6μmのスズめっき層を形成した。無電解スズめっきは、石原薬品製580Mを用い、液温65℃、処理時間3分40秒で行った。
【0021】
このようにして作製したテープキャリアを走査型電子顕微鏡(SEM)によりリード側面の観察を行い、配線パターン形成後に行った処理時間をパラメータとして異常析出の有無を確認すると共に析出部の長さを測定した。異常析出有無の判定は、配線パターン全面に異常析出無しを○、配線パターン一部に異常析出有りを△、配線パターン全面に異常析出有りを×とした。判定結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の結果より、処理時間が20秒以上であれば、配線パターン側面にスズの異常析出は発生しないことがわかる。また、配線パターン表面に外観ムラの発生や寸法変動は見られなかった。
【0024】
(実施例2)
エチレンジアミン120ml/l、クエン酸90ml/l、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム90g/l、ジチオカルバミン酸0.6g/lの組成で建浴した処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解スズめっきを行い、異常析出性を評価し、結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2の結果より、処理時間が20秒以上であれば、配線パターン側面にスズの異常析出は発生しないことがわかる。また、配線パターン表面に外観ムラの発生や寸法変動は見られなかった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきた通り、本発明は、絶縁フィルム上にニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を介して銅層を形成し、該銅層の上に配線パターンに対応したレジストを形成してから該銅層をエッチングすることによりパターニングして配線パターンを形成し、該レジストを施した状態で前記ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を除去する処理を行い、しかる後にレジストを除去して前記配線パターン上に無電解めっきによりスズめっき層を形成する半導体装置用テープキャリアの製造方法を提供するものであり、無電解スズめっき後のスズの異常析出を抑止することができ、しかも、配線パターン表面に外観ムラの発生や寸法変動が発生するのを防止できるようになる。また、溶解処理剤への銅の溶解量が少なくなり、処理剤の長寿命化が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体装置用テープキャリアの製造方法の一実施の形態の説明図。
【図2】 従来の半導体装置用テープキャリアの説明図。
【図3】従来の半導体装置用テープキャリアの製造方法の説明図であり、(a)
は、エッチング処理前、(b)はエッチング処理後、(c)は更に無電解スズめっきを施した状態を示すものである。
【符号の説明】
1:絶縁フィルム(ポリイミド樹脂フィルム)
2:ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層
2’:はみ出し部
3:銅層
4:レジスト
5:配線パターン
6:スズ層
Claims (6)
- 絶縁フィルム上にニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を介して銅層を形成し、該銅層の上に配線パターンに対応したレジストを形成してから該銅層をエッチングすることによりパターニングして配線パターンを形成し、該レジストを施した状態で前記ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を除去する処理を行い、しかる後にレジストを除去して前記配線パターン上に無電解めっきによりスズめっき層を形成することを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
- 前記ニッケルまたはニッケル−クロムスパッタ層を除去する処理は、皮膜溶解剤、酸化剤、銅の腐食抑制剤、界面活性剤、錯化剤およびアミン化合物で建浴した溶解処理剤を用いて行う請求項1記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法。
- 前記皮膜溶解剤は、シアン化合物、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、クロム酸、クエン酸およびギ酸から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法。
- 前記酸化剤は、過酸化水素、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物および硝酸塩から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法。
- 前記銅の腐食抑制剤は、メルカプトベンゾチアゾールおよびジチオカルバミン酸から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法。
- 前記無電解めっきは、銅の錯化剤を含有するめっき液を使用した置換析出型である請求項1記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法。
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