JP3525628B2 - 金属基材へのめっき方法 - Google Patents

金属基材へのめっき方法

Info

Publication number
JP3525628B2
JP3525628B2 JP16308896A JP16308896A JP3525628B2 JP 3525628 B2 JP3525628 B2 JP 3525628B2 JP 16308896 A JP16308896 A JP 16308896A JP 16308896 A JP16308896 A JP 16308896A JP 3525628 B2 JP3525628 B2 JP 3525628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
plating layer
base material
alloy plating
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16308896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH108289A (ja
Inventor
宏充 竹内
正洋 奥宮
好樹 恒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
Priority to JP16308896A priority Critical patent/JP3525628B2/ja
Priority to DE19702366A priority patent/DE19702366C2/de
Priority to US08/788,977 priority patent/US5865976A/en
Publication of JPH108289A publication Critical patent/JPH108289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3525628B2 publication Critical patent/JP3525628B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基材へのめっ
き方法に係り、詳しくは、少なくとも2種類のイオンを
含んでなる金属めっき液を用いて合金めっき層を形成す
るためのめっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄や、アルミニウム等の基材
にめっきの施された製品が種々製造されている。当該製
品としては、例えば自動車用バンパー、バックミラー、
反射板、電気・電子部品、精密機械用部品、航空機の構
成部品、エンジン用ピストン、ブスバー、電線等が挙げ
られる。
【0003】一般に、金属基材(例えばアルミニウム基
材)にめっきを施す場合には、以下のような工程を経
る。まず、基材とめっき層との間の密着性を確保するた
め、その表面に形成された酸化膜や汚れを除去するため
の前処理工程が必要である。かかる前処理の手法とし
て、従来では、例えば亜鉛置換法なる技術が採用されて
いる。すなわち、まず脱脂工程において、基材の表面が
脱脂され、次いで、エッチング溶液により、アルミニウ
ム基材の表面がエッチングされ、硝酸、ふっ化水素酸、
硫酸等により酸処理が行われる。上記酸処理を工程を経
た基材は、亜鉛置換(又は亜鉛合金置換)工程へと供さ
れる。この置換工程においては、水酸化ナトリウムと酸
化亜鉛とを基本成分とする亜鉛置換液中で、アルミニウ
ム基材が処理される。すると、アルミニウム表面の薄い
酸化皮膜が除去され、新しく露出した活性な表面に亜鉛
が置換析出する。そして、この亜鉛皮膜を硝酸で剥離
し、もう一度亜鉛置換処理を繰り返すと、一層均一な表
面が得られる。
【0004】そして、このような複雑な前処理工程を経
た後、基材は、公知の電気めっき工程へと供される。す
なわち、所定のめっき溶液中に基材が浸漬されるととも
に、その状態で、電極間に電圧が印加される。これによ
り、基材の表面に、電気めっき層が形成される。
【0005】ところで、上記めっき層を形成するに際
し、該めっき層の厚さ方向における基材側と表層側とで
組成を変えたい場合がある。かかる場合、基材は、順次
異なるめっき溶液中に浸漬され、電気めっきが施されて
いた。
【0006】一方、個々の製品毎にめっき層を構成する
金属の組成を変えたい場合もある。この場合、基材は、
それぞれ異なるめっき溶液中に浸漬され、電気めっきが
施されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、めっき層の基材側と表層側とで組成を変え
るためには、複数のめっき溶液を必要としていた。この
ため、めっきのための工程が著しく煩雑なものとなっ
て、作業性の悪化を招来していた。また、複数のめっき
用の浴槽を用意しなければならず、コスト的、設置スペ
ース的にも不利益を招いていた。
【0008】一方、個々の製品毎にめっき層の組成を変
える場合にも、上記と同様、工程増による作業性の悪
化、コスト的、スペース的の不利益を招いていた。本発
明は上記問題点を解決するためになされたものであっ
て、その目的は、少なくとも2種類のイオンを含んでな
る金属めっき液を用いて合金めっき層を形成するに際
し、作業性の向上を図ることができ、コスト的、スペー
ス的不利益を回避することのできる金属基材へのめっき
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、金属基材に合金めっき
を施す方法であって、少なくとも2種類のイオンを含ん
でなる金属めっき液を、ノズル開口部から吹き付けて前
記金属基材の表面に流速をもたせて接触させ、前記金属
めっき液で電気的に接続された前記ノズル及び金属基材
間に電圧をかけることにより前記金属基材の表面に合金
めっき層を形成するとともに、前記流速を制御すること
により、前記合金めっき層の合金組成を制御するように
、かつ前記流速を、前記合金めっき層の厚さ方向に可
変制御するようにしたことをその要旨としている。
【0010】
【0011】さらに、請求項に記載の発明では、請求
に記載の金属基材へのめっき方法において、前記制
御により、前記合金めっき層の表層側ほど硬度が高くな
るようにしたことをその要旨としている。
【0012】併せて、請求項に記載の発明では、請求
又はに記載の金属基材へのめっき方法において、
前記制御により、前記合金めっき層の前記金属基材側ほ
ど該金属基材との接合力が高くなるようにしたことをそ
の要旨としている。
【0013】加えて、請求項に記載の発明では、請求
のいずれかに記載の金属基材へのめっき方法に
おいて、前記金属基材はアルミニウムにより構成されて
いることをその要旨としている。
【0014】また、請求項に記載の発明では、請求項
のいずれかに記載の金属基材へのめっき方法にお
いて、前記合金めっき層は、少なくともニッケル及びリ
ンを含有していることをその要旨としている。
【0015】ここで、上記金属めっき液としては、少な
くとも2種類のイオンを含んでなるめっき液であればい
かなるものでもよく、当該イオンとしては、(A)金属
+メタロイド金属(半金属)の組合せ[例えばニッケル
+リン、ニッケル+ボロン、ニッケル+リン+ボロン
や、(B)金属+金属の組合せ(ニッケル+銅、ニッケ
ル+鉄、金+バナジウム+銅)等が挙げられる。
【0016】上記(B)のような金属だけの組合せの場
合、金属イオンは電析により析出するため、流速が速く
なるほど、析出電位の高い金属の析出量が高くなる。ま
た、上記(A)のような金属とメタロイド金属の組合せ
の場合、金属元素は電析により析出するが、メタロイド
金属の析出は電析ではない。この組合せにおける、流速
の変化による析出量の変化は次のように考えられる。メ
タロイド元素はカソード上に電析により析出した金属に
吸着される。そして、吸着メタロイド元素の回りに金属
が電析し、メタロイド金属を覆い、金属元素とメタロイ
ド金属の合金めっき皮膜が形成するものと考えられる。
流速を速くすることは、カソード上にメタロイド元素を
強制的に供給することになる。そのため、流速が速いほ
ど、メタロイド金属の含有量が高くなる。
【0017】また、本発明(特に請求項1に記載の発
明)においては、金属めっき液を流速をもたせて基材表
面に接触せしめる必要がある。このように、金属めっき
液を流速をもたせて接触させることにより、ノズルから
吹き付けられている金属めっき液によってノズル及び金
属基材間が電気的に接続されることとなる。そして、両
者間に電圧がかけられることにより、金属基材の表面に
金属めっき液中の金属イオン成分が金属となって析出
し、めっき層が形成される。このため、基本的には、金
属めっき液を流速をもたせて基材表面に接触せしめると
いう工程のみで、金属基材に強固なめっき層を形成する
ことが可能となる。
【0018】特に、本発明においては、少なくとも2種
類のイオンを含んでなる金属めっき液の流速が制御され
る。ここで流速が上昇すれば、電極(カソード)への金
属析出電位が高くなる。このため、少なくとも2種類の
イオンのうち、析出電位の高いイオンの方が、それ以外
のイオンに比べてより析出しやすいものとなる。このよ
うに、流速が適宜制御されることによって、合金めっき
層の合金組成が適宜制御される。すなわち、合金組成が
適宜制御された合金めっき層が、上記工程を経るのみ
で、容易に得られることとなる。
【0019】なお、このときの流速は、当初においては
少なくとも金属基材の表面に形成されるめっき層に水素
原子が取り込まれにくい程度の充分な速度を有している
のが望ましい。このように充分な速度を有することによ
り、形成されるめっき層には水素が取り込まれにくくな
り、めっき層の形成後において、水素ガスが放出される
ことにより、めっき層が微視的なポーラス状態となるの
が回避される。すると、めっき層は、むしろ圧縮側の残
存応力を有することとなり、めっき層の界面が、基材に
強固に接合されやすいものとなる。
【0020】また、前記流速が、合金めっき層の厚さ方
向に可変制御される。このため、合金めっき層の合金組
成がその厚さ方向に変化したものが容易に得られる。
【0021】さらに、請求項に記載の発明では、請求
に記載の発明の作用に加えて、前記制御により、前
記合金めっき層の表層側ほど硬度が高いものとされる。
このため、得られるめっき製品自体の耐久性の向上を図
ることが可能となる。
【0022】併せて、請求項に記載の発明では、請求
に記載の発明の作用に加えて、前記制御によ
り、前記合金めっき層の金属基材側ほど該金属基材との
接合力が高いものとされる。従って、形成される合金め
っき層は金属基材から剥離しにくいものとなる。
【0023】加えて、請求項に記載の発明では、請求
に記載の発明の作用に加えて、前記金属基材は
アルミニウムにより構成されている。このため、比較的
大きな流速によって基材自身が塑性変形されやすく、圧
縮側への残留応力を保持しやすい。
【0024】また、金属基材はアルミニウムにより構成
されているが故に、その表面には酸化皮膜が形成されや
すい。従って、酸化皮膜を除去するための工程等を省略
できるという作用が、より効果的に発揮させられること
となる。
【0025】また、請求項に記載の発明では、請求項
に記載の発明の作用に加えて、前記合金めっき層
は、少なくともニッケル及びリンを含有している。この
ため、合金めっき層の合金組成がその厚さ方向に変化し
たものが確実に得られるとともに、表層側のリンの濃度
が高い場合には、上記請求項3及び4に記載の作用が確
実に得られることとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
の形態を図1〜4に基づいて説明する。図2は本実施の
形態において基材1表面に形成された合金めっき層2を
示す模式的な断面図である。同図に示すように、アルミ
ニウム製の金属基材(以下、単に「基材」という)1の
表面には合金めっき層2が形成されている。当該合金め
っき層2は、ニッケル及びリンにより構成されている。
【0027】また、本実施の形態における合金めっき層
2は、表層側ほど(図の上側ほど)リンの濃度が高いも
のとなっている。換言すれば、合金めっき層2は、基材
1側ほどニッケルの濃度が高いものとなっている。
【0028】次に、上記のようにアルミニウム製の基材
1上に合金めっき層2を形成するためのめっき装置につ
いて説明する。図1に示すように、本実施の形態のめっ
き装置は、内部に攪拌機11及びヒータ12を有してな
るタンク13を備えている。そして、このタンク13内
には、後述する組成よりなるめっき溶液が貯留されてい
る。また、このタンク13の上方には、基材1を載置す
るための載置台14が配設されている。さらに、載置台
14の上方には、ジェットノズル15が配設されてい
る。また、ジェットノズル15には電源16の陽極が接
続され、載置台14には電源16の負極が接続されてい
る。
【0029】さらに、本実施の形態では、前記タンク1
3とジェットノズル15とを連結する連通路17が設け
られており、この連通路17の途中にはポンプ18が設
けられている。そして、このポンプ18が駆動されるこ
とにより、タンク13内にて加温され、均一に攪拌され
ためっき液が、連通路17を通ってジェットノズル15
の方へと導かれる。さらに、そのジェットノズル15か
らは、噴流(シャワー)状のめっき液が、載置台14に
載置された基材1表面に当たるようになっている。な
お、前記載置台14及びジェットノズル15は、箱状の
ジェットセル19内に収容されており、噴出されためっ
き液が外部に飛散しないようになっている。
【0030】併せて、前記ポンプ18下流における連通
路17の途中には、メインバルブ21が設けられてお
り、このバルブ21の開度を調整することにより、ジェ
ットノズル15からのめっき液の噴出量を調整すること
ができるようになっている。また、ポンプ18の上流側
及び下流側を連通するバイパス通路22が設けられてお
り、その途中にはサブバルブ23が設けられている。こ
のバルブ23の開度を調整することにより、ポンプ18
の上流側から還流されるバイパス量が調整され、上記同
様ジェットノズル15からのめっき液の噴出量を調整す
ることができるようになっている。
【0031】本実施の形態におけるめっき液は、スルフ
ァミン酸ニッケル[Ni(NH2SO4)・4H 2O](430kg/
m3)、塩化ニッケル[NiCl2 ・6H2O ](15kg/m3)、
ホウ酸[H3 BO3 ](45kg/m3)、サッカリン[C
7 5 NO3 S](5kg/m3)が配合されているととも
に、さらに次亜リン酸(H3 PO2 )(0.5kg/m3
が配合されている。さらに、めっきの条件として、めっ
き液の温度はヒータ12により328Kに、pHは2.
0に、電流密度は80×102 A/m2 に、めっき液の
接触時間は480秒にそれぞれ設定されている。但し、
これらの数値はあくまでも例示である。
【0032】次に、上記のようにして構成されてなるめ
っき装置を用いて、前記合金めっき層2を形成する際の
めっき方法について説明する。まず、載置台14上に基
材1を載置する。そして、電源16をオン状態としてポ
ンプ18を作動させる。但し、この際、サブバルブ23
及びメインバルブ21の開状態を適宜調整する。する
と、めっき液は、ポンプ18から連通路17を通ってジ
ェットノズル15から勢いよく噴射され、基材1表面に
当たる。このように、めっき液を比較的速い流速をもた
せて基材1の表面に接触させる。
【0033】また、これとともに、ジェットノズル15
から吹き付けられている金属めっき液(めっき液)によ
って、同ノズル15及び基材1間が電気的に接続される
こととなり、ジェットノズル15がアノードとしての役
割を果たし、基材1がカソードとしての役割を果たす。
このように両者1,15間に電圧がかけられることによ
り基材1の表面に金属めっき液中の金属イオン成分(ニ
ッケル及びリン)が金属マトリックスとなって析出し、
合金めっき層2が形成される。
【0034】このとき、上記めっき液の流速が適宜調整
される。例えば、当初の流速を「1m/s」とし、その
後徐々に流速を上昇させてゆき、最後においては流速を
「6m/s」とする。ここで流速が比較的遅い場合に
は、電極(カソード)への金属析出電位が低くなる。こ
のため、2種類のイオン(ニッケルイオン及びリンイオ
ン)のうち、析出電位の低いイオンの方(ニッケルイオ
ン)が、それ以外のイオン(リンイオン)に比べてより
析出しやすいものとなる。一方、流速が比較的速い場合
には、電極(カソード)への金属析出電位が高くなる。
このため、上記とは逆に、リンイオンが、ニッケルイオ
ンに比べてより析出しやすいものとなる。このように、
流速が適宜制御されることによって、合金めっき層2の
合金組成が適宜制御されるのである。
【0035】次に、本実施の形態の作用及び効果につい
て説明する。 (イ)本実施の形態によれば、上述したように、流速を
適宜変更することにより、容易に合金めっき層2の組成
を変更制御できる。このため、複数のめっき溶液を必要
としていた従来技術とは異なり、1つのめっき溶液を用
いるのみで、合金めっき層2の組成を変更制御できる。
その結果、めっきのための工程の著しい簡素化を図るこ
とができ、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0036】(ロ)また、複数のめっき用の浴槽を用意
する必要もないことから、コストの低減を図ることがで
きる。これとともに、設置スペースの点からも著しい省
スペース化を図ることができる。
【0037】(ハ)さらに、本実施の形態では、流速を
徐変させることにより、合金めっき層2の厚さ方向に金
属組成が連続的に可変制御される。このため、合金めっ
き層2の合金組成がその厚さ方向に連続的に変化したも
のが容易に得られる。すなわち、合金めっき層2自身
が、複数のめっき処理を経ることなく構成されているた
め、複数の層から構成されることがない。その結果、層
間剥離という不具合も回避できる。
【0038】(ニ)併せて、本実施の形態では、当初の
流速を比較的遅いものとし、その後徐々に流速を上昇さ
せるようにした。このため、基材1側のニッケルの濃度
を高めることができる。従って、基材1と合金めっき層
2との間の接合力を高めることができる。また、その後
流速を上昇させることにより、表層側のリンの濃度を高
めることとした。このため、表層側の硬度を高めること
ができる(リンの濃度が高い方が硬度が高い)。すなわ
ち、本実施の形態によれば、上記のような制御を経るこ
とで、種々の用途、要求される特性等に応じた合金めっ
き層2の組成を容易に得ることができる。
【0039】(ホ)加えて、本実施の形態によれば、金
属めっき液が流速をもって基材1の表面に接触するの
で、形成される合金めっき層2には水素が取り込まれに
くい。このため、合金めっき層2の形成後において、水
素ガスが放出されることにより合金めっき層が微視的な
ポーラス状態となるのが回避される。従って、合金めっ
き層2は、むしろ圧縮側の残存応力を有することとな
る。このように、合金めっき層が圧縮側の残存応力を有
することは、合金めっき層2の界面が、むしろ基材1に
強固に接合することとなる。その結果、合金めっき層2
形成後における亀裂や剥離の発生を抑制することができ
る。
【0040】(ヘ)さらにまた、本実施の形態では、基
材1がアルミニウムにより構成されている。このため、
比較的大きな流速によって基材1自身が塑性変形されや
すく、圧縮側への残留応力を保持しやすい。その結果、
上記(ホ)の作用効果をより確実なものとすることがで
きる。また、基材1がアルミニウムにより構成されてい
るが故に、その表面には酸化皮膜が形成されやすい。従
って、酸化皮膜を除去するための工程等を省略できると
いう作用効果が、より効果的に発揮させられることとな
る。
【0041】(確認実験)ここで、上記の作用効果を確
認するべく、以下のような実験を行った。すなわち、上
記アルミニウム製の基材1及び上記組成を有するめっき
液を用いるとともに、上記めっき装置を用いて、噴流速
度を種々変更させて合金めっき層2を形成した場合にお
ける合金めっき層2のリンの濃度を測定した。但し、合
金めっき層の厚みは、60μmとした。その結果を図
3,4に示す。なお、図3は、めっき液中の次亜リン酸
(H3 PO2 )の濃度を「0.5kg/m3」とし、図4
は、めっき液中の次亜リン酸の濃度を「5.0kg/m3
とした場合をそれぞれ示している。
【0042】これらの図に示すように、噴流速度が高い
ほど、合金めっき層2中のリンの濃度が高くなることが
わかる。これに対し、噴流速度が低いほど、合金めっき
層2中のリンの濃度が低くなり、ニッケルの濃度が高く
なることがわかる。このことからも、本実施の形態にお
けるめっき方法によれば、合金めっき層2の組成を容易
に制御でき、かかる制御により、所望とする合金めっき
層2を容易に得ることができるといえる。
【0043】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、例えば次の如く構成してもよい。 (1)前記各実施の形態では、合金めっき層2の金属組
成を厚さ方向に制御するようにした。これに対し、個々
の製品毎に合金めっき層の組成を変える場合にも適用す
ることができる。例えば、ある製品における合金めっき
層を形成する際の流速に対し、それとは異なる製品の合
金めっき層を形成する際の流速を前記流速と異ならせる
ことにより、合金組成の異なった製品を得ることができ
る。
【0044】(2)前記各実施の形態では、合金めっき
層2の金属組成を厚さ方向に制御するに際し、当初の流
速を比較的遅くし、その後徐々に速くするようにした
が、それとは逆、すなわち、当初の流速を比較的速くし
ておき、その後徐々に遅くするようにしてもよい。或い
は、流速を遅くしたり速くしたりする行為を交互に行っ
たりしてもよい。
【0045】(3)前記各実施の形態では、めっき液を
ジェットノズル15から噴出させる構成としたが、例え
ば滝状に当てる等、めっき液を流速をもたせて当てるよ
うにする構成であればいかなる方法を採用してもよい。
【0046】(4)前記各実施の形態では、金属基材と
してアルミニウム製の基材1に適用したが、金属基材で
あれば、鉄等いかなるものにも適用しうる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の金属基材
へのめっき方法によれば、少なくとも2種類のイオンを
含んでなる金属めっき液を用いて合金めっき層を形成す
るに際し、作業性の向上を図ることができ、コスト的、
スペース的不利益を回避することができるという優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態のめっき装置を示す概略システム
図である。
【図2】一実施の形態の基材及び合金めっき層を示す断
面図である。
【図3】実施の形態の作用効果を説明するための図であ
って、流速を変化させたときの合金めっき層中のリンの
濃度を示すグラフである。
【図4】実施の形態の作用効果を説明するための図であ
って、流速を変化させたときの合金めっき層中のリンの
濃度を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基材、2…合金めっき層、15…ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−250194(JP,A) 特開 昭58−181894(JP,A) 特開 昭58−174592(JP,A) 特開 昭57−120693(JP,A) 特開 昭52−54626(JP,A) 特開 平9−41185(JP,A) 特開 平7−278879(JP,A) 特開 平7−238394(JP,A) 特開 平5−59582(JP,A) 特開 平4−255259(JP,A) 特開 平2−194182(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材(1)に合金めっきを施す方法
    であって、 少なくとも2種類のイオンを含んでなる金属めっき液
    を、ノズル(15)開口部から吹き付けて前記金属基材
    (1)の表面に流速をもたせて接触させ、前記金属めっ
    き液で電気的に接続された前記ノズル(15)及び金属
    基材(1)間に電圧をかけることにより前記金属基材
    (1)の表面に合金めっき層(2)を形成するととも
    に、前記流速を制御することにより、前記合金めっき層
    (2)の合金組成を制御するようにし、かつ前記流速
    を、前記合金めっき層(2)の厚さ方向に可変制御する
    ようにしたことを特徴とする金属基材へのめっき方法。
  2. 【請求項2】 前記制御により、前記合金めっき層
    (2)の表層側ほど硬度が高くなるようにしたことを特
    徴とする請求項1に記載の金属基材へのめっき方法。
  3. 【請求項3】 前記制御により、前記合金めっき層
    (2)の前記金属基材(1)側ほど該金属基材(1)と
    の接合力が高くなるようにしたことを特徴とする請求項
    1又は2に記載の金属基材へのめっき方法。
  4. 【請求項4】 前記金属基材(1)はアルミニウムによ
    り構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の金属基材へのめっき方法。
  5. 【請求項5】 前記合金めっき層(2)は、少なくとも
    ニッケル及びリンを含有していることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の金属基材へのめっき方法。
JP16308896A 1994-10-07 1996-06-24 金属基材へのめっき方法 Expired - Fee Related JP3525628B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16308896A JP3525628B2 (ja) 1996-06-24 1996-06-24 金属基材へのめっき方法
DE19702366A DE19702366C2 (de) 1996-01-24 1997-01-23 Beschichtungsverfahren
US08/788,977 US5865976A (en) 1994-10-07 1997-01-24 Plating method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16308896A JP3525628B2 (ja) 1996-06-24 1996-06-24 金属基材へのめっき方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH108289A JPH108289A (ja) 1998-01-13
JP3525628B2 true JP3525628B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=15766965

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16308896A Expired - Fee Related JP3525628B2 (ja) 1994-10-07 1996-06-24 金属基材へのめっき方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3525628B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4934002B2 (ja) * 2007-10-22 2012-05-16 株式会社荏原製作所 めっき方法
US9751107B2 (en) 2012-03-21 2017-09-05 Valspar Sourcing, Inc. Two-coat single cure powder coating
IN2014DN07159A (ja) * 2012-03-21 2015-04-24 Valspar Sourcing Inc

Also Published As

Publication number Publication date
JPH108289A (ja) 1998-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6203936B1 (en) Lightweight metal bipolar plates and methods for making the same
TW200930562A (en) Metal covered polyimide composite, process for producing the composite, and process for producing electronic circuit substrate
JP3715743B2 (ja) Mg合金部材の製造方法
US4490218A (en) Process and apparatus for producing surface treated metal foil
Schwartz Deposition from aqueous solutions: an overview
US4961828A (en) Treatment of metal foil
TWI547600B (zh) 電解銅合金箔及具備承載箔之電解銅合金箔
US5865976A (en) Plating method
JP3525628B2 (ja) 金属基材へのめっき方法
JP3670185B2 (ja) プリント配線板用表面処理銅箔の製造方法
JPS6318096A (ja) 超微粉末に金属を被覆する方法
US4632734A (en) Process for electrochemically or chemically coating niobium
JP3525618B2 (ja) 金属基材へのめっき方法
KR20090102766A (ko) 전기전자부품용 복합재료, 전기전자부품 및 전기전자부품용 복합재료의 제조방법
JP5863170B2 (ja) 固定砥粒ワイヤの製造方法
JPH0688292A (ja) アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法
KR100679064B1 (ko) 초기 금속을 갖는 범프 및 그 초기 금속을 제조하는 방법
WO2008004558A1 (fr) Procédé de production un objet ornemental plaqué en convertissant une résine en une résine conductrice par métallisation sous vide et gabarit suspendu pour la fixation du moulage de résine
JP3925724B2 (ja) 非導体材料への表面処理方法
JPS63317699A (ja) 金属メッキの前処理方法
JPH1018055A (ja) プラスチック表面のメッキによる金属化方法
JP2003510819A (ja) 圧電セラミック多層アクチュエーターに平面状外部電極を取り付ける方法
JPH10317186A (ja) 基材へのめっき方法
US20030186071A1 (en) Pretreating method before plating and composites having a plated coat
JPH10130852A (ja) アルミへの亜鉛置換ニッケルメッキ方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees